| Character | 1話【苦難1 ソーディアン】 |
| イクス | 偵察対象の村はこの森を抜けた先だったよな。そろそろ休憩は終わりにして出発するか。日が暮れる前には着きたいから急がないと。 |
| リオン | 急ぐのはいいが警戒も怠るな。 |
| イクス | ああ。村の商人たちは複数の交易ルートから武器を大量に仕入れてるらしいしただの普通の村ってわけじゃなさそうだもんな。 |
| リオン | 銭ゲバ女どもが手に入れた情報だ。間違いはないだろう。 |
| ルーティ | ちょっと。銭ゲバ女どもって誰のことよ。あたしたちがガッツリとガルド稼いでるからあんたも優雅に紅茶がすすれるのわかってるわけ ! ? |
| リオン | 何をムキになっている。銭ゲバ女どもというのがお前やロゼ、イリア、アニスのことだと僕は一言も言っていないぞ。 |
| ルーティ | いま言ってるじゃない !なにがセインガルドの薔薇よ !あんたトゲしか生えてないんじゃない ? |
| リアラ | あ、あはは……。 |
| ルーティ | ほら。あんたのせいでリアラが苦笑い浮かべてるじゃないの。 |
| リオン | 僕のせいにするな。 |
| リアラ | あ、あの。違うんです。別に二人が悪いとかじゃなくてちょっと慣れてないだけというか……。 |
| リオン | ……ふん。別にお前のことを責めてはいない。そもそもの元凶はこいつだしな。 |
| ルーティ | それを言うならあんたでしょうが ! |
| ソーディアン・シャルティエ | リアラさん、心配する必要ないよ。僕やみんなと同じように、いずれ坊ちゃんの良さがじわじわと実感できると思うし。 |
| ソーディアン・シャルティエ | 思い起こせば僕も坊ちゃんと出会ったばかりの頃は色々あったなぁ。けど今ではこんな坊ちゃんが愛らしく見えて―― |
| リオン | シャル。お喋りが過ぎるぞ。それに僕のことを誰彼かまわず話すのはやめろ。 |
| ソーディアン・シャルティエ | す、すみません。ここではエンコードのおかげで色々な人とも話せるのが楽しいのともっと坊ちゃんの魅力をみんなに知って欲しくて……。 |
| ソーディアン・アトワイト | シャルティエ。何があったかわからないけどやっぱり性格変わったわよね。昔のあなたでは考えられない言葉というか……。 |
| ソーディアン・シャルティエ | む、昔のことはいいだろ。とにかく今のこの僕があるのはすべて坊ちゃんのおかげってことだよ。 |
| ソーディアン・アトワイト | そう……。あなたがいいのなら構わないのだけど……。 |
| リオン | 無駄話はこのくらいにしてそろそろ出発を……って、おい。あのバカ二人はどこに行った。 |
| スタン | はぁ……はぁ……。み、みんな……無事だったか。 |
| ミリーナ | 何かあったんですか ? |
| スタン | それがさっき武装した奴らに襲われたんだ。 |
| カイル | いきなりでびっくりしたよ。超回転疾風・スタン・トルネードっていう新技を練習してただけなのにさ。 |
| リオン | お前たちの新技など毛ほども興味はない。どんな奴らだったかを話せ。 |
| ソーディアン・ディムロス | 顔や体つきからすると一般人。だがあの一糸乱れぬ連携は紛れもなく軍隊仕込みのものだった。 |
| ソーディアン・ディムロス | それも地上軍がゲリラ戦でよく用いる戦法……。 |
| ソーディアン・アトワイト | 地上軍の ! ?どういうことなの ! ? |
| ? ? ? | お前たちは包囲されている。全員、武器を捨てろ。 |
| カイル | な、なんだと ! ? どこにいる ! ? |
| イクス | 茂みの中か……。クソ、いつの間に。これが軍隊仕込みの連携か。 |
| ? ? ? | お前たちが村を嗅ぎ回っていることは把握している。即刻、全員、武器を捨てて降伏しろ。命は保証する。 |
| スタン | 武器を捨てろって……あれ ?この声、なんか聞き覚えが……。 |
| ソーディアン・ディムロス | ……もしや、我ではないか。 |
| スタン | それはありえないだろ。変なこと言うなよな、ディムロス。 |
| ? ? ? | 変なことだと ! ? 貴様、それはどういう意味だ。それに何故、私の名前を知っている ! |
| スタン | ディムロスこそ何言ってるんだよ。俺はお前のソーディアンマスターなんだし名前は知っていて当然だろ。ついに故障でもしたか ? |
| ソーディアン・ディムロス | 馬鹿者 ! いま話したのは我ではない ! |
| スタン | えっ……けど間違いなくディムロスの声だったぞ。 |
| ソーディアン・アトワイト | ディムロス ! この人たちは敵ではないわ。姿をみせて。 |
| ディムロス | その声は……アトワイト !どこにいる ! ? |
| カイル | えぇ ! ? ディムロスさん ! ? |
| ディムロス | カイルくん ! ? どうして君がここに ! ?それに……そこのお前たち……どうしてソーディアンを持っている ! ? |
| ルーティ | あんたこそどうしてソーディアンを持ってるのよ ! ?それにディムロスって……。 |
| ソーディアン・アトワイト | やっぱりディムロスが言う通りディムロスだったわね。ということは他にも……。 |
| シャルティエ | ちょ、ちょっと待ってくださいよ。アトワイトに反応しすぎですって。はぁ……こうしていつも僕は振り回されるんだ。 |
| リアラ | 今度はシャルティエさん ! ? |
| ソーディアン・シャルティエ | あ~~坊ちゃん、空を見てください。今日もすごくいい天気ですよ。ちょっと二人で散歩にでも行きましょうよ。 |
| リオン | シャル……いきなりどうしたんだ。 |
| シャルティエ | シャルって……えっ ! ?君が持ってる剣って、ソーディアンの僕じゃないですか ! |
| シャルティエ | そんな……どういうことかわからないけど子どもが僕の持ち主だなんて。はぁ、僕は玩具じゃないんだけどな……。 |
| リオン | おい。いま僕のことを何と―― |
| ソーディアン・シャルティエ | ちょ、ちょ、ちょっと坊ちゃん !落ち着いてください ! !あんな奴は無視してくださいって ! |
| シャルティエ | あんな奴ってどういう意味だ !僕と同じ人格のくせに酷いぞ !自分を自分で罵倒するなよ ! |
| ソーディアン・シャルティエ | 僕は僕だ ! 僕とお前を一緒にするな !あぁもう、イヤだ……昔の自分なんて見たくない。これ完全に黒歴史だ……。 |
| ソーディアン・ディムロス | シャルティエ。色々とあるようだがしばらくは黙っていてくれ。スタンたちが混乱している。 |
| カイル | うぅ……頭がいたい……。数学のテストかよってくらい頭がいたいよ……。 |
| スタン | 落ち着け、カイル。ここに……ディムロスが1本だろ ?そしてあっちにディムロスが2……すこーすこー。 |
| ソーディアン・ディムロス | おい、スタン ! 起きろ !我は数え歌の羊ではないぞ ! |
| カーリャ | カーリャも脳内メモリがぶっ飛びそうですよ~。 |
| カイル | くそぉ……こういうときはジューダスだ !緊急事態だし魔鏡通信してもいいよね ! |
| カイル | もしもし、ジューダス ? ちょっとディムロスさんとシャルティエさんがいっぱいいすぎて困っててさ。あれ、もしもしジューダス ? |
| リアラ | カイルも落ち着いて ! ジューダスはいまプレセアの仮面作りを手伝っているのよ !きっと魔鏡通信にはでられないわ ! |
| イクス | ど、どうしよう……。スタンさんとカイルが知恵熱で倒れちゃったら……。考えろ……何か手があるはずだ……。 |
| ソーディアン・アトワイト | 私はあなたが知恵熱で倒れないか心配だわ……。 |
| ミリーナ | そのときは私がイクスをつきっきりで看病するわね ! |
| ルーティ | あ~もうっ、あんたたちうるさい ! !誰が何をしゃべってんのかわかんないわよ ! |
| ソーディアン・ディムロス | ……我よ。我から事情を説明させてくれ。 |
| ディムロス | ああ。頼んだぞ、私よ。 |
| Character | 2話【苦難1 ソーディアン】 |
| イクス | えっと、いま目の前にいるディムロスさんたちはソーディアンの人格の元となった人間、オリジナルの存在ということなんですね。 |
| リオン | そしてそのせいで具現化されてからずっと精霊装開発のためのデータサンプルとして帝国に囚われていた、と。 |
| ディムロス | そういうことだ。 |
| カイル | 大丈夫だったんですか ! ?もしかして何か酷いことをされたんじゃ……。 |
| ディムロス | 心配してくれてありがとう、カイルくん。私たちはこの通り無事だ。 |
| シャルティエ | まあ、帝国の実験のせいで僕たちのソーディアンは人格機能が封じられちゃいましたけどね。 |
| イクス | なるほど。だから二人が持ってるソーディアンはしゃべらないんですね。 |
| スタン | なんかそれ……ちょっと寂しいな。 |
| ディムロス | 別に嘆くほどのことはない。切れ味や強度に変化はなく、晶術も使用可能。武器としての機能は全て健在だからな。 |
| ソーディアン・ディムロス | それに想像してみろ。もしこれ以上、我がいたらお前の頭はいったいどうなる。我としては機能が停止していてむしろ安心したぞ。 |
| スタン | そんなこと……うん、ごめん。俺も安心した。 |
| カイル | とにかく二人が無事でよかったですよ。 |
| リオン | …………。 |
| スタン | リオン。どうしたんだよ ? |
| リオン | お前は何も気にならないのか。この二人は僕たちの時代より千年も昔の天地戦争時代から具現化された存在なんだぞ。 |
| リオン | ならば何故、カイルたちと知り合いなんだ。そして互いに面識があるのならば何故僕たちのソーディアンはカイルたちを知らなかったのか。 |
| ソーディアン・ディムロス | それは一理ある。我は我の剣として天地戦争を戦い抜いた。しかしカイルたちの記憶はない。 |
| ソーディアン・アトワイト | ええ。私もよ。 |
| ソーディアン・シャルティエ | 僕も同じです。 |
| リオン | お前たちについて不可解なことは山程ある。何故ソーディアンを持たない者が晶術を使えるのか、その他にも―― |
| カイル | けどオレたちは何もウソはついてないです !これだけは本当です ! |
| ディムロス | ああ。カイルくんたちはハロルドの部下として地上軍に加わり、私たちと天地戦争を共に戦った。これは偽りのない事実だ。少なくとも私たちにとって。 |
| リオン | ならば――やはり伏せている真実があるということだな。 |
| リアラ | そ、それについては……。 |
| スタン | ……リオン。もうその辺にしておかないか ? |
| ルーティ | 別にこの二人は捕虜じゃないんだしさ。ま、わかってると思うけど。 |
| カイル | ……スタンさん、ルーティさん。 |
| リオン | ふん……別に僕もこれ以上こいつらを問い詰めるつもりはない。 |
| カイル | えっと……つまり信頼してくれるってことですか ? |
| リオン | 別にいま聞き出す必要はないと判断しただけだ。それに、ロイドやクレスの世界のこともある。 |
| リオン | 並行世界かつ過去の時間軸からの具現化など想像がつかないわけじゃないからな。勘違いするな。 |
| カイル | は、はい ! ありがとうございます ! |
| ミリーナ | ディムロスさんも構いませんか ? |
| ディムロス | ああ。私としても気になるところではあるが何やら込み入った事情があるのだろう。無理に聞き出すつもりはない。 |
| ディムロス | それに私の場合は君たちではなく別の人物を問い詰めるべきだろうからな。 |
| カイル | ハロルドですね。 |
| シャルティエ | …………。 |
| ディムロス | とにかく私から尋ねたいことは以上だ。君たちが村を探っていた理由も承知した。 |
| イクス | それにしても驚きましたよ。武器を仕入れていたのは対帝国部隊を組織しようとしていたからなんて。 |
| ディムロス | 帝国から逃亡をした後に色々と縁があってな。 |
| シャルティエ | 同じように囚われていた人や帝国に家族の命を奪われた人たちと出会ってどうしてもって頼まれてね……はぁ。 |
| ディムロス | シャルティエ ? それは何に対する溜息だ ? |
| シャルティエ | ち、違いますよ ! ただの深呼吸ですって !いやだなぁ、ディムロスは。あはは……ははは…………はぁ。 |
| ソーディアン・アトワイト | そうよ。この感じこそシャルティエだわ。なんだか懐かしいわね。 |
| ソーディアン・ディムロス | ああ。地上軍での日々を思い出すな。少佐の階級を与えてしばらくしてから―― |
| ソーディアン・シャルティエ | 二人とも その話はやめてくださいよ !少なくとも坊ちゃんの前では ! |
| シャルティエ | うっ……あれは辛かった……。だいたいディムロスはアトワイトのことを―― |
| ディムロス×2 | それは何の話だ ? |
| シャルティエ×2 | な、なんでもないです ! |
| リオン | お前たち ! うるさいぞ !話が進まないだろ ! |
| ルーティ | 話って……他に何かすることあるの ? |
| リオン | なければ、ディムロス中将がここまで内情を話したりはしないだろう。 |
| ソーディアン・ディムロス | そのとおりだ。組織を束ねるものとして相手がたとえ自分であっても。 |
| ディムロス | リオンくんだったか。鋭いな。ソーディアンの私の言う通りだ。では、歩きながら話すとしよう。 |
| Character | 3話【苦難2 ディムロスの思惑】 |
| イクス | えっと……つまりは協定みたいなことでしょうか ? |
| ディムロス | ああ。単刀直入に伝えよう。私たち対帝国部隊はお前たちと協定を締結したい。 |
| リオン | なるほど。やはりそういうことか。 |
| イクス | 俺は大歓迎だけど……どうなんだろう。いちおうジェイドさんたちにも相談した方がいいような……。 |
| リオン | この件は僕が預かる。 |
| イクス | ありがとう。なら、悪いけど頼むよ。リオンなら安心だ。 |
| ルーティ | あんたもあっさりねぇ……。ま、こいつは適任だと思うけど。 |
| イクス | 適材適所だよ。 |
| スタン | イクスも柔軟になったなぁ。ちょっと背も伸びたしさ。 |
| イクス | あ、ありがとうございます……。 |
| カイル | ……いいなぁ。イクス。 |
| スタン | ? カイル、どうした ? |
| カイル | う、ううん。何でもないです。 |
| リオン | ではディムロス中将。引き続き村まで案内を頼みます。 |
| ディムロス | もちろん村に案内するがその前に1ついいかい、リオンくん ? |
| リオン | ? |
| ディムロス | もちろん最低限の礼儀はある。だがここで立場や階級を気にすることはない。その方が、私も君という人間を早く理解できて助かる。 |
| リオン | ……ああ。わかった。 |
| ディムロス | おっ。私たちが拠点としている村が見えてきたな。 |
| シャルティエ | はぁ……やっと戻ってこれた……。 |
| ディムロス | ではシャルティエ。一足先に行って出迎えの準備を進めておいてくれ。 |
| シャルティエ | えっ……ぼ、僕ですか ? |
| ディムロス | それから後日開催される慰労会に皆も参加できるよう手配を頼む。顔合わせはしておいて損はないだろう。 |
| シャルティエ | ………………了解です。 |
| カイル | ディムロスさん。慰労会ってなんですか ? |
| ディムロス | 地上軍式短期新兵強化合宿、通称ブートキャンプを終えた隊員たちへのねぎらいみたいなものだ。 |
| シャルティエ | おかげで僕はずっと休みなし……。僕に勇気がなくて有給申請できないのが原因って自覚はありますけどそれにしたって―― |
| ディムロス | シャルティエ、聞こえているぞ。 |
| シャルティエ | なっ、違いますよ ! なんでもないですからね !慰労会はパーティみたいなものですし僕も楽しみだなぁとは言いましたけど他には何も ! |
| ルーティ | ちょっと待って、パーティってことは……とっても豪華な食事があったりするわけ ! ? |
| カイル | うわぁ ! めっちゃ楽しみですね ! |
| スタン | よーし ! 今から腹をすかしておかなくちゃだな ! |
| リオン | ……意地汚い奴らめ。 |
| シャルティエ | はぁ……これはたくさん料理を用意しとかないと。料理が少なすぎるって絶対クレームくるもんな……。主に幹事である僕に……。みんなよく食べるからなぁ。 |
| リアラ | ……シャルティエさん。その……何か手伝えることがあれば言ってくださいね。 |
| ミリーナ | 私も料理だったら任せてください。 |
| シャルティエ | ありがとう……。そのときは相談するよ。それじゃあ、またあとでね。 |
| ディムロス | ついたら茶を飲んで一休みしてくれ。その後、協定について話すとしよう。 |
| リオン | いや。茶の方が後だ。 |
| ディムロス | ふっ……いいだろう。 |
| Character | 4話【苦難3 シャルティエの悩み】 |
| ディムロス | 物資、情報の共有についてもまとまったな。ひとまず私の方で協定書の作成を進める。 |
| リオン | わかった。だがその前にそちら側の戦力も確認しておきたい。 |
| ディムロス | いいだろう。ならば資料を持ってくる。ここで待っていてくれ。 |
| イクス | ふぅ……これで協定周りは一段落か。コーキスに一報しないとな。……ちゃんと伝わるかな? |
| スタン | こういう難しい話はよくわからないけどリオンがいると助かるな。 |
| リオン | お前たちに仕事を任せていてはいつまでたっても終わらない。僕はグズに歩調を合わせるつもりはないだけだ。 |
| シャルティエ | ……だったらお茶くらい自分でいれればいいのに。さっきから偉そうにふんぞりかえってさ。なんで僕がこんなガキにわざわざ―― |
| リオン | ガキ……だと ? |
| シャルティエ | い、いえ ! 何でもありません !お茶、ここに置いておきますね !口に合わなければ新しく用意するので言ってください ! |
| ソーディアン・シャルティエ | 相手が坊ちゃんだとはいえ自分のことながら自分が情けない……。さすがに弱すぎるだろ……。 |
| シャルティエ | 別に……どうせ僕にできることなんて雑用と長い物に巻かれることくらいだからね。ダメな奴と思われたって痛くも痒くもないよ。 |
| シャルティエ | 隊員たちもディムロスのことばっか尊敬するしさ。僕に気を使って「シャルティエさんもいい人」とか言ってくれるけど、具体的には何もでてこない。 |
| シャルティエ | ようやく一人がいいところを答えたのが、金髪って……僕は銀髪なんだけどな……。まあ、きっと僕の髪は金髪に見える人には見える銀髪なんだろうね。 |
| ソーディアン・シャルティエ | あああああっ ! もうやめろ ! ! |
| ソーディアン・ディムロス | シャルティエ、そこまで卑屈にならんでもいいだろう。 |
| ソーディアン・アトワイト | そうよ。気にしすぎじゃないかしら。 |
| シャルティエ | うるさいな。放っておいてよ。今だから言うけど、僕、二人のことも苦手だったから。二人のあれやそれを見せつけられ続けた気持ちわかる ? |
| ソーディアン・シャルティエ | やめろって言ってるだろぉぉ ! ! ! ! |
| 二人 | …………。 |
| ソーディアン・シャルティエ | ち、違うんだよ ! ? 二人とも誤解なんだ !僕は全然そんなこと思ってないからね ! !ホント、僕には困ったものだよ……あははっ ! ! |
| シャルティエ | あ、ごめん。ソーディアンの僕はうまいこと取り繕って仲良くやってたんだね。いざとなったらだんまりを決め込みそうではあるけど。 |
| ソーディアン・シャルティエ | 坊ちゃん ! こいつを斬らせてください !僕の錆にしてやりましょう ! |
| ソーディアン・シャルティエ | いや、けどこいつのせいで錆びるのはイヤだからやっぱり晶術でお願いします !さあ、いっぱつぶっ飛ばしてやりましょう ! |
| リオン | うるさいぞ、シャル。お前も出会ったときは―― |
| ソーディアン・シャルティエ | あぁぁぁ ! ! 聞きたくない聞きたくない ! !どこかに行ってしまえ、僕と僕の過去 ! ! |
| シャルティエ | ……わかったよ。行けばいいんだろ。どうせそろそろ慰労会の準備に戻らなくちゃだと思ってたんだ。 |
| シャルティエ | ミリーナさんとリアラさんとルーティさんが料理は手伝ってくれてるけど三人に任せきりも悪いからね。 |
| イクス | ミリーナたちは料理が得意ですし任せても大丈夫だと思いますよ。 |
| シャルティエ | そうなの ? けど、どうせ後で陰口とか言うんでしょ ? |
| シャルティエ | 料理全然手伝ってくれなかったとか、ソーディアンのオリジナルなら玉ねぎのみじん切りぐらいやれよとか。 |
| カイル | リアラたちが言うはずないですって……。 |
| シャルティエ | けど人間って裏表あるからなぁ。ソーディアンの僕も大丈夫だと思う ? |
| ソーディアン・シャルティエ | …………。 |
| リオン | シャル。どうした ? |
| ソーディアン・アトワイト | 機能を停止しているようね。 |
| スタン | 狸寝入りの機能まであるのか。ソーディアンはすごいな。 |
| ソーディアン・ディムロス | 断じてそんな機能はない。 |
| シャルティエ | あーあ、僕も剣だったらこんな面倒な雑用やらずにすんだのに。というよりなんで少佐の僕が慰労会の幹事なんか―― |
| ディムロス | ならば人々の剣らしく戦いの場へと赴いてもらうか。 |
| シャルティエ | ディムロス ! ? |
| ソーディアン・シャルティエ | ディムロス ! ちょっと聞いてよ !さっきこいつが面倒くさい雑用を全部ディムロスに押し付けてやりたいって言ってたよ ! |
| シャルティエ | そこまでは言ってな……じゃなくて !とにかく違うんですよ ! ! |
| ディムロス | 慰労会の幹事は私が引き受けよう。もちろん恒例である幹事の開幕一発ギャグもこの私が責任をもって引き受ける。 |
| シャルティエ | ディムロスが一発ギャグも ! ? |
| ディムロス | 当然だ。引き受けた以上は全力を出す。その代わり、お前には私が行う予定だった偵察任務にあたってもらう。 |
| ディムロス | 帝国兵と思わしき者たちが何やら不審な動きをしているという情報が入った。様子を探ってこい。 |
| シャルティエ | ふぅ。よかった。偵察任務くらいなら別に……。 |
| ディムロス | ただし……あの三人組を連れて行け。 |
| シャルティエ | あの三人組って……まさかあいつらですか ! ? |
| ディムロス | そのまさかだ。 |
| シャルティエ | なんでよりにもよってあの三人組なんですか ! ?勘弁してくださいよ ! ! |
| カイル | シャルティエさん……嫌がりすぎですよ。 |
| ディムロス | 残念だな。当の三人組はシャルティエを非常に尊敬しているのだが。 |
| スタン | なんだよ。シャルティエさんにもそんな部下がいるんじゃないか。 |
| シャルティエ | ……あれは尊敬していると言えるのか。 |
| ディムロス | では任せたぞ、シャルティエ。あの三人組には私から伝えておこう。お前との任務、きっと喜ぶだろう。 |
| シャルティエ | 胃が痛い……。 |
| リオン | 待て。相手が帝国という話なら僕たちにも関わることだ。 |
| リオン | 何か考えがあってのことだとは理解している。だが有益な情報が手に入るかもしれないにも関わらずこのシャルティエに任せるとはまさに愚の骨頂だ。 |
| ソーディアン・シャルティエ | 僕も同感です。それに僕のことを尊敬する部下なんて絶対に変な奴らですよ。何かやらかすに決まってます。 |
| シャルティエ | 二人ともちょっと酷すぎない ! ? |
| ディムロス | つまりリオンくんも同行するということかな ? |
| リオン | ああ。あくまで鏡士側の人間として。 |
| スタン | リオンが行くなら俺も行くよ ! |
| カイル | じゃあオレも !イクスも来るよね ? |
| イクス | ああ。もちろん。いいかな ? |
| リオン | ああ。少数精鋭、僕とお前たちのフォーマンセルで向かうぞ。準備が整い次第、すぐに出発だ。 |
| ディムロス | 本任務に関する資料は部下に届けさせる。あとは各々の判断に任せるとする……が、最後に1つだけ命令だ。 |
| ディムロス | 生きて帰ってこい。 |
| 二人 | 了解です ! ! |
| Character | 5話【苦難4 ピエールの翼】 |
| カイル | いたよ、帝国兵たちだ。周囲を警戒しているみたいだね。 |
| イクス | つまり資料に書かれていた遺跡に帝国兵たちが潜んでるのは間違いないわけだな。けど、いったい何をしてるんだ……。 |
| リオン | まず遺跡周辺の警戒状況や侵入脱出経路を確認するため僕が一人で様子を見てくる。お前たちはここでおとなしく待機していろ。 |
| スタン | わかった。けど何かあったときは魔鏡通信ですぐに連絡してくれよ。 |
| リオン | 言われるまでもない。尤も僕がヘマをやらかすなど万に一つもありえんがな。お前たちは待っている間に作戦の確認でもしていろ。 |
| スタン | ああ。それじゃあ頼んだぞ。 |
| シャルティエ | …………はぁ。いいなぁ。リオン隊の方はまとまりがあって。 |
| シャルティエ | 一方で、僕の部下三人組なんて絶賛遅刻中。こっちに向かってるみたいだけどいつまでたっても来ないしさ……。 |
| ソーディアン・ディムロス | 任務にも関わらず遅刻とは感心せんな。いったいどのような人物たちなんだ。 |
| カイル | あれ ? この気配……何か近づいてきますよ ! |
| シャルティエ | ああ。ようやく来たみたいだね。はぁ……よかった。これで任務が続行でき―― |
| シャルティエ隊隊員A | はーっはっは ! お待たせしました !シャルティエ隊長 ! ! |
| シャルティエ隊隊員B | 我らシャルティエ隊長の忠実なる下僕 ! |
| シャルティエ隊隊員C | 三人揃って ! |
| シャルティエ隊隊員三人組 | 俺たちピエール !ピエールの翼 ! ! イエイ ! |
| スタン | すごいな。全員ピエールさんって言うのか。 |
| カイル | スタンさん。それはたぶん違いますしツッコむところもそこじゃない気がします。 |
| イクス | えっと……その…………ダメだ。ごめん、ピエールの翼の皆さん。俺、こういうときのリアクションが苦手で……。 |
| シャルティエ | イクスくん……こっちこそごめん。真面目に取り合わなくていいからね。全部スルーしてもらって構わないから。 |
| シャルティエ | それより……君たち。ピエールの翼はやめてくれって言っただろ。そんなもの僕は絶対に認めないからね。 |
| ピエールの翼 | はい ! 認めてもらえるよう、今後も精一杯頑張ります ! |
| シャルティエ | 絶対に認めないって聞こえなかった ! ?ダメだ、バルバトスと同じくらい話が通じない……。悪いけどもう帰って欲しくなってきたよ……。 |
| ソーディアン・ディムロス | シャルティエ。帰すも連れて行くも隊長であるお前次第だがひとまず遅刻の理由は聞いておくべきではないか ? |
| シャルティエ | 相手にしても話が長くなるし疲れるだけだから面倒なんだけど……これも隊長の義務だもんね。 |
| シャルティエ | えっと、三人共。どうせろくでもない理由だろうし注意しても僕の言うことを聞いてくれないことはわかってるけど、どうして遅刻したか教えてくれる ? |
| ピエールの翼A | 遅刻の理由ですか ? 愚問ですね。 |
| ピエールの翼B | 忌まわしき帝国兵をぶっ飛ばすため新技を考えていました。 |
| ピエールの翼C | どうしても気になるようならお見せしましょう。みんな、あの岩に向かっていくぞ。 |
| ピエールの翼 | 超回転・ピエール・ド・トルネード ! ! |
| カイル | それオレとスタンさんが考えた新技じゃないか !こらぁ、勝手に使うな~ ! ! |
| リオン | 戻ったぞ。このままいけば帝国兵に気づかれず侵入できそう……っておい !何を遊んでいる ! |
| スタン | リオン、見てみろよ。三人の合体技なんだってさ。俺たちもカイルとやってみないか ? |
| リオン | 断る ! |
| シャルティエ | というより岩じゃなくて僕の方に迫ってきてるんですけど !こっち来るな ! どれだけ命中精度悪いんだよ ! |
| 帝国兵 | どうした。訓練にしては騒がしい……なっ ! ?お前たちは何者だ ! ? |
| イクス | 帝国兵 ! ? |
| 帝国兵 | おーい ! みんな !敵しゅ―― |
| ピエールの翼 | くらえぇ ! ! |
| 帝国兵 | ぐはぁああっ ! ! ! ! |
| イクス | なんて威力だ ! 帝国兵がぶっ飛んでいったぞ !あんなに綺麗な放物線をみるのはディストさんぶりだ ! |
| シャルティエ | はぁ……はぁ……。けど危ないから、もう絶対に使わないで。君たちも目が回ってるみたいだし。 |
| ピエールの翼A | お言葉ですがそれはできません !この新技は我々にとって―― |
| リオン | ……つかうな。 |
| ピエールの翼 | ……えっ ? |
| リオン | つかうな。 |
| ピエールの翼 | 了解いたしました ! リオン隊長 ! |
| シャルティエ | ちょっ ! なんでリオンくんの言うことは素直に聞くんだよ ! ?本当に僕のこと尊敬しているんだよね ! ? |
| ソーディアン・シャルティエ | これぞ人徳ってやつだよ。自分で言っててちょっと悲しいけど。 |
| イクス | えっと……いまのところ他の帝国兵たちは気づいてないみたいだし先に進まないか ? |
| ソーディアン・ディムロス | じきに吹っ飛んでいった帝国兵が持ち場にいないことに他の兵が気付くだろうからな。そうすればあたりの警戒は強くなる。 |
| リオン | ……となると予定していた侵入経路の使用はリスクが高すぎるか。安全な別経路は1つあるが……。 |
| スタン | リオン。どうしたんだよ。なんだか浮かない顔してさ。 |
| リオン | ……なんでもない。行くぞ。 |
| Character | 6話【苦難7 新兵器】 |
| スタン | それにしてもさすがリオンだよな。周囲に流れる川から遺跡の地下に水脈があるはずだって気がつくなんてさ。 |
| カイル | おかげで無事に潜入できましたもんね。地下水脈をボートで進むのもちょっと楽しかったですし。 |
| イクス | けど……リオン、すごい顔色が悪くなってたよな。しばらくボートの見張りをしてから追いかけるって言ってたけど大丈夫なのか。 |
| カイル | 乗り物酔いに効くツボを教えておいたんできっとすぐよくなるよ。まあ、リオンさんも知ってたんだけどさ。 |
| シャルティエ | 本人は否定していたけど明らかに酔っていたからね。僕もまだちょっとだけ気持ち悪いぐらいだし。みんなピンピンしているのが不思議なくらいだ。 |
| スタン | シャルティエさん、もし具合悪いならボートに戻って休んでもらっても大丈夫ですよ ? |
| シャルティエ | そこまで重症じゃないから平気だよ。それにさ、休んでるわけにもいかないって。僕はいまスタンくんたちの隊長でもあるし―― |
| リオン | ……スタンたちを頼んだぞ。 |
| シャルティエ | あんなこと言われちゃったらな……。 |
| ソーディアン・ディムロス | …………。 |
| スタン | なんだ ? 変な装置が置いてあるぞ。それもこんなにたくさん。 |
| シャルティエ | これは ! |
| カイル | シャルティエさん、この装置が何かわかるんですか ? |
| シャルティエ | 具体的にどんな装置かはわからないよ。けど、たぶん……いやこれは間違いなく、軍事兵器だ。 |
| イクス | 軍事兵器だって ! ? |
| ピエールの翼A | 軍事兵器 ! ? これが全部ですか ! ?そんなバカな ! |
| ピエールの翼B | ……帝国の奴らめ。 |
| ピエールの翼C | シャルティエ隊長。すべて破壊しましょう。 |
| シャルティエ | ダメだ。どのような軍事兵器か詳細がわからない以上、うかつに破壊するのは危険過ぎる。 |
| ピエールの翼A | ですが、こんなにたくさんの軍事兵器……人殺しのための道具を発見しておきながら何もせず帰ることなんてできませんよ ! |
| シャルティエ | わかった ! わかったからあまり大声を出さないで―― |
| 帝国兵 | 誰だ ! そこにいるのは ! ? |
| シャルティエ | あぁ……やっぱり見つかったよ !僕もこうなること予想はしてたけどさ ! |
| 帝国兵 | 何者かわからんが……ふっ、ちょうどいい。新型兵器の実験材料を確保する手間が省けた。装置、起動っ ! ! 標的を破壊せよ。 |
| イクス | 装置が変形した ! ? |
| ピエールの翼A | くそっ。何が実験材料だよ。ふざけんな ! いくぞ、ピエールの翼 ! ! |
| ピエールの翼B | くらえっ ! ぶっ壊してやる ! ! |
| ピエールの翼C | なっ ! どういうことだ ! ?攻撃がはじかれる ! |
| イクス | やっぱり ! この兵器から微かに魔鏡の力を感じる !恐らく特殊な魔鏡機器技術が組み込まれてるんだ ! |
| ソーディアン・ディムロス | なるほど。それにより兵器全体に魔術障壁が展開され攻撃を跳ね返しているわけか。小賢しい真似を。 |
| シャルティエ | ! 三人共 !危ない、さがれ ! ! |
| シャルティエ | はぁっ ! ! |
| ピエールの翼 | ……た、助かった。 |
| シャルティエ | くそっ……思ってた以上に頑丈だな。 |
| 帝国兵 | 設計は問題なし。魔術障壁も展開確認。ただし一定以上の衝撃には耐えられない、と。偉そうなことを抜かしていたが大したことないな。 |
| 帝国兵 | まあ、いい。最低限のデータは取れた。あいつにとっとと書類を提出してグラスティン様の研究をお手伝いしなくては。 |
| カイル | あっ ! おい、待て ! 逃げるな ! |
| ソーディアン・ディムロス | シャルティエ !あやつが手に持っていたのは兵器の設計図ではないか ! ? |
| シャルティエ | 手に入れたいところだけどさすがにこの数を相手にしてだと―― |
| ピエールの翼A | 俺たちが―― |
| シャルティエ | ダメだ。さがっていろ。お前たちではこいつらは倒せない |
| ピエールの翼B | けど俺たちでも―― |
| シャルティエ | さがっていろ。これは命令だ。お前たちの意見など聞いていない。いいか、もう二度と同じことを言わせるなよ。 |
| ピエールの翼 | …………。 |
| イクス | な、なんだかシャルティエさん今までにないくらいキツイな……。 |
| カイル | オレも、あんなシャルティエさんははじめてみるよ。 |
| シャルティエ | ふんっ……これだからバカの相手は疲れるんだ。いくぞ、シャル。 |
| スタン | うん ? いまシャルって言ったよな。それによく考えると、さっきの台詞どこかで聞いたような―― |
| カイル | ……ってリオンさんの真似だ ! ! |
| シャルティエ | はぁ……緊張した。けど、とりあえずこれ以上場が混乱することはないから安心して。ちゃんと隊長としての務めを果たしたよ。 |
| イクス | お、お疲れ様です……。 |
| シャルティエ | さあ、とりあえず目の前のこいつらをなんとかしよう ! |
| Character | 7話【苦難8 シャルティエの苦難】 |
| スタン | くそっ。数が多すぎる。 |
| カイル | このままじゃさっきの奴にも逃げられちゃうよ ! |
| ピエールの翼 | …………っ。 |
| シャルティエ | はぁ……まったく。 |
| ソーディアン・ディムロス | シャルティエ。あまり我はお前に対し口出しはしまいと決めているのだが―― |
| シャルティエ | ……わかってますよ。ディムロスやリオンくんのように振る舞っても結局、僕はうまくいかないんだって。 |
| シャルティエ | それに……地上軍の頃から周りの目を気にして振る舞っていた代償ですかねぇ。気になってしかたないんですよ。 |
| シャルティエ | 周りの人の……気持ちってやつに。 |
| ソーディアン・ディムロス | ……シャルティエ。 |
| シャルティエ | おいっ。三人とも。 |
| ピエールの翼 | …………。 |
| シャルティエ | さっきは悪かったよ。本心じゃないってば。君たちのこと、どうでもいいなんて思ってない。 |
| シャルティエ | かといって君たちが大切かというとそうでもなくてまあ……割とどうでもいいかなぐらいかな。だけど、ちゃんと君たちのことはわかってるつもりだ。 |
| シャルティエ | 君たちは大切な人たちを守るためなら「生きて帰ってこれなくていい」と本気で思ってる。まったく、無鉄砲な三人組なんだって。 |
| シャルティエ | そう、だからディムロスではなく僕の部下になったのも当然わかってる。今は慕ってくれてるけどはじめは消去法で僕を選んだってことも。 |
| ピエールの翼 | ……シャルティエ隊長。 |
| シャルティエ | 僕の部下なら僕の部下らしくしていろ。いつもは僕の命令なんて全然聞かないくせに何を素直に聞いてるんだよ。 |
| シャルティエ | さあ ! あのバカげた新技をこいつらにお見舞いしてやれ !とにかく敵を四方に吹っ飛ばすんだ ! |
| シャルティエ | その後のことは僕がなんとかする !いけ、ピエールの翼 ! |
| ピエールの翼 | は、はいっ ! ! |
| シャルティエ | みんな ! 作戦変更だ !スタンくんとカイルくんは妨害する兵器を破壊しつつさっきの帝国兵を追いかけ、設計図を奪取してくれ ! |
| 二人 | 了解 ! |
| シャルティエ | イクスくんは悪いけど僕と一緒に付き合ってもらうよ。 |
| イクス | ええ。俺でよければ喜んで。 |
| シャルティエ | うぅ……君みたいな素直な部下が欲しかった。 |
| イクス | はは。これはこれでシャルティエさんの部下らしくはないですけどね。 |
| ピエールの翼A | スタンさん ! カイルくん !俺たちが道を開きます !いくぞ、お前たち ! |
| ピエールの翼 | 超回転・ピエール・ド・トルネード ! ! |
| スタン | いまだ ! いくぞカイル ! |
| カイル | はい ! いざとなったらオレたちも新技で切り抜けましょう ! |
| スタン | ああ ! ピエールの翼には負けてられないからな ! |
| ソーディアン・ディムロス | やれやれ……では二人とも。ここは頼んだぞ。 |
| シャルティエ | はい ! |
| イクス | よし、いくぞ ! ピエールの翼が新技で敵を分散させてくれてるいまがチャンスだ !魔術障壁で守備は硬いけど各個撃破していけば―― |
| シャルティエ | って、おい ! 三人組 !いま迫ってるのは敵じゃなくて僕なんだけど !相変わらず命中精度が悪すぎだよ ! ! |
| イクス | シャルティエさん ! 後ろに敵が ! |
| シャルティエ | ダメだ ! 敵の攻撃までは避けられ―― |
| ? ? ? | 世話のかかる奴だな。 |
| シャルティエ | リオンくん ! あ、ありがとう……。ははは……また情けないところを見られちゃったな。 |
| リオン | いや。お前にしてはまずまずなんじゃないか ? |
| シャルティエ | ……えっ。 |
| ソーディアン・シャルティエ | もう。坊ちゃんってば。僕に対して甘すぎませんか ?そりゃ僕は嬉しいですけど一方でなんだか複雑だったりも……。 |
| リオン | 別に僕は普通だ。余計なお喋りなら後にしろ。 |
| シャルティエ | いまはこいつらに集中して一気に片付けちゃおう ! |
| ソーディアン・シャルティエ | それはわかってるけど……って、ちょっと僕 !なに坊ちゃんと意気投合してるんだよ ! ? |
| リオン | さあ、いくぞ !僕たちの力を見せつけてやろう、シャル ! |
| シャルティエ×2 | はいっ ! ! |
| ソーディアン・シャルティエ | って、お前はシャルじゃなーい ! ! |
| Character | 8話【苦難8 シャルティエの苦難】 |
| シャルティエ | 報告は以上です。 |
| ディムロス | 皆、ご苦労。まさか敵の新型兵器の設計図やその他機密情報まで入手してくるとは思わなかったぞ。 |
| カイル | けど悔しいな。もうちょっとで実験を率いていた帝国兵も捕らえられそうだったのに。まさか隠し通路があったなんてさ。 |
| ディムロス | いいや、これでも十分な成果だ。またカイルくんに助けられたよ。 |
| カイル | そ、そんな。天地戦争のときも含めてオレだけの力じゃないですから。 |
| ディムロス | ほう。その返事はカイルくんくらいの年齢でなかなかできるものではない。誰でも戦果を誇示したくなるものだからな。 |
| ディムロス | しばらく会わない間にまた成長したようだな。 |
| カイル | な、なんか照れちゃうな……。 |
| スタン | ディムロスさんはソーディアンのディムロスと同じできっとお世辞で人を褒めたりはしないよ。もっと堂々と誇っていいんじゃないか ? |
| カイル | それじゃあ……今回はちょっとだけ !あとでリアラにオレの活躍を話そうっと !それにアジトに帰ったらジューダスにも ! |
| ディムロス | シャルティエ。 |
| シャルティエ | なんですか ? |
| ディムロス | あの三人組が隊全員に話していたぞ。例の厄介な兵器を相手にしても動じずお前の見事な指揮で危機を切り抜けられたと。 |
| シャルティエ | 僕は指揮なんてした覚えないです。その場にあわせて行動しただけですよ。 |
| ディムロス | いや。それがお前らしい見事な指揮だということだ。よくやったな、シャルティエ。 |
| シャルティエ | えっ……あぁ……。ありがとう、ございます。 |
| リオン | ふっ……。 |
| ソーディアン・シャルティエ | 坊ちゃん。今気づいたんですけど昔の僕をみて少し楽しんでました ? |
| リオン | さあ。どうだろうな。 |
| イクス | さてと。無事に協定も締結できたことだしこれでようやく一段落か。 |
| シャルティエ | まあ……手に入れた資料から新たな悩みのタネができましたけどね。 |
| カイル | 悩みのタネ ? |
| ディムロス | あの装置の開発者は――恐らくハロルドだ。 |
| カイル | ハロルド ! ? ハロルドってオレたちが知ってる、あのハロルド ! ? |
| スタン | カイルたちの仲間なんだよな ?なんで帝国の兵器を開発してるんだよ。 |
| カイル | きっと脅されて仕方なく開発してるんだ。くそっ……はやく助けてあげたいな。 |
| ディムロス | ……脅されてか、あるいは。 |
| カイル | ディムロスさん ? |
| ディムロス | いや、これ以上はただの憶測だ。やめておこう。 |
| ディムロス | 先程も伝えた通り、私たちは引き続きこの村を拠点として部隊を率い活動していくつもりだ。 |
| ディムロス | ハロルドの件も調査事項に加えておこう。協定のとおり何かあればそちらにも情報を共有する。 |
| イクス | はい。よろしくお願いします。 |
| ルーティ | ちょっと、あんたたち。いつまで話し込んでるのよ。そろそろ慰労会の時間でしょ。 |
| リアラ | 料理の用意もできたわ。 |
| ミリーナ | こっちの準備はバッチリよ。 |
| カイル | やった ! パーティだ ! ! |
| スタン | よーし ! たらふく食べてやる ! |
| ディムロス | では向かうとしよう。幹事が開催時間に遅れるわけにはいかんからな。 |
| シャルティエ | ディムロス。本当に一発ギャグをやるんですか ? |
| ディムロス | 当然だ。すでに準備はできている。シャルティエ、見ていろ ? |
| ディムロス | こほん。皆、待たせたな。 |
| 隊員 | おっ、きたきた。ディムロスさんだ。 |
| ディムロス | では恒例の幹事一発ギャグからはじめさせてもらおう。 |
| 一同 | ……ごくり。 |
| ディムロス | ソーディアン |
| ディムロス | ディムロス ! ! |
| 一同 | ………………。 |
| 一同 | あははは…… ! ! |
| 隊員 | やっぱりディムロスさんは最高だな !強くて、頼りになるし、それに面白いときた ! |
| 隊員 | 一発ギャグも完璧だなんてさすがだぜ ! ! |
| リアラ | すごい盛り上がってるわね。 |
| カイル | やっぱりディムロスさんって人気者なんだな。 |
| シャルティエ | ……またディムロスか。はぁ、やっぱり僕が幹事やればよかったかな。 |
| 隊員 | シャルティエさん !ディムロスさんの飲み物なくなったから追加で ! |
| シャルティエ | えっ……いや、なんで僕が。そういうのは幹事の―― |
| 隊員 | シャルティエさん ! こっち食べ物 ! |
| 隊員 | こっちにはデザート持ってきて ! |
| シャルティエ | なんで僕は幹事じゃないのにこういう扱いなんだ ! !わかったよ、やればいいんでしょ ! |
| リアラ | シャルティエさんも大人気ね。 |
| カイル | ああ。ディムロスさんとは違う方向でだけど。 |
| シャルティエ | いつか全員見返してやるーー ! ! |