| Character | 1話 【5-1 果樹園】 |
| イクス | よし。光魔に気をつけつつ、先を急ごう。目的地の街までもうひと踏ん張りだ。 |
| ミリーナ | その街に鏡映点がいる筈なのよね。今回は黒髪の男の子だったけど、どんな人なのかな。 |
| イクス | 穏やかそうな印象だったし、本を持ってたから俺と同じで本が好きなのかもしれないぞ。街に着いたらまず図書館から捜してみよう。 |
| ミリーナ | 見て ! 街が見えてきたわよ ! |
| イクス | カーリャ、何か反応はあるか ? |
| カーリャ | アァァァァ…………もう、ダメです……。 |
| イクス | ど、どうしたんだよ。具合でも悪いのか ? |
| イクス | ハッ……まさかこの大陸の空気は鏡精にとって毒だったり ! ? |
| カーリャ | カーリャは……お腹と背中が……くっつきそうです……。 |
| ミリーナ | ふふっ。お腹がすいただけみたいだね。 |
| イクス | ……なんだよ。心配して損した。というか、さっきおやつ食べたばっかりだろ。 |
| カーリャ | あはは~みてくださいよ~。地面にサラダが敷き詰められていますよ~。すごく美味しそうです~。 |
| ミリーナ | ちょっとカーリャ ! それはただの芝生よ ! |
| イクス | いくら腹が減っているからってそこらへんに生えているものは食べちゃダメだぞ !それこそ毒があるかもしれないんだからな ! |
| カーリャ | 毒……ぷ、ぷ……ぷるっ ! ! |
| イクス | お、おいおい。そんなに怖がることは―― |
| カーリャ | ち、違いますよ……この反応 ! |
| 光魔 | …ウゥ~…ハルルルルル。 |
| イクス | 光魔 ! ? |
| ミリーナ | 見て ! あそこで誰かが囲まれてる ! |
| イクス | あの人……鏡映点じゃないか !なんだか防戦一方で苦戦してるみたいだぞ !はやく助けないと ! |
| ジュード | うん……やっぱり。だいぶわかってきた……。 |
| イクス | さがって ! ここは俺たちが ! |
| ジュード | あなたたちは……。あ、いや……かばってくれてありがとう。けど大丈夫、僕も戦えるから。 |
| イクス | えっ……そうなのか ! ?だって武器も持っていないし―― |
| ミリーナ | 二人とも ! 危ない ! ! |
| イクス | ――なっ ! ! |
| ジュード | ――ハッ ! ! |
| イクス | す、すごい……。一瞬で光魔をまとめて……格闘術の使い手だったのか。 |
| ジュード | あはは……えっと、これは護身術なんだけどね。 |
| イクス | それが護身術 ! ?い、いや……それよりも今は光魔に集中だ ! |
| ジュード | 光魔……か。うん、わかった。いまはとにかくこいつらを倒そう。 |
| イクス | ああ ! いくぞ ! ! |
| Character | 2話 【5-2 果樹園の村】 |
| ジュード | ……それにしても、消えてしまった大陸を具現化させて、世界を甦らせようとするなんて、大変な旅だね。 |
| イクス | 具現化して終わりって訳でもないからさ。鏡映点であるジュードと無事に合流できてよかったよ。 |
| ミリーナ | それにしてもビックリしたよね。ジュードさんがあんなに強かったなんて。 |
| イクス | ああ。苦戦しているのかと思って助けに駆けつけたけどむしろ俺たちの方が助けられたもんな。 |
| ジュード | 誤解させちゃったみたいだね。あれはあえて攻撃せず光魔を観察していたんだ。 |
| イクス | 光魔を ? いったいどうして ? |
| ジュード | 実は……この先の村でお世話になったんだけど自警団の人たちが謎の腹痛で倒れたんだ。 |
| ジュード | みんなもう体調はよくなったけど……いまだに原因がわかっていない。 |
| イクス | もしかしてその原因が光魔なのか ! ? |
| ジュード | どうだろう。けど、事件が起こる数日前から村周辺に光魔がうろつきはじめたらしい。無関係だとも思えない。 |
| ミリーナ | つまりジュードさんが光魔を観察していたのはその事件の原因を探るためだったのね。 |
| ジュード | うん。まずは光魔の習性や特殊な能力普通の魔物との決定的な違いを分析するところから始めてみようと思ったんだ。 |
| ジュード | 再発防止のためにも原因は突き止めておきたいからね。 |
| イクス | 確かに……。もし他の街でも同じようなことが起きたら大変だ。そのうえ運悪く光魔が押し寄せてきたら街が壊滅しかねない ! |
| イクス | ど、どうしよう……何とかしないと。光魔が関わっているなら俺たちにも責任があるわけだし……。 |
| ミリーナ | イクス、焦らないで。まずは落ち着こう ? |
| ジュード | ねぇ、さっきの話だと、イクスたちは光魔の発生源である\"光魔の鏡\"を発見し破壊する役目が残っているんだよね。 |
| ジュード | よければ僕も手伝わせてくれない ? |
| イクス | えっ……いいのか ? |
| ジュード | もちろん。まずは光魔の増殖を防がないと。それに、光魔の鏡を探していれば何か手がかりが掴めるかもしれないからね。 |
| ジュード | お互いに今やるべきことは一緒なんだ。せっかくだし協力し合っていこうよ。 |
| イクス | ……ジュード、ありがとう。やっぱり、さすが鏡映点だな。強いし頼りになるし頭もいいし……尊敬するよ。 |
| ジュード | そんな……なんだか照れちゃうな。僕はごく普通の医学生なんだけど。 |
| カーリャ | さあ ! ! 雑談はそこまでにしてはやく光魔の鏡を探しに行きましょう !カーリャがぷるっと見つけてやりますよ ! ! |
| ジュード | うん、頼りにしているね。この広い大陸で闇雲に探すのは得策じゃない。鏡精であるカーリャに光魔の鏡を感知する能力があってよかったよ。 |
| ミリーナ | けどその前に一度、街に向かわない ?情報収集や買い物もしたいし。 |
| ジュード | そうだね。僕が調べたことも共有するよ。食事を取りながら話そう。 |
| イクス | 食事といえば……カーリャ、やけに元気だな。ついさっきまで腹ペコでへばってたのに。 |
| カーリャ | ……ギクッ。 |
| イクス | まさかそこらへんにあるものを勝手に食べたわけじゃないよな ? |
| カーリャ | そ、そそ……そんなことするわけないじゃないですか !美味しそうな木の実が落ちていたからってカーリャは食べたりしませんよ ! |
| ジュード | ……木の実、食べたんだね。 |
| ミリーナ | 口の周りにも果肉がついてるよ。いまハンカチで綺麗にしてあげるね。 |
| カーリャ | んんっ…………ぷはっ !ありがとうございます、ミリーナさま !あっ……けど木の実は食べてないですからね ! |
| イクス | はぁ……ひとまず先に進むとするか。 |
| カーリャ | はい ! 出発です♪ |
| Character | 2話 【5-2 果樹園の村】 |
| イクス | ジュードってやっぱり強いよな。けっこう体もがっしりしてるし……。医学生って勉強漬けなのかと思ってたんだけど。 |
| ジュード | 幼なじみと一緒に武術を教わっていたからだよ。あの頃はよくボコボコにされたなぁ……。 |
| イクス | え ! ? ジュードをボコボコにするって相当な強さだな ! ? 筋肉ムキムキ系とか……。 |
| ジュード | はは……女の子なんだけどね……。 |
| イクス | 筋肉ムキムキの女の子 ! ? |
| ミリーナ | ちょっと格好いいかも……。私、強い女の人に憧れてるから……。 |
| ジュード | 二人とも何か誤解してない ! ? |
| カーリャ | ム……。 |
| ジュード | カーリャ ? |
| カーリャ | ムグゥゥ……お、お腹が……。く、苦しい……です……。 |
| ミリーナ | カーリャ ! ? 大丈夫 ! ?すごい汗……熱まであるじゃない ! |
| ジュード | この症状……ちょっと診せて ! |
| カーリャ | ……喉が……渇きました……。お、お水を……。 |
| ミリーナ | 待ってて、今、飲ませてあげるからね。 |
| ジュード | うん……やっぱりだ。この発熱と口渇……村で発生した腹痛の症状と完全に一致する ! |
| イクス | そんな ! なんでカーリャが ! ? |
| ジュード | ―― ! |
| カーリャ | ム、ぐぐぅ…………うぅ……。 |
| ジュード | よし。治癒術が効いてくれた。対症療法だけどこれで痛みは和らぐはず。 |
| カーリャ | あ、ありがとう……ございます……。 |
| ミリーナ | よかった……。けど……どうしてカーリャが。 |
| イクス | もしかして……。カーリャ、怒らないから話して欲しい。さっき、本当は木の実を拾って食べたんだよな ? |
| カーリャ | ……は、はい。 |
| ジュード | どんな木の実だった ? |
| カーリャ | に……虹色に……きらきらしてる…ブドウみたいな……。 |
| イクス | その特徴だと……ダメンジの実だな。 |
| ジュード | ダメンジの実 ?ごめん、聞いたことがないんだけど……。 |
| ミリーナ | 私たちの世界にはあるんだけどジュードさんの世界にはないものなんだと思うな。これも恐らく、エンコードの影響。 |
| ミリーナ | 異世界の物理法則なんかを、そのままこの世界に持ち込むと、色々な問題が発生する可能性が高いの。 |
| ミリーナ | だから異世界の様々な法則は、この世界の法則に上書きされて具現化されるのよ。 |
| イクス | それに、この大陸の構成要素中に俺たちの世界の構成要素が混ざることもある。ダメンジの実もその一つなんだろうな……。 |
| ジュード | エンコードか……。うん、わかったよ。それでダメンジの実っていうのはどんな木の実なの ? |
| イクス | ダメンジの実は、見た目は綺麗だし香りも味もいいんだけど毒があるのが特徴なんだ。 |
| イクス | カーリャの症状と『絶対に食べてはならないモノ百科』に書いてあったダメンジの実の中毒症状にも一致している。 |
| ジュード | ということは村の人たちもダメンジの実で腹痛になったのかな……。 |
| イクス | あれ、けど……おかしいぞ。このあたりの自然環境でダメンジの実が育つ筈がないのに……。 |
| ミリーナ | カーリャは落ちてたって言ってたよね。 |
| ジュード | 何者かがダメンジの実を村の自警団に届けた。その道中に落としたものをカーリャが食べた。これなら説明がつく。 |
| イクス | ダメンジの実はあまり一般的ではないんだ。普通の人なら毒があるなんて思いもしない筈。机に置かれていたら何の疑いもなく食べるだろうな。 |
| イクス | もしこの推測が正しいとしたら一体誰が、何のためにこんなことを……。 |
| ジュード | もしかして落ちていたダメンジの実も……。 |
| イクス | ……ジュード ? どうかしたのか ? |
| ジュード | いや、何でもないよ。それよりもダメンジの実の解毒方法は知ってる ? |
| イクス | ごめん、そこまでは……。ただ、俺が読んだ本には書いてなかっただけで解毒方法は解明されている筈だけど……。 |
| ミリーナ | 街までもう少しだし、きっと図書館もある筈よね。到着したらみんなで調べてみない ? |
| ジュード | そうだね。はやくカーリャを治してあげないと。 |
| Character | 3話 【5-2 果樹園の村】 |
| ジュード | 司書の人に事情を話したら図書館を開けてもらえることになったよ。 |
| イクス | よかった。これでダメンジの実の解毒方法を調べられるな。 |
| ミリーナ | それにしてもここの図書館は大きいね。蔵書もたくさんありそう。 |
| イクス | オーデンセの図書館とは比較にならない規模だもんな。ここの図書館だったら蔵書を読み尽くすのも一筋縄ではいかなそうだよ。 |
| ジュード | イクス、図書館の本を読み尽くしたことがあるの ! ?凄いじゃない ! |
| イクス | そんなことないって。あそこは規模も小さかったし。鏡士の修行を禁止されて、一時期凄く退屈だったんだ。暇つぶしに読んでたら、読み尽くしてたってだけだよ。 |
| イクス | それに、俺、本が好きでさ。文字を追ってるとなんだか落ち着くんだよな。 |
| ジュード | あ、それ何だかわかる気がするよ。本を読んでいると知識が増えていくでしょ。その予備知識が安心感に繋がることも多いよね。 |
| イクス | そう、そうなんだよ !知識はいくらあっても損することはないしさ。本はやっぱりいいよな。 |
| ミリーナ | ふふっ。二人とも読書好きで気が合うみたいね。 |
| ジュード | あっ……司書の人が入っていいって。それじゃあダメンジの実の解毒方法を調べようか。 |
| イクス | ああ ! カーリャのために ! |
| ミリーナ | うん、頑張ろう ! |
| イクス | 見つけた ! ダメンジの実の解毒方法だ !薬草があれば簡単に作れそうだな。 |
| ジュード | えっと……必要な薬草はホワイトベルベーヌイエローバジル、ホワイトラベンダーエーテルヴァイスの4つ……みたいだね。 |
| ジュード | よし、次はそれぞれの自生地を調べよう。 |
| ミリーナ | 薬草辞典を持ってきたよ ! |
| イクス | どれどれ……ホワイトベルベーヌは寒冷地にあるらしいな。 |
| ジュード | となると雪山の麓あたりなら自生してそうだね。 |
| イクス | ホワイトラベンダーは、草原を好むみたいだ。この街に来る途中、見晴らしのいい場所があったけど、あの辺りに生えてるかな……。 |
| ミリーナ | エーテルヴァイスは……山岳地帯で見られるって書いてあるわね。 |
| ジュード | ――あとはイエローバジル……あった。湿原、それも、日の当たらない場所を好むみたいだね。 |
| イクス | よし。これで大体の自生地に目星が付いたな。 |
| ミリーナ | ええ。早く取りに行きましょう。……カーリャ。苦しいと思うけどもう少し辛抱してね。 |
| カーリャ | はぁいぃ……。 |
| Character | 4話 【5-7 クルスニク雪山】 |
| イクス | ……やっと雪山の麓まできたな。ホワイトベルベーヌはどこに生えてるんだろう……。 |
| ミリーナ | ホワイトベルベーヌって白い草よね。雪に紛れてわかりにくいのかも……。 |
| イクス | それらしきものは見当たらないな。ひょっとして、山に入らないとダメなのか ? |
| ジュード | 待って、あれを見て ! |
| ミリーナ | その青い草は ? |
| イクス | ブルーベルベーヌだ。けど、ホワイトベルベーヌでしか解毒剤は調合できないはずだけど……。 |
| ジュード | ホワイトベルベーヌっていうのはブルーベルベーヌの変異体でしょう ?だから、そのあたりにも生えているんじゃないかな。 |
| ジュード | 自然に発生する変異体は野生種の群生する場所に紛れていることも多いし。 |
| イクス | 確かにそうかもしれない !四つ葉のクローバーが一般的なクローバーと一緒に生えているのと同じ理屈だな ! |
| イクス | さすがジュード !俺なんて、変異体のことまで頭が回らなかったよ。 |
| ジュード | そんな……。たまたまだよ。 |
| ミリーナ | ううん、本当に凄いよ。これでホワイトベルベーヌが見つかるといいんだけど。 |
| ジュード | うん。ブルーベルベーヌの中にホワイトベルベーヌが紛れていないか探してみよう。 |
| ミリーナ | ――あった !これがホワイトベルベーヌじゃない ? |
| ジュード | うん ! 間違いないね ! |
| ミリーナ | よかった…… !とりあえず1つ目の薬草は手に入れられたね。 |
| イクス | ………… ? |
| ミリーナ | イクス、どうかした ? |
| イクス | いや……気のせいかな。誰もいない筈なのに何か気配がするような……。 |
| ジュード | いや、僕も同じ気配を感じてる。魔物が近くにいるのかもしれないね。 |
| イクス | ……俺たちが縄張りに入ったから警戒でもしてるのかな ? |
| ミリーナ | 今は、一旦ここを離れて次の薬草を探しに行こうよ。 |
| ミリーナ | 変な気配からは離れた方がいいと思う。 |
| イクス | ああ、そうだな。カーリャのためにも急がないと。 |
| カーリャ | よろしくお願いしますぅ……。 |
| Character | 5話 【5-9 ギルヴァート平原】 |
| ジュード | ホワイトラベンダーがあるとしたらこの辺りの草原じゃないかな。 |
| ミリーナ | ……なんだろう。遠くからかすかに甘い香りがする……バニラみたいな。 |
| イクス | 甘い香り……そういえば薬草辞典には一般的なラベンダーより甘い香りがするって書いてあったな。 |
| ジュード | なら香りを辿ってみよう ! |
| イクス | ――あったぞ ! 白くて小さな花が付いてる甘い香りの植物。これがホワイトラベンダーで間違いないよ ! |
| イクス | 確か神経系を沈静化する作用があるんだよな。魔物はこの甘い匂いが苦手で魔物よけにも使われるんだって。 |
| イクス | 衝撃を与えると香りが強くなって拡散するらしいんだ。だから乾燥させてすりつぶして匂い袋にするといいんだってさ。 |
| ジュード | イクス、ずいぶん詳しいね。 |
| イクス | えっ……さっき読んだ図鑑に書いてあっただろ ?128ページのコラムのところに。 |
| ミリーナ | さすがイクス ! 相変わらず凄いね !一度読んだだけでそこまで覚えちゃうんだもん ! |
| イクス | あはは……。ミリーナはいつも大げさだな。こんなのみんな大体そうだろ ?……あれ、もしかして俺がおかしいのか ? |
| ジュード | 落ち着いて、それは凄い才能だよ。その記憶力のよさは誇っていいと思うな。 |
| イクス | そ、そう言ってもらえると嬉しいけど……。ジュード、本当に俺って大丈夫なのか ?頼む、医者としての意見を聞かせて欲しい。 |
| ジュード | まだ医者じゃないんだけど……。 |
| ジュード | えっと……もちろんデメリットもあるよ。記憶力がいいってことは忘却機能がうまく働いていないとも取れる。 |
| ジュード | ネガティブな情報が忘却されずそれに振り回されてしまう、とかが記憶力のいい人によくみられる事例だね。 |
| イクス | やっぱり……まさに俺じゃないか……。 |
| ジュード | けど、人よりも多くの知識を持っているのはイクスの強みであることに間違いはないよ。 |
| イクス | ああ……今俺はその強みを活かせてるんだよな。知識を活かす知恵が大切だっていうのは本によく書かれているからわかってるんだけど……。 |
| イクス | ジュード。どうしたらいいと思う ? |
| ジュード | それは僕には答えられない。最終的にイクス自身がどうしたいかに関わることだからね。 |
| ジュード | ただアドバイスできることがあるとすれば……自分の意志を大切にすること、かな。 |
| イクス | 自分の意志……か。いつもやるべきことを見定めてるジュードが言うとその言葉にも重みを感じるな。 |
| ジュード | 僕の言葉っていうより僕の大切な人の言葉なんだけどね。 |
| ミリーナ | 大切な人 ? |
| ジュード | 実は、その人に出会えたから僕も自分の意志の大切さに気づけたんだ。 |
| ジュード | イクスは僕のことを尊敬してくれるけど僕ってそんな凄い人間じゃないんだよ。 |
| ジュード | 医学生になったのも親が医者だったからだし。旅に出たのも事件に巻き込まれたから。つい最近まで周りに流されてばかりだったからね。 |
| イクス | えっ、ジュードもそうだったのか ! ? |
| ジュード | 僕もってことは……イクスも ? |
| イクス | えっと、俺さ……鏡士になるって決める前は祖父ちゃんや周りの人たちと同じように漁師になろうって考えてたんだ。 |
| イクス | 俺に鏡士は向いてない。みんなと同じ漁師でいい。俺は、それでいいんだって……。 |
| ジュード | 波風が立たない生き方を選んでた ? |
| イクス | …………うん。 |
| イクス | けど、故郷の島が消えたり、世界が危ないって知ったり鏡士の力が必要だってゲフィオン様から言われたり避けられない現実を前にして、気付いたんだ……。 |
| イクス | 俺には――やらなきゃいけない使命があるって。 |
| ジュード | うん。僕も似たような感じだった。 |
| イクス | 俺も……ジュードみたいになれるかな ? |
| ジュード | 意志を貫こうとすれば対立は避けられない。相手や周りと違うことが怖くなるときもあると思う。 |
| ジュード | そのときは僕がイクスの力になるよ。僕も仲間に助けられてきたからね。 |
| イクス | ジュード……。 |
| ジュード | さあ、先に進もう。 |
| Character | 6話 【5-12 大湿原(水洞内)】 |
| イクス | このあたりにイエローバジルがある筈なんだけど……。 |
| ミリーナ | なかなか見つからないね。 |
| ジュード | ……二人とも。 |
| イクス | ジュード、どうかしたのか ? |
| ジュード | 気配を感じない ? |
| イクス | ! ああ、後ろからだよな。また魔物の縄張りに入ったのか……。 |
| ジュード | いや……どうもおかしい。足音や気配の数から考えてさっきと同じ魔物の群れだ。 |
| ジュード | それに僕たちの様子を伺っているけどずっと襲ってこないのも気になる……。 |
| イクス | 何か狙いがあるのかもしれないな。やっぱりただの魔物じゃなさそうだ。なんだか不気味だな……。 |
| ジュード | はやく薬草を取ってここを去ろう。ソグド湿原を元に具現化された土地だからかところどころぬかるんでいて足場が悪い。 |
| イクス | 戦いになるとマズいことになりそうだな……。 |
| ミリーナ | 二人とも ! あれを見て !イエローバジルじゃない ! ? |
| イクス | ああ ! そのとおりだ !さっそく採取して―― |
| ジュード | 待って ! 魔物がくる !二手に分かれて挟み撃ちする気なんじゃ―― |
| イクス | こんな時に……って、この魔物、光魔じゃないか ! |
| ミリーナ | それに……どういうこと ! ?挟み撃ちが狙いなのかと思ったけど一方の光魔の群れは反対の方向に―― |
| ジュード | ……まさか。 |
| イクス | イエローバジルを踏みつけ始めたぞ ! ? |
| ジュード | これが狙いだったみたいだね……。 |
| イクス | ど、どうしよう……このままじゃ薬草が……。けど今イエローバジルの方に行けば挟み撃ちにされてしまうし……。 |
| イクス | あっ……。 |
| ミリーナ | イクス ? 何か思い浮かんだの ? |
| イクス | えっと……いや、何でもない。それよりこの状況、どうすれば……。 |
| ジュード | 今は目の前の光魔を倒そう !イエローバジルは後回しだ ! |
| ミリーナ | ジュードさん、何か考えがあるのね ! ? |
| ジュード | 説明はあと !急ぐ必要はあるからね ! |
| イクス | もしかして……。 |
| イクス | ――ああ、俺もジュードに賛成だ。よし、いくぞ。 |
| Character | 7話 【5-13 大湿原(水洞深部)】 |
| イクス | はぁ……はぁ……。なんとか光魔は全部倒せたな。 |
| ミリーナ | けど、酷い……。薬草がみんな泥まみれになってちぎれてる……。 |
| イクス | いや、全部じゃない筈だ。 |
| ミリーナ | えっ……あ、本当だ。このあたりのイエローバジルは無事みたい。 |
| ジュード | イエローバジルは葉肉がしっかりしてるのが特徴だからね。全てダメにされることはないと思ったんだ。 |
| ミリーナ | もしかして……その知識があったからジュードさんは目の前の光魔を優先したの ? |
| ジュード | うん。足場の悪い湿原で挟み撃ちになるリスクの方が高いと思ったからね。賭けの部分もあったから完璧な策ではなかったけど。 |
| イクス | いや、それでも凄いよ。俺……実は同じことを思いついたんだけど言い出せなかったんだ。 |
| イクス | 間違っていたり的はずれな意見だったらどうしようって……。 |
| イクス | さっきジュードの話を聞いて俺も頑張ろうって決めたのにやっぱりそう簡単にはいかないな。 |
| ジュード | 意志を貫くにあたり対立するのは敵だけじゃない。仲間や、仲間になりうる人とも対立することはある。 |
| ジュード | けどお互いに悪いことをしているわけじゃない。自分が正しいと思ったから行動してるんだしね。 |
| ジュード | 仲間なんだから……いや、仲間だからこそちゃんと自分自身に責任を持って意見をぶつけ合うことも大切だと思うな。 |
| イクス | ……ジュードは強いな。ありがとう。俺、今度からはちゃんと言うようにする。 |
| ジュード | うん。イクスも僕が間違っていると思ったら遠慮なく言ってね。 |
| ジュード | そして、もし対立することになったときはお互い遠慮なく、精一杯、戦おう。 |
| イクス | ああ。約束だ。 |
| ジュード | うん ! |
| ミリーナ | あれ……。 |
| イクス | ミリーナ、どうかしたのか ? |
| ミリーナ | これを見て。もしかしてダメンジの実じゃない ? |
| イクス | なっ ! どうしてこんなところに ! ? |
| ジュード | ねぇ……自警団にダメンジの実を届けたのもお腹が空いているカーリャの前にダメンジの実を落としたのも光魔なんじゃないかな ? |
| イクス | 確かに、自警団がやられれば、その村に滞在していた鏡映点であるジュードを襲いやすくなる。 |
| イクス | そしてカーリャがやられれば光魔の鏡の発見が遅れ光魔は自分たちの勢力を増やすことができる。 |
| イクス | まさか、さっきの薬草集めの妨害も……。 |
| ミリーナ | けど、光魔にそんなことができるの ! ?だって……もしできるなら……。 |
| ジュード | うん、これは立派な謀だ。普通の動物や魔物にはそこまでの知能はない。 |
| ジュード | 全ての光魔がそうとは限らないけどもしこの仮定が正しければ、光魔には知能があるということになる。 |
| ジュード | それも……僕たち人間と、同じレベルの。 |
| イクス | 待てよ……だったら最後の薬草も狙われるかもしれないぞ ! ? |
| ジュード | 僕もそう思う。エーテルヴァイスは希少だし外的刺激にはすごく弱いのが特徴だ。急いだ方がよさそうだね。 |
| イクス | ああ ! 行こう ! |
| Character | 8話 【5-16 バラン岩場 中心部】 |
| イクス | 随分険しい道だったな。思ったより時間がかかっちゃったけどエーテルヴァイスは大丈夫かな……。 |
| ジュード | 見て。あそこに生えているのがエーテルヴァイスじゃない ? |
| イクス | ああ、そうみたいだ。よかった、無事だったみたいだな。さっそく取りに―― |
| カーリャ | ……ふ、ふぇぇぇぇぇぇ ! |
| ミリーナ | カーリャ ! ? どうしたの ! ?凄く震えてるけどまさか毒が回ったんじゃ…… ! ? |
| ミリーナ | カーリャをこんなに苦しめるなんて絶対に許さない……。光魔……呪うわ…… ! |
| ジュード | ま、待って ! 落ち着いて。まだ毒が回ったわけではなさそうだよ ? |
| イクス | ――あ、もしかして光魔の鏡が近いんじゃないか ! ? |
| ミリーナ | まさか、そんな都合のいいことが……。 |
| ジュード | 静かに。隠れて。 |
| 光魔 | …ウゥ~…ハルルルルル。 |
| ジュード | やっぱり。光魔がいる。それに奥で光っているのはもしかして……。 |
| イクス | 光魔の鏡だ。ここで鏡を封印できれば薬草もジュードも守れて一石二鳥だぞ。 |
| ミリーナ | けど、このまま戦ったら薬草が駄目になっちゃいそう。なんとか薬草を確保できたとしてもあの数の光魔に囲まれたら……。 |
| ジュード | エーテルヴァイスは罠だね。光魔は、薬草を取りに来た僕たちをここで始末する策なんだと思うよ。 |
| イクス | 薬草を取りに行く前に気づけてよかったけどどう対処すればいいんだろう……。 |
| イクス | 薬草を取りに行ったら光魔に囲まれてしまう。光魔の鏡や光魔を倒すことを優先すれば薬草が駄目になってしまうし……。 |
| ミリーナ | 何か手はないかしら……。 |
| イクス | ――待てよ、いや……けど。 |
| ジュード | イクス。何か閃いたんだよね。よければ教えてくれない ? |
| イクス | ……わかった。 |
| イクス | 魔物はホワイトラベンダーの匂いが嫌いだろ。だったら光魔にも効き目がある可能性が高い。 |
| イクス | ホワイトラベンダーが生えていた場所の近くに光魔は近寄ろうとしなかったのが、その証拠だ。 |
| ミリーナ | つまり……ホワイトラベンダーを使ってエーテルヴァイスから光魔を遠ざければ……その隙に必要な分だけ摘み取ることができる ! |
| イクス | ただ……上手くいっても光魔は鏡映点であるジュードを襲ってくる筈なんだ。 |
| イクス | 一人がエーテルヴァイスを摘むとなると二人だけで一斉に襲いかかってくるであろう光魔を撃退しなくちゃいけない。 |
| イクス | そのうえ、エーテルヴァイスを摘んだらすぐその場から離れられるように経路を確保しておく必要もあるんだ。 |
| ミリーナ | 確かに、ホワイトラベンダーの効果が切れれば採取していた人が光魔に取り囲まれてしまうものね……。 |
| イクス | その中でも最善策を考えるとすれば接近戦ができる俺とジュードが戦う役でミリーナがエーテルヴァイスを採取する役が合理的だ。 |
| ミリーナ | うん。私もそう思う。 |
| イクス | ただ……二人だけで光魔を防ぎきれるかわからない。そのうえ、ほとんどの光魔は鏡映点であるジュードに襲いかかってくる筈だ。 |
| イクス | いくらジュードが強くても危険過ぎる。せめてホワイトラベンダーがもう少しあればジュードを守れるんだけど……。 |
| イクス | ごめん……。やっぱり俺の作戦じゃうまくいきそうにない。 |
| ジュード | ……いや、なんとかなるかもしれないよ。 |
| イクス | えっ ? |
| ジュード | 相手は光魔。普通の魔物と違って知能がある。そこを利用すればいいんだ。 |
| ミリーナ | どういうこと ? |
| ジュード | まずホワイトラベンダーを投げて、光魔を遠ざけミリーナがエーテルヴァイスを採取する。ここまではイクスの作戦通り進める。 |
| ジュード | そうしたら光魔が僕をめがけて襲ってくるはずだ。その光魔に対してホワイトベルベーヌを投げる。 |
| イクス | えっ……けど、ホワイトベルベーヌの香りにはホワイトラベンダーと同じような魔物を遠ざける効果はないぞ。 |
| ジュード | 大丈夫。同じ白い薬草を投げつければ知能のある光魔は、また僕たちがホワイトラベンダーを投げつけたと思って引き下がるはずだ。 |
| イクス | そうか…… ! 知能があるってことは人間と同じように学習をする !それを逆手に取るんだな ! |
| ジュード | その通り。すぐにバレると思うけどミリーナが採取を終えて戻ってくる程度の時間は稼げるはずだ。二人とも、この作戦はどう思う ? |
| ミリーナ | いいと思う ! |
| イクス | ああ ! 勝算はあると思う。凄いよ、ジュード ! |
| ジュード | これもイクスが元となるアイディアを提案してくれたおかげだよ。 |
| イクス | よし、善は急げだ。ミリーナは薬草を頼んだぞ。 |
| ミリーナ | うん ! そっちは二人に任せるね ! |
| ジュード | よし、ホワイトラベンダーの束を石に巻き付けて……と。投げるよ ! |
| ミリーナ | じゃあ、私も行ってくるね ! |
| イクス | ジュード、光魔が気づいたみたいだ !こっちに来るぞ ! |
| ジュード | 次はホワイトベルベーヌを……っと。イクス、投げるよ ! |
| イクス | ど、どうだ……。 |
| ジュード | よし ! うまくいったみたいだ ! |
| ミリーナ | お待たせ ! 薬草を集めたわ ! |
| 光魔 | …ウゥ~…ハルルルルル ! ! |
| ジュード | 丁度こっちにも、光魔が戻ってきた。 |
| イクス | よし、みんなで迎え撃とう ! |
| Character | 9話 【5-16 バラン岩場 中心部】 |
| ジュード | これで光魔の鏡を封印できた……んだよね ? |
| ミリーナ | はい。これで今後ここから光魔は出現しない……筈です。 |
| ジュード | よかった。それじゃあ、ここでダメンジの解毒薬を作っちゃおう。 |
| ジュード | ――はい、カーリャ。これを飲んでみて。 |
| カーリャ | ふぁい……。 |
| カーリャ | ――……う、うぎゃぁぁぁあああああ ! ?にっが――――――いいいいいいい ! ? |
| カーリャ | 何なんです、これ ! ? まるでピーマンとコーヒー豆とカカオをすりつぶして、フライパンで真っ黒にしたような味がっ ! ? |
| ミリーナ | カーリャ ! 元気になったのね ! ?よかった ! ! |
| カーリャ | にゃあ~……ミリーナさまいい匂い ! |
| ジュード | 体が小さいから、解毒薬の効きも早かったみたいだね。これだけ元気ならもう大丈夫だよ。 |
| ミリーナ | ありがとう、ジュードさん ! |
| イクス | ジュードがいなかったらカーリャを助けることができなかったよ。本当にありがとう、ジュード。 |
| ジュード | ちょ、ちょっと、やめてよ。そんなの気にしないで。みんなでカーリャを助けたんだよ。 |
| ミリーナ | カーリャ。あなたもお礼を言って ? |
| カーリャ | ……ありがとうございました。このご恩は一生忘れません。 |
| カーリャ | けど……うぅ……苦すぎですよぉ。 |
| ミリーナ | 良薬は口に苦し、だよ ?それもジュードさんが作ってくれた薬がよかった証拠なんだから。 |
| イクス | これに懲りたら、拾い食いはやめるんだな。 |
| カーリャ | 拾い食い、ダメ絶対……。はい……ちゃんと覚えておきます。 |
| ミリーナ | カーリャにとっても今回の冒険はいい経験になったみたい。 |
| イクス | ああ……もちろん、俺にとっても。知識も大切だけど、それと同じくらい知恵や意志も大切なんだって学べたよ。 |
| ミリーナ | 私もだよ。やっぱり鏡映点からは学ぶことが多いよね。 |
| ジュード | ねぇ、二人とも。今後のことについて相談があるんだけど話を聞いてもらってもいい ? |
| イクス | もちろん。それで、相談っていうのは ? |
| ジュード | 僕は村の人たちに今回の事件の真相を伝えればひとまずこの大陸でやるべきことは全て成し遂げたことになる。 |
| ジュード | だから、その後はイクスたちの旅の手伝いをさせて欲しいんだ。 |
| イクス | えっ…… ! むしろお願いしたいくらいだしありがたいけど……すごく危険だぞ。 |
| ジュード | 鏡映点を保護するのが二人の役目なのはわかってる。でも、ずっと保護されているだけってのも悪いし危険だからこそ戦える人間は貴重だと思うんだ。 |
| ジュード | 今回のことだけじゃなく今後も、お互いに助け合っていこうよ。 |
| イクス | ジュード……わかった、ありがとう。それならよろしく頼むよ。こちらからもよろしくな。 |
| ミリーナ | ええ、よろしくね、ジュードさん。 |
| ジュード | うん。よろしく ! |
| Character | 9話 【5-16 バラン岩場 中心部】 |
| イクス | ゲフィオン様。報告は以上です。 |
| ゲフィオン | 2人とも、ご苦労だった。 |
| ゲフィオン | この世界から失われた大地が形を変えながらも甦っているのはそなたたちのおかげだ。感謝しているぞ。 |
| イクス | いえ、俺は……俺たちは未熟だと痛感させられています。これからも頑張ります。 |
| ゲフィオン | そうか……。だが焦るな。そして無理はするな。 |
| ゲフィオン | カレイドスコープと魔鏡を扱える鏡士はもはや全滅したに等しい。お前たちが生き続けることも大事な使命なのだ。 |
| イクス | ありがとうございます。肝に銘じます。 |
| ゲフィオン | 先ほど報告された光魔の妙な動きに関してはこちらも調査してみよう。 |
| ゲフィオン | それから救世軍が色々と動いているようだ。セールンド軍の重要拠点を次々と攻撃している。 |
| 二人 | ! ? |
| ゲフィオン | それにしても困った。具現化した大陸と交流し新たに生まれた住民たちを守るためには軍の力が不可欠だったのだが……。 |
| ゲフィオン | お前たちも救世軍には気を付けるように。 |
| イクス | ………………。 |
| ゲフィオン | ……そういえば、その後カーリャは無事か ? |
| ミリーナ | は、はい。おかげさまで、今はすっかり……。あの……ここへ呼びましょうか ? |
| ゲフィオン | ――いや、結構だ。息災なら何より。 |
| ゲフィオン | 鏡士と鏡精は特別な繋がりをもつ。カーリャが苦しむことでミリーナに悪影響があっては困る。 |
| ゲフィオン | 先ほども話した通り、お前たちは替えの利かない存在。くれぐれも自分たちの命を大事にな。 |
| ミリーナ | わかりました、ゲフィオン様。 |
| イクス | お気遣い、ありがとうございます。これからも頑張ります。 |
| ゲフィオン | ふふ……。期待しているぞ。次の大陸具現化もよろしく頼む。 |