Character1話【夏の思い出1 ビーチバレー】
レイアうーん、絶好調 !このままどんどん行くよ、ミラ !
ミラ=マクスウェルああ、もちろんだ。
ジュードくっ、やっぱり手強いね、ミラたちは。
ティポぼくたちだって負けてないよー !
エリーゼそうですジュード !弱気になってはいけません !
コーキスおーい、ジュード様たちー。飲み物の差し入れ持ってきたぞー。
ミリーナ日差しも強くなってきたし休憩にしましょう。
ジュードありがとう二人とも。そうだね、少し休んでからまたやろっか。
レイアええ~、せっかく良いところだったのに~。
ミラ=マクスウェルいや、レイアのスパイクの高さが少々低くなってきていたところだ。体力を回復させるためにも、休息は必要だろう。
ミリーナみんな、ビーチバレーをやっていたのね。
ティポぼくもエリーゼやジュードと一緒にがんばったんだよー。
コーキスえっ、それって反則じゃね ?
レイアへへーん、ティポという飛び道具があったってわたしたちが優勢だったけどね。
エリーゼ次は負けませんからね、レイア。
セネルおっ、楽しんでるみたいだな。
ミリーナセネル。それにシャーリィとクロエもお疲れ様。頼んでいた海の様子の調査、どうだった ?
クロエ今日も変わらず海は穏やかなままだ。水難事故の心配もないだろう。
セネルライフセーバーの仕事がなくなったわけじゃないが、精霊の一件から、だいぶ落ち着きを取り戻したな。
シャーリィそれよりも、ロゼさんのお店の方がお客さんで賑わってて、大変かもしれないね。
レイアそうなの ? 良かったらわたしたちも手伝いに行こうか ?
シャーリィありがとうございます。でも、今日はわたしたちが当番の日ですからレイアさんたちは自由に過ごしてくださいね。
セネルでも、こうして浜辺にジュードたちがいてくれるから正直助かるよ。俺たちも安心して店を手伝えるしな。
ジュード暑さで体調を崩す人もいるだろうし応急処置が必要なことがあったらいつでも声をかけてね。
ティポジュードー。ぼくが砂蒸しになってたら助けてねー。
ジュードそれは自信ないから砂に潜らないでね。
ミラ=マクスウェルしかし、人はこうして海を満喫するのだな。みな私たちと同じように楽しそうな表情をしている。
レイアわたしたちが笑顔になれるのもミリーナの用意してくれた水着のおかげだね !
エリーゼはい、とっても可愛い水着です。
ミリーナありがとう、二人とも。ふふっ、私もみんなが喜んでくれて嬉しいわ。
ミラ=マクスウェル動きやすいし、着心地も実に見事だ。海だけでなく、普段からこの格好で過ごしても良いかもしれないな。
ジュードええっ ! ! だっ、駄目だからねミラ ! ?
レイアジュード、反応が大袈裟すぎ……。
レイアあーあ、アルヴィンも来れば良かったのにね。
ジュードあんまり乗り気じゃなかったからね、アルヴィン。
レイア『俺はもう海ではしゃぐようなガキじゃねーんだよ』って、それじゃあわたしたちが子供みたいじゃん !
ジュードでも、もしかしたら気が変わって来てくれるかも。アルヴィン、たまにそういうところあるし。
ミリーナそうね、アルヴィンさんが来たら水着も用意しなきゃね。
コーキスミリーナ様、ジュード様たちと一緒にビーチバレーをしたらどうですか ?たまには息抜きも必要ですよ。
ティポそれなら、シャーリィたちも一緒に遊ぼうよー !
レイアそうだよ、みんなでやろうよ !ビーチバレー !今は休憩中なんだよね ?
クロエ誘いは嬉しいんだが、もうすぐ休憩時間が終わってしまうんだ。
シャーリィロゼさんにはみなさんに会ってすぐに戻るって伝えてしまっているので……。
ミラ=マクスウェルそうか、そういうことなら仕方ないな。
エリーゼ残念です……。
セネルよかったらまた今度混ぜてやってくれ。それじゃ、俺たちは仕事に戻るよ。
クロエまた忙しくなるぞ、シャーリィ。気合を入れていこう。
シャーリィふふっ、すっかり水着姿で働くことに抵抗がなくなったね、クロエ。
クロエシャーリィ ! ?せ、せっかく忘れていたのに……。
レイア……って、わたしたちも動きっぱなしだったから、お腹すいてきちゃったね。
ミリーナそれじゃあ、お昼ご飯にしましょうか。露店もいっぱい出店してるみたいだしお昼も一緒に済ませちゃいましょうよ。
ティポさんせー。
ミラ=マクスウェルふむ、これは中々の活気だな。
エリーゼこんなにお店がいっぱいあったら迷っちゃいます。
コーキスおっ、この店の焼きそば美味そうだな !ん ? でも、なんか普通の焼きそばとは違う匂いのような……。
店主はい、いらっしゃい !どうだ兄ちゃんたち、うちの自慢のフルーツ焼きそば食っていくか ?
店主うちで獲れた果物を配合して完成させたオリジナルソースを使った焼きそばだ !
店主ソースだけじゃなくて、ちゃんと果実も丸ごとたっぷり入ってるから食べごたえがある逸品だぜ ?
レイアねぇねぇ、これみんなで食べようよ !フルーツと焼きそば、美味しいもの二つ同時に食べられるんだよ !
ジュードこの世界にまで来てこれに出会うなんて……。ミリーナたちの口に合うかなぁ。
ミリーナなんだか、浜辺が騒がしいわね。
ティポいっぱい人がこっちに来てるみたいー。
海水浴場の客大変だ ! 海から魔物が次々と現れているらしいぞ !
レイア大変 !ジュード、わたしたちも !
ジュードうん、みんな、行くよ !

Character2話【夏の思い出1 ビーチバレー】
コーキスよし、ここにいた魔物たちは全部倒せたな !
エリーゼどうして急に魔物が海から出てきたんでしょうか……。
ミラ=マクスウェルどうやらこの浜辺一帯に被害が広がっているようだ。一度セネルたちと合流するべきだな。
レイアまだあっちのほうで声がするよ。行ってみよう。
? ? ?――フンッ !
セネルあんた、相当な腕の持ち主だな。おかげで助かったよ。
ミリーナいたわ ! セネル……とあの人は ?
セネルミリーナたちか。丁度良かった。突然海から魔物が大量に押し寄せてきたんだがこの人が手を貸してくれたんだ。
セネルシャーリィやクロエにも協力してもらってるが……。どうした、ジュード ?
ジュードそんな ! どうして……。
ミラ=マクスウェルガイアス !お前もこの世界に来ていたのか !
ガイアス……ほう、まさかこんなところでお前たちと出会うとはな。もしや、ルドガーたちも一緒なのか ?
レイアえっ ! ? なんでガイアスがルドガーのこと知ってるの ?
ガイアスいや、待て……お前たちの姿……。確かに俺の知るジュードたちで間違いがないようだが……そうか。
ジュードガイアス…… ?
ミリーナねぇ、ジュード。あの人はジュードたちの知り合いなのよね ?もしかして、はぐれ鏡映点の人なんじゃ……。
? ? ?ミラ ! やっぱりあなたもここに居たのね ! !
ミラ=マクスウェルミュゼ ! お前までここに !
ミュゼいや~ん ! やっと会えたわミラ !
ミラ=マクスウェルなっ、ミュゼ !なぜ急に私に抱きつこうとするっ ! ?
エリーゼえっ、ミュゼ……ですよね ?
ティポなんかぼくたちの知ってるミュゼとちがうー。
レイア本当にガイアスとミュゼ……なんだよね ?
村の若者アーさん ! ミュゼの姐さん !ここに居たんっすね !
ガイアスお前か……他のやつらはどうした ?
村の若者はい、アーさんに言われた通り客をロゼの姐さんの店まで誘導してきました !店を避難所にしてくれるなんて頼もしいっす !
セネルそうか、客の混乱が少ないと思っていたがあんたたちが手を回してくれていたのか。
ガイアスジュード、俺たちのことはまた詳しく話す。その前にお前たちが知っている情報を教えてもらおう。
ガイアスそこの女、“はぐれ鏡映点”と言ったな ?もしや、俺たちが知らぬ間にこの土地にいたことと何か関係があるのか ?
ミリーナガイアスさんにミュゼさん、ですね。お二人はおそらくジュードさんたちと同じ鏡映点という存在になるんだと思います。
ミリーナ少し長くなりますが、ご説明しますね。
ミュゼ……ということは、私たちはこの世界に具現化された存在ってことなのね ?
ガイアスそれに、ルドガーだけでなくエルやユリウスまでお前たちのところにいるのか。
ジュードうん。それに、ローエンは無事だけど救世軍にいるらしくって……。まだ会えてないんだ。
ガイアスローエンのことは少々気がかりだがそちらは救世軍、とやらに任せるのが賢明か……。
ガイアスミリーナ、もう一度問うが俺たちは元の世界には帰れないということでいいんだな ?
ミリーナええ、そうなります。お二人を巻き込んでしまったこと本当に申し訳ありません……。
ミュゼまぁ、そういうことなら仕方ないわね♪
コーキスえっ、そんなにあっさりした感じでいいのか ?
ミュゼだって、帰れないのにグダグダ言っても仕方ないじゃない。それに、ここにはミラたちもいるんだから何も問題ないわ !
ミラ=マクスウェルミュゼ……。いい加減、もう少し私から離れてくれないか ?
ジュードガイアスはルドガーたちのことを知っているんだよね ? もしかして、今のガイアスは僕たちより未来の……。
ガイアスどうやらそのようだな。お前たちにとって、俺とミュゼは未だ敵対する相手ということか。
ガイアスだが、ジュード。俺たちが今いる世界はリーゼ・マクシアでもエレンピオスでもなくティル・ナ・ノーグという世界のようだ。
ガイアス俺はこの世界でお前と戦う理由がない。もちろん、ミュゼも同じことを言うだろう。
ミュゼそうそう。昔のことは忘れて、仲良くしましょ。私たち、一緒に苦楽を共にした仲間じゃない♪
エリーゼえっ ! ミュゼがわたしたちの仲間 ! ?
ガイアスミュゼ。これ以上はジュードたちに未来のことを話すな。少なくとも今は……な。
セネル色々とあんたたちにも事情があるみたいだが俺としては魔物の被害を食い止めるためにも二人にはこのまま協力してもらえると助かる。
ガイアス……良かろう。俺も乗りかかった船だ。ならば、まずは迅速に今回の騒動を収める。ジュード、お前も協力してくれるな ?
ジュードうん、それはもちろんだけど……。
セネルさっき、観光で来ていた奴らの話では俺とガイアスで倒した赤色の魔物は東の洞窟に生息している魔物らしい。
レイアん ? ちょっと待って ?わたしたちの倒した魔物の色って青色の魔物だったよね ?
村の若者そいつは西の洞窟の魔物っすね。ここらへんの魔物は特殊で、東の洞窟と西の洞窟で生息してる魔物の色が違うんす。
村の若者でも、どっちの洞窟の魔物も大人しくて人間が住んでるところには近寄らないって聞いたことがあるっす。
レイア普段は大人しいはずの魔物が襲ってくるなんて……絶対何かあるよ !
ミリーナもしかして、ウンディーネのときの影響がまだ残っているのかしら ?
ミラ=マクスウェルいや、ウンディーネが関わっているのなら私も精霊の気配を感じるはずだ。今回の騒動とウンディーネは無関係だろう。
ミリーナそれなら、洞窟でなにかあって大人しかった魔物がこっちに来るようになったとか ?
ジュードどっちの洞窟にも、一度行ったほうが良さそうだね。
セネルそれなら浜辺に魔物が来たら対応できるようこっちはクロエたちにも警備を手伝ってもらうよ。
セネル原因が分からない以上また魔物が来るかもしれないからな。
ガイアス……ん、ここに落ちているものは何かの破片か ?
エリーゼあっ、それに似た石の破片さっき見つけました。色違いですけど……。
ティポ倒した魔物から出てきたっぽいよー。
村の若者こんな色をした石の破片、見たことないっすよ。魔物から出てきたっていうのも、なんだか気味が悪いっすね……。
セネル普段は大人しい魔物だったってことはこの石の破片、魔物の異変に関係があるんじゃないか ?
ミリーナそうね。念のためアジトに戻って、この破片をキール研究室のみんなに調べてもらいましょうか。
セネルなら、俺たちが持っていくよ。
ミリーナありがとう、セネル。それじゃあ、お願いね。
ミュゼう~ん、私には綺麗な石の破片にしか見えないわ。
ミュゼエルに渡してあげたら喜びそうなものだけど……。
ジュードミュゼ、本当にルドガーや僕たちと仲間だったのかな……。
レイア急には信じられないよね……そんなこと言われても……。
ジュードうん……。でも、村の人たちには信頼されてるみたいだし。ガイアスも、弱い立場の人を助けたいっていう信念の人だったんだ。
ジュード様子を見つつ……、今は、目の前の問題解決に集中しよう。
ミリーナそれじゃあ、私たちは二手に分かれて東と西の洞窟の調査をしましょう。

Character3話【夏の思い出2 魔物の調査】
ルドガーまさか、ガイアスたちともこうして再会できるなんてな。
エル王様ー。元気だった ?
ガイアスああ、それなりにな。お前たちの方はすっかりこの世界に馴染んでいるようだな。
ジュード…………。
エル王様いない時もエル頑張ってたよ !さっきまでルドガーと一緒にロゼのお店のお手伝いもしてたし !
ルドガーそこで、浜辺で魔物を倒してる長身で黒コートの男がいるって聞いたんだ。
ルドガーおまけに空を飛ぶ羽の生えた女性もいるっていうしもしかしたら……って思って駆け付けたんだよ。
エルやっぱり王様とミュゼのことだったんだね !
コーキスなぁなぁエル様。ガイアス様のことなんで王様って呼ぶんだ ?
エルだって、王様は王様だからだよ。
エルエルは元の世界ではひろーいジンミャクを持っていたからね。それで王様とも知り合いになったんだよ♪
ルドガーエルのやつ、また調子良いことばっかり言ってるな……。
ジュードそれじゃあ、やっぱりルドガーたちはガイアスやミュゼと一緒に旅をしていたんだね。
ルドガー……そうか、今のジュードたちは知らないんだな。
ジュードうん……。すごく仲が良いんだね。びっくりしたよ。
ガイアス戸惑うのも無理はない。だが、今ここにいるのはお前の知るガイアスとは違う。
ガイアスここにいるのはティル・ナ・ノーグのガイアスだ。お前に刃を向けるつもりはない。少なくとも、今はな。
ジュードガイアス……。
ルドガー安心しろ、ジュード。ガイアスが何かして来たら俺がジュードを守るからな。
ジュードありがとう、ルドガー。ちょっと慣れるのには時間かかりそうだけど、ね。
ルドガーところで、俺はまだ聞いてなかったんだけどガイアスとミュゼは二人一緒にこの世界に来たのか ?
ガイアスそうだ。気が付いたら見慣れない土地にいたので、分史世界に迷い込んでしまったかと思いまずは情報を集めることにしたのだ。
ガイアスだが、聞き込みをしていた村で少々やっかいなことに巻き込まれた。
エルやっかいなこと ?
ガイアスその村で育てている農作物が魔物の被害に遭ったという話を聞いてな。俺とミュゼで魔物の討伐を引き受けたのだ。
ガイアスこの土地に来て一文無しの俺たちにも村人たちは食事と宿を用意してくれた。その謝礼のつもりだったのだが……。
コーキスん ? どうしたんだよ、ガイアス様 ?
ガイアスいや……、魔物を討伐したのはいいが今度は俺たちに何か恩返しがしたいと村人たちから懇願されたのだ。
エルさっすが王様 ! こっちに来てもジンボーあるんだね。
ガイアスそこであいつらが考えた恩返しというのが最近賑わっている海水浴場に俺とミュゼを連れていくという計画だったのだ。
ガイアス断る理由もなかったので同行したがまさかお前たちに会えるとはな。
ルドガーははっ、ガイアスらしい話だな。
コーキスそういや、ガイアス様と一緒にいた奴がガイアス様のこと、“アーさん”って呼んでたよな ?あれって、あだ名なのか ?
ジュードああ、そういえばそう呼ばれてたね。“ガイアス”で“アーさん”ってこと ?
ガイアスいや、俺はあの村では“アースト・アウトウェイ”と名乗っていたのだ。
ガイアス市井を観察するときは、世界が違おうとも“遊び人のアースト”として行動すると決めている。
ルドガーえっ ? そのこだわりはここでは必要ないんじゃ……。
エル王様の方がカッコイイのにー。
ガイアスとにかく、今はなぜ魔物が俺たちのいた砂浜まで来たのか、その原因の究明が優先だ。
ジュードそうだね、僕たちに気づいて魔物も襲ってくるだろうし気を引き締めていこう。
エルそれじゃあ、エルはみんなが倒した魔物が落とすキレーな石の破片を集めておくね。
ジュード…………。
ガイアスジュード、やはりお前もあの石の破片が気になるのか ?
ジュードえっ ! ? うっ、うん……。なにか、今回の件と関わっているような気がして……。
ガイアス俺も同意見だが今の段階で判断するのは早計だ。
ガイアス俺たちの疑問を解明するためにも奥へ進むべきだろうな。
ジュードそう……だね。セネルたちも待ってくれてるし僕たちは早く原因を突き止めなきゃね。

Character4話【夏の思い出3 東の洞窟 調査1】
ミリーナミュゼさんはミラのお姉さんなのね。ミラも素敵だけど、ミュゼさんも素敵だわ。
ミュゼうふふ、ミリーナ、だったわね。なんていい子なの ?素直に褒めてくれる人間は好きよ。
ミュゼミラも私に対して、ミリーナくらい正直になってくれても良いのよ ?
ミラ=マクスウェル正直もなにも、私はいつも通りに振る舞っているだけだが……。
ミュゼもう、元の世界ではお姉ちゃんお姉ちゃんって慕ってくれたじゃない。
ミラ=マクスウェルそう……なのか ?すまない、覚えがなくてな。
ミュゼふふっ、やっぱりミラって可愛いんだから♪
レイア……ねぇ、エリーゼ。やっぱりわたしたちの知ってるミュゼと全然違うわよね ?
エリーゼええ、かなり違います。ミュゼはもっとこう、近寄りがたい雰囲気がありました。
ミュゼあら、近寄りがたい美人なんて♪
二人! !
ミュゼ私、耳が良いから聴こえちゃうのよ。内緒で褒めてくれても筒抜けなの♪
ティポミュゼのじごく耳ー !
ミュゼついでに言うとこの先は魔物がいっぱいいるわね。鳴き声が聞こえるもの。
ミュゼ私がいれば大丈夫でしょうけど念のため、気を付けて先に進みましょう。
レイアミュゼ、わたしたちのことを守ってくれようと…… ?
ミュゼ当たり前でしょ。あなたたちはミラの大切な仲間なんだもの。
ミュゼミラも、あまりよそよそしくしないで。いつも通り甘えてくれていいんだから。
ミラ=マクスウェルそのいつも通り……というのがわからないのだが、その優しさには感謝するよ。
ミュゼミラ……。
ミリーナ……私は元の世界でミラたちとミュゼさんの間に何があったのかは知らないけれどお互い無理をするのはよくないと思うの。
ミリーナお互いの認識にズレがあるなら、今から少しずつ時間をかけて仲良くなっていけばいいんじゃないかしら ?
レイア正直に言うとね、わたしはまだ、ミュゼのことをちょっと怖いなって思うんだ。
レイアでも……以前にわたしたちに近づいて来た時とは違うのはわかるよ。これが、本来のミュゼなのかもって。
エリーゼわたしも、そんな気がしてきました。悪い人……いえ、悪い精霊ではないような……。
ミラ=マクスウェル今は、一時休戦だな。共に協力しなければならない。
ミリーナ魔物のことを調べるためにもみんなで力を合わせていきましょう。
ティポもしまた悪さしようとしたらぼくが許さないからねー !
ミラ=マクスウェル……ジュードたちに後れを取らぬよう私たちも先を急ごう。
レイアあっ、ちょっと待って、ミラ。わたしも !
エリーゼティポ、わたしたちも行きますよ。
ティポよーし、ぼくもがんばっちゃうよー !
ミリーナミュゼさん、私にはわからないこともあるけれど二人が仲良くなれるように、何かお手伝いできることがあれば言ってくださいね。
ミュゼ本当 ! ? ありがとう、ミリーナ。あなたのこと、ますます気に入ったわ♪
ミュゼでも、私を使役するのはもう少し仲良くなってからかしら ?
ミリーナえっ ? 使役って何ですか、ミュゼさん ?
ミュゼうふふ、純粋なあなたにはちょっと刺激が強いお話かもね♪

Character5話【夏の思い出4 西の洞窟 調査1】
コーキスガイアス様すげーな。あれだけ戦ってるのに汗ひとつかいてねぇや。
コーキスルドガー様たちとのコンビネーションも息ぴったりじゃん。
ガイアスどうやら、お前たちの腕が鈍っているということはなさそうだな。
ガイアスそれに、コーキス。お前もなかなかの腕前のようだ。太刀筋も悪くない。
コーキスマジかよ ! へへっ、やったぜ !クレス道場で鍛えた成果かな !
エルやったねコーキス。レイアも王様に認めてもらえるのは凄いことだって言ってたよ。
ジュードそれにしても、魔物の数が多いね。僕たちを見るとすぐに襲い掛かってくるし。
ルドガーでも、俺たちの姿を見て逃げていく魔物も何匹かいたよな ?
エルうん、ササァーと逃げていっちゃったね。コーキスが追いかけて倒してくれた魔物もいたけど。
コーキスでも、ちょっと不思議なんだよな。
ガイアス何がだ ?
コーキス俺が逃げていく魔物を倒しても石の破片は出てこないんだ。
エルえっ、そうなの ?ジュードたちが倒す魔物からはいーっぱい破片が出てくるよ ?
ガイアス……ジュード、ルドガー。お前たちは何か気付いたか ?
ジュードえっと、僕は向かってくる魔物しか相手にしてなかったけど……。
ルドガー俺も何匹か逃げていく魔物を倒したけど破片のことは気にしてなかったな。
ジュード話を総合すると、セネルが言ってたようにこの破片が魔物に何か影響を与えているのかもしれないね。
ガイアスふむ、ならばその破片が自然物なのかそれとも人工的に作られたものなのかも突き止める必要があるな。
エルどうして ?
ジュードもし人工物なら……誰かがわざと魔物に影響を与えるような破片を作ったかもしれないってことだよね。
ルドガーそうだとしたら、一体、何のために……。
コーキスん ? この先は地底湖になってるのか。でも、ここが最深部っぽいし、調べてなにもなかったら一度戻ってミリーナ様と合流したほうがいいかもな。
エルあっ、湖の近くに何かあるよ ?木箱みたいなものがいっぱい。エル、ちょっと見てくる !
ジュード! !エル ! 止まって !
ルドガー魔物 ! ?湖の中にいたのか ! ?それもかなりの数だ !
コーキスああっ、くそ ! こうなりゃ一気に片付けてやるぜ !

Character6話【夏の思い出5 東の洞窟 調査2】
ミリーナみんな、大丈夫だった ?
エリーゼいきなり湖から魔物が出てきましたね。
ティポびっくりしたー !
レイアでも、今ので一通りやっつけたよね。はぁー、疲れた。
ミラ=マクスウェルなにやら、あそこで魔物が何か食べていたように見えたが。
エリーゼなんでしょう、これ ?
ミリーナこれって、貨物とかに使われている木箱じゃないかしら ?
レイアあー、確かにロゼたちが運んでるのを見たことがあるかも。
エリーゼ皆さん、これ、見てください ! !
ミリーナ石の破片だわ ! ?
レイアもしかして、この石って魔物を倒したときに出てきてたやつじゃない ?
ミュゼでも、この石の破片は真っ黒よ ?触った感じは似てるけど……色が全然違うわ。
ミラ=マクスウェルだが、無関係だとは考えにくい。
ミリーナそうね、魔物に荒らされてる跡もあるし本当はもっとこの中に破片があったんじゃないかしら ?
ミラ=マクスウェル木箱に入っているということは何者かの手でここに運ばれたということか ?
レイア貨物船とかの漂流物かもしれないよ ?
ミリーナいいえ、漂流物だとしたら少しくらいは木箱に海藻が付着していてもいいはず。なのに、この木箱には全く海藻が付いていないわ。
ミラ=マクスウェル魔物から出てくる破片の色が変化していたのはおそらく摂取したのち、体内で変色したからだろう。
レイアだとしたら、この黒い石の破片も持ち帰って調べたほうがいいよね。
エリーゼこの破片を食べたせいでお腹が痛くなっちゃったんじゃないでしょうか。
ティポそれで暴れていたのかもー !
ミラ=マクスウェルその割には私たちを狙って来ていたようだが……。
ミリーナ一度、セネルたちのところに戻りましょう。もしかしたら、キール研究室のみんなが破片について調べ終わってるかもしれないわ。
ミュゼこんな固くて真っ黒な石の破片を食べなくてももっと美味しい食べ物なんていくらでもあるのにね ?私だったら絶対に食べないわ。
ミラ=マクスウェルミュゼも精霊なのに人間の食べ物を嗜むのだな。
ミュゼええ、そうよ。あなたに教えてもらった楽しみなのよ。
ミュゼでもこっちに来てからジュードやルドガーがいなくて困ったわ。みんなの手料理が食べられなくて……。
ミュゼパレンジの実すら食べてないのよ。ハ・ミルの村が恋しいわ。
ミラ=マクスウェル私が、ミュゼに……。
ミュゼ本当に私との思い出がなくなってしまったのね。仕方がないことだけど、さみしいわ。
レイアパレンジの実で思い出したけどわたしたち、まだお昼ご飯食べてない !
レイアあーあ、意識したら余計にお腹すいてきちゃったよ。
ミリーナそれじゃあ、帰って落ち着いたらみんなでご飯にしましょう。
レイアジュードたちも帰ってるかなー。食べ損ねたフルーツ焼きそば一緒に食べたかったけど……。
ミリーナおそらくだけど、あの騒動の中で営業を続けることはできないと思うわ。
ミリーナ露店の営業も再開してもらうためにも私たちも頑張りましょう。
ミュゼ……ねぇ、ミラ。ミリーナたちが言ってるフルーツ焼きそばって……こっちにもあるの ?
ミラ=マクスウェルああ、浜辺の露店にな。レイアの大好物らしいが、魔物が浜辺に出たせいで食べ損ねてしまったんだ。
ミラ=マクスウェル私も興味があったので、残念だったよ。
ミュゼふーん、そんなことがあったのね。
ミュゼ……ふふっ。
ミュゼミラに褒めてもらえることみつけちゃったかも♪

Character7話【夏の思い出6 西の洞窟 調査2】
ジュードとりあえず、あの洞窟に残っていた真っ黒な石の破片は持って帰って来たけど……。
ルドガーキール研究室に行けば兄さんもいるし魔物から出てきた破片と一緒の物か調べてもらおう。
エルキレーな石だからもったいないけど……でも、ちゃんとエルが集めた石の破片も全部ユリウスに渡すからね。
ガイアス正しき判断だ。さすがエルだな。
コーキスなんか、ガイアス様って、ちょっとエル様には甘いような気がするんだけど、気のせいか ?
ルドガーははっ、多分、気のせいじゃないよ。困ったもんだよな。
レイアあっ、おーい、こっちこっち !
ジュードみんなも帰ってきてたんだね。
ミラ=マクスウェルああ、私たちも先ほど帰ってきたところだ。それで、こちらの調査なのだが少々不審な物を発見した……ティポ。
ティポ任せてー。おえええー。
コーキスちょ ! ティポ様 ! なに急に吐き出して……。って、これって黒い石の破片 ! ?
ガイアスということは、お前たちが向かった洞窟にも不審な貨物が置かれていたのか ?
ミリーナそっちの洞窟にも、私たちと同じように木箱に入った石があったの ?
レイア違う場所で同じような状況ってことはやっぱり今回の魔物の騒動にはこの石の破片が関係してるってことだね。
ユリウスルドガー、エル !
ルドガー兄さん ! ?
ユリウスお前たちに頼まれた破片の分析結果を伝えに来たんだ。それに……。
ユリウス本当に……ガイアス王やミュゼもこちらの世界で具現化していたんだな。
ミュゼええ、あなたもね、ユリウス。なんだか、新鮮な光景だわ。
ガイアスミュゼ、色々聞きたいこともあるだろうが話は後だ。
ガイアスユリウス、その破片の分析結果を聞かせてくれ。
ユリウスああ、この石の破片には魔物を凶暴化させる性質があるようだ。
ジュードやっぱり……。普段大人しい魔物が人々を襲ってきたのはこれのせいだったんだね。
ユリウスルドガー。東西どちらの洞窟も、魔物が木箱を守っていた、と言ったな ?
ルドガーああ。それに、両方の木箱からは黒い石の破片が出てきた。
ジュード状況から言って、赤い石も青い石も、元はこの黒い石と同じじゃないかって思ったんだけど……。
ユリウスジュードの言う通り、どの石の破片も、構成される元素は同じものだった。同じ鉱石、と言っていいだろう。
ユリウス色が違うのは、それぞれの魔物に取り込まれた段階で中にある……っと、これは今は関係ないな。
エルやっぱり、赤いのも青いのも、同じ石なんだ。でも、石なんておいしくないよね ?なんで食べてたんだろ。
ルドガーうーん、人間にはわからない、魔物にとって魅力的な何かがあるんだろうな。
ユリウスその辺りの理由はまだ調査中だが他にもわかったことがある。
ユリウスこの石の破片を摂取した魔物は、同じ性質の石に引き寄せられる習性を持ってしまうようなんだ。
ユリウス石の大きさにも影響するようでより石の破片が大きくなれば、その効果は強くなる。
コーキスじゃあ、魔物がこの浜辺に集まってくるのはその黒い石のデッカいバージョンが浜辺のどこかにあるってことなのか ! ?
ユリウス恐らくそうだろうな。大きさは……そうだな。少なくとも、ティポ以上の大きさはあると考えてくれ。
エリーゼ結構、大きいんですね。
ユリウスもちろん、それ以上の大きさであることも考えられる。
コーキスそれだけデカい石ならすぐに見つけられそうだな。
レイアよし、早速探しに行こうよ !
ルドガー俺とエルはロゼの店に行ってみるよ。避難所になってるから、人も集まってるだろうし。誰かその大きい石に心当たりがあるかもしれない。
ガイアスそうだな。では、ジュードたちは露店広場の方に行ってみてくれ。手分けした方がいいだろう。
ジュードうん、そうだね。任せて !
ガイアスよし、皆急げ ! !

Character8話【夏の思い出9 海水浴場の調査】
レイア……見つからないね、石の塊。ミラたちには浜辺に残ってもらったけど……二人じゃ探すの大変だったかな。
ジュード仕方ないよ。また魔物が出た時のために誰かにいてもらう必要があったんだし。
ジュードここは人通り多かったし、大きい石があれば目立つと思うんだけどなぁ。そろそろ、他の所に探しに行った方がいいかもね。
レイア人通りが多い場所……か。
ジュードどうしたの、レイア ?
レイアいや、ついさっきまでここには沢山の人がいたのにさ……。
レイアみんな魔物騒ぎで避難してるから当然だけど、閑散としている様子を見ると、ちょっと悲しくなっちゃって。
ジュードレイア……。大丈夫だよ。魔物が来ないようになったらきっとまたみんな集まってくれるよ。
ジュードそうなったら、ロゼの店も忙しくなるし僕たちも頑張らなきゃいけないね。
レイアジュード……うん、そうだよね !よーし、またお父さんとお母さんに叩き込まれた接客術を披露しなきゃね !
店主……なんだよ、兄ちゃんたちまだここにいたのか ?
ジュードあれ、あなたは……。
店主ここでフルーツ焼きそば売ってた店主だよ。店が心配で戻って来たんだが……。
ジュードああ、そう言えば見覚えがあります。でも、ここは危険で……。
ミュゼジュードー、レイア―。ミラたちにジュードたちの様子を見に行くよう頼まれたんだけど……。
ミュゼあら、この人は ?ジュードたちの知り合いなの ?
レイア知り合いってわけじゃないけどフルーツ焼きそばの露店を出してた店主さんだよ。
ミュゼあら、フルーツ焼きそばの ! ?
ミュゼちょうど良かったわ。あなた、フルーツ焼きそばを作ってくれないかしら ?
店主はぁ ! ? 今からか ! ?
ミュゼええ、ミラが食べたいって言ってたの。お願いできない ?
レイア駄目だよミュゼ。この人にも今すぐに安全なところに避難してもらわなきゃいけないから。
ミュゼ嫌よ。だってミラに今すぐ食べてもらいたいんだもの。もちろん、私がミラに褒めてもらうためにね♪
レイア……ジュード、どうしよう ?
ジュードどうしようって言われても……。やっぱり僕たちが止めてあげないと店主さんが可哀想だよ。
レイアそうだよね。ちゃんと落ち着いたらまた営業を再開してくれるだろうし……。
アルヴィンレイア。悪いがそいつがもう一度ここで営業できるかは、話を聞いてからになりそうだぜ。
レイアえっ ? アルヴィン ! いつの間に来てたの ! ?
アルヴィンおいおい、誘ったのはレイアだろ ?なに、やっぱり俺、来ちゃいけなかったわけ ?
レイアそういうわけじゃないけど。もうー、来るなら来るで、早く来てよね !
アルヴィンしかし、さっきガイアスとは会ってきたが本当にミュゼまでいやがるのかよ。
アルヴィンまぁ、今はおたくから話を聞くのが先か。な、店主さん ?
店主おっ、俺にか ?
ミュゼちょっとアルヴィン !その人は私と話してるのよ。ミラのお腹と背中がくっついたらどうしてくれるの ! ?
アルヴィンそうもいかねぇんだ、ミュゼ。大体の事情はガイアスたちから聞いてる。事を収めるのが優先だ。
アルヴィン店主さんよ、どうしてここに戻ってきたわけ ?魔物が来るかもしれないってわかってんだろ ?
店主いや、それは……。
アルヴィンそれにあんた、避難所で聞き込みをしてた俺らの仲間に話しかけられた後、急いでこっちに来ただろ ?
ジュードアルヴィン、この人を疑ってるの ?
アルヴィンおいおい、優しいね優等生くんは。こんだけ不審の種があるんだぜ ?
アルヴィン後は…そうだな。あんたの屋台からジュードたちが探しているものが見つかったら俺の推測が当たってたって証明になるんだけどな。
店主! ? ! ?
アルヴィンおいおい、反応良すぎ。こりゃ調べたらすぐに探し物は見つかりそうじゃね ?
ミュゼあら ? 屋台の調理台の下にあるのって……。
店主……っ !
レイアあ ! これだよ ! 黒い石の塊、見つけたよ !
アルヴィンビンゴ !
ジュードなっ、なに ! ?
ミュゼ大変 ! でっかくてキモい魔物が砂浜に出てきたみたい !ミラたちが応戦してくれてるわ。
アルヴィンこいつの確保は俺一人で十分だ。ジュードたちは手助けに行ってやんな。
ミュゼ私は先に浜辺へ向かうわね。ミラに何かしたら承知しないんだから !

Character9話【夏の思い出9 海水浴場の調査】
ロゼお疲れ、これでみんな戻って来た ?
ミリーナルドガーさんとエル、それにユリウスさんは見つかった石の塊をアジトまで運んでくれているわ。そのままキール研究室で解析の手伝いをするそうよ。
コーキスあと、セネル様たちも念のために浜辺の警備をしてくれるってさ。
ロゼそれじゃあ、なんでこんなことをやったのかあんたの口から教えてくれない ?
店主……今さら黙ってても仕方ねーか。
店主俺は山にある避暑地の管理組合の人間でな。お前たちが回収した石の塊も、元々は俺たちで管理していたものだ。
ミラ=マクスウェルこの石はどこで手に入れたのだ ?
店主避暑地の土地を開拓するときに討伐したゴレムの死体なんだとさ。
ジュードそれじゃあ、石はそこに生息してるゴレムを狩れば手に入るってことですか ?
店主いや、もうそのゴレムは絶滅してる。破片も含めて、お前たちが持ってるもので全部だ。
ガイアス管理していた、ということはお前たちは元々、その石の性質に気付いていたというわけだな。
店主ああ、あの石は魔物が好む匂いを発していてな。摂取すると攻撃的になってより強い香りの石を求める。一種の薬みたいなものなんだ。
店主これは限られた人間にしか伝えられていない。
ジュード初めに石の性質に気づいた人はその石が悪用されないようにちゃんと管理しようって考えていたんですね。
ジュードでも、あなたは代々管理していたその石を使ってこの海水浴場に魔物が来るように誘導した。
レイアねぇ、あなたが海で露店をやっていたのは何でなの ?
ロゼそれは、魔物がちゃんと浜辺に来るか偵察するためでしょ ? 石も屋台の荷物に紛れ込ませて運び込むことができるし。
店主最初だけ様子を見て、すぐ逃げるつもりだったんだよ。なのに、魔物はあっさり倒されちまった。んで、しばらく残って様子を見てたんだ。
店主場合によっちゃあ、また石を削ってこっちに来る魔物を増やそうって考えてたんだが、その前に石の存在に気付かれるなんて思わなかったぜ……。
レイア一体あなたの目的はなんだったの ?こんなことをやって一体何の意味が……。
ロゼ……この海水浴場の評判を下げるため、ってところ ?
店主……さすがは同じ商売人だな。あんたたちがこんなところで商売をしなかったら、俺もこんなことは……。
エリーゼそんな……。
レイアそんなの、おかしいよ !海で遊ぶ人たちがどうなってもいいっていうの ! ?
店主何とでも言え。俺には、後がなかったんだ……。俺の肩には何十人もの仲間の生活がかかってたんだ !
レイアだからって、こんなこと……。
ガイアス――愚かだ。
ジュードガイアス ?
ガイアス実に愚かな行為だと言ったのだ。
店主なっ、お前に俺たちのなにがっ ! ?
ガイアス人を貶めて、利益を上げようなどそんなものは商売でもなんでもない。
ガイアス生きていくためには必要だったことだと ?
ガイアス笑わせるな ! 客が来ないのなら自らの力で打開策を発案するべきだった。
ガイアスお前のしたのは魔物を利用した侵略行為だ。
ガイアスお前のような人間は、人の上に立つ器の人間ではない。
ミュゼガイアスの言う通りね。これだけ迷惑かけて言い訳するなんて男らしくないわよ ?
店主……くそっ。
アルヴィンもうこれくらいで十分か ?そろそろ自警団の奴らにこいつを引き取ってもらおうぜ。
ガイアス待て、最後に一つだけ確認したいことがある。
ガイアス持っていた石を裏社会の人間に売ろうと考えなかったのか ? そうすれば、このような回りくどいことをせずに金が手に入ったぞ ?
店主へっ、そんな伝手があったらとっくに頼ってるよ。今までは、真面目な商売しかやってこなかったからな。
店主……もういいだろ。これ以上は御免だ。
ミュゼえっ、その人、連れていっちゃうの ?まだやってもらうことがあるのに……。
エルどうしたの ? ミュゼ。あの人は王様が何とかしてくれるよ。
ミュゼそうなんだけど……。予定が狂っちゃったわ。
ミリーナもしかして、ミラのことかしら ?
ミュゼミリーナったら、察しのいい子ね !そうなの、あのね……。
レイア……ねぇ、ジュード。あの人、避暑地を救いたくてこんなことしたんだよね。やってることは許せないけど可哀相だったかな……。
ジュードうん、あのリーダーがいなくなったら山の避暑地の人達はますます窮地に陥っちゃうかもしれないね……。
ジュード僕たちに何かできることはないかな……。
アルヴィン……ったく、悪党に同情とはどこまでお人よしなのかねぇ。うちの連中は。
ガイアスだが、そういう奴らだったからこそお前は一緒にいたのではないのか ?俺が知っているお前は――。
ガイアスいや、未来のことを話すべきではない、とミュゼに言ったばかりか。すまないが忘れてくれ、アルヴィン。
アルヴィン……ほんとにおたくら、あのガイアスとミュゼか ?
アルヴィン優等生と精霊の主様に感化されたのか……。それとも、ルドガーたちだったりして。
ガイアスふっ、想像に任せるとしよう。

Character10話【夏の思い出10 一件落着】
ガイアスユリウス、回収したゴレムの石はどうなった ?
ユリウスああ、こちらで厳重に管理することになった。
ユリウス念のため、カロル調査室のメンバーに現地を調べてもらったが、山の避暑地の周りにはゴレムどころか魔物がいるような気配もないとの報告を受けた。
ユリウスおそらく、かなりの希少種だったんだろう。絶滅したという情報は信じても良さそうだ。
ガイアスということは、現存するゴレムの石とやらは俺たちが手にしている物で全てなんだな。
ユリウスだが、石の破片を体内に宿している魔物は依然あの洞窟の近くに生息している可能性が高い。
ユリウス浜辺には来なくなったとはいえ凶暴化した魔物を放置しておくのは危険だ。
ガイアス……わかった。では洞窟の魔物の討伐は引き続き俺たちが対応しよう。
ユリウス……まさか、ガイアス王とこうして同じ任務に取り組む日がくるとは思わなかったよ。
ガイアスお前は、もうルドガーたちとの禍根はないようだな ?
ユリウスははっ、そうだと良いんだが……。俺たちのことはまたじっくりと話すとして調査結果の補足をしておこう。
ユリウス自警団に連れていかれた男だが全ての罪を認めて大人しくしているようだ。
ユリウスロゼから聞いたんだが、彼が経営していたという避暑地と提携をすることになったのもガイアスの提案があったからだそうだな ?
ユリウス今回関わっていた山の避暑地で働いている人たちにも仕事ができたわけだ。さすがの采配だな。
ガイアス買い被りすぎだ。俺はロゼに山の避暑地の方にも事業開拓の余地があることを伝えただけだ。
ユリウスわかった、そういうことにしておくよ。
ユリウスそれで、どうするんだガイアス王。これから俺たちと一緒に行動するのか ?
ユリウス……と、それを聞くのは俺の役目ではないみたいだな。
ジュードガイアス、ここに居たんだね。
ガイアスジュード……。
ジュードガイアスは今回の事件が落ち着くまで僕たちと一緒に行動するって言ってたけどそのあとはどうするつもりなの ?
ガイアスどうするつもりもない。ミリーナからは鏡映点が帝国に狙われていると聞いたが俺はそんなものは問題ではないしな。
ジュード確かに、ガイアスとミュゼなら……。でもね、心配なのとは別に、僕はガイアスにここに残ってほしいって思うんだ。
ジュードここでは、断界殻(シェル)も黒匣(ジン)もない。僕たちが対立する理由もない。
ジュード今の僕は、このティル・ナ・ノーグやここにいる仲間たちのことを助けたい。それには、ガイアスの力が必要なんだ。
ジュードだからガイアス。これからは僕たちと一緒に、戦ってくれないかな ?
ガイアス……ふっ、やはりお前は変わらんな。
ガイアス良いだろう、ジュード。お前がこのティル・ナ・ノーグでどんな姿を見せてくれるかそれを見届けるのも悪くない。
ユリウスこれはまた、頼りになる仲間が増えたな。
ユリウスそうだ、二人とも。ミュゼがどこにいるか知らないか ?精霊の研究でクラースたちが意見を聞きたいと言っていたんだが。
ジュードああ、ミュゼならルドガーやエルたちと果物を買いにいってるよ。
ユリウス……果物 ?
ミラ=マクスウェルエル……は、まだ来ていないようだな。私に話とは一体なんだ、ミュゼ。
ミュゼミラ。ごめんなさい。ここに来てもらうように私がエルに伝言を頼んだの。
エル……よしっ、ちゃんとミラは来てくれたね。
ルドガーなぁ、これって俺たちがキッチンに隠れて見ておく必要があるのか ?
エルもう、ルドガーってば。大事な話はトージシャだけでするものなんだよ。
ミリーナさすがエル、わかってるわ。
ルドガーいや、だから、隠れて\"覗く”必要はないと思うんだけど……。
エルルドガー、しーっ !ルルも動いちゃ駄目だからね。
ルルナァ~ ?
ミュゼあのね、これから私もミリーナたちに協力することにしたの。きっとガイアスも一緒だと思うわ。
ミラ=マクスウェルふむ、そうなのか。協力してくれるというのならありがたい。二人とも私たちに敵意はないようだしな。
ミラ=マクスウェルそれで、先ほどから手にしている食べ物は一体…… ?
ミュゼミラに食べて欲しくて、作ってみたの。ルドガーやミリーナに協力してもらって…。
ミュゼほら、仲直りってわけではないんだけど……。今のミラって、私のこと、その……嫌い、なのよね ?
ミラ=マクスウェル……まさか、露店で作っていたフルーツ焼きそばを参考にしたのか ?
ミュゼええ、そうよ。だってミラ、これが凄く食べたかったみたいだし。
ミラ=マクスウェルなに、ミュゼが ?ふ、ふふ、そうかっ、くくっ……。
ミュゼえっ、どうして笑うの、ミラ ! ?
ミラ=マクスウェルいや、ミュゼがそうやって人間の食べ物に興味を持ってくれるとは思わなくてな。私はそれだけでも嬉しいと感じるよ。
ミラ=マクスウェル私の知っているミュゼなら絶対に人間の食事などには興味を持たなかった。本当に変わったんだな、ミュゼ。
ミュゼミラ……。
ミラ=マクスウェルそういうことなら、遠慮せずに頂こう。それと……私は、ミュゼのことは初めから嫌いではない。私の、たった一人の姉なのだから。
ミュゼ…… !ありがとう、ミラ。いっぱい食べてね !
ルドガーどうやら無事にわだかまりは解けたみたいだな。
ミリーナええ、本当に良かったわ。
ミュゼねえ、ミラ、美味しい ?私の作った料理は美味しいわよね ! ?
ミラ=マクスウェルああ、美味しいよミュゼ。
エルへへーん、作戦はダイセーコーだねっ !
ルルナァ~♪