Character1話【11-1 アセリア領の世界樹1】
? ? ?(ごめんなさい、イクス……。あなたまで、この無間地獄に引きずり込んでしまった)
? ? ?(きっとあなたも虚無の痛みと苦しみを感じているでしょう。私も同じ……。意識を保つのがやっとだわ……)
ミリーナ(これは……夢…… ? )
イクスクッ…… !
ミリーナ(イクス…… ! ?もしかしてこれは滅びの夢の続き…… ?ゲフィオンの記憶なの ! ? )
ゲフィオン(今の私は人型のカレイドスコープ。声を発することもできない)
ゲフィオン(イクスを……私のエゴで生み出された三人目のイクスを、慰めることも勇気づけることも彼に謝ることすらもできない。もどかしい……)
ミリーナ(辺りは虚無と死の砂嵐とイクスだけ……。これが人体万華鏡になったゲフィオンの見ているもの……)
ゲフィオン(事態は悪い方へ進むばかり……。どうすればいいの……。何か知っている筈なのに思い出せない……)
ゲフィオン(私は……記憶を切り離してしまったの ?わからない……)
ミリーナ(ゲフィオンが人体万華鏡になってから記憶の共有は途切れていたのに……。どうして今になって……)
ミリーナ(いえ、詮索は後だわ。ここはどこかしら。カーリャはどこ ?確か私たちは森で――)
? ? ?目が覚めたか。黒衣の鏡士。
ミリーナあなたは私たちを襲った……。
? ? ?貴様に話がある。
ミリーナいきなり襲いかかっておいて話をしろなんて随分図々しいのね。
? ? ?世界を滅ぼした女ほどではない。お前はその分霊に過ぎぬようだが……それでも記憶を共有していると聞いた。
ミリーナあなたは何者なの ?どこかで見覚えがあるわ。きっと鏡映点……よね。
ダオス我が名はダオス。
ミリーナ! !
ミリーナ(クレスさんたちの世界の――魔王 !物理攻撃は効かない……と聞いたことがあるわ。魔鏡術なら少しは――)
ダオス……また、か。
ミリーナ(来る ! ? )
ミリーナな、何 ? 魔物 ! ?
ダオス伏せろ、鏡士。
ダオス――
ダオスここにまで現れるとは……。この森が奴らに寄生されつつあるというのか。
ミリーナあ……あの、ダオス……。ありがとう……ございます。今の……魔物、のようなものから助けて下さって。
ミリーナもしかして世界樹の前で私たちを襲ったのも本当は――
ダオスお前たちを襲ったつもりはない。あの得体の知れない『アヤカシ』共に邪魔をされたくなかっただけだ。
ダオス奴らに見つかる前に世界樹の側を離れるつもりであったが小さな鏡精が騒ぎ立てたせいで面倒なことになった。
ミリーナ……あの、カーリャは無事なんでしょうか。
ダオスあのアヤカシは、鏡精には攻撃を加えぬようだ。うるさく抵抗するから気絶させたが、問題なかろう。
ミリーナそんな言い方……。
ダオス……またアヤカシ共が来るぞ。時間がない。鏡士よ、答えるのだ。
ダオスこの世界から離れる術はないのか ?ここは愚かな人間どもに造られた、閉じた箱庭。しかし最初から閉じていた訳ではないだろう。
ミリーナない筈……です。ゲフィオンの記憶に該当するものはありません。でも……ゲフィオンは自分の記憶に空白があると言っていました。
ダオス――時間切れのようだ。
ミリーナ! !
? ? ?シネ カガミシ。
ミリーナきゃあああっ ! ?

Character2話【11-3 アレウーラ領】
ルビア……どう ? 治癒術効いてる ?
イオンはい……。ありがとうございます。
ロゼ……うん。顔色もよくなってきたしこれなら大丈夫みたいだね。さすが、ルビア。
ルビアそんなことないわよ。それにあたしもアジトのみんなに助けてもらったから、これぐらいは当然だもの。
カイウスなぁ、イオンって帝国にいるんだろ ?今あっちはどうなってるんだ ?メルクリアはどうしてるんだ ?
イオン皇女メルクリアですね。残念ながら僕はお会いしたことがないんです。
イオン僕は具現化されてからずっと……その、僕の双子の兄……のような存在に預けられていましたから。
カイウスイオンも双子なのか ! ?
ルビアカイウスとルキウスもそうだしルークとアッシュもそうだし、何だか双子だらけね。
二人………………。
ロゼ――あ、誰か来る。この足音はスパーダ、かな ?
スパーダよぉ、大丈夫か ?
カイウススパーダ !
ルビアあら、スパーダ一人なの ?
スパーダああ ? オレ一人じゃ不満か ?
ルビアそんなこと言ってないでしょ。
ルビアこれからアレウーラ領を調査したり、ハスタって奴を追いかけたりするんだから、てっきりイリアとルカも来てくれるんだと思ってたのよ。
スパーダハスタ、ねぇ……。まったく異世界にまで来てあいつと関わるとは思わなかったぜ。
スパーダま、そいつはともかく、計画は一旦中止になった。
ロゼどういうこと ? ユリウスさんが向かった精霊の封印地で何かまずいことがあったの ?
スパーダいや、そっちは一旦片付いたらしいんだが今度はアジトの方で問題が発生したんだよ。
スパーダで、色々情報も整理しなきゃならないってんで各地に散らばってる調査隊も全員引き上げようってことになったらしいぜ。
カイウスそれで、アジトで何が起きたんだ ?
スパーダミリーナがいなくなっちまったんだよ。
三人! !
ロゼいなくなったって、どういうこと ?攫われたの ? あのアジトで ?
スパーダそこら辺は、今調べてるところだ。
ロゼなるほどね。確かに色々立て続けに事件が起きすぎてる。
ロゼこっちもハスタの捜索は適当なところで切り上げた方がよさそう。
カイウスだったらアジトに戻りがてらこの辺りの情報を集めていこう。いいだろ、スパーダ。
スパーダおう。そのつもりでこのスパーダ様が来てやったんだからな。ルビアにはルカも世話になったしよ。
ルビアそんなのお互い様よ。でも……イオンを連れ回すのはよくないわよね。あたし、先にイオンを連れてアジトに戻るわね。
イオン………………。
デクスじゃあ、俺もそろそろ持ち場に戻るとするか。制服無くした言い訳は考えておかないとなぁ……。
イオンあの……デクスさん。帝国へ戻るなら、僕も一緒に連れて行ってもらえませんか ?
ルビアえ ! ? その体で帝国へ帰るの ! ? 無茶よ !
イオン……はい、確かにその通りだと思います。ですが、僕はまだハロルドとの約束を果たしていません。
イオン彼女は自分の身に危険が及ぶことを承知の上で僕を送り出してくれました。彼女の信に答えなければ僕がここにいる意味がありません。
ロゼ……約束って、何 ?
イオン各地に派遣されている領主――リビングドールβを救うことです。
スパーダ『心に剣を持ち、誰かの楯になれ』『右手に規律を、左手に誇りを』『己を殺し、永久の礎にせよ』
スパーダ『正しき道を正しく歩め』『個よりも全に仕えよ』
デクスなんだ、そりゃ ?
スパーダ騎士の心得だ。オレの中に叩き込まれて、裏切れねェもんなんだ。こいつもそうなんだろうと思ってよ。
イオン――はい。僕はこの世界ではあまりに無力だ。それでも……託された信頼を……思いをそして苦しむ人々を放っておくことはできません。
ロゼ導師、か……。世界は違っても、導師って呼ばれる人は何となく似てるとこがあるんだね。
ロゼいいんじゃない。魔鏡通信機は持ってるんでしょ ?何かあったらこっちに連絡をくれればいい。きっと誰かが助けに行く。
イオンありがとうございます。
ルビアでも、イオン。ルークたちはきっとイオンのこと心配してるわよ。だから自分を大事にすることは忘れないでね。
イオンはい。僕の代わりは……いませんから。

Character3話【11-4 テセアラの世界樹】
ミトス毒気に当てられたって顔してるね。どうだった ? シングって毒は ?
シンク別に。何かわめいていたけど、もう忘れたよ。そっちこそ帝国にいた頃にあの毒を浴びてたんじゃないの ?
ミトス知らなかった ?ボク、ああいうタイプの毒には耐性があるんだよ。墜ちた勇者だからね。
シンク……フン。
ジーニアスどうしたの、二人とも。凄く怖い顔してるよ。……ってシンクの顔は見えないけど。
ラタトスクやめとけ、ジーニアス。どうせろくな話じゃない。
ジーニアス……そう ? でも、まあ、無理に聞き出すことじゃないよね。誰だって触れて欲しくないことってあるもん。
ミトスところで、ジーニアスこそどうしたの ?エミルとラタトスクと三人で何か真剣に話していたでしょう ?
ジーニアスあ、そうそう。大樹カーラーンのことだよ。えっと……ミトス、ボクたちの世界の大樹のこと覚えてる……よね?
ジーニアスボクの知ってる大樹は、一度急激に大きくなって暴走して……枯れたんだけど……。
ミトス……うん、知ってる。多分、ボクとジーニアスは同じような時期に具現化されたんだね。
ミトスごめんなさい、言いにくいことを言わせて。
ミトス元の世界での大樹の暴走は、ボクが君たちを利用して引き起こしたようなものだからジーニアスが気にすることはないよ。
シンク何があったのか知らないけど相変わらず同族には甘いね、墜ちた勇者サマ。
ジーニアスそんな言い方しないでよ !
ミトスいいんだよ、ジーニアス。事実なんだから。それより、まだ続きがあるんでしょう ?
エミル(ミトスのシンクとジーニアスへの態度の差が……)
ラタトスク(っていうか、ジーニアスとリフィルに甘いんだよ。あいつは……)
エミル(そ、そうかも……)
ジーニアスあ、うん。えっと、僕らの知ってる大樹は枯れた状態でエミルの知ってる大樹は、芽が出たばかりの小さな木だったんだって。
ジーニアスエミルはボクたちより未来の世界の人だから樹の状態が一致してなくてもおかしくはない。
ジーニアスでも、どちらの世界が影響したにせよ僕らの世界を具現化したのならこんな立派な大樹は存在していないと思うんだ。
シンク具現化ってのは、鏡映点を通すから鏡映点の記憶とか感情が影響するんだろ ?
シンクこの大陸を具現化した時一番の核になったのはクラトスの息子なんだからあいつの影響じゃないの ?
ジーニアスロイドだって、枯れた樹しか知らない筈だよ。
ミトスラタトスクの影響じゃない ?ラタトスクは知ってるでしょ大樹カーラーンが元気だった頃の姿。
エミル……ああ。だが、あの樹は俺が知っているカーラーンの姿とも違う。デカすぎる。
ミトスどういうこと ?
シンク……成長しているってことだろ。しかもラタトスクの口ぶりだと、異常なほどにさ。
ミトスボクが若かった頃には、大樹もかなり弱っていたから元の姿はわからないけど……。
シンクこうなると、やっぱりソーマ使いを無理矢理連れてきた方がよかったんじゃない ?
ジーニアスでも本当に植物にスピルリンクできるかどうかは賭けみたいなものだったから……。
エミル……とりあえず俺がこの樹にアクセスできるかどうか試してみる。
ラタトスク――……応えろ、大樹カーラーン !
ラタトスク……なん……だ……これは…… ?
ジーニアスどうしたの、ラタトスク ! ? 顔が真っ青だよ !
ラタトスク……………………。
ミトスアクセスできなかったの ?それとも『他の精霊』が見えた ?
ラタトスク……わからない。
シンクはぁ ?
ラタトスク何かが……いた。この樹は俺の樹だ。だが……俺だけの樹じゃなくなっていやがる。
ミトスロイドたちが……未来の世界で大樹の種子――大いなる実りから大樹を芽吹かせた。その時大樹には新しい精霊が誕生した……って聞いた。
ラタトスク……それでも、これは俺の樹だ !
シンク所有権はどうでもいい。後で勝手に主張してよね。
シンクそれより、アンタだけの樹じゃなくなってるってのはその新しい精霊とやらもこの世界に具現化されてこの樹に取り憑いてるっていうこと ?
ラタトスクいや、新しい精霊……は痕跡しか残っていない。どこかに立ち去ったのか、帝国が捕まえたのか定かじゃねぇ。
エミルさっきこの樹にいたのは精霊じゃないよ。あれは……呪いの塊のようなものだった……。
エミルそれがマナ――ここではキラル分子だっけ。とにかくそれを集めている……ように感じたけど。
ジーニアスキラル分子を集めているから樹が異常発達してるってことなんじゃない ?確かにこの辺りはマナが異常に濃いもん。
ミトス………………。
シンク――ちっ。死霊使い(ネクロマンサー)から呼び出しだ。
ジーニアスジェイドさん ? 嫌なら代わろうか ?ボク、意外とあの人嫌いじゃないよ。ちょっと面倒くさいけど。
シンク……だったら任せるよ。顔を見ると今すぐ殺しにいきたくなるからさ。
ジーニアス怖…… !
ラタトスク……おい。どういうことだ。
ミトス何のこと ?
ラタトスクおかしいと思ったんだ。お前が人間共に協力して精霊の調査だのと言い出すなんて。
ラタトスクあの得体の知れない呪いの塊はともかく何なんだ、あの新しい樹の精霊は。なんで精霊の名前が『マーテル』なんだ ?
ミトスさぁ、ね。アセリア大陸の影響じゃないの ?元々この大陸は、あっちとキメラ結合していたし。
ミトスクラースたちの世界にはいるんでしょ。マーテルって精霊が。
ラタトスク……そっちの精霊のことは知らねぇが俺がカーラーンの中で見た精霊の痕跡……あの新しい精霊は、マーテルと同じ顔をしていたぞ。
ミトス……そう。やっぱり、そうなんだ。

Character4話【11-5 アジト】
ルカおかえり、スパーダ !ロゼさんもカイウスもルビアもお疲れ様 !
イリアで、どうだったの ? ハスタの奴は ?
スパーダ実際に遭遇することはなかったんだがよ。ああいう奴だから目撃証言も痕跡も腐るほどあってな。
スパーダ大体の足取りは掴めたぜ。
カイウスハスタの奴、イオンがオレたちに匿われた辺りでイオンの足取りを見失ったみたいで、近くの町や村を順番に……襲っていったらしいんだ。
ルカそんな……。
ルビアどこもひどい有様だったわ。人捜しのために襲ったなんてレベルじゃなかったもの。
イリアそれ、ほっといて大丈夫なの ! ?何かした方がいいんじゃない ?
ロゼとりあえずセキレイの羽には、被害に遭った村や町を回るように伝えた。こんな時だけど、アジトからも救護の手を出したいから、ちょっと話をまとめてくる。
ロゼ………………。
ルビアあたしも行くわ。あたしたちの世界が元になっている大陸で起きたことだもの。他人事とは思えない。カイウス、報告は任せたわよ !
ルカそれで……ハスタはどうしたの ?まだアレウーラ領で暴れてるの ?
スパーダいや、それが、途中で駐留兵を残して引き上げちまったらしいんだ。どうも船で帝都に向かったらしい。
カイウスイオンがデクスと帝都へ向かってるからそれに感づいた……とかじゃないといいんだけど。
スパーダまあな。ただ、お前の仲間の――
カイウスティルキスとアーリア ?
スパーダ――そう、そいつらは上手いこと逃げ切れるんじゃねェか。ハスタの意識はイオンの方に向いてるみたいだからよ。
ルカイオン……さん、か……。
スパーダあ ? なんか気になることがあるのか ?
ルカうん……。後で話すよ。ミリーナのことも心配だし、色々ばたついてるから。
ルカそうだ、カイウスの仲間の件はカロル調査室にも共有した方がいいね。
カイウスそうだな。オレ、カロルに話してくるよ。それにイオンたちやハロルドさんのことも心配だしさ。
ミクリオ――この浮遊島で、誰かに攫われるなんてことは考えにくい。やっぱりミリーナは自発的にどこかへ出かけたんじゃないか。
エドナだとしても、自分が帝国に追われている立場だってことぐらいわかっている筈よ。帝都や領都のような人目に付く場所には行かないんじゃないかしら。
ロンドリーネねぇ、ミリーナが帰ってこないってホント ! ?
ジェイドおや、まるでミリーナが出掛けたことをご存じのような口ぶりですねぇ。
ロンドリーネ……ごめん。こんなに大事になるなんて思ってなかったから……。
ジョニーロディ、何があったんだ ?
ロンドリーネ実は――
ロンドリーネあれ ? ミリーナ。どこかに出掛けるの ?
ミリーナロディ !ええ、ちょっとやることができちゃって。でもすぐに戻るわ。
ミリーナあっ、それと、このことはみんなに内緒にしててね。特にミトスには、絶対よ。ちょっとしたサプライズの仕込みだから。
ロンドリーネこれが昼間の話。軽い感じだったからパーティーか何かの買い出しかなって。そういうこと、みんなよくやるでしょう ?
スレイミトスには絶対内緒……ってことはミトスには何か心当たりがあるかも知れないね。
エドナ大佐のボーヤ。
ジェイドもうやっていますよ。不本意ながらね。
ジェイド――おや、シンクにかけたつもりでしたがそこまで嫌われていましたか。いやぁ、残念です。
ジーニアスもー、そういうこと言うから嫌われるんだよジェイドさん。それで、何の用 ?
ジェイド単刀直入に言いますが、ミリーナが外出したまま連絡がなく、魔鏡通信にもでません。ミトスなら心当たりがあるのではないかと思うのですが。
ミトス……もしかして、アセリア領の世界樹、かな。写真があったら欲しいとは言ったよ。
ジェイド――なるほど。ありがとう。もう夜も遅い。そちらも気を付けて戻ってきて下さい。
ミトス……いや、ボクたちはこのままアセリア領に向かうよ。丁度あっちの世界樹も見たいと思ってたんだ。
ジェイドそれはそれは……。
ミトス――何 ?
ジェイドいえ、謎が解けるといいですね。お気を付けて。
ジェイドジーニアス、そのメンバーではあなたとエミルが一番常識的だ。他のメンバーの手綱をしっかり握っていて下さい。
ジーニアス了解 !
スレイミリーナはアセリア領の世界樹に向かったのかな。それで……何か不測の事態が起きた。
ミクリオあの辺りは帝国の監視も薄いし安全な場所だと思っていたが……。
ジョニーアセリア領、か。カロル調査室の報告じゃ最近ダオスとかいう奴があの辺りをうろついてる……って言ってなかったか ?
コンウェイミリーナさんのことケリュケイオンに連絡してきたよ。
コンウェイところで、面白そうな話をしているね。
エドナ面白い ? 何が ?
コンウェイアセリア領に魔王と呼ばれたダオスがいるってところが、さ。やっぱりクレスくんたちを呼ぶのかい ?
ジェイド……そうですね。アセリア領を調査するなら彼らの方が適任でしょう。
ジェイドイクスが戻り次第出発できるようクレスたちに協力を仰ぎましょう。
コンウェイなら、ボクも同行させてもらおうかな。
ジェイドおや、これはまた珍しい。
コンウェイこんな機会は滅多にないからね。
スレイオレたちも一緒に行った方がいいんじゃないか。人手は少しでも多い方がいいだろ ?
ジェイドええ。ただ、世界樹の傍にいない可能性もあります。念のため、世界樹を中心に、アセリア領全土にも捜索範囲を広げておきましょう。
ジェイドスレイ、ミクリオ。他に協力してもらえそうなメンバーを集めてきて下さい。それと――
エドナもう一度ケリュケイオンに連絡、ね。

Character6話【11-6 アトワイト】
イクスミリーナの奴……。朝になってもアジトに帰ってこないなんて……。全然連絡も取れないし……。
ロンドリーネ本当にごめん……。すぐに帰ってくるから誰にも言わないでって頼まれてて……。
ロンドリーネでも……まさか連絡が取れなくなっちゃうなんて思わなかったから……。
イクスいや、ロディは悪くないよ。それより秘密だったのに話してくれてありがとう。
コンウェイ世界樹ユグドラシルの写真を撮りに行くなんて素敵だよね。ボクも誘って欲しかったな。
クラース……もしや世界樹を見たくてミリーナの捜索に来たのか ?
コンウェイまさか。ミリーナさんの身を案じてついて来たに決まってるじゃないか。……それにしても本物の世界樹は素晴らしいね。想像以上だよ。
アーチェ本物っていうか、具現化した世界樹だけどね。
クレスイクス ! あそこにいるのはカーリャじゃないか ! ?
イクス本当だ ! ? カーリャ ! ? どうしたんだ ! ?
カーリャイクス……さま……。ミリーナさまが……。連れていかれて……。
イクス何 ! ?
すず周りに敵がいないか、確認してきます。
ミント今、法術で怪我を癒やします。そうすれば、少しはカーリャさんも楽になるはずですから。
チェスターおい、カーリャ。少しは楽になったか ?
カーリャはい……。ありがとうございます……。
クラース一体何があったんだ。帝国軍が現れたのか ?
すず――いえ、周囲の草は踏み固められていません。足跡もほとんどない。軍隊ではないと思います。
すずただ、少し先の狩猟小屋が半壊していました。そこで何者かが戦った形跡があります。
カーリャきっと……あのイケメンですぅ……。
アーチェえ ! ? ちょっとカーリャ、頭でも強く打ったの ! ?
コンウェイ……まさか、とは思うけど。そのイケメンっていうのは金髪で長身のマントの男かい…… ?
二人! !
カーリャそうです。黒衣の鏡士かって……確認して……ミリーナさまをさらって……。
コンウェイ……確か、カロル調査室が出してきた最新のはぐれ鏡映点リストに、ダオスの名前があったよね。
すずだとしたら、あの狩猟小屋で戦っていたのはミリーナさんとダオスということになりますね。
イクスそれで……連れていかれたのか。
ロンドリーネどうして……そんなことを……。
チェスターあいつならやるだろ !オレたちの村だってそもそもあいつのせいで……。
クレスこうしてはいられない。ミリーナの行方を捜そう。そこにダオスもいるなら、元の世界で途中だったダオスとの決着を、ここでつける !
イクスま、待ってくれ !ダオスはなんでクレスたちと敵対していたんだ ?
イクスミリーナを殺さずにさらおうとしたのは、元の世界でやろうとしていたことに関係があるんじゃないかな。
イクス具現化された人は、みんな元の世界を強制的に捨てさせられた。それって果たしたかった願いとか目的も取り上げられてしまうってことだと思う。
チェスター関係あるかよ ! ? ミリーナがさらわれたんだぞ ! ?
すずカーリャさんも……こんな目に……。
クレスああ。ダオスが僕たちの世界でしてきたことを考えればティル・ナ・ノーグでも何かを企んでいるに違いない。
コンウェイ……クレスくんってダオスのことになるといつもと雰囲気が変わるんだね。
クレス――ダオスは倒すべき敵だ !
ロンドリーネ………………。
クラース――そう、私たちの倒すべき敵だ。だがこの世界においては、イクスの言うこともわかる。
クレスクラースさん ! ?
クラースこうしよう。ダオスを追いかけ、ミリーナを取り戻す。それは当然のことだ。だが……ダオスの目的について彼に問いかけてみてはどうだ。
クレス………………。
チェスター奴と話して、何をしようとしていたのかがわかったところでどうなる ! ?
チェスターいくらこの世界にアミィを具現化されていても元の世界のアミィが辛い思いをしたのは変わらない !トーティス村だって…… !
ミント………………。
コンウェイでも、ダオスがこの世界に何かを仕掛けていた場合。ダオスを殺すことで、この世界に解けない呪いを放つことになるかも知れないよね。
アーチェんー、だから、ダオスの目的を知っておけってことか。
すず確かに、戦いにおいて敵を知ることは大事です。敵を知り己を知れば百戦危うからずといいます。
クレス……わかった。でも、ダオスが何も答えないまま攻撃してきたら――その時は元の世界で果たせなかった決着をつけることになる。それでいいかな、イクス。
イクス……ごめん。でもありがとう。
すず狩猟小屋から血の跡が続いていました。少量でしたから、致命傷による出血というよりはパンくずと同じではないでしょうか。
イクスミリーナがわざと残したメッセージか。リフィル先生の時と同じだな……。
クレスそれはどっちの方角に続いているんだい ?
すず……あちらです。このまま森を抜けるとまっすぐ先にダオス城があります。
チェスターダオス城…… ! あそこか !
コンウェイなら、提案があるんだ。ボクとイクスくん、ロディさん、カーリャは別働隊として動いたらどうかな ?
コンウェイクレスくんたちはダオスに向き合うために正面から。ボクたちはミリーナさんを捜索するために別ルートから侵入する。
コンウェイクレスくんたちがダオスを引きつけて、ボクたちがミリーナさんを救出するための時間を確保してもらいたい。
コンウェイミリーナさんさえ救出すれば、ゆっくりダオスの真意を聞けるだろう ?
コンウェイ……まぁ、元の世界とは違うから干渉したことにはならないだろうし。
イクス
ロンドリーネダオスの真意……。
イクス……えっと、うん。俺はそれでいいと思う。ただクレスたちはそれで構わないかな ?
クレスみんな――いいね。
チェスターああ。あいつを叩けるならな。
アーチェこんな形でダオスと戦うことになるなんてね。
すず私の覚悟は決まっています。
クラース無論、私もだ。
ミントクレスさん、行きましょう。
クレスああ。そして僕たちは今度こそ、ダオスを――倒す !

Character5話【11-6 アトワイト】
早朝。
イクス遅くなってすみません ! ミリーナから連絡は ?
リフィルお帰りなさい、イクス。残念ながらまだ連絡はないわ。すでにスレイたちを中心にして、アセリア領の外周部から順次捜索を開始してもらっているところよ。
フィリップこちらも救世軍の地上部隊をアセリア領での捜索にあたらせています。捜索地図を共有しましょう。
リフィルええ、お願いするわ。
クレスイクス、僕らは世界樹ユグドラシルからミリーナを捜そう。
ミント私たちも協力します。
イクスごめん、みんな……。ミリーナのことでこんな迷惑をかけてしまって……。
クラースイクスが謝ることじゃない。何でも背負いすぎるのは感心しないな。
ロンドリーネそうよ。謝りたいのは私の方。今回の件は、私の責任でもあると思うから……。だからそんな顔しないでよ。
コーキス………………。
チェスターところでイクス、お前大丈夫か ? 顔色が悪いぞ。
アーチェこの数日ろくに寝てないでしょ。あたしたちだけで行こうか ?
すず極度の疲労は判断力を鈍らせます。無理は禁物です。
コーキス……そうだよ、マスター。ケリュケイオンの中でも結局ほとんど寝てなかったし、ミリーナ様は俺が代わりに見つけるから、マスターは少し休めよ。
イクスいや、大丈夫。一緒に行かせてくれ。
コーキス……大丈夫じゃないよ。
イクスそんなことないよ、大丈夫――
コーキス大丈夫じゃねぇっつってんだろ !
一同! !
コーキスマスターは俺が鏡精だってこと忘れてるんじゃねーのか ! ?
コーキス俺はマスターが何を考えてるかはわかんねーけど感じてることは何となくわかるんだよ !
コーキスなんか超苦しんでるだろ ! ? つらいんだろ ! ?何で隠すんだよ ! ? 大丈夫大丈夫って全然大丈夫じゃねーじゃん ! !
イクス………………。
コーキスマスターは休んでてくれよ。俺、ちゃんとミリーナ様を見つけるから。な ?
イクス……いや、俺も行く。
コーキスはあ ! ? 俺が信じられねぇのかよ ! ?
イクスそうじゃない。俺は……一応ミリーナの幼なじみだから。俺ならわかる手がかりがあるかも知れないだろ。
コーキスんなもの、魔鏡通信で見てもらえばいいだろ ! ?
イクス俺が行く。そう決めてるんだ。
コーキス……あー、そうかよ。勝手にしろ、石頭のクソマスター ! !俺はもう知らねーからなっ !
クレスコーキス !
クレス――イクス、いいのかい ?コーキスの言うことももっともだと思うけれど。
イクス……コーキスの気持ちはありがたいけど今は時間が惜しい。
フィリップイクス、待ってくれ。コーキスとちゃんと話した方がいい。
イクスあなたの知っているイクスならそうしたかも知れませんね。
フィリップ! !
イクス――とにかく、これ以上事態を放置してみんなに迷惑をかけることは避けたい。
イクス行こう、クレス。クラースさんも、チェスターもミントたちも……よろしくお願いします。
マーク……自分から空気悪くしといてそりゃねぇだろ、イクス。
イクス………………。
リフィル――はい、そこまで。
リフィルマーク、煽るのはよくないわ。イクス、あなたも少しいつもの冷静さを取り戻した方がいいわね。
リフィルとにかく、時間が惜しいと思うのなら協力して最善を尽くしましょう。
イクス……そう、ですね。すみません。今のは俺が悪かったです。
アトワイトイクスさん、コーキスさんのことは任せてもらえるかしら。あの子の気持ち、わかるような気がするの。後であなたと仲直りできるよう、少し話をしてみるわ。
イクス……すみません。アトワイトさんにもご迷惑をおかけして。
アトワイトいいのよ。それより体調が万全でないのは明らかだから気を付けてちょうだいね。
イクスはい、わかりました。
アトワイトここにいたのね、コーキスさん。
コーキス……マスターは ?
アトワイトミリーナさんを捜しに行ったわ。
コーキス………………。
アトワイトコーキスさん。あなたの言っていたことは正しいわ。イクスさんは明らかに無理をしている。彼を戦力に数えるのは愚策よ。
コーキスだったらどうしてマスターを止めてくれなかったんだよ ! ?
アトワイトあなたならどうかしら。
コーキスえ ?
アトワイトもしもイクスさんが行方不明なら、あなたは自分の体がどんな状態であろうと、イクスさんを捜しに行くでしょう?
コーキスそれは……俺はマスターの鏡精だから……。
アトワイト違うわ。鏡精だからじゃないの。大切な人に危機が迫れば、人は冷静ではいられない。イクスさんもそうなのよ。
アトワイトただ、私が彼を止めなかったのはそれだけが理由ではないけれど……。
コーキスえ ?
アトワイト一つは能力の問題。彼、かなりの記憶力の持ち主だそうね。
アトワイトそれに鏡士同士は、魔鏡通信機がなくても魔鏡で連絡が取れるとも聞いたわ。ミリーナさんを捜すのに、イクスさんの能力はとても有益よ。
コーキスそりゃ……マスターは頭いいし……強いし……。
アトワイトそしてもう一つ。イクスさんは明らかに何かを悩んでいる。あなたが指摘した通り。それは……恐らく自身に関わる何か重大なことなのでしょうね。
アトワイトだから、何かをせずにはいられない。動いていないと、余計なことを考えてしまう……そんなところじゃないかしら。
アトワイトそんな彼を止められるのは彼をよく知る人物だけだと思うの。
コーキスミリーナ様……。
アトワイトええ、そうよ。そしてコーキスさんあなたもイクスさんの理解者なの。近いからこそ、わかるからこそ、ぶつかってしまう。
コーキス…………うん。
アトワイト私もフィリップさんたちとミリーナさんを捜すつもりよ。いわば、イクスさんたちの後方支援ね。
アトワイトコーキスさん、あなたも一緒にどうかしら。あなたが手伝ってくれたら、イクスさんもきっと喜ぶわ。
コーキス……そうかな。
アトワイトええ、きっと。

Character7話【11-9 ケリュケイオン】
アトワイトイクスさんたちは、何かミリーナさんの手がかりをつかんだのかしら。
マーク何かありゃ、連絡してくるとは思うが……。
コーキス……なぁ。
マーク……ああ、お前も感じてるのか。
コーキスやっぱ、なんかいるよな ? 昔、鏡映点が近くにいる時に感じたチキン肌みたいな……。うーん、もっと気持ち悪い感じの……。
マークああ。何なんだ、こいつは……。
アトワイトそれは、鏡精独特の感覚なのかしら。フィリップさん、何か思い当たることはある ?
フィリップいや……。鏡精が反応するとしたらキラル分子に関わるもの……ぐらいかな。それも幼体でないと、さほどではないと思う。
クラトス――マークとコーキスが察しているものかはわからぬがここから北東の方角で、何者かが戦っているようだ。
ゼロスおっと、天使様はさすがお耳の具合がよろしくていらっしゃる。いや、それとも視力の方かな ?
クラトス神子も天使化すれば、すぐにわかる筈だが ?
ゼロス必要に迫られなきゃ、あんなものはご免だってーの。
コーキスクラトス様、誰が戦ってるかわかるか ?まさかマスターたちってことは……。
クラトス……いや、私の記憶が確かならあれはダオス、という者に似ているようだ。
マークおっと……そう来たか。
アトワイト行ってみましょう。ミリーナさんの姿を見ているかも知れない。
ダオス――テトラシャドウ。
アトワイトな、何…… ! ? あれは魔物なの ?
フィリップま……さか…… ?
マーク……うちの大将に思い当たる節がありそうだが今はあのイケメンのフォローが先だ。各自、宜しく頼むぜ !
ゼロス……何だったんだ。今の敵は。なんつーか……手応えがまるで感じられなかったぞ。
コーキスあいつらだ……。俺が感じてた、あの嫌な感じを発してたのは。
フィリップ(やっぱりアレは……)
ダオス……鏡精が二人。お前たちも鏡士か ?
コーキスえ ! ? 俺たちが鏡精って、どうしてわかるんだ ! ?
ダオス質問しているのは私だ。
コーキスな、何 ! ?
アトワイトコーキスさん。怒りに身を任せてはいけないわ。冷静に。
コーキス……うぅ。
アトワイト確かに鏡士も一緒にいるわ。あなたは……ダオス、よね ?
ダオス何故、私を知っている。黒衣の鏡士の仲間か ?
コーキスミリーナ様を知ってるんだな ! ?
ダオスそうか……。あの女を捜しに来たのだな。
コーキスもう、何なんだよ ! 人の話を聞けよ !ミリーナ様はどこにいるんだ ! ?
ダオス――招かれざる客が来たようだ。どうせお前たちの仲間だろう。あの女もいずれ見つかる。
フィリップ招かれざる客 ? イクスたちか…… ?
ダオス……そのモノクルは魔鏡だな。貴様が鏡士か。
フィリップ
ダオスお前なら知っているか ?この地獄から抜け出す方法を。
フィリップない。ここは閉じた世界だ。外側からは観測することすらできない。……本来なら。
ダオス――やはりあるのだな ! この世界から逃れる方法が !
全員! ?
フィリップ期待をさせたなら謝る。鏡映点が元の世界に戻る確率は限りなくゼロに近い。
フィリップだが、ゼロだとは言い切れない。
フィリップこの世界には壁がある。外からの干渉を防ぐ次元の壁――ティル・ナ・ノーグの内側から見れば外へ出るために超えなければならない壁だ。
フィリップだが、この壁は何度か崩壊しかけている。
クラトスその壁というのはアイギスのことか。
フィリップそう、虚無から世界を守る壁だ。今、この壁には小さな傷がある。それを塞いで守っているのがゲフィオンだ。
フィリップ壁がなければ、この世界は滅ぶ。その時なら――鏡映点も異世界に帰れるかもしれない。
ダオスこの世界を壊せばいいということか。
コーキスそんな ! ?
フィリップただし、この世界が滅ぶ時には当然、この世界の人間も、鏡映点も共に滅ぶ。
ダオス滅びる前に脱出すればいい。
フィリップ賭けてみるかい ?たった一度の命を賭けたチャンスに。
フィリップ成功しても必ず戻れるという保証はない。よしんば戻れたとして、具現化された存在が元の存在と融合することはできない。
フィリップ具現化はこの世界の仕組みによって成り立っている。違う世界に行けば、消えるか、自壊するか或いは異物となって元の世界をも消滅させるかだ。
フィリップそれより何より、学術的にゼロと言い切れないだけで計算上はこの世界の終わりと共に鏡映点も終わる。故に、戻ることは不可能だ。
ダオスそれでも万一望みがあるなら、私はこの世界を滅ぼす !そうすればこの世界に具現化された世界樹から大いなる実りを運び出せる…… !
マークどうやって ?
ダオス何 ?
マークどうやって世界を滅ぼして、どうやって滅びきる前に次元の壁の穴を見つけ、どうやって死の砂嵐や虚無を超えて、どうやって元の世界を見つけるんだ。
マークその方法が見つからなけりゃ世界を滅ぼす意味がない。あんたは意味のないことをする馬鹿には見えないがねぇ。
ダオス………………。
マーク戻りたきゃ――世界を滅ぼしたきゃ今は鏡士とこの世界を守っておいた方がいい。あんたの疑問に答えを出せるのは鏡士だけだ。違うか ?
ダオス――よく喋る男だ。
コーキスあ、おい ! ミリーナ様は――
コーキス……って、いなくなっちまった。どうする ? あいつ、ミリーナ様の行方を知ってるみたいだったけど……。
アトワイトダオスが言っていたわね。招かれざる客が来たって。
クラトスああ。それが本当に我々の仲間なら、捜索隊の誰かがダオス城に侵入したのだろう。
クラトスダオス城の仕掛けのことを考えればそれはデリス・エンブレムを持つ者でしかあり得ない。
アトワイト確かクレスさんたちはデリス・エンブレムを持っているんだったわね。
クラトスあとは私とマーテルとミトスも持っている。クレスたちの物とは違うが、構造はよく似ており同等の働きをするだろうとジェイドが言っていた。
クラトスそれにラタトスクならデリス・エンブレムは必要がないとも聞いている。
マーク確かミトスたちも、こっちの大陸に来てるんだったな。シンクに連絡を取ってみるか。
フィリップ………………。
マークおい、フィル ? 聞いてたか ?
フィリップ――え ? あ、ああ……。うん、そうだね。頼むよ。マーク。
フィリップ(ダオスにはああ言ったけどもしさっき戦ったのが本当に【死鏡精】ならダオスがどうこうする前に世界は消滅しかねない……)
フィリップ(でも【死鏡精】に関してはミリーナの方が詳しかった。どうすれば――)
コーキス……なぁ、凄い怖い顔してるけど、何かあったのか ?
フィリップあ……ああ……。すまない、大丈夫だよ。
コーキス鏡士はみんなそんな風に言うんだな。
フィリップコーキス……。ごめんよ。イクスが悩んでいるのは僕のせいだ。僕があまりに……自分本位だったから。
フィリップ償いはする。だからコーキス、どうかイクスを支えてあげてくれ。
フィリップ僕の知っている最初のイクスに鏡精はいなかった。君だけが――今のイクスが、唯一無二のイクスであるという証なんだよ。
コーキス……はぁ ? 鏡士はみんな難しいこと言うなぁ。俺、馬鹿なんだからもっとわかりやすく言ってくれよ。
マーク――馬鹿自慢してるところだが、朗報だぞ。丁度向こうから連絡が来た。ミリーナが見つかったそうだ。
全員! !

Character8話【11-11 ダオス城2】
イクス暗くて……冷たい……。虚無が近づいてくる……。
イクス万華鏡の裂け目を塞がないと……。……でも、力がどんどん拡散して……。
ゲフィオン(イクス……。イクス、無理をしてはダメ。そのままではあなたの力が虚無に吸い取られてしまう…… !)
イクスく……っ。死の砂嵐からの悲鳴がうるさくて……集中できない……。それにこの痛み……。
ゲフィオン(届かない……。イクスに私の声が……。どうすればいいの。イクス、気付いて !)
ミリーナ(これはゲフィオンの記憶……。私……また夢を見ているのね……)
? ? ?こっちです ! ミリーナさまはこっちにいます !
? ? ?いたよ ! イクスくん !
? ? ?気を失ってる……。でも怪我はしてないみたい……。
? ? ?ミリーナ ! ? 大丈夫か ! ?
ミリーナ(この声は…………)
ミリーナ――イクス ! ?
イクスミリーナ ! よかった……目が覚めたんだな !
ミリーナイクス…… ! カーリャ !それに……コンウェイさんとロディも…… ?ここは……。
コンウェイここはダオス城だよ。何があったのか聞きたいのはこちらの方なんだけれど、覚えているかな ?
ミリーナあ……そうだわ。あの人が……ダオスが助けてくれたのよ。
イクスえ ? ダオスにさらわれたんじゃないのか ?
カーリャそうですよ ! あのイケメンカーリャに魔術を使ってきましたよ ! ?ミリーナさま、洗脳されてるんじゃないですか ! ?
ロンドリーネちょっと、カーリャ ! ?ダオスはそんなことしないよ ! ?
ミリーナ確かにダオスは私とカーリャを襲ってきたけれど……あれは、妙な魔物から逃げるためだったらしいの。
イクス……ダオスは元の世界に戻る方法を探してミリーナに接触してきたのか。
ミリーナええ。その後で、またダオスが『アヤカシ』と呼んだ敵が襲ってきて……。私も戦ったんだけれど襲われて気を失ってしまったの。
カーリャ……あれ ? でも気絶してたならあの血の跡はどうやって残したんですか ?
ミリーナ血の跡 ? 私、怪我なんてしていないけれど……。
ロンドリーネえ ?だったら森の狩猟小屋から続いてた、あの血痕は…… ?
コンウェイミリーナさんでないなら残るはダオスってことになるね。
イクス……もしかして、カーリャが捜しに来られるように目印を残してくれたのかな ?
カーリャええ ! ? そんな親切な人なんですか ! ?
イクス親切な人かどうかはわからないけどでもそうとしか考えられないよ。
ロンドリーネダオス……。
コンウェイイクスくんの言った通りダオスにはミリーナさんをさらう理由があった……ということだね。
ミリーナ……あの、ごめんなさい。私が軽率だったからアジトのみんなにも迷惑をかけてしまって……。
コンウェイああ、それはそうだね。安全な場所だったとはいえ、少し軽はずみだった。
ミリーナええ。反省します。
ロンドリーネあんまりミリーナをせめないでよ。悪気があった訳じゃないし……。軽率って意味では、私も同罪だからさ。
ロンドリーネそれよりミリーナも見つかったし早くクレスたちに連絡を取った方がいいと思うんだけど。
イクスそうだな。ちょっと待ってくれ――
イクス……ダメだ。クレスたちからの応答がない。
ロンドリーネ……もしかしたらクレスたちもうダオスと戦ってるのかも。
イクスだったら、直接知らせに行こう !ミリーナの件は誤解だったんだしもしかしたら話し合えるかも知れな……――
イクスあ……れ…… ?
カーリャイクスさま ! ? ふらついてますよ ! ?
ラタトスクフン……。大方、ミリーナが見つかったんで気が抜けたんだろうよ。
ミトス人間のくせに不眠不休で動くからこういうことになるんだよ。
イクスラタトスクとミトス ! ?それにジーニアスとシンクも……。どうしてここに…… ?
ジーニアスジェイドさんから聞いてない ?テセアラ領から直接ミリーナを捜しに来たんだ。
ミリーナえ ! ? 私を…… ! ?
ミトス……ボクのせいで死なれたら迷惑だからね。見つかったならそれでいいよ。
ミトスねぇ、クレスたちに知らせに行くんでしょう ?イクスとミリーナとカーリャはこっちで引き受けるけど ?
ミトス幸い救世軍もこっちに混じってるし、戦力は十分だよ。
コンウェイ墜ちた勇者が魔王の城にいる……か。面白いね。まさかこんな場面に遭遇するなんて。
ミトス……何 ?
コンウェイいいや。異世界も捨てた物じゃないと思ってね。ロディさん、行こうか。
ロンドリーネうん、急ごう。ミトス、シンクジーニアス、ラタトスク、ありがとう !
ミトス――さて、弱った人間を二人も運ぶのは面倒だね。救世軍さん。
シンクうるさいよ。今、マークに連絡してるところだ。
マークおっと、こっちから連絡しようと思ってたところだ。ナイスタイミングだぜ、シンク。
シンクそっちの用事はどうでもいい。人騒がせな鏡士が見つかったよ。殺す ? それとも殺してから死体を持って帰る ?
マークおいおい、そういう冗談はやめてくれよ。生かして連れ帰るに決まってるだろ。ちょっと待っててくれ。
マーク――馬鹿自慢してるところだが、朗報だぞ。丁度向こうから連絡が来た。ミリーナが見つかったそうだ。
マークシンクたちが見つけてくれたらしい。
コーキス本当か ! ?
イクスコーキス ! ?
コーキスマスター ! ? え ! ?なんでシンク様たちとマスターが一緒に…… ?
コーキス……っていうか、マスターなんで座り込んでるんだ ! ?まさか倒れたのか ! ?
カーリャコーキス ! うるさいですよ ! !もうちょっと落ち着きなさい。まだまだ子供ですね、コーキスは。
イクスカーリャ、その辺にしてやってくれ。俺が悪いんだ。コーキスに心配かけちゃってあんなに忠告されたのに、このザマだからな。
ミリーナどうしたの ?イクスもコーキスも……何かあったの ?
コーキスそれは……その……。
イクスコーキス。俺が悪かったよ。意地を張りすぎた。お前に甘えちゃったんだな。
コーキスマスター……。
アトワイトコーキスさん、あなたも一緒にどうかしら。あなたが手伝ってくれたら、イクスさんもきっと喜ぶわ。
フィリップ償いはする。だからコーキス、どうかイクスを支えてあげてくれ。
フィリップ僕の知っている最初のイクスに鏡精はいなかった。君だけが――今のイクスが、唯一無二のイクスであるという証なんだよ。
コーキスしょ……しょうがねぇな。今回だけだからな、許してやるのは。
イクスありがとう、コーキス。
シンクそろそろいい ?ケリュケイオンを城の近くまで寄せて欲しいんだけど。
コーキスあ、悪い……。マーク、聞こえたか ?
マークはいはい、聞こえてるよ。こっちも城の前まで行くから、そこで落ち合おう。頼むぞ、シンク。
ミントダオスの姿が見えませんね……。
すずここにはいないのでしょうか。
クレスダオス ! !
ダオス勝手に忍び込んでおいて、図々しいものだな。
クレスやっぱりお前もこの世界に具現化されていたんだな。
ダオスふふふ……それはこちらの台詞だ。この世界でもお前たちと顔を合わせることになるとはな。
アーチェミリーナは一緒じゃないんだね。
ダオスあの女か……。
ミントダオス、どうしてミリーナさんをさらったのですか ?
ダオスそんなことを聞いてどうする。この異世界に殉じるつもりの貴様たちには意味のないことよ。
チェスターはぐらかすな !元の世界でお前がやってきたことを考えればどうせろくでもない理由に決まってる !
クレス……ミリーナが何をしたっていうんだ。何故罪のない人々を苦しめようとするんだ !この世界でも、元の世界でも !
ダオス――罪のない、だと ?
チェスターそうだ ! アミィには……何の罪もなかった !
チェスターアミィだけじゃねぇ !みんな、虫けらみたいに殺された !俺はお前を許さねぇ ! !
ダオス貴様らに許される筋合いなどない !愚かな下等生命体め ! !その非礼、その命を持って贖うがいい ! !
クラース――クレス !これ以上は無理だ。戦わざるを得まい !
チェスター構うもんかよ ! ここで決着を付けるんだ !
アーチェ馬鹿! イクスたちとの約束はどうすんのよ !
すず――来ます !

Character9話【11-12 ダオス城3】
クレスや、やったのか ?
クラースいや、まだだ !
ダオスふはははは……。下等な生命体がここまでやるとは思わなんだぞ。
ダオスこの世界においてもはや貴様たちが私に刃向かう意味はないだろうに。それほどまでに死にたいか。
クレス意味ならある !僕は――トーティス村のみんなやミッドガルズのみんなのためにお前を倒す !
ダオス……良かろう。ならば私も全身全霊を賭して戦おうではないか ! !
クレスて、手加減していたっていうのか ! ?
ミント――待って下さい !
ダオス……この期に及んで命乞いか ?
ミントあなたに、聞きたいことがあります。前にあなたは、私たちとは戦う理由がないと言いました……。
ミント何故、ですか ?
クレスミント ! ?
アーチェクレス、これ以上続けたらもう最後まで行くしかなくなっちゃう。それじゃあ、イクスたちとの話が無駄になるじゃん。
ダオス……………………。
ダオスそれは……お前たちが魔科学に関わる者ではないからだ。
ミント何故、魔科学はいけないのですか ?
ダオス魔科学はマナの力をことごとく使い果たしてしまうからだ ! ! 私は、魔科学を使う人間を抹殺しなければならなかった !
クラース何故、そうまでして魔科学を否定する ?確かに魔科学の力はすさまじいものだ……。
クラースだが、人間も愚かではない !もう世界樹が枯れるようなことはしない !
ダオス本当にそう思うのか ?私がミッドガルズをほろぼさねばお前たちの星の世界樹はなかったのだぞ。
クレスそうまでして、何故ユグドラシルを守る ! ?この世界では、ユグドラシルの写真を撮っていただけのミリーナまでさらって、カーリャを傷つけた。
クレスお前の望みは何なんだ ?
ダオス私にはマナが必要なのだ。だが、その理由を貴様らに話したところで理解できまい。
チェスター分かりたくもねぇ !いまさら、言い訳なんか聞かねえぜ !
ダオスははははは !なぜ私が弁解せねばならぬのだ ?
ロンドリーネ待って、ダオス !
ダオス………………。
ロンドリーネダオス、もうこんなこと止めよう。私たちが戦う理由なんてないんだ。
ダオス……誰だ、貴様は ?
ロンドリーネ……そうか。あんたもクレスたちと同じで私のことを知らないダオスなんだね……。
ロンドリーネでも、私は知ってるんだよ、ダオス。故郷の星を救おうとした、あんたのことをね。
クレス故郷の星 ? 一体なにを言っているんだ、ロディ ?
コンウェイ何とか間に合ったみたいだね。ミリーナさんはイクスくんと救世軍で外へ運び出したよ。
ダオス黒衣の鏡士を連れ戻しに来たのか。……だが、あの者の知識の中には欠落があった。私にはもう、用がない。好きにするがいい。
コンウェイダオス。この世界のユグドラシルが、大いなる実りを生み出すかどうかわからない。生み出したところでそれを持ち帰る術がわからない。
コンウェイミリーナさんの中のゲフィオンの知識を求めたのはその為じゃないのかな ?
クレス大いなる実り…… ?それはロイドの世界の大樹の種子のことか ?マナの塊だっていう……。
ダオス何故貴様らが大いなる実りのことを知っている ! ?
コンウェイそこはさして重要なことじゃない。ここにいるクレスくんは、あなたが元の世界で戦っていたクレスくんより、さらに知識があるんだ。
コンウェイそして、あなたのやろうとしてきたことの真意を知る人もいる。
ロンドリーネユグドラシルが大いなる実りを生み出してくれればダオスはそれをデリス・カーラーン――故郷の星に持ち帰ることができる。
ロンドリーネそうすればダオスの故郷は救われるんだ。ダオスはずっと、ユグドラシルを守るために戦っていたんだよ。
ロンドリーネそれが、多くの命を救いたかったダオスの願いであり使命だったんだ。
クレス命を救う……ダオスが……。
ミントだから、私たちとは戦う理由がないと……。
ダオス私を待ち望んでいる民のためにも……私は大いなる実りを手に入れこの閉ざされた牢獄から逃れねばならぬのだ !
ダオス絶対に邪魔はさせぬぞ !
チェスター何してんだ、クレス ! 武器を構えろ !
チェスターあいつが自分の故郷を救うためだったとしてどうしてオレたちの村が――世界が蹂躙されなきゃいけねぇんだよ !
クラースそうだ。クレス。私たちは間違ってなどいない。奴だって多くの人間を犠牲にしているんだ。
クラースダオスは、己の信じる正義のために戦っている。だが、私たちにも譲れないものがある。守るべき人々がいる。
クラース……違うか ?
クレス………………。
クレスダオスは倒すべき敵だ。何を聞いても、どこまで行っても、それは変わらない。
クレスただ、僕らとダオスはもっと違う時間で、違う形で出会っていれば、もしかしたら協力し合うことができたんじゃないかって……。
チェスタークレス……。
クレス……ここでダオスを倒したら、僕たちこそがダオスの故郷の魔王になってしまうんじゃないか。
クレスできることなら、僕は僕たちの星も、ダオスの故郷もこのティル・ナ・ノーグも救いたい。それが……僕の旅の進む道だと思えるんだ。
ダオス母なる星を……デリス・カーラーンを救うだと ?下等生命体である貴様らが ?
ロンドリーネでもダオスはその下等生命体の星に――そこにある世界樹ユグドラシルに救いを求めにきたんだよね。
ロンドリーネクレスたちはわかってるよ。ユグドラシルをきっと守ってくれる ! あんたが大いなる実りを持ち帰ることも邪魔はしないはずさ。
コンウェイ……そうだね。その点は、ボクも保証するよ。まぁ、初対面の人間が保証したところで気高い王には何の意味もないだろうけれど。
コンウェイでも王の器の持ち主なら……相手の器もわかるんじゃないかな ?
ダオス………………。
ダオス――去れ。少なくとも我が目的を邪魔立てしない限りは貴様たちと争うつもりはない。
クレス――ダオス、一つだけ約束しろ。この世界では、もう誰も傷つけないと。
クレスそして、いつか全てを救う道筋を見つけ出したときはお前と決着をつける。
ダオス……好きにしろ。
クレス――行こう、みんな。
ロンドリーネ……ダオス。あんたが私を知っている世界のあんたじゃなくて、少し残念だよ。でも……これ以上敵対しなくていいのは……すごく嬉しいんだ。
ロンドリーネおかしな女だと思うだろうけどまた会えるのを楽しみにしてるから。
ロンドリーネだから覚えておいて。私……このロンドリーネのことを。
コンウェイ……やれやれ、なんとか危機は脱したようだね。
ロンドリーネクレスたちは ?
ミリーナ先にケリュケイオンに乗ったわ。
ミリーナクレスさんたちには伝えたけれど改めて二人にもお礼を言わないとね。助けてくれて本当にありがとう。
ロンドリーネ私は何もしてないよ。気にしないで。
イクス……なぁ、コンウェイ。さっき教えてくれたダオスの話が本当だとしてどうして、それを知ってるんだ ?
コンウェイイクスくん、悪いけど、今はこれ以上のことを話すつもりはないよ。いずれ、その内に、ね。
ミリーナクレスさんたちとダオス……。大丈夫かしら。フィルがマークなら上手く取りなしてくれるって言っていたけれど。
コンウェイ……そうだね。まぁ、大丈夫じゃないかな。クレスくんが伝説の勇者になって魔王を退治するのは――違う世界の物語さ。
コンウェイこの世界の人の心に潜む『悪』が芽を出さない限り彼が『魔王』になることはないからね。
イクス何だかまるでコンウェイはクレスの世界のことを知ってるみたいな口ぶりだな。
イクス……なぁ、俺、余計なことを言ったのかな ?ダオスの真意は何か……なんて。
イクスクレスたちに余計なことを言わなければクレスたちが何も知らなければ……ダオスを……。
イクス(何も知らなければ……。俺も何も知らないままだったら……こんな気持ちには……)
ミリーナそうね。何も知らなければ復讐を果たすことができた。でも私……いえ、ゲフィオンがそうだったようにその後で、また別の悩みを背負っていたかも知れない。
ミリーナそれにロディは止めたいと思っていたんでしょう?何が正解かはわからない。でも人は……それでも前に進むしかないのよ。
ロンドリーネ……うん。
イクス………………。
カーリャイクスさま ?
イクス……ごめん。何だかひどく疲れて……。
コンウェイイクスくんはいい加減休んだほうがいいね。コーキスくんがまた怒り出すよ。
イクスああ、そうさせてもらうよ。ごめん……。限界だから先に戻らせてもらう……。
ミリーナイクス……本当に疲れているだけかしら……。心配だわ……。
ロンドリーネそれはミリーナもだよ。アヤカシとやらに襲われたから念のため精密検査をした方がいいってフィリップが言ってた。
ミリーナ私は平気なのに……。
カーリャミリーナさまもイクスさまももう少し自分を大事にしないといけませんね。
コンウェイフフ、ミリーナさんとイクスくんは無茶なところがそっくりだね。
ミリーナ……ごめんなさい。反省します。

Character10話【11-13 ダオス城4】
ダオス……鏡精か。貴様の仲間は帰ったぞ。今更何をしに来た。
マーク黒衣の鏡士からの伝言。一人目の自分が原因でデリス・カーラーンを滅ぼす罪まで背負うのは寝覚めが悪いから、協力させて欲しい、とさ。
ダオス……元の世界にいる本当の私が大いなる実りを持ち帰る筈だ。私はそれを確認できればいい。ただ――
マーク何かの時のためのスペアは確保しておきたいんだろ。わかるさ。
マークところでうちの親分は、ゲフィオンと一緒に異世界からの具現化技術を完成させた人間だ。
マークこっちにつけ、とは言わない。普段はこの城にいてもいい。でもまぁ、よければ救世軍の方にも顔出してくれよ。別荘感覚でな。
ダオス……何故ことさらに軽薄を取り繕うのだ、鏡精。
マークこんなこといかれてるって思うからだよ。それでもうちの親分は、ゲフィオンのためにこの世界を救いたいんだ。
マークだったらいかれてようが望みを叶えてやるしかねぇだろ。
マークあんたは誇り高い一匹狼だ。鎖に繋ぐつもりはない。
マークだがこっちにも、デリス・カーラーンの関係者やら大いなる実りに詳しい奴やらがいる。利用してくれて構わないんだぜ。
ダオス……お前も去れ、鏡精。必要とあらば、立ち寄ってやらぬこともない。
マークそいつはよかった。……救われてるといいな……あんたの故郷。
ダオスいらぬ気遣いだ。
マークだな。それじゃあ、失礼するぜ、ダオス陛下。
マーク………… ?
? ? ?久しぶりですね、マーク……。
マーク……な……何で…… ?
? ? ?相変わらずの間抜け顔ですね。
マークパイセン…… ! ?
? ? ?そういう軽薄な呼び方はやめなさい。本当に、いつまでも子供なんですから。
マークマジかよ……カーリャ先輩 ! 何でこんなところに ! ?
カーリャ・Nこんなところというのは失礼ですよ、マーク。
カーリャ・N小さなミリーナ様を助けて下さってありがとうございます。
ダオス別に助けたつもりはない。聞くべきことを聞くまで生きていてもらう必要があっただけだ。
ダオス……無駄であったがな。
カーリャ・N小さなミリーナ様に記憶の共有はなかったのですね。
ダオスあの者の記憶は欠落している。
カーリャ・Nミリーナ様が私を切り離したから……ですね。
マーク……それだけじゃないみたいだけどな。パイセンは知らねぇだろ。二人目のミリーナがどうやって具現化されたのか。
カーリャ・Nどうやって…… ? それはどう言う意味ですか ?
マーク……フィルに聞いてくれ。パイセンになら、フィルも話すだろ。
カーリャ・N………………。
ダオス……貴様は何故ここに来た ?
カーリャ・Nセールンドの人体万華鏡が崩壊しかかっています。魔鏡の護符によって一時的に食い止めましたが……。
ダオス私が訪れた時に反応していた、あの鏡か。
カーリャ・Nあれはミリーナ様――人体万華鏡を護ろうと、侵入者を検知するために設置したものですが、小さいフィル様にご協力頂いて、封印強化に転用したんです。
マーク小さいフィル……ってジュニアのことか ! ?何であいつがセールンドに……。
カーリャ・Nマーク。人の話に割り込んではいけません。
マーク……はいはい、すみませんね。パイセン。
カーリャ・N――話を戻します。
カーリャ・N原因はまだわかりませんが、虚無に漂う死の砂嵐がうねりだしたと聞いています。それが人体万華鏡に何か影響を及ぼしたのかも知れません。
ダオスカーリャ。そこの鏡精が何か知っているようだぞ。
マーク――思い当たる節が二つほど。一つはテセアラ領の世界樹――大樹カーラーンの異常発達。
ダオスあの世界樹が異常発達している、だと ?
マークアセリア領の世界樹ユグドラシルにはその兆候がないみたいだな。それとも、この後何か起きるのか……。
ダオス………………。
カーリャ・Nもう一つというのは ?
マークちょっと長い話になるがこの場を借りて説明して構わないかい、ダオス陛下。帰れって言われたのに、長居することになっちまうが。
ダオス構わぬ。その軽口は気に入らぬがな。
マークこいつは失礼。今後は気を付ける。
マークさてと……それじゃあ始めようか。ダーナの心核と、この世界の成り立ちの話を。

Character11話【11-14 ケリュケイオン1】
ミリーナもう、みんな大げさよ。私、本当に元気なのよ。私のことよりイクスの方が心配だわ……。
ミリーナそれに軽い気持ちで動いてみんなに迷惑をかけてしまったことが心苦しいの。ねぇ、何か私にできることはない ?
カーリャ駄目ですよぅ、ミリーナさま !今は大人しく寝ていて下さい。
フィリップああ、そうだよ、ミリーナ。それにきみがしっかり休まないとカーリャにも影響が出てしまう。違うかい ?
ミリーナ……それは……そうだけれど……。
コーキス申し訳ないって気持ちがあるなら、今は休んでそれから働いてくれればいい……ってマスターなら言うと思う。
コーキス……そういうマスターも、全然休んでくれないけどさ。
ミリーナコーキス。イクスとは仲直りしたんでしょう ?そんな顔しないで。
ミリーナイクスだってコーキスが心配してくれてることちゃんとわかっているわよ。ね ?
マーク――失礼するぜ……っておいおい、どうしたコーキス ?しょぼくれた顔して。
コーキスう、うるさいな ! マークには関係な――
コーキス……誰だ、その人 ?
フィリップカーリャ ! ?
カーリャな、なんですか ! ?カーリャはここにいますよ ! ?
カーリャ・N………… !
カーリャ・Nミリーナ様…… !
ミリーナ
カーリャ・Nフィル様……。本当に……成功させてしまったんですね……。
コーキスえ ? マスターたちの知り合いなのか ?
フィリップ彼女は――
カーリャ・N――いえ、フィル様。自分で説明します。初めまして、小さなミリーナ様。それに……イクス様の鏡精コーキスも。
カーリャ・N私はカーリャ。カーリャ・ネヴァン。最初のミリーナ様――ゲフィオン様の鏡精だった者です。
三人! ?
マークダオスに話をしにいったら、ばったり会っちまった。
カーリャ・Nそれはこちらの台詞です。
ミリーナカーリャ…… ? あなたが…… ?
カーリャ・Nよければ、私のことはネヴァンと呼んで下さい。ミリーナ――いえ、ゲフィオン様から切り離された後に自分で付けたファミリーネームです。
カーリャ・N小さなカーリャと混乱してしまいますから。
カーリャカーリャが成長するとこうなるんですか…… ?
カーリャ・Nええ、おそらくは。
カーリャ・Nダオス様のところで、マークからこれまでの話を聞かせてもらいました。そして、今世界がとてつもない危機に陥っていることを知った。
カーリャ・N私はなんとしてもこの世界を護らなければなりません。ですから、小さいミリーナ様とイクス様に協力したいのです。
コーキスそれは……。あなたが本当にゲフィオンの鏡精なら俺たちの知らないことをアドバイスしてくれるだろうし、きっとありがたいんだろうけど……。
ミリーナコーキス。大丈夫よ。マークが言うんだからこの人は確かにゲフィオンの鏡精なんだと思うわ。
フィリップああ。その点は僕も保証するよ。でもカーリャ……いや、ネヴァン。今まできみはどこで何をしていたんだい ?
カーリャ・Nゲフィオン様のお側に。人体万華鏡となったゲフィオン様を護りながら……助け出す手段を捜していました。
カーリャ・Nそれと、一つ訂正を。私はもう鏡精ではありません。鏡精であった者、です。
ミリーナどういうこと ?
カーリャ・N――ずるいですね、フィル様。それにマークも。ミリーナ様たちに何も教えていないなんて。
マーク……その話、今しちまうのか。
コーキスな、何で俺を見るんだよ ! ?
カーリャ・N鏡精は、マスターである鏡士から切り離されて独立することができます。
カーリャ・N成体となった鏡精は、マスターとの繋がりを断たれると人間という存在とほぼ同じになります。
三人! ?
コーキスだから……俺……あんなに切り離されるのが怖かった、のか ?
カーリャ・N切り離されるのが……怖い ?成体であるあなたにそんな感覚はない筈ですが……。もしかしたらまだ幼いのかも知れませんね。
コーキスな…… ! 馬鹿にするなよな !
カーリャ・Nふふ、ムキになるところがまだ幼い所以ですね。でも鏡精は本質的にマスターから切り離されることを嫌うものなので、気持ちはわかりますよ。
ミリーナねぇ、ネヴァン。あなた、ゲフィオンを助け出す手段を探していた……と言ったわよね。それは人体万華鏡から解放するってこと ?
カーリャ・Nはい。私はゲフィオン様とフィル様の計画に反対していました。だから……切り離されてしまったのですが……。
カーリャ・Nもちろんこうなった今でも反対しています。特にゲフィオン様があんな風に犠牲になることは。自己犠牲は罪を犯した者の自己満足に過ぎない。
カーリャ・N気持ちは痛いほどわかりますがそれでもとるべき手段ではない、と私は考えています。
カーリャ・Nゲフィオン様はもっと別の形で償う方法を考えられた筈ですから。イクス様が生きていたらきっと同じように仰ったと思います。
フィリップ………………。
カーリャ・N……すみません。つい、偉そうなことを言ってしまいました。
カーリャ・Nそれより、ゲフィオン様の人体万華鏡が崩壊の危機にあります。それを食い止めるためにも皆さんの力が必要なのです。
一同! ?
コーキス――ええっと、つまり、今は虚無に戻ったシドニー様が内側から封印を護りつつ、外側はネヴァンとジュニア様の二人で崩壊を食い止めているんだな。
コーキスでもジュニア様は何でセールンドにいたんだ ?
マークその辺りは、パイセン――ネヴァンパイセンが何も話しちゃくれないんだよ。ジュニアとの約束だって。
カーリャ・Nそれがゲフィオン様を救うことに繋がるのであれば……私は手段を選びませんから。
フィリップ……………………。
フィリップ――じゃあ、その話はいったん置いておこう。
フィリップマークは人体万華鏡の急激な変化――つまり虚無に漂う死の砂嵐の活性化は、大樹カーラーンの異常発達と関係があると思っているんだね。
マーク実際、タイミングが同じなんだから可能性は高いだろ ?それとダーナの心核が傷つけられたことも大きいな。
コーキス……そうか。今、ダーナの心核は魔の空域に移されてるんだよな。本来の場所から動かしてる上に壊れてて、ダーナの巫女も目を覚ましちゃって……。
コーキス全てが関係していてもおかしくない……のかも。
カーリャ・N大樹カーラーンというのは、異世界から具現化された樹ですよね。何か際立った特徴などはないのですか ?
ミリーナエミルとラタトスクから聞いた話だと本来はマナっていうエネルギーを生み出して世界中に循環させる機能があるらしいの。
ミリーナでも一度樹が枯れて、種子だけになったのをロイドたちが芽吹かせたんだそうよ。
ミリーナその辺りがロイドたちとエミルたちの間で認識がずれてるから、なんとも言えないんだけれど。
ミリーナエミルの世界とロイドの世界は同じ世界の過去と未来らしいの。それがキメラ結合して具現化されてしまったから……。
フィリップエネルギーの生産と循環……。
カーリャ・N――まるでキラル分子の生成と循環に似ていますね。
マーク確かに……。
フィリップ……やはり【死鏡精】か ?
コーキス【死鏡精】 ? なんだそれ ?
カーリャなんか凄く不吉なワードに聞こえるんですけど……。
カーリャ・N……小さなカーリャとコーキスには酷な話かも知れません。でも話さずには進められませんから、お伝えします。
フィリップカーリャ !
カーリャ・N【死鏡精】は文字通り死んだ鏡精の残滓。キラル分子生成の過程で犠牲になった鏡精の怨嗟が形となったものです。

Character12話【11-15 ケリュケイオン2】
コーキス……は ? つまり……それって……。
カーリャ鏡精を殺してキラル分子を造ってるってことですか ! ?
ミリーナ嘘……。そんなの聞いてない……。
フィリップ……ああ、ミリーナはまだそこまで習っていない筈だよ。それに恐らく鏡精に関わる記憶はゲフィオンが切り離した筈だ。
フィリップカーリャ……ネヴァンを切り離した時にね。
カーリャ・N鏡士は鏡精を切り離す時に、鏡精に関する記憶も一緒に切り離します。そうしないと……何度も鏡精を生み出しては殺すことに耐えられませんから。
カーリャ・Nゲフィオン様はそれ以外にも、いくつかの記憶を私に預けていってしまいましたが……。
コーキス何度も生み出して、殺す…… ?
カーリャ・Nそれがセールンド王国のエネルギーシステムです。キラル分子を生み出す魔鏡機器はいくつか存在していましたが、鏡精を使ったシステムには勝てなかった。
カーリャ・N鏡精はキラル分子を大量に生み出す力がある。それを殺して取り出したキラル分子は、魔鏡機器が生み出す量の何百倍もあります。
カーリャ・Nこれでセールンド王国はエネルギー問題から開放されました。
コーキスそんな……それじゃあ俺たち鏡精は……ただの道具じゃないか。
ミリーナコーキス……。それは違うわ。コーキスは道具なんかじゃない。
ミリーナイクスがどれだけあなたを大切に思っているか……。あなたにもわかる筈よ。
コーキス…………うん。
ミリーナカーリャもよ。道具だなんて思わないで。あなたは私の大切な親友よ。あなたに何度救われたかわからないわ。
カーリャミリーナさまぁ…… ! !
ミリーナ……カーリャ。あなたを殺させはしない。あなたは私の大切な親友で、私の心の護り手なんだもの。あなたを殺すことは私が死ぬことだわ。
カーリャ・Nミリーナさま…… !
カーリャ・Nやっぱり小さいミリーナ様も同じようなことを言うんですね。少し……うらやましいです。
カーリャ・Nコーキスとカーリャにはつらい話をしてしまいました。すみません。でも【死鏡精】の問題はとても重要です。
カーリャ・N【死鏡精】は鏡精の墓場から生まれます。鏡精の墓場もまた、カレイドスコープによる世界の消滅で滅びた筈です。
カーリャ・Nということは、死の砂嵐の中に死鏡精の残滓も含まれている。そして死の砂嵐は、今活性化している。
フィリップデミトリアス陛下――いや、デミトリアスは光魔を呼びだしていた。きっと何らかの形で死の砂嵐にアクセスする方法を見つけたんだ。
フィリップ死鏡精の残滓……というのもそこから漏れ出ているんじゃないだろうか。
ミリーナそして【死鏡精】は、自らの生成システムに近い大樹カーラーンを住処にしている ?
フィリップ住処にしているだけならまだいいがそこで自己増殖している可能性もある。
フィリップそれがさらに世界に悪影響を及ぼしているのかもしれない。実際、【死鏡精】はセールンド王国でも駆除対象だった。ひどい話だけれどね。
コーキス……なぁ、フィル様。フィル様はビクエでえらかったんだろ ?
コーキスもしかして鏡精を殺してキラル分子を作るように命令してた側なんじゃないのか ?
マークだったら、俺がここにいる訳ねぇだろ。こいつは馬鹿でドジで救いようのないクズだが鏡精の敵じゃない。
マークカレイドスコープの研究は、鏡精システムを止める為でもあったんだ。――まぁ、兵器としてってところはフォローしきれないけどな。
ミリーナそう……だわ。カレイドスコープは対象物のアニマを抜き出し、カレイドスコープの中で反射を繰り返すことで消滅させる兵器。
ミリーナその際にキラル分子が生み出される。そもそもはイクスのご両親が遺した魔鏡とキラル分子の生成機がヒントになったのよ。
フィリップこれは伝聞だけれど、イクスのご両親も鏡精システムを嫌っていて、何とかそれに変わる物を生み出そうと研究していたそうだよ。
カーリャ・N【死鏡精】のことはもっと調べる必要がありますね。皆さんは浮遊島とかいうアジトに戻って下さい。私はもう少し【死鏡精】について――
カーリャ・N! !
マークお ? 今の荒々しい腹の虫は、でっかいパイセンか ?食いしん坊なところ全然変わってな――
カーリャ・Nだ、黙りなさい !後輩のくせに生意気ですよ、マーク !
カーリャ・N人間はお腹がすくんです !別に私が特別食いしん坊な訳じゃありませんから !
コーキスなーんだ。そういうとこやっぱカーリャパイセンのパイセンなんだな。
カーリャなんですか、そのパイセンのパイセンってのは ! ?
コーキスだって、パイセンより先に生まれてるんだからパイセンのパイセンじゃん。
カーリャむむ……。それはそうですね……。じゃあ先輩、カーリャのとっておきの飴玉を分けてあげますよ。先輩後輩のよしみで !
カーリャ・Nそ、それは……無碍にするのも悪いですから……頂いておきましょう。ありがとうございます。
カーリャ・Nべ、別にそこまでお腹はすいていませんが厚意はありがたく頂かなくては。
ミリーナそれだけじゃ足りないでしょう ?【死鏡精】のことを調べるのだとしてもいったん食事をとってからの方がいいわ。
マークそうだな。ネヴァンパイセン。食堂に案内する。ちっこいパイセンの飴はデザートにとっときな。
ミリーナコーキスも、何か食べた方がいいわ。あなただって疲れているでしょう ?
カーリャそうですよ。ミリーナ様にはカーリャもついてますし。
コーキスはい、わかりました。ミリーナ様。
マークおい、フィル。お前は ?
フィリップ僕は……いいよ。その……まだイクスに色々と伝えなきゃ行けないことがあるからちょっと図書室で頭を整理しておく。
フィリップイクスに……これ以上嘘はつきたくないから。
ミリーナ………嘘 ?
フィリップ……うん。この話は込み入っているからまた今度きちんと話すよ。今は体を休めることを優先してくれ。
ミリーナえ、ええ……。
マーク安心しろって。俺がちゃんと話をさせるさ。隠し事はさせねぇよ。
カーリャ・N……マークも案外信用なりませんけれど。
マークう……。痛いとこ突くなぁ、パイセン。
ミリーナねぇ、ネヴァン。食事の後でまたお話ししましょう ?色々聞かせて欲しいわ。ゲフィオンのこととか……。
カーリャ・N……いえ、食事を頂いた後は、すぐに出発します。やはり【死鏡精】のことは気になるので……。
ミリーナそう……。残念だわ……。
カーリャ・Nでも、調査が終わりしだいすぐに小さいミリーナ様の元にはせ参じます。その時には、どうかよろしくお願いします。
コーキス(【死鏡精】か……。なぁ、マスター。本当に……大丈夫なんだよな。俺、マスターのこと信頼してていいんだよな ? )
コーキス(マスターはゲフィオン様みたいに俺を……切り捨てないよな……)