| Character | 1話 【6-1 雪山の村】 |
| ミリーナ | だいぶ歩き回ったけど鏡映点も光魔の鏡もなかなか見つからないね。 |
| イクス | 鏡映点は人や動物の筈だからすれ違っているだけなのかもしれないけど光魔の出現地域が点在的なのは気になるな。 |
| ミリーナ | 光魔は光魔の鏡から出現する。つまり光魔の鏡を中心とした同心円的分布になる筈なのにね。 |
| カーリャ | 難しいことはよくわかんないですけどなんかいつもと違う感じですよね。 |
| イクス | ああ。俺もそう―― ! ? |
| 小さな男の子 | うわーん……おうち、帰りたいよぉ……。 |
| ミリーナ | あぶない ! 屋台の積み荷が崩れるわ ! |
| イクス | このままじゃ下敷きに――くっ ! 間に合えっ ! ! |
| 小さな男の子 | えっ ! ? |
| イクス | ――ッ ! ! |
| ミリーナ | 二人とも大丈夫 ! ? |
| 小さな男の子 | ボ、ボクは平気。 |
| イクス | ふぅ……お、俺もなんとか。――いたっ。 |
| 小さな男の子 | お、お兄ちゃん。大丈夫 ? |
| イクス | えっ……あ、あぁ……。ちょっと積み荷がぶつかっただけ……だよ。へ、へっちゃら……さ。 |
| 小さな男の子 | よかった !ありがとう、お兄ちゃん !すっごく格好良かったよ ! |
| イクス | そ、そんな……。俺なんてたいしたこと……いててっ。積み荷の木箱が腕をかすめたみたいだな。 |
| ? ? ? | あんたも、なかなかのお人好しね。 |
| イクス | えっ ? |
| ルーティ | ファーストエイド ! |
| イクス | あっ……傷が……。えっと……あ、ありがとうございます。 |
| ルーティ | それじゃあ、まいど。100万ガルドね。 |
| イクス | ひゃ、100万ガルド ! ?そんな大金、俺もってな――って、あぁっ ! |
| ルーティ | な、何よ。ただの冗談じゃない。 |
| ミリーナ | イクス ! この人って ! |
| 二人 | 鏡映点 ! ! |
| ルーティ | きょ、きょうえい……えっ ? |
| イクス | ――というわけなんだ。 |
| ルーティ | なるほどねぇ。具現化やあんたたちの使命についてはだいたい理解したわ。けど―― |
| 小さな男の子 | …………すぅすぅ。 |
| ルーティ | まず、あんたの背中で眠ってるそのチビ助をなんとかしないとね。 |
| イクス | …………うぅ。そ、そうだな……。 |
| カーリャ | イクスさま、さっきからちょっと顔色が悪いですけどどうかしたんですか ? |
| イクス | えっと……俺実はちょっと子供が苦手というか……。 |
| イクス | も、もちろん嫌いなわけじゃ―― ! ! |
| 二人 | しーーーっ。お、き、ちゃ、う……。 |
| イクス | ご、ごめん……。 |
| ルーティ | とりあえず、あたしとミリーナでその子について聞き込みしてくるわ。あんたはここで待ってて。 |
| イクス | ……わかった。 |
| ミリーナ | カーリャ、一緒にいてあげて。私もそんなに遠くには行かないようにするから。 |
| カーリャ | それならカーリャが消えちゃう心配もないですね。了解です。 |
| ルーティ | それじゃあ行くわよ。 |
| ミリーナ | イクス、すぐ戻るから頑張ってね ?困ったらカーリャを頼ってね ?それから無理はしないようにね ? |
| イクス | ミリーナ、俺の方が子供みたいじゃないか。とりあえず……大人しく待ってるよ。聞き込み、よろしくな。 |
| イクス | ……ミリーナたち、遅いな。聞き込みに手間取ってるのか ? |
| 小さな男の子 | う~ん、よくねたぁ !お兄ちゃん、遊ぼうよ ! |
| イクス | ……い、今、仲間がいないからもうちょっとだけ大人しく待ってて。 |
| 小さな男の子 | お願い ! ちょっとだけでいいから !ボク、楽しい遊び知ってるんだ !お兄ちゃんもきっと楽しいよ ! |
| イクス | ……カーリャ、遊んであげてくれ。 |
| カーリャ | ええ ! ? イクスさま子供のお願いをそんな風にごまかしてたら将来、立派なイクメンになれないですよ ! |
| イクス | そんな予定はないぞ……。──どうしたらいいかわからないんだよ。島でも接する機会を避けてたから。 |
| 小さな男の子 | ……イヤ、なの ? |
| イクス | あぁぁっ……ち、違うんだ。えっと、イヤじゃないんだって。別にそういうわけじゃなくて―― |
| カーリャ | 遊んであげましょうよ。お兄ちゃん、にしし~♪ |
| イクス | カーリャ……。お前、楽しんでるだろ。 |
| イクス | それじゃあ……ミリーナたちが戻るまでなら。えっと、じゃんけん……とかする ? |
| 小さな男の子 | するっ ! |
| ミリーナ | お待たせ。──ふふっ。イクス、遠くから見てたらこの子のパパみたいだったよ。 |
| ルーティ | イクス、チビ助の相手、ありがとね。おかげで大分、聞き込みができたわ。 |
| 小さな男の子 | あーあ。もう戻ってきちゃった。 |
| イクス | 二人ともおかえり !いやぁ、戻って来てくれてよかったよ。何かこの子の情報はわかったか ? |
| ルーティ | あんた……そんなせっぱ詰まった顔しなくても。まぁ、それは置いといて。その子の住んでる場所、検討ついたわよ。 |
| ミリーナ | この辺りの子じゃないみたいでちょっと遠い場所みたいなの。歩きながら、話すね。 |
| ルーティ | というわけで光魔の鏡を捜すのも、あんたたちの船に乗るのもまずはこの子を無事に家に返してから、ね。 |
| イクス | もちろん ! じゃあさっそく出発だ ! |
| 小さな男の子 | あっ。まてー ! お兄ちゃーん ! |
| ルーティ | あ、二人とも。そっちじゃないわよ !逆 ! 逆の方向よ ! |
| ルーティ | ……あれじゃあ鬼ごっこね。チビは楽しそうだからいいけど。 |
| カーリャ | ミリーナさま。イクスさまってどうして子供が苦手なんですか ? |
| ミリーナ | どう接したらいいかわからなくて緊張しちゃうんだって。 |
| ミリーナ | 何気ない言葉で泣かせちゃうかもとか子供だけがかかる病気をうつしちゃったらどうしようとか、色々考えちゃうのよ。 |
| カーリャ | なんだか納得しました。イクスさまらしいというか……。相変わらず心配性なんですね。 |
| ミリーナ | ……それか、私のせいかも。 |
| カーリャ | ? |
| イクス | ……あれ ? そういえば。 |
| ミリーナ | イクス、どうしたの ?何か街で買うものでもある ? |
| イクス | いや……違うんだ。どうしてこの子こんな場所にいるのかなって思って。 |
| イクス | この街に住んでる訳でもないのにこんなところに一人でいるなんて。 |
| 小さな男の子 | ……わかんない。ボク、気付いたらここにいたから。 |
| イクス | ……うーん。これって実は具現化された瞬間からこの子だけがここにいたってことかな ?今までそんなことあったかな ? |
| イクス | 単に俺たちが今までこういうケースに気付かなかっただけだとしたら今後の具現化の時に、もっと色々配慮して―― |
| ミリーナ | ……待って、イクス。 |
| イクス | 心当たりがあるのか ? |
| ミリーナ | ……うん。これも歩きながら話すね。 |
| Character | 2話 【6-2 バーンハルト街道 1】 |
| イクス | ――つまり、俺が具現化作業に迷いがあってその影響で、安全な場所に具現化される筈の人や物がおかしな場所に、ずれて具現化された……ってことか。 |
| イクス | (確かに……。このところずっと考えてた。こんな人の手に余る力を使っていいのかって。その迷いがあの子を危険な目に……) |
| ミリーナ | あくまで想像だけどね。魔鏡を使った具現化でも心の迷いは厳禁なの。だから……。 |
| ルーティ | へぇ……。具現化って色々と大変そうね。まぁ、でも原因がわかってよかったじゃない。あんたが気を付ければ大丈夫なんでしょ ? |
| イクス | はは……。う、うん。そうかな……。 |
| ミリーナ | イクス。一人で悩まないでね。私も一緒に考えるから。 |
| ルーティ | それにしても、雪原が続くわね。──寒くない ? 大丈夫 ? |
| 小さな男の子 | うん。大丈夫。 |
| ルーティ | そう。あんた、強いわね。なかなかやるじゃない。 |
| 小さな男の子 | ううん。お兄ちゃんの方が強いよ。 |
| イクス | あ、あはは…………。 |
| カーリャ | イクスさま。そろそろ慣れたらどうです ? |
| イクス | いや、だって……。とにかくルーティが相手してくれて助かるよ。 |
| ルーティ | あんたもしっかりしなさいよ。さっきの話を聞いた限り、チビの具現化位置がずれたのって、あんたの責任でもあるんだから。 |
| イクス | うっ。そうだよな。俺が鏡士として未熟だから……こんなことに。 |
| ミリーナ | これだけ大規模な具現化の術だもの。たまにうまく行かない部分が出るのも仕方がないよ。 |
| イクス | 大規模な具現化か……。本当にとてつもないよな。物質だけじゃなくて沢山の命を写し出すんだから。 |
| イクス | 実は、たまに、怖くなるんだ……。カレイドスコープによる具現化のこと。あの装置も元は軍事兵器だったらしいし。 |
| カーリャ | ってことは、今回はこれくらいですんでよかったってことですかね ? |
| イクス | 不吉なこと言うなよ ! |
| ミリーナ | でも、イクスの不安だけで狂いが生じるなんてあの規模の魔鏡機器としては不自然でもあるのよね。 |
| イクス | つまり整備不良か、構造的欠陥か何らかの問題があるのかもしれないのか。これはゲフィオン様に報告しないとな……。 |
| ルーティ | なんにせよ、そのせいでさっきまで家にいたっていう小さな子供が街の真ん中にほっぽり出された事実に変わりないわ。 |
| ルーティ | だからまずは……忘れてないわよね ? |
| イクス | ああ。この子を教会の孤児院まで送り届ける。ちゃんとわかってるよ。 |
| カーリャ | あとどれくらいで着きそうです ? |
| ルーティ | 街の人から聞いた感じだとまだまだ先ね。 |
| イクス | ならそろそろ休憩を取った方がいいか ? |
| 小さな男の子 | ボクは大丈夫 ! |
| イクス | げ、元気いいな……。 |
| ミリーナ | ふふっ。なんだかんだその子、イクスに懐いてるよね。ぴったり二人くっついてて可愛い。 |
| イクス | そうかなぁ……。 |
| ルーティ | ………イクス。ちょっといい ? |
| イクス | えっ ? |
| ルーティ | いつ光魔に襲われるかわからない。もちろん、あたしたちも気をつけるけど―― |
| ルーティ | そのチビ、あんたにべったりみたいだしあんた……しっかり守りなさいよ。 |
| イクス | ……っ。 |
| ルーティ | できる ? |
| イクス | ああ……俺だって昔に比べればちょっとは成長したんだ。子供を守りながら戦うことだってできる。 |
| イクス | いざとなれば……オーバーレイだって……。いまの俺なら、きっと……。 |
| ミリーナ | ! |
| ルーティ | オーバーレイ ? |
| イクス | ……あ、いや、何でもない。とにかく先に進もう。 |
| Character | 3話 【6-6 バティスタ雪山 5合目】 |
| ルーティ | 山道に入ってきたわね。──周囲に何か見えるかしら……。 |
| イクス | あ ! 山の尾根に見える建物……。あれって教会じゃないか ! ? |
| 小さな男の子 | おうち ! ボクのおうちだよ ! |
| イクス | お、おい。あんまり離れると危ないだろ。 |
| 小さな男の子 | じゃあ、お兄ちゃんの側にいるね。 |
| イクス | うっ、それはそれで……。 |
| ルーティ | とにかく、あの教会が孤児院で当たりみたいね。 |
| カーリャ | 今までもけっこう歩きましたけど教会までまだまだありますねぇ。 |
| イクス | よし、急ごう !この子を早く帰してあげないとだからな ! |
| ミリーナ | ──あ、イクス。……速足で行っちゃった。 |
| 小さな男の子 | お兄ちゃん、鬼ごっこ好きなんだ !ボクもやるよ ! まて~ ! ! |
| ルーティ | まったく。子供が二人いるみたいね。それも、一人はかなり大きい子供。まぁ……そういうのには慣れっこだけど。 |
| ミリーナ | えっ。どういう意味 ? |
| ルーティ | あたしの周りにいた連中の話。 |
| ルーティ | 年の割にみんなうちのチビたちみたいにきゃんきゃんしてさー。 |
| ミリーナ | えっ……ちょっと待って。うちのチビたちって ! ?ルーティ、まさかもう子供が……。 |
| ルーティ | ち、違うわよ ! 別に相手だっていないし……ってそういう話でもないから ! うちのチビたちってのはあたしが育った孤児院の子供たち ! |
| ミリーナ | あっ。だからルーティは子供の相手に慣れていたのね。 |
| ルーティ | あれくらい、大きな子供を相手にするのに比べたら全然ラクなものよ。あんたもわかるだろうけど。 |
| ミリーナ | う~ん。確かにイクスって少し子供っぽい所もあるかも……。 |
| ミリーナ | でも、いつもしっかりしてるのにそういう一面があるのがまたたまらないのよね♪ |
| ルーティ | ……まぁ、あんたがそれでいいならいいけど。しめる所はしめなさいね。……って、さすがにお節介だったかしら。 |
| ミリーナ | ううん。アドバイス、ありがとう !私、島で同年代の女の子がいなかったからルーティと念願だったガールズトークができて嬉しい ! |
| ルーティ | ガ、ガールズトーク ! ? |
| イクス | おーい ! 何やってるんだ ?早くしないと日が暮れちゃうぞ ! |
| ミリーナ | うん ! 行こう、ルーティ。 |
| ルーティ | はぁ……はいはい。行きましょう──ん ? |
| ルーティ | 何よ──……まぁ、あたしにしちゃあ珍しいお節介だったかもね。 |
| ルーティ | ──あのバカたちと旅してあたしも、少し変わったんだろうな……。 |
| イクス | …… ? あれ ?ルーティ、どうしたんだろう……。ひとり言か ? |
| ミリーナ | それにしてはずいぶんはっきり喋ってたような……。 |
| カーリャ | あのぉ……カーリャ、見ちゃったんですけどルーティさま、一人でいるときとか結構あんな感じで話してますよ……。 |
| イクス | そうだったのか ! ?ルーティ……って、ひとり言を言う癖があるのかな ? |
| ミリーナ | ちょっと聞きづらいよね……。 |
| ルーティ | あんたたち、どうかしたの ? |
| 二人 | ! ? |
| ミリーナ | ――いいえ。何でもないの。気にしないで。 |
| ルーティ | ? そう。なら口だけじゃなく足も動かしなさいね。 |
| イクス | あ、あぁ。教会を目指して進もう。 |
| Character | 4話 【6-7 バティスタ雪山 8合目】 |
| ミリーナ | ふぅ……結構歩いてきたね……。 |
| ルーティ | そう言えば、さっき山の上に見えた建物……。 |
| イクス | ? |
| ルーティ | 大神殿っぽいと思ったのよね…… ?でも、場所は全然違う……。 |
| ルーティ | ──ああ。そうよね。子供の具現化する場所がずれちゃうって話だもの。 |
| ルーティ | あんなでっかい建物なんてきっともっと難しくって位置ぐらいずれるわよね。 |
| イクス | ルーティ、あの……。だ、大丈夫か ? |
| ルーティ | あ、えっ ! ?単なるひとり言よ、ひとり言。気にしないで ! |
| ミリーナ | そ、そう……わかったわ。ただのひとり言よね、うん、大丈夫よ。 |
| カーリャ | カーリャたち、ルーティさまが悩んでるなら相談に乗りますよ ? |
| ルーティ | ? いったい何の話よ。 |
| ルーティ | えっ ? ……う~ん。まあ、そうね。あんたたちになら隠さなくてもいいかな。紹介してあげるわ。 |
| ルーティ | この剣と話してたのよ。名前は、\"アトワイト\"。 |
| イクス | 剣と、話す…… ? |
| アトワイト | 初めまして、アトワイトよ。皆さん、よろしく。 |
| イクス | ! ? よくみたらいま……剣が、光った ? |
| ルーティ | アトワイトが「よろしく」だってさ。 |
| イクス | えっ……あ、ああ。よろしくお願いします……で、いいのか ? |
| ミリーナ | それじゃあ私も。アトワイトさん、よろしくお願いします。 |
| アトワイト | ふふっ。律儀な子たちね。 |
| イクス | あ。また光った。 |
| ルーティ | けど、やっぱアトワイト――ソーディアンの声は聞こえてないみたいね。 |
| ミリーナ | ソーディアン ? |
| ルーティ | アトワイトのように意思を持ってる剣のこと。ソーディアンマスターだけが使いこなせ、声も聞こえる。で、あたしはソーディアンマスターの一人。 |
| ミリーナ | 喋れる剣…… ? あ、そう言われてみると確かにさっき光ったのって意思表示をしているみたいだったわね。 |
| イクス | 意思を持つ剣、ソーディアンか !かっこいいな ! 異世界にはそんなものがあるのか !よければもっと詳しく話を聞かせてくれないか ! ? |
| ルーティ | そういうの、あんま慣れてないのよね。こういうのはあたしの役目じゃなかったし。 |
| ルーティ | まぁ、簡単に言うと千年前の\"天地戦争\"って大きな戦争に終止符を打つ為に造られた最終兵器……だったっけな。 |
| ルーティ | ちなみにソーディアンは全部で六本あってどれも凄い力を秘めてるの。で、あたしの仲間もソーディアンを持ってるわ。 |
| カーリャ | おお ! なんか燃えますね ! ! |
| ミリーナ | ふふっ。興味津々みたいね。 |
| イクス | 当たり前だろ !だって凄い力を秘めた最終兵器なんだろ !ソーディアン、知れば知るほど憧れるな ! |
| ルーティ | 興味があるなら触ってみる ? |
| イクス | いいのか ! ? |
| ルーティ | あ、でも注意してね。気に入らない人間が触るとガブって噛み付いちゃうから ! |
| 三人 | ええっ ! ? |
| アトワイト | ルーティ、悪ふざけはよくないわよ。みんな怖がってるじゃないの ! |
| ルーティ | あはは、ごめんごめん。冗談よ。怖がらせるなってアトワイトに叱られちゃったわ。 |
| ミリーナ | ……そ、そうよね。冗談よね……良かった。 |
| カーリャ | イクスさま、心臓は動いてますか~ ? |
| イクス | あ、あぁ……なんとか。 |
| イクス | けど……本当に凄いな……。 |
| ミリーナ | ? |
| イクス | ご、ごめん。夢中になりすぎた。そろそろ先に進もう。 |
| Character | 5話 【6-8 バティスタ雪山 出口付近】 |
| イクス | …………はぁ。 |
| ミリーナ | イクス、何か考え事 ? |
| イクス | ……あ、うん。さっきルーティからソーディアンのこと聞いて俺にもそんな凄い力があったらなって思っちゃって。 |
| イクス | マークみたいな強い奴がまた現れたらって考えたらソーディアンみたいな凄い力……武器とかがあればより安心して旅が続けられるかもなぁってさ。 |
| ルーティ | ……凄い力、ねぇ。まぁ確かにそうなんだけど……。 |
| アトワイト | ルーティ。思うところがあるんでしょう ?あなたの言葉で良いから、伝えてあげて。きっと、とても大事なことよ。 |
| ルーティ | こういうの柄じゃないけどねぇ。まぁ、わかったわ。 |
| ルーティ | イクス。えっといまあんたたちが話してたことなんだけど……。 |
| イクス | えっ ? |
| ルーティ | 確かにソーディアンは凄い剣……凄い力を持ってる。けど、力を悪用する奴がいたからそれに対抗して造られた物なのよ。 |
| カーリャ | 『悪い奴を倒す、正義の剣』ってことですかっ ! |
| ルーティ | うーん、ちょっと違うわね。どんなに強い力でも使い方が悪ければ、そうなっちゃうってこと。 |
| ルーティ | ──あたしだって、全然偉そうに言えたもんじゃないわ。 |
| ルーティ | 他のソーディアンマスターにも、バカなスタンとか変にスレちゃってるリオンとかもいるけど。それでもみんな、どこかでわかってると思う。 |
| ルーティ | ソーディアンみたいな力を手に入れることができたなら大切なのは、使う人自身なんだって。 |
| イクス | ──強い力をただ手に入れるだけじゃ足元を見失うこともある、ってことか……。 |
| ルーティ | イクス自身の強い心こそがどんな武器よりも大事なんじゃないかってあたしは思うわ。 |
| ルーティ | それに、あんたたち鏡士の力だってあたしからみたら十分すぎるほど、凄い力よ。 |
| イクス | !確かにそうだよな……。──肝に銘じておくよ。 |
| アトワイト | ──ありがとう、ルーティ。うまく伝わったと思うわ。 |
| ルーティ | ふぅ。こういう話、ほんと柄じゃないわ。さぁ、ちょっと休憩しましょ。休んだら出発ね。 |
| ミリーナ | ……イクス。 |
| イクス | ミリーナ、ごめん。ちょっと今は……一人にさせてくれ。すぐ戻るから。 |
| 小さな男の子 | ……お兄ちゃん。 |
| Character | 6話 【6-9 グレバム森林 中央】 |
| イクス | ……力そのものより使う人の方が大事、か。わかってたつもりなんだけどな。俺はやっぱりまだまだだ。人間としても……鏡士としても……。 |
| 小さな男の子 | そんなことないよ……。自分のこと悪く言わないで。お兄ちゃんはボクの英雄なんだから。 |
| イクス | そんな……俺が英雄だなんて大げさだよ。けど、慰めてくれてありがとう。 |
| 小さな男の子 | ……慰めた訳じゃないよ。 |
| イクス | えっ ? |
| 小さな男の子 | ううん……何でも無い。それじゃあもう……ボク、あっち行くね。 |
| イクス | あっ……ちょっと待って !森には魔物が潜んでいるかも―― |
| イクス | !さがって ! ! |
| イクス | ミリーナもルーティもいない……。俺一人でなんとかしないと……。 |
| イクス | (けどこの数……この子をかばいながらじゃ今の俺に勝ち目がない……。もう……あれに頼るしかないのか) |
| イクス | (でも……また【暴走】したら……) |
| イクス | よーし ! やってやる、見てろよ、ミリーナ。凄い術を使ってみせてやる。 |
| イクス | それで、凄い鏡士になって祖父ちゃんを少しでも楽させてやるんだ。 |
| ミリーナ | うん。──イクスならきっとできるよ ! |
| イクス | ―― ! |
| ミリーナ | わぁ…… !凄く強い光…… ! |
| イクス | ……よし ! いいぞ……。それじゃあ、これを……。 |
| イクス | ……え……うわぁぁぁぁぁ ! ? |
| ミリーナ | イクス ! 危ない…… ! |
| ミリーナ | ……イクス。無事、だね……。よかっ……た……。 |
| イクス | ミリーナッ ! ! |
| イクス | ! !こ、ここは……。 |
| ミリーナ | イクス ! 目を覚ましたのね !よかった……。二人が倒れていたときは何が起こったのかと思った。 |
| イクス | 倒れていたって……あれ、あの子は……。ミリーナ ! あの子は無事なのか ! ?もしかして魔物に襲われて―― |
| ミリーナ | 大丈夫、無事よ。魔物も私たちが倒したから。強い魔鏡の輝きを感じたから、心配になってイクスたちを追いかけたの。間に合ってよかったわ。 |
| イクス | ……そう、だったのか。ありがとう、ミリーナ…………。またミリーナに助けられちゃったな……。 |
| ミリーナ | ……イクス。またってことはやっぱりあの魔鏡の輝きは、秘伝魔鏡術だったのね。 |
| ミリーナ | ネーヴェ家の鏡士だけが扱える特殊な魔鏡術オーバーレイ……。魔鏡の光を纏って、一時的に力を増幅させる技……。 |
| イクス | ……うん。俺さ、ルーティの話を聞いてまずは自分自身が強くならなきゃって思ったんだ。いつまでも……目を背けてちゃダメだって。 |
| イクス | 色々旅をしてきて、ちょっとは成長したと思ってた。けど……またダメでさ……。凄く焦るし不安になる。……情けないよ。こんな風に考えちゃうことも。 |
| ミリーナ | ううん。そう感じるのは悪いことじゃないよ。むしろいいことだと思う。 |
| イクス | えっ…… ? |
| ミリーナ | それは自分の理想に向かって頑張ってる証拠だよ。成し遂げたい。だけど成し遂げられるかわからない。だから不安になるんだと思う。 |
| ミリーナ | まだ自分の理想には届いてないってことなんだろうけど安心して。ちゃんとイクスは成長してる。誰よりも隣でイクスのことを見てきた私が保証する。 |
| イクス | ……ミリーナ。 |
| イクス | ああ──俺、頑張るよ。凄い鏡士になるなんて漠然としてるけど……この気持ちは本気だから。 |
| ミリーナ | ……うん。 |
| ミリーナ | ──うん ! 大丈夫 ! 絶対に !イクスがなりたいって思ったなら絶対になれるよ ! |
| イクス | ……大げさだな、ミリーナ。けど、ありがとう。 |
| ルーティ | まったく。あんたは心配かけて。あたしたちが駆けつけるのがもう少し遅かったらどうなってたかわかってるの ? |
| イクス | ごめん、ルーティ。それから……助けてくれてありがとう。俺だけじゃなく、その子のことも。 |
| 小さな男の子 | ……お兄ちゃん。 |
| ルーティ | まぁいいわ。チビ、行くわよ。あたしについてきなさい。 |
| 小さな男の子 | あっ……う、うん。 |
| イクス | ルーティ。待ってくれ。 |
| ルーティ | ……何 ? |
| イクス | 俺、ちゃんと最後までその子を、送り届けたいんだ。俺に任せてもらえないかな ? |
| ルーティ | できる保証は ? |
| イクス | うっ……。 |
| アトワイト | ルーティ、言い方があるんじゃないの ? |
| ルーティ | ……わ、わかってるわよ。 |
| ルーティ | その……悪かったわ。別に信用してないわけじゃないのよ。 |
| イクス | いや……いいんだ。はっきり言えない俺が悪いんだし。 |
| イクス | けど……やらなきゃいけないと思うから。だって俺、その子を助けたんだ。ちゃんと最後まで、その責任を果たしたい。 |
| ルーティ | ……。 |
| イクス | 本当にちゃんとできるかはわかんないけど……。 |
| ルーティ | ふっ……もう、あんたは。微妙にしまらないんだから。 |
| ルーティ | けど、わかったわ。イクス、そのチビは任せる。 |
| イクス | ああ。ありがとう、ルーティ。 |
| 小さな男の子 | ………。 |
| イクス | ……おいで。俺と一緒に行こう。 |
| 小さな男の子 | うっ……うんっ ! ! ありがとう ! |
| イクス | ちょ、ちょっと。どうして涙ぐむんだよっ ! ? |
| ルーティ | さあ。教会までもう少しよ。最後まで気を引き締めて行きましょう。 |
| Character | 7話 【6-14 草原の教会】 |
| イクス | えっと、そんなわけで──迷子になっていたので連れてきました。 |
| Msc_006_007_speaker01 | ありがとうございます !どこに行ってしまったのか心配していたんです……。 |
| ミリーナ | いえ !無事に送り届けられて良かったです。 |
| イクス | ……迷子……っていうのはちょっと嘘だけど……。 |
| Msc_006_007_speaker01 | え ? |
| ルーティ | ──ううん、何でもないわ ! |
| ルーティ | イクス ! 説明してもわからないだろうし結果オーライなんだから。ここは、ごまかしときましょ。 |
| イクス | ──あ。そっか……そうだよな。 |
| カーリャ | さすがルーティさま !初対面のときから思ってましたけどかなりの世渡り上手ですよね ! |
| ルーティ | カーリャ ? それどういう意味かしらぁ ? |
| カーリャ | な、なんでもありませーん ! |
| ルーティ | あっ。こら、待ちなさい ! |
| ミリーナ | ふふっ。二人もすっかり仲良しね。 |
| イクス | ……ちゃんと帰れてよかったな。 |
| 小さな男の子 | うん。お兄ちゃん、ありがとうね。あと……えっと……もし、時間があったら |
| イクス | ああ……一緒に遊ぼう。そのときは、オススメの遊びを教えてくれ。 |
| 小さな男の子 | うん ! 約束 !またね ! 格好いいお兄ちゃん ! |
| イクス | な、なんだよそれ……。けど……約束だ !それじゃあ、またな ! |
| カーリャ | ──さて、とにかくこれで子供の件は無事、解決ですね !あとは、光魔の鏡です ! |
| イクス | 結構いろんな場所に行ったのにやっぱり全然見あたらなかったな。 |
| ミリーナ | カーリャ、ここまでの道中でも何も感じなかったのよね ? |
| カーリャ | はい……。お役に立てなくてごめんなさい……。 |
| カーリャ | ──けど、何て言うんでしょう。この辺り、何となく違和感があるんですよね。 |
| ミリーナ | 違和感 ? |
| カーリャ | はい。ちょっとだけですが。ぶるぶる、じゃなくて、ぴりぴりみたいな感じだったから、勘違いかも── |
| Msc_006_007_speaker02 | ……ウゥ~……ハルルルルル ! |
| イクス | ── ! ? |
| ミリーナ | 今の──魔物の声 ! ?教会の外から…… ! ? |
| カーリャ | ──な、な、な、な、何で ! ? |
| イクス | カーリャ!? ──その震え……! |
| カーリャ | と、と、突、然 ! 来、ま、し、た !ぴりぴりから、ぶるぶるに ! ! !さっき、まで、無かっ、たのに ! |
| イクス | 何だって ! ?そんなことって……。 |
| ルーティ | どう考えても、やばい感じね !外に出るわよ ! |
| イクス | こ、これは…… ! |
| ミリーナ | 光魔の鏡 ! ?さっきまで何もなかったのに ! ? |
| イクス | これじゃまるで待ちかまえていたみたいじゃないか ! |
| ルーティ | 考えるのは後にしましょ。 |
| ルーティ | あんたらにしてみたら探していたお宝が向こうから来てくれた。ラッキーってことでいいじゃない。 |
| ルーティ | けど、お宝を前にしたときが一番危険でもあるわ。──あの中から光魔が無限に湧いてくるっていうならさっさと光魔の鏡を破壊しないと。 |
| ミリーナ | ええ。教会の孤児院だってあるものね。 |
| イクス | ……確かに。今は、目の前の戦いに集中しなきゃ。 |
| イクス | よし。みんな、教会を護りながら戦おう ! |
| ルーティ | 当たり前でしょ ! 中には随分チビたちもいる !あの子らには、指一本触れさせないわよ !そうでしょ、イクス ! ! |
| イクス | ああ ! その通りだっ ! ! |
| Character | 8話 【6-15 草原の教会 外れ】 |
| イクス | はぁ……はぁ……──よし !光魔の主を倒したぞ…… ! |
| ルーティ | 教会も無事みたいね……よかった。 |
| ミリーナ | イクス、後は光魔の鏡を── |
| イクス | ああ ! |
| ルーティ | 待って ! ? イクス、危ない ! |
| イクス | ! ? |
| マーク | ──また、鏡映点サマに助けられたな。イクス。 |
| イクス | マーク ! ! |
| マーク | 俺がセールンド軍の方を相手してる間に随分調子に乗ってくれたみたいだが……そいつもここで終わりだ。 |
| ミリーナ | こっちの事情は聞く耳なしなの ! ? |
| マーク | 当たり前だろ ? |
| ミリーナ | イクス ! ? 光魔が ! |
| ルーティ | くっ ! これじゃあまた教会が…… ! |
| イクス | ルーティ、そっちを頼む ! |
| ルーティ | わかったわ ! |
| マーク | ふっ……そうすると思ったぜ。 |
| イクス | ── !まさか、これを狙って… ! ? |
| マーク | これで、面倒な邪魔は入らないだろっ ! |
| イクス | ぐあっ ! ? |
| ミリーナ | イクス ! |
| イクス | ……気を付けろ ! ミリーナ !やっぱりマークは俺たちよりずっと強い。 |
| マーク | 逃げたっていいんだぜ ?代わりにその女が死ぬだけだ。 |
| イクス | 何っ ! ? |
| マーク | イクス、俺が何も知らないと思ってるのか ?お前が過去に何をやらかしたのかを。 |
| イクス | ……っ ! ! |
| マーク | なぁ、ビビりくん ? |
| イクス | …………それは。 |
| 小さな男の子 | お兄ちゃんを悪く言うなっ ! |
| イクス | ―― ! ? |
| マーク | なんだ ? |
| ルーティ | バカッ ! なんで出てきたの ! !戻りなさい ! はやくっ ! ! |
| ミリーナ | ルーティ ! その子をお願い ! |
| ルーティ | 言われなくてもわかってるわ ! |
| イクス | こんなときでも、俺のこと……。 |
| マーク | よかったなぁ、イクス。あのガキには無様な姿を見せずにすんで ! |
| イクス | ――ぐっ ! ! |
| ミリーナ | イクス ! ! |
| マーク | まぁ、ミリーナには見せちまったがな。無様なのは今に始まったことじゃねぇから構いはしねぇか。 |
| イクス | ……黙れ。 |
| マーク | あ ? |
| イクス | 俺は……確かにビビりでお前よりもまだまだ弱い。何もかも中途半端な……半人前だ。 |
| イクス | けど ! 俺は鏡士として生きると決めた ! !もう自分の持つ力にもそして過去にも目を背けはしない ! ! |
| イクス | ここにいる全員に誓ってやる !俺はマーク……お前にだけは負けない !どんなにお前が強くても ! ! |
| マーク | そこまで言うなら―― |
| マーク | やってみせな ! |
| イクス | うおぉぉぉっっ ! ! ! ! |
| Character | 9話 【6-15 草原の教会 外れ】 |
| イクス | もうミリーナは狙わせない ! |
| マーク | はは、頑張るじゃねぇか。 |
| マーク | なら、こいつはどうだ ! |
| イクス | ──遅い ! |
| イクス | よし、かわせた ! |
| マーク | ああ。かわしちまったな。 |
| イクス | なんだと ? |
| マーク | また前と同じだぜ ?俺に気を取られすぎると、ってな。 |
| カーリャ | イクスさま ! 後ろ ! |
| イクス | ミリーナ ! ! |
| ミリーナ | ! ? |
| ルーティ | くっ ! ? あたしじゃ間に合わない ! |
| イクス | (くそっ……またかよっ ! !また……ミリーナが怖い思いをしてる。俺がよけたから……俺のせいでっ) |
| イクス | (何とかしたい……。いや……何とか、するんだ ! ! ) |
| イクス | (いつも俺を信じてくれているミリーナを守る為に俺も自分を信じる ! だから俺は、今度こそ―― ! ! ) |
| イクス | ──やってみせる ! ! |
| マーク | ──何っ ! ? その光は ! ? |
| イクス | オーバーレイ ! ! |
| マーク | ……っ。 |
| イクス | ミリーナ、大丈夫か ? |
| ミリーナ | イクス……その魔鏡術って……。 |
| イクス | ああ。やっとミリーナに見せることができた。よかったよ……今度は、うまくできて。 |
| イクス | ……ミリーナを守れて。 |
| ミリーナ | イクス…… ! |
| イクス | 俺、ちょっとは前に進めたかな。 |
| ミリーナ | ううん。ちょっとじゃない。その秘伝魔鏡術はイクスにとって―― |
| ミリーナ | とっても、とっても大きな一歩だよ。 |
| マーク | ……その程度の力で守った気になるなよ ? |
| イクス | これなら──どうだっ ! |
| Msc_006_009_speaker01 | ── ! |
| イクス | ――誰だ ! ? |
| ルーティ | あ、あんた……。 |
| マーク | 何で止めた ? |
| Msc_006_009_speaker01 | ──わざと受けるつもりだったろう。……今の貴様に万に一つの事態も許されない。 |
| マーク | ははっ。ずいぶん優しいな。あの程度の力どうってことは無かったんだぜ。 |
| Msc_006_009_speaker01 | ……まだ、くだらん茶番を続けるつもりか。手伝えというのは、こんなことか ? |
| マーク | わかったわかった。ここは一度、退いてやるよ。 |
| Msc_006_009_speaker01 | ……。 |
| ルーティ | ──リオン…… !あんた、一体何やってんの ! ? |
| リオン | ふん……僕に構うな。 |
| イクス | リオンって……ルーティの仲間のソーディアンマスターだよな ! ? |
| マーク | この鏡映点は──俺たちが抑えさせてもらった。 |
| イクス | 何だと ! ? |
| マーク | ここは、お前らだけの庭じゃねぇってことだ。 |
| ミリーナ | ……そんな ! ?救世軍がその人を具現化したっていうの…… ? |
| イクス | それじゃあまさか救世軍にも鏡士が ! ? |
| マーク | ……ゲフィオンにでも聞いてみたらどうだ ?きっと、いい答えをくれるぜ。お前たちにとって、都合のいい答えをな。 |
| 光魔 | ……ウゥ~……ハルルルルル ! |
| イクス | くそっ……また光魔が ! |
| マーク | じゃあ、また会おうぜ。イクス。 |
| リオン | ふんっ……。 |
| ルーティ | ──あんた ! 待ちなさいよ !どうしてなのよ !どうしてあんたは――このバカッ ! |
| Character | 9話 【6-15 草原の教会 外れ】 |
| イクス | ……鏡の封印はできたけど。 |
| カーリャ | さっきの話……救世軍にも鏡士がいてこっちの邪魔をしてきてるってことですよね ? |
| ミリーナ | もしかして……うまく具現化できなかったり光魔が私たちに都合の悪い場所に現れるのは相手の鏡士が干渉してるせいだったのかも。 |
| イクス | 鏡士はオーデンセ出身のはずだから……。俺たちの知ってる人かもしれない……。何だか混乱してきたよ……。 |
| ルーティ | こらこら、あんたたち。そんな暗い顔して考え込んでてもしょうがないでしょ。 |
| ルーティ | とにかくこれで、ここでやることは終わったんでしょ ?──光魔ってのも、もう出ないのよね。 |
| イクス | ……ああ。この島はもう大丈夫だ。 |
| ルーティ | それなら約束通りあたしはあんたたちの飛空艇に乗ることにするわ。 |
| ルーティ | 一緒に行かなきゃいけない理由もできたしね。 |
| ミリーナ | あのリオンって人……ルーティと同じソーディアンマスターなのよね ?……仲間、なのよね ? |
| イクス | どうして、俺たちを問答無用で殺そうとしてくる奴らなんかの方に……。 |
| ルーティ | わからない……。 |
| ルーティ | でもね。あいつ、ちょっとヒネてるけどスタンに言わせると根はそんなに悪い奴じゃないらしいのよ。 |
| ルーティ | ──きっと何か、事情があるんだろうってスタンなら言うだろうから。追いかけてみるわ。仲間、だしね。 |
| ルーティ | ──まぁ、それはそれとしてこれからも、何かあったら声かけてよ。 |
| ルーティ | あんたら、まだまだ頼りないからさ。──あんたらの旅、手伝ってあげるわ。 |
| ミリーナ | うん…… ! ありがとう、ルーティ。すごく、心強いわ。これからもよろしくね ! |
| カーリャ | ──さて、それじゃあどうします ?イクスさま。 |
| イクス | 次の島の具現化だけど……その前に一度、城に寄ってこの件をゲフィオン様に相談しよう。 |
| イクス | 今のままじゃ、これから先どんな形で具現化を邪魔されるか想像もつかないし……。 |
| イクス | 相手がどんな方法でこっちの具現化に干渉しているのかがわかれば何か対策ができるかもしれない。 |
| ミリーナ | まずは、相手を知ることから、よね ?私もそれがいいと思うわ。 |
| イクス | ……知ること、か。 |
| イクス | ゲフィオン様……。信じていいんだよな……。 |