Character2話 【天族との邂逅】
ミクリオ…なるほど。つまり、僕らは鏡映点という存在なんだな。
スレイそういうこと。で、オレはイクスたちに協力してるんだ。
ミクリオわかった。話を聞いている限りだとスレイが世話になったみたいだし、僕も協力しよう。
イクス本当か ! ? ありがとう ! ミクリオ !
ミリーナよかったわね、イクス。
スレイエドナも事情は理解できた ?
エドナ…ええ。
イクスえっと、エドナ…って言うんだよな ?魔物に囲まれて怖かっただろ。もう大丈夫だからな。
エドナ………。
ミリーナエドナちゃん、どうかしたの ?
エドナ馴れ馴れしく、ワタシの名前を呼ばないでくれるかしら。
イクスえっ… ?
エドナ何か勘違いしているようだから言っておくけど、ワタシは天族よ。
エドナ普通の人間には見ることもできないワタシとこうして会話ができていることに感謝の念が足りなさすぎるわ。
イクスえっと…ごめんなさい。天族っていうのがよくわからないけど失礼なことしてしまったんだよな…。
エドナそうよ。今後、ワタシのことはエドナ様と呼んで崇め奉りなさい。
イクスエ…エドナさまぁ ! ?
ミリーナわかったわ。よろしくね、エドナ様。
エドナ…むっ。
イクス…ミリーナ ?
ミリーナこういうときは私たちが歩み寄れば仲良くなれるものよ。
ミリーナエドナ様も具現化されたばかりでしかも魔物に襲われて大変だったんだから。
イクスそうか…。確かにそうだよな。俺たちの都合で迷惑かけているんだし。
イクスよろしく。エドナ様。
エドナ……。
エドナスレイ、なんなのこの子たちは。
スレイなんなのと言われても、イクスとミリーナだけど。
ミクリオこれはエドナも一本取られたね。
エドナうるさい。
イクスなあ。ところで、天族って何なんだ ?
ミリーナ普通の人間とは違う存在なのよね ?
スレイそうだなぁ。ちょっと説明が難しいけど天族っていうのは特別な力を持つ存在で――
イクス魔物 ! ? あぶないっ ! !
エドナはぁ…ダルいわね。
スレイはは…まぁ、こんな感じ。
ミリーナす、すごい……。
イクスこれが…天族の力……。
ミクリオこの世界のことは説明してもらったわけだし次は僕ら天族のことを説明する必要がありそうだね。
ミクリオそうだな…。どこか落ち着ける場所はあるかい ?
イクスこの先に飛空艇ケリュケイオンがある。話すならそこがいい。
スレイ魔物に襲われる心配もないしな。
ミクリオ天族について話すと、長くなりそうだ。みんな戦って疲れただろうし、何か甘いお菓子でも作ろうか。
スレイおっ ! 気が利くなぁ、ミクリオ !
エドナ決まったの ?なら、先に行ってるわ。
スレイあっ ! ちょっと、エドナ !
ミクリオイクス、ミリーナ。すまない、迷惑をかけて。
ミリーナそんなこと思ってないわよ。それより、エドナ様は大丈夫かしら。
イクスこのあたりにはまだ魔物がいるからな。
ミクリオエドナのことは任せてくれ。君たちには迷惑かけないよ。
スレイあっ ! ミクリオ !
ミリーナ私たちも追いかけましょう。
イクスああ。そうだな。
カーリャ続きは本編でお楽しみください。

Character1話 【天族との邂逅】
スレイイクス ! 新しく発見された遺跡はこの先なんだよな ?
イクス報告によるとね。けど、地下遺跡だから入り口がわかりづらい場所にあるらしい。
イクス遺跡内部の簡単な調査依頼だけどまず入り口を見つけるのが最初の関門だな。見落とさないようにしないと。
スレイ大丈夫 ! オレに任せて !地下に建造された遺跡なら周囲の地形や土壌、岩石からも目星はつけられるはず !
イクスありがとう。助かるよ。それじゃあ俺は、気候や太陽高度の遺跡に及ぼす影響をもとに入り口を探してみる。
ミリーナイクスもだいぶ遺跡に詳しくなったわね。勉強熱心で偉いわ。
イクス本から学ぶ以外にもスレイから色々教わってるからな。スレイの教え方がうまいんだよ。
スレイそうかなぁ。オレは説明ヘタな方だよ。幼馴染にもそう言われてたしさ。
ミリーナ幼馴染って、小さい頃から遺跡探検を一緒にしてきたミクリオさんのことね ?
スレイそうそう。ミクリオとは考古学的解釈がオレと違ってたりすることもあってよく議論してたよ。
イクスけど、違ってたり、自分の考えになかった解釈を語り合えるからこそ盛り上がるし楽しいんだよな。
スレイだよなー !オレもイクスとティル・ナ・ノーグの歴史や遺跡の話するのすげー楽しい !
スレイオレとイクス、それからミクリオの三人で遺跡探検したり遺跡の話したらすっごく面白いんだろうな。
イクスオレもミクリオさんと話してみたいよ。
スレイぜひ話して欲しい…けど、話せるかなぁ。
イクス何か問題でもあるのか ?
スレイ話してなかったけどミクリオは人間じゃなくて――
? ? ?なんだこの遺跡は ! ?
イクスえっ、いま誰かの声がしなかったか ?
スレイオレも聞こえた !しかも、あの声、ミクリオだ…。
ミリーナそうなの ! ?
スレイああ。この声、間違いない。絶対にミクリオだ !
スレイって、イクスたちも声が聞こえたの ! ?
イクスそれは、あれだけ大きな声だったからな。
ミリーナスレイさん、どうしたの ?
スレイいや…なんでもない。とりあえず、声のした方に行ってみよう !
イクスわかった !
ミクリオこの遺跡…各時代の遺跡の特徴が不規則に入り交じっている…しかも風化の度合いもそれぞれ違う…
ミクリオすごいな… !スレイも見たらきっと…
スレイミクリオ !
ミクリオスレイ ! ?
スレイやっぱりミクリオだ !この世界でも会えるなんて嬉しいよ !ミクリオも具現化されてたんだな ! !
ミクリオちょっと待て。この世界 ?具現化 ? いったいなんのことだ ?
イクススレイ !ミクリオさんが見つかったんだな ! ?
ミリーナよかったわね。
ミクリオ…………。
イクス… ?
ミクリオスレイ、彼らは… ?何だか特殊な鏡を身に付けているようだが。
イクスこれは魔鏡。俺たち鏡士の力を引き出す鏡だよ。
ミクリオなっ… ! ?
イクスえっ ! ?
ミクリオ僕の声が聞こえている… ?
イクスだって、目の前にいるじゃないか。
ミクリオ姿も見えるのか ! ?
ミリーナえ… ? ええ、見えますよ ?
スレイイクスたち。やっぱりミクリオを認識できるんだな。
ミクリオちょっと待ってくれ。君らは人間だろう ?もしかして、それだけ高い霊応力を持っているのか ?
イクス俺たちは確かに人間だけど……霊応力って ?
ミリーナなんのことかしら…。
カーリャカーリャは鏡精ですけどね !
スレイたぶん、この世界では人間も天族を普通に知覚できるんだと思うよ。あと、鏡精もね。
スレイグリンウッドの具現化の際に、オレの認識する世界像が影響を与えたのかもしれないな。
ミクリオ…なんとなくわかってきたぞ。この世界はグリンウッドではなく別の世界ということか。
ミクリオこの遺跡が通常ではありえない特徴を示していることについてもそれなら説明がつく。
スレイさすがミクリオ ! 話がはやい !
イクスそれじゃあ、詳しくは俺たちが説明を――
魔物グルルル~~ ! !
スレイいまの、魔物の鳴き声だ… !
イクス誰かが襲われてるかもしれないな。
ミクリオ向かった方がよさそうだね。
イクスああ、行こう !
エドナまったく。メンドクサイわね。
ミリーナイクス ! 見て !あの子、魔物に囲まれてるわ !
イクス大変だ ! すぐに助けないと ! !
エドナ……人間 ?
スレイエドナ !
エドナあら。スレイにミボじゃない。
イクススレイたち、あの子と知り合いなのか ! ?
スレイああ。オレたちの仲間だ。ミクリオと同じ天族だよ。
イクス天族 ?
イクスくっ… ! 周りにもこんなにいたのか !
ミクリオすごい数の魔物だ… !エドナ、大丈夫か ! ?
エドナ心配するならはやく敵を倒したらどう ?相変わらず口だけで行動が伴ってないのね。
ミクリオまったく君は、こんなときでも相変わらずだな。
エドナ何よその態度。口だけで行動が伴ってないミボ。略してクガミボ。
ミクリオだから、変に略すな !
ミクリオみんな、エドナは僕がなんとかする。イクスたちは周りの敵を頼むよ。
イクスわかった ! いくぞっ !

Character1話 【エドナの要求】
イクスこのアイスクリーム、ミクリオの手作りなんだよな !すごくおいしいよ !
ミリーナこんなになめらかで舌触りのいいアイス、はじめてだわ !
ミクリオ気に入ってもらえたようでよかったよ。具現化されたときに助けられたお礼だ。遠慮なく食べてくれ。
イクス天族のことも少しだけわかったよ。ミクリオは水の天族で水や氷を操る力があるんだよな。
ミリーナだから、お菓子作りの中でも氷菓子がすごく得意なのね。
ミクリオそういうことさ。
スレイねぇ、ミクリオ。オレも食べていいかな ?久しぶりにミクリオのアイスクリーム、食べたくなっちゃってさ。
ミクリオああ。いいよ。スレイにも光魔から助けてもらったからね。
エドナそうよ、スレイ。溶けちゃったらもったいないしどんどん食べなさい。
ミクリオ別に構わないがなんでエドナは黙々と食べてるんだ。僕と同じ助けられた側だろ。
エドナなによ、ミボ。何か問題ある ?
ミクリオイクスたちにお礼の一言ぐらいあってもいいんじゃないか ?それが礼儀ってものだろう。
エドナそれが礼儀ならこの世界の人間たち全員がワタシに感謝するべきよ。
エドナ鏡映点であるワタシが、この世界に存在してるだけで、世界は滅びの危機から救われてるんだから。
ミクリオまたそんな理屈を…。僕が言ってるのはそういう事じゃない。
エドナ理屈では勝てないから感情論かしら ?まだまだボーヤね、ミボ。
ミクリオはあ…。もうわかったから、僕らとばかり会話してないでイクスたちとも話したらどうなんだい ?
スレイだな。せっかくこの世界では人間も天族を知覚できるわけだしな。
エドナ…面倒ね。
イクスミリーナ…。やっぱり俺、エドナ様に嫌われてるのかな…。
ミリーナそんなことないわよ。イクスは何も嫌われるようなことしていないもの。
イクスけど…天族っていうのは人間を守護する神様みたいなすごい存在なんだろ ?
イクスわかったぞ…。エドナ様が俺を嫌う理由。それは、俺が生まれながらの大罪を背負ってるからだ…。
カーリャ生まれながらの大罪 ? いったい何ですか… ?
イクスエドナ様は地の天族なんだろ。ほら、俺ってタマネギ苦手だし…。残したこともあったから…。
カーリャそんなことですか ! ?
ミリーナそれは…違うと思うけど。でも好き嫌いをなくすのはいいことよ。
ミリーナこの際だからちゃんと食べられるようになりましょう。
ミリーナそれで誠心誠意許しを請えばエドナ様も許してくれるかもよ ?
ミクリオイクス、ミリーナ。ひとまず落ち着いてくれ。エドナは誰に対してもこうだ。
イクス…そうなのか ?
エドナそうよ。ワタシは人間が嫌いだもの。
エドナ困った時だけワタシたちを頼ってきて、こうして具現化させられたりホント面倒。
ミクリオそれは事情を聞いてエドナも納得していたじゃないか。
イクスいや…けど、本当にすいません。俺たちの都合に巻き込んでしまって…。
エドナ…もういいわ。具現化したのをなかったことにはできないのだから。
エドナタマネギ嫌いを許されるためなら何でもするんでしょ ? なら、おいしいお菓子でも持ってきなさい。
ミクリオいや、何でもするとは言ってないだろ。
イクスいや、いいよ。おいしいお菓子…か。お菓子といえばミリーナだよな。
ミリーナえ、私 ?
イクスミリーナが作ってくれた誕生日パーティーのケーキ、すごく美味しかったからさ。
ミリーナあれはイクス好みに作ったからでしょ。
イクスそれはそうだけど、みんなも美味しいって喜んでたじゃないか。
ミクリオ…ケーキか。
スレイミクリオ、どうしたんだ ?
ミクリオいや、ちょっと僕も作ってみようかと思ってね。
スレイミクリオは水の天族だから焼き菓子は苦手だろ ?どうしてケーキなんだ ?
ミクリオ確かに火加減の調整は苦手だがだいぶ慣れてきたんだ。
ミクリオちゃんと美味しいケーキを作って皆に振る舞うよ。
ミリーナケーキは作るのも食べるのも大好きよ。イクス、楽しみよね ?
イクスそうだな。天族のアイスクリームに続いてケーキも食べられるなんてなかなかないことだ。
カーリャつまり神のケーキってことですからね。
ミクリオそれは大げさだが…。いや、待て……神のケーキ…。
スレイミクリオ。神のケーキって…『天遺見聞録』に記載されてたよな ?
ミクリオああ。神のケーキの作り方が記された伝説のレシピが眠る遺跡…。名前は――
2人スイートピア遺跡 !
エドナそれ、ワタシが具現化された場所ね。魔物がわんさかいてダルい遺跡だったわ。
スレイもしかして、新しく発見された地下遺跡ってスイートピア遺跡のことだったのか ?
ミリーナあの辺りは魔物も多かったしそうかもしれないわね。
イクス魔物がわんさか、か…。近くの街を襲ったりするかもしれない。少し討伐した方がいいかもしれないな。
スレイなら、オレも一緒に行くよ。遺跡に関する知識もあるし何か役に立てるかもしれない。
イクスありがとう。心強いよ。けど、スレイの本心は別だろ ?
スレイあはは…バレたか。正直、遺跡のことや伝説のレシピのことが気になってさ。
イクスだと思ったよ。それがスレイだもんな。
スレイミクリオとエドナは ?
エドナパス。メンドクサイ。
カーリャまさかの即答 ! ?
ミクリオ僕はもちろん行くさ。けど、先に向かっていてくれ。すぐ追いつく。
イクスそれなら、ひとまず俺たちだけで出発しよう。
スレイミクリオ、はやく来ないとオレたちが全部調べつくしちゃうからな。
ミクリオふふん。すぐ追いつくっていっただろ。
エドナはぁ…。まさか人間と接することになるとは思ってもみなかったわね。ホント、迷惑だわ。
ミクリオエドナ、そのことなんだが、ちょっと頼みたいことがあるんだ。
エドナ…頼みたいこと ?

Character2話 【レシピ1 探検開始!】
ミリーナここが例の遺跡 ?すっごく甘い香りが漂ってるね。
イクスチョコレートとかクッキーとか色々なお菓子の香りが遺跡の奥から漂ってきてる。
ミリーナこの遺跡にはお菓子がたくさんあるのかしら ?
イクスどうだろう…。けど、遺跡に魔物が多いのは、この香りが原因かもしれない。
mst_charas|name|32僕も同じ推察だ。
イクスミクリオ !
ミクリオ待たせたね。
スレイよぉし ! ミクリオも追いついたし、探検開始だな ! 奥がどうなってるのか気になってしょうがないよ !
ミクリオスレイ。今回は魔物の討伐が優先ってこと忘れないでくれよ。
ミクリオ遺跡探検に夢中になってイクスたちを振り回さないように。
スレイあはは…。了解。みんなとの遺跡探検が嬉しくてついテンション上がっちゃって…。
イクスいや、むしろ俺たちがスレイたちに迷惑かけないよう気をつけないと…。
ミリーナどうしたの、イクス ?
イクス二人は遺跡に慣れてるけど俺たちは全然だろ。足を引っ張らないようにしないと。
ミリーナ大丈夫よ。イクスは遺跡探検の本、入門編から超上級編まで読破してるし、スレイさんからも色々教わったんでしょ ?
ミリーナ私もイクスがおすすめしてくれた本で勉強してきたから、最低限の知識は身に付いてるわ。
スレイ大丈夫 !いざとなったときはオレとミクリオできっとなんとかできる !
ミクリオ足場が崩れて地下に落ちたときも無事、助かったからね。
イクス足場が…崩れて…… ! ?
スレイあれはヤバかったよな~。
カーリャその話聞いて、むしろ不安になりました…。
ミクリオ安心してくれこの遺跡は頑丈そうだ。ちょっとやそっとじゃ崩れないよ。
イクスけど、遺跡にはトラップもあるだろ。
イクス台座に置かれていた美味しそうなプリンを食べたらスイッチが作動。床に穴が開いて真っ逆さまなんてことも…。
スレイあはは。そんなあからさまなトラップ、引っかからないよ。
カーリャえっ、台座に置かれたプリン食べちゃダメだったんですか ?
4人えっ…… ?
ミクリオうわぁぁああああ ! ! ! !
スレイミクリオーー ! !
イクスだだだ、大丈夫なのか ! ?この落とし穴かなり深いみたいだぞ ! ?底がまったく見えない !
ミリーナカーリャ !あれだけ勝手に何かに触れないよう注意したじゃない !
カーリャすいません ! すいません !あまりにもプリンが美味しそうでっ ! !
スレイま、まぁ。ミクリオなら天響術も使えるし無事だと思う。オレも落ちたとき助けてもらったから。
イクスけど、遺跡には魔物もいるわけだしはやくミクリオと合流しないと。
スレイこの遺跡は構造的に地下につながっているはずだからミクリオならきっと奥にいるよ。
イクスわかった。行こう。

Character3話 【レシピ5 甘い香りに誘われて】
カーリャふわぁ~…。あっちからいい香りがしますぅ~。
イクスあれはチョコレートの底なし沼だな。うっかり近づかないように気をつけるんだぞ。
カーリャあのキラキラしたのはなんですか ?
ミリーナ金平糖の流砂よ。手を伸ばして引きずり込まれないようにね。
スレイへぇ… ! お菓子や調味料のトラップなんて初めてみた。すごいな~。
ミリーナそろそろミクリオさんと合流できるかしら。
イクスだと思うけど…。もしかしたら !トラップで身動きが取れなくなっている可能性もある。
イクスたとえば、アイスクリームの濁流に飲み込まれて固められてるかも…。
カーリャアイスクリームの濁流…。それはうらやま……じゃなくて、ミクリオさま、すいません…。
スレイ…あれ、微かにだけどバニラの香りしない ?
ミリーナ…どんどん、近づいて来てる ?
? ? ?みんな !
イクスあっ ! ミクリオ !良かった ! 無事で !
カーリャミクリオさまー !すいませんでした ! !
ミクリオはぁ…はぁ……。気にしてないよ。それより…マズいことになった……。
スレイなにかあったのか ?
カーリャあれ、ミクリオさま。身体からバニラの香りがしますね。
イクスまさか、アイスクリームの濁流が迫っているのか ! ?
ミクリオいや…これはバニラエッセンスの噴水に落ちたときついたんだ。それだけなら問題なかったんだけど…。
魔物…………。
ミクリオそのせいで…遺跡中の魔物に追い回されてる…。バニラの香りが大好きみたいで……。
スレイアイスクリームじゃなくて魔物が濁流のように迫ってきた ! ?
ミクリオけど、あいつら、追いかけてくるだけで襲ってはこないんだ。
スレイそれもバニラの香りが関係してるのかな。
イクス…確か、犬型の魔物はバニラの香りが好きで香りを嗅ぐと一時的におとなしくなるって本に書いてあったな。
スレイそうなんだ。知らなかったよ。ミクリオも、バニラの香りがあれば犬嫌い、克服できるんじゃないか ?
ミクリオ……。
魔物バウッ !
ミクリオ…おとなしくなっても、吠えるのが問題だけどね。
イクスあれ…ちょっと待ってくれ…。いまは吠えるだけだけどもし、バニラの香りが消えたら…。
ミリーナ凶暴化したり…しないわよね ?
スレイミ、ミクリオ ! 悪いけど香りが飛ばないようにジッとしててくれ !魔物はオレたちが倒すから ! !
ミクリオ…状況が状況だ、仕方ない。イクスたちも巻き込んでしまってすまないが…頼む。
イクス気にすることない。ちまちま倒す手間がはぶけたよ。
ミリーナここにいる魔物は一網打尽にしちゃいましょ !
イクスああっ、いくぞっ ! !

Character4話 【レシピ5 甘い香りに誘われて】
イクスよし。目につく魔物は倒しきったな。
ミリーナこれでひとまず遺跡近くの街も安全のはずよ。
スレイまさにケガの功名だ。一気に魔物を倒せたわけだし、ミクリオには感謝しないと。
ミクリオスイートピア遺跡の精良な罠をこの身で味わえたのは貴重な体験になったがバニラエッセンスの噴水はもうこりごりだ。
スレイそれにしても、この遺跡の建造技術ってすっごく高度だよな。
ミクリオああ。それには驚かされるよ。いまの技術では再現不可能な仕掛けばかりだ。
ミクリオもしかしたらアスガード時代…いや、それよりも昔の技術か…。
スレイ神代の時代に建造されたと考えてもおかしくないぞ !
ミクリオ僕も同感だ。柱の装飾もクローディン王家の紋章に影響されていない独自のモチーフだからね。
スレイさらに地下に進めばもっと色々な情報がわかるかもしれないな !伝説のレシピも見つかるかも !
イクスそれじゃあ、魔物の討伐はここまでだな。遺跡探検の始まりだ。
スレイイクスたちとまた一緒に冒険できるんだな !しかも今回はミクリオも一緒 ! !オレ、すっごく嬉しいよ ! !
ミクリオ……。
スレイ…ミクリオ ? どうした ?気分でも悪いのか ?
ミクリオいや…そうじゃない。
ミクリオイクス、ミリーナ。すまない…僕たちだけで勝手に盛り上がってしまって…。
イクスえっ ? いきなりどうしたんだ ?
ミクリオ自分で言うのもなんだけど遺跡探検って変わった趣味だと思う。
ミクリオスレイと僕自身も育った環境からして普通の人間とは違うんだ。
ミクリオだから…イクスたちが気を使って僕らに無理して合わせていないかそれが気になってるんだ。
イクスあははっ ! むしろそれはミクリオの方が俺たちに気を使い過ぎだよ !
ミクリオわ、笑わないでくれ。良好な人間関係というのは両者が歩み寄ることで築かれるものだ。
ミクリオだから一方的に付き合わせる訳にはいかない。そう考えるのは自然なことだろう。
イクスむしろ付き合わせて欲しいくらいだよ。
ミクリオ…どういうことだい ?
イクスだって、遺跡探検ってこんなに面白いんだから。
ミリーナふたりがなんで、遺跡探検が大好きで世界中の遺跡を回ることが夢なのか私たちもわかったわよね。
イクススレイからミクリオのこと聞いてたけど俺の想像してた以上に遺跡が好きってこともね。
ミクリオ……イクス、ミリーナ。
イクスそれに伝説のレシピの内容も気になるしこの先で、まだ誰も知らない何かと出会えるかもしれない。
ミリーナそう考えると、なんだかワクワクするわよね。
スレイそう ! それなんだよ !それが遺跡探検の楽しいところ !二人ともよくわかってる ! !
ミクリオ…ふふっ。そうみたいだね。
ミクリオすこし、スレイのことを心配し過ぎたみたいだ。
スレイオレのこと ? どういう意味 ?
ミクリオなんでもないよ。
イクスだから、俺たちも一緒に行っていいかな ?慣れてないから、迷惑じゃなければ。
ミクリオイクスも気を使い過ぎだよ。もちろん、一緒に行こう。
スレイならみんなで、伝説のレシピを誰が一番に見つけるか勝負だな !
イクス勝負か…。俺で相手になるかな。
ミリーナイクス、一緒に頑張ろうよ !私も手伝うわ !
イクス…そうだな。二人には勝てる気がしないけど、やってみるか !
ミクリオ悪いけど、負けるつもりはないからね。特に、スレイには。
スレイどういう意味だよ、それ。オレだってミクリオには負けないからな。
イクスよしっ、それじゃあ遺跡探検開始だ !

Character5話 【レシピ9 導師の力】
スレイ遺跡の構造的にここが最深部みたいだね。この先に神のケーキの作り方が記された伝説のレシピがあるはずだ。
イクス…あれ ?この階だけ甘い香りがしないな。トラップがないってことか ?
ミクリオ最深部は神の祭壇としての意味もある神聖な場だからね。イクスの推測通り、もう罠はないはずだよ。
カーリャよかったです…。水飴放射器で飴細工にされることもないわけですね…。
イクス俺たちがお菓子になる前になんとかここまでやってこれてよかったよ。
スレイ俺たちがお菓子に、か…。そういえば地方の童話に似たような話があったな。
ミリーナどんなお話なの ?
スレイお腹をすかせた二人組が料理店に入ると香辛料や塩を身体につけるようにお店側から注文をされるんだ。
イクスな、なんでそんなことを…。
スレイその料理店ってのは客に料理を食べさせる店じゃなかったんだ。
ミリーナえっ ! ? じゃあどんな料理店なの ! ?
イクスま、待ってくれ…。なんとなく読めてきたぞ……。
スレイそう……実は、客を料理として食べる店だったんだ。
ミリーナきゃー ! !
スレイ最後、二人組が奥へと進み扉を開けると狼が待ち構えていて――
ミリーナうんうん、それで ! ?イクスもオチが気になるわよね ! ?
イクスい、いや…。俺はそこまででも…。なんとなくわかるし…。というかミリーナ、楽しそうだな…。
スレイそして最後、二人組は……あれ ?狼を食べちゃったんだっけ ?
ミクリオなんとか逃げたっていうオチじゃなかったか ?
ミリーナよかった。とりあえず、二人組は助かったのね。
イクス……いや、ちょっと待て。二人組は助かったかもしれないけど俺たちは危機的状況かもしれない…。
イクスいまの話から考えると、トラップは遺跡を守るためのものじゃなくて……。
イクス俺たちを調理するためのものだったんじゃないか…… ?
スレイなるほど…そうかもしれない !だからあんなに手の込んだトラップだったのか !
ミクリオ『天遺見聞録』でもその解釈はされていなかった !イクス、すごい発見だぞ !
ミリーナさすがイクス !やったじゃない ! !
イクス感心してる場合か ! ?俺たちを食べようと狼が待ち構えているかもしれないんだぞ ! ?
ミリーナお話の二人組も助かったんだし私たちもなんとかなるわよ。
スレイ狼ならバニラエッセンスがあれば懐いてきたりするかもね。
ミクリオいや、もうあれはごめんだ…。
イクス二人とも…何か気配を感じないか ?これってまさか、腹を空かせた狼なんじゃ…。
ミクリオ…いや、この気配は。
スレイ憑魔だ ! !
憑魔グルルル~~ ! !
イクスなんだあの魔物は ! ?
ミリーナ光魔とも違うみたいだわ !イクス、気をつけて !
ミクリオあれは憑魔。穢れに侵された魔物だよ。
スレイイクス、ここはオレに任せて !導師の力で浄化する !
イクスわかった !俺たちはスレイを援護するぞ ! !

Character6話 【レシピ9 導師の力】
イクススレイ、憑魔は ?
スレイちゃんと浄化したよ。もう大丈夫。
ミクリオそれにしても、まさかこんなところで憑魔に出会うとはね。
スレイあの憑魔、元は母親狼だったみたいで小さな子狼を連れてたからエサを探してここまで来たのかもね。
ミクリオそれで人を襲うようになり穢れが生まれ憑魔化したのか。
カーリャうぅ…怖かったですー。お菓子や調味料で味付けされてもカーリャは美味しくないですよー。
ミクリオ子どもに美味しいエサを食べさせたいのはわかるが僕らがエサになるのは勘弁だな…。
スレイけど、優しい狼だったよ。浄化をしたらこれを持ってきてくれたんだ。
イクスそれってまさか、伝説のレシピか ! ?
スレイああ ! 表題に古代語で『神のケーキの作り方』って書かれてる !
ミクリオそれで、レシピの内容は ! ?
スレイまだ確認してない。イクスやミクリオたちと一緒に読みたかったからね。
イクスありがとう、スレイ。どんなことが書かれてるのか楽しみだな。
スレイそれじゃあ、読み上げるね。
スレイえー…まず、火鼠の皮衣を燃やして火を炊き仏の御石の鉢にいれた龍の顎の玉を蓬莱の玉の枝でよくかき混ぜたのち――
スレイって、なに ! ? このレシピ ! ?
イクスえっ。その用意しなくちゃいけないものって全部、伝説上の宝だよな ?
ミクリオすべて『神代の時代』のものだぞ。全部用意するのは無理難題もいいとこだ。
ミリーナ神のケーキって神様の時代のケーキってことだったのね。
スレイいや、でもこれすごい発見だよ !
ミクリオただ、ケーキを作ることができないのが悔しいな…。
? ? ?あら、それは残念ね。
イクスエドナ様 ! ? どうしてここに ! ?
エドナアナタたちの帰りがあまりに遅いから仕方なく様子を見に来たのよ。
スレイよくここまで無事にたどり着けたね。トラップだらけだったでしょ ?
エドナあんなトラップごとき巨魁の腕で一発だったわよ。
ミクリオバカな ! 貴重な遺跡を破壊したのか !
エドナ遺跡は歴史を物語るもの。『壊された』というのも歴史のひとつ。遺跡に歴史が増えてよかったじゃない。
ミクリオそんな理屈… !大体、君は――
エドナなに ? ミボ。結局神のケーキを用意できなかったくせに。文句だけは一人前ね。
ミクリオく…。
スレイミクリオ、神のケーキを作るつもりだったのか ?
ミクリオみんなにケーキを振る舞うって言ったろ。せっかくだし、作ってみようと思ってただけさ。
エドナで、どうするの ?
ミクリオケーキは僕がなんとかする。だから待っててくれ。
エドナ…ふうん。
ミクリオほら、みんな。伝説のレシピは手に入れたわけだしそろそろ戻ろう。
スレイあっ、ミクリオ !ちょっと待ってよ !
エドナまったく。落ち着きがないわね。
ミリーナイクス、私たちも行きましょうか。
イクスあぁ。そうだな。まだ魔物が残っているかもしれない。気をつけて進もう。

Character7話 【レシピ13 ケーキに足りないもの】
ミクリオうーん…なかなかうまくいかないな。
イクスミクリオ、どうかしたのか ?
ミクリオみんな、どうしてここに ?
スレイエドナがケリュケイオンに入れてくれなくってさ。
スレイ乙女の秘密を暴こうとするなんて無粋よ、とかなんとかで。
イクスミリーナもいちおう乙女のはずなのにな。
ミリーナ私はイクスがそう思ってくれてるだけで十分だから気にしてないわよ。
スレイそれで、ミクリオの方こそどうしたんだ ?何か悩んでるみたいだったけど。
ミクリオ…なかなかケーキ作りがうまくいかないんだ。
ミクリオイクス、ミリーナ。ケーキのスポンジってどういうイメージを持ってる ?
イクスふわふわ、じゃないかな。ミリーナは ?
ミリーナ一般的なイメージだと確かにふわふわって感じよね。
ミクリオやっぱりそうだよな…。やはり火加減の調整が難しい。さっきのだと焼きすぎで失敗だな…。
イクスえっと…ちょっと待ってくれ。別にふわふわな生地じゃないといけないわけじゃないぞ ?
ミクリオそれはわかってる。けど、せっかく皆に振る舞うわけだし美味しいケーキを作りたいからね。
イクス俺たちはどんなケーキでもミクリオが作ってくれたものなら嬉しいよ。そのケーキがミクリオの味だからな。
ミクリオ僕の味… ?
スレイああ。なんとなくわかるかも。ミクリオのアイスクリームって、お店のとは違って独特なんだけど、そこがいいんだよ。
イクスそれは俺も思った !なんだか繊細な食感とかミクリオらしさがでてるよな !
ミクリオ僕らしさか…。
ミクリオうん、そうか……。
スレイどうしたの、ミクリオ ?
ミクリオちょっと閃いたことがあってね。さっそくケーキ作り再開するよ。
ミリーナミクリオさん。必要なら手伝うわよ ?
ミクリオありがとう、ミリーナ。けどその気持ちだけで大丈夫だよ。
ミクリオこのケーキはどうしても自分で完成させたいからね。
ミクリオみんな、期待して待っていてくれ。

Character8話 【レシピ17 乙女の秘密】
ミクリオみんなのおかげでケーキが完成したよ。ありがとう。
イクスそれはミクリオが頑張ったからだよ。俺たちは結局、野いちご集めただけだからさ。
ミリーナミクリオさんのケーキ、すごく楽しみね。
スレイああ ! オレもはやく食べてみたいよ !
ミクリオそれじゃあ、ケリュケイオンに戻ろうか。
イクスケリュケイオン…。そういえば、もう入れてもらえるのかな。
ミリーナエドナ様に止められてたものね。
エドナアンタたちこんなところで油を売ってたの。
スレイエドナ !
イクスどうしたんだ ? そんなに慌てて。
エドナケリュケイオンが大変なことになってるのよ。すぐに来て。
スレイえっ、いったい何が起こったんだ ! ?
エドナいいから早く。いくわよ、ミボ。
ミクリオちょっと ! 引っ張らないでくれ ! !
イクスいったい何があったんだ ! ?もしかして、魔物に襲われたのか ! ?
スレイわからないけど、エドナが慌てるぐらいだ。はやく向かった方がいい。
ミリーナわかったわ ! 行きましょう !
イクスミクリオ ! エドナ !ケリュケイオンは――
2人ようこそ !『天族主催 サプライズパーティー』へ ! !
イクス……えっ、どういうことだ ! ?サプライズパーティー ! ?
ミリーナイクス、見て !ブリッジに飾り付けもされてるわよ !
スレイミクリオとエドナ、こんなこと企画してたのか ! ?
mst_charas|name|36もう、ミボがどうしてもやりたいってきかなくてね。
ミクリオ僕は君がノリノリで飾り付けしてるのをこの目で見ているんだが――いたっ ! !
mst_charas|name|36うるさいわね。刺すわよ。
ミクリオだから刺してから言わないでくれっ !
ミリーナミクリオさん、エドナ様 !ありがとう ! すごく嬉しいわ !
イクスまさかパーティーを開いてもらえるとは思ってなかったからな !いきなりどうしたんだ ! ?
ミクリオ僕らは今まで、人間と関わったことがほとんどなかったんだ。スレイ含めても数人しかいない。
ミクリオだから、人間と親睦を深める方法も芸がなくてね。けど喜んでもらえて良かった。
イクス(そうか。俺たちが天族って聞いて戸惑ったように、ミクリオたちも……)
スレイねぇ、ミクリオ。それならオレも誘ってくれればよかったのに。人間だけど、天族の村で育ったわけだし。
ミクリオはじめに言ったろ。これは天族主催だって。
ミクリオそれに、伝説のレシピ探しの勝負ではイクスとスレイに後れを取ったからね。これでおあいこさ !
スレイあははっ。確かに、これでみんな一勝づつだね。
mst_charas|name|36ミボ、あれはどうしたの ?まさか用意できなかったとか言わないわよね ?
ミクリオ大丈夫、ちゃんとケーキは作ってきたよ。
イクスあっ、ケーキってこのパーティのために作ってたのか !
ミクリオそういうことさ。そして、これが完成したケーキ――
ミクリオアイスクリームケーキだ !
イクスこのケーキ、アイスクリームとホワイトケーキが組み合わさってるのか ! ?
ミリーナはじめてみるわね !セールンドでは見たことないわ !
イクスもしかして、この赤いソースは野いちご ?
ミクリオそうだよ。最後の仕上げに使わせてもらったんだ。
スレイアイスクリームケーキか !すごいな、ミクリオ !マーボーカレーまんみたいなもの ! ?
ミクリオ近いようで遠いような…。まぁ、いいからみんな食べてみてくれ。
イクスそれじゃあ…。
4人いただきます !
mst_charas|name|1はむっ…………。
ミクリオどう、かな ?
mst_charas|name|1…………。
イクスおいしい !ミクリオ、これすごく美味しいよ !
ミクリオはぁ…よかった……。
ミリーナミクリオさん、本当に美味しいわよ !なめらかなアイスクリームとしっかり焼けたスポンジの相性が抜群 !
エドナなかなかやるわね…ミボのくせに。
スレイミクリオ、よく思いついたなぁ。
ミクリオパーティーにはホワイトケーキが一般的だと知ってはいたんだけど正直、なかなかうまくいかなくてね。
スレイスポンジの焼き加減で悩んでたもんな。
ミクリオでも、それなら僕らしくいまできる最高のケーキを作ろうとイクスたちと話してて思ったんだ。
イクス水の天族だからアイスクリーム作りが得意。それがミクリオだもんな。
エドナ焼き菓子は苦手で変なところで真面目なのもね。
ミクリオエドナ ?
エドナ冗談よ。
ミクリオとにかく、こんな僕らだけど改めてこれからよろしく。イクス、ミリーナ。
イクスああ ! こちらこそ !
ミリーナイクス、今度は私たちがパーティー開きましょうよ。
イクスミリーナがケーキを作って俺が新鮮な魚料理を振る舞うとか、俺たちらしいかもな。
ミクリオそれは楽しみだ !
スレイじゃあそのパーティーは人間主催ってことでオレも手伝うよ !
イクスそうだ。エドナ様。ちょっと聞きたいことがあるんだけど…。
エドナなによ。鏡士のボーヤ。
イクス俺たちがパーティー開くことになったらエドナ様は来てくれるかなって。
ミリーナ人間嫌いなのは知ってるけどもしよければ。
エドナはぁ…それがわかっててよく誘えるわね。
ミクリオそれで、エドナはどうするの ?
mst_charas|name|36…まあ、この子たちが嫌いなわけじゃないしそこまで言うなら参加してあげる。
エドナついでに、旅にも同行してあげる。スレイとミボだけだと頼りないわ。
イクスエドナ様…いいのか ! ?ありがとう ! !
ミリーナやったわね、イクス !
ミクリオエドナ、やけに素直じゃないか。
mst_charas|name|36少しだけ、この子たちがどういう人間かわかったから…。
エドナそれに、お兄ちゃんのことも何かわかるかもしれないと思っただけ。
スレイ…エドナ。
イクス(エドナ様、どうしたんだ ?なんだかすごく悲しそうな…)
エドナ変な勘ぐりはしないことね。鏡士のボーヤには関係ないことよ。
イクスえっ…あ、はい…。
エドナそれより、そのパーティーはワタシが満足するぐらいのものかしら ?
エドナ言っておくけど、ワタシのパーティー眼は肥えてるわよ。
ミクリオなんだよ、パーティー眼って…。
イクスああ、わかったよ。それじゃあ、エドナ様にも喜んでもらえるよう頑張って考えなくちゃだな !
ミリーナこんなに素敵なパーティーを開いてくれたんだものね !
エドナ…ホント、変な人間ね。この子たちは。
スレイけど、なんとなくわかっただろ ?
ミクリオこれが、イクスとミリーナなんだよ。
エドナまぁ、そのようね。

Character1話 【1枚目 しょうゆせんべい】
イクスそれじゃあ、そろそろパーティーはお開きかな。
エドナ…待ちなさい。
ミリーナエドナ様、どうしたの ?
エドナ二次会をやるわよ。
ミクリオ二次会 ?エドナ、僕にも秘密で何かサプライズを考えていたのか ?
エドナ何言ってるの ?考えてたわけないじゃない。
スレイただの思いつきなんだ…。ある意味、サプライズだけど。
エドナただ、もう少しだけ、暇つぶしがてら鏡士の子たちと話すのも悪くないと思っただけ。
イクスエドナ様…。ああ。もちろん、二次会参加するよ !
ミリーナ私もエドナ様と話せるの嬉しいわ。ありがとうね。
エドナで、どうしてアナタはワタシの頭を撫でてるの ?
エドナワタシはアナタより人生経験豊富な淑女なのよ ?
ミリーナうんうん。エドナ様はすごいのね。とってもかわいいわ。
エドナ…こういうキャラな訳ね。
イクスミリーナは島で子どもの世話をよくみてたからな。
スレイふふっ、子どもの世話かぁ。ミリーナはお姉さんなんだね。
ミクリオよかったじゃないか、エドナお嬢さま。
エドナミボ…あとで覚えときなさいよ…。
ミリーナあっ、そうだ。二次会用にお菓子用意した方がいいわよね。
エドナなら、さっきは甘いケーキだったわけだししょっぱいお菓子がいいわ。
イクスしょっぱいお菓子…。たとえば、どんなのだ ?
エドナ決まってるでしょ。せんべいよ。温かい緑茶が一緒だとさらに良し。
ミリーナエドナ様、微妙に渋いのね…。
ミクリオときどき本当は何歳なのか気になるよ。
スレイえーっと、その話題には触れない方が…。
エドナふふっ。
ミクリオそ、そのようだね…。
イクスそ、それじゃあ、皆でせんべい作りだな。
ミリーナまず材料をそろえなくちゃね。とりあえず、お米かしら。
エドナ穀物の目利きぐらいなら手伝うわよ。
スレイさすが地の天族。エドナ、頼りにしてるよ。
ミクリオそれじゃあ、行こうか。
イクスあっ…スレイ。その前に、ちょっといいか ?
スレイ…いいけど、どうかした ?
エドナ…… ?

Character2話 【10枚目 ドラゴせんべい】
イクスこうやって色々話しながら自分たちで作ったせんべいを食べるのもなかなか楽しいな。
ミクリオせんべいに作った人の個性がでてるのもなかなか面白いね。
エドナこのせんべいは鏡士のボーヤが作ったのよね ?
イクスえっ、なんでわかったんだ ?
エドナ漁師だったんでしょ。エビが入ってるからどうせそうだと思ったのよ。
ミクリオイクスは漁師だったのか。エドナ、よく知ってるな。
イクスいや…ちょっと待って。俺、エドナ様に漁師だったって話した記憶はないぞ。
スレイオレが話したんだよ。エドナにイクスたちのこと教えてくれって頼まれてさ。
エドナ…スレイ。余計なこと言わないでくれるかしら。
スレイえっ、これ言っちゃダメだったの ?
エドナ…もしかして、その調子だと他にも何か余計なことしゃべってないわよね ?
スレイそれは……ごめん。エドナのお兄さんのこと話しちゃった。
エドナまったく……。
イクスいや、それは俺がスレイから聞き出したんだ。
ミリーナどうしても気になったの…。お兄さんのこと話すとき、エドナ様がつらそうな顔してたから。
イクスああ。あのときの横顔が忘れられなくて……。
エドナつまり、ワタシのミスってわけね。あーあ、抜かったわ。
イクスエドナ様、これ…。何の足しになるかもわからないけど…。
エドナ……ドラゴンに関する資料。
イクスティル・ナ・ノーグのドラゴン伝承をまとめてみたんだ。
エドナ…この世界にもドラゴンがいるの ?
ミリーナ…ええ。けど、この世界のドラゴンは穢れとも天族とも関係ない存在なの。
イクスだから、エドナ様が探しているドラゴンの浄化方法は……。
エドナ…まあ、そうでしょうね。元いた世界では導師であっても浄化不可能と伝えられてるぐらいだもの。
エドナどうしようもない。…わかってたわ。
ミリーナだけど、まだ確認してない文献もあるわ。調べていけば、役に立つ情報も見つかると思うの。
エドナもういいわよ。アナタたちにだって使命があるんでしょ。
イクス確かに、俺たちには目の前にやるべき大きなことがあるけど…。
イクスそれでも、エドナ様が困っているならそっちだってなんとかしたい。少しでも助けになりたいんだ。
ミリーナ私たちは導師でも天族でもないけど、それでも、放っておけないわよ…。
エドナ……ホント、やりづらいわね。
エドナ……けど、ありがと。イクス、ミリーナ…。
イクス……エドナ様。
スレイ二人とも、本当にありがとう。エドナのお兄さんを浄化することはオレとエドナの大切な約束でもあるんだ。
イクススレイとエドナ様の ?
スレイああ。だけどさ、どうすればいいかわからなくて…ずっと悩んでた。いや…今もか……。
ミリーナ…スレイさん。そうだったのね。
スレイけど、二人のおかげで励まされたよ。世界が違うからこそ、これまでと違う、新しいものと出会える。
スレイその出会いが、ドラゴン浄化に関しても新しい手段や発想の足がかり……希望になるかもしれないもんな !
ミクリオそうだね。僕たちもイズチから出て世界を旅したからこそ色んなことを知ることができたわけだし。
スレイエドナ、待ってて。オレ…絶対に諦めないから。
エドナ……。
エドナじゃあ、もうこの話はおしまい。せっかくのせんべいがしけっちゃうわ。
エドナまあ、ミボのはもうしけしけのふにゃふにゃみたいだけど。
ミクリオこれは、ぬれせんべいっていうんだよ。いまのエドナの瞳みたいに水分が多めのせんべいさ。
エドナワタシの美しい瞳とこんな生焼けみたいなせんべいを一緒にしないでくれる ?
ミクリオ生焼けじゃない。ぬれせんべいはこういうものだ。
エドナ生焼けだと自覚がないミボ。略してナガミボね。
ミクリオだから、ぬれせんべいだ !
スレイ醤油の味がしみてて美味しいよ。ミクリオのぬれせんべい、オレ、すごく好きだし。
イクスあっ…ホントだ。さすがミクリオ。
エドナ…まぁ、味は悪くないのは認めてあげるけど。
イクスこっちの砂糖醤油を使ってるのがミリーナのだよな ?前にも同じのを作ってくれたっけ。
ミリーナふふっ、正解よ。ありがとう。覚えててくれて嬉しいわ。
イクスそれで、こっちのがスレイだな。表面の模様がアヴァロストの調律時代のモチーフっぽいのがスレイらしいや。
スレイえー。そんなにオレっぽいかな ?
ミクリオ僕も同感だ。アヴァロストの調律時代の後期に流行ったものってのがスレイらしくて…………。
ミクリオ…待て ?イクス。なぜ僕たちの世界の歴史を知ってるんだ ?
イクスいま、スレイに『天遺見聞録』を借りて読んでるところなんだ。
ミクリオなるほど…。それで…どうだった ?
イクスすっごく面白いよ !特に各遺跡を時代背景や世情の側面から建造理由を分析しているところとか ! !
スレイだよなっ ! ! あそこまで丁寧にわかりやすく書かれてるのも『天遺見聞録』の特徴なんだよ ! !
ミクリオああ。特にアスガード時代の遺跡について王族の家系図と地理的側面で分析し、遺跡群として解釈しているのが興味深い。
スレイそっちより各遺跡を流通経路から分析して砦として解釈する説の方がオレは説得力も斬新さもあると思うぞ。
イクスけど、こっちの世界での歴史から考えるとそうは考えづらいんだよな。遺跡群の建造時には干ばつもあったんだろ。
スレイ確かに、天候についての影響を軽視しすぎてる側面はあるかもしれないけど水道遺跡群を考えると問題ないような…。
ミクリオスレイ、これはイクスたちの世界ティル・ナ・ノーグの歴史を学ぶことでまた何か別の側面から発見があるかもな。
スレイというより、純粋に知りたい !
イクスそれじゃあ教えるよ !代わりに、スレイたちの世界の歴史も教えてくれ !
スレイああ ! もちろんだよ !そうだな、どこから説明しよう。
ミクリオ順を追って神代の時代からがいいだろう。せっかく伝説のレシピも手に入ったからそれに紐付けつつ。
スレイミクリオは変なところで真面目だよなぁ。それは冗長すぎるのと不明瞭なとこが多い。アスガード王家の始祖の誕生からがいいよ。
イクス俺はいわゆる興隆期が気になるな。ペン=ドラゴニア伯が台頭してきたあたり。
ミクリオイクス、良いところに目をつけるね。けど、そこはもっと前の歴史を学んでからの方が断然面白い。是非そうしてみてくれ。
スレイよしっ、これは三次会が必要だな !歴史座談会の開催だ !
イクス賛成 ! すぐに図書館からオススメの歴史書を片っ端から借りてくるよ !
ミクリオ僕も臨むところだ。スレイ、イクス。仮眠なしのぶっ続けだからね。
スレイもちろん !ふたりとも、朝まで寝かせないからな !
ミリーナふふっ…やっぱり男の子同士っていいわね。イクス、すっごい楽しそう。
ミリーナよしっ。私は三次会用の夜食を作ろうかしら。
エドナはぁ…仕方ない。手伝うわ、ミリーナ。面倒だけど。
ミリーナふふっ、ありがとう。やっぱりエドナ様はとってもいい子ね。
エドナで、どうしてまたワタシの頭を撫でてるの ?
ミリーナエドナ様が人生経験豊富な淑女だからよ。もう、ホントにかわいい。
エドナなんだかもうツッコムのも面倒だわ…。
ミリーナどうかしたの ?
エドナなんでもないわよ。
エドナそういえば、ミリーナはケーキ作りが得意だったわね。
エドナ夜食の準備が終わったらワタシたち二人はまったり優雅にお茶でもしましょ。ケーキでも焼いてちょうだい。
ミリーナええ、もちろんよ !じゃあ、シフォンケーキ作るわ !
エドナわかってるじゃない。ライラのとどっちが美味しいか食べ比べてあげる。
イクスミリーナ !俺たちにもシフォンケーキ頼むよ !
ミリーナうん。わかったわ。イクスが好きな茶葉で作るね。
イクスありがとう。さっきはしょっぱいもの食べたから甘いものが欲しかったんだよ。
スレイそういえば、甘いもの食べるとしょっぱいもの食べたくなるよな。
ミクリオそれじゃあ、残ってるせんべいも持っていこう。
イクスああ。それは四次会用だな。
エドナ遺跡語りで何次会までやるつもり ?バカなの ?
スレイ何次会までって言われると難しいな。
ミクリオだけど、その質問に。
イクス答えるとすれば。
3人遺跡語りに、終わりはない !
エドナ遺跡バカってのはわかったわ。