| Character | 1話【香り1 香水を求めて】 |
| シェリア | う~ん、いい香りねぇ。 |
| ソフィ | シェリア、何してるの ? |
| シェリア | ロゼが仕入れてきてくれた香水を試しているのよ。ソフィも嗅いでみる ? |
| ソフィ | ……すんっ。シェリアから甘い香りする……。 |
| シェリア | あははっ……。ちょっとソフィ、くすぐったいわよ。 |
| ミリーナ | ソフィも興味があるならフレグランス・ショップに行ってみたら ? |
| ミリーナ | 色んな種類の香水があるから自分にぴったりの香りがみつかるかもしれないわよ。 |
| ソフィ | うん、わたしも行ってみたい。シェリア、いい ? |
| シェリア | ええ、いいわよ。 |
| ソフィ | ミリーナも一緒に行かない ? |
| シェリア | 確かフレグランス・ショップのある街は警戒も緩かったわよね。 |
| ミリーナ | ……そうね。せっかくのソフィのお誘いだもの。私もご一緒させてもらうわ。 |
| アスベル | おっ。三人揃って楽しそうだな。 |
| コーキス | 外出ですか ? |
| ミリーナ | ええ。ソフィたちと街のフレグランス・ショップに行くの。 |
| シェリア | ソフィ、香水に興味があるんですって。 |
| アスベル | 香水か……。そういえば教官もつけていたな。 |
| ソフィ | アスベルとコーキスも一緒に行こうよ。 |
| ミリーナ | 二人とも時間はある ? |
| コーキス | 俺は大丈夫ですよ。さっきキール研究室の手伝いも終わったところなんで。 |
| ソフィ | アスベルは ? |
| アスベル | ああ、俺も行くことにする。鏡殻変動で光魔も増えてるみたいだし護衛役もいた方がいいだろうからな。 |
| コーキス | それじゃあさっそく出発しようぜ。 |
| ミリーナ | カーリャ。ゲートを開いてくれる ? |
| カーリャ | お任せあれ~♪ |
| カーリャ | コーキス、頼みましたよ。 |
| コーキス | 心配すんなって、カーリャ先輩。それじゃあ、いってきます。 |
| Character | 2話【香り2 捜索】 |
| コーキス | はぁ ! ?フレグランス・ショップ閉まってるぞ ! ? |
| ソフィ | 張り紙がでてるよ。 |
| シェリア | 原料調達の旅に出るため臨時休業中って書かれてるわ。再開も未定みたいよ。 |
| ソフィ | ……残念。 |
| アスベル | そう気落ちするな。店が開いたらまた来よう。そのときはきっと品揃えも更によくなってるはずだ。 |
| コーキス | アスベル様は前向きだなぁ。俺なんて、欲しいときに店が開いてないと余計にイライラしちまうけどな。 |
| コーキス | あっちでイライラしているメガネみたいにさ。 |
| ソフィ | メガネ ? |
| コーキス | ほら。見えるだろ。短髪で軍服みたいのを着てる奴。 |
| アスベル | 短髪で軍服…… ? |
| ヒューバート | まったく。事前告知もなしに臨時休業など職務怠慢も甚だしいです。この街で香水を扱っている唯一の店だと言うのに。 |
| アスベル | ちょ、ちょっと待て !おい、ヒューバートじゃないか ! |
| ヒューバート | えっ……に、兄さん ! ? |
| コーキス | 兄さんってことは……このメガネがアスベル様の弟だったのか ! ? |
| ソフィ | ヒューバートにも会えてよかった。 |
| ヒューバート | ソフィにシェリアまで。それと……その方たちは ? |
| シェリア | 紹介するわね。いま一緒に行動しているコーキスとミリーナよ。 |
| コーキス | あ、どうも。コーキスです。 |
| ミリーナ | はじめまして。 |
| ヒューバート | ヒューバート・オズウェルです。以後お見知りおきを。 |
| コーキス | オズウェル ?ラントじゃなくてか ? |
| ヒューバート | ぼくは小さい頃に養子に出されたんですよ。 |
| アスベル | だが大切な弟であるのに変わりない。また会えて安心した。 |
| ヒューバート | ま、まぁ……元気そうでなによりです。ですがそれより……。 |
| ミリーナ | 何かしら ? |
| ヒューバート | ミリーナさん、あなた指名手配犯、ですよね ? |
| ミリーナ | ええ、その通りよ。手配書に似ているかしら ? |
| ヒューバート | 誤魔化すつもりはない、と。 |
| コーキス | 俺たちはあんたと敵対するつもりはない。けど、もしミリーナ様に手を出したら―― |
| シェリア | ちょ、ちょっと。みんな落ち着いてよ。 |
| アスベル | ヒューバート。ミリーナとコーキスは仲間なんだ。だからまずは―― |
| ヒューバート | わかっていますよ。いきなり疑ってかかったりはしません。 |
| ヒューバート | とはいえ、疑っていないかといえば嘘になります。ぼくは人は疑うものだと教わりましたから。 |
| ヒューバート | ですが兄さんたちがそれを承知の上で行動を共にしているというのなら……何か理由があるんでしょう。 |
| ヒューバート | あとでちゃんと聞かせてもらいますからね。 |
| アスベル | ……ヒューバート。 |
| ミリーナ | ありがとう。ヒューバートさん。 |
| シェリア | これもパスカルの影響かしらね。 |
| ヒューバート | パ、パスカルさんは関係ないですっ ! |
| ヒューバート | ……うん ?そういえばパスカルさんは……。 |
| ヒューバート | いない ! ? どこ行ったんですか ! ? |
| ソフィ | パスカルも一緒だったの ? |
| ヒューバート | は、はい。まったく、あの人はまた迷子に。 |
| シェリア | 迷子になったのはヒューバートの方なんじゃ……。 |
| アスベル | 話は後だ ! いまはパスカルを探そう ! |
| Character | 3話【香り2 捜索】 |
| シェリア | パスカル、どこにいるのかしら。見つからないわね。 |
| ヒューバート | まったく、あの人は……。 |
| ソフィ | アスベル、あっちで人が集まってるよ。何をしてるの ? |
| アスベル | 何だろうな。中心に誰かいるみたいだが……。 |
| パスカル | はいっ。修理完了。これで使えるはずだよ。 |
| アスベル | あれって……パスカルじゃないか ! |
| ヒューバート | パスカルさん ! ?見つかったんですか ! ? |
| パスカル | あれ、弟くん !どこ行ってたの……って、アスベル ! ?ソフィとシェリアも一緒にいる ! ? |
| ヒューバート | さっき偶然再会したんですよ。 |
| ヒューバート | それから先に紹介しておきます。こちらが兄さんたちと行動を共にしてきたコーキスさんとミリーナさんです。 |
| コーキス | はじめまして。よろしくお願いします。 |
| パスカル | おぉ、こちらこそ ! よろしく~ !あと二人とも、普通に話していいからね。あたし、堅苦しいの苦手でさ~。 |
| ミリーナ | えぇ、わかったわ。ありがとう、パスカル。 |
| ソフィ | パスカル。さっきは何をしていたの ? |
| パスカル | 古い魔鏡機器の修理だよ。さっきのはなかなか複雑で手強かったけどぶわーってやったら何とかなったんだ。 |
| ミリーナ | パスカル、魔鏡機器が扱えるの ! ? |
| パスカル | 簡単な修理ぐらいならね。ちゃんとした研究施設があればもっとできることも増えるんだけどさ。 |
| ミリーナ | それでもすごいことよ。構造を理解するだけでも大変なのに。 |
| シェリア | パスカルはこう見えても凄い知識を持っている技術者なのよ。 |
| コーキス | そうだったのか ! ?正直、全然そんな風に見えねぇな ! ? |
| ミリーナ | コーキス。そんな言い方は良くないわよ。 |
| ミリーナ | それよりアジトに戻ったら、キール研究室のみんなにパスカルのことを紹介した方がよさそうね。 |
| パスカル | アジト ! ? キール研究室 ! ?もしかして魔鏡の研究もできるの ! ?やっほーい ! すごい楽しみ ! |
| シェリア | パスカル。あなたその前に、することがあるでしょう。 |
| パスカル | えっ。なに ? |
| シェリア | すんっ…………うっ。やっぱりちょっと変な匂いがするわ。またお風呂入らなかったのね。 |
| パスカル | あははっ。魔鏡機器をいじってるのが楽しくて、夢中になっちゃってさ。かれこれ……あれ、何日入ってないっけ ? |
| コーキス | ……マジかよ。なんで学者とか頭いい奴って変な奴が多いんだ。 |
| シェリア | とにかく、アジトについたら、まずお風呂に入ってもらいます。 |
| パスカル | えぇぇ、キール研究室に行きたいんだけど。面倒だし、あと数日入らなくても変わらないって。 |
| シェリア | ダメです ! 絶対入ってもらうわよ ! |
| パスカル | えー時間がもったいないよ !研究がさいゆうせ~ん♪ |
| シェリア | 逃さないわよ !ソフィ、ミリーナ ! 捕まえて !力尽くでもお風呂にいれるわよ。 |
| ソフィ | うん。わかった。 |
| ミリーナ | パスカル、一緒にお風呂に入りましょう。面倒なら私が身体を洗ってあげるから。 |
| パスカル | ちょ、ちょっと ! 三対一はずるいよ !弟くん、助けて ! ! |
| ヒューバート | なんでぼくに振るんですか ! ? |
| パスカル | 弟くん ! いいからこっち ! |
| ヒューバート | ちょ、ちょっと ! パスカルさん ! ?だからぼくを巻き込まないでくださいよ ! |
| シェリア | たとえヒューバートでも邪魔はさせないわ !二人を倒してパスカルをお風呂にいれる !みんな、いくわよ ! |
| Character | 4話【香り3 お風呂に入ろう】 |
| ソフィ | いいお湯だったね。 |
| シェリア | そうね。パスカルもちゃんとお風呂に入ってくれたし私は満足よ。 |
| パスカル | みんながあまりにも必死なんだもん。でもこれで研究に没頭できるね~ ! |
| ヒューバート | はぁ……ようやく肩の荷がおりましたよ。ぼくが何度言っても聞いてくれなくて困っていたんです。 |
| パスカル | そうだったの ? 弟くんはそこまで気にしてないのかと思ったよ。シェリアみたいに力尽くじゃなかったから。 |
| ヒューバート | ち、力尽くって……できるわけないじゃないですか ! |
| コーキス | ヒューバート様ってティル・ナ・ノーグに来てからずっとパスカル様の面倒を見てたのか ? |
| ヒューバート | はい。放っておくと食事も睡眠も取らず魔鏡の研究に没頭しているので口に食べ物を放り込んだり大変でしたよ。 |
| ミリーナ | もしかして香水もパスカルのために ? |
| ヒューバート | ええ。ティル・ナ・ノーグの文献によるとかつて水不足で入浴できなかった時代があったそうです。 |
| ヒューバート | その際、香水で体の匂いを誤魔化したと記載されていましたのでこの世界ではそういった用途もあるのかと。 |
| パスカル | 待って。ということは、香水があればお風呂に入らなくてもいいってこと ! ?研究し放題じゃん ! 香水最高 ! |
| ヒューバート | 誰も入らなくていいとは言ってないですよ ! |
| コーキス | それに水不足ってわけでもないし風呂には毎日入ったほうがいいぞ。 |
| パスカル | あはは~ !コーキスにも言われちゃったや ! |
| シェリア | 笑い事じゃないでしょう ! |
| コーキス | パスカル様って元の世界でもずっとこんな調子だったのか ? |
| ソフィ | そうだよ。 |
| ミリーナ | 研究に没頭したい気持ちもわかるけどやっぱりお風呂には毎日入った方がリラックスもできていいと思うんだけど。 |
| ミリーナ | 健康にも関わることだから心配だわ。 |
| パスカル | 大丈夫大丈夫 ! 死にはしないって ! |
| シェリア | 大丈夫じゃないわ !それにパスカルだけの問題じゃないのよ ! ? |
| ミリーナ | パスカルにはできる限り毎日ちゃんとお風呂に入ってもらえるよう私たちも頑張りましょう。 |
| シェリア | ありがとう。心強いわ。けど……今までのことを考えると実際問題厳しいとは思うから……。 |
| シェリア | ……いちおう、香水も準備しておきましょう。 |
| パスカル | えっ ! 香水くれるの ! ? |
| ヒューバート | 言っておきますがちゃんとお風呂には入ってくださいよ。 |
| パスカル | わかってるってー ! |
| シェリア | 私はさっそく倉庫に行ってパスカル用に香水を取ってくるわね。 |
| ミリーナ | 待って。確かもう香水は残ってなかったはずよ。 |
| シェリア | そうなの ! ? |
| ソフィ | フレグランス・ショップもいまはやってないよね。 |
| ヒューバート | ですが、鏡士であるミリーナさんなら香水を具現化することも可能ではないですか ? |
| ミリーナ | 簡単なものならできるわよ。パスカル、どんな香りがいい ? |
| パスカル | そうだな~ !せっかくだからバナナの香りを~~と思ったけど、やっぱりいいや。 |
| パスカル | 香水調合用の装置を開発するから実験がてらそれで作ってみたいな。ちょっと閃いたことがあるんだ。 |
| ミリーナ | 閃いたこと ? |
| パスカル | 後で説明するよー !それよりいまは早くキール研究室で研究や開発がやりたい ! |
| アスベル | まさか香水調合用の機械もキール研究室で開発する気じゃないだろうな ? |
| パスカル | そうだよー。 |
| コーキス | 研究予算が足りないってわめいてたから許可されるかわからないぞ。 |
| パスカル | けど、とりあえず話してみようよ !それにキール研究室の様子も見たいしさ ! |
| ミリーナ | わかったわ。それじゃあ行きましょうか。 |
| Character | 5話【香り4 学園に向かおう】 |
| パスカル | うーん。この魔鏡機器は内部構造が独特なのが原因でエネルギーの循環効率が落ちちゃってるのかな。どう思う、リタ? |
| リタ | それは一理あるわね。この子、繊細なところあるし。 |
| キール | 晶霊学の知識を元にこの現象を捉えるなら物質と非物質の境界を再定義する必要がありそうだな。 |
| キール | ちなみにレオノア大百科の第一巻の97ページによると―― |
| メルディ | ティル・ナ・ノーグの古い遺跡、ダーナ神が壁画も参考になるよ ! |
| リフィル | 遺跡だと ! ? ダーナ神の遺跡と言えばこの世界にかろうじて残されたあのアイフリードの遺跡のことか ! ? |
| ユリウス | ――始まったようだ。ジェイド大佐。相手を頼むよ。 |
| ジェイド | 放っておきましょう。暴れ馬は疲れるのを待つに限ります。 |
| パスカル | ふんふん、そっか ! みんな、ありがとね~ !ここをこうして~ちゃかちゃか、ぽんぽんっ ! |
| アスベル | キール研究室の中にちゃんと入るのは俺、初めてなんだが……すごいな。 |
| キール | 何がすごいんだ ?パスカルが加わっていつもより少し賑やかな気はするが。 |
| ヒューバート | これがキール研究室では日常ということですか ? |
| キール | ああ。そうだ。 |
| パスカル | おぉぉ ! ちゃんと循環効率が上昇したよ ! |
| キール | なんだと ! ? みせてくれ ! |
| コーキス | ……キール研究室ってやっぱり変人たちの巣窟だな。 |
| シェリア | 私たちには理解できない世界というか……とにかく凄い場所なのね……。 |
| アスベル | ああ。会話の内容が難しすぎてさっぱり理解できなかった。 |
| ヒューバート | あれは理解できる方がおかしいと思いますよ。 |
| キール | すまない。話がだいぶ逸れたな。香水調合用装置の研究開発だが所長であるこの僕が許可しよう。 |
| コーキス | キール様、本当にいいのか ! ?そんな真面目なもんじゃねーぞ ! ? |
| キール | 何を言っているんだ。話を聞いたところ香水があれば更に研究に集中できるんだろう ? |
| キール | それに装置の開発が上手くいけば香水に特殊な効能を付け加えることもできるらしいじゃないか。 |
| アスベル | そうなのか ! ? |
| パスカル | あー、ごめん ! 伝え忘れてた !これがさっき閃いたこと ! |
| パスカル | これから開発する装置で調合した香水は記憶力向上から疲労回復や精神安定までちょっとした効能がプラスされるんだ。 |
| パスカル | そこまで大きな影響はでないだろうけどせっかくなんだしお洒落なだけじゃなくちょっとでも実用的な方がいいでしょう ? |
| キール | そういうことだ。キール研究室のためにも香水を作るべきだと判断したまでさ。 |
| シェリア | そ、そう……。けど、なんだか大事になってきて申し訳ないわね……。 |
| ソフィ | 私たちに何か手伝えることはある ? |
| キール | 原料となる植物や果物を採取してきてくれ。好きなもので構わない。 |
| ソフィ | 自分の好きな香りが作れるの ? |
| キール | そういうことだ。 |
| シェリア | ソフィ、もしかして興味あるの ? |
| ソフィ | うん。やってみたい。 |
| アスベル | 採取なら人手が多い方がいいかもしれないな。俺も手伝おう。 |
| コーキス | せっかくだからみんなで行こうぜ。ミリーナ様もいいですよね ? |
| ミリーナ | ええ。わかったわ。 |
| ヒューバート | パスカルさんはどんな香水がいいかイメージはありますか ? |
| ヒューバート | 言ってくれれば相応しい原料を調達してきますよ。 |
| パスカル | ……あぁ、ごめん !ちょっといま手が離せなくて……。ん~、そうだな……弟くんに任せるよ ! |
| ヒューバート | ぼくに……ですか。 |
| ヒューバート | そ、それなら仕方ありませんね。わかりました。ぼくに任せてください。 |
| アスベル | よし。それじゃあ準備を整えたら原料の採取に向かうとしよう。 |
| リフィル | あら。外出するならついでに届け物を頼めるかしら。 |
| キール | この機材を地図に示した学園に届けてきて欲しい。 |
| コーキス | 機材 ? 学園 ?どういう事情なんだ ? |
| キール | 言っていなかったか ?現在、キール研究室とこの学園の間で一時的に研究技術の交流を行っているんだ。 |
| キール | この機材は共同開発中のロボに必要なものというわけさ。 |
| コーキス | そうだったのか ! ?全然知らなかった ! |
| アスベル | どうしてそんなことを始めたんだ ? |
| キール | たまには外の意見を取り入れるのも悪くはないだろうと思ったからさ。 |
| キール | もちろん、ぼくらの素性は隠しているし一般には公開できない研究データは厳重に保管してある。 |
| ユリウス | ああ。こちらの情報は俺が厳重に管理をしている。安心して欲しい。 |
| ミリーナ | 私も承知していることなのよ。不便な生活を強いているからみんなの研究ぐらいは支援したくて。 |
| コーキス | まぁ、そういうことならいいんですけど。 |
| パスカル | それじゃー、よろしくね~♪ |
| アスベル | 学園まで少し距離があるみたいだな。ついでに原料を採取しつつ向かおう。 |
| シェリア | 途中、草花がたくさんある森を通ることになるから丁度いいわね。 |
| ヒューバート | まったく、仕方ないですね。それでは準備ができ次第、出発しましょう。 |
| Character | 6話【香り6 学園にて】 |
| コーキス | アスベル様たち、資材を届けに行ったきりなかなか帰ってこないですね。どっかで寄り道でもしてるのかな。 |
| ミリーナ | きっとソフィに学園について色々説明しているんじゃないかしら。 |
| コーキス | ああ、学園見学してるのか。楽しそうですけど、大丈夫ですかね ? |
| ミリーナ | ヒューバートさんもついているし大丈夫よ。制服を着て紛れ込んでもらったから部外者や不審者だと疑われる心配もないわ。 |
| コーキス | ミリーナ様も制服あるじゃないですか。学園内は自由に行動できるし一緒に行ったらよかったのに。 |
| ミリーナ | 万が一のことも考えると目立たないに越したことはないわ。 |
| コーキス | 授業中のせいかすごく静かですね。俺、こういう雰囲気苦手だなぁ。 |
| コーキス | まぁ、おかげで制服がない俺も人目を気にしなくて済むし、ミリーナ様も一緒にいてくれるからいいんですけど。 |
| ヒューバート | お待たせしました。資材は届けてきましたよ。 |
| コーキス | おっ ! やっと戻ってきたな。 |
| アスベル | すまない。ソフィに学園生活について教えていたら、騎士学校の思い出話にまで発展してしまった。 |
| ミリーナ | いいのよ。気にしないで。 |
| コーキス | どうせそんなことだろうなってミリーナ様と話してたところだったんだ。 |
| ミリーナ | ソフィ、学園はどうだった ? |
| ソフィ | リフィル先生の授業も楽しいけど学園生活も面白そうだったよ。 |
| シェリア | 気に入ったみたいね。 |
| コーキス | そういえば……ソフィ様、その手に持ってる花はなんだ ? |
| ソフィ | クロソフィだよ。私の名前の由来になった大切な花。 |
| ソフィ | 学園にクロソフィの花壇があったの。眺めてたら緑化委員の人がくれたんだ。 |
| ミリーナ | 見た目も綺麗だけど香りもいいわよね。 |
| アスベル | さっきまで俺たちも同じことを話していたんだ。それで、ソフィはもらったクロソフィを香水の原料にするって決めたらしい。 |
| ソフィ | うん。せっかくだから。アスベルは決まったの ? |
| アスベル | 俺は……実はまだなんだ。好きな香りと言われても難しくてな。 |
| コーキス | ヒューバート様は ? |
| ヒューバート | 事前に原料とするものくらい決めてあります。だいたい採取も終わりましたよ。 |
| アスベル | だいたい ? 外の馬車にある花やハーブ全部ヒューバートのだろ。まだ集める気なのか ? |
| ヒューバート | 当然です。 |
| ヒューバート | 香水は時間と共に香りが変化していきます。それを見越して、複数の原料をブレンドする必要があるんですよ。 |
| コーキス | へぇ、そうなのか。香水ってなんか複雑なんだな。 |
| アスベル | ヒューバート、いつのまにそこまで香水に詳しくなったんだ ! ? |
| ヒューバート | たいしたことはありません。専門書を数冊読んだだけです。 |
| ミリーナ | ふふ……。ヒューバートさん、熱心ね。 |
| ヒューバート | な、なんですか。その微笑ましい視線は。適当なものを作ってはぼくの名誉に傷がつくと思っただけですよ。 |
| コーキス | あぁ、パスカル様のためか。そういや色々面倒みてたもんな ! |
| ヒューバート | な、何の話ですかね。パスカルさんは嫌いじゃありませんが変な勘ぐりはやめてください。 |
| ソフィ | 変な勘ぐり ? |
| ヒューバート | それは……。 |
| シェリア | ふふふっ。もういいじゃない。白状しちゃいなさいよ。 |
| ヒューバート | ほ、放っておいてください !まだ採取しなくてはいけない花が残っているんです。 |
| アスベル | 待ってくれ。ヒューバート。 |
| ヒューバート | な、なんですか ! ? 兄さんまで ! |
| シェリア | あのアスベルが気づいたっていうの…… ! ? |
| アスベル | その先にある洞窟は急に水が噴き出してきたりする。魔物も出るから気をつけろよ。 |
| 二人 | あぁぁ~~。 |
| ヒューバート | 何を言い出すかと思えば。まぁ、兄さんらしいですけどね。 |
| ヒューバート | 洞窟については事前に調査済みです。忠告されるまでもありませんでしたが……いちおう礼は言っておきますよ。 |
| アスベル | お前が怪我でもしたら大変だからな。そうだ、俺も一緒についていく。手伝わせてくれ。 |
| ヒューバート | 結構です。まずは自分の分の原料を確保したらどうですか ? |
| アスベル | それは……洞窟の中で見つかるかもしれないだろ。 |
| ヒューバート | まったく。なら勝手にしてください。余計なお節介は無用ですからね。 |
| アスベル | ああ。わかっているよ。 |
| ソフィ | わたしも勝手にヒューバートについていくね。 |
| コーキス | ダチのために香水作りを頑張るなんてヒューバート様も超いい奴じゃん。俺も勝手に後ろから応援させてもらうぜ。 |
| ヒューバート | はぁ……。貴方たちという人は。わかりましたよ。 |
| ヒューバート | 洞窟に向かいます。皆さん、ついてきてください。 |
| Character | 7話【香り7 材料を探して洞窟へ】 |
| ヒューバート | このあたりに生えているはずなのですが……。 |
| ソフィ | なかなか見つからないね。 |
| アスベル | ……あれは。 |
| コーキス | アスベル様、どうかしたのか ? |
| アスベル | いや、あの岩陰に……。ヒューバート、ちょっと来てくれ。 |
| ヒューバート | 何ですか ? |
| アスベル | あの岩陰に咲いている花、お前が探していたやつじゃないか ? |
| ヒューバート | まったく。洞窟に入る前に言ったはずですよ。余計なお節介は……。 |
| アスベル | ……ど、どうした ? |
| ヒューバート | 兄さん ! そこをどいてください ! |
| アスベル | ……っ。なんだよ。いきなり押すことな……うん ?ヒューバート、ずぶ濡れじゃないか ! |
| ヒューバート | この洞窟では水が急に噴き出すことがある。自分で言っていましたよね ? |
| アスベル | すまない。俺の不注意だった。大丈夫か ? |
| ヒューバート | 平気ですよ。それに兄さんのおかげで目的の花は手に入りましたから。ぼくとしては貸し借りはなしです。 |
| ヒューバート | だから変に気にしたりしないでくださいよ。たかが水をかぶっただけなんですから。 |
| アスベル | ヒューバート……。 |
| コーキス | ヒューバート様…… !アニキのために自分を犠牲にするなんてすげぇ、兄弟愛だぜ ! ゲキカンだよ ! ! |
| ミリーナ | ふふ、本当にそうね。とっても素敵な関係だと思うわ。 |
| ヒューバート | な、なんですか。いちおう兄弟なわけですし心配くらいはぼくだってしますよ。 |
| シェリア | はいはい。濡れたままだと身体が冷えるわよ。ひとまず、このハンカチを使って。 |
| ヒューバート | ……ええ。ありがとうございます。 |
| パスカル | 弟くん、びしょびしょじゃない !大丈夫なの ! ? |
| ヒューバート | パスカルさん ! ? どうしてここに ! ? |
| パスカル | みんなの帰りが遅いんだもん。こっちは香水調合用装置を小型化して量産化可能な設計に変更まで終わったよー。 |
| パスカル | そんなことより弟くん、すぐアジトに帰ってお風呂に入った方がいいよ。 |
| ヒューバート | あなたにお風呂に入るよう言われる日がくるなんて……。 |
| アスベル | 俺は一足先に行って湯を沸かせておく。 |
| コーキス | 採取した花やハーブは俺がヒューバート様の部屋に運んでおくぜ。 |
| ヒューバート | 皆さん、大げさすぎですよ。自分で何とかできますから。 |
| パスカル | いいから、ほらほら ! 行くよ ! |
| ヒューバート | ……わかりました。 |
| Character | 8話【香り8 アジトに帰ろう】 |
| ソフィ | アスベル、シェリア。クロソフィの香水できたよ。 |
| シェリア | ソフィ、偉いわ。よく頑張ったわね。 |
| アスベル | いい香りだな。故郷のことを思い出すよ。 |
| ソフィ | くんくん、シェリアのもいい香り。 |
| シェリア | ふふ、色々な花をブレンドしてみたのよ。 |
| コーキス | 俺のはさっぱり爽やかに柑橘系だ。自分でも結構気に入っているんだよな。 |
| カーリャ | なんですか~、コーキス。最近妙に色気づきはじめた気がしますよ。 |
| コーキス | うるっせーな、カーリャパイセンは。 |
| カーリャ | うるさいとはなんですか !それにパイセンじゃなくて先輩です ! |
| コーキス | ――ほら、カーリャパイセンの分。俺のよりちょっと甘めの香りにしてみた。 |
| カーリャ | コーキス ! さすが !たまにはパイセンでも許しますよ。ありがとう~ ! |
| ソフィ | ミリーナのはなんだか海みたいだね。 |
| ミリーナ | 私も故郷を思い出しながら作ってみたのよ。 |
| コーキス | アスベル様はどういう香水にしたんですか ? |
| アスベル | 俺はヒューバートと同じものだ。余った原料をわけてもらっただけだからな。 |
| アスベル | でも、ヒューバートの作った香水の方ができがいいと思う。もの凄く集中して作ってたからな。 |
| ソフィ | ヒューバートは ? |
| アスベル | いまパスカルに香水を届けに行ってるはずだぞ。 |
| ヒューバート | パスカルさん。約束通り、香水を作ってきましたよ。 |
| パスカル | うわぁ~ ! ! 弟くん、ありがと ! !感謝感激雨あられだよ ! !これで研究し放題だ~ ! ! |
| ヒューバート | ですがお風呂にはちゃんと入るようにしてくださいよ。 |
| パスカル | わかってるって~♪それでそれで、その手に持ってるのが弟くんが作ってくれた香水 ? |
| ヒューバート | ええ、どうぞ。受け取ってください。 |
| パスカル | おぉぉ ! ありがと~ ! !昨日お風呂入ったばっかりだけどさっそく試してもいい ! ? |
| ヒューバート | もちろんですよ。あなた好みに調合をしたつもりですがいちおう感想も聞きたかったので。 |
| パスカル | おっ、じゃあさっそく弟くんのセンスをチェックしちゃうよ~♪ほーい……シュッシュッシュ~っと ! |
| ヒューバート | ……。 |
| パスカル | …………。 |
| ヒューバート | あの……もしかして気に入りませんでしたか ?もしそうなら作り直しますが。 |
| パスカル | そんなことないって !すっっごく気に入ったよ ! !さすが弟くんって感じだよ~♪ |
| キール | パスカル。研究結果のデータについて意見を聞きたいんだが構わないか ? |
| パスカル | ほいほーい。いま行くよ~。それじゃあまた後でね、弟くん。 |
| ヒューバート | は、はい……。 |
| ヒューバート | ……パスカルさん、どうしたんだ。香水には何も問題ないはずですが……。 |
| ジュード | ヒューバート。ここにいたんだね。 |
| ヒューバート | ジュードさん、何か用ですか ? |
| ジュード | この薬、よければ使って。 |
| ヒューバート | ……薬 ?ぼくはどこも悪くは… |
| ヒューバート | …くしゅっ。 |
| ジュード | 風邪とも言えないくらい病状も軽度だし自覚症状もないと思うけど、少し鼻の調子が悪そうだったから作ってきたんだよ。 |
| ジュード | 放っておいてもすぐ治ると思うけどいちおう渡しておくね。 |
| ヒューバート | は、はい。ありがとうございます。たぶん水をかぶった影、響で……。 |
| ヒューバート | まさか、パスカルさん……。 |
| Character | 9話【香り9 学園でトラブル?】 |
| ヒューバート | …………。 |
| アスベル | ヒューバート、どうかしたのか ?オムライスはお前の好物なのに全然手をつけていないじゃないか。 |
| ヒューバート | ゆっくり味わって食べているだけです。それとオムライスがぼくの好物というわけではありません。それは勘違いです。 |
| コーキス | それにしても食の進みが遅いだろ。 |
| シェリア | もしかしてパスカルが最近ずっとキール研究室に籠もってて会えていないことが原因かしら ? |
| ヒューバート | ごほっ ! ごほっ ! !オム、ライスが……喉にっ ! ! |
| ソフィ | ヒューバート、お水だよ。 |
| ヒューバート | ごくっごくっ……ぷはぁっ !あ、ありがとうございます……。 |
| アスベル | ヒューバート、何か悩みがあるなら話してくれないか ? |
| ミリーナ | 力になれることもあるかもしれないわよ。 |
| ヒューバート | 相変わらず兄さんはお人好しですね。 |
| ヒューバート | ミリーナさんにしてもそうだ。初対面のときぼくはあなたを指名手配と言ったことを忘れましたか ? |
| コーキス | ……そういや、そうだったな。でも―― |
| ミリーナ | ――ええ、私もコーキスももうわかっているつもりよ。 |
| ミリーナ | これがヒューバートさんなりの優しさなんだって。 |
| コーキス | へへ、ヒューバート様って超いい奴だよな ! |
| アスベル | ヒューバート。別に無理に話さなくてもいいんだ。 |
| アスベル | けどな、世界に関することとか国に関することとか大きさなんて関係ない。どんな些細なことでも相談してくれよ。 |
| ヒューバート | ……兄さん。 |
| アスベル | 俺だって馬鹿じゃない。ちゃんと気づいてるさ。ヒューバート。お前、パスカルのこと……。 |
| ヒューバート | ……えっ ! ? |
| シェリア | ウソ ! ? アスベル ! ? |
| アスベル | お前もパスカルのこと、本当に大切な仲間だと思ってるんだろ。働き過ぎてないか心配だよな。 |
| 二人 | あぁぁぁ……。 |
| ヒューバート | ふっ……ふふっ。 |
| ソフィ | ヒューバートが笑った。 |
| アスベル | お、おい。俺は真面目に話してるんだぞ。 |
| ヒューバート | わかっていますよ。本当に兄さんって人は……。 |
| ヒューバート | いいですか。だから……ぼくの話も笑って聞いてください。 |
| パスカル | ここをこうして……ひょい、ひょいっと !だいぶ順調でいい感じ~♪ |
| メルディ | パスカル、そろそろ休むがいいよ。 |
| パスカル | う~ん……あと、もうちょい !誰か、ここ押さえてくんない ! ? |
| リタ | ……うっ。あんた、その匂い。それ終わったらすぐお風呂入りなさいよ。 |
| メルディ | そういえば香水、使わないか ? |
| パスカル | 使わないよー……ふふっ♪よしよし、こっちもぴょぴょいっと ! |
| キール | パスカル。ヒューバートからお前宛に手紙を預かったぞ。 |
| パスカル | 弟くんから ?そういえば最近会ってなかったや !なになに、あたしに何のようかな~ ! |
| パスカル | ……うん ? |
| リタ | どうかしたの ? |
| パスカル | 『気を遣わせてしまって申し訳ありません。あの香水は処分してください』……だって。 |
| パスカル | あれって弟くんが一生懸命作ってくれた香水のはずなのにどういうこと ! ? |
| アスベル | キール研究室の皆さん。失礼します。 |
| ソフィ | あっ、パスカルだ ! |
| パスカル | あれ ! ? アスベルたちじゃない ! |
| アスベル | ヒューバート、いいからこっちに来い。お前が出したっていう手紙じゃ何にも解決にはならない。ちゃんと話そう。 |
| ヒューバート | ちょ、ちょっと。兄さん。 |
| パスカル | 弟くん ! ? |
| パスカル | あ、あれ ! ? どういうこと ! ?学園で共同研究開発中だったロボから想定外のアラートが……。 |
| シェリア | パスカルが珍しいわね。大丈夫なの ? |
| パスカル | えっと、ここをこうして……。 |
| パスカル | あれ ! ? おかしいよ !さっきまで遠隔操作できてたのに制御不能になっちゃった ! ? |
| ミリーナ | ロボが制御不能に ! ?学園は大丈夫なの ! ? |
| パスカル | 休校日だから被害はないと思うけどこのままじゃ学園が滅茶苦茶になっちゃうよ~ ! |
| ソフィ | クロソフィの花壇もあるのに。 |
| コーキス | 学園に誰もいないなら構わないだろ。みんなで乗り込もう。暴走ロボもちょっとぶっ叩けば収まるだろ ! |
| ソフィ | わかった。わたしたちで止めよう ! |
| Character | 10話【香り10 暴走したロボ】 |
| ソフィ | じーー。 |
| アスベル | よし。暴走したロボも収まったな。 |
| ソフィ | うん。もう大丈夫だね。 |
| シェリア | ヒューバートとパスカルは ? |
| コーキス | あっちで話してるみたいだぜ。 |
| ヒューバート | そ、それじゃあ……あのときの反応は使うのがもったいないと思ったから……だったんですか ? |
| パスカル | だってすっごくいい香りだしあたしの匂いを消すために使うって考えたらそりゃもったいないって思うでしょ ! |
| ヒューバート | それじゃあ……。 |
| パスカル | 100億点満点だよ~ !最っ高に気に入ってるよ ! |
| パスカル | それに、弟くんが頑張って作ってくれたものだからね。あたしにとっても大切だよ。 |
| ヒューバート | そ、そうですか。それならぼくとしても、その……満足です。 |
| ヒューバート | ですが使わないのももったいないです。また作ればいいだけですし遠慮せず好きに使ってください。 |
| パスカル | ホントに ! ? また作ってくれるの ! ? |
| ヒューバート | ティル・ナ・ノーグに来てからどれだけあなたの世話をしてきたと思っているんですか。 |
| ヒューバート | 香水の一つや二つ、今更ですよ。ぼくにとっては造作もないことです。欲しいだけ言ってくれて構いませんよ。 |
| パスカル | あははっ。ありがとう♪弟くんは本当に気が利くいい子だね ! |
| ヒューバート | 子ども扱いしないでください。ぼくは気が利くわけでもいい子でもないです。 |
| ヒューバート | これも……あなたのことが…… |
| パスカル | ……えっ ? |
| ヒューバート | な、何でもありません。 |
| パスカル | 弟くん、もしかして……。 |
| ヒューバート | な、なんですか ! ? |
| パスカル | 確認させて。本当に……いいの ?その気持ちに嘘はない ? |
| ヒューバート | い、いや……その……。 |
| ヒューバート | はい。もちろんありません。 |
| パスカル | そっかぁ……よかった。あたしも嬉しいよ。弟くんの気持ち、知ることができて。 |
| ヒューバート | ……パスカルさん。 |
| パスカル | 弟くん、そこまで香水作りにハマってたんだね。 |
| ヒューバート | ……えっ ? |
| パスカル | 実は弟くんの香水、すっごく評判よくてさ~♪欲しいっていう人いっぱいいるんだよ~ ! |
| パスカル | 偶然知り合いになったフレグランス・ショップの店長さんもぜひ仕入れたいんだって ! |
| ヒューバート | えっ……あ、あの ? |
| パスカル | だから、弟くん、香水作り頼める ?あたしは研究がいい感じだから今だけはそっちに集中したくてさ~。 |
| ヒューバート | …………。 |
| ヒューバート | ふんっ。お安いご用です。 |
| パスカル | さっすが ! ! 頼んだよ~ ! ! |
| シェリア | ヒューバート……。 |
| ミリーナ | ヒューバートさん……。 |
| ヒューバート | は、ははは……。 |
| ソフィ | ……ヒューバートが壊れた ? |
| コーキス | ヒューバート様、大丈夫か ? |
| ヒューバート | ぼくは大丈夫ですよ。 |
| アスベル | ヒューバート、よかったな。ちゃんとパスカルと誤解が解けて。 |
| ヒューバート | 兄さん……その鈍さ、今のぼくにとっては救いです。 |
| アスベル | うん ? よくわからないがお前の支えになれているのなら嬉しい。また俺たちも原料集め手伝うからな。 |
| ヒューバート | ……ええ、こうなったらとことんやってやりますよ ! !皆さん、行きますよ ! ! |
| アスベル | おっ―― |
| 四人 | おぉぉっ ! ! |
| アスベル | ……お、俺がズレてるのか。 |
| パスカル | ふりゃ……ばびっとこうして……ここがこうなって……。リタ、この部分どう思う? |
| リタ | それは……うっ。ちょっと、パスカル。あんた結局、その香水使わないわけ ? |
| パスカル | あー……うん、なんかね !やっぱりこれは大切だからさ♪ |