Character1話 【3-1 ディン森林地帯 西部】
カーリャはい、到着っと。イヒヒ、イクスさま~ ?空気の心配はしなくてもいいんですかぁ ?
イクス……まだそれ引っ張るのか ?
ミリーナカーリャ。次に同じネタでイクスをからかったらおやつは抜きね。
カーリャそれはカーリャにとって拷問ですぅ~。イクスさまと親交を深めようとしただけなのに~。
イクスわかったわかった。とりあえず鏡映点を捜そう。確かこの辺りだったよな。
ミリーナうん、それと今回は二人だからね。同じ場所にいてくれればいいけど……。
イクスうーん、偶然には期待しない方が無難だな。ケリュケイオンから見たら、街があったから立ち寄って、地道に聞き込みしてみよう。
イクス(具現化した大陸に街があるっていうのも凄いよな。カレイドスコープの力……。考えれば考えるほど怖くなってくる……)
カーリャいっそ向こうから出てきてくれれば捜す手間がはぶけるのになぁ。
カーリャ鏡映点になった人この指とーまれ~♪なーんて。
イクスそれで見つけられたら苦労しないって。
Msc_003_001_speaker01――い……。お……。
ミリーナあら ?……何か、声みたいなものが聞こえない ?
イクスああ、かすかにだけど……あっちの方だな。
カーリャはわわわわ !なんか赤いのがこっちに近づいてきます !
Msc_003_001_speaker01おーい ! そこの人たち !
ミリーナ赤い髪の……男の人 ?――って、あの人 ! 鏡映点じゃない ?
イクスそんなまさか !本当にカーリャの指に止まりに来た ! ?
カーリャよっしゃー、カーリャちゃん天才 !探すどころか、あっちから来るなんて。今回は楽勝――
Msc_003_001_speaker01そこ、どいてくれ ! 早く逃げろーっ !
イクスあれ……なんか……魔物に追われてるぞ ! ?
カーリャふぇぇ、全然楽勝じゃなかったですー !誰ですか、そんなこと言ったのは !
イクスツッコミは後でゆっくりやるから !今はあの人を助けに行こう !
Msc_003_001_speaker01あんたたち逃げろって言ったのに何してんだ !
イクス俺たちも加勢する !
Msc_003_001_speaker01え……マジかよ ! ? 戦えんのか ?
イクス大丈夫、やれるさ !
ミリーナイクス、魔物が来るわ !
Msc_003_001_speaker01くそっ、こうなったらあてにするからな !

Character2話 【3-2 ディン森林地帯 東部】
? ? ?ありがとな ! おかげで助かったよ。変なバケモノに不意打ちくらってさ。ちょっと危なかったんだ。
? ? ?それと悪かった。あんたたちを巻き込んじまって。
イクスいや、そっちこそ無事でよかったよ。
カーリャ……じーっ。
? ? ?……ところでこのちっちゃいのさっきから俺に指つきつけてるけど…………何なんだ ?
ミリーナカーリャ、その指に鏡映点さんは止まらないからね ?
カーリャですよね……。ちょっとだけ可能性があるんじゃないかと思ったんですけど……。残念です。
? ? ?きょうえいてん…… ?なんだそりゃ ?
ミリーナあ、ごめんなさい。鏡映点っていうのはあなたのことなんです。ちょっとお話をさせてもらってもいいですか ?
ルークそりゃ、別に構わねーけど……だったらまず自己紹介しとかないとな。俺はルークだ。そっちは ?
イクス俺はイクス。こっちはミリーナとカーリャ。ここからはちょっと込み入った話になるんだけど――
ルークへぇ……。
イクス突拍子もない話なのにルークは随分落ち着いているんだな。
カーリャさっすが鏡映点って感じですね。
ミリーナ鏡映点は『時代に影響を及ぼす人物』っていうくらいだからきっと大物なのね。
ルーク――って、まったくわかんねえ !
三人! ?
ルーク……悪い。俺の仲間ならこういう話が得意な頭のいい奴がいるんだけどさ。俺にはさっぱりだわ。はは……。
ルークきっとあいつがここにいれば――
ルーク「やれやれ。こんな事も理解できなくてどうやって今まで生きてきたんでしょうね」とかなんとか言ってさ。
ルークそれでもきっと、知恵を貸してくれて……。――いや、くれねえかもな。ああいう奴だし…。
カーリャうはぁ……ルークさま、何だか疲れた顔してますよ。これは闇が深そうな予感です……。
ミリーナイクスは辛い事があったら私になんでも言ってね ?頼ってくれていいんだよ ?
イクス俺は平気だからさ、ミリーナ。頭なでるの、やめてくれないかな……。
ルークなあ、光魔の鏡って言ったか ?さっき俺を追いかけてた魔物もその影響で湧いてるんだよな ?
ルークなら、俺も一緒に探すよ。お前らが目的を達成できれば俺もこの世界も、元に戻るんだろ ?
イクスああ。助かるよルーク ! ありがとう。
ルークいいっていいって。さっき助けてもらった恩もあるし。
ルークそれにしても……俺も、今いるこの場所も【複製】だなんてなんか、皮肉だよな……。
ミリーナルークさん、どうかしました ?
ルークん ? ……いや、なんでもないよ。それより、光魔の鏡ってのはどうやって見つけるんだ ?
イクスその前に、鏡映点がもう一人いるはずなんだ。まずはその人を捜したい。
ルークもう一人 ?もしかして俺の知ってる奴かな ! ?ガイとか――……ティ、ティアとか……。
ルークそういや、ミュウがいねぇからミュウか。いや、魔物はないか……。
イクス犬の鏡映点ならいるけど……。
ルークマジかよ ! ?まぁ、でも、ミュウよりはナタリアの方が可能性が高いか……。それかアニスってことも……。
ミリーナ顔、見てみますか ?魔鏡に姿が映っているから……。
カーリャじゃーん。こんな感じのイケメンです !
ルーク――げ。なんだ、こいつかよ。
イクスえ ? 嫌な人なのか ?
ルーク嫌っつーか、面倒っつーか。……さっき話してた頭のいい奴だよ。ジェイドっていうんだ。
ルークまぁ、こういう状況だしジェイドなら頼りにはなる……かなぁ ?
ルークま、いいや。ジェイドを捜すんだな。それならもう少し先に街があったからそこで話を聞いてみようぜ !

Character3話 【3-8 降雪の街】
イクスさてと、街についたはいいけど……どこから聞き込みするかな。
ミリーナイクス、あれ見て。すごい人だかり。あそこで鏡映点の情報を聞けるんじゃない ?
ルークあれ ? 中心にいるの、ジェイドじゃないか ! ?
イクス鏡映点 ! よかった ! すぐに見つかって !
ルークつーか、あいつ、あんな大勢に囲まれて……なんかもめ事でも起こしたんじゃないだろうな。
子供ジェイドさん、行っちゃヤダ !もっと一緒にいてよぉ。
Msc_003_003_speaker02いや~、アンタに勉強見てもらったらすっかりなついちまったね。次も頼んでいいかい ?
ジェイドもちろんですよ。よろしければ他の子供たちにも声をかけて下さい。学問は大事ですからね。
Msc_003_003_speaker03ジェイドさん、先ほどはありがとう。畑を荒らす魔物を退治していただいて……。これは少しばかりのお礼です。
ジェイドいいえ、それは受け取れません。皆さんの喜ぶ顔が見られただけで私は満足ですから。
Msc_003_004_speaker03――ジェイド様 ! ジェイドさん ! ジェイドさーん ! ―
カーリャすごーい ! 人気者じゃないですかぁ !今回こそさすが鏡映点って感じですねぇ !
ミリーナルークさんだって鏡映点らしい素敵な人よ。優しくてとってもいい人。
カーリャそれはわかってますけど。あのメガネの人は大物感もありつつ、キラキラして爽やかで乙女の理想って雰囲気ですよ。ね ? イクスさま。
イクスなんで俺に話をふったんだよ……。一番乙女から遠いだろ、俺。
カーリャだって、ミリーナさまじゃ理想の相手が誰だかわかりすぎて話が終わっちゃうじゃないですか……
ミリーナふふ♪ そうよ、カーリャ♪世界で一番格好良くて優しいのは私の目の前にいる銀髪の王子様だもの !
イクス……それはともかく。ジェイドさん、慕われてるな。本当にいい人なんだなぁ。俺もあんな風になりたいよ。
イクスなぁ、ルーク……。
イクス――って、ルーク ! ? どうした ! ?
カーリャルークさま、大丈夫ですか ! ?足が生まれたての子鹿みたいにガックガクのふにゃんふにゃんですよぉ ! ?
ルークあ……頭が……。頭が……。
イクスおい、しっかりしろルーク !どこか具合が悪いのか ! ?
ジェイドおや ? あそこで騒いでいるのは……ルークじゃないですか。丁度良かっ――
ジェイドおや、どうしたんですか ? 顔が引きつってますよ。
ルークお……お前、ジェイド、だよな ?
ジェイドいやですねえ。私以外の何に見えるというんです。ところで、こちらの方は ?
イクス……あ、俺はイクスです。今はルークに旅の協力してもらっています。
ジェイドそうですか。ルークは私の自慢の仲間ですからね。きっとお役に立つと保証しますよ。
ルーク! ?
ジェイド彼は、私の仲間の中でも飛びぬけて秀でた才能の持ち主でしてね。何より義理堅く、信頼のおける人物です。
ルークひいぃ……。かゆ……かゆいぃ……。
ジェイドおや、じんましんですね。そんなに掻きむしったら肌が傷つきますよ。私が診て差し上げましょう。
ルークだーっ ! さわんなーっ !一体何なんだよジェイド。具合でも悪いのか ! ?
ジェイド具合が悪そうなのはあなたでしょう。本当に大丈夫ですか ?しかしルークがこれでは……困りましたね。
イクスあの……何かあるんですか ?
ジェイドええまあ。先ほど、街の皆さんからこの辺りを荒らす盗賊を討伐して欲しいと頼まれましてね。
ミリーナそんな危険なことまで引き受けたんですか ?
ジェイドええ。苦しむ人々の願いは断れませんから。
カーリャやだ、かっこいい…… !
ジェイドルークがいたので、協力を願おうと考えたのですが……。私だけで行くしかないようですね。
ミリーナそんな……危険です !今だって光魔があなたを狙っているのに !
ジェイド私を ? 何故でしょう。それに『こうま』とは…… ?
イクスそれについて、あなたには色々と伝えなくちゃならないことがあるんです。少しだけでも時間をもらえませんか ?
ジェイド……それは困りましたね。事は街の安全に関わります。一刻も早く出発したいと思ってましたので。
ジェイド――ですが、あなた方の案件も捨て置くという訳にはいかないようです。ですから、一つ提案しましょう。
ジェイド盗賊のアジトまで、ご一緒しませんか ?
イクス……え ?
ジェイド道すがら、そちらの事情をうかがいます。もちろん、戦わなくて結構です。民間人に危険な真似はさせられませんから。
イクスそんな……。ジェイドさんにだけ戦わせて俺たちに、ただ見てろって言うんですか。
ジェイド民間人であると同時に、ルークの友人です。傷つく姿は見たくないのですよ。
イクス俺、戦えます !一緒に連れていって下さい !
ルークくそっ、じゃあ俺も行く !こんな変なジェイドと一緒にイクスたちだけを行かせられるかよ !
ミリーナイクスが行くなら、私だって !
カーリャミリーナさまが行くならもちろんカーリャもご一緒しますよ。
ジェイドわかりました。少々想定外のメンバーですが心強い仲間が増えて嬉しい限りです。
ジェイド目的地は盗賊のアジト。みなさん、心を一つに頑張りましょう !
ルークうぇぇぇ……。一体、どうなってるんだよ……。

Character4話 【3-11 アスター砂漠 西部】
ジェイド――なるほど、そういう訳でしたか。皆さん大変な使命を帯びているんですねぇ。さぞかし大変でしょう。
イクスいや大丈夫です。それに俺、もっと戦って経験を積んで強くならないといけないから……。
ジェイド頼もしいですね。その強さへの憧れ成長期の少年らしくて実にうらやましい。
イクスでも、今の俺には憧れだけでどうにかなるほどの力がありません。それを以前、思い知ったんです。
ジェイド……確かに、個人の能力や経験、戦略など強くなるには様々な要素が必要です。けれどあなたは何より強い物を持っている。
ジェイド力を求めるその心ですよ。今は前だけ向いて進むといい。大丈夫、あなたは必ず強くなります。
イクスありがとうございます。ジェイドさん。
ミリーナイクス、なんだかいつになく……素直な感じ……だね……。ふぅ……。
カーリャミリーナさま、もしかして疲れてるんじゃ……。
ジェイドイクス、ちょっと休憩を取りませんか ?歳のせいか、少々疲れてしまいました。ミリーナさんも、ですよね ?
イクスあ、ごめんミリーナ !俺、自分のペースで進んじゃって。
ミリーナあ、大丈夫だよ !ちょっと立ち止まればすぐに……。
ジェイドいえ、急いては事を仕損じます。軍用の携行食ですが、食べ物も飲み物もあります。皆さんも遠慮なくどうぞ。
ジェイドさあ、ミリーナさん。これを食べると回復が段違いですよ。
カーリャジェイドさまって中々優しいメガネですね !紳士って、ああいう人を言うんでしょうね~。
イクスうん。その上強くて、うらやましいよ。
カーリャでも、少しミリーナさまに近づきすぎですね。ちょっと邪魔してきます。
イクスやれやれ……。
ルーク――やっぱり納得いかねえ。
イクスうわっ ! 何だよルーク。びっくりした。ジェイドさんのところに行かないのか ?
ルークあんなジェイド初めてだ。逆に怖くて近寄る気になれねーよ。
イクス何が問題なんだ ? そもそも、俺たちには『いつものジェイドさん』ってのがどんな人なのかわからないんだけど……。
ルークいつものジェイドか ?説教、イヤミ、説教、悪い冗談をはさんでアドバイス、説教、イヤミ、とどめに皮肉……。
イクスえっと……仲間、だよな…… ?
ルークああ、仲間だぜ ? だからこそさ。ジェイドは本当に大事なことを聞こえのいい言葉で流したりしない。
ルークさっきイクスに話していたことだってなんかアイツらしくないっつーか……。
ルークでもなー、頭のいい奴ってややこしいこと考えるだろ ?何かアイツなりの作戦って可能性も捨てきれないっていうか……。
ジェイドイクスー ! 水分をとらないとバテますよ。ほら、ルークも一緒に。
ルーク俺はいいや。行ってこいよ、イクス。
ジェイド浮かない顔をしてますね。ルークと話をしていたようですが……私のことを何か言っていましたか ?
イクスいや、なんというか……。
ジェイドおや、図星ですか ?でも、仕方のないことです。私の日頃の行いのせい、といいますか。
ジェイドルークと私は考え方や理念に違いが多い。でもそれは人として当然です。ですが、溝はやはりありましてね。
ジェイドその溝を埋めようと思って色々と心を砕いたつもりなのですが……ごらんの通りです。
ジェイドお互いのために良かれと思ってしたことがどうも受け入れてもらえなかったようで。……すみませんね。こんな話を。
イクスそうだったんですか……。それならルークとはちょっと行き違っているだけかもしれませんね。
ジェイドええ、ここが頑張りどころですから。彼の不信感は必ず解消してみせますよ。
イクスそうですね。ルークはジェイドさんの本質をちゃんとわかってるみたいだから。きっと大丈夫ですよ
ジェイド……本質ですか ?ハハハッ、それはちょっと怖いですねぇ。
ジェイドさて、そろそろ本格的に盗賊のアジトへ乗り込むとしましょうか !

Character5話 【3-12 アスター砂漠 盗賊アジト】
イクスここが、盗賊のアジト…… ?やけに静かだな。
ジェイドその筈ですが……。ここからでは状況が良くわかりませんね。もう少し踏み込んでみましょう。
ジェイドしんがりは私が務めますので、ルーク、先頭をお願いします。中の様子に気を配って下さいね。
ルーク……わかってるよ。
ミリーナ誰も……いないんじゃない ?
イクスジェイドさん。その情報って――
ルーク――イクスどけっ !
イクス……え ! ?
ミリーナイクス、大丈夫 ! ?イクスを襲うなんて……ジェイドさん、どうして ! ?
ジェイドたまたま私の前にいたものですから。それにしても、私の一撃を防ぐとはさすが優秀ですね、ルーク。
ルークいいかげんにそのキモイ口調をやめやがれ !正体を見せろよ、この偽者が !
イクス……にせ、もの ?
ルークああ、俺も少し悩んじまったけどさどう考えたって最初から怪しいんだよ !
ジェイドおやおや、私はそンなニアヤシカッタデスカ ?
カーリャこ……光魔 ! ?
ミリーナうそ……。鏡映点に化けるなんてこんなことまでできるの ! ?
Msc_003_005_speaker01……ウゥ~……ハルルルルル
ルーク―― ! ? なんだコイツ !
カーリャ魔物が集まってきてます ! ?仲間を呼んでるんですよ !
ルークやべえぞイクスさっさとコイツ倒さねえと !
イクス――くそっ、やってやる !

Character6話 【3-13 アスター砂漠 偽アジト】
イクスハアッ……ハアッ……。まずいな、囲まれた……。
ルークもう少しであいつをぶっ倒せるのに。こう雑魚が多くちゃ……。くそっ ! 何とかならねえのかよ !
Msc_003_006_speaker01何とかして差し上げましょう。
ルーク……へ ?
Msc_003_006_speaker01――エナジーブラスト !
イクスすごい。一撃で……魔物が全部……。
Msc_003_006_speaker01いやぁ、この状況なんだか懐かしいと思いませんか。……ルーク ?
ルークジェイド……。ジェイド――か ! ?
イクスあれが本物のジェイドさん…… ?
ジェイド随分と苦戦していましたね。私の姿をした魔物につい手加減をしてしまったとか ?
ルークんな訳あるか !いつも以上に気合い入ってたっつーの !
ジェイドそれは結構。私への日頃のうっぷんを晴らすいい機会だったようですからねぇ。存分に楽しめましたか ?
ミリーナえ ?気のせいか……オーラが黒い… ?
カーリャあの……ルークさま。この人本当に本物ですか ?こっちも光魔なんじゃ……。
ルークいや、このひねくれた態度、本物のジェイドに間違いなさそうだ。でも、どうしてここに……。
ジェイド街で『親切なジェイドさん』とかいう愉快な噂を耳にしましてね。高みの見物をしていたんですよ。
ジェイドそうしたら皆さんが『親切なジェイドさん』と街を出ていくじゃないですか。面白そうだったのでこっそり後をつけちゃいました♪
イクスあとをつけちゃ……って、え ! ?
ルーク――お前、まさかこの道のりの間ずっと……。
ジェイドええ、どうやらあなたは、私が優しくすると健康に害が及ぶようですね。後なんでしたっけ ? イヤミ説教イヤミ……。
ルークあ、あれはしょうがねえだろ ?大体お前な、ついて来てたんなら、すぐ出て来いよ !おかげであの偽物が調子にのって――
Msc_003_006_speaker02…… !
イクスしまった ! まだ生きて――
ジェイドおや、とどめを刺し損ねたみたいですね。ルーク、あなたが無駄なおしゃべりをしているからですよ ?
ルーク俺 ! ? 俺が悪いのかよ ! ?
ジェイドまぁ、あの状態ではそう遠くまでは逃げられませんね。じわじわと追い詰めてやりましょう。
イクスは、はい……。

Character7話 【3-15 アスター砂漠 中心地】
ジェイド――なるほど。先ほどの道中で耳にしたあなたたちの会話も合わせて、ひと通りの事情は理解できました。
ジェイドそれともう一つ。街の人々の様子ですが老若男女の違いなく記憶にあいまいな部分があるようです。
ジェイド忘れているわけではないのに、自分の記憶が絶対だとは信じ切れていないようでした。まるで夢について話しているような……。
ジェイドこの現象もあなたたちに関係があるのでしょう ?
ミリーナはい……。具現化の影響かもしれません。
ミリーナみんなの記憶も、術の力で生み出しているから……。まだそれが安定して馴染んでいないからそんな風になってしまうのかも……。
ミリーナでも、具現化が安定すれば問題はない筈です。
ジェイドない筈――ですか。まあ、信じるしかないのでしょうね。
ジェイドそれが真実かどうか今の私には確かめる手だてがありませんから。
ルークなんだよジェイド、ネチネチ問い詰めて。さっきの偽者の方がよっぽど紳士だったぜ。
ジェイドそうですか。それならルークには特別に偽者同様の態度で接していきましょう。
ジェイドそんな風に他人をかばえるところがあなたの美徳であり優しさですから。
ルーク――気持ち悪ぃ……けどこれもジェイドなりの嫌みだと思うとなんか今は心地いいぜ ! もっと来いよ !
ジェイドやれやれ。どうやらおかしな方向にこじらせてしまったようですねえ。
ジェイドま、いいでしょう。せっかくの機会です。私もこの世界について研究してみます。
ジェイドあなたたちのような鏡士や、その術の元となる魔鏡、私たちの世界の譜業にあたる仕組み。興味は尽きませんから。
カーリャうう……。なんだか雰囲気が違い過ぎて混乱しちゃいますよぅ……。むしろ偽者が懐かしいような……。
ジェイドああ、カーリャ――でしたよね ?あなたのことも色々と知りたいものです。その姿を見ると、胸の鼓動が止まりません…… !
カーリャえ…… ? うそ…… ! カーリャに恋しちゃった…… ?
ジェイドはい。もう今すぐに解剖したいくらいですよ。
カーリャかい……ぼう……。
ジェイド鏡精――未知の存在への探求心で胸が高まりますねぇ。
ジェイドそうだ。ミリーナ。彼女を少しお借りしてもいいですか ?今のうちに体組織の標本採取を――
ミリーナだ――め――っ ! !やめて ! やめて下さいっ !
カーリャガタガタブルブルガタガタブルブル……。
イクスジェイドさん、さすがに冗談がキツいですよ。二人がおびえちゃってます。
ジェイドおや、冗談ではなかったのですが仕方ありませんね。これはしまっておきましょう。
ミリーナい、今手に持ってたのって……。
イクスなんかの瓶と小さな刃物…… ?
カーリャ本気じゃない ! ?この人本気なんじゃないですかぁ ! ?
ルークうんうん。みんなが本物のジェイドのこと理解してくれたみたいで良かったぜ !

Character8話 【3-17 アスター砂漠 洞窟】
カーリャううっ……。なんかぶるぶるっときた。ミリーナさま、この近くにありますよ !光魔の鏡 !
ミリーナ本当 ! ?もしかしたらさっきの偽者もそこにいるのかな。
ルーク光魔の鏡って魔物が湧くとか言ってた奴か ?
ミリーナそう。光魔にとって鏡は巣――みたいなものかな。封印しないと無限に湧き続けるの。
ジェイド手負いの魔物が巣に戻る――というのはありえるかもしれませんね。しかも先ほどの場所からも近い。
カーリャう~ぶるぶるぶる……。こっちこっち、もうすぐです !
カーリャ……あった ! 光魔の鏡――と、予想通り、偽者もいますね。全然動かないですけど。
ルークよし、今のうちに一気に叩くか !
イクスいや、ちょっと……待ってくれ。
ルークなんでだ ? 今が好機って奴だろ ?
イクスまた騙されるかもしれない。罠とかさ。ジェイドさんにだって化けられるようなずる賢い奴だから、慎重に行かないと……。
ルークじゃあ、どうするんだ ?
イクス俺が飛び込んで――いや、しばらく様子を見るっていう手もあるな……。でもその時間で回復されたら元も子もない……。
イクス戦っている間に鏡から光魔が発生する可能性だってあるし……。いっそ俺が忍び寄って鏡を封印してから……。
カーリャあー、出ましたね。イクスさまのいつものアレ……。
ミリーナねえイクス、そんなに考えなくても――
イクスミリーナ、悪い。ちょっと待ってくれ。最善手を探すから……。
ルーク……なあ、さっきから「俺が俺が」ってなんでそんな作戦ばっかなんだ ?
イクスそれは……一番いい方法をとるためだよ。みんなを守れるように誰も傷つかないようにってさ。
イクスこういう場数だって、踏めば踏むほど次に役立つ。もっと強くなれるだろ。
ルークそれはわかるけどさ、お前の作戦に俺たち、入ってないような気がするんだよ。
イクスそれは……。
ルーク強くなって自分が全部何とかしなきゃっていう気持ち俺にもよくわかる。
ルークけどさ、それは仲間のことや、周りの状況が見えないのと同じになっちまう時があって……ええっと……。
ジェイド説明の要領は得ませんが、そんなことが言えるようになったとは驚きです。ちゃんと頭も成長していたんですね。
ルークはいはい。ジェイドせんせーのおかげでーす。
ルーク――まあ、要はさ。仲間を頼りにしていいんだよ。ほら、ミリーナもカーリャもあんなに心配そうにお前のこと見てるしな。
ミリーナうん……。ルークさんの言う通りだよ。私の「頼りにして」って言葉、軽く聞こえるかもしれないけど、本気でそう思ってるよ。
イクス……そうか、そうだよな。みんなのこと考えているようで俺、自分のことだけを――
ルークそんな顔するなよイクス !一人でも頑張ろうって意気込み自体は悪いことじゃないんだしさ。
イクス…………。
ルークだから、あんまり気負うなってことで……。――どうしようジェイド。これ伝わってるか ?
ジェイドやれやれ、人に説教など慣れないことをするからですよ。
イクスいや……。ありがとうルーク !おかげで決心できた。
イクスあらためて――頼むよ。一緒に光魔の所へ飛び込んでくれるか ?
ルークおおい、いきなりそれかよ !でもまあ、いいぜ。お前の背中は、俺に任せとけ。
イクスミリーナ、援護をよろしく。
ミリーナうん、一緒に頑張ろう、イクス !
イクスよし、行くぞ !

Character9話 【3-17 アスター砂漠 洞窟】
ルークやったぜ !あばよ、綺麗な方のジェイド !
ミリーナイクス、鏡の封印を――
イクスああ、任せろ !
イクスよしっ――封印完了 !
ルークよっしゃあ !無事終わり――で、いいんだよな ?
イクスああ、この世界もじきに安定すると思う。それにルークやジェイドさんを狙う光魔はもう現れないよ。
ジェイドそれは良かった。これ以上、あんな光魔に私の真似をされるのも迷惑ですから。
ルークははーん、さすがのジェイドも自分の偽者は気持ち悪かったか。
ジェイドというよりも、偽者がむやみやたらに偽善を行ったおかげで、あの街は今空前のジェイドブームなんですよ。
イクス……ジェイドブーム ?
ルークお前、よく真顔でそういうこと言えるな……。
ジェイド私が街を歩けばお年寄りはお菓子をくれ子供たちは歓声をあげて「ジェイドさん大好き」と抱きつきに来る。
ジェイド――いやあ、地獄ですね !
カーリャそれが喜べないとか、どれだけ……。
ミリーナルークさん、凄い人と仲間なのね……。尊敬するわ……。
ジェイド本当ですね。さすがルーク !
ルークいやあ、それほどでもあるけどな !それとジェイドはその紳士の笑顔をやめろ。
ルーク……で、イクスたちはこの後も別の世界の具現化っていうのをやるのか ?
イクスああ。今はそれが、俺たちにできることだから……。
ルークそうか。――もしよければだけどさ。これからも俺に協力させてくれよ。
イクス……ルーク、いいのか ?
ルーク俺なんかでもさ。世界を救う役に立つことができるなら――そう、したいんだ。
ジェイド…………。
イクスなんだよルーク。俺なんか、なんて。ルークが協力してくれるなら嬉しいに決まってるじゃないか。
イクスさっきの助言どおり、頼らせてもらうよ。これからもよろしく、ルーク !
ルークああ、どんどん頼ってくれよ。――ジェイド、お前もいいよな ?
ジェイドご一緒するのはかまいませんが具現化のお手伝いとやらは遠慮します。
ルークええっ ! 何でだよ。
ジェイド先だっても申し上げましたがまずはこの世界を調査したいんですよ。研究材料も山とありますからね。
ルークおいおい、マジか……。
ジェイドそれに、この具現化世界が安定したとはいえ長時間にわたり、鏡映点がこの島から出て何も影響がないのか、少々気になります。
ジェイドですから、私まで戦いに引っ張りだすような事態が起こらない限り調査に集中させてほしいんですよ。
イクスあ、はい、それはもちろん……。
ルークお、よかったじゃないかイクス。
イクス……え、何で ?
ルークだって要するにジェイドは、自分が出るほどのことがある時には助けるって言ってるんだし。
イクス……ルーク、本当にすごいな。あの言葉の裏から、よくそんな意図を……。
ルークいやあ、今回の偽ジェイド騒ぎで俺も色々学んだんだよ。
ルークジェイドが皮肉や嫌みを言ってるうちがまだ平和なんだなーって……。
ミリーナルークさん、もうなんか悟ってるって感じ……。
カーリャやっぱり、ルークさまも鏡映点なんですね。とんでもない大物です……。
イクスはは、そうだな。まあ、光魔の鏡も封じたしセールンドに戻ろうか。

Character9話 【3-17 アスター砂漠 洞窟】
カーリャは~、セールンドの空気です~。なんだか懐かしく感じちゃいます。
イクスルークたちとの時間が濃かったからな。特にジェイドさんは……凄かった。
ミリーナふふ……。私たちの周りには中々いないタイプの人だったね。
イクスそれと、ルークのおかげでわかったよ。ミリーナやカーリャがどれだけ俺のことを思ってくれてるのかも。
イクス自分でもそれに気が付いていたはずなのに変に考えが固まっちゃってて……。俺、情けなかったよな。
ミリーナ何いってるのイクス。私は、強がってるイクスだって頑張ってて、格好いいって思ってたよ。
イクスミ、ミリーナ……。
ミリーナだけど、色んなことを知って、気が付いて私を素直に頼ってくれるイクスはもっと素敵に見える。
カーリャはいはい、よかったですねぇ……。
イクスな、なんだよカーリャ。
カーリャ別にいいんですけどカーリャがいること忘れないでほしいです。
イクスはは、わかったって。甘い物で許してくれるか ?
カーリャ許しますー ! イクスさま大好きー !
イクス仕方ないな。ちょっとそこの店に――
Msc_003_010_speaker01――もう信じられねえよ俺は !
Msc_003_010_speaker02アンタやめてよ ! そんな大声で……。飲みすぎだよ !
Msc_003_010_speaker01俺は救世軍に入った奴に聞いたんだぜ ?ゲフィオンがセールンドを腐らせるってな !
Msc_003_010_speaker02そんなの、よその人が聞いたら……。
Msc_003_010_speaker01みんな言ってるだろうが ! 政治はガタガタ最近は地面までグラグラ揺れやがる。これなら酒飲んで目が回ってる方がましだ !
ミリーナ…………。
イクス……ミリーナ、行こう。
ミリーナ……どうして具現化のこと、秘密にするのかな。みんなに話せば、鏡震の不安も落ち着くのに。
イクスそれは……。大陸が失われたこととか新しく大陸を作ってることとか、突然聞かされてもみんな不安になるだけだからだろ ?
ミリーナそう……よね……。
イクス……わかるよ。ゲフィオン様って何か隠してるみたいな気がして心配になるよな……。
ミリーナでも、世界を救う方法がこれしかないなら……私たちはゲフィオン様を信じて具現化を頑張るしかないのよね。
イクス……今は俺たちにできることをやろう。一刻も早く具現化を成し遂げてアイギスを造り直してもらうんだ。
カーリャでもその前に、まずは甘い物ですよ、イクスさま。
イクスわかってるわかってる。
Msc_003_010_speaker03あそこの旦那、また暴れてるのかい ?
Msc_003_010_speaker04ああ、荒れるのもわかるがね。国がこんなに落ち着かないんだから。おかげで俺なんか、夢見まで悪い。
Msc_003_010_speaker03アンタもかい ? それ【滅びの夢】だろ。アタシも見るんだよ。みんな金色の砂になって死んじまう、嫌な夢をさ。
ミリーナ滅びの夢……。
イクス――どうしたミリーナ ?
ミリーナ……ううん。何でもないの。