Character1話【19-1 分史世界1】
分史ハスタハーッハハハハッ ! ヒーッヒヒヒヒ !
分史ルカごふっ…………。……………………。
ルカ僕が、殺された……。
イクスあれが、【時歪の因子】化したハスタ…… !
エルルドガー……。エル、気持ち悪い……。
カーリャエ……エルさま、大丈夫ですか ?カーリャもお側についてますからね。
ルドガー……ミリーナ、カーリャ、聞いてくれ。分史世界を破壊するには、俺がハスタにとどめを刺さないといけない。戦っている間、エルを頼めるか。
ミリーナ――ええ、任せて。
スパーダあの野郎…… !
スパーダルカーーーー !
分史ハスタおっと !
分史ハスタ……おや ? さっき「そいつだけは~」とか命乞いしてた……ええと、みっともなし太郎くん ?おかしいな、息の根止めたはずだよなぁ。
スパーダうるせえ !よくも…… ! よくもオレの前でルカを !
分史ハスタああ、このかば焼きくんね。串打ち三年、裂き八年。どうだい、この見事な刺しっぷり。
分史ハスタでも、素材がこんなゴミじゃハスタくんの腕が号泣ですよ。というわけで、この雑魚ウナギは廃棄だポイ !
スパーダ! ! てめぇッ !
カーリャひっ ! こっちに投げて――
二人きゃあああっ !
三人「ルカ ! 」「ルカくん ! 」「ルカ兄ちゃん ! 」
スパーダおい、ルカ ! しっかりしろ !
イリアどいて、スパーダ ! 手当てするから !
チトセ傷口を押さえるわ。止血してる間に術を !
イリアわかってる !
ルカ待って、みんな !……もういいよ。力は温存して。
イリア馬鹿言わないで !ルカが……もう一人のあんたが死んじゃう !
エルマーナせやで !別の世界のルカ兄ちゃんでも見捨てることなんてできへん !
アンジュそうじゃないわ。わかってるでしょう ?分史のルカくんは、もう……。
四人……………………。
リカルド! !切り替えろ。奴が来るぞ。
分史ハスタあれれ~ ? 飛んだ死体を追っかけたらブッコロリンしたリカルド先生がいるよ~。おかしいなぁ~。どうやって生き返ったのかなぁ~ ?
リカルド貴様……、輪をかけてイカレてるようだな。この死体の山、目に入った奴らを片っ端から殺したか。
分史ハスタおい、聞いてるのはオレだぜ ?質問に答えられない先生なんて、先生じゃないやい !クビですよ、クビ ! 首チョンパ !
分史ハスタぎゃひん !
エルマーナ……ええ加減にしや、自分。
アンジュエル !
エルマーナ止めんといて !子どもが目の前で殺されて、腹煮えくり返っとんねん。ウチも、ウチの中のヴリトラもな !
アンジュ誰が止めるなんて言った ?エル、やるなら徹底的によ。
リカルドさすが俺の元雇い主だ。こいつは一気に殺らんと逃げられるからな。
イリア言われなくても、最初から全力でやってやるわ !
ルカはーーーっ ! !
分史ハスタうわ、かば焼きくん、もう復活 ! ? さっきのあんまり痛くなかった ?
ルカ痛かったよ。みんなが悲しむ姿も、みんなが死んでいた姿も。
ルカあんな光景、二度と繰り返すもんか !
スパーダルカ…… !
分史ハスタ次から次へと蘇る、これぞわんこ敵 !最高のおもてなしに、ハスタ、感謝。
分史ハスタではでは~楽しい殺戮タイムセールの再開だー !
コンウェイ……ここは ?
キュキュ景色、変わた ! ……みんな、いない。
コーダうう……突然周りがぐんにゃりしたぞ。コンニャクみたいで増々ハラが減ったんだな、しかし。
コンウェイこの現象……もしかするとここは分史世界かもしれないな。
キュキュブンシ……。ルカたち、はぐれたか ?
コンウェイルドガーくんたちもいないのを見るにはぐれたのはボクたちのほうだろうね。
コンウェイボクたちとルドガーくんとの位置関係によるものかそれとも他に違いが……。
コンウェイとにかく、まずはみんなを捜さないと。ここを中心に、少しづつ捜索範囲を広げていこう。
キュキュ……わかた。
コンウェイなんだい ? なにか言いたそうだけど。
キュキュイヌテブ。アゴヌル シエリエ マゲアモエ カディアナリ イニク。
コンウェイイイ エツカノケチ ウタラナイ。
二人…………。
コーダなに言ってるのかわからんぞ、しかし。メシの相談ならもっと楽しくしろ。しかし。
キュキュ……はい、ごめん。
コンウェイボクも、少し大人気なかったかな。
キュキュ誰 ! そこいるのわかる。出ろ !
コンウェイそれじゃ脅迫だよ。――そこの人、出てきてもらえるかな。ボクたちも話がしたいんだ。
マティウス……。
コンウェイあなたは……。

Character2話【19-2 分史世界2】
マティウス……。
キュキュマティウス !
コーダギャー ! こいつはマズイんだな、しかし !
キュキュ止まれ ! そこから動く。キュキュ、攻撃する !
コンウェイ待つんだ。彼女に確認したいことがある。――あなたは、ボクたちを追ってきたの ?
マティウス……そうだ。
コンウェイということは、分史世界のマティウスじゃないのか。ここまでついてきたからには何か目的があるはずだけど、聞かせてもらえないかな。
マティウス……。チトセはどこにいる。
コンウェイさあね。ここにいるのかもわからないよ。
マティウスならばお前たちに用はない。
キュキュ待て ! お前、ルカたちに悪いことする気か ?それならキュキュ、ぜたい許さない !
マティウス奴らが私の邪魔をするのならあるいはそうなるかもしれんな。
キュキュそうか。ならお前、行かすことできない。
コンウェイやれやれ……本当に血の気が多いね、キミは。けれどキュキュの言うことにも一理ある。
コンウェイあなたが目的を話さない以上野放しにするのは危険すぎる。一緒にいてくれないかな。
マティウス断る。邪魔するのなら、お前たちから――
死鏡精死ヲ……、カガミ……シ……。
コンウェイ死鏡精 ! ?
マティウスなんだこいつらは ! なぜ、天上界にこんなものが ! ?
コンウェイ天上界 ? やっぱりそうか !この分史世界が天上界なら、なぜ死鏡精が……。
コーダわー ! コーダ、食うのはいいけど喰われるのは嫌なんだな、しかしー !
死鏡精……ミツケタ。カガミシ……。イル…… !
死鏡精アッチ……。イル……。カガミシニ……死ヲ……。
二人! !
キュキュコンウェイ、考える、後 !こいつら排除する !
コーダあっ、あいつ逃げるぞ、しかし !
キュキュコンウェイ、コーダ連れてマティウス追え !キュキュ、死鏡精倒しながらついてく !
コンウェイわかった、そうしよう。
キュキュアウォヌリ ケディエリ エミン コンウェイエンヌビ キイ !
コンウェイアソ ムコブ。
キュキュ……ホントか ?
コンウェイああ。さあ、行こう。
分史ハスタぎゃひいいん !
スパーダオラオラオラオラァ !どうしたよ、さっきの勢いは !
分史ハスタ寄ってたかって攻撃だなんて恥ずかしくないのか、君たちは !
リカルド貴様が言うか、この外道が !
分史ハスタぎゃあっ !おいおい……いつも冷静なリカルド先生らしくないでおじゃるよ ?
リカルドああ、そうかもしれん。守ると誓ったガキどもの死体がしっかり目に焼き付いちまったんでな。
リカルド己の不甲斐なさに嫌気が差す !
分史ハスタなるほど八つ当た――ぐはっ…… !
イリア怯んだ ! 今よ、ルカ !
ルカ行くよ、スパーダ !
スパーダおう !
二人爆嵐業刹衝 ! !
分史ハスタまだ……、足りな…………殺した…………。……………………。
エルマーナよっしゃ ! 倒したで !
ルカルドガーさん !
ルドガーああ ! とどめを――
ルドガーうわあっ ! !
エルルドガー ! !
チトセダメ、危ないわ !
ミリーナ落ち着いて、エル。ほら、ルドガーさんは無事よ。
ルドガーくっ……。邪魔をされた…… ?今のはいったい……。
ルカお前は !
チトセマティウス……さま ?
マティウスまだ、こやつを殺すわけにはいかぬ。
コーダそいつ、ルカたちを追ってきたんだな ! しかし !
コンウェイ正確にはチトセさんを追っていたらしいけどね。
ルカコンウェイ、コーダ !やっぱりこっちに来てたんだ。キュキュさんは ?
コンウェイすぐに追いつくはずだよ。見たところ、あれが【時歪の因子】化したハスタのようだね。
ルドガーああ。あいつを倒さないと俺たちも帰れない。
イリア聞いたでしょ、マティウス ! そいつを渡しなさい !
マティウス……チトセ、ここにいたのか。
チトセマティウスさま !お目覚めになったのですね。この日をどれだけ待ち焦がれたか。
イリアちょっと、あんたたち、無視すんじゃないわよ !
イクスマティウスさん ! 俺たちの話を聞いてください。
キュキュコンウェイ ! 死鏡精、倒しきれなかた !みんな ! 逃げる !
三人死鏡精 ! ?
死鏡精カガミシ、イタ !
キュキュバニシングストーム !
イクスあ、ありがとう ! キュキュさん !
キュキュ死鏡精、イクスたち、狙てる。
ミリーナエル、一旦私から離れていて。チトセさん、エルをお願い !
チトセえっ ? ……わかったわ。だったらお願い、マティウスさまを――きゃあっ !
死鏡精カガミシ、ナカマ ! ジャマ ! ジャマ !
エルマーナあかん、こいつら何とかせんと !
マティウスハスタは確保した。行くぞ、チトセ。
チトセ行くって……マティウスさま ?
スパーダ! !マティウス、てめぇ ! ハスタを置いてきやが――
スパーダくそっ、死鏡精が…… ! 邪魔すんな !
マティウスチトセ、早くしろ ! ここから離れるぞ。
チトセでも、私はこの子を……。
マティウス……チトセ、まさか、お前まで私を裏切るのか ?
チトセ! !
チトセいいえ ! 私はイナンナとは違う !決して、アスラさまを失望させるようなことはしません !
チトセそうよ、私だけは絶対に…… !
エルチトセ…… ?
チトセ……エル。周りの死鏡精だけは倒すからその間にみんなのところに行って。
エルチトセ、待って !
チトセマティウスさま。今、お傍に参ります !
エル行っちゃダメだってば、チトセ !
チトセ来ないで、邪魔よ !
エル! !
ルドガーエル、大丈夫か !
マティウスよく来た。さあ、行くぞ、チトセ。
チトセはい……、マティウスさま。
エルチトセーーーーッ !
イクスチトセさん ! くそっ、ハスタも取り戻さないと――
リカルド死鏡精に集中しろ !今ここで奴らを倒さないとこの先ずっと付きまとわれるぞ。
イクス……はい !

Character3話【19-4 仮想鏡界1】
ナーザ――それで、イクスたちが消えた後フリーセルはどうなった。
アリエッタデミトリアスたちに、捕まった……です。今、アリエッタのお友達が……後を追ってます。
ナーザわかった。ご苦労だったな、アリエッタ。引き続き動向を探ってくれ。
アリエッタわかった……、です !
ナーザ……ここまで急激に事が動くとはな。
ジュニアはい……。心構えはしていましたけど……。
バルドフリーセルとデミトリアスが交戦との一報を受けたので皆さんには情報共有のために集まって頂きましたがそれだけでは済まなくなりましたね。
リヒターああ。フリーセルだけじゃなく、イクスたちも本当に分史世界へ行ったのか確かめようもない。さて、どうするか。
アステルう~ん、分史世界に関しては下手に手を出すより浮遊島に任せるのがいいんじゃない ?あっちはクルスニクの一族もいるし。
コーキス…………。
メルクリアコーキス、やはりイクスが心配か ?
コーキスそりゃ当たり前だろ。けど……マスターなら大丈夫だから。
メルクリアなんと、自信満々じゃな。
コーキスまあな。今も確かめてたんだけど俺の身体には何の変化もない。感覚も正常だ。だったら、マスターだって無事ってことだよ。
マークⅡへえ。なんだよ、鏡精っぽいこと言いやがって。
コーキス鏡精だっての !っていうか、マークより俺のが先輩だからな ?
メルクリア……コーキス、おぬし何やら変わったな。
コーキスえっ、マジで ! ? どこが ! ?まさかマスターに何かあったのか…… !
メルクリア違うわ ! 見た目は変わっておらぬから安心せい。まったく……、一瞬、頼もしく見えたがわらわの気のせいであったか。
バルドいいえ、メルクリア様。素晴らしい観察眼かと。やはりあなたはナーザ様と同じように上に立つ素質をお持ちです。
バルドあなたにお仕えする者は、きっと……。
メルクリアバルド ?
バルド……いえ、話を戻しましょう。
バルドアリエッタの報告から鑑みるにフリーセルが墓守の街に向かった理由は分史世界の誕生を阻止するためだったのでしょうね。
ナーザああ。しかもそれは、フリーセルにとっても単身で挑まねばならぬほど急ぐ必要がありにも関わらず、阻止はできなかった。
ナーザそう考えると、今の状況はこちらにとって相当まずい方向へ動いているということだ。
メルクリアならば、わらわたちは、まず何をすべきでしょうか。
ナーザそれはもう決まっている。だが、これは俺の勝手ですることだ。
ナーザ俺はフリーセルを救出する。
リヒターこちらは構わんが奴はジュニアも敵視する可能性があると聞いているぞ。
マークⅡああ。俺としちゃ危険人物はなるべく遠ざけておきたいぜ。
ジュニアマーク、僕なら大丈夫だよ。
マークⅡったく、お前は……。そう来ると思ったよ。けど一応、言うべきことは言っとかねえとな。
マークⅡそれに、あいつは二人目だろ。俺らにとっちゃ、一人目のフリーセルだってよくわからねえ奴なのに、二人目ともなるとな。
マークⅡビクエの方のフィルから聞いたフリーセルの話をベースにして、二人目のフリーセルの動きを予測しても同じように動くとは限らねえ。
マークⅡ警戒ぐらいさせて欲しいぜ。
バルド二人目が同じとは限らない……ですか。
ナーザ一人目か二人目かなど関係ない。フリーセルは我がビフレストの民だ。
ナーザ俺たちと手段は違えど今も祖国のために戦い続ける忠臣を見捨てるのは俺の望むところではない。
ナーザマークの懸念は承知している。故にフリーセルを助け出した暁には膝を突き合わせて話すつもりだ。
ナーザそれでも変わらぬとあれば……俺が責任を取る。
マークⅡわかった、わかった。まあ、フィル……ジュニアも了承してるしな。
バルドでは、すぐにでも向かいましょう。メンバーはどうします ?
ナーザこうなった今、デミトリアスとグラスティンの狙いはジュニアだろうな。
ナーザ虹の橋が実体化し、奴らはニーベルングへの移住とティル・ナ・ノーグの破壊を試みるはずだ。
バルドはい。そしてその鍵はジュニアだという話です。
ジュニア………………。
ナーザ贄の紋章は無効化された。しかし消えたわけではない。
リヒターそもそもジュニアの贄の紋章は前回、他の紋章持ちとは違って発動しなかった。つまり性質が違うと考えられる。
リヒターであれば、ジュニアの紋章はまだ生きている可能性が高い。
ナーザああ。なればこそ、お前は今一度仮想鏡界にこもり外部との接触を断つのだ。
ナーザフリーセルの救出は俺の独断だ。救出には最小限――俺とバルドで向かうとしよう。
ジュニア……………。

Character4話【19-5 仮想鏡界2】
メルクリア――な ! ?兄上様、それはあまりにも危険ではありませぬか ! ?
ナーザ案ずるな。バルドもいる。
ジュニア……ま、待って……。
ジュニア待ってください、ナーザ将軍 !僕も……僕もお二人に同行させてください !
マークⅡお、お前、何言ってんだ ! ?
ナーザどういうつもりだ、ジュニア。
ジュニア虹の橋が架かって、分史世界も創られてしまいました。みんなが言うとおり、これから帝国は僕の捜索に全勢力を傾けるはずです。
ジュニア魔の空域にまで干渉したグラスティンだ。このまま仮想鏡界に隠れていても見つかる可能性だってある。
ジュニアだったら僕を交渉材料にしてください。僕がおとりになって隙を作る計画を立てた方が相手の意表を突けると思います。
マークⅡ駄目だ、危険すぎる !何されるかわかんねえぞ !
ジュニア嫌なんだ ! そうやって怯え続けるのは !
ジュニアマーク、僕はもう利用されるためだけに生まれた僕のままでいたくない。
マークⅡ! !
メルクリアよう言うた。ジュニア。
マークⅡ……参ったな。俺のご主人様、意外にカッコいいわ。
アステルふふっ、だったら僕たちも協力しないと。
バルドレイカー博士、何か良い策でも ?
アステル策はないよ。でもジュニアの贄の紋章の抑制コードみたいなものはできそうかなって。
アステル確かジュニアの贄の紋章には対になる紋章があるんだったね。
アステル帝国がジュニアを捕まえたならきっと対になる贄の紋章とセットで起動させる筈だ。
アステルだから、ジュニアの贄の紋章に相手の贄の紋章の発動を抑えるコードを上書きしてみようかと思うんだ。
コーキスえ~と……、つまり ?
リヒターアステル、わかりやすく説明してやれ。
アステルわかりやすく ? う~ん……、例えるならディスト博士がジェイドさんと遭遇しても何もできずに指をくわえて見てるだけになるコード。
コーキスますますわかんねえ !
ディスト心外ですよ、レイカー博士 !私とジェイドの部分を逆にしなさい !
コーキスいたのか、ディスト様 !
ディスト最初からいましたよ。救出だの何だのと興味がなかったので黙っていただけです。
アステルあはは、ごめんなさい。とにかく、そういう対策はできると思うんだ。
アステル浮遊島で所持しているデータやリヒターとディスト博士の力があればすぐにでもジュニアの贄の紋章に上書きできると思う。
アステルでも、そもそも対の紋章の性質まではわかってないから相手の贄の紋章が効果を発動させるのを遅らせることしかできないけどね。
ジュニア対になる贄の紋章……、元々贄の紋章はルグの槍の力を利用して虹の橋を架けるものだった。
ジュニアなら、僕と誰かの持つ『対の贄の紋章』もルグの槍の力を利用していて虹の橋に似た効果を持っているのかな……。
アステル基本的には贄の紋章なんだからそうだろうね。
ディスト簡単なことですよ。わざわざ二人の人間を対にする――つまり二人の人間の力を寄り合わせる必要があるのでしょうね。
リヒタージュニアをわざわざ使うのなら当然鏡士としての力か。
ジュニア……少し見えてきた気がします。帝国は何かを具現化したいんだ。
ジュニアアステルさん。対の紋章が誰に施されているのか突き止めるためにも是非その上書きをお願いします。
バルドナーザ様、いかがなさいますか ?だいぶ盛り上がっているようですが。
ナーザ……わかっている。歩みを進めんとする者たちに水を差すほど無粋ではない。
ナーザレイカー博士、ジュニアへの処置を急いでくれ。
アステル了解です。
ジュニアナーザ将軍、ありがとうございます !
ナーザ何を言う。感謝するのはこちらの方だ。
アステルディスト博士、力を貸して貰えませんか ?僕だけじゃ難しい作業ですしどちらかといえばディスト博士の得意分野ですよね。
ディストいいでしょう。対の紋章には私も興味があります。浮遊島でも研究をしているはずですよ。
ディストさあ、早く連絡しなさい。我が友ジェイドなら快く情報を共有してくれるでしょう。
ナーザメルクリア、コーキス、俺たちに同行しろ。いざとなれば、お前たちがジュニアを連れて逃げるのだ。わかったな。
コーキス了解 !へへっ、ボスも結構優しくなったよな。
メルクリア馬鹿者 ! 兄上様は元からお優しい方じゃ。――よし、わらわも準備をせねばのぅ !
リヒター気負いすぎるな。足を掬われるぞ。
メルクリアわかっておる。リヒターは本当に心配性じゃの。
ナーザリヒター、お前もついてきてもらえるか。ジュニアの処置後に対処できる者が欲しい。
リヒターわかった。だが、ここの守りはどうする。仮想鏡界はほぼ安全だとは思うが……。
ナーザマークとディストならアステルを守ってそれなりに立ち回れるだろう。外に出ている者も、じき戻るしな。
ナーザ紋章の上書きが終わり次第、墓守の街に出発する。それぞれ備えを進めておけ。

Character5話【19-6 分史世界4】
イクス洸牙衝 !
イクス……よし、これで全部かな。
リカルドああ。見た限りではな。しばらくは邪魔されずに済むだろう。
イクスミリーナ、カーリャも無事か ?
ミリーナええ !
ミリーナカーリャ、大丈夫よね ?
カーリャはい、このとおり !乗っ取られたりしてませんよ。
イクスよかった。コーキスの例もあるからさ。心配したよ。
カーリャそれにしてもなぜ分史世界に死鏡精が現れたんでしょう。もしかして、天上界にもいたんですか ?
アンジュいないはずよ。天上界に鏡士みたいな存在がいたら嫌でも戦争に引きずり出されてるはずだもの。
イクスう~ん……。この分史世界はハスタの記憶の中にある前世の天上界を再現しているはずだ。
イクスでも、エンコードのせいでティル・ナ・ノーグでの『前世』の概念はニーベルングへと置き換わっている。
イクスそのせいで、二つの世界が歪に混ざり合った分史世界が生まれたのかもしれない。
カーリャそれなら死鏡精が現れても不思議じゃないですね。
ミリーナこれからも何が起きるかわからないわ。早く脱出しないと。
スパーダああ。ルドガーにハスタのとどめを刺してもらってこんな世界とはおさらばだ。さあ、マティウスを追おうぜ !
ルドガーああ、でも……。
エル…………どうしたの ? エルなら平気だよ。早くチトセを迎えにいこう。
ルドガー本当に大丈夫か ?何か気になることがあるなら――
エルなにもないよ ! 本当に大丈夫だから……。
アンジュねえ、みんな。立ち話程度でいいからマティウスを追う前に今の状況を整理しておかない ?
ミリーナそうね ! その間、エルとルドガーさんは休んだらどうかしら。
ルドガーありがとう、そうさせてもらうよ。
エルマーナせや、忘れるとこやった !エル、これ返しとくな。
エルあ、これ……エルがエルと拾った貝殻 !
エルマーナこれな、あの部屋の……管制室の前で拾ってん。ルドガー兄ちゃんから話を聞いたあとに。
エル! !あ、それじゃ……。
エルマーナ一人で抱えるんがしんどいなら相談してみるのもええんちゃう ?エルには何でも話せる相棒がおるんやろ ?
エルアイボー……。そうだよね。ルドガーは、エルの相棒。
エルマーナせやで ! そんで、それでもしんどい時にはアンジュ姉ちゃんに抱っこしてもらい。ルドガー兄ちゃんと違ってフッカフカやで ?
エルうん、わかった。ルルとどっちがフカフカか、比べてみる !
アンジュうっ、そこはルルに勝って欲しいかな……。
イクスそれにしても、マティウスがいたのは予想外だったな。
コンウェイボクも最初は分史世界のマティウスかと疑ったよ。
リカルドしかし、何故あいつはハスタをかばったんだ。
コンウェイ彼女にとって、この分史世界の中に都合のいい何かがあるんじゃないかな。それが何かといわれても、ボクにはわからないけどね。
イリアそんな小難しいこと、どうでもいいわよ。とにかくマティウスを止めないとあいつ、また都合のいいように利用されるだけよ。
ルカあいつって、チトセさんだよね ?
イリア当たり前でしょ。他に誰がいるのよ。
ルカ……それって利用されるチトセさんが心配ってこと ?
イリアはぁ ? どこをどう聞いたらそうなんのよ !あんたほんっと、おたんこルカね !
コーダコーダもそう聞こえたぞ、しかし。
イリア違うって言ってるでしょ !……けどさ、あたしたちはみんなあいつの最期を見てるじゃない。
イリアもうあんな想いをさせるわけにはいかないでしょ。こっちも後味悪いしね。
イリアそういうわけだからくれぐれも勘違いするんじゃないわよ ! ?
ルカイリア、顔が赤――
スパーダおい、ルカ ! やめとけって !
ルカえ ?
エルマーナアスラもそうやったけど、ルカ兄ちゃんてたまにおっそろしく空気読めん時あるなぁ。そう思わん ? アンジュ姉ちゃん。
アンジュ…………。
エルマーナアンジュ姉ちゃん ? なに考えとるん ?
アンジュえっ ? ああ、ごめんね、エル。さっきコンウェイさんが言ってたことが気になって。
アンジュマティウスに都合のいいことは何なのかって考えてたの。
エルマーナふうん。で、わかったん ?
アンジュそれが全然。やっぱり、まずはマティウスの目的をはっきりさせないといけないのよね。でも、それも全く思い浮かばないの。
アンジュだって、今のマティウスの行動って帝国側に都合のいいことばかりでしょ ?
アンジュ自我を取り戻したマティウスが自分をリビングドールにした人たちの利益になることなんてするかしら。
エルマーナまあそうやな。帝国に味方してないならそうに見える行動をするんはなんでかを突き止めて……、ええと……。
エルマーナあーー、なんや頭痛なってきたわ !
アンジュごめんね。私だって考えがまとまってないのに混乱させるだけよね。
リカルドおい、そろそろ行くぞ。さすがにこれ以上は奴らから離れ過ぎる。
アンジュわかりました。さ、行きましょうか、エル。
エルマーナ全然わからんままやけど、ええの ?
アンジュええ。立ち止まって考えるよりもエルの言うとおり今は彼女たちを止めるのが先決よね。

Character6話【19-9 分史世界7】
チトセ――そうして帝国から連れ出された後鏡士のもとに身を寄せ、マティウスさまが回復されるのをお待ちしていたのです。
マティウスそうであったか。……帝国め、よくもここまで愚弄してくれたものよ。
マティウスそれで、ロミーと行動を共にしている間奴は何か言っていたか ?
チトセはい。ルグの槍が発動したときこそ自分が世界を超える機会だと。
チトセ帝国とも、アルトリウスとも違う発言をしたのはそれだけです。
マティウスそうか。これで確信できた。フフフ、あのロミーという女はしたたかだな。
チトセマティウスさまは、何かご存じなのですか ?
マティウスあの者は、ティル・ナ・ノーグという世界から脱出しようと目論んでいたのだ。
チトセ脱出…… ?それは、自分の世界に戻るという意味ですか ?
マティウスそうだ。私もリビングドールにされる直前に知った話だがな。奴は今もその計画のために動いているとみえる。
チトセ『今も』とおっしゃいましたがロミーはまだ目覚めてはおりません。
マティウスよい。それで構わぬ。
チトセそう、ですか……。
マティウスともあれ、ティル・ナ・ノーグから抜け出せるか否かはルグの槍の力の発現である虹の橋にかかっている。
マティウス分史世界に虹の橋が架かっている限り閉じた世界に風穴が空いた状態になるのだ。
マティウスチトセ、この分史世界という場所を消させてはならぬ。
チトセはい !それで、あの……、差し出がましいようですがお体はいかがでしょうか。
マティウス問題はない。このとおり、目覚めてすぐに動くこともできた。
チトセそうですか。本当に……本当によかった…… !必ずお元気になられると信じていました。
マティウス行くぞ、チトセ。私にはやることがある。
チトセはい、マティウスさま !
チトセ(ああ、マティウスさまについて来てよかった。これで私の思いは報われるわ。もう、何も憂いはない)
チトセ(…………何も ?)
分史ルカごふっ…………。……………………。
ルカ僕が、殺された……。
チトセ(大丈夫、アスラさまは……、ルカくんは強いわ。分史世界のようにはならないはず……)
エル行っちゃダメだってば、チトセ !
チトセ(でも、あの子は……)
マティウス……どうした、チトセ。顔色がすぐれぬようだが、何を気にしている。
チトセい、いいえ、何も !マティウスさまが気にされるようなことではございません !
マティウス私には話せぬと ?
チトセそれは……。
マティウス話せ。
チトセ……先ほどの死鏡精の襲撃がどうなったか考えておりました。
マティウスああ、そのようなことか。そうだな、ヤツらがあそこで倒れてくれればこちらには都合がよいのだがな。
チトセえっ…… ?
マティウス私の思惑どおりに事が運べばルカたちは恐らく邪魔をしてくるだろう。
マティウス共にいた鏡士は、我らをここに閉じ込めた元凶だ。直接恨みを晴らすことはできぬが死鏡精とやらと相打ちになれば手間が省ける。
チトセおっしゃる通りですがそれでも、あの人たちはマティウスさまの御身を救い保護いたしました。
チトセルカくんや、他の者も毎日のようにマティウスさまの容体を気にして訪れてくれたのです。
チトセそれに、エル……、私と共にいた子は先ほどまで、マティウスさまのために一緒にお見舞いの花を探していました。
チトセあの子、それは懸命に選んでくれて――
マティウスそれが一体なんだ。
チトセ
マティウス奴らが私を救出し保護したのは自らの目的を果たすためであろう ?
マティウスそして、お前を懐柔するために献身と愛情を見せつけているのだ。
マティウスあのイナンナのようにな。
マティウス優しさや愛など偽りにすぎない。奴らの示す偽善に満ちた感情に惑わされるな。早く忘れろ。
チトセ……はい。
チトセ(……だけど)
サクヤアスラさまが正しいのよ。
チトセ! !
サクヤイナンナのせいで天上界は崩壊しアスラさまも全てを失ってしまった。
サクヤあの女の偽りの愛のせいで !
サクヤだから今度は『私』がアスラさまの傍にいなければ。
チトセそうよ、私が……。私がマティウスさまの傍にいなくちゃいけない !
マティウスチトセ、ハスタを匿える場所を探すぞ。
チトセはい !
チトセ(ハスタ……、この人が来なければ今頃私はエルと花を摘んで――)
チトセ……忘れなきゃ。

Character7話【19-10 墓守の街1】
コーキス驚いたな。ここまでめちゃくちゃスムーズだぜ。
メルクリアうむ。墓守の街に近づくほど帝国兵か死鏡精あたりに出くわすかと思ったのじゃが。
ナーザアリエッタの魔物たちのおかげだ。いざという時の脱出経路も確保するよう頼んである。
コーキスすげえ ! あ、いいこと思いついた。アリエッタ様がこの世界の魔物を全部仲間にできたら他の魔物とも戦わなくて済むよな !
リヒターアリエッタの魔物は、あくまで『友人』だろう。お前、心を通わせるほどの友をそう簡単に手に入れられるとでも思っているのか ?
コーキスう……。
メルクリアリヒター、話はもっともじゃがもそっと優しく言えぬか ? コーキスがしょぼくれておる。
リヒターそんなつもりはなかったんだが……。すまなかったな。
コーキスいや、リヒター様の話は勉強になるからさ、うん。
ナーザお前たち、じきに目的地だぞ。気を引き締めろ。
バルドふふっ、多少は敵が出たほうが緊張感があったでしょうか。
ジュニアでも、おかげで少し落ち着きました。
ジュニア……この作戦、必ず成功させます。フリーセルを取り戻して、みんな無事で帰りましょう。
グラスティンまったく、どこまでも邪魔しやがって。貴様のせいで、奴らだけが分史世界に行っちまっただろうが !
フリーセルぐっ !
デミトリアスやめるんだ、グラスティン。
フリーセルデミトリアス……。
グラスティン絆されるなよ、デミトリアス。復讐するチャンスだぞ。
グラスティン友人面して近づいて、お前を殺そうとした男だ。生かしておく必要があるか ?
フリーセルゲホッ……。俺を殺したいのは……誰よりお前なんじゃないか ?グラスティン。
グラスティン貴様――
ナーザそこまでにしてもらおう。
デミトリアス貴殿は…… !
ナーザ久しぶりだな、デミトリアス帝。
デミトリアスウォーデン殿…… !それにメルクリアも。
フリーセル! !
デミトリアス懐かしいよ……、変わらず元気なようだね。
メルクリア……お久しゅうございます。
グラスティンおいおい、これはどういうことだぁ ?ビフレストの皇族方がおそろいで。しかも……。
ジュニア…………。
グラスティンヒヒヒッ、小さいフィリップまでいるじゃないか。かくれんぼは終わりか ?
ジュニアそうだね。いい加減飽きたんだ。
グラスティンもう少し遊んでいてもよかったんだぞ ?お前の大事なものを順番に痛めつけたところで許しを請いながら俺に下るのも一興と思っていたのに。
リヒター下衆が……。
グラスティンまあ、手間は省けたんだ。文句は言わんさ、ヒヒヒッ。それで、用件はなんだ。
ナーザ我が臣下を迎えに来た。
フリーセルウォーデン様 !御自らがお出ましになることではございません !どうかお捨て置き下さい !
バルド捨て置けと言われて帰るような御方であれば最初からここには来ないよ、フリーセル。
メルクリアそうじゃな。兄上様をみくびるでないわ。
フリーセルバルド様、メルクリア様……。
フリーセル申し訳ありません。私の失態ゆえに尊き方々を巻き込んでしまった……。
グラスティンいやぁ、価値ある失態だぞ ?その尊き方々が大事に隠しておいた小さいフィリップまで引きずり出したんだからなぁ !
フリーセルくっ……。
ナーザフリーセル、お前は思い違いをしている。
ナーザむしろ、最初に巻き込んだのは俺たち皇族の人間だ。お前はただ、その渦中でひたすらに責を果たそうと奔走した。
ナーザその忠義に報いるためにここへ来た。全ては俺の身勝手な思い故。お前が悔いることなど何ひとつない。
フリーセル……殿下……。
グラスティンよかったなぁ。お前みたいな駄犬でもご主人様はまだ飼う気でいるらしい。
グラスティンだが、俺はどうしてもこいつを殺したいんだよなぁ。
デミトリアスグラスティン、待て。――ウォーデン殿、ならば取引をしようではないか。
グラスティンヒヒッ、そういうことだ。こいつの命と、ジュニアの身柄を交換といこう。
リヒターそうまでしてジュニアを手に入れたい理由は特殊な贄の紋章のせいか ?
グラスティン……なるほど。お前やアステル、ディストにハロルドもいる。その程度の調べはついて当然か。
リヒターやはりな。だが、対になるもうひとつの紋章はまだ誰にも刻めていないはずだ。
リヒター鏡映点は、ほぼイクスたちの手中にある。その全員を調べたからな。しかもすでに刻まれた紋章は全て無効化してある。
リヒター今さらジュニアを手に入れたところで無駄な話だ。ここからどうする気か見物だな。
コーキス……リヒター様、探りを入れてるのか。
メルクリアうむ。少しでも対の相手がわかればよいが。
グラスティンくっくっくっ……ご忠告どうも。そうか、対の紋章が刻まれてないこともバレてると。
グラスティンだがな、なくて当たり前なんだよ。紋章を刻んだのは、ついさっきだ。
グラスティンあれは本人も気づいてないだろうなぁ。
ジュニアさっきだって ! ?
リカルドいいか、よく探せよ。あいつらは気絶したハスタを抱えてる。不自然な足跡があるはずだ。
キュキュ足跡、見つけた ! こっち !
ルドガーよし、行こう、エル。
エルうん。……ねえ、ルドガー、エルってジャマかな。
ルドガー邪魔なわけないだろう ?
ルドガー……あ、そうか。あの時の――
エル行っちゃダメだってば、チトセ !
チトセ来ないで、邪魔よ !
ルドガー……エルは、チトセのことどう思う ?
エルチトセは優しいよ。マティウスのために花を摘んだりエルにも折り紙見せてくれたり、色々話してくれたしさっきもエルのこと守ってくれた。
エル花もね、本当は摘むよりも自然に咲いてるのを見るのが好きなんだって。動物も好きって言ってて……。
エル……だからね、ジャマって言われて悲しかったけど本当は、エルが危ないから来ないようにするためかもって……。
エルけど、すごく怖い顔してたし……、よくわかんない。
ルドガーそうか。だったら、ちゃんと会って話さないとな。みんなでチトセを迎えに行こう。
エルうん !戻れたら、またチトセとあの花畑に行きたい。今度はミラもいっしょに。
エル……エルね、今すごく、エルのミラと話がしたいんだ。
ルドガーそうだな……。チトセを助けて、早く帰ろう。ミラや、兄さんや、エルのパパのところに。

Character8話【19-11 分史世界8】
マティウス崖か……。一度戻らねばならんな。
チトセ申し訳ありません。私が不案内なばかりに。
マティウス天上界と似ているとはいえ場所によって地形がだいぶ違っているな。
チトセここまでの道沿いに廃屋らしきものがありました。とりあえずハスタは、そこにでも閉じ込めて――
エルマーナあっ、おったで ! マティウスや !
ルカチトセさん、探したよ !
チトセルカくん……。
マティウスやはり生きていたか。
イリア当たり前でしょ。あのくらいで死んでたらティル・ナ・ノーグじゃ生きていけないっての !
チトセまた私の邪魔をするのね、裏切者のイナンナ。アスラさまは渡さないわ。
イリア頼まれたっていらないわよ。それとイナンナは前世。あたしはイリア。ごっちゃにしないで。
イリアで ? あんたはどっちよ。イナンナに負けたほう ?それとも――
チトセっ !この―― !
アンジュ待って !マティウス、あなたに聞きたいことがあります。
アンジュあなたがハスタを庇うことで、帝国は有利になるわ。それを知っての行動かしら。
マティウスそうだ。
アンジュあなたを利用しようとした帝国に協力するというの ?
マティウス協力などしていない。ただ、今は手段を同じくしているだけのこと。
マティウス私はヤツらを利用しているにすぎない。
イリアあーーもったいぶった会話ってイライラする !さっさと話しなさいよ !
マティウスふっ、いいだろう。どちらにせよ、お前たちには手出しのできぬことだからな。
マティウス私はティル・ナ・ノーグを脱しあの忌まわしい世界へと帰還を果たした後――破滅させる。
スパーダ……やめとけよ。それ、絶対に上手くいかねえぜ。
コンウェイこの鏡に護られし創造の世界でなら違う可能性を見つけられるはずなのにそれでもキミは繰り返すというのか。
マティウスどこにいようと我が願いは変わらぬ。腐った世界の破壊のみ。
コンウェイそう……。これも魂に刻まれた因果ゆえか……。
マティウスふっ、何とでも言うがいい。
ルカでも、それは本当に叶わない願いなんだ、マティウス。――そうだよね、イクス。
イクスああ。ティル・ナ・ノーグは閉ざされた世界だ。あなたはもう二度と、元の世界には戻れない。
マティウスそのようなことは百も承知よ。知ったうえで私は計画を進めているのだ。
マティウスこうしている今もロミーは私の目的を達するために動いている。本人が自覚しているかは知らぬがな。
イクス何を言っているんだ。ロミーはまだ眠っているのに。
マティウスあの者の魂はすでに肉体から離れている。お前たちは気づいていないようだがな。
ミリーナ離れているですって ! ?ロミーの身体にはアニマがない…… ?
カーリャまさか、ロミーさまはもう亡くなって……。
マティウス正確には、ロミーとやらの体を奪っていたものが離れていったのだろうな。
イクスそうか……。確かロミーは本来のロミーではないってルキウスが言っていた。
イクスでもロミーの中にいた魂はどうして急にロミーから離れたんだ…… ?
マティウスもちろん、ティル・ナ・ノーグを脱出するためだ。
ルカまさか、本当に……。
マティウス興味が沸いたか? ルカ、私に協力するのなら共に来い。
ルカそんなの……。
マティウスもっと詳しく話してやろう。
マティウス帝国にいた頃だ。私はロミーが『故郷』と呼ぶ場所に戻ろうと動き出したことを知った。
マティウスしかし、探りを入れようとしたところでグラスティンという男にリビングドールにされたのだ。だが、チトセが動いてくれた。
チトセええ。前もってのご指示どおりに万が一、マティウスさまに何かあればまずはデミトリアスにつく。
チトセそして、デミトリアスの様子をうかがいつつロミーが帝国軍の意図に反して動いているようであればそちらへつくようにと。
チトセロミーがアルトリウスについたからこちらもアルトリウスに協力することにした。
マティウスこれまでの帝国の動き、そしてチトセからの情報加えて、アジトからお前たちをつけて来た際に聞いたデミトリアスとの話。
マティウスそれら全てを合わせて私は理解した。
マティウスルグの槍は隔てられた二つの世界――この分史世界とティル・ナ・ノーグとを虹の橋を作ることで繋いでいる。
マティウスつまり、ルグの槍には世界を越える力がある。ロミーはこの力を利用して奴の故郷へ戻ろうとしているのだ。
マティウス虹の橋の実体化はこの分史世界の誕生と連動している。ロミーの脱出が成功し、私が脱出するまで分史世界を守り、虹の橋を保たなければならない。
マティウスさぁ、行こう。我が半身よ。元の世界に戻り、我々に与えられた責務を果たすのだ。
エルマーナ待ちぃ ! さっきから黙って聞いてれば勝手なことばっか言うて !
アンジュ帝国はこの分史世界から何かを持ち込むことでティル・ナ・ノーグを消滅させようとしている。分史世界をこのままにはしておけないわ。
マティウスこの世界のことなどどうでもいい。聞けば元より具現化を繰り返した継ぎはぎの世界だ。歪さは私たちの世界の比ではない。消えて当然だ。
マティウスしかも、お前たちは勝手に具現化されたのだぞ ?守ってやる価値がどこにある。
リカルドそれはお前が決めることじゃない。価値など自分で決める。
キュキュそう ! キュキュの大事、キュキュが決める !
マティウスお前はどうなのだ、ルカ。
ルカ僕もみんなと同じだよ。
ルカこの世界で結んだ絆を……ティル・ナ・ノーグで出会ったみんなを犠牲にしてまで帰ろうなんて思わない。
マティウスそうか。ならば私を止めてみることだな。
スパーダああ、やってやるよ !ルドガー、こっちはオレらが抑える。スキ見てハスタのほう頼むぜ。
ルドガーわかった !
チトセさせないわ !
ルドガーチトセ…… !
エルお願いチトセ、ルドガーと戦わな――
エル……あれ…… ?なんで……胸……くるし……。
二人エル ! ?

Character9話【19-14 墓守の街4】
ジュニア紋章を刻んだのがさっきって、どういうこと ! ?
フリーセルまさか……あの鏡士たちとの戦いの時か ! ?
グラスティンヒヒヒ、今頃気付くなんてのろまだなあ。だからお前は駄犬なんだよぉ。
デミトリアスグラスティン、仕掛けをペラペラと話すのはいささか危険なのでは ?
グラスティンそうだなぁ。ジュニアを前にして昂ぶったのかもしれないな。ヒヒヒヒ、この辺にしておくかぁ。
デミトリアスそれで、ウォーデン殿。返答はいかに。
グラスティンどうするんだ ? あんまり長く待たせると手が滑ってうっかり刺しちまうぞ ?
ナーザ――ジュニア、行ってもらえるか。
ジュニア……わかりました。
デミトリアス交渉成立だな。
ナーザでは、フリーセルの解放を確認した後に同時に互いのほうへ歩かせる。それでいいな。
デミトリアス承知した。グラスティンフリーセルの足の拘束を解いて放してやれ。
グラスティン……わかった。ただし――
フリーセルぐあっ ! !
グラスティン大げさだな。片足刺したくらいで。さて、これで派手な動きはできないだろう。――行け。
バルドジュニア、くれぐれも気を付けて。
フリーセル……すまない。
ジュニア大丈夫。任せてください。
ナーザよくぞ戻った。大儀であった。
バルド出血が酷い。応急手当だけでもしておかないと。
フリーセル申し訳ありません……。
ナーザ手当が済んだら下がっていろ。ことはすぐに起きるかもしれん。
フリーセルこと…… ?
グラスティンああ、よく帰ってきたなぁ、小さいフィリップ。――それで、何を企んでいる ?
ジュニア! !
グラスティン隠れてた奴がノコノコ出てきてしかも素直にこっちに来た。上手く運びすぎて疑いたくもなるだろう ?
ジュニア……そうだね、企んでるよ。僕はもう、あなたの思い通りになんかならないってね。何をされたって、全力で抗ってみせる。
グラスティンヒヒヒッ、可愛いことを言うじゃないか。ならやってみせてくれよ !お前に刻んだ贄の紋章は特別だとわかってるんだろう ?
ジュニアうあああっ ! !
グラスティン決意だけでその紋章の発動は止められないぞ ?さあ、次元を越えるルグの槍――いや、クルスニクの槍が生まれるぞおっ !
グラスティン…………あ ?
グラスティン何だこれは……対の紋章が同期しない ! ?
リヒター始まったぞ ! 今だ !
ナーザ行け ! ジュニアを奪還しろ !
二人「了解 ! 」「承知 !」
デミトリアス邪魔はさせない !
デミトリアス衛兵 ! !
デミトリアス兵たちが来ない…… ?
デミトリアスそうか……。貴殿らの仕業か。ウォーデン殿、メルクリア。ならば――私が貴殿らを食い止める !
グラスティンクソッ、紋章に変なコードを上書きしてやがる !こいつの解除は……チッ、面倒なロックかけやがって !このやり方じゃ時間がかかりすぎる !
ジュニア言っただろ……。思い通りになんて……させ……ない……。
グラスティン馬鹿が。対の紋章との結合は終わってるんだ。対の方に負担はかかるが、強引にでも――
ジュニアうっ !
グラスティン俺が直接上書きして強制的に紋章の効果を発動させてやる !
ジュニアうわああああ ! ?
コーキスジュニアが炎に包まれた ! ?
エル痛っ ! ! はあっ……はあっ……。
ルドガーエル ! ? エル、どうしたんだ ! !体が異常に熱い ! ?
ミリーナえ ! ? 今、一瞬エルの体が炎に包まれたような…… ! ?
イクス炎…… ! ?まさか……贄の紋章 ! ?でも、エルに紋章が刻まれた筈は……。
イクスいや、そうか。エルとチトセは帝国にさらわれたんだ。まさかその時に――
マティウスそうか。【クルスニクの鍵】に贄の紋章を仕込んでこの分史世界を丸ごとティル・ナ・ノーグに運び込むつもりか。
三人! ?
マティウスならばルグの槍の再起動も近いな。これでティル・ナ・ノーグを抜け出せる !
イクスエルの贄の紋章が完全に発動したらエルもティル・ナ・ノーグも危険だ !ルドガーさん、早くハスタを !
マティウスさせぬ ! クルスニクの一族、貴様さえ倒せば――
ルドガー! !
マティウスうっ…… ! 死神め……。
チトセマティウスさま !
リカルド動くなよ。次は頭をぶち抜く。
キュキュキュキュも、容赦しない。
マティウスチトセ、起動するまで分史世界を守るのだ !そいつらを……ルドガーを殺せ !
チトセは、はい !
エルルド……ガー……、だめ、チトセを、助け……。
ルドガーわかってる。無理にしゃべるな。
チトセっ……。
ルカ……チトセさん、手が震えてるよ。それじゃ戦えない。
チトセ(どうして体が動かないの…… ?マティウスさまの命令ならあの子が苦しんでようが構わないはずのに……)
チトセ(そうよ、私は元の世界でだって他人を犠牲にしながらルカくんを――アスラさまを手に入れようとしてたじゃない。なのに……)
マティウスやれ、チトセ !
エルチト……セ……。
チトセ(これは……本当に正しいことなの ?)
サクヤ(そうよ。正しいに決まってる。私は、アスラさまの期待に応えなければ)
チトセ私は……アスラさまの……期待に……。
イリアあんた、それでいいわけ ! ?
チトセ! !
イリアあいつの願いは知ってるでしょ。世界の破滅よ ?あんたもそれを望んでるっての ?
チトセアスラさまが……望むなら……。
イリアアスラじゃなくて、あんたの望みを聞いてんの !自分の気持ちにくらいちゃんと正直になりなさいよ !
サクヤあんな女の言葉なんて聞いては駄目。あの女さえいなければ、アスラさまは滅びを望むほどの絶望に苛まれることなどなかったのだから。
サクヤ今度こそ私がアスラさまを支えるのよ。
チトセそう、サクヤが支える、アスラさまを……。マティウスさまを支えるのは……。
チトセ私は、誰のために…… ?
サクヤまず、あの女を裁きましょう。さあ、早く !
マティウス早く ! やれ、チトセ !
チトセ……る……い。
チトセうるさい ! 私はあなたじゃない !
サクヤ何をしているの ! あなたは私、私は――
チトセ私は……サクヤ……。私は……アスラさまを……支えて……。
チトセアスラ……さま……じゃない。あの人は……マティウスさま…… ?
サクヤアスラさまよ。アスラさまを支えるの。私は――
チトセ違う……違う…… !あの方はマティウスさま…… !
チトセ私の……チトセの大切なマティウスさまなの !あなたの気持ちを私に押し付けないで !
イリアあんた……。
マティウス何をしている、チトセ !ルドガーを殺せ !
チトセ――……私には、できません……。
マティウスチトセ……。
チトセマティウスさまの願いはマティウスさま自身も失ってしまいます……。だから……。
マティウスやはりお前も……、お前までも裏切るのか ! !
二人! !
チトセきゃあっ ! !
マティウス私を裏切る者など不要だ !
チトセ! !
スパーダお前、何もわかっちゃいねェ。
イリア今のチトセの気持ちがわかんないならあんたは一生独りよ。
アンジュマティウス、あなたは彼女を裏切者と言ったけれど私にはむしろ『あなた』を選んだように見えたわ。
マティウス知った口を叩くな !全てを失うこの絶望を、お前たちは知りはしまい !
エルマーナ全部なくした言うんなら、また集めればええやん !ウチらみんな、そうしてきてんで ?
マティウス戯言を…… !
リカルドガキの戯言ってのは案外当たってるもんだ。侮ると痛い目を見るぞ。
キュキュキュキュ、帰れないは辛い。でも、この世界好きになた。とても大事 !
コンウェイああ。せっかく未知の世界の物語を楽しんでるんだ。結末は先延ばしにさせてもらうよ。
ルカマティウス僕は君の未来を知っている。でも、今ならまだ変えられるんだ。
ルカ止めてみせるよ、絶対に !
マティウスほざけ !天上界も、地上界も、ティル・ナ・ノーグもすべて消し去ってくれるわ !

Character10話【19-15 分史世界9】
マティウスこんなことが……なぜ、私が……お前たちなどに…… !
ルカ僕たちには仲間がいるからだよ。
ルカどんな時でも信じあって、助け合える仲間の存在が僕たちの強さなんだ。
マティウス認めん……。そんなものが強さだなどと…… !
イクス何にしろ、あなたの負けです。マティウスさん。
マティウスくっ…………。
チトセマティウスさま……。
エルううっ !
イクス!ルドガーさん、ミリーナ、エルは ?
ミリーナ苦しそうよ。治癒術じゃどうにもならないわ。早く逆しまの紋章を打ち込まないと…… !
ルドガーミリーナ、エルを頼んだ。すぐに【時歪の因子】を破壊する。
ルドガー……ハスタはどこだ ?
イクスいない ! ? さっきまでそこにいたのに――
チトセマティウスさまっ !
チトセきゃあああああっ !
マティウスチトセ ! ?
ハスタバッキャロ~イ !ハスタは急に止まれないって常識でしょうが !
チトセマティウス……さま、ご無事……で……。
マティウス何を…… !
ハスタまったくこのバカちんが !オレ様の復活記念の獲物はマティウスって相場が決まってんですよ~おい !
ハスタってわけで、いただきまーゲボッ ! ?
スパーダお前にはやらせねぇよ !
マティウスなぜ……なぜ助ける !
スパーダ今のオレは剣じゃねェ。守りたいと思えば、自分で動いて守れるんだよ。
スパーダデュランダルもそうしたかったんじゃねえの。アスラは最高の相棒だからな。
マティウス……。
ハスタ病み上がりにきつい迎え傷……。さすがご同輩、ざっくりいってくれますなぁ。
ハスタいいぜいいぜ、殺戮ショーの再々演、はっじまっる――
ハスタギャッ !
キュキュ始まる、ない。もう終わり。――イクス、ミリーナ、今 !
ミリーナ魔鏡の霧よ !
イクスよし、今のうちに魔鏡結晶でハスタの足下を !はーーっ ! !
コーダハスタの足下が固まったんだな、しかし!
ハスタくっ……こんなシナリオはボツでリテイク !次だ次 ! 次行ってみよー !
コンウェイ悪いけど……キミに次はもうないんだ。解放しよう、永劫の苦しみから !
ハスタ
コンウェイ頼むよ、ルドガーくん !
ルドガーああ、これで……終わりだ !
ハスタ槍 ! 槍はいいぞ ! 懐か――
ルカ……あれ ? 真っ暗だ。僕、何してたっけ……。
マティウス……お前は、ルカか ?
ルカマティウス ! ?……そうだ、ハスタを倒して分史世界が破壊されて……。
ルカどうして、僕たちだけここに……。
マティウス……分史世界の破壊を切っ掛けにお前と私、同じアスラの魂を持つ者同士が共鳴したのかもしれん。
? ? ?そこにいるな、分かたれし我が魂たちよ。
二人アスラ ! ?
マティウス……そうか。私はまた、絶望を抱えたまま生まれ変わるのだな。
マティウスそして『私』は消滅する……。
アスラそれは違う。
アスラお前は絶望という輪廻からは解放されている。
アスラよく考えろ。心当たりがあるはずだ。今のお前の魂は絶望に染まってはいない。
マティウス…………。
アスラお前はルカと同じように前世に縛られることなく生きられるだろう。
ルカマティウス、君は絶望から生まれてしまったけどこの世界で――ううん、本当は元の世界でも君を慕っている人はいたんだ。
ルカだから、僕たちといっしょに新しい世界で一から始めようよ。
マティウス黙れ !
ルカあっ……。
マティウス私に新しい生き方など、できるはずがない。
ルカマティウス…… ? 姿が薄れてる…… !
マティウスこれは……。
アスラ心配するな。お前たちが元の世界に戻る兆しだろう。
ルカマティウス、消えちゃった。
アスラお前もじきに消える。目覚めればな。
ルカごめん、アスラ……。マティウスを説得できなくて。
アスラそれだけあの者に刻まれた絶望が深いということだ。
アスラだが、お前たちならあの者の魂を救うことができるだろう。
ルカうん。やってみるよ。
アスラ……また前世の因縁を背負わせてしまったな。
アスラお前もまた、もうひとりのマティウスの痛みをその身に宿しているというのに。
ルカ平気だよ。辛くたって僕には支えてくれる仲間がたくさんいるから。
アスラそうか。ならば、これ以上は何も言うまい。
ルカあれ……アスラの姿が透けてる……。
アスラお前が透けているのだ。目覚めるようだな。
ルカうん。じゃあね、アスラ。
アスラああ。頼むぞ、ルカ。
ルカ…………あ、戻った ?
スパーダルカー ! なんだよ、心配したぜ !お前だけ目が覚めなくてよぉ !
ルカ痛い、痛いって、スパーダ。
エルマーナスパーダ兄ちゃんは熱烈すぎて乱暴やねん。ウチが可愛がり方、教えたるわ。こうやで、こう !
アンジュもう、エルもスパーダくんも、一旦離れてくれる ?ルカくん、異常はない ?
キュキュルカ、起きた !キュキュ、嬉しい ! ルカのため踊る !
コーダコーダも踊るんだな、しかし。
リカルドそれどころじゃないんだがな……。まあ、今だけはよしとしよう。
コンウェイイリアさん、こっちに来たら ?もう乾いたでしょ ?
イリア……ぐすっ、ったく、なんの話だか。
ルカイリア……。
イリア……お帰り、おたんこルカ。
ルカうん、ただいま、みんな !
to be continued