| Character | 1話【密談】 |
| ゼロス | ……調べれば調べるほど嫌な話になっていくな。俺さまたちにとっては。 |
| クラトス | 仕方があるまい。我々はこの世界に造り出されてしまった。 |
| クラトス | だが、あの若い鏡士の二人に悪意があったわけではないようだ。 |
| ゼロス | リフィル様に接触して確証を得てくるか。 |
| クラトス | それがいい。私は国王の方を探る。 |
| ゼロス | へぇー。やっぱりロイドとは合流しないってか ? |
| クラトス | ロイドはロイドのやり方でこの世界と対峙していくだろう。私が行動を共にする必要はない。 |
| ゼロス | ……父親らしいことは何もしないで期待と責任だけは押しつける。そういうところが気にくわねぇんだよ。 |
| クラトス | ……フ。それは神子も同じだろう。 |
| ゼロス | 俺さまとあんたは立場が違うだろう。……いや、結局同じなのか。くそ。 |
| クラトス | 神子。ケリュケイオンにはマークがいる。奴からアルヴィンの動向を探ってほしい。 |
| ゼロス | へいへい。毎度人使いが荒いな。クルシスの天使様はよ。それじゃ久々にハニーたちに会いに行くか ! |
| クラトス | ――気を抜くな、神子よ。この世界の鏡士は、世界の理を覆す力を持つ。 |
| ゼロス | ……あんたもな。ロイドと決着をつけるまでは。 |
| ゼロス | って、まぁ、俺さまにはどうでもいいことだけどな。 |
| Character | 2話【13-1 最北端の島へ続く道】 |
| ? ? ? | ミリーナ。お願いがあるんだけど、いい ? |
| ミリーナ | もちろんいいわよ。何、フィルのお願いって。 |
| フィリップ | えっと……。今から一緒に水鏡の森に行ってほしいんだ。 |
| ミリーナ | 水鏡の森 ? 素敵ね。 だったらお弁当を持って行きましょうよ !簡単なもので良ければ、すぐに作るわ。 |
| フィリップ | うん ! ありがとうミリーナ。 |
| ミリーナ | そうだ !せっかくだからイクスも誘いましょう !三人でピクニックなんて、久々だもの ! |
| フィリップ | え ! ? あ……う、うん。――そうだね。それがいいね。 |
| フィリップ | イクス、きっと港だよね。後で誘いに行こうよ。 |
| ミリーナ | ええ、それじゃあ急いでお弁当を作っちゃうわね。 |
| イクス | ……ミリーナ ?ミリーナってば ! |
| ミリーナ | え、あ、な、何 ? |
| イクス | 大丈夫か、ミリーナ。やっぱり疲れてるんじゃないのか ? |
| ミリーナ | う、ううん。違うの。フィルのこととか……色々思い出していただけ。大丈夫よ。 |
| イクス | ……そうか ?うーん、じゃあその言葉を信じるけど。 |
| ミリーナ | それより、どうかしたの ? |
| イクス | リフィル先生が言ってた最北端の島に着いたんだ。 |
| ミリーナ | あ、そうか、そこでリフィルさんと合流するのよね。急いで迎えに行きましょう。 |
| コーキス | マスター、ミリーナさま。何とかしてくれよ。 |
| カーリャ | マークが俺も連れて行けってうるさくて。 |
| コーキス | カノンノさまが駄目だって止めてるんだけどもー大変だっつーの。 |
| コーキス | どんだけ首突っ込みたがりなんだよ。動けないのに。マジヤバいぜあいつ。 |
| カーリャ | うんうん、マジヤバです。 |
| ミリーナ | もう、しょうがないわね。私、ちょっと叱ってくる。 |
| ミリーナ | ついでにカノンノに、マークが勝手に出歩かないよう見張ってもらうわね。イクス、先に準備して待ってて。 |
| イクス | はは……まるでだだっ子だな。わかった。頼むよミリーナ。 |
| チェスター | ミリーナ。丁度いい。オレもマークに用があるんだ。一緒に行く。 |
| ミリーナ | ええ、わかったわ。 |
| Character | 3話【13-2 最北端の島】 |
| イクス | リフィル先生。調査、お疲れ様でした。 |
| リフィル | いいえ、ゲフィオン様との面会までに間に合って良かったわ。 |
| ロイド | 先生、何を調べてたんだ ? |
| リフィル | そうね。虚無の調査――というのが正しいかしら。 |
| イクス | 虚無って……光魔の鏡の中にあったあの真っ暗な空間のことですか ? |
| ロイド | 何であんなものを調べてるんだ ? |
| ミリーナ | もしかしてこの場所に私たちを呼んだ理由と関係があるんですか ? |
| リフィル | ええ、その通りよ。どうしてもあなたたちに見せておきたいものがあるの。 |
| カーリャ | ぶるぶるぶる……。 |
| コーキス | うわ ! ? チキン肌来た !マスター、光魔だ ! |
| 光魔 | ……ウゥ~……ハルルルルル |
| イクス | 空からだと ! ? |
| ミリーナ | 危ない、イクス ! |
| ロイド | マジかよ ! ? 逃げ場がないぞ ! |
| リフィル | ……戦うしかなさそうね。私も協力するわ。 |
| ミリーナ | え ! ? 大丈夫なんですか ! ?リフィルさんは特異鏡映点だから―― |
| リフィル | その点は大丈夫。とにかく今は光魔を何とかしないと。 |
| イクス | でもこの数じゃ―― |
| ゼロス | びびってんじゃねーぞ !美女と美少女の前なんだ。せいぜいかっこつけて虚勢でもはりな ! |
| イクス | え…… ! ? |
| ロイド | ゼロス ! ? |
| ゼロス | ハニー、久しぶり ! |
| ロイド | 久しぶりって―― |
| ゼロス | さぁ、半分は俺さまが引き受ける。ショータイムの始まりだぜ ! |
| Character | 4話【13-2 最北端の島】 |
| ミリーナ | リフィルさん、身体は大丈夫ですか ? |
| リフィル | ええ。大丈夫よ。 |
| リフィル | 特異鏡映点としての力は、キールたちが考案してくれた例のブレスレットである程度抑えられているの。 |
| リフィル | 魔術を使った場合の暴走の可能性も考慮して何度か実験も済ませたから安心して。 |
| ミリーナ | リフィルさん……。まさか……自分の身体で実験を…… ? |
| リフィル | ええ。人を巻き込むよりその方が気が楽だわ。 |
| ゼロス | 何々 ? リフィル様で実験 ?そのキーワード超そそる !魅惑の女教師、放課後の実験―― |
| リフィル | だまりなさい ! |
| イクス | あ、あの……。ありがとうございました。 |
| ゼロス | いやいや、少年。もっと盛大に感謝してくれてもいいんだぜ。えっと、横にいる可愛いお嬢さんが…… ? |
| ミリーナ | ミリーナです。あの、あなたは……。 |
| ゼロス | ミリーナちゃんね !俺さまはゼロス・ワイルダー。気軽にゼロスくんって呼んでくれ。 |
| ゼロス | いやぁ、ミリーナちゃんはこの世界の太陽だね。笑顔がまぶしいよ。 |
| ミリーナ | ふふ、ありがとうございます。ゼロスくん。 |
| ゼロス | ひゃー、素直素直 ! 俺さまのことくん付けで呼んでくれるの二人目よ ? |
| ロイド | お前……相変わらずだな。 |
| ゼロス | ハニー ! まさかこの訳のわからない世界でもハニーに会えるとは、やっぱ俺さまとハニーは運命の親友なのかなー ? |
| リフィル | あら……ここが異世界だということは知っているのね。 |
| ゼロス | だって、俺さま、ここに来てから結構時間経ってるし。 |
| ゼロス | 最初は一人でシルヴァラントにでも飛ばされたのかと思ったけどレアバードもないしな。 |
| ゼロス | なんか変だと思って色々調べてたのよ。そしたらリフィル様らしき人がいるって聞いてここまで追いかけてきたって訳。 |
| ロイド | へー。 |
| ゼロス | ――ってロイドくん ! ?その反応冷たすぎじゃない ! ? |
| ゼロス | 何だかよくわからない世界で一人流浪して時には魔物に襲われ、時には飢えに苦しみながらやっとここに辿り着いたんだぜ ! ? |
| ゼロス | もっとこうねぎらいってもんがあってもいいでしょーよ ! ? |
| カーリャ | えっと……。怒濤の展開でわやくちゃですけどこの人鏡映点ですよ。カーリャぶるぶるしてます。 |
| リフィル | そう……。私たちと同じタイミングで具現化されたはぐれ鏡映点なのね ? |
| ゼロス | はぐれ鏡映点 ? 何だそりゃ ? |
| イクス | それは、色々長い話があって―― |
| ゼロス | あ、野郎はパス。ミリーナちゃんリフィル様、それにカーリャちゃん !俺さまにおせーて ? |
| イクス | な、な、な……。 |
| コーキス | うおおおおおい !マスターのこと馬鹿にすんなオラァァァ ! ? |
| ロイド | イクス、コーキス。あきらめろ。あいつはこういう奴だから。説明はリフィル先生たちに任せておこうぜ。 |
| リフィル | しょうがないわね。それじゃあ歩きながら説明しましょうか。目的地はこの先の森よ。 |
| ゼロス | お~け~お~け~。盛り上がっていこうぜぇ ! |
| Character | 5話【13-5 静かな森 奥地】 |
| リフィル | ――ついたわ。ここよ。 |
| イクス | え ? ここに何があるんですか ? |
| リフィル | 何もない空間が【ある】のよ。ほら、この先に手を伸ばしてみて。 |
| イクス | ――え ! ? 何か……ある。何だ、これ ? |
| コーキス | マジかよ、マスター ! ? |
| コーキス | いたたた ! ? ホントだ ! ? やべぇ ! ?ここに何かある ! ? |
| リフィル | そう。その見えない何かこそこの世界の【果て】。この世界を囲む見えない壁よ。 |
| リフィル | この壁が虚無から世界を護っているの。つまりこの見えない壁こそ、アイギス計画の柱であるアイギスの盾なのよ。 |
| イクス | 虚無……。あの光魔の鏡の向こうにあった何もない空間……。 |
| ロイド | ……ん ?この壁、思ってたよりは柔らかいな。力一杯押したら、突き抜けそうだぞ。 |
| リフィル | ええ。だから気をつけてね。簡単に虚無の方へ抜けてしまうわよ。 |
| ゼロス | しかし、何だって世界を護る盾がそんなに柔らかいんだ ?衝撃を吸収するためか ? |
| リフィル | そうね。それにこの壁は今も広がり続けているからよ。 |
| カーリャ | 壁が広がってる ? どうしてですか ? |
| リフィル | それはイクスとミリーナが、具現化で異世界からアニマを吸収しているから。具現化の度に世界は拡張し続けたの。 |
| リフィル | そうしてここまでの広さになった。今は具現化を止めているからほとんど壁は動いていないけれどね。 |
| イクス | ――待って下さい。つまり、俺たちが具現化を始める前までは、この壁はもっとずっと狭かったって事ですか ! ? |
| リフィル | ええ、そういうことね。私とジェイドでかつてアイギスが存在していたと思われる痕跡を探っていったの。 |
| リフィル | その結果、一番古いものはセールンド付近の小さな島に点在していたわ。 |
| リフィル | つまりセールンド周辺以外の世界は既に消滅していた。 |
| リフィル | それをイクスたちが具現化によってここまで造り直した、という事になるわね。 |
| ロイド | すげー ! ? イクスたち頑張ったんだな ! ? |
| ミリーナ | ………………。 |
| イクス | ――あの、そのセールンド周辺っていうのはオーデンセまで含まれるんでしょうか ? |
| リフィル | ……そうね。オーデンセはセールンドに近い島だったから、含まれていた……とも考えられるわね。 |
| リフィル | 残念ながら深海にまで痕跡を探りに行くことはできないしオーデンセも消失しているから―― |
| イクス | 確証は、ない。 |
| ロイド | ん ? 何か引っかかってるのか ? |
| イクス | 世界に滅びの危機――虚無が迫っていたからアイギスが造られた。だけどそのアイギスが壊れたからオーデンセ島を含めた世界中が消失した。 |
| イクス | 俺とミリーナは奇跡的に消失に巻き込まれずにすんで助かった。――本当にそれならいいんだ。 |
| ロイド | それ以外に何があるんだ ?イクスたちが生き残ったから、異世界からの具現化でこの世界がここまで広がったってことだろ ? |
| ゼロス | ……ああ、そういうことか。 |
| カーリャ | 何ですか、ゼロスさま ? |
| ゼロス | ロイドくんの言った通り、そもそもミリーナちゃんたちが奇跡的に生き残ったから世界はここまで広がりを取り戻した訳だ。 |
| ゼロス | でも、もしも、その奇跡が仕組まれた奇跡だったとしたら ? |
| ゼロス | オーデンセの消滅の時に、ミリーナちゃんたちも亡くなっていたのだとしたら ? |
| ロイド | ! ? |
| ゼロス | もっと言えば、イクスはそれ以上のことを心配してるんじゃないのか ? |
| ゼロス | そもそも消失したオーデンセは、本当にこの世界に存在していた島なのか。イクスたちがしてきたように誰かがオーデンセという島を具現化したんじゃないか。 |
| ゼロス | リフィル様たちの調査によればこの世界に最初から存在する島――オリジナルの島はセールンド島とその周辺だけだ。 |
| ゼロス | そこにオーデンセが入っていたのかいないのかで話は大きく変わってくる。 |
| ゼロス | ま、つまり、イクスもミリーナちゃんも具現化された人間なんじゃないか……ってことだよな。 |
| ロイド | だけど具現化はイクスたちにしか―― |
| ロイド | ……あ。 |
| リフィル | そうよ。イクスたちにしかできない【筈】だった。 |
| リフィル | でも、ビクエ――あなたたちの報告によるところのファントムにもできる可能性がある。 |
| イクス | ファントムだけじゃない。フィルがいる。カノンノはフィルがビクエだと言っていた。 |
| イクス | もしフィルが本当にビクエならフィルにも具現化ができる。 |
| イクス | まぁ……そうなるとなんでゲフィオン様がファントムのことをビクエって呼ぶのかはわからないけど……。 |
| ミリーナ | ………………。 |
| リフィル | そうね。ビクエが誰なのかという点は一旦置いておきましょう。 |
| リフィル | ただ最初の大陸の具現化が、イクスたちではなくビクエによるオーデンセ具現化であった可能性を否定はできないわ。 |
| イクス | ………………。 |
| ゼロス | まぁまぁ、そんな深刻な顔するなって。 |
| ゼロス | オーデンセは昔から残っていてミリーナちゃんたちが具現化を始めたんだって可能性も十分あるんだからさ。 |
| ロイド | ああ、そうだよ。それに詳しい話はゲフィオンが教えてくれるんだろ。そういうのは『きゅう』っていうんだぜ ! |
| リフィル | き・ゆ・う、です。まぁ、使い方は正しいわ。ロイドにしては珍しく。 |
| ロイド | 珍しいって何だよ ! ? |
| ミリーナ | ……ふふっ。そうですね。とりあえずこのことをみんなに報告しましょう。イクス、ケリュケイオンに戻ろう。ね ? |
| イクス | あ、ああ……。うん、そうだな。 |
| Character | 6話【13-7 入り組んだ街道1】 |
| ロイド | ……イクス。そんな顔するなよ。 |
| イクス | あ……ごめん。つい、色々考えちゃって。 |
| ロイド | イクスが具現化された存在かもって話か ? |
| ロイド | 俺、馬鹿だからよくわかんねぇけど仮にもしイクスが誰かに造られた存在だとしてそれが何か問題なのか ? |
| イクス | え…… ? |
| ロイド | 俺たちと同じだろ。俺たちもこの世界に具現化された。でも俺は俺だし、先生は先生だしゼロスはゼロスだぜ。 |
| ロイド | イクスはイクス、ミリーナはミリーナ。そうだろ ? |
| イクス | ……そうだけど、でも、元の俺は――俺たちはもう死んでるってことなんじゃないか ? |
| ロイド | それは……そうだな。その場合は多分そうなんだと思う。 |
| ロイド | でも元のイクスって何だ ?どんな奴で、何をしていたんだ ? |
| イクス | え ? ええっと、どうなんだろう。具現化は本人をそのままコピーするから多分、俺と同じで漁師をしてて心配性で……。 |
| ロイド | でも、そのイクスは俺たちのことを知らないんだろ ? |
| イクス | そりゃそうだよ。元の俺は具現化してた訳じゃないから。 |
| ロイド | じゃあ、別人みたいなもんじゃん。 |
| ミリーナ | ………… ! |
| イクス | 別人じゃないよ、俺の元だから……うーん、昔の俺、かな ? |
| ロイド | 昔のイクスか。うん、ならそれでいいよ。昔のイクスは死んだのかもしれない。もしそうなら、そのことはつらいし残念だよ。 |
| ロイド | でも俺は今ここにお前が――イクスがいて嬉しいぜ。イクスと友達になれてよかったって思う。 |
| ロイド | もし昔の自分が死んで自分が具現化されたことが後ろめたいなら俺のせいにしていいぜ。 |
| ロイド | 俺のために具現化されたんだってさ。 |
| イクス | ロイド……。 |
| ミリーナ | あら、イクスは私のために具現化されたのかも知れないわよ。私と再会するために。 |
| イクス | ミリーナまで……。ミリーナだって俺と同じ立場なのに……。何か気を遣わせちゃってごめん。 |
| イクス | そうだよな。ロイドの言う通り俺、後ろめたかったのかも知れない。元の俺は死んでるのに、具現化されて……。 |
| ゼロス | おいおいおい、それが杞憂って奴だろ ?俺さまたちだって、元の俺さまがどうなってるかなんてわからねぇんだ。 |
| ゼロス | 具現化された直後に死んでるかも知れない。自分の手の届かないところまで気にしてもしゃーないだろ。 |
| イクス | ――はい。くそっ、しっかりしないとな。俺……腹をくくるって決めたのに。 |
| イクス | (そうだ……。馬鹿か俺は。俺なんかより、みんなの方に酷い運命を強いてしまっているのに……) |
| イクス | (早くはっきりさせないと。異世界からの具現化の真実を……) |
| リフィル | それにしても、ゼロス。あなた、さっきこの世界のことを聞いたのに随分と理解が早いのね ? |
| ゼロス | 俺さま、王立学問所の主席よ~ ?地頭がいいんだなぁ、俺さまってば。 |
| ゼロス | 頭も良くて顔も良くて性格も良くて非の打ち所がなさ過ぎるぜ~ ! |
| ミリーナ | ふふ♪ ゼロスくんって本当に頭がいいんですね。 |
| ゼロス | いや~照れるな~ ! でひゃひゃひゃ ! |
| リフィル | ……まぁいいわ。先を急ぎましょうか。 |
| Character | 7話【13-9 入り組んだ街道3】 |
| キール | リフィル先生 !……無事でよかった。 |
| キール | 計算は間違っていなかったしカイルから得られたデータでも、暴走を引き起こす可能性は限りなく低かったが……。 |
| リフィル | ええ。あなたとガロウズが検証してくれたブレスレットですもの。安心して使えたわ。 |
| リフィル | これで今後特異鏡映点が現れてもこのペンダントでこの世界への悪い影響をほぼ打ち消せるわね。 |
| キール | 完璧に、といかないのが悔しいな。でもアニマが逃げる隙は用意しておかないと特異鏡映点に負荷が掛かりすぎる……。 |
| リオン | だが、特異鏡映点とは何なんだ ? |
| リオン | ファントムが人為的に作り上げたなら目的がある筈だ。いっそマークかチェスターに吐かせるか。 |
| チェスター | オレがそんな複雑なこと知ってるわけないだろう ? |
| アーチェ | ちょっと !それ自分で言ってて恥ずかしくない訳 ? |
| リフィル | あら、新顔ね。 |
| イクス | リフィル先生が調査に出ている間に合流したはぐれ鏡映点のアーチェです。クレスやチェスターの仲間だそうですよ。 |
| リフィル | ……あら、あなた、ハーフエルフ、なの ? |
| アーチェ | そうだけど、その言い方だとそっちもハーフエルフってこと ? |
| リフィル | おかしなものね。異世界にもハーフエルフがいてしかもそれに気づくなんて。もしかしたら私たちの世界は―― |
| リフィル | いえ、検証は後にしましょう。 |
| リフィル | それよりこの調子だと、具現化でこちらに現れたはぐれ鏡映点はかなりの数いるのかも知れないわね。 |
| ジェイド | 世界もすっかり広くなりましたからね。意識して捜していかないと出会うのは難しいかも知れません。 |
| アーチェ | あ、眼鏡大佐 ! |
| ジェイド | はい、眼鏡です♪お帰りなさい、リフィル先生。 |
| ジェイド | それから、リオン。特異鏡映点に関しては考察がすんでいます。 |
| ジェイド | おそらく特異鏡映点は、アニマを自在に操り一箇所に集中させるためのゲートとして造り出されたのでしょう。 |
| リオン | アニマを集める、だと ? こんな回りくどいことをしなくても、この世界にはアニマを集約する装置があるんじゃないか ? |
| ジェイド | いえ、鏡映点であることが重要なのです。特異鏡映点の共通点は、何らかの原因で時の因果律が歪められる要素があるということ。 |
| ジェイド | おそらく特異鏡映点の放出するアニマは時間の壁を破ることができる筈です。 |
| リオン | 時間の壁を破るアニマ……。そうか、この世界は過去の具現化を試みて失敗したとゲフィオンが言ったらしいな。 |
| リオン | この世界の過去、ないしは未来を具現化する為に、特異鏡映点を造り出したのか。 |
| リフィル | おそらくね。さぁ、リオン。このブレスレットをマリアンさんに渡してあげて。 |
| リフィル | これで彼女はこの世界に害を与えることもないしおそらく今後ファントムにアニマの反転の力を使われることもないわ。 |
| リフィル | 人体に悪影響がないことは確認済みよ。 |
| リオン | ――わかった。 |
| イクス | 今の話を総合すると、ファントムの目的は特異鏡映点を利用して世界を消滅させる……みたいなことじゃないのか ? |
| ジェイド | ええ。おそらく全く別のものでしょう。 |
| ジェイド | そして――歪んでいると言っても差し支えありませんが、その目的のためなら世界が滅んでもいいとさえ思っている。 |
| ミリーナ | そんな……。自分の目的を叶えても世界が滅んだら意味がないじゃないですか ! |
| ジェイド | ええ。だから歪んでいるんですよ。 |
| カーリャ | じゃあファントムの目的って何なんでしょう。それにマークがミリーナさまたちを狙っていたこともうやむやのままですし……。 |
| ジェイド | 救世軍とマークとファントム。全ては切り離して考えた方がいい。同じ考えで動いていると思うから混乱するんです。 |
| ジェイド | ――さて、そろそろセールンドに着く頃ではありませんか ? |
| アーチェ | んーと、そうみたい。 |
| ジェイド | 皆さん詳しい話を聞きたいだろうとは思いますが、色々と心配なこともあるのでケリュケイオンに人員を残して下さい。 |
| イクス | 心配なこと ? |
| ジェイド | まぁ、色々とよからぬ輩が乗り込んできていますからね。 |
| イクス | マークならカノンノが見ていてくれますよ。それにマークがあの状態で動けるとは思えないですし。 |
| ジェイド | カノンノが信用できるとも限りません。それに……あのゼロスという男もかなり疑わしい。 |
| ジェイド | そう思いませんか、チェスター。 |
| チェスター | し、知るかよ。元の世界の知り合いだっていうリフィルとロイドに聞けばいいだろ。 |
| リフィル | ――ジェイド。やめなさい。 |
| ジェイド | 怒られてしまいました♪とにかくイクス、半数は船に残して下さい。私が残っても構いません。頼みます。 |
| イクス | わ、わかりました……。 |
| Character | 8話【13-10 セールンドの街1】 |
| リフィル | ……いよいよ、ゲフィオン様との面会ね。イクス、心の準備はいい ? |
| イクス | は、はい ! |
| リフィル | ミリーナも……大丈夫ね ? |
| ミリーナ | ……はい。 |
| リフィル | ……ミリーナ。最後に忠告させてちょうだい。全て自分で抱え込む必要はないのよ。もし助けが必要なら、遠慮せずに手を伸ばして。 |
| ミリーナ | ――大丈夫です。 |
| リフィル | ……そう。そうね。あなたはそういう子だものね。 |
| イクス | ……え ? リフィル先生もミリーナもどういうことですか ? |
| イクス | まさか二人とも、これからゲフィオン様が何を話そうとしているのかわかってるんですか ! ? |
| リフィル | ……少なくとも私とジェイドはある程度の事実をわかっているつもりよ。それにキールとリタにも情報を共有してあるわ。 |
| イクス | え ! ? |
| リタ | そ、そんな顔しないでよ。一緒にこの世界の仕組みなんかを調べてたんだから当たり前でしょ ! |
| キール | ぼくは……正直、まだ整理がついていない。知っていることと理解していることは違うからな。 |
| ゼロス | うーわー。知らぬはイクスくんばかりってか ? |
| リフィル | そうね。その点は申し訳ないと思っています。私がキール研究室のみんなにお願いしたの。 |
| リフィル | ゲフィオン様から……或いはミリーナから語られるまでは、イクスを含めた他のみんなには秘密にして欲しいって。 |
| ミリーナ | リフィルさん…… ! |
| イクス | じゃあ、今俺がここで説明を求めても―― |
| リフィル | 今は、語るつもりはないわ。まずはゲフィオン様に会いましょう。 |
| 救世軍兵士 | おっと。ここから先には行かせないぜ。 |
| イクス | 救世軍か ! ? |
| ディスト | ジェイドがきていないではありませんか ! ?こんな肝心なときにジェイドは何をしているんです ! ? |
| ゼロス | 何だぁ ? あのぶっさいくなロボットは ? |
| ディスト | ムキー ! ! 芸術の分からない奴ですね !この四幻将、薔薇のディスト様がこてんぱんにしてやりますよ ! |
| Character | 9話【13-11 セールンドの街2】 |
| ディスト | ええいっ ! お前たち ! そのアホどもを逃がすんじゃありませんよ ! |
| イクス | くそ ! ディストさんを倒してもこれじゃあ―― |
| 救世軍兵士 | あがいても無駄だ。伏せてある兵はまだまだいるんだからな ! |
| リフィル | 待ち伏せしていたという訳ね。 |
| 救世軍兵士 | イクス・ネーヴェの魔鏡を出せば命だけは助けてやる。 |
| リタ | 冗談じゃないわよ ! イクス、あんたの魔鏡は絶対渡しちゃ駄目だからね ! |
| イクス | だけど……。 |
| キール | だけどじゃない !今ケリュケイオンを呼び出してる !味方が来るまでもたせるんだ ! |
| 救世軍兵士 | 味方……ねぇ。ケリュケイオンに連絡がつけばいいがな ! |
| ミリーナ | みんなに何かしたの ! ?――まさか、本当にケリュケイオンの中にスパイが ? |
| イクス | だから……待ち伏せされたってことか ? |
| ジェイド | まぁ、色々とよからぬ輩が乗り込んできていますからね。 |
| イクス | マークならカノンノが見ていてくれますよ。 |
| ジェイド | カノンノが信用できるとも限りません。それに……あのゼロスという男もかなり疑わしい。 |
| ジェイド | そう思いませんか、チェスター。 |
| イクス | (まさか……本当に…… ? だけど……) |
| 救世軍兵士 | さぁ、どうする ? 魔鏡一つでこの場が切り抜けられるなら安いもんだろう ? |
| イクス | 魔鏡を……―― |
| ゼロス | あーあ。がっかりだぜ。ロイドくんも見る目がないねぇ。 |
| イクス | ゼロスさん…… ? |
| ゼロス | 何なのよ、お前ら。ただでっかい船に乗り合わせてるお客様同士って訳か ? |
| ゼロス | それでよくもまぁ、友達だの仲間だの言ってられるぜ。 |
| ゼロス | ホント、お前らの旅は随分適当なもんだったんだな。薄っぺらいお仲間だことで。 |
| リタ | はぁ ?新入りが勝手なこと言わないでくれる ?あんたに何が分かるのよ ! |
| キール | 確かに気に入らない奴だっている。それでも、ぼくたちはお互いの力を――仲間を信じている。そうだろ、イクス ! |
| イクス | ……そうだ。確かにみんながみんな全てを話してはいないかも知れない。でもここまでの旅は嘘じゃない。 |
| イクス | 嘘が混ざっていたとしてもそれでも俺はみんなに助けられた。だから……魔鏡は渡さない ! |
| 救世軍兵士 | 何だと ? |
| イクス | ジェイドさんたちがこの状況に気づかない筈はない。 |
| イクス | たとえ情報が漏れていてもそんなの関係ない ! |
| イクス | 俺はケリュケイオンのみんなを信じる !今はこの場をもたせよう ! |
| ゼロス | よく言った ! そういう気持ちがいい台詞を聞きたかったのよね。よっしゃ、もう一働きするぜぇっ ! |
| Character | 11話【13-12 セールンドの街3】 |
| キール | はぁ……っはぁ……っ。ここまで来れば大丈夫か ? |
| リタ | ねぇ、ゲフィオンが狙われてるってどういうこと ? |
| リフィル | イクス。さっきマークから受け取ったのは手紙ではなくて ? |
| イクス | あ、はい。そうみたいです。――ミリーナ。手紙を読む間追っ手をごまかしてくれないか ? |
| ミリーナ | わかったわ。最近覚えた幻の霧が使えると思う。これからみんなの姿を隠すわね。 |
| ミリーナ | 声は隠せないから人が近づいてきたら知らせるわ。 |
| キール | ……この霧も魔鏡の作りだした幻か。 |
| リフィル | ただの霧ではないわね。光の屈折を利用して、私たちの姿を捕捉できないようにしている……。 |
| リタ | これ、面白いわね。何かに転用できそう。 |
| ゼロス | はいはいはーい ! 魔鏡術の考察は後回しにしてマークの手紙とやらをチェックしようぜ。イクスくん、頼むわ。 |
| イクス | あ、はい。読みますね。……えっと―― |
| マーク | イクス。ミリーナ。すまない。ケリュケイオンが襲われた。俺のせいだ。 |
| マーク | 俺の部下に鏡映点のアルヴィンって奴がいるんだがそいつが俺が伝えたイクスたちの情報を流したらしい。 |
| マーク | ファントムのスパイとして使っていたんだが奴に正体がばれそうになって俺やイクスの情報を流すしかなくなったと言っていた。 |
| マーク | アルヴィンの話だと、ゲフィオンを捕らえて北の監獄に送る計画があるらしい。 |
| マーク | ゲフィオンからお前たちに情報が伝わらないようにするためだろうって話だ。急いでゲフィオンを確保した方がいい。 |
| マーク | それから、ケリュケイオンは無事だ。だが、こうなった以上、お前たちの世話になる訳にはいかない。今までありがとうな。 |
| ゼロス | ……救世軍の仲間割れってことか。 |
| イクス | ゲフィオン様が北の監獄に連れて行かれる前に助け出さないと……。 |
| ミリーナ | ――待って。誰か来るわ。声を出さないで。 |
| 救世軍A | マークさんが戻ってきたって本当か ! ? |
| 救世軍B | 相変わらずめちゃくちゃ強くて手が付けられないらしいぜ。 |
| 救世軍A | ……俺、マークさんには世話になってるし戦いたくねぇな。死神ディストより断然マークさんだろ。 |
| 救世軍B | わかるわー。俺も。ゲフィオンは確保したんだし俺らがサボっても大丈夫だろ。 |
| コーキス | ゲフィオンさま捕まっちゃったのかよ ! ? |
| 救世軍A | え ! ? どこから声が…… ! ? |
| イクス | 馬鹿っ ! 気づかれたぞ ! ? |
| リフィル | 丁度いいわ。あの二人を捕まえてゲフィオン様がどうなったのか聞きましょう。 |
| ミリーナ | じゃあ、霧を払います ! |
| 救世軍AB | ! ? |
| ゼロス | 美青年剣士ゼロス・ワイルダー参上ってな。さぁ、俺さま以上におしゃべり上手になってもらうぜ ! |
| Character | 12話【13-12 セールンドの街3】 |
| リフィル | リオンとジェイドが、さっき捕まえた救世軍から情報を聞き出してくれたわ。 |
| リフィル | やはりゲフィオン様は既に北の監獄へ連れて行かれたようね。 |
| ロイド | ……そうか。じゃあ、急いで北の監獄に向かわなきゃな。 |
| ロイド | ところでマークとカノンノは ?一緒じゃなかったのか ?イクスたちを助けに行ってくれたんだけど。 |
| イクス | ああ、助けに来てくれたよ。でも……ケリュケイオンを降りるって……。 |
| ロイド | 何だよ、それ ! |
| ロイド | ――あ、そうか。ジェイドの奴それに気づいてて、わざとマークとカノンノだけをイクスたちの救援に向かわせたのか ! |
| ロイド | ……くそ。話を聞きたいときに限ってブリッジにいないのかよ。後で見つけたらとっちめてやらないと。 |
| イクス | そういえばケリュケイオンも襲われたんだろう ?みんな大丈夫だったか ? |
| ロイド | ああ。こっちは大所帯だからな。みんなで戦ったんですぐに救世軍を追い払えたよ。 |
| ロイド | ミリーナの方は大丈夫だったか ? |
| ミリーナ | え ? 私 ? |
| ロイド | 救世軍の奴ら、ミリーナを捜してたみたいだったぞ。ミリーナがいなかったのもあってすぐに追い払えたんだ。 |
| ミリーナ | ………………。 |
| イクス | ミリーナ、何か心当たりがあるのか ? |
| ミリーナ | ……いえ、ただちょっと心配になって。 |
| リタ | ねぇ、ミリーナ、何か隠してない ? |
| ミリーナ | ………………。 |
| キール | ミリーナ。みんな随分前から、お前のことを心配してるんだ。 |
| キール | こういうのがお節介だってことはぼくにもわかるが、もしも話せることがあるなら話してみたらどうだ。 |
| ミリーナ | ――そう、ね。黙っていることはあるわ。ごめんなさい。 |
| リタ | 別に謝らなくてもいいけどそれってイクスにも言えないことなの ? |
| ミリーナ | 今は……。でもゲフィオン様を助け出したら話せる……筈よ。 |
| イクス | ミリーナ……。 |
| ゼロス | ………………。 |
| ロイド | イクス、ミリーナのことを信じて待っていようぜ。ゲフィオンを助け出したら話してくれるって言ってるんだからさ。 |
| イクス | ……わかった。ミリーナ、後で必ず話してくれよな。 |
| ロイド | なぁ、今度は俺も一緒に行くよ。今回はゲフィオンを助け出すだけなんだろ ? |
| ゼロス | ハニーは現金だな~。難しい話がなさそうだとわかった途端にこれかよ。 |
| ロイド | べ、別にそんなんじゃ……。まぁ、そうなんだけど……。 |
| リフィル | まったく、しょうがない子ね。 |
| ミリーナ | ………………。 |
| Character | 13話【13-14 北の監獄2】 |
| デミトリアス | ……ケリュケイオンは北の監獄に向かったようだよ。アルヴィンが首尾よくやってくれたようだね。 |
| ファントム | では、もうアルヴィンは用済みですね。 |
| デミトリアス | リーパ、もうやめたらどうだい。ゲフィオンも悲しむ。 |
| デミトリアス | それにアルヴィンだってメルクリアによくしてくれていたし。 |
| ファントム | 黙っていて下さい。フィルのやり方は甘い。自分の本心を押し殺すからこんなことになるんです。 |
| ファントム | 私はあの時のフィルの感情を鮮明に覚えています。 |
| ? ? ? | ミリーナ ! 無事で良かった ! |
| ミリーナ | ………………。 |
| ? ? ? | ……あれ ? イクスは ? |
| ? ? ? | ――まさか……イクスは……。 |
| ミリーナ | ビフレストの……軍人が……オーデンセを襲撃して……。 |
| ? ? ? | ! ? |
| ミリーナ | みんな……みんな殺されたわ……。 |
| ? ? ? | ミリーナ……。ミリーナ、泣かないで。僕がいるよ。僕がイクスの代わりにミリーナを守るから。 |
| ミリーナ | ……許せない……ビフレスト……。私……絶対にビフレストを滅ぼすわ。この魔鏡の力で。 |
| ? ? ? | ……だったら、僕も協力する。イクスは僕たちの……大事な仲間だったんだから。 |
| ファントム | ……そうして【お前】は何を手に入れた ? |
| ファントム | ――何も手に入れられなかった。お前は負け犬なのだよ、フィル。私は――そうはならない ! |
| ファントム | まずはこの地にアニマを集中させる ! |
| イクス | いたぞ ! あの牢屋だ ! |
| ゲフィオン | ――イクス ! ? 何故ここに……。 |
| イクス | ゲフィオン様が攫われたと聞いて助けに来たんです ! |
| キール | この鉄格子、どうする ?何とかして壊さないと―― |
| ロイド | いや、この程度の鍵なら多分開けられると思う。ちょっと待っててくれ。 |
| リタ | へぇ、意外な才能。ロイドって盗賊になったらいいんじゃない ? |
| ロイド | 嫌だよ、そんなみみっちいの ! |
| ゼロス | スケールのでかい盗賊になればいいじゃないのよ。世界中の宝石を盗むジュエルハンターとか。 |
| ロイド | ジュエルハンターって響きは何か格好いいな。 |
| ゲフィオン | みんな……すまない。これはきっと罠だ。急いでカレイドスコープの元へ向かわねば世界を護るアイギスの盾が崩壊する。 |
| ミリーナ | え ! ? |
| リフィル | ――やっぱりね。 |
| リタ | ホント。気にくわない奴らだけど、こういう推理させたら、あの眼鏡軍人とマントの坊ちゃんは役に立つわよね。 |
| ロイド | な、何だよ ? どういうことだ ! ? |
| リフィル | マークとカノンノを監視も付けずに放り出す訳ないでしょう ? |
| カーリャ | ま、待って下さい。アニマが……ぐるぐるして…… ! ? |
| コーキス | ……うぇ、吐きそう……。マスター……。苦しい…… ! |
| ガロウズ | た、大変だ !大陸が――大陸が次々具現化されてるぞ ! ? |
| Character | 14話【13-15 北の監獄3】 |
| ガロウズ | 何なんだこれは ! ? |
| ジュード | 大陸がどんどん増えていく…… ! ? |
| カイウス | うわっ ! ? な、何だ、地震か ! ? |
| シング | ……揺れてる ! ?――というか、なんでオレこんなところに ! ? |
| セネル | な、何だ ! ? ここは―― |
| ルカ | え ! ? ここ、どこ ? みんなは―― |
| ヴェイグ | ――っ ! ? |
| コーキス | カーリャ ! ? |
| ミリーナ | …………うぅ……。 |
| イクス | ミリーナ ! ? ゲフィオン様 ! ? |
| イクス | ミリーナ ! しっかりしろ ! |
| リタ | 駄目だわ。気を失ってる。 |
| ロイド | イクスは大丈夫なのか ? |
| イクス | かなり気持ち悪いけどまだ気を失うほどじゃない。 |
| リタ | とはいえ、本調子じゃないのね。だったらロイドあんたがミリーナを運ぶのよ。 |
| リタ | いったんケリュケイオンに戻らないと。 |
| イクス | ゲフィオン様は―― |
| キール | ――え ! ? あ、いや……。 |
| ゼロス | あー。そういうことか。そりゃ、わかってても動揺するわな。ゲフィオン様は俺さまが運ぶわ。 |
| リフィル | ――ありがとう。助かるわ。キール、それでいいわね。 |
| キール | あ、ああ……。そうだな。ゼロスに任せよう。 |
| リオン | ――聞こえるか。思っていたとおりマークとチェスターが合流した。このままクレスと追跡する。 |
| ジェイド | 私はカレイドスコープのところへ潜入して暴走が起きていないか確認してきます。 |
| ジェイド | それとカノンノがそちらに向かった筈です。後は任せましたよ。 |
| イクス | どういうことです ? |
| リフィル | マークとカノンノにはジェイドとリオンがチェスターにはクレスが付いて動きを探っていたの。 |
| イクス | チェスターが……。 |
| ゼロス | まぁ、待てよ、イクス。二人が何かを隠していることは間違いない。 |
| ゼロス | だが、それが裏切りだとは限らない。まだ何もわかっちゃいないんだ。 |
| ゼロス | お前、ケリュケイオンのみんなを信じるって決めたんだろ ? だったら焦るなよ。ドシッと構えてな。 |
| イクス | ……はい。俺、未熟者だからちょっと揺れかけましたけど、でも大丈夫です。 |
| リタ | どうでもいいけど、いつまでもここにいるのはまずいんじゃない ?建物が崩れてきたらおしまいなんだけど。 |
| リフィル | イクス。リタの言う通りまずはここを離れましょう。急ぐわよ。 |
| イクス | はいっ ! |
| Character | 15話【13-15 北の監獄3】 |
| イクス | 外に出る扉が閉まってるぞ ! ?くそっ ! 押しても――開かない ! ? |
| コーキス | マスター。上の方に小さな明かり取りの窓がある。俺なら抜けられそうだから見てくるよ。 |
| コーキス | 駄目だ、マスター !瓦礫が扉のとこに落ちててふさいじまってる ! |
| キール | ケリュケイオンに助けを求めるか……。 |
| ? ? ? | そこをどけ。 |
| コーキス | へ ? あんたたちは―― |
| ? ? ? | 聖なる鎖に抗ってみせろ !シャイニング・バインド ! |
| ロイド | ――この声は ! ? |
| イクス | コーキス ! 誰かいるのか ? |
| ? ? ? | 後は任せたぞ。 |
| イクス | カノンノ ! ?――そうか、そういえばさっきこっちに向かってるって言ってたな。 |
| カノンノ・E | え ? どういうこと ? |
| ロイド | ――なぁ、カノンノ、コーキス !今もう一人いただろう ! ? |
| カノンノ・E | あ、うん……。コレットと同じような羽が生えてる人が……。 |
| ロイド | やっぱり……クラトス ! ? |
| カノンノ・E | うん……。多分クラトスさんだと思う。私の世界にもそっくりな姿のクラトスさんって人がいたから。 |
| カノンノ・E | ロイドの世界でも、ロイドとクラトスさんは親子……なんだよね ? |
| ロイド | えっ ! ?あ、ああ――あの……それは……。 |
| ゼロス | ――あーっと、その辺は、まあ色々とあるのよ、カノンノちゃん。 |
| ゼロス | ほれ、秀才くん。バトンタッチ !ゲフィオン様のこと抱っこしてあげな♪落とすなよ~ ? |
| キール | な、何だよ、急に……。ぐっ、お、落とすもんか…… ! |
| ゼロス | クラトスがいたんだろ ?俺さまちょっくらその辺りを捜してみるわ。通信機借りてくぞ。 |
| イクス | え、ゼロスさん ! ? |
| ゼロス | そっちは大所帯だ。俺さま一人いなくても大丈夫だろ ?クラトスは色々と因縁のある相手でね。 |
| ゼロス | ロイド君も会いたいだろうししばらくクラトスを捜すために単独行動させてもらうぜ。 |
| ロイド | あ、おい、ちょっと待てよ ! ゼロス ! |
| リフィル | ロイド。今は好きなようにさせてあげなさい。 |
| ロイド | ゼロス……。 |
| リフィル | カノンノ。あなたはどうしてここに ? |
| カノンノ・E | マークに言われたんです。イクスたちを助けてくれって。 |
| カノンノ・E | 北の監獄に向かったのはわかっていたから私もゲフィオン様を助ける手助けをしたくて……。 |
| リフィル | そう……。つまり、あなたはこれが罠であることを知らなかったのね。 |
| カノンノ・E | 罠 ! ? どういうことですか ? |
| リフィル | やっかいね。誰が何をどこまで知っているのか……。 |
| リフィル | いえ、そうでもないのかも知れないわね。ゲフィオン様はここにいる……。 |
| コーキス | そういや、ゲフィオンさまは大丈夫かな ? |
| キール | あ、おい ! ゲフィオンの顔の周りを飛ぶな ! |
| コーキス | やば ! ? 手が仮面に引っかかっちまった ! ? |
| コーキス | ――って、ゲフィオンさまの顔ミリーナさまにそっくりじゃん ! ? |
| 三人 | ! ? |
| コーキス | マスター ! ?ゲフィオンさまとミリーナさまって親戚なのか ! ? |
| イクス | そんな筈は……。 |
| リタ | ……もう話した方がいいんじゃない ? |
| イクス | 何を知ってるんですか ?もしかして――もしかしてゲフィオン様は……ミリーナなんですか ! ? |
| リフィル | そうね。ケリュケイオンでみんなに説明するわ。ゲフィオンとミリーナの関係について。 |
| リフィル | イクス。あなたには辛い話になるかも知れない。覚悟はできていて ? |
| イクス | ――大丈夫です、とは正直言い切れません。でも、俺は逃げたくない。聞かせて下さい。全てを。 |