| Character | 1話 【孤児院付近】 |
| イクス | レイヤード処理の影響の調査……。次は孤児院だな。 |
| カーリャ | 大陸の主要な街や村を見回りましたけど何も影響はなかったじゃないですか。心配し過ぎですよ。 |
| ミリーナ | これでいいのよ。こうやって自分たちの目で確かめることが大切なんだから。 |
| イクス | カーリャ、光魔の鏡の気配は感じるか ? |
| カーリャ | いいえ。これっぽっちもぶるぶるしません。やっぱり光魔の鏡は発生してないっぽいですよ。 |
| イクス | そうか。少なくともレイヤード処理による光魔の発生や被害は心配なさそうだな。 |
| ルーティ | おっ、イクスにミリーナじゃない。 |
| ミリーナ | ルーティ、もしかして孤児院に行ってたの。 |
| ルーティ | そうよ。久しぶりにね。あんたたちはレイヤード処理の調査 ? |
| イクス | そうだよ。ところで、孤児院はどうだった ? |
| ルーティ | それがもうびっくりよ。いやぁ、ホント具現化って凄いわ。 |
| ミリーナ | えっと、どうしたの ? |
| ルーティ | それがね、少し前から具現化された各大陸間で交易が行われるようになったらしくてさ。 |
| ルーティ | 孤児院の食糧、日用品不足なんかもだいぶ解消されてたみたいなのよ。 |
| ルーティ | これもあんたたちが地道に具現化の旅を進めてきたおかげね。 |
| イクス | それじゃあ、孤児院ではレイヤード処理による問題や悪影響は何も発生していなかったんだな ? |
| ルーティ | ないない。むしろチビども全員以前にも増してピンピンしてたわよ。 |
| イクス | そうか……。それならよかった……。 |
| ルーティ | ただ、少しだけ気になる情報があって……。 |
| イクス | 気になる情報 ? |
| ルーティ | レイヤード処理が完了してすぐに救世軍があちこち嗅ぎまわりはじめたみたいなのよ。 |
| ミリーナ | そうなの ! ? |
| イクス | 救世軍の動向……。タイミング的に怪しすぎるな。 |
| ルーティ | 孤児院にも尋ねてきたんですって。金髪の少年を見かけなかったかって。 |
| イクス | 救世軍が行方を追っているってことはもしかして、その人は鏡映点なんじゃ……。 |
| ルーティ | あんたもそう思うのね。それなら……多分……。いや……きっと、あいつだわ。 |
| ミリーナ | ルーティ、心当たりがあるのね ? |
| ルーティ | ええ。金髪っていったらスタンよ。あたしと同じソーディアンマスターのね。 |
| ルーティ | あいつホントにバカで世間知らずでさ。だから、トラブルに巻き込まれてなきゃいいんだけど……。 |
| ルーティ | それに……あいつまで救世軍に押さえられたら……。 |
| ミリーナ | ……ルーティ。 |
| イクス | ひとまず救世軍より先にその人を保護しなくちゃいけないな。 |
| ミリーナ | そうね。救世軍の動向を考えるとレイヤード処理の影響と無関係には思えないわ。 |
| ルーティ | ありがと。正直助かるわ。さすがにあたし一人じゃ手に余ると思ってたのよ。 |
| イクス | えっ。ルーティ、もしかして一人で行こうとしてたのか ? |
| ルーティ | ま、確かな情報じゃないからね。無駄足になる確率も高いし付き合わせるのも悪いと思って。 |
| イクス | けど、それでもルーティが行こうと思ったのは仲間のことが心配だったからだろ ? |
| ミリーナ | それなら私たちも協力するのは当然よね。 |
| ルーティ | まったく……。何も手に入らないかもしれないのによくそんなこと言えるわね。 |
| ミリーナ | うーん。じゃあ、こう考えるのはどう ? |
| ミリーナ | 私たちはルーティが協力してくれてとっても助かってる。だから、ルーティにも協力する。 |
| イクス | ルーティの言うところのこれで『チャラ』ってやつだな ! |
| ミリーナ | そうそう、それ !これで貸し借りなしよね ! |
| カーリャ | お二人とも !むしろ利子つけて返さなきゃですよ ! |
| ルーティ | ちょ、ちょっと。そんな育ちの悪い言葉使うもんじゃないわよ……。 |
| アトワイト | ふふっ……。この子たちもなかなかのお人好しみたいね。 |
| ルーティ | まったく……。 |
| イクス | ……うん ? |
| ミリーナ | イクス、どうかした ? |
| イクス | ……いや。何でもない。たぶん、気のせいだ。 |
| ミリーナ | 気のせい ? それって―― |
| ルーティ | よしっ ! あんたたち、しっかり言質取ったから覚悟しなさい ! |
| イクス | ああ。望むところだよ。 |
| ルーティ | そうと決まればさっそく出発よ !行商人から目撃情報を仕入れてきたわ !ついて来なさい ! |
| Character | 2話 【8-1 バーンハルト街道 1】 |
| スタン | はぁ……はぁ……。なんなんだ、さっきの兵士たちは……。いきなり襲いかかってきて……。 |
| ディムロス | 理由はわからんがお前を狙っていることは確かなようだな。 |
| スタン | 起きたら知らない場所に飛ばされてるし変な奴らに追いかけ回されるし悪い夢でも見ている気分だよ。 |
| ディムロス | だが、これは夢ではないようだぞ。我らがいた世界を礎とした別世界と考えるのが妥当だろう。 |
| スタン | そうだな。もし夢だったらそろそろリリスが起こしてくれる頃だし。 |
| ディムロス | スタン、その発言だけは夢であってほしいと思ってしまったぞ……。 |
| ルーティ | ホント、何バカなこと言ってるのよ。 |
| スタン | ルーティ ! |
| アトワイト | よかった。ディムロスも一緒みたいね。 |
| ディムロス | アトワイト ! ? |
| イクス | ルーティ、見つかったのか ! ? |
| ルーティ | ええ。スタンよ。あたしの勘どおりこいつも具現化されてたみたいね。 |
| スタン | えっと、ルーティ。この人たちは ?それに……ぐ、具現化 ? |
| ルーティ | あたしが説明するよりイクスたちの方が早いわ。二人とも、頼んだわよ。 |
| イクス | ああ。わかった。 |
| イクス | ――ということなんです。 |
| スタン | うーん、なるほど。 |
| ルーティ | だいたい事情はわかった ? |
| スタン | いや、全然。俺には難しすぎてさっぱりだよ。 |
| ルーティ | はぁ……だと思ったわ……。 |
| ルーティ | とにかく、あんたもこの世界を救うためこの二人に協力しなさい。 |
| スタン | それはもちろん。 |
| ミリーナ | えっ ! ? スタンさん、いいんですか ! ? |
| イクス | ちょ、ちょっと待ってください。えっと……協力してくれるのは嬉しいです……。 |
| イクス | だけど、もう少しちゃんと説明させてください……。今のままだと……申し訳ないです……。 |
| スタン | そうかなぁ……。よくわからないけど、二人は困っててだから今ここに俺がいるんだろ ? |
| イクス | そうですけど……。他にも色々事情があって……。 |
| スタン | いいや。俺にとってはそれだけで十分だよ。二人を放っておくことはできない。 |
| スタン | それに、困っている人を見過ごすなってのがエルロン家の家訓だからな。 |
| イクス | ……スタンさん。 |
| スタン | イクス、これからよろしく。 |
| イクス | スタンさん、ありがとうございます ! |
| スタン | ミリーナもよろしく。 |
| ミリーナ | ええ。スタンさん。こちらこそよろしくお願いします。 |
| カーリャ | ルーティさまもスタンさまもとってもいい人ですね。 |
| イクス | そうだな。ルーティも俺たちが事情を説明し終わる前に是非協力させてくれって言ってくれたしな。 |
| スタン | えっ、ルーティが ? |
| ルーティ | ちょっと、スタン。なによその反応は。あたしだって人助けぐらいするわよ。 |
| スタン | ご、ごめん。ちょっと意外だったから。 |
| ディムロス | だが立派な心がけだぞ。いついかなるときも世界のために行動する。それがソーディアンマスターだ。 |
| ルーティ | そうそう !これもソーディアンマスターの使命よ ! |
| ルーティ | そ、それに……二人は王宮に仕えてるからうまいこといけば国家予算の数割ぐらいもらえたりするかもだし…………。 |
| スタン | あっ、よかった。いつものルーティだ。 |
| ディムロス | すまないが先ほどの発言は撤回させてくれ。 |
| アトワイト | なんだか二人に申し訳なくなってきたわね……。 |
| イクス | ……やっぱり。 |
| ルーティ | あっ ! ちょ、ちょっと !今のは冗談よ ! ? |
| イクス | やっぱり……聞こえる。 |
| ルーティ | えっ…… ? |
| イクス | ミリーナも聞こえるだろ ! ?男の人と女の人の声が ! ? |
| ミリーナ | ええ、聞こえてるわ !もしかして、ディムロスさんとアトワイトさん ! ? |
| ディムロス | 我の声が聞こえるのか ! ? |
| アトワイト | 私の声も ! ? |
| イクス | はい ! しっかりと ! |
| ルーティ | ちょ、ちょっと待って !なんであんたたち、ソーディアンの声が聞こえるようになってるわけ ! ? |
| ミリーナ | もしかして、具現化のレイヤード処理の影響かしら ! ? |
| イクス | ……たぶん、その可能性は高いと思う。 |
| イクス | ほら、この前、ミクリオとエドナ様と出会っただろ。 |
| イクス | あの時はスレイの認知する世界像が反映されて本来、俺たちには認識できない天族を認識できるようになった。 |
| イクス | あれと同じ理屈だよ。 |
| イクス | ルーティの認知する世界像から別の誰かの認知する世界像に上書きされたんだと思う。 |
| ミリーナ | 別の誰かって……スタンさん ? |
| イクス | そうなると、スタンさんにとって剣が生きてることは当たり前だったのか ? |
| スタン | いや、普通剣は生きてないし。 |
| ディムロス | その台詞……なんだか出会った当初のことを思い出すな……。 |
| ミリーナ | スタンさんの世界像じゃないみたいね。でも、それじゃあ……いったい誰の……。 |
| ミリーナ | レイヤード処理の際に具現化された鏡映点が他にいるのかしら。 |
| イクス | それはわからない……。けど、一つだけわかったことがある。 |
| イクス | それはレイヤード処理による影響は具現化大陸の安定化以外にも確かにあったってことだ。 |
| イクス | 俺たちがソーディアンの声を認識できるようになっただけなら問題はないのかもしれない。 |
| イクス | だけど……それ以外にまだ気づいていない悪影響が発生しているかも……。 |
| 救世軍兵士 | 見つけたぞ ! あの男だ ! ! |
| スタン | あいつら、こんなところまで追いかけてきたのか ! ?どれだけしつこいんだよ ! |
| イクス | 救世軍 ! ? |
| ディムロス | イクス、あやつらが敵対勢力なのだな。 |
| イクス | そうです。鏡映点であるスタンさんを捕らえようとしてるんだと思います。 |
| ディムロス | スタン、わかっているな ? |
| スタン | ああ ! いくぞ、ディムロス ! |
| ルーティ | アトワイト ! |
| アトワイト | いつでもいいわよ。 |
| イクス | ミリーナ、俺たちもいくぞ ! |
| ミリーナ | ええ ! |
| Character | 4話 【8-2 バーンハルト街道 2】 |
| ミリーナ | リオンさん……。どうして救世軍に協力してるのかしら……。 |
| イクス | わからない……。 |
| ルーティ | だけど、今。あいつが敵であることは間違いないわ。 |
| スタン | いや……リオンは敵じゃない。 |
| ルーティ | あんた、自分が斬られたこと忘れたの ! ?少しは人を疑うことを覚えなさいよ ! |
| スタン | それでも、リオンは敵じゃない !俺の仲間だ ! ! そして、友達だ ! ! |
| イクス | ……そうなんですね。 |
| スタン | リオンはすごく強くて、俺よりもずっと頭が良くて責任感もあってとっても良い奴なんだよ。 |
| スタン | きっと何か事情があるんだ。救世軍と一緒になって世界を滅ぼそうとする奴じゃない。 |
| ルーティ | そりゃ、そうかもしれないけど……。 |
| イクス | スタンさん、ルーティ。ごめん……こんな争いに巻き込んで……。 |
| ミリーナ | 私たちのせいで……仲間と……敵対することになって……。 |
| ルーティ | あたしはもう……覚悟は決まってる。あんたたちは気にすることないわよ。 |
| スタン | そうだよ。それに、イクスとミリーナは何も悪いことはしていないじゃないか。 |
| イクス | でも、俺たちと一緒にいたらきっと……リオンさんと戦うことに……。 |
| スタン | 確かに……俺は……リオンと戦いたくない……。 |
| ディムロス | スタン ! ?もしや救世軍につくつもりか ! ? |
| スタン | 違うって !もちろんイクスとミリーナに協力はする ! |
| イクス | だけど……それじゃあ……。 |
| スタン | リオンと戦うことになるかもしれないって言ったよな ? |
| スタン | それってつまり、リオンとまた会うことができるかもしれないってことだろ ? |
| スタン | そのとき、ちゃんとお互い話し合えばきっとなんとかなる。何か事情があるなら助けることもできる。 |
| スタン | そうしたらイクスとミリーナも助けられてリオンも助けられる。 |
| スタン | だから、二人は気に病むことないよ。そのまままっすぐに自分が正しいと思ったことをすればいい。 |
| イクス | ……スタンさん。 |
| ルーティ | まったく……あんたらしいわ。 |
| ディムロス | 相変わらず考えが甘い。だが、進むべき道は間違っていないぞ。 |
| アトワイト | ひとまず、今後の方針が固まったみたいね。 |
| イクス | はい。俺たちがまずやるべきなのは救世軍の動向の調査です。 |
| ミリーナ | そうね。救世軍のことを調べていけばリオンさんのこと、レイヤード処理の影響もわかってくる筈よ。 |
| ルーティ | それなら街へ向かうわよ。手分けして聞き込みね。 |
| イクス | 情報収集なら港町が最適だ。この大陸の交易の中心となってるからな。 |
| スタン | わかった。さっそく向かおう。 |
| Character | 5話 【8-5 水路に囲まれた港街 1】 |
| イクス | みんな、救世軍について何かわかったか ? |
| スタン | ああ。街で聞き込みしてきた。少しだけど情報も手に入ったよ。 |
| ルーティ | だけど……なーんか釈然としないのよね。 |
| ミリーナ | スタンさんとルーティもそうだったのね……。 |
| イクス | まさか、悪い噂や怪しい話どころかいい奴らだって評価しかないんだもんな……。 |
| スタン | 街の人たちの安全のために魔物を討伐したり、自警団を組織して街の治安を守ったりとかしてたんだな。 |
| ルーティ | あたしが仕入れた情報じゃ、交易も実は救世軍が主導になって進めてたみたいなのよね。 |
| ミリーナ | そうだったの ! ? |
| イクス | 救世軍……調べれば調べるほどよくわからないな……。 |
| スタン | なんだか……俺もわからなくなってきたよ。 |
| ディムロス | スタン ! 惑わされるな !襲われたことを忘れたか ! |
| ルーティ | そうよ。そういう奴らに限って裏でかなり悪いことやってるに決まってるんだから。 |
| アトワイト | 確かに、私たちを妨害し、鏡映点を押さえ世界を滅びへと誘おうとしているのは紛れもない事実なのだから。 |
| スタン | まあ、それはわかってるけど。 |
| イクス | 肝心の救世軍が何をしようとしてるのか、とかリオンさんの行方、レイヤード処理の影響もわからずじまいだったな……。 |
| ミリーナ | 大丈夫よ。まだ聞き込みをしていない街や村だってあるじゃない。 |
| ルーティ | けど、今日のところはこれぐらいにしましょ。さすがに疲れたわ。 |
| スタン | そうだな……腹も減ったし……。 |
| イクス | それじゃあ宿に向かおう。さっき予約しておいたから。 |
| ルーティ | おっ、さすがイクス ! 気が利くわね !行きましょ行きましょ ! |
| ? ? ? | …………。 |
| ミリーナ | …… ! |
| イクス | ミリーナ ? |
| ミリーナ | イクス、ちょっと先に行っててくれる ? |
| イクス | あ、あぁ。けど、どうかしたのか ? |
| ミリーナ | ううん。何でもないの。かわいい雑貨屋さんがあったから。 |
| ミリーナ | 無駄遣いはしないから安心して。少し見てくるだけ。 |
| イクス | 無駄遣いの心配はしてないよ。ミリーナは買い物上手だからな。 |
| イクス | この前もミリーナが買っておいてくれた物のおかげで助かったし。 |
| ミリーナ | ふふっ。そう言ってもらえると嬉しいわ。 |
| イクス | 少し気分転換でもしてくるといいよ。けど、あまり遅くならないようにな。 |
| ミリーナ | ええ。わかったわ。 |
| イクス | それじゃあ、先に行ってるよ。 |
| ミリーナ | うん。 |
| ミリーナ | ……カーリャ、行くわよ。 |
| カーリャ | いいですけど、雑貨屋さんなんてありましたっけ ? |
| ミリーナ | そうじゃないわ。カーリャは気づかなかったの ? |
| カーリャ | えっ、何がです ? |
| ミリーナ | ここに来てからずっとイクスをつけ回してる奴がいるわ。 |
| Character | 6話 【8-6 水路に囲まれた港街 2】 |
| | イクスを尾行していた謎の男。ミリーナはその正体を探るべく男の後を追い人気のない街外れの一角にたどり着く―― |
| ミリーナ | イクスをつけ回してた男……どこに向かってるのかしら……。 |
| カーリャ | ミリーナさま。これマジでヤバいですって。イクスさまたちも呼んで来ましょうよ。 |
| ミリーナ | ダメよ。今戻ったら見失っちゃうし一人で行動した方が尾行にも気づかれにくいわ。 |
| ミリーナ | それに、まだあっちは私に気づいてない。情報を手に入れる絶好のチャンスなのよ。 |
| カーリャ | ですけど……んんんっ~~。 |
| ミリーナ | 静かに。誰かと接触を始めたわ。 |
| 救世軍兵士 | ……つけられてはいないな ? |
| 男 | ああ。大丈夫だ。俺の監視にも気づいてないさ。 |
| ミリーナ | (あれは……救世軍の兵士 ! ?ということは……あの男も………… ! ) |
| 救世軍兵士 | それで、あいつらは ? |
| 男 | 今は宿だ。俺たち救世軍について調べているようだがまだ何もバレてはいない。 |
| 救世軍兵士 | 今後の予想しうる行動は ? |
| 男 | しばらく俺たちについての情報収集だろうな。別の街や村に向かう可能性が高い。 |
| 救世軍兵士 | 今この大陸を動き回られると厄介だ。別の大陸に向かわせることはできないか ? |
| 男 | そうだな……偽の情報を流せば可能な筈だ。やってみる。 |
| 救世軍兵士 | 頼んだぞ。これで【特異鏡映点】の確保に人員を総動員できる。 |
| ミリーナ | (特異鏡映点 ! ? ) |
| 男 | なあ。その特異鏡映点ってのは一体何なんだよ ? |
| 救世軍兵士 | マークさんによるとこの世界を救うことができる存在らしい。 |
| 男 | っていうと ? |
| 救世軍兵士 | 俺も小耳に挟んだ程度なんだがなんでも特異鏡映点ってのは―― |
| 救世軍兵士 | っていう存在なんだと。 |
| 男 | なるほどな……。そりゃ、意地でもあいつらに渡すわけにはいかないな。 |
| ミリーナ | (うそ……。特異鏡映点なんて存在が具現化されてたなんて……。しかも、そんな力が……) |
| ミリーナ | (すぐイクスに知らせないと ! ) |
| マーク | 盗み聞きたぁ、お育ちがいいことで。 |
| ミリーナ | マーク ! ? |
| 男 | ん ! ? |
| 救世軍兵士 | 何者だ ! ? |
| ミリーナ | くっ……気づかれたわね……。 |
| マーク | ったく、面倒なことになったぜ。まさか特異鏡映点について知られちまうとはな。 |
| マーク | お嬢ちゃん、さすがに今回ばかりは跳ねっ返りが過ぎてるぜ。ま、らしいと言えばらしいけどな。 |
| ミリーナ | ……私を始末する気 ? |
| マーク | 大切な駒を殺すわけねぇだろ ? |
| ミリーナ | ……どういう意味 ? |
| マーク | 知りたがりは命を縮めるぜ ? |
| ミリーナ | それじゃあ、失礼させてもらっていいかしら ?イクスが帰りを待ってるから。 |
| マーク | アハハハッ ! こりゃ傑作だなっ !こんなときでもイクスかよっ ! ! |
| マーク | じゃじゃ馬もその辺にしときな。 |
| ミリーナ | ! ! |
| マーク | 人質を取るなんざ、ホントだせぇがこっちも背に腹は代えられない状況だ。 |
| マーク | 今、あいつらに特異鏡映点の存在を知られると厄介だからな。 |
| マーク | 一緒に来てもらうぜ。 |
| ミリーナ | ………………。 |
| イクス | ……ミリーナ、遅いな。買い物に時間がかかるタイプなのはわかってるけど……遅すぎる。 |
| イクス | ……もしかして、何かあったんじゃ。不安になってきたな……。 |
| カーリャ | イクスさま ! ! |
| イクス | カーリャ ! ? なんで一人なんだ ! ?ミリーナはどうした ! ? |
| カーリャ | ミリーナさまが……救世軍にさらわれてしまいました ! ! |
| イクス | なん、だって……。 |
| イクス | カ、カーリャ。冗談……だよな ?心配性な俺を……からかってるだけだよな…… ? |
| カーリャ | 冗談じゃないですってば ! !ガチなやつですよっ ! ! |
| イクス | なっ……何があったんだっ ! ?なんでミリーナはさらわれたっ ! ?無事なのかっ ! ? 今どこにいるっ ! ? |
| カーリャ | そ、そんないっぺんには答えられないですってば ! ! |
| イクス | わかってるからっ !いいから早く教えてくれっ ! ! |
| カーリャ | イクスさまを尾行してた奴に気づいて情報を探っていたら、マークが現れてミリーナさまを連れ去ったんです ! |
| カーリャ | なんでも特異鏡映点っていう存在がいるらしくてイクスさまたちにそのことを知られるとマズいとかで ! |
| イクス | 特異鏡映点 ! ? なんだそれは ! ?いや、それよりミリーナは ! ? |
| カーリャ | ミリーナさまは無事だと思いますがどこに連れ去られたかはカーリャもわからなくて―― |
| イクス | カーリャ ! ! |
| カーリャ | あああっ ! !ミリーナさまと離れすぎて力が…… ! ! |
| イクス | カーリャ ! 待ってくれ ! !何か、何か他にないか ! ?なんでもいい、教えてくれ ! ! |
| カーリャ | とにかくミリーナさまは生きてます ! !だから早くミリーナさまを―― |
| イクス | カーリャ ! ! |
| ルーティ | なによ。騒がしいわね。どうかしたの……って、イクス ! ? |
| スタン | イクス ! 何があった ! ? |
| イクス | どうしよう……どうすればいい……。 |
| ルーティ | 落ち着きなさい !どうしたの ! ? 何があったの ! ?ちゃんと話して ! |
| イクス | ……ミリーナがさらわれた。 |
| スタン | ミリーナが ! ? 一体誰に ! ? |
| イクス | ……………………。 |
| スタン | おいっ ! イクス ! !誰にさらわれたんだよ ! ! |
| ルーティ | バカ ! 状況からみて救世軍に決まってるでしょ ! ! |
| ルーティ | くっ……まだ遠くには行ってない筈。あたりを探すわよ。 |
| スタン | そうだな ! イクス、行くぞ ! ! |
| Character | 7話 【8-9 バーンハルト街道 7】 |
| | 静寂に包まれた一室。そこには気を失いぐったりと横になっている鏡士の少女。そして救世軍の指示により彼女を見張るリオン・マグナスの姿があった―― |
| シャルティエ | まさかスタンさんとディムロスまで具現化されてるとは思いませんでしたね。 |
| リオン | シャル……付き合わせてすまないな。 |
| シャルティエ | 何言ってるんですか。坊ちゃんは僕のマスターなんです。どこまでもお供しますよ。 |
| シャルティエ | たとえ、スタンさんたちと敵対しようと。 |
| リオン | だが、とんだお笑いぐさだな。今度は救世軍に従ってこうして、女の見張りをしている始末だ。 |
| ミリーナ | ………………。 |
| リオン | これではあの時と何も変わっていない……。 |
| シャルティエ | そんなことはありませんよ。必ず好機はやって来ます。 |
| シャルティエ | それに、この世界でも僕たちは一緒じゃないですか。 |
| シャルティエ | 僕たち二人がいればできないことはない。坊ちゃん、そうでしょう ? |
| リオン | ……ああ、そうだな。そして……今度こそ助けるんだ。 |
| シャルティエ | はい ! その意気ですよ ! ! |
| リオン | シャル……。ありがとう。 |
| シャルティエ | いえいえ。坊ちゃんが元気になってくれてよかったです。 |
| シャルティエ | それにしても彼女……ミリーナさんでしたっけ ?悪い人には見えませんよね。 |
| シャルティエ | 救世軍の奴らが言うにはこの世界を滅ぼそうとしている鏡士の一人って話でしたけど。 |
| リオン | 誰が何を考えてるなどわかったものではない。信じられるのは自分だけだ。 |
| シャルティエ | それは……そうですけど……。 |
| ミリーナ | うっ……ここは……。 |
| シャルティエ | あっ、目を覚ましたみたいですね。 |
| リオン | …………。 |
| ミリーナ | ……あなた、リオンさん ?どうして……ここに……。 |
| リオン | お前が勝手な行動をしないよう監視するためだ。 |
| ミリーナ | そうじゃないわ。どうして救世軍と一緒にいるのかって聞いてるのよ。 |
| リオン | お前には関係のないことだ。黙れ。 |
| ミリーナ | スタンさんもルーティもあなたのこと心配してたわよ。 |
| リオン | 聞こえなかったか。僕は黙れと言ったんだ。 |
| ミリーナ | それに、スタンさんは言ってたわ。リオンさんは仲間だって。友達なんだって。救世軍に協力するような人じゃないって。 |
| リオン | 黙れと言っている ! ! |
| ミリーナ | …………。 |
| ミリーナ | 何か事情があるのでしょう ? |
| リオン | 人の心配をするより少しは自分の心配をしたらどうだ。 |
| ミリーナ | いいえ。私は、心配も不安も何一つないもの。 |
| ミリーナ | 今、イクスは必死になって私を助けようとしてくれているから。 |
| リオン | ただ助けを待っているだけの奴は能天気なものだな。 |
| ミリーナ | 助けられる側が能天気でいられるなんて本当は思ってないでしょう ? |
| リオン | …………。 |
| ミリーナ | イクスと私は一緒に戦おう、頑張ろうって約束した。そして今、イクスは頑張ってる。 |
| ミリーナ | だから、私はくじけたりしない。私も頑張って、この状況を打破しようと必死に考えているのよ。 |
| ミリーナ | ねぇ、リオンさん。あなたは誰を助けようとしているの ? |
| リオン | ……貴様。先ほどの話を聞いていたな ? |
| シャルティエ | もしかして、僕の声も聞こえてたりして。 |
| ミリーナ | ええ。聞こえてるわよ。ソーディアンのシャルティエさんよね ? |
| シャルティエ | ええええっ ! ?まさか本当に聞こえてるなんて―― |
| リオン | シャル ! |
| シャルティエ | あっ……す、すいません……。 |
| リオン | 貴様が何を考えていようが僕には関係ない。 |
| リオン | ここから逃がすつもりもない。おとなしくしていろ。 |
| ミリーナ | リオンさんの覚悟はわかってる。大切な仲間と敵になっても助けたい人がいるんでしょう ? |
| ミリーナ | でも、本当に私たちは敵対しなくちゃいけないの ?協力することはできないかしら ? |
| ミリーナ | 事情だけでも話してみない ? |
| リオン | ……敵に語ることなどない。 |
| シャルティエ | 坊ちゃん……。 |
| マーク | ははっ。ちょっと見ない間にずいぶんと仲良くなったみたいじゃねぇか。 |
| ミリーナ | マーク ! |
| マーク | 俺は構わねぇぜ。いつでも鏡士どもの元に行けばいい。 |
| リオン | 貴様…… ! よくもぬけぬけと…… ! ! |
| リオン | マリアンはどこにいる ! ! |
| ミリーナ | (……マリアンさん ! ? ) |
| マーク | まあ、落ち着け。あのメイドなら今は俺たちが預かっている。どこにいるかは悪いが教えられねぇな。 |
| ミリーナ | リオンさん…… !マリアンさんって人が人質になってるのね ! |
| ミリーナ | マーク ! どうしてそんな酷いことするの ! ? |
| マーク | ……ははっ ! 聞いてた通りの女だな。どうして酷いことをするのかって ? |
| マーク | 強いて言うなら、あいにくと酷いことってのは効果的だからだな。 |
| ミリーナ | 酷いことだとはわかってるのね ?だったら―― |
| マーク | おい、お前。この女を例の場所に連れていってくれ。 |
| 救世軍兵士 | 了解であります ! |
| ? ? ? | ――待ちなさい。 |
| ? ? ? | 肉体労働は私の仕事ではありませんがあなたでは、彼女に不釣り合いです。私がエスコートしましょう。 |
| マーク | ……ファントム ! ? |
| ファントム | さあ、来てもらいましょうか。麗しのミリーナ様。 |
| ミリーナ | くっ…… ! |
| リオン | …………。 |
| ファントム | ……リオン、あなたはこう考えていますね。 |
| ファントム | 「コイツは彼女の居場所を知っている。コイツを脅せば何か手がかりが掴めるかもしれない」と。 |
| ファントム | あなたの考えている通りだ。私は、彼女の居場所を知っています。 |
| リオン | ほう。そのことを僕に言うのか。 |
| マーク | はぁ……余計なことを……。 |
| ファントム | ですが、きみなら私がどんな人間かも見抜いているんじゃありませんか ?フフ……私の口は堅いですよ ? |
| ファントム | そう……彼女を助けるためにも今は救世軍に従うしかない。それが彼女を救う唯一の道です。 |
| ファントム | 頭の切れるあなたになら理解できると思いますがねぇ ? |
| リオン | ずいぶんとおしゃべりが好きなようだな。ならば口の堅さを試してやろう。 |
| リオン | 貴様が消えても聞き出す手段は他にもある。 |
| マーク | やめろ。時間の無駄だ。あんたも斬られる前にさっさと行け。 |
| ファントム | アハハハハ、怖い怖い。では失礼しますよ。 |
| マーク | さて。お前にはやってもらうことができた。 |
| リオン | いつまでこんな茶番に付き合わせる気だ。はやくマリアンを解放しろ。 |
| マーク | 次が最後だ。そうしたら解放する。約束だ。 |
| リオン | 偽れば命で償ってもらう。 |
| マーク | 男に二言はねぇよ。詳しく話す。ついて来な。 |
| Character | 8話 【8-10 グレバム森林 1】 |
| ルーティ | チッ……ここもダメか。なんで何の情報もないのよ。 |
| スタン | まだ探していないところはある。次はあっちの方に行ってみよう。 |
| イクス | ………………。 |
| スタン | イクス、元気出せよ。カーリャが無事だって言ってただろ。 |
| イクス | だけど、それはさらわれた時の話だ。今がどうなのかはわからない……。 |
| イクス | それに……マークはミリーナを殺そうとしたんだ……。今……本当に生きてるのかも……。 |
| ルーティ | けど、本気で殺そうと思ってんならその場で始末しちゃってる筈でしょうが。あたしは生きてると思うわよ。 |
| イクス | だけど、酷い目にあってるかもしれないだろ……。 |
| ルーティ | ……あのさ。心配してる暇があったらちょっとは捜すのに集中してくれない ? |
| ルーティ | さらわれちゃったもんは仕方ないでしょ。今のあんた、相当役立たずだわ。 |
| スタン | ルーティ、そこまで言うことないだろ。ずっと一緒だった幼馴染みがさらわれたんだぞ。 |
| イクス | いや……いいんだ。ルーティの言う通りだよ……。俺が……役立たずだから……ミリーナはさらわれたんだし……。 |
| イクス | そう……俺が……俺があのとき一緒に行ってたら……ミリーナはさらわれたりしなかったんだ……。 |
| イクス | それに……ミリーナの居場所がわかっても救世軍にはマーク、それにリオンさんまでいる……。 |
| イクス | 少し鏡士の力が使えるようになっただけの、今の俺じゃミリーナを助けられるか……わからない……。 |
| ルーティ | あんたね……。 |
| ルーティ | いい加減にしなさいよ ! ! |
| イクス | えっ……。 |
| ルーティ | あんたっていつもそうよね ! |
| ルーティ | ソーディアンの力があったらとかあのとき一緒に行ってればとかないものねだりや仮定の話ばっか ! ! |
| ルーティ | 今のあんたは役立たず以下 ! !なんの価値もないゴミクズよ ! |
| イクス | …………ごめん。 |
| アトワイト | ちょっと。ルーティ、落ち着きなさいよ。 |
| スタン | そうだ。さすがに言い過ぎだぞ。 |
| ルーティ | 何 ! ? あたしが悪いっての ! ? |
| ルーティ | ディムロスだって今のこいつ見て何も思わないわけ ! ?心配するだけで何もしないこいつを ! ! |
| ディムロス | ……ルーティの考えは間違っていない。 |
| スタン | ディムロス !イクスの気持ちだって考えろよ ! |
| スタン | 心配で不安になるのは当然のことだ !だから今は俺たちがイクスを支えなきゃなんだろ ! |
| イクス | スタンさん……。いいんだ……俺は心も弱いから……。 |
| ルーティ | だからそういうところだって言ってんのよ !孤児院の子たちだって自分の境遇を嘆いたりはしない ! ! |
| ルーティ | 何かを手に入れたかったら必死こいて頑張るしかないのよ ! !少なくともあたしはそうしてきた ! ! |
| ルーティ | あんたが今しなくちゃいけない本当のことはなんなのっ ! ?ちっとは根性見せなさいよっ ! ! |
| イクス | 俺が今しなくちゃいけないことは……。 |
| イクス | ミリーナを……助けること……。 |
| ルーティ | わかったでしょ。ったく、こうして話してる時間も惜しいってのに。 |
| イクス | ……ルーティ。ありがとう……そうだよな……。 |
| イクス | 俺は今、ミリーナを助けるために頑張らなくちゃいけないんだ……。 |
| イクス | それに……ミリーナと約束した。一緒に戦おう、頑張ろうって……。 |
| イクス | きっとミリーナは、捕まってる今でもなんとかしようって頑張ってる……。 |
| イクス | 頑張らなきゃ……いけないよな……。 |
| スタン | イクス、そうだよ。頑張ろう。ミリーナだけじゃなく俺もルーティもディムロスもアトワイトもみんなついてる。 |
| スタン | みんなで頑張ってミリーナを助けるんだ ! ! |
| ルーティ | 当たり前でしょうが。ほら、さっさと行くわよ。まだ何も掴めてないんだから。 |
| イクス | いや……ちょっと待ってくれ……。他の場所を調べても何もわからない可能性が高い……。 |
| ルーティ | あんたねぇ……。まだそういうこと言うの……。 |
| イクス | ルーティ、違うんだ。もう俺たちはこんなに調べた。なのに何もわからないのはおかしいんだ。 |
| イクス | ミリーナが言ってた。何もわからないってことも調べたからわかったことだって……。 |
| イクス | そう……何も目撃情報がないのはあきらかに不自然だ……。 |
| イクス | 待てよ…… ? カーリャが消えたとき消失の仕方が一定ペースではなく加速度的だった……。 |
| イクス | つまり……移動手段は……少なくとも徒歩や馬車じゃない……。 |
| イクス | ……海路 !そうだ ! あの時点での風向きと風速からこれしか考えられない ! |
| スタン | けど、港町での目撃情報もなかったよな。 |
| イクス | 救世軍は交易を主導していた。人目に付かないようミリーナを貨物内に閉じ込めて船に運ぶことも容易な筈。 |
| ルーティ | 確かに……そうかもしれないわ。急いで街に戻ってミリーナが乗せられた船を調べましょ。 |
| イクス | いや、その必要はない。船の出入港のスケジュールと仕向港は全部頭に入ってる。 |
| ルーティ | えっ。どうしてあんたそんなこと知ってるのよ ? |
| イクス | 港に着いたら港湾事務所に立ち寄るのが癖になっていてさ。そのときスケジュール表を読んだんだ。 |
| スタン | それを一発で覚えたって言うのか ! ? |
| ルーティ | 本だけじゃなくスケジュール表まで一度読んだらすべて記憶できるってわけね。なんて記憶力なのよ……。 |
| イクス | あの時刻から、ミリーナが乗せられたと思われる船は一つしか考えられない。 |
| イクス | そしてその船が向かった先もちゃんと覚えてる。 |
| スタン | ってことは、ミリーナがいる場所がだいたいはわかったってことか。 |
| イクス | たぶんそこまでいけばミリーナの居場所も特定できる。 |
| ルーティ | どういうこと ? |
| イクス | はじめて具現化の旅に出るときミリーナとはぐれたりしないか不安でガロウズに頼んだことがあったんだ。 |
| イクス | 俺はここから東の方を回ってみるからミリーナとカーリャは西の方を頼むよ。 |
| イクス | 何かあったら魔鏡の通信で知らせるってことで。 |
| イクス | ミリーナに近づければ、魔鏡で通信が取れる筈だ。結局、全然使ってはいなかったけどミリーナならきっと覚えてる。 |
| イクス | 俺はミリーナを信じる。 |
| ルーティ | よし。そうときたらすぐに向かうわよ。 |
| スタン | イクス、案内よろしくな。 |
| イクス | ああ。任せてくれ。 |
| Character | 9話 【8-13 ロベルト洞窟 1】 |
| | リオンはマークから最後の命令を受ける。救世軍に捕らわれた最愛の人を救うため成し遂げねばならない命令とは―― |
| リオン | 足止めだと ? |
| マーク | そうだ。あいつらはあの女を助けにこっちにやって来る。 |
| マーク | だが、今うろうろされると厄介だ。特異鏡映点を先に押さえられちまうかもしれねぇからな。 |
| マーク | まっ、キツそうなら断ってくれや。ソーディアンマスター二人に鏡士が一人。返り討ちになるかもしれねぇだろ ? |
| リオン | ずいぶんと舐められたものだな。 |
| マーク | ははっ。さすが鏡映点様だ。こっちは人手不足だから助かるぜ。 |
| リオン | そんなことよりマリアンは無事なんだろうな ? |
| マーク | 殺すわけねぇだろ。もちろん生きてるぜ。お前も知っての通りあのメイドは特異鏡映点。 |
| マーク | この世界を救うことができる存在を殺したりなんてしねぇよ。 |
| リオン | ……マリアンをいつ解放するんだ ? |
| マーク | このゴタゴタが片付いた後ちゃんと解放する。ただし、条件付きになるが。 |
| リオン | ……条件 ? |
| マーク | 救世軍の監視下でならって意味だ。悪いが特異鏡映点は手元に置いておく必要があるからな。 |
| マーク | だが、救世軍の監視下でなら女の自由、身の安全は保証する。もちろんお前との接触も認める。 |
| マーク | お前ももう俺たちに協力する必要はない。どこにでもいけばいいさ。 |
| マーク | これが最大限の譲歩だ。この条件が飲めるか ? |
| リオン | …………。 |
| マーク | ……交渉は成立ってことでよさそうだな。つまりあとはお前の腕次第だ。 |
| マーク | 俺はさっそく特異鏡映点を押さえに向かう。うっかり死ぬんじゃねぇぞ ? |
| シャルティエ | 坊ちゃん、あの条件でよかったんですか ?あれでは結局囚われの身に変わりはありませんよ。 |
| リオン | あんな条件に従うつもりはない。マリアンと会えればこっちのものだ。救世軍を倒し、共に逃げる。 |
| シャルティエ | まあ、普通そうしますよね。あのマークって男もそれぐらい想像付く筈なのに何考えてるんだか。 |
| リオン | 知ったことか。だが……ようやくここまできた。 |
| シャルティエ | ……ええ。そうですね。 |
| リオン | ……あと少し。あともう少しで……助けられるんだ…………。 |
| シャルティエ | 坊ちゃん。 |
| リオン | 行くぞ、シャル。 |
| シャルティエ | はい ! |
| リオン | ……マリアン。待っていてくれ。 |
| Character | 10話 【8-15 ロベルト洞窟 3】 |
| | とある場所に閉じ込められるミリーナ。そこで思わぬ人物と出くわすことになる―― |
| ミリーナ | …………。 |
| 救世軍兵士 | ここでおとなしくしていろ。 |
| 救世軍兵士 | じゃあ、俺たちも向かうか。 |
| 救世軍兵士 | ああ。 |
| ミリーナ | ………………。 |
| ミリーナ | よし。行ったみたいね。それなら―― |
| カーリャ | うわ~~っ ! ミリーナさま~~っ ! !ご無事だったんですね~~っ ! ! |
| ミリーナ | 静かに。 |
| カーリャ | あ、ああぁ。す、すいません…………。 |
| ミリーナ | ふふっ。けど、心配してくれてありがと。 |
| カーリャ | 当然ですよぉ……。 |
| ミリーナ | カーリャ、あなたの身体ならここから抜け出せるわよね ? |
| カーリャ | はい。あの隙間からなら。 |
| ミリーナ | あたりの様子を見てきて欲しいの。兵の数と配置、脱出経路、地形的特徴とか。 |
| カーリャ | そんなに遠くには行けないですけど大丈夫ですか ? |
| ミリーナ | もちろんよ。カーリャができる範囲で。それだけでもすごく助かるわ。 |
| カーリャ | わかりました。では行ってきますね。 |
| ミリーナ | 気をつけてね。 |
| ミリーナ | ……それにしても寒いわね。ずっといたら体調を崩しそう……。 |
| ミリーナ | けど、カーリャを待っている間にも私ができることをやらないと。 |
| ミリーナ | まずはイクスに魔鏡の通信を送らなきゃ。届くといいんだけど。 |
| ? ? ? | こほっ……。 |
| ミリーナ | そこに誰かいるの ! ? |
| ? ? ? | ごめんなさい。驚かせてしまったわね。 |
| ミリーナ | えっ…… ! ? |
| ミリーナ | なんで王宮のメイドさんがここに ! ? |
| ? ? ? | あなたは……あの時の。確か……鏡士さまでしたね ? |
| ミリーナ | はい。鏡士のミリーナ・ヴァイスです。それより、どうしてあなたが……。 |
| ミリーナ | 待って……救世軍に捕らわれているってことはもしかして……マリアンさん ! ? |
| マリアン | どうして私の名前を ? |
| ミリーナ | やっぱりマリアンさんですね !無事でよかった !リオンさんから聞きましたよ ! |
| マリアン | エミリオから……。 |
| ミリーナ | えっ ? |
| マリアン | いいえ。なんでもありません……。 |
| ミリーナ | マリアンさん、安心してください。今脱出方法はないか探してるところです。 |
| ミリーナ | それに私の仲間も必ず助けに来てくれます。だからもう大丈夫ですよ。 |
| マリアン | そうなのですね……よかった……。ありがとうございます。 |
| マリアン | あと……。リオン様は……無事でしょうか……。まだ救世軍に……。 |
| ミリーナ | ……マリアンさん。 |
| ミリーナ | リオンさんは……無事です。ちゃんと自分の意思で行動しています。 |
| ミリーナ | だから、今はリオンさんを信じましょう ? |
| マリアン | ですが、また……私のせいで…………こほっ……。 |
| ミリーナ | マリアンさん ? 大丈夫ですか ! ? |
| マリアン | こほっ……えぇ………。ここに……連れてこられてから……少し……体調が…………悪く、て―― |
| ミリーナ | マリアンさん ! ? |
| マリアン | はぁ……はぁ………………。 |
| ミリーナ | すごい熱…… !マリアンさん、しっかりしてください !すぐ治療しますから ! |
| ミリーナ | マリアンさん ! マリアンさん ! ? |
| Character | 11話 【8-16 ロベルト洞窟】 |
| スタン | イクス、魔鏡の通信はつながったか ? |
| イクス | ミリーナからの通信を受け取った !とにかく無事みたいだ ! |
| ルーティ | ふぅ……これで一安心ね。 |
| イクス | けど、王宮にいたメイドさんも何故か捕らえられてるみたいなんだ。 |
| イクス | ミリーナによると、体調があまり良くないみたいで……。 |
| スタン | それならその人を助けるためにも早く行かないとな。 |
| ルーティ | それで、ミリーナたちが閉じ込められている場所はどこなの ? |
| イクス | 具体的な場所はわからないけどこれだけ情報があれば特定できそうだ。いま考えるから待っててくれ。 |
| アトワイト | ディムロス。彼、だいぶいい目つきになったわね。 |
| ディムロス | ああ。そうだな。 |
| アトワイト | 地上軍最高司令官リトラーとまではいかないけれど、なかなかの切れ者なんじゃないかしら ? |
| ディムロス | だが、まだ未熟すぎる。己への自信のなさ、迷いが強すぎせっかくの知恵を活かしきれていない。 |
| ディムロス | それに、剣の腕もまだまだだ。型から外れることを無意識に恐れている。あれでは地上軍ではやっていけん。 |
| アトワイト | ふふっ。あなたは相変わらずね。それだけ口うるさく言うってことは少しは見どころがあるって事かしら。 |
| ディムロス | 素質はある……とだけ言っておこう。我にはスタンがいるからな。これ以上、面倒は見切れん。 |
| ルーティ | あんたたち、静かにしてなさいよ。イクスが集中してるんだから。 |
| イクス | ……これはジュードから教えてもらった薬剤としても使える花……。日陰かつ風のあまりない場所で咲く……。 |
| イクス | そして、この廃墟……特徴的にスレイなら神殿だったと考えるはず……。次に考えるのは紋様……いや劣化と風化度合いで……。 |
| イクス | ……巡礼者のために建造されたなら現存する神殿との距離がわかって……そして雪の堆積状態から……方角も……。 |
| イクス | ……見つけた。 |
| スタン | イクス、すごいじゃないか ! |
| ルーティ | ええ ! よくやったわ ! ! |
| イクス | これも二人のおかげだよ。 |
| スタン | えっ。ルーティ、俺たち何かしたか ? |
| ルーティ | ただ黙って見てただけよね。 |
| イクス | そうじゃないよ。ルーティはあの時今の俺は何をすべきかって気づかせてくれた。 |
| イクス | ルーティがちゃんと言ってくれなかったらきっと……俺はあのまま何もできずにいた……。 |
| ルーティ | …………。 |
| イクス | それに、スタンさんはずっと俺を励ましてくれただろ。 |
| イクス | あのとき……もういいんだ、なんて言っちゃったけど……本当は……すごく嬉しかったんだ……。 |
| イクス | ちゃんと……自分の気持ちをわかってくれる人がいて……。 |
| スタン | ……イクス。 |
| イクス | だから、ここまで来られたのは二人がいてくれたからなんだ。本当にありがとう。 |
| ルーティ | まったく、何言ってんのよ。あんたもいなかったらここまで来られなかったでしょうが。 |
| スタン | 俺とルーティがいたからじゃない。イクスも入れて全員――俺たちがいたからなんだよ。 |
| イクス | ……俺たちか。 |
| スタン | そうだよ。俺たち仲間が。 |
| ルーティ | さっ、とっとと行くわよ !場所まで突き止めたんだからあともうひとふんばり ! |
| イクス | みんな、こっちだ !ついて来てくれ ! |
| スタン | わかった ! 今はとにかく前に進むぞ ! ! |
| イクス | よしっ ! ミリーナの目印も見つけた !きっとこの先に、ミリーナはいる ! ! |
| リオン | ……この先にはいかせん。 |
| イクス | リオンさん…… ! |
| ルーティ | チッ……こんなときにあんたなのね……。 |
| スタン | リオン ! やっと会えた ! ! |
| リオン | 目障りだ、さっさと消えろ。 |
| スタン | まずはちゃんと話そう !リオン、何があったんだよ !なんで救世軍に協力してるんだ ! ! |
| リオン | ……黙れ。 |
| ルーティ | 話す気はないって訳ね……。 |
| イクス | リオンさん……そこをどいてくれ。 |
| スタン | イクス ! 待て !まだ話は終わってない ! ! |
| イクス | スタンさん……ごめん !けど、いま足を止めるわけにはいかない ! |
| ルーティ | バカ ! さがりなさい ! !相手はソーディアンマスターなのよ ! |
| ディムロス | いまのお前で適う相手ではない !自分でもわかっているだろう ! ! |
| イクス | …………。 |
| リオン | ふんっ……手が震えているぞ。まったく話にならんな。怖いなら引っ込んでいろ。 |
| イクス | ……怖い……ああ、そうだよ !怖いに決まってるだろ ! ! |
| イクス | けど、俺はミリーナを助けるんだ !そのためには何がなんでも前に進まなきゃいけない ! ! |
| イクス | だから……そこをどいてくれ ! !リオンさん……いや、リオン ! ! |
| リオン | 誰に何を言われようが知ったことか。大切なものを守るためこの先には行かせん ! |
| リオン | 絶対に……何があってもだっ ! ! |
| ルーティ | スタン ! 来るわよ ! ! |
| スタン | くそっ ! ! |
| Character | 12話 【8-16 ロベルト洞窟】 |
| イクス | くはっ―― ! ! |
| スタン | イクス ! |
| リオン | くっ……。 |
| シャルティエ | 坊ちゃん ! |
| リオン | シャル……まだだ…… !まだ……僕は、負けてないっ ! |
| ルーティ | あんた……まだやるつもりなの ! ? |
| イクス | くっ……はぁ……はぁ……。 |
| スタン | イクス、無理するな。ボロボロじゃないか。 |
| イクス | いいや……まだだ……。スタンさん、ルーティ……ミリーナだって……頑張ってるんだ……。 |
| イクス | 俺だって諦めるわけにはいかないっ ! |
| イクス | だから……そこをどいてくれぇぇっ ! ! ! ! |
| リオン | 目障りだっ ! ! 消え失せろっ ! ! ! ! |
| スタン | ……やめろ。 |
| 二人 | ――ハァァッ ! ! ! ! |
| スタン | やめろぉぉぉっっ―― ! ! |
| スタン | くっ―― ! ! |
| イクス | スタンさん ! ? |
| リオン | 邪魔をするな ! ! |
| スタン | 頼む……リオン ! !もうやめてくれっ ! ! |
| スタン | なんで仲間同士で戦わなくちゃいけないんだよっ ! ! |
| スタン | どうして仲間同士で傷つけ合わなくちゃいけないんだよ ! ! |
| スタン | 仲間ってのは困ったときに助け合うものだろっ ! ! |
| スタン | 俺たち仲間だろ ! 友達だろ ! !まずはちゃんと話してくれよっ ! ! |
| リオン | スタン……。この期に及んでまだ僕を……友と呼ぶのか……。 |
| スタン | 当たり前だっ ! ! |
| ルーティ | あたしたちはミリーナを助けるためこの先に進まなきゃいけないの。 |
| イクス | お願いだ……そこを通してくれ。 |
| リオン | ……くっ。 |
| ディムロス | 貴様、自分のやってることがわかっているのか ! ? |
| アトワイト | ソーディアンマスターの力はそんなことのためにあるんじゃないのよ。 |
| シャルティエ | みなさん……坊ちゃんを責めないでください ! |
| ディムロス | シャルティエ ! ? |
| シャルティエ | みなさんの事情はわかってます !ミリーナさんが人質に取られていることも ! |
| シャルティエ | けど、坊ちゃんも同じなんです !マリアンを人質に取られているんです ! |
| リオン | シャル ! |
| スタン | マリアンさん……。確か屋敷でディムロスを持ってきてくれたメイドの人か……。 |
| イクス | メイド……。待て。もしかして、ミリーナと一緒に閉じ込められてる人か ! ? |
| リオン | マリアンを知っているのか ! ? |
| イクス | ミリーナの通信にメイドさんと一緒に閉じ込められているという情報があった。 |
| イクス | そして、俺たちは二人の居場所を知ってる。これから助けに行くところだ。 |
| シャルティエ | 坊ちゃん ! 聞きましたか ! ?スタンたちと一緒にいけばきっとマリアンを助けられますよ ! |
| リオン | ……だが、罠の可能性もある。 |
| リオン | それに、この世界を滅ぼそうとしている鏡士の言うことなど信じるに値しない。 |
| ルーティ | あんた、何言ってるの ?世界を滅ぼそうとしてるのは救世軍の方でしょうが。 |
| リオン | ……どういう意味だ ? |
| リオン | なん……だと…… ? |
| イクス | この世界にアニマを満たしアイギス計画を完遂することで滅びの危機から世界を救う。 |
| イクス | これが真実だ。 |
| リオン | …………。 |
| シャルティエ | 坊ちゃん、この話が本当かどうかは置いておくとしても……この話をマリアンが聞いたら……。 |
| リオン | マリアンは……自ら命を絶つことを選ぶだろう……。 |
| リオン | 何故だ……何故こうなるんだ…… !今度こそ……僕の手で救えると思ったのにっ ! ! |
| ルーティ | ちょっと、落ち着きなさいよ。いったいどういうことなの ? |
| リオン | そうか……お前たちは何も知らないのか……。あの後、何が起こったのか……。 |
| スタン | リオン ? どうしたんだ ?何かあったのか ? |
| リオン | ……この世界では関係のないことだ。 |
| イクス | けど、少なくとも今マリアンさんは生きている。 |
| イクス | 少し体調がよくないみたいだけどミリーナが回復魔法で治療してるから心配はない。 |
| スタン | リオン、お前は頭がいいからさきっと色々考えてて、色々知ってるからこそまだ信じられないとこもあるんだと思う。 |
| スタン | だけど、マリアンさんを人質に取るような救世軍なんかより俺たち仲間を信じてくれよ ! |
| スタン | そして一緒に、マリアンさんを助けよう ! ! |
| リオン | ……スタン。 |
| スタン | ほら、まずは仲直りの握手だ。イクスもルーティも、みんなで。 |
| ルーティ | まったく、仕方ないわね。 |
| イクス | 一緒に、大切な人を助けよう。 |
| リオン | ……お前たちも。 |
| 救世軍兵士 | 貴様 ! 寝返ったな ! |
| イクス | 救世軍 ! ? |
| リオン | チッ……思っていたより早かったな。 |
| ルーティ | こりゃ、厄介なことになったわね。 |
| スタン | 倒しながら進むぞ ! |
| イクス | わかった ! みんな、こっちだ ! ! |
| Character | 13話 【8-21 ティベリウス雪原 5】 |
| スタン | くっ……。救世軍の奴ら、本当にしつこいな。 |
| イクス | スタンさん、大丈夫か ? |
| スタン | ああ、平気平気。 |
| ルーティ | ……スタン。あんた。 |
| スタン | それにしてもどうすりゃいいんだ。相手にしてたらきりがないぞ。 |
| リオン | 状況から判断すると、僕が敵対したことマリアンの居場所を特定したことをすでに救世軍は気づいている。 |
| イクス | つまり、早く助けに向かわないと二人が別の場所に移動されてしまう可能性が高いってことか。 |
| リオン | それだけではない。たとえ救出しても脱出経路を塞がれてしまっては元も子もないぞ。 |
| イクス | ……いったい、どうすればいいんだ。 |
| リオン | 簡単なことだ。 |
| スタン | リオン ! どこに行く気だ ! ? |
| リオン | 僕が囮になる。 |
| スタン | 無茶だ ! 危険すぎる ! !お前を置いてはいけない ! ! |
| リオン | 僕が決めた事だ。さっさと行け ! |
| スタン | けど―― ! |
| リオン | スタン、お前は僕を友達呼ばわりするがそんなもの受け入れた覚えはない。 |
| リオン | 僕はお前のように、能天気で、図々しくて、馴れ馴れしい奴が大嫌いだ。 |
| リオン | だから……後は任せた。 |
| イクス | ……そんな。 |
| ルーティ | あんたって奴は……。 |
| スタン | リオン……。 |
| スタン | バカ野郎 ! ! |
| リオン | …… ! |
| スタン | お前はまたそうやって一人で抱え込もうとしてさ、本当にバカ野郎だよ ! ! |
| スタン | リオンはずっと一人で頑張ってきたんだろ !もういいんだよ !お前をもう一人にはさせない ! ! |
| スタン | だから、俺が残る ! ! |
| リオン | ……なんだと ? |
| ルーティ | スタン、あんた正気なの ! ?いまのあんたじゃそれこそ無茶よ ! ! |
| ルーティ | そうよ……だったらあたしも残る ! |
| スタン | ダメだ ! ルーティは潜入に慣れてる !イクスたちと一緒にいくべきだ ! |
| ルーティ | いい加減にしなさいよ !あたしが気づいてないとでも―― |
| スタン | ルーティ ! 俺を信じてくれ ! |
| ルーティ | ……スタン。 |
| ルーティ | あんた、頑丈なのよね ? |
| スタン | あははっ。それぐらいが取り柄だからな。 |
| ルーティ | わかったわ……。 |
| リオン | お前一人で大丈夫なのか ? |
| スタン | リオン、お前は一人で頑張ってきた。だから次は俺の番だ。 |
| スタン | それに、マリアンさんが待ってるんだろ。きっとリオンのことを心配してる。行って、安心させてやれよ。 |
| リオン | ……ここは任せたぞ。 |
| 救世軍兵士 | 見つけたぞ ! |
| イクス | くっ……気づかれた ! |
| スタン | イクス ! お前も頼んだぞ ! |
| イクス | ああ ! ミリーナ、マリアンさん、ルーティ、リオン、俺……全員で必ずここに戻ってくる ! ! |
| ルーティ | だから、やられんじゃないわよ !約束破ったりしたら承知しないんだから ! |
| スタン | わかってる ! 約束だ !俺は、お前たち全員を待ってる ! ! |
| スタン | だから、ここは俺に任せろっ ! ! |
| ルーティ | ほら、あんたたち !はやく行くわよ ! |
| イクス | ああ ! 先に進むぞ ! ! |
| リオン | ……っ ! |
| スタン | さて、行くとするか。 |
| スタン | ぐ ! いててて……。 |
| ディムロス | スタン ! ?お前、もしや足を…… ! ? |
| スタン | へへ……ルーティはすごいな……。黙ってたのになんで気づいたんだろ。 |
| ディムロス | まったく……お前というやつは。大丈夫なんだろうな ? |
| スタン | ちょっと捻ったくらいだよ。これぐらいたいしたことない。 |
| ディムロス | ふっ……そうか。 |
| スタン | なんだよ、ディムロス。珍しく口うるさくないな。 |
| ディムロス | 何も言うことはない。あのような輩がどれだけ束になろうとお前と我を倒すことはできんのだから。 |
| スタン | ディムロス……ああ、そうだな ! |
| ディムロス | いくぞっ ! スタン ! ! |
| スタン | 俺とディムロスの力、見せつけてやるっ ! ! |
| Character | 14話 【8-24 雪積り積る遺跡 廊下】 |
| イクス | くっ……なんて頑丈な扉なんだ。 |
| リオン | どけ。シャル、いくぞっ ! |
| シャルティエ | はいっ ! |
| リオン | ――ハアアァッ ! ! |
| ルーティ | よしっ、扉が壊れたわ。 |
| イクス | ミリーナたちはこの先だ ! |
| ミリーナ | どうして……どうしてなのっ ! ! |
| イクス | ミリーナ ! 無事か ! ? |
| ミリーナ | イクス ! ? よかった !来てくれるって信じてたわ ! |
| ルーティ | あたしたちも一緒よ !ここまでは計画どおりね。 |
| ミリーナ | ルーティ ! それにリオンさんも ! ? |
| リオン | マリアン ! ? |
| マリアン | ……はぁ……はぁ。 |
| リオン | 女 ! 治癒術はどうした ! ? |
| ミリーナ | そんなの……ずっとやってるわよ……。けど……。 |
| ミリーナ | けど、治癒術が効かないの !何度やっても……何度やっても全然、効いてくれないの ! ! |
| リオン | 何……っ ! ? |
| ルーティ | アトワイト ! |
| アトワイト | ええ ! |
| マリアン | はぁ……はぁ……ぐっ……。 |
| ルーティ | うそ……どうして……。 |
| アトワイト | まったく効いてないわね。何かにすべて吸収されてしまってるように感じるわ。 |
| ミリーナ | たぶん原因は……このブレスレットよ。これは特別な魔鏡機器だから簡単には外せないの……。 |
| イクス | 王宮の禁書庫の本で読んだ……。これは【アンチ・ミラージュブレス】。魔鏡戦争時代に開発された魔鏡機器だ。 |
| イクス | 鏡士の人体実験の際に、被験者への鏡術による肉体と精神に及ぼす影響を緩和するために使用されていたらしい。 |
| イクス | なんでマリアンさんがこんなものを……。 |
| リオン | そんなことはどうでもいい !外せないなら破壊しろ ! |
| イクス | ダメだ……。無理に外したり破壊したりしたらマリアンさんは……。 |
| リオン | ……っ。 |
| アトワイト | 彼女、酷く衰弱してるわ。はやく治療しないと助からないわよ。 |
| リオン | そんなことは見ればわかる !その魔鏡機器とやらを外す方法はないのか ? |
| イクス | ……魔鏡機器。ガロウズなら取り外せるはずだ ! |
| ルーティ | スタンが脱出経路を確保してる。合流して、ケリュケイオンに向かうわよ。 |
| リオン | ケリュケイオンまで……どれだけの距離があると思っている……。 |
| シャルティエ | ……坊ちゃん。 |
| ルーティ | 何弱気になってるのよ !今はとにかく、前に進むしかないのよ ! ! |
| ミリーナ | リオンさん !私たちでマリアンさんを助けましょう ! |
| イクス | まだ助かる可能性はある !だから、今すべきことをするんだ ! |
| リオン | …………。 |
| リオン | お前たちに言われるまでもない。今はそれしか手段がないんだ。はやく行くぞ ! |
| イクス | ああ ! |
| Character | 15話 【8-26 雪積り積る遺跡 入口】 |
| ルーティ | マズいわね。救世軍に追いつかれてるわ。 |
| イクス | 戦闘はできるだけ避けたい。あと少しでスタンさんとも合流できるから逃げ切れるといいんだけど……。 |
| ミリーナ | マリアンさんは ? |
| アトワイト | 危険な状態よ。ぐずぐずしていられないわ。 |
| リオン | …………。 |
| マリアン | ……っ……ここは……。 |
| リオン | マリアン !意識を取り戻したのか ! |
| マリアン | リオン、様…… ?よかった……ご無事でしたか……。 |
| リオン | ああ……心配をかけたな。 |
| マリアン | ここは……いったい……。霧が濃くて……お顔が……見えません……。 |
| リオン | ……何を言ってるんだ……。霧なんて……。 |
| アトワイト | ……衰弱、及び過度のストレス状態に晒された心因性の突発性視覚障害のようね。いまの彼女には何も見えていないわ。 |
| リオン | …………っ。 |
| マリアン | ……大丈夫です。そばに……いるのでしょう ?声はちゃんと……聞こえています。 |
| ミリーナ | マリアンさん……きっとすぐに良くなります。ほら、さっきより少しだけ手も温かい……。 |
| マリアン | そう……なのですね……。 |
| ミリーナ | ……もしかして感覚も……。 |
| マリアン | ごめんなさい……。何も……感じません……。 |
| リオン | そんな……。 |
| マリアン | ……もう、私は……ダメみたいです。だから……ここに置いていってください……。みなさん……だけでも、逃げて……。 |
| イクス | そんなことできません ! |
| マリアン | 鏡士様……。私は、この世界に……いてはならない……存在なのです……。 |
| マリアン | 私は……特異鏡映点……だから……。 |
| リオン | ……マリアン、そのことを……知っていたのか。 |
| ミリーナ | マリアンさんが……そうだったの……。 |
| ルーティ | ちょ、ちょっと待ちなさいよ。 |
| イクス | 特異鏡映点って……何なんだ ? |
| ミリーナ | 特異鏡映点は……。アニマを逆流させる存在よ。 |
| イクス | アニマを……逆流……。 |
| ルーティ | ウソでしょ……。 |
| リオン | くっ……。 |
| マリアン | 鏡士様……申し訳、ありません……。私がいては…………この世界が……滅んでしまうのですよね。 |
| ミリーナ | けど、特異鏡映点の力を抑えることだってできるかもしれません ! |
| イクス | 俺たちが方法を探します !だから……だから―― ! ! |
| マリアン | たとえ……力を抑えても……きっと……私は……救世軍に狙われ続けます……。 |
| ルーティ | あんた……だからって……。 |
| アトワイト | ルーティ。やめなさい。彼女の決意の固さ。わかるでしょ ? |
| ルーティ | わからないわ !まったく納得できない ! |
| ルーティ | あたしたちはあんたを助けるためにここに来たの。リオンだってそうよ。 |
| ルーティ | 問題があるなら、みんなで解決すればいいだけの話。あんた一人で解決しようとしないで。 |
| ルーティ | それに、これはあんただけの問題じゃない。あたしたちにも関係することなの。勝手に決められる筋合いはないわ ! |
| マリアン | ですが……。 |
| イクス | ルーティの言うとおりです。希望を……捨てないで下さい ! |
| ミリーナ | マリアンさん、一緒に困難を乗り越えましょう。私たちもいますから。 |
| マリアン | …………。 |
| リオン | マリアン……僕は……君に生きていて欲しい。 |
| マリアン | …………。 |
| マリアン | ……あなたが……それを望むなら……。 |
| イクス | マリアンさん ! |
| マリアン | ご迷惑を……おかけしますが……私も、連れて行って……いただけますか ? |
| ミリーナ | もちろんですよ。最初からそのつもりです。 |
| イクス | 俺たちで絶対にあなたを助けます。 |
| Character | 16話 【8-29 ティベリウス雪原 8】 |
| ルーティ | よっしゃ。なんとか追っ手を振り切れたわね。 |
| ミリーナ | スタンさんが脱出経路を確保してくれてるのよね ? |
| イクス | ああ。もうすぐだ。スタンさんも無事だといいんだけど。 |
| ルーティ | あいつなら大丈夫よ。心配することないわ。ディムロスだっているんだしさ。 |
| マリアン | …………。 |
| リオン | …………。 |
| ルーティ | 見えてきたわ !あの先でスタンが待ってるわよ ! |
| イクス | いや……ちょっと……待ってくれ……。 |
| ミリーナ | イクス、どうしたの ? |
| イクス | そんな……ウソだろ……。 |
| ルーティ | 何があったの ? |
| イクス | ……脱出経路が、封鎖されてる。 |
| リオン | なんだと……スタンは何をやっている ! ? |
| ルーティ | ……スタン。あいつ……まさか……。 |
| ルーティ | じょ、冗談じゃ……ないわよ……。 |
| アトワイト | ルーティ ! しっかりしなさい ! |
| ルーティ | だって……脱出経路が……。 |
| アトワイト | スタンさんが倒されるわけないじゃない !それはあなたが一番わかってることでしょ ! |
| ルーティ | ……そ、そうね。うん……スタンがやられるわけない。 |
| ルーティ | そうだわ。あいつなら絶対に大丈夫。アトワイト、ありがとね。 |
| アトワイト | もう……ひやひやさせないでちょうだい。 |
| ルーティ | イクス ! 他に脱出経路はないの ! ? |
| イクス | ……ひとつだけある。けど……。 |
| ルーティ | いいから教えなさい !グズグズしてる暇ないんだから ! |
| イクス | …………山越えだ。 |
| リオン | ……あの雪山を越えるというのか。 |
| イクス | それしか……道はない……。 |
| ルーティ | ……行くしかないわ。 |
| ミリーナ | それが、全員が助かる可能性のあるたった一つの道なら。 |
| リオン | ……病人を抱えたまま山越えができると思っているのか ? |
| ファントム | フフ……その通りです。山越えは無理でしょうね。 |
| イクス | 救世軍 ! ? |
| ミリーナ | どうしてここに ! ? |
| ルーティ | どうでもいいわ !邪魔するなら倒すだけよ ! ! |
| ファントム | 剣を収めて頂けますか ?我々は戦いに来たのではありません。交渉に来たのですから。 |
| リオン | ……交渉だと ? |
| ファントム | 我々も予想を遙かに超える犠牲がでました。これ以上の争いはこちら側としても避けたいのです。 |
| ファントム | そこで一時休戦を申し入れようかと。 |
| ファントム | 条件は、特異鏡映点の即時返還。 |
| ルーティ | バカ言ってんじゃないわよ !そんなの交渉でも何でもないわ !あんたたちにしか得がないじゃない ! |
| ファントム | 特異鏡映点の【アンチ・ミラージュブレス】。これをすぐにでも解除し彼女の治療を約束する。 |
| ファントム | つまり特異鏡映点の命を保証する。悪い話ではないと思いますがねぇ。 |
| リオン | ……マリアンの。 |
| ファントム | あなたも救世軍に戻ってきますか ?こちらは歓迎しますよ。 |
| ファントム | もっともまた裏切られる恐れがありますからしばらく特異鏡映点との面会は認められませんがね。 |
| ファントム | それでも、特異鏡映点の命は保証しますよ ? |
| リオン | …………。 |
| ルーティ | ちょ、ちょっと。あんた、何考えてるの ? |
| ミリーナ | リオンさん…… ? |
| イクス | 救世軍に……従うつもりなのか…… ? |
| ファントム | 私にはあなたの考えていることがわかる。状況から鑑みてどうするべきかもう気づいているはずですよ。 |
| リオン | 僕は……。 |
| ルーティ | あんた……ふざけんじゃないわよ……。 |
| ルーティ | あたしたちはスタンと約束した。必ず、全員揃って戻ってくるって ! |
| ルーティ | あいつは絶対に生きてる !あたしたちが戻るのをたった一人で戦いながら待ってるわ ! ! |
| ルーティ | あたしたちを信じたからあいつは……本当は足をケガしてるの黙ってそれでも一人で残ったのよ ! ! |
| ルーティ | スタンのことなんだと思ってんのよっ ! ! |
| ミリーナ | リオンさん、マリアンさんとの約束あなたは覚えているでしょう ? |
| ミリーナ | マリアンさんは私たちと一緒に行くとそう、約束したのよ。 |
| イクス | 確かに山越えは厳しいかも知れない……。けど、俺は……俺たちはマリアンさんを信じてる ! ! |
| シャルティエ | 坊ちゃん ! 僕は坊ちゃんが選んだ道ならどんな道でもついていきます ! ! |
| シャルティエ | けど……けどですよっ !絶対に後悔する道は選んで欲しくない ! !それだけはわかってください ! ! |
| リオン | ……黙れ。お前たちに指図されるいわれはない。 |
| ルーティ | あんた……。 |
| ファントム | …………。 |
| リオン | 確かに……貴様の言うことはもっともだ。 |
| リオン | 状況から判断するに……スタンは……もうやられたかもしれない。 |
| リオン | マリアンは……山越えに耐えられないかも知れない……。 |
| リオン | そう……いまは救世軍に従うべきだ。これがもっとも賢い道だ……。 |
| イクス | ……そんな。 |
| ミリーナ | リオンさん……。 |
| ルーティ | あんた……ここまできて……。 |
| シャルティエ | ……。 |
| ファントム | ……わかっていただけましたか。 |
| リオン | ああ……貴様に言われるまでもない。 |
| リオン | ……だからどうしたっ ! ! |
| ファントム | ―― ! |
| リオン | 僕はマリアンを、スタンを……こいつたちが信じる道を選ぶ ! |
| リオン | 僕はもう決して迷わない……。 |
| シャルティエ | 坊ちゃん ! ! |
| ルーティ | よしっ ! そうこなくっちゃ ! |
| ミリーナ | 私たちもその道を進むわ ! |
| イクス | みんなで一緒に進むんだ ! ! |
| ファントム | フフフ、交渉は決裂ですか !そうだろうと思っていました ! |
| イクス | 魔物を生みだした ! ? |
| Character | 18話 【8-30 ティベリウス雪原 9】 |
| イクス | ガロウズが【アンチ・ミラージュブレス】を外してくれてから数日経ったけど……。マリアンさん……まだ目を覚まさないな。 |
| ミリーナ | リオンさんも一睡もせずにずっと看病してるし……。あれじゃ身体が持たないわよ……。 |
| イクス | 二人とも……心配だな……。 |
| ルーティ | イクス、ミリーナ !あんたたちここにいたのね ! |
| イクス | ルーティ、スタンさん。どうしたんだ ? |
| スタン | マリアンさんが意識を取り戻したんだ ! |
| ミリーナ | 本当に ! ? マリアンさんは無事なの ! ? |
| ルーティ | ええ。感覚も戻ったわ。しばらく休養する必要はあるけど。 |
| イクス | よかった……。一時はどうなることかと……。 |
| ミリーナ | いまマリアンさんはどうしてるの ? |
| スタン | リオンと話してるところ。 |
| ルーティ | それでさ……あんたらに、ちょっと頼みがあるのよ。 |
| イクス | 頼み ? |
| スタン | いまだけ、少しだけでいいんだ。リオンとマリアンさん二人きりにしてもらえないか ? |
| ルーティ | あんたたちが二人に聞きたいこと山ほどあるのはわかってるんだけどさ……。 |
| イクス | ああ。もちろんだよ。 |
| イクス | 二人が具現化されてからの経緯とか特異鏡映点についてや、救世軍のこと。確かに二人には色々聞いておきたいけど……。 |
| イクス | でも、二人はずっと前に進み続けてたくさん傷ついて、いまようやく少しだけ休むことができてるんだと思うから……。 |
| ミリーナ | そうね……。だから今だけはあの二人のために私たちは待つべきだわ。 |
| スタン | イクス、ミリーナ。ありがとう……。 |
| マーク | ……特異鏡映点を失ったのか。 |
| 救世軍幹部 | 失ったところで問題ないでしょう ?彼らにアレを扱える人間がいるとは思えませんし。 |
| マーク | ……それはどうかな。 |
| 救世軍幹部 | 含みのある物言いですねぇ。 |
| マーク | まぁ、気にするなよ。それに俺たちの本当の目的は無事達成してるわけだしな。 |
| マーク | あいつらが気づいてないだけで。 |