| Character | 1話【理と秩序1 出来事は突然に】 |
| カーリャ | みんなでゆっくり過ごせるお正月というのはなかなか良いですね、ミリーナさま ! |
| ミリーナ | そうね。無事に新年を迎えて少し経つけれど、羽伸ばしにはなった気がするわ。 |
| イクス | でも、これだけまったりしてると何だか気力がなくなるっていうか…。 |
| コーキス | なーんもしたくなくなるよなぁ~…。マスターの気持ち分かるぜ。ふわぁ~…。 |
| カーリャ | むむっ、だらしないですよ !コーキス ! |
| コーキス | そういえば、新年迎える前から街の人たちが飾ってるものって何の意味があるんだ ? カーリャ。 |
| カーリャ | えーっと…確か「門松」と「しめ飾り」っていうんですよね、ミリーナさま ? |
| ミリーナ | ええ。昔からある一種の習わしで…。 |
| ? ? ? | 神様――「年神様」を迎える儀式で、その為に必要な道具…。古来からそう伝えられているようだよ。 |
| コンウェイ | 古代ビフレストから伝わる文化…なかなか興味深いね。 |
| イクス | コンウェイさん、よく知ってますね ? |
| コンウェイ | 街の人から色々話を聞かせてもらったんだ。この辺りはその文化が色濃く残るらしいよ。 |
| コーキス | はいはい ! しつもーん !その年神さまはどんな神さまなんですか ! |
| イクス | 年神様は一年の実りや幸せを運ぶ神様らしいんだ。 |
| カーリャ | じゃあその神さまを歓迎するために、飾りをしてるんですねー。もしかして、重なったお餅も… ? |
| ミリーナ | そうよ。昔は丸い鏡のような形をしていて、その名残りから「鏡餅」と伝わっているの。 |
| コンウェイ | 神の依り代として伝えられているんだってね。ちゃんと意味があるものらしいよ。 |
| コーキス | ほ~… !正月の非常食なのかと思ってたぜ… ! |
| カーリャ | あ、でもその飾りとかお餅とか…お迎えが終わったらどうするんですか ? |
| コンウェイ | それは…。 |
| コーキス | ごくり…。 |
| コンウェイ | そこまでは聞かなかったから知らないな。ごめんよ。 |
| カーリャ | コ、コンウェイさんって不思議な方ですよね…。 |
| コンウェイ | それは褒めてくれてるのかな ?知らないのは事実だからね。 |
| コーキス | 事実だけどさぁ…こう、妙な雰囲気とか掴みどころがないっていうか…。 |
| カーリャ | ミリーナさまたちは知らないんですか ? |
| ミリーナ | 地域によって違うところはあるけれど、オーデンセで伝わってる方法は一緒ね。 |
| イクス | 確か…。 |
| ライフィセット | みんな !ここにいたんだ… ! |
| ライフィセット | 大変だよっ !街の飾りが荒らされて、誰かに盗まれちゃったらしいんだ… ! |
| イクス | 街の飾りって…もしかして正月の ! ? |
| ライフィセット | う、うん… !カドマツーとかシメカザリー… ?そんな名前の ! |
| コンウェイ | やれやれ…。罰当たりな人たちもいるものだね。 |
| ミリーナ | イクス、街に行ってみましょう ! |
| イクス | ああ ! |
| Character | 2話【理と秩序2 突然現れた姐さん】 |
| イクス | ライフィセットが言ってた場所ってこの辺りか… ? |
| ミリーナ | イクス、あそこ… !何か騒ぎになってるみたい。 |
| ガラの悪い男 | あぁ ? オレたちが悪いってのか ! ? |
| 街の人 | 前からトラブルばかりだろう !盗みだってしそうな風貌だしな ! |
| ガラの悪い男 | 人を見掛けで判断するんじゃねぇ !盗んだ所は見てないだろうがよ ! |
| 街の人 | 他の奴がお前らの屋敷の側に落ちてるのを見たって言ってたぞ ! |
| 街の人 | それが動かぬ証拠だ !いい加減認めて―― |
| ? ? ? | 待ってください !彼らは本当に盗んでいないんです ! |
| 街の人 | あんたは… ? |
| エレノア | 私は聖寮対魔士――いえ、エレノア・ヒュームと申します。 |
| エレノア | 彼らが実際に盗み出している所を見た訳じゃないんですよね ? |
| エレノア | 確かに彼らは粗暴な所はありますが、彼らが言うように、外見で判断するのは良くありませんよ。 |
| ガラの悪い男 | エレノアの姐さん !言ってやってくださいよぉ ! |
| 街の人 | 名前を知ってるってことは…なんだ、あんたもこいつらの仲間か ! ? |
| エレノア | ええっ ! ?違っ… ! こ、これには訳が… ! |
| ガラの悪い男 | 姐さんはオレたちの姐さんだ ! |
| エレノア | ちょ、ちょっと… ! |
| 街の人 | やっぱり仲間じゃないか !街を荒らされて黙ってられるか ! |
| ガラの悪い男 | こっちだって濡れ衣着せられて迷惑してんだ ! お前ら、構えろ ! |
| エレノア | ちょ、ちょっと待ってください !お互い落ち着いて… ! |
| コンウェイ | …ふむ、何だか一悶着ありそうだね。 |
| カーリャ | れ、冷静に言ってる場合じゃないですよ !それにこのぶるぶるって感じ… ! |
| コーキス | あのエレノアって人…鏡映点だぜ、マスター ! |
| カーリャ | ああーっ ! また美味しいところを… ! ! |
| イクス | とにかく、このままじゃ街の人たちが危ない… !一旦、街の人に加勢しよう ! |
| ミリーナ | 街の中で暴れるのはやめてください ! |
| エレノア | あなたたちは… ! ? |
| ガラの悪い男 | くそ、街の奴らの増援か… ! ?おい ! こっちももっと呼んで来い ! |
| エレノア | ああ、もう ! なんでこうなるんですか ! |
| エレノア | どなたか存じあげませんが、ここはお願いします ! |
| イクス | あ、ちょっと… ! |
| コンウェイ | 彼女の行方が気になるけど、この場の騒動を一旦治めないとね。 |
| ミリーナ | ええ、そうね… ! |
| Character | 3話【理と秩序2 突然現れた姐さん】 |
| ガラの悪い男 | ぐぅ… !何なんだあんたら…滅茶苦茶強いじゃねぇか… ! |
| ガラの悪い男 | くそ、覚えてやがれ… ! ! |
| 街の人 | 君たち、ありがとう… !おかげで助かったよ。 |
| ミリーナ | あの、さっきの揉め事ってお正月の飾りが盗まれた件ですか ? |
| 街の人 | ああ、そうだ。門松もしめ飾りもほとんどの家が盗まれちまった。 |
| 街の人 | 神様をお迎えして、見送るまでが一年の始まりなんだがなぁ…。 |
| コンウェイ | 神様を見送る… ?それって年神様のことかな ? |
| ミリーナ | 飾りは神様をお迎えする目印だから、飾り終わったら、見送る儀式もあるんです。 |
| ミリーナ | 街のみんなで飾りを持ち寄って、燃やすまでが年明けの行事で…。炎と共に神様を見送るって言い伝えが。 |
| 街の人 | その火に当たったり、その火で焼いた団子を食べるとその一年間は健康でいられる…そう伝わっているんだ。 |
| コンウェイ | へぇ…。そんな仕来りがオーデンセにはあるんだね。 |
| 街の人 | もちろんその儀式も大事なんだが…一番困ってるのは飾りが盗まれたことだな。 |
| イクス | 確かに罰当たりですけど…他に何かまずいことがあるんですか ? |
| 街の人 | この地域は飾りに少し工夫をしていてね…飾りの一部に鏡のかけらが入っているんだ。 |
| 街の人 | 何でも霊力が込められているとか…。大きいほど、その力は強いらしい。 |
| ミリーナ | 神聖なものなんですね、その鏡のかけら。 |
| 街の人 | 俺が小さい頃や、それよりもっと昔から代々引き継がれてたものだしな…。 |
| 街の人 | このままだとご先祖様に顔向けできなくなっちまう。 |
| イクス | あの、よかったらその飾りを盗んだ犯人を俺たちにも探させてくれませんか ? |
| 街の人 | いいのかい ? それは心強いよ !さっきは見栄を張ったけど…あの男たちはこの辺りでは有名な奴らでね。 |
| ミリーナ | 確かトラブルばかり、って…。 |
| 街の人 | 前から街で暴力沙汰が多いんだ。ギルド『義勇任侠』とかなんとか。近頃は見掛けてなかったんだが…。 |
| コンウェイ | この騒動とほぼ同時に現れた、と。そのギルドの人たち以外に何か違和感とかは ? |
| 街の人 | そうだな…。飾りが盗まれてから、魔物が妙に活発な気がする。 |
| 街の人 | 街の中じゃ神様やご先祖様の祟りじゃないかって…。 |
| イクス | 魔物の活発化、か…。何か関係があるかもしれないな。 |
| ミリーナ | 手掛かりにしては弱いし…まずは話を聞いてみる必要がありそうね。 |
| ライフィセット | イクス、ミリーナ ! |
| ライフィセット | ちょうどベルベットたちがいたから、一緒に付いてきてもらったんだ ! |
| アイゼン | 街で盗みがあった話は聞いている。見た所、他にも何かあったみたいだな ? |
| ベルベット | いったい何があったの ? |
| ライフィセット | そっか…みんなにとって大事な物が…。 |
| アイゼン | その一緒にいた女というのも気になるが…増援を呼んだのが本当なら、街に戻ってくるかもしれないな。 |
| イクス | 二手に分かれよう。その屋敷を調べる組と、この街に残る組で。 |
| ライフィセット | ……。 |
| ベルベット | フィー。 |
| ライフィセット | あ、なに ? ベルベット。 |
| ベルベット | 気になるんでしょう ?イクスたちと行ってきたらいいわ。 |
| ライフィセット | いいの… ? |
| ベルベット | ええ。あたしとアイゼンが街に残る。戦力的にも十分よ。 |
| アイゼン | 街の聞き込みも任せてくれ。 |
| コンウェイ | 災禍の顕主に死神か、頼もしいね。『この街』ではどんなふうに立ち回るのかな。 |
| ベルベット | …何を知ってるんだかわからないけど、あんたがいると調子が狂うわね。 |
| コンウェイ | そうかな ?ふふ…それじゃ、改めてよろしく頼むよ。ライフィセットくん。 |
| ライフィセット | う、うん ! |
| 街の人 | ギルドの連中は山の奥に屋敷を構えてる。気を付けてくれよ。 |
| イクス | はい !それじゃ、みんな向かおう ! |
| Character | 4話【理と秩序3 迷子との遭遇】 |
| イクス | はぁっ ! |
| ライフィセット | この辺り結構魔物が多いね…。さっきすれ違った人、無事に街に戻れてるといいけど…。 |
| コンウェイ | 大丈夫じゃないかな。どちらかというと、ボクたち自身の心配をした方がいいかもしれない。 |
| ミリーナ | どういうことですか… ? |
| コンウェイ | 魔物が多い理由がもし、この先にあるとしたら ? |
| イクス | この先って… |
| ライフィセット | 屋敷に魔物を呼び寄せる何かがある… ? |
| ? ? ? | おお~。それは怖いものじゃの~。 |
| ライフィセット | マギルゥ ! ?どうしてここに ? |
| マギルゥ | いやなに、この辺をぶらーっとぶらついて鳩みたいにぽっぽと帰ろうとしたんじゃが… |
| マギルゥ | 道に迷ってしまっての。 |
| コーキス | でっかい迷子だなぁ ! ? |
| マギルゥ | なんじゃ !魔女だって迷子くらいなるときはなるわい !オマケに寒いし… |
| マギルゥ | へ、へぷしょいっ ! |
| カーリャ | か、風邪引かないようにしてくださいね… ? |
| マギルゥ | おお、そうじゃった !お主らに良い情報がある ! |
| マギルゥ | 先の騒動 ! 謎の美少女は悪党か ! ?はたまた味方か、何なのか !語るも涙 ! 聞くも涙 ! その名も――… |
| コンウェイ | エレノア・ヒューム。そう名乗っていたね。 |
| ライフィセット | えっ、エレノアー ! ? |
| マギルゥ | って、坊が驚いてどうする ! ? |
| ライフィセット | だ、だって…騒動にいたのは女の人って聞いてたけど…エレノアだとは知らなくて。でも、なんでマギルゥが知ってるの ? |
| マギルゥ | 儂は魔女じゃからのー♪何でもお見通しということじゃな。 |
| コンウェイ | 単に街の人に聞いただけだったりね。 |
| マギルゥ | ギクッ…。 |
| イクス | えっと…つまり、ライフィセットたちの仲間ってことなのかな ? エレノアさんは。 |
| ライフィセット | あ、うん。一緒に旅をしてたんだ。この世界だと穢れで辛くなったりしないから器とかそういうの気にしてなかった…。 |
| ミリーナ | そういえば聖隷は穢れから身を守るため、器が必要って話してたものね。 |
| マギルゥ | さぁーて、坊たちにエレノアは任せるとして儂はビエンフー探しにでも戻ろうかの。 |
| イクス | そうだ、マギルゥさん。街にはベルベットさんたちもいるので、このこと、伝えておいてくれませんか ? |
| マギルゥ | 面倒じゃが…仕方がないのー。エレノアが面倒ごとに首を突っ込んでると伝えておくぞ。 |
| コンウェイ | さて、ボクたちも屋敷に向かおうか。 |
| カーリャ | 鏡映点の反応も同じ方向です !エレノアさまもやはり屋敷に… ? |
| ミリーナ | みんな、気を付けていきましょう。 |
| ライフィセット | 大丈夫かな、エレノア…。 |
| Character | 5話【理と秩序5 ギルド「義勇任侠」】 |
| ミリーナ | これが『義勇任侠』のお屋敷…。 |
| カーリャ | ほわー、結構立派な門構えですねー… !いかにもなお屋敷、というか… ! |
| イクス | でも、ここまで来る途中にエレノアさんには会わなかったな。 |
| コンウェイ | 増援の痕跡はあったけどね。みんな気絶していたみたいだけど。 |
| ミリーナ | 誰に襲われたのかしら…。 |
| ライフィセット | 多分、エレノアじゃないかな。街の人もギルドの人も、被害を最小限にって。 |
| ライフィセット | みんなの話を聞いてる感じだとエレノアはギルドの人たちとも何か関係があるみたいだし。 |
| コーキス | エレノア姐さん、って呼んでたし…主従関係か何かなのかぁ… ? |
| イクス | とにかく、会ってみないとな。 |
| ? ? ? | あんたら、待ちな ! |
| ガラの悪い男 | ここはギルド『義勇任侠』のアジトだ !屋敷には一歩も入れさせねぇぞ ! |
| ガラの悪い男 | さっきはよくも街で恥かかせやがって… !盗みなんてしてねぇって言ってんのにオレたちをしょっぴこうって魂胆だな ! |
| ライフィセット | ぼ、僕たちはそんなんじゃ… ! |
| ガラの悪い男 | ならなんでここまで来た !用はないだろうが ! |
| ミリーナ | お正月の飾り付けがなくなってるのも事実なんです。その飾りがこのお屋敷の側で見つかってる話も本当なんですよね。 |
| ミリーナ | だったらこのお屋敷に何かあるんじゃないかしら。 |
| ガラの悪い男 | そもそもその話自体、街の連中がでっち上げた話だってこともありえるだろ ! |
| イクス | それはそうですけど…。 |
| ガラの悪い男 | エレノア姐さんがここに来て、オレたちは変わるって決めたのに… ! |
| ガラの悪い男 | 盗みを疑うってんなら、容赦しねぇ !オレたちを守るのは、オレたち自身だ !やっちまうぜ、お前ら ! ! |
| コンウェイ | 結局、こうなるんだね。できれば事を荒立てずに済ませたかったけど。 |
| ミリーナ | もう ! なんでこう、血の気が多いの… ! |
| イクス | くるぞ… ! |
| Character | 6話【理と秩序5 ギルド「義勇任侠」】 |
| ガラの悪い男 | 一度ならず二度までも… !こうなりゃ―― |
| ? ? ? | そこまで ! ! |
| エレノア | 何の騒ぎかと思ったら… !街の人とはいえ、ここまでするなら… ! |
| ライフィセット | エレノア ! ? |
| エレノア | ライフィセット ! ?どうしてここに… ! |
| ライフィセット | それはこっちのセリフだよ !なんでそのギルドの人たちと…。 |
| エレノア | これには理由があって…。話すと少し長くなってしまいそうです。 |
| イクス | だったらみんなで状況を整理しませんか… ?俺たちの自己紹介も兼ねて。 |
| ミリーナ | エレノアさんが感じている筈のこの世界の違和感についても私たちが説明できると思います。 |
| エレノア | …そういうことだったんですね。聖寮という大きな組織が動いていないのも具現化した別の世界だから…。 |
| ライフィセット | うん。だからベルベットたちと一緒に、イクスに協力してるんだ。 |
| ガラの悪い男 | なんだ、エレノア姐さんの仲間だったのか !坊や、それならそうと言ってくれれば ! |
| ライフィセット | あ、あはは…。言わせてくれる状況じゃなかったよね…。 |
| イクス | それで、エレノアさんはどうしてギルドに ? |
| エレノア | イクスさんたちのいう具現化、でしたね。情報を集めている時に、丁度今回のように争っているギルドの人たちが居たんです。 |
| エレノア | でも、なんだか荒んでいるというか…彼らが悪事を働くのに違和感があって…。 |
| ライフィセット | 違和感… ? |
| エレノア | 悪になりきれていない…心の迷いとも言えますね。 |
| エレノア | 私にも覚えがあるので、すぐ分かりました。彼らには何か理由があると…。 |
| コンウェイ | それで、彼らに話を聞いたんだね。 |
| エレノア | ええ、戦った後に。 |
| ミリーナ | エレノアさん一人で ! ? |
| エレノア | こう見えて一等対魔士の「テンナンバー」でしたから。 |
| カーリャ | テン… ? |
| ライフィセット | 聖寮の中の称号。すごく強いってことだよ。 |
| ガラの悪い男 | オレたちの言葉に耳を傾けてくれたのは組の連中以外ではエレノア姐さんだけだった。 |
| ガラの悪い男 | 困ったら親身になってくれたり、時には叱ってくれたりもした ! |
| エレノア | 私は当然のことを指摘したり、相談に乗ったりしただけなんですけど…。 |
| コンウェイ | それがなかなか出来ないものだよ。君の魅力なんだろうね、エレノアさん。 |
| エレノア | そ、そうでしょうか… ? |
| ガラの悪い男 | おう兄ちゃん、ちょっと顔が良いからって姐さんはやらないからな ! |
| ガラの悪い男 | オレに…いや、オレたちに必要な人なんだ ! |
| コンウェイ | 嫉妬かい ?心配しなくても大丈夫だよ。 |
| エレノア | 嫉妬 ? 何にですか ? |
| ミリーナ | ふふ、自分の魅力に気づいてないのね。可愛い… ! |
| コンウェイ | ふふ、キミたちは本当に面白いね。一緒にいて飽きないよ。 |
| ライフィセット | そんなことより !消えたお正月の物を探さないと… ! |
| エレノア | そ、そうでしたね。この方々を屋敷の中に入れても ? |
| ガラの悪い男 | もちろん !姐さんの頼みなら問題ない ! |
| ガラの悪い男 | だが「親分」の部屋だけは避けてくれ。あの方は人見知りでな。 |
| ミリーナ | 親分… ? |
| エレノア | 親分については、あとでお話しします。まずは屋敷の周辺を見てみましょう。 |
| Character | 7話【理と秩序8 謎】 |
| イクス | ミリーナ、そっちはどうだった ? |
| ミリーナ | こっちにもあったわ。 |
| エレノア | 屋敷の側に落ちていた…。街の人の言葉は本当だったんですね。 |
| イクス | ギルドの人は、エレノアさんが来て悪事はやめたって言ってたな…。 |
| エレノア | ……。 |
| ライフィセット | どうしたの、エレノア ? |
| エレノア | あ、いえ。少し前のことを思い出して…。 |
| エレノア | この事件、真実はどこにあるのでしょう。盗まれたのも事実、ここにあるのも事実…。何を信じたらいいのか…。 |
| ライフィセット | それを知るために真犯人を探さないとだね。自分の目で確かめなきゃ。 |
| ライフィセット | エレノアが信じた人たちだし、悪いことをする人たちだとは僕も思えないんだ。 |
| エレノア | ライフィセット…。優しいですね、あなたは。 |
| ミリーナ | ライフィセットって見かけよりずっと男の子って感じよね ? |
| ライフィセット | それって見かけは男らしくないってこと ?僕は立派な男だよ ! |
| ミリーナ | そうね。見た目で判断しちゃいけないわよね。ごめんなさい。 |
| コンウェイ | みんな、ちょっと見てもらえるかな。この飾りに残る跡…。 |
| エレノア | …人の物ではないですね。歯型がくっきり残っています。 |
| ライフィセット | もしかして、犯人って… |
| ? ? ? | きゃあああー ! ! ! |
| エレノア | 今の声は… ! ! |
| ライフィセット | エレノア ! |
| イクス | 女の子の叫び声だったよな… ? |
| コンウェイ | きっとエレノアさんも声の主を助けに行ったはず。ボクたちも追い掛けよう。 |
| Character | 9話【理と秩序9 ピンチ!親分ちゃん】 |
| エレノア | これで、最後っ ! |
| イクス | みんな、お疲れ様… ! |
| コンウェイ | 魔物が持っているのは間違いないけれど、倒した数以上にこの部屋にあるのは… ? |
| エレノア | そのことなんですけれど… |
| ガラの悪い男 | 親分 !大丈夫ですか ! |
| ミリーナ | えっ… ? |
| カーリャ | 今、その小さな女の子を見て親分って… ? |
| ガラの悪い男 | 親分は親分だからな。ギルド『義勇任侠』の親分だ。 |
| ライフィセット | ええーっ ! ?そ、そうなの ! ? |
| エレノア | 先代のお孫さん、ということらしく…。亡くなった先代の代わりにギルドの方々が見守っているそうなんです。 |
| 親分ちゃん | おじいちゃん、いなくなっちゃった。でも、わたしはみんながいるから寂しくないよ。 |
| ガラの悪い男 | お、親分… ! |
| 親分ちゃん | みんな、助けてくれてありがとう。 |
| ガラの悪い男 | お、親分~~ ! ! |
| アイゼン | …慕ってるのは分かるが、妙な絵だな。 |
| ベルベット | それで、正月の飾りの件は ? |
| エレノア | …そのことで一つ確認したいことが。 |
| エレノア | あなたたちは盗んでいないと話していました。 |
| エレノア | そして、親分にお正月がしたいと頼まれたと聞いています。 |
| ガラの悪い男 | ああ…。 |
| エレノア | この屋敷にあるお正月の飾り…『拾ってきた』のではないですか ? |
| エレノア | 魔物が街から盗んだお正月の飾り――それをあなたたちが。 |
| イクス | もしかして、それで魔物が取り戻しに屋敷に集まってきたのか… ? |
| ガラの悪い男 | …変だとは思ったんだ。山奥にあんな量の正月飾り…。魔物の隙をついて…その。 |
| ライフィセット | 持ってきちゃったの… ? |
| ガラの悪い男 | だけどよ、正月なんて取り立てやら宴やら…親分が望むような正月が分からなくて…。 |
| ベルベット | さらっと凄いこと話してるわね。 |
| ガラの悪い男 | だからせめて、飾りだけでも正月を…って。街のもんだとは、思ってもなかったんだ。 |
| エレノア | 子どもというのは親や家族、みんなで一緒にいれるだけでも十分幸せなことなんです。 |
| エレノア | 彼女はそんな難しいことを最初から望んでいなかったんですよ。 |
| 親分ちゃん | うん。わたし、みんなと一緒にお餅とか食べたりしたかっただけ。 |
| エレノア | 悪事を人に働いていなくても、今までと変わらないじゃないですか。 |
| エレノア | 自分たちで考えて、自分の意思で…。あなたたちだけのお正月ができたはずですよ。 |
| ガラの悪い男 | エレノア姐さん…。本当、その通りだな…。 |
| ガラの悪い男 | 親分のために変わるって言ったのに、これじゃ情けねぇな…。 |
| コンウェイ | ねぇ、ギルドのお兄さん。この飾り、キミたちが街に持っていったらどうかな ? |
| ガラの悪い男 | オレたちが街に ? どうしてだ ? |
| ライフィセット | あ、そっか…。この飾り、飾るだけが終わりじゃないんだ。集めて燃やすまでが役割なんだって。 |
| ミリーナ | いいアイデアね !街の人に今回の件をちゃんと話したらきっと分かってくれると思う。 |
| イクス | 今までのことを謝るきっかけになるかもしれないな。 |
| ガラの悪い男 | …そうだな。親分のためにも、これから堅気になるんだ。挨拶くらいはしてやるか ! |
| エレノア | ええ。その前向きな気持ち、素敵だと思います。 |
| ガラの悪い男 | エレノア姐さん…いや、エレノアさん ! |
| ガラの悪い男 | まだまだ未熟ものですが、今後とも末永くよろしくお願いします ! |
| エレノア | もちろんです !また近くに来たらみなさんに会いに行きますね。 |
| ベルベット | 本当、変わらないわね…。 |
| Character | 10話【理と秩序10 真相】 |
| コンウェイ | なかなか貴重な体験が出来たよ。 |
| ライフィセット | うん、すごかった… !ああやって飾りを燃やすんだね。 |
| ライフィセット | なんだかお祭りみたいに賑やかで、楽しかったな。 |
| ライフィセット | 焼いたお団子も美味しかったし…。ちょっと、食べすぎちゃったけど…。 |
| ベルベット | そんなに餅ばかり食べると餅になっちゃうわよ、お腹とか。 |
| ライフィセット | えっ… ! |
| ベルベット | ふふ、冗談よ。 |
| ライフィセット | も、もう…ベルベットってば… ! |
| アイゼン | だが、思ったより丸く収まったな。街の住人がもう少し荒れると思ったが…。 |
| エレノア | 準備に人手が欲しかったらしいですから、丁度よかったですね。 |
| イクス | きっかけは妙な出来事だったけど、ギルドの人が街に馴染むきっかけにもなったと思うよ。 |
| エレノア | 燃やすにしても結構な量でしたし、何回かに分けて燃やすようですね。 |
| ベルベット | 良かったわね、フィー。また食べれるかもしれないわよ ? |
| ライフィセット | そ、そんなに欲張りじゃないよ ! |
| ミリーナ | みんな、大変よ ! |
| ミリーナ | お正月の飾りがまた魔物に盗まれちゃったらしいの ! |
| エレノア | またですか ! ? |
| ミリーナ | それも鏡のかけらが付いている飾りだけ…。やっぱり魔物を引きつける力があるのね。 |
| エレノア | きっと燃やす前の飾りですね。また盗まれるとは思っていませんでした…。 |
| コンウェイ | ふりだしに戻ったけど、どうするんだい ? |
| ライフィセット | もちろん ! 取り返さなきゃ ! |
| アイゼン | 俺たちが魔物を倒して、飾りとかけらを取り戻せば問題ないな。 |
| ベルベット | そうと決まれば、一匹残らず片付けるわよ。 |
| エレノア | ええ !みなさんの邪魔はさせません ! |
| ライフィセット | 街のみんなやギルドのみんなのために、頑張って集めなおそう ! |