Character1話【月下編1 まだ見ぬクリスマス】
カロルねぇねぇ ! もうすぐクリスマスなんでしょ ?楽しみだね !
エステルですね !
ユーリそっか。二人は初めてなんだっけな。クリスマス。
エステルはい !わたし、サンタクロースさんに会ってみたいです !
カロルボクも !
ユーリ……けど、ちっと妙だな。
ミリーナええ。
エステル何がです ?
ミリーナ気づかない ? クリスマスなのに街にはそんな様子が見られないわ。
コーキスそういえば……。普段ならクリスマスツリーとか飾り付けでもっと華やかになってるはずなのに。
ユーリ……こりゃ、何か起きてるのかもしれねぇな。
カロルえ~ !
エステルそんな~……。
レイヴン……しょんぼりんぐ。
コーキス来るなりどうしたんだ ? レイヴン様。
レイヴンいやね、街がクリスマスカラーじゃないのが気になってそこらの人に話きいてみたんさ。
レイヴンしたら、なんか近頃になって空飛ぶ魔物が街に現れてて、クリスマスどころじゃないんだと。
ユーリ……んで、着飾った女の人がいなくてしょんぼりしてたと。
レイヴンそう ! ゴージャスドレスのレディとかプリティなサンタガールとか、ちっとも居やしない !がっかりよ ! 魔物許すまじ !
リタおっさんが最初からやる気なのは楽でいいわ~。
ユーリその口ぶりだとリタはハナからやる気ってことだよな ?
カロルやっぱクリスマス、楽しみたいもんね !
エステル頑張って解決して、クリスマス楽しみましょうね ! リタ !
リタう、うん。
レイヴンリタっち、照れてる~。
リタたぁ !
レイヴンいたぁい。
ミリーナふふ。それじゃ魔物の調査開始ね。
ユーリああ。魔物なんぞにせっかくのクリスマスを台無しになんざさせねぇさ。
カロルそれじゃ、手分けしようよ。ミリーナとコーキスはクリスマスの準備、ボクたちは魔物退治と原因調査で。
ユーリはは。同時進行とは欲張りだなカロル先生。
カロル時間も限られてるしね。
リタま、あたしらはミリーナとコーキスほどクリスマスのこと知らないし、役割分担した方が効率がいいのは確かね。
ミリーナわかったわ。そうしましょう。
コーキスみんな、気を付けてくれよな。
エステルはい ! それじゃ行ってきますね。
コーキスんー、でも俺も言うほどクリスマスに詳しくないから、何から手をつければいいのか。プレゼントとかケーキの準備かなぁ ?
ミリーナそうね。配達も手伝えると思うわ。あとはツリーの飾りつけとかイルミネーションの準備も。
ミリーナとりあえず人手が足りないところがあるか街の人に聞いてみましょう。

Character2話【月下編3 突然の出来事】
ミリーナコーキス、そっちはどうだった ?
コーキスプレゼントとケーキの準備は問題ないみたいです。
ミリーナそう。配達の方もとても良い人が見つかって手際よくどんどん配ってくれてるみたい。
コーキスってことは、後はツリーの飾り付けとイルミネーションですね。
ミリーナええ。早速はじめましょう。
コーキスわかりました !
コーキスよいしょっと。飾り付け、全然進んでないなぁ。
ミリーナ本当ね。これが一番進めやすい準備だと思うけど……。ん ? あれは !
コーキス魔物だ ! こっちに向かってる !
ミリーナコーキス、注意して !
コーキスくっ ! この ! こいつ !フラフラ飛び回りやがって !
ミリーナ想像以上に厄介な魔物ね。
コーキスくそ ! 落としてもすぐ飛び上がっちまう !
ミリーナ術で援護するわ。いったん距離をとって !
コーキスけどこのままじゃラチがあかないですよ !何か方法は……。
? ? ?下がって。
コーキスわ ! サンタが降ってきた !
女サンタ天月旋 !
コーキスすげえ ! 空を飛んでるみたいだ !
ミリーナあなたは…… ?
ジュディス……下がらないのなら構えた方がいいわ。
コーキス次のヤツが来たのか ! ?ミリーナ様、とにかく魔物を追い払いましょう !
ミリーナわかったわ。

Character3話【月下編3 突然の出来事】
コーキスよし ! 大体片付いたぞ !
ミリーナ彼女のおかげね。私たちだけだと空を飛ぶ魔物に対処しきれなかったかもしれないわ。
コーキスですね。残りもあの人が倒してくれてるし。……しっかし、全然降りてこないな。人って飛べるんだ……。
ミリーナ………… ?
コーキスどうかしたんですか、ミリーナ様 ?
ミリーナ……青い髪の槍を操る女性……。鏡映点リストで見かけたような……。……もう。イクスだったら完璧に覚えてる筈なのに。
コーキスちょっと待って下さい。マスターに連絡を……ってこんな時に限って繋がらないや。
コーキスもし、ミリーナ様の言う通りならあの人は鏡映点だってことですよね。
ミリーナええ。恐らくそうだと思うわ。あの人に話を聞いてみましょう。
コーキスはい。あの様子だと魔物騒動についても何か知ってそうですしね。
コーキスあ、最後の魔物も倒したみたいだ。――って ! もうどこかに行っちゃいそうですよ !
ミリーナ待って !私たち、あなたに話があるの。
女サンタ……悪いのだけど、私にはないわ。
ミリーナなぜあなたがこの世界に来たのかそれについての重要な話なの。
女サンタ……そう。じゃあまた今度ね。
コーキスな、なんでそうなるんだよ ! ?
女サンタ私には今、やらなければならないことがある。ただそれだけ。
? ? ?ブォオ~。
コーキスこの鳴き声は ? !また魔物が街を襲いに来たのか ! !
女サンタ…… !
コーキスな、なんで俺の方に槍を向けるんだ。まさかあんた、俺たちの敵なのか ?
女サンタ……あなたが彼に刃を向けるのなら。
ミリーナやめて、二人とも ! コーキス、武器を降ろして。空に現れた『彼』に襲い掛かってくる様子はないわ。
? ? ?…………。
コーキスは、はい、ミリーナ様。
女サンタバウル !
バウルブォオ~。
コーキスあ ! 行っちまった……。なんだったんだ、あいつ……。
ミリーナ警戒されてしまったかしら。取り付く島もなかったわね。
コーキスミリーナ様、クリスマス飾りの手伝いは後にしてあの人を追った方がいいんじゃないですか ?
ミリーナ……その前に一度ユーリさんたちと合流しない ?さっきの人なんだけれど、確かユーリさんたちがリストに挙げていたような気がするの。
コーキスえ ! ? じゃあ、あの人はユーリ様の仲間なんですか ?
ミリーナその辺りのことも聞きたいし、魔物のことについても情報共有した方がいいんじゃないかと思って。
コーキス確かにそうですね。じゃあユーリ様たちのところに向かいましょう。

Character4話【月下編4 ユーリたちを捜して】
コーキス見つけた ! カロル様ーっ !
カロルあ、コーキス。どうしたの ?
コーキスこれまでの情報を共有しようと思ってさ。
カロルそうなんだ。で、どう ? これ ?
コーキスえ ? 何のことだ ?
レイヴンコーキス君、服、少年の服。
コーキスああ。カロル様、サンタの服なんだな。
カロルそう ! これ着て魔物を倒したらクリスマスムードも高まると思わない ?
ミリーナふふ、いいかもしれないわね。とっても似合っているわ。
カロルでしょ ! ラピードもなんだよ !
ラピードワン !
コーキスカロル様、なんだかテンション高いな……。
ユーリははは。こういう時、カロル先生はネタ服で体張る役が定番なんだが今回はそうじゃないもんで、はしゃいでるのさ。
コーキスカロル様……一体どんな扱いを受けてたんだ……。
リタガキんちょの話はもういいでしょ。情報共有するんじゃないの ?
ミリーナええ、そうだったわね。それで、そちらは何かわかった ?
リタ空飛ぶ魔物はもともと街の傍の山に棲んでたって話よ。で、どうやらクリスマス飾りを狙って街を襲うようになったんだって。
コーキスそうなんだ。だから俺たちのところにも魔物が……。けど、なんでクリスマス飾りを ?
エステルおそらくカラスがキラキラするものを好むのと同じ習性があるんじゃないかと思います。あの魔物も鳥型ですし。
ミリーナ……あの魔物を追い払わない限り飾っては奪われるのイタチごっこというわけね。
レイヴンま、逆に言やあ、あの魔物どもを追い払ったらクリスマスを楽しめるってことよ。
ユーリだな。わかりやすくていいぜ。オレたち向きだ。
ユーリで、そっちは ?合流しにきたぐらいだ。何かあるんだろ ?
ミリーナええ。実はみんなの知り合いの可能性がある鏡映点の人と出会ったの。槍を振るう青い髪の女性よ。
カロルえ ? それって…… !
エステルはい ! きっとジュディスです !
ミリーナやっぱりみんなの仲間だったのね。それなら話は早いわ。
ユーリ焦るなって。ミリーナ、コーキス、そいつ名前なんて言ってた ?
コーキスそれがろくに話しもせず魔物を倒したらサッサと行っちまったんだ。空飛ぶ魔物に乗ってさ。だから名前も聞けてない。
レイヴン……十分な情報ね。そりゃジュディスちゃんに間違いないわ。
ミリーナ私はとにかく彼女と合流すべきだと思うんだけれどみんなはどうかしら ?
エステルはい ! わたしもそう思います。この世界に居るとわかったんです。すぐに迎えに行きましょう !
レイヴン賛成賛成~ ! ジュディスちゃんなら空飛ぶ魔物退治なんてお茶の子さいさいよ !
リタそうね。あいつも魔物倒して回ってるなら、目的は同じだろうし。丁度いいんじゃない ?
ユーリま、他のことはジュディと合流してから考えても遅くはないか。
ラピードワン !
カロル決まりだね !
コーキスけどすんなり行くのかな。あの人、人を寄せ付けないっていうか……。
ミリーナそうね。ちょっと壁を感じたわ。
レイヴンふむ。初めて会った人にゃジュディスちゃんのあのミステリアスなとこは構えさせちまうか。
ユーリかもな。けど心配すんな、二人とも。ジュディはちっと距離感が独特ってだけだ。むずかしく考えるこたぁねぇよ。
カロルうん。きっとすぐ慣れるって。
コーキス……まぁ、ユーリ様たちがいるから平気か。
ミリーナええ。とにかくまずはジュディスさんと合流ね。
エステルはい、行きましょう !

Character5話【月下編5 ジュディスを捜して】
レイヴンで、ジュディスちゃんどこに居るのよ。
コーキスそれがわかんねーんだよな。飛んで行っちゃったからさー。
ユーリラピード、わかるか ?
ラピードクゥ~ン……。
レイヴンさすがのわんこでも無理っぽいねぇ。
ユーリジュディは空飛び回ってるし服もいつもと違うって話だしな。
ミリーナ彼女が魔物を倒して回っているのならその目撃情報を追ってみるのはどうかしら ?
リタそれなら魔物はクリスマス飾りを狙ってる訳だし飾りのある方に行った方が良いんじゃない ?
コーキス飾り、まだ残ってるかなぁ。俺たち、手伝い切り上げちゃったし。
カロルじゃあ飾りつけをボクたちでやったらそこに魔物が来るんじゃない ? そしたらジュディスも !
ユーリそんな都合よく行くかねぇ。
エステル……。
ユーリどうした、エステル ?
エステルあ、いえ、子供たちが楽しそうだなって……。
レイヴンそういやそうね。プレゼント抱えてはしゃいでるわ。
ミリーナたしか、プレゼント配達はすごく良い人が見つかって手際よくどんどん配られてるって話よ。
ユーリへぇ。魔物騒ぎが起きてるってのにそんな気合入ったヤツがいるんだな。
リタっていっても、ちょっと危なくない ?魔物に出くわしたらどうするつもりなの、そいつ。
カロルすごく強い人なんじゃない ?魔物に襲われても倒せるぐらい。
ユーリはは、そりゃ大したもんだ。って……。
全員んん ? ?
全員それってジュディス ! ?
カロル絶対そうだよ !
レイヴンあ~……空を飛び回ってたら配達も捗るでしょうよ。
リタそう思ったらもう、そうとしか思えない……。
ユーリどうだ ? ミリーナ、コーキス。アテもなかったことだし、配達人を追ってみるってのも悪くないと思うぜ ?
ミリーナいいと思う。ジュディスさんのことをよく知るユーリさんたちがそう言うんだもの。ね ? コーキス。
コーキスじゃあそこの子供たちに配達人のことを聞いてきます !
リタ…………………………。
エステルあの、ユーリ……。リタのイライラがすごいことに……。
ユーリあ~……だろうなぁ。
レイヴンおよ、コーキスたち、聞き込み終わったみたいよ。
リタそれで ! どうだったの !
コーキスえ~っと……今度は街の西側に行ったって……。
リタも~~~~~~~ ! !あの女、落ち着きなさすぎ ! ! !
カロルリ、リタこそ、落ち着こう?
リタ落ち着いてるわよ ! 西側ってさっきも行った !今いるここに来たのも3回目よ !なんで鉢合わせすらしないのよ !
カロルボ、ボクに言われても……。
レイヴンいやぁ、改めて、ジュディスちゃんは走り出したらマジで止まらないわねぇ。
リタ空飛ぶイノシシなんてタチ悪すぎ !
ユーリそう言うなって。そのジュディの配達のおかげでガキどもが笑ってられるんだろ ?
リタく……わかってるわよ……。
リタあー ! 魔物襲ってこい !ぶっ放させろ~ ! !
エステルリタのためにも、早く追いつかないと……。
ミリーナそうね。急ぎましょう。
ミリーナ……。

Character6話【月下編6 すれ違い】
レイヴンなぁ青年、気付いてる ?
ユーリああ。ジュディの行った区画は被害がほとんどない。けど飛んでる先に都合よく魔物がいてそれを倒したからってワケでもない。
コーキスどういうことだ ?
レイヴンジュディスちゃんは魔物の注意を自分に向けるためにわざとヤツらの縄張りの空を飛び回ってるってこと。だから街に被害が出てないのよ。
ユーリついでに魔物も倒してクリスマス飾りを取り返してもともと請け負ってたプレゼント配達もやる。一石三鳥ってところか。
カロルジュディスらしいや。
レイヴンまったくよね。ジュディスちゃんってばどこに居てもデキるスーパーレディだわ。
エステル……たしかに一石三鳥かもしれないけど……。わたし、すごく不安です。囮として一人で飛び回り続けて休まず戦い続ける……危険すぎです……。
カロル大丈夫だよ。だってジュディスだよ ?自分にできないことをやったりしないって。
エステルそうだといいんですけど……。わたし、なんだか無茶してるように思えて……。
ユーリ………。
ミリーナ……私もずっと気になってたの。ジュディスさんのことをまだよく知らないからなのかもしれないけど……。
ミリーナ私には彼女が他者を拒絶しているように思える。何かを一人で抱え込んで飲み込もうとしている……。そんな頑なさを感じるわ。
カロルそ、そんなことないって !昔はちょっと……そんなとこもあったかもだけど……。
リタ……そうよ、そんなのは昔のこと……。今はそうじゃない、はず……。
リタだってあいつはあの時、昔の自分に戻りたいなんて思わないって……。
リタ(……けど、突然知らない世界に来て、傍にいるのはバウルだけで……昔の自分に戻るしかないってぐらい追い詰められているんだとしたら…… ? )
リタ……。
コーキスリタ様…… ?
リタ……早く……。
リタ早くあいつと合流しないと !
コーキスり、リタ様、どうしたんだよ、急に。
リタいやな予感がすんのよ !あいつ、このまま誰にも何も言わないでどっか行っちゃうんじゃ……。
エステルそんな…… !
カロルど、どうしよう !ジュディス、どこにいるかわからないのに !
レイヴン嫌な予感てのは伝染しやがるな……。
ユーリとにかく落ち着け。そんなんじゃジュディがどうこうって話の前に魔物にだって足元すくわれちまうだろうが。
エステルでも…… !
ラピード! ワンワン !
ユーリどうしたラピード ?……あれは !
カロルわわ ! おっきい魔物が飛んで——
コーキス行っちまった……。俺たちに目もくれなかったな……。
ユーリ……みんな、追うぞ !あれはきっとジュディを狙ってる !
レイヴンんだな。ヤツら、ジュディスちゃんに縄張り荒らされてオカンムリ、そんでついにボスがお出まし、そんなとこかね。
ミリーナいずれにせよ、あんな魔物を放っておけない。追いかけましょう !

Character7話【月下編7 おかえり】
ユーリ追いついたぜ !
ラピードワン !
カロル見て、みんな ! ジュディスが !
レイヴンちょちょ、旗色悪そうよ !
リタあのバカ !
エステルリタ ! わたしも行きます !
ユーリおい ! エステル、リタ !飛び出すな ! ったく !
リタ何やってんのよ、あんた !
エステルジュディス !
ジュディスあなたたち…… !
エステルジュディス ! 危ない !
ジュディス
ユーリ蒼破 ! !
ユーリよう、ジュディ。久々なもんで口より先に手ぇ出しちまった。余計だったか ?
ジュディスユーリ…… !
ワンワン !
カロルジュディス ! 大丈夫 !
レイヴンレイヴン様参上 ! もう安心だぜぇ、ジュディスちゅわ~ん♪
ジュディスみんな……。
ミリーナジュディスさん !
コーキス俺たちも居るぜ !
ジュディスあの二人も…… ?
ジュディス……ふふ。
ジュディス当然、手伝ってくれるのでしょう ?
ユーリ……ああ。当然な。
リタあんた大丈夫なの ?
ジュディスそうね。一人で楽勝とはいかなそう。
リタそっちじゃなくて……。
ジュディス話はあと。みんなの顔がそう言ってるわ。魔物を倒しましょう ?
リタなによ……。
ジュディスありがとうリタ。心配してくれて。
リタ誰が !
エステルふふふ。良かった。
コーキスエステル様、安心するのはまだ早いんじゃ……。
エステル大丈夫なんです。もういつものみんなだから。
ユーリさぁ、いくぜ ! ジュディ !
ジュディスええ !

Character8話【月下編7 おかえり】
カロルやったぁ !
コーキスふう、何とか倒せたな。まったく。どんな作戦だったにせよ次からはちゃんと話してくれよな、ジュディス様。
コーキス一人で街を救ってるつもりだった訳じゃないだろ ?……もしそう思ってたのなら、それは違うぜ。
ジュディス! !
リタコーキス、それ……。
コーキスだってそうだろ、リタ様。みんなが頑張ったから被害を抑えられたんだ。
ジュディス……。
ジュディスコーキス、だったわね。あなたの言う通り、私が間違っていたわ。
ジュディスそちらのミリーナ、だったかしら、あなたたち二人に最初に会った時、ちゃんと話すべきだったのに。
ジュディス魔物を引き付けて倒しながらプレゼントを配る——それだけに没頭してしまった。そうすれば他のことを考えなくて済むから……。
ジュディス二人とも、本当にごめんなさい。
ユーリ……ジュディ……。
コーキス謝らないでくれよ、ジュディス様。怒ってるわけじゃないんだから。
ミリーナええ。むしろたった一人で不安だったはずなのにみんなのために頑張ってくれてありがとう、ジュディスさん。
ユーリ……こりゃ、オレたちが間違ってたな。
レイヴン……んだな。
カロルうん……。
ユーリコーキス、ミリーナ。謝らなきゃならないのはこっちの方だ。
ユーリ二人の方がよっぽどジュディを想ってくれてた。それなのに、オレは相性の話ぐらいに捉えて流しちまって……悪かった。
ユーリそんでジュディ。ジュディのことだからいつも通り上手くやってるんだろうと決めつけちまってた。
ユーリ悪かったな。すぐに駆けつけてやれなくて。
レイヴンホント……待たせてごめんね、ジュディスちゃん。
カロルうん……ごめん。
ジュディス……。
ジュディス……今までどうにもならないことは忘却の彼方に投げ捨ててきたわ。今度もそのつもりだったけど……。
ジュディスそうするということは、バウルだけを友として何も考えず飛び回っていた一人だった頃の私に戻るということ……。
ジュディスけど、なんとかギリギリで投げ捨てずに済んだよう。ありがとうみんな。また出会ってくれて。
エステルジュディス…… !
リタまったく、不器用すぎよ。
ジュディス……ところで、みんなに言ってもらいたい言葉があるのだけれど ?
ユーリ……ああ、わかってる。
レイヴン当然ね。
カロルんじゃ、みんなで ! せーの !
五人おかえり !
ラピードワオーン !
ジュディスただいま。
ミリーナふふ。良かった。
ジュディスミリーナ、コーキス。改めてよろしくね。
コーキスこちらこそ、ジュディス様 !
ミリーナよろしくね、ジュディスさん。
ジュディスジュディスでいいわ。
ミリーナわかったわ、ジュディス。
ジュディス早速なんだけど、街のクリスマスのためにみんなに手伝って欲しいことがあるの。
コーキスわかってるさ。一緒に魔物を退治してクリスマスの準備をしようぜ。
ジュディスいえ、魔物が街に現れるようになった本当の理由、それが山にあるのよ。
ジュディス私一人じゃどうすることもできなかったけど、みんなと一緒なら解決できると思うの。
ミリーナ……その話、詳しく聞かせてもらえるかしら。

Character9話【白鴉編2 空舞うドラゴン】
カロルこ、こいつがジュディスの言ってたヤツ ! ?
レイヴン……こんな魔物が現れたのなら、そこいらの小物が山を捨てて逃げ出してもおかしくないわ。
ユーリ大物が大好物のジュディがよく挑まずに我慢できたな。
ジュディスあら。そこまで無鉄砲じゃないわ、私。
ユーリそりゃ悪かった。
コーキスそれにしても山奥でのこんな異変、普通じゃ見つけようがなかったな。
エステルええ。バウルと一緒に居るために山に籠っていたジュディスだからこそ見つけられたんですね。
リタバウルも大きい姿でこっちに来てたら、こんなの相手にビクビクしなくて済んだのに。
ユーリ小さな姿じゃなかったら大騒ぎになってるっての。
リタわ、わかってるわよ。ほら、とっとと倒して帰るわよ。
カロル油断しないで。こいつ結構厄介かも。
ミリーナええ。あの巨躯で空を舞える相手だもの。攻め切る前に飛んで逃げられる、なんてこともあるかもしれない。
ユーリあいつがそこらの魔物と同じバカってんなら何も問題ないだろうが……。二人がそう言うなら用心に越したことはねぇな。
レイヴンだな。あの面構えだしね。一癖二癖あってもおかしくないわ。
コーキス油断せず用心深くだな、わかった !

Character10話【白鴉編3 決死の攻防戦】
ユーリ飛ぶぞ ! 逃がさず押し切れ !
エステル待って、みんな !周りを見てください ! 魔物に囲まれています !
リタなによこいつら…… !いつのまに……。
レイヴンでかいのが出ても山から逃げ出さなかったヤツらか。さすがにしたたかだな。漁夫の利を狙って集まりやがったか。
ミリーナ来るわ !
ユーリチッ ! ジュディ、でかいの落とせるか ?
ジュディス無理ね。もうみんなの攻撃も届かない。
カロルとにかく周りの魔物を !
リタなに ? 周りの魔物が引いてく !
カロルみんな ! 上だよ ! おっきいのがまた来る !
コーキスザコどもはそれを察知して下がったのか !
エステルどうすれば……。
ユーリとにかくでかいのに備えろ !
エステルだめ ! また空に !
コーキス周りの奴らが来た !
レイヴンまずいなこりゃ。偶然か狙ってかは知らねぇが波状攻撃の形ができあがっちまってる。
ミリーナ魔鏡通信で救援を要請したわ。みんなが来るまで耐えて !

Character11話【白鴉編4 レイヴンの作戦】
カロルまた空に逃げられちゃった……。
ミリーナ気を付けて。次は周りの敵が来るわ !
コーキスもう何度目だ……この流れ……。
レイヴン……なんか、前にもこういうのあったねぇ。
エステル前に…… ?
ジュディスエゴソーの森でのことね。あの時も敵がどんどん押し寄せてきて、それをみんなで追い払って……。
リタああ……。
レイヴンホント……よく覚えてるのよ。そん時のことはね……。
ユーリおっさん……。
コーキスで、その時はどうやって乗り越えたんだ ?
エステルみんな、死ぬ気で頑張りました。
コーキスはぁぁぁぁ ! ?
カロルでも実際、頑張るしかないんだ ! 今回も頑張ろう !
レイヴン……。
レイヴンカロル君、ただ頑張るだけじゃダメよ。
カロルえ、そうなの ?
レイヴンエゴソーの森ん時、必要なのは時間だった。だから粘れば勝ちだったワケ。けんども、今はただ手をこまねいているだけよ。
レイヴンいつ来るかわからない救援をアテにするのも危ない。現状を打破する具体的な作戦が必要よ。
ミリーナ確かに……その通りだわ。
ジュディスおじさま、そういうからにはあるんでしょう ?具体的な作戦が。
レイヴンよくぞ聞いてくれました ! 俺様が一人で囮になって雑魚ども引っ張るから、全員ででかいのを頼むわ。雑魚の邪魔が無けりゃ一気にいけるっしょ ?
エステルそんなの危険すぎます !
リタ……あきれた。ついこの前に同じようなことしてみんなに心配かけたヤツがいたの、もう忘れたワケ ?
ユーリけど作戦そのものは悪くねぇ。囮をチームにすればいいんじゃねぇか ?
カロルそうだね !じゃあ……。
レイヴンそれじゃダメなんよ。この囮の仕事はつかず離れず引きまわすことよ。なんで直接ぶったたくヤツじゃあダメ。
レイヴンそんで詠唱で足を止めることになるリタっちや嬢ちゃん、ミリーナちゃんもダメ。ってことで得物が飛び道具の俺様にしかできんのよ。
コーキスじゃあダメだ。やっぱり危険すぎる。
レイヴン……そう言うなって。おっさん、今、死ぬ気で頑張ってみたい気分なんよ。
ユーリ……レイヴン。んなことしなくても、もうあの時とは違うってこと、わかってんぜ。
レイヴン……頼むわ。
リタっとに……不器用ぞろい。
エステルレイヴン……。
カロルなに ? 何の話 ?
レイヴン皆まで言わせなさんな。ほれ、そろそろデカイのが降りてくる番よ。
ユーリわかった。任せるぜ、おっさん。
ミリーナ本当に……大丈夫なの ?
レイヴンおうともさ !
ジュディス頑張ってね、おじさま。はい、これ。
レイヴンん ? これって……浄玻璃鏡じゃないの。
ジュディスここに来る前に私が貰ったものだけどあげるわ。今は持ってないようだから。
コーキスえ、なんで自分のを携帯してないんだよ、レイヴン様。
レイヴンあ~……いや~……。こいつは心の力に反応するものっしょ ?そんなもん俺が持っててもねぇ……。
ジュディス今もそう思う ?
レイヴン……もらっとくわ。ありがとう、ジュディスちゃん。
カロルおっきいのが降りて来たよ !
レイヴンんじゃ、いっちょやりますか !

Character12話【白鴉編5 すすめ!凛々の明星】
エステルもう少しです !
コーキス今回は邪魔する奴はいない ! 逃さないぜ !
ユーリああ、一気に決める !
カロルやった !
リタおっさんは ! ?
ラピードワン !
ユーリみんな ! ラピードに続け !
ミリーナ今のは ! ?
エステルレイヴン ! 無事ですか ! ?
レイヴン……ああ。心配をかけた。だが、見ての通りだ。
コーキスすごいな。囮のはずが全部倒しちまうなんて。
ジュディスさすがね。
レイヴン……でしょでしょ ? もっと褒めて~。ジュディスちゃ~ん♪
リタあんま調子乗らせないでよ。あとが面倒なんだから。
レイヴン魔導少女はキビしいねぇ……。
ミリーナありがとう、レイヴンさん。あなたの決死の作戦のおかげで解決できたわ。
レイヴンミリーナちゃん、もっと褒めて~♪ ……といきたいけど、山に平和が戻ったとはいえ街にはまだ山を降りた魔物が残ってる。帰ろうぜ。
カロルうん ! クリスマスのためにもうひと頑張りだ !
エステルはい !
レイヴン……。
ジュディス浄玻璃鏡、役に立ったようね。
レイヴン……ああ。
ユーリその浄玻璃鏡も、おっさんは死人なんかじゃない信念も覚悟もあるって言ってるぜ ?
レイヴン……エゴソーの森での、聞こえちまってたんだな。
ユーリあの時は何のことかと思ったけどな。
レイヴン皮肉なもんよ。死んでた頃を想った途端にこいつが光り出しちまうんだから……。
ユーリ……死んでた頃ね。そいつも含めてのおっさんってことなんだろ。浄玻璃鏡に言わせるとな。
レイヴン……そうなんかね。
ジュディス捨てずに済むものなら持っておいてはどう ?良いものか悪いものか分からないのならそれが分かるその時まで、ね。
レイヴン……ま、そうしますか。
レイヴンなんか、少し思い出してきたみたい。生きるってどうすることかってさ。
ユーリそっか。
ジュディスふふ。素敵よ、おじさま。
エステル三人とも、置いていかれちゃいますよ~。
ユーリおう。んじゃ行こうぜ、ジュディ、おっさん。
ジュディスええ。
レイヴンあいよう !