Character1話【苦難1 ソーディアン】
イクス偵察対象の村はこの森を抜けた先だったよな。そろそろ休憩は終わりにして出発するか。日が暮れる前には着きたいから急がないと。
リオン急ぐのはいいが警戒も怠るな。
イクスああ。村の商人たちは複数の交易ルートから武器を大量に仕入れてるらしいしただの普通の村ってわけじゃなさそうだもんな。
リオン銭ゲバ女どもが手に入れた情報だ。間違いはないだろう。
ルーティちょっと。銭ゲバ女どもって誰のことよ。あたしたちがガッツリとガルド稼いでるからあんたも優雅に紅茶がすすれるのわかってるわけ ! ?
リオン何をムキになっている。銭ゲバ女どもというのがお前やロゼ、イリア、アニスのことだと僕は一言も言っていないぞ。
ルーティいま言ってるじゃない !なにがセインガルドの薔薇よ !あんたトゲしか生えてないんじゃない ?
リアラあ、あはは……。
ルーティほら。あんたのせいでリアラが苦笑い浮かべてるじゃないの。
リオン僕のせいにするな。
リアラあ、あの。違うんです。別に二人が悪いとかじゃなくてちょっと慣れてないだけというか……。
リオン……ふん。別にお前のことを責めてはいない。そもそもの元凶はこいつだしな。
ルーティそれを言うならあんたでしょうが !
ソーディアン・シャルティエリアラさん、心配する必要ないよ。僕やみんなと同じように、いずれ坊ちゃんの良さがじわじわと実感できると思うし。
ソーディアン・シャルティエ思い起こせば僕も坊ちゃんと出会ったばかりの頃は色々あったなぁ。けど今ではこんな坊ちゃんが愛らしく見えて――
リオンシャル。お喋りが過ぎるぞ。それに僕のことを誰彼かまわず話すのはやめろ。
ソーディアン・シャルティエす、すみません。ここではエンコードのおかげで色々な人とも話せるのが楽しいのともっと坊ちゃんの魅力をみんなに知って欲しくて……。
ソーディアン・アトワイトシャルティエ。何があったかわからないけどやっぱり性格変わったわよね。昔のあなたでは考えられない言葉というか……。
ソーディアン・シャルティエむ、昔のことはいいだろ。とにかく今のこの僕があるのはすべて坊ちゃんのおかげってことだよ。
ソーディアン・アトワイトそう……。あなたがいいのなら構わないのだけど……。
リオン無駄話はこのくらいにしてそろそろ出発を……って、おい。あのバカ二人はどこに行った。
スタンはぁ……はぁ……。み、みんな……無事だったか。
ミリーナ何かあったんですか ?
スタンそれがさっき武装した奴らに襲われたんだ。
カイルいきなりでびっくりしたよ。超回転疾風・スタン・トルネードっていう新技を練習してただけなのにさ。
リオンお前たちの新技など毛ほども興味はない。どんな奴らだったかを話せ。
ソーディアン・ディムロス顔や体つきからすると一般人。だがあの一糸乱れぬ連携は紛れもなく軍隊仕込みのものだった。
ソーディアン・ディムロスそれも地上軍がゲリラ戦でよく用いる戦法……。
ソーディアン・アトワイト地上軍の ! ?どういうことなの ! ?
? ? ?お前たちは包囲されている。全員、武器を捨てろ。
カイルな、なんだと ! ? どこにいる ! ?
イクス茂みの中か……。クソ、いつの間に。これが軍隊仕込みの連携か。
? ? ?お前たちが村を嗅ぎ回っていることは把握している。即刻、全員、武器を捨てて降伏しろ。命は保証する。
スタン武器を捨てろって……あれ ?この声、なんか聞き覚えが……。
ソーディアン・ディムロス……もしや、我ではないか。
スタンそれはありえないだろ。変なこと言うなよな、ディムロス。
? ? ?変なことだと ! ? 貴様、それはどういう意味だ。それに何故、私の名前を知っている !
スタンディムロスこそ何言ってるんだよ。俺はお前のソーディアンマスターなんだし名前は知っていて当然だろ。ついに故障でもしたか ?
ソーディアン・ディムロス馬鹿者 ! いま話したのは我ではない !
スタンえっ……けど間違いなくディムロスの声だったぞ。
ソーディアン・アトワイトディムロス ! この人たちは敵ではないわ。姿をみせて。
ディムロスその声は……アトワイト !どこにいる ! ?
カイルえぇ ! ? ディムロスさん ! ?
ディムロスカイルくん ! ? どうして君がここに ! ?それに……そこのお前たち……どうしてソーディアンを持っている ! ?
ルーティあんたこそどうしてソーディアンを持ってるのよ ! ?それにディムロスって……。
ソーディアン・アトワイトやっぱりディムロスが言う通りディムロスだったわね。ということは他にも……。
シャルティエちょ、ちょっと待ってくださいよ。アトワイトに反応しすぎですって。はぁ……こうしていつも僕は振り回されるんだ。
リアラ今度はシャルティエさん ! ?
ソーディアン・シャルティエあ~~坊ちゃん、空を見てください。今日もすごくいい天気ですよ。ちょっと二人で散歩にでも行きましょうよ。
リオンシャル……いきなりどうしたんだ。
シャルティエシャルって……えっ ! ?君が持ってる剣って、ソーディアンの僕じゃないですか !
シャルティエそんな……どういうことかわからないけど子どもが僕の持ち主だなんて。はぁ、僕は玩具じゃないんだけどな……。
リオンおい。いま僕のことを何と――
ソーディアン・シャルティエちょ、ちょ、ちょっと坊ちゃん !落ち着いてください ! !あんな奴は無視してくださいって !
シャルティエあんな奴ってどういう意味だ !僕と同じ人格のくせに酷いぞ !自分を自分で罵倒するなよ !
ソーディアン・シャルティエ僕は僕だ ! 僕とお前を一緒にするな !あぁもう、イヤだ……昔の自分なんて見たくない。これ完全に黒歴史だ……。
ソーディアン・ディムロスシャルティエ。色々とあるようだがしばらくは黙っていてくれ。スタンたちが混乱している。
カイルうぅ……頭がいたい……。数学のテストかよってくらい頭がいたいよ……。
スタン落ち着け、カイル。ここに……ディムロスが1本だろ ?そしてあっちにディムロスが2……すこーすこー。
ソーディアン・ディムロスおい、スタン ! 起きろ !我は数え歌の羊ではないぞ !
カーリャカーリャも脳内メモリがぶっ飛びそうですよ~。
カイルくそぉ……こういうときはジューダスだ !緊急事態だし魔鏡通信してもいいよね !
カイルもしもし、ジューダス ? ちょっとディムロスさんとシャルティエさんがいっぱいいすぎて困っててさ。あれ、もしもしジューダス ?
リアラカイルも落ち着いて ! ジューダスはいまプレセアの仮面作りを手伝っているのよ !きっと魔鏡通信にはでられないわ !
イクスど、どうしよう……。スタンさんとカイルが知恵熱で倒れちゃったら……。考えろ……何か手があるはずだ……。
ソーディアン・アトワイト私はあなたが知恵熱で倒れないか心配だわ……。
ミリーナそのときは私がイクスをつきっきりで看病するわね !
ルーティあ~もうっ、あんたたちうるさい ! !誰が何をしゃべってんのかわかんないわよ !
ソーディアン・ディムロス……我よ。我から事情を説明させてくれ。
ディムロスああ。頼んだぞ、私よ。

Character2話【苦難1 ソーディアン】
イクスえっと、いま目の前にいるディムロスさんたちはソーディアンの人格の元となった人間、オリジナルの存在ということなんですね。
リオンそしてそのせいで具現化されてからずっと精霊装開発のためのデータサンプルとして帝国に囚われていた、と。
ディムロスそういうことだ。
カイル大丈夫だったんですか ! ?もしかして何か酷いことをされたんじゃ……。
ディムロス心配してくれてありがとう、カイルくん。私たちはこの通り無事だ。
シャルティエまあ、帝国の実験のせいで僕たちのソーディアンは人格機能が封じられちゃいましたけどね。
イクスなるほど。だから二人が持ってるソーディアンはしゃべらないんですね。
スタンなんかそれ……ちょっと寂しいな。
ディムロス別に嘆くほどのことはない。切れ味や強度に変化はなく、晶術も使用可能。武器としての機能は全て健在だからな。
ソーディアン・ディムロスそれに想像してみろ。もしこれ以上、我がいたらお前の頭はいったいどうなる。我としては機能が停止していてむしろ安心したぞ。
スタンそんなこと……うん、ごめん。俺も安心した。
カイルとにかく二人が無事でよかったですよ。
リオン…………。
スタンリオン。どうしたんだよ ?
リオンお前は何も気にならないのか。この二人は僕たちの時代より千年も昔の天地戦争時代から具現化された存在なんだぞ。
リオンならば何故、カイルたちと知り合いなんだ。そして互いに面識があるのならば何故僕たちのソーディアンはカイルたちを知らなかったのか。
ソーディアン・ディムロスそれは一理ある。我は我の剣として天地戦争を戦い抜いた。しかしカイルたちの記憶はない。
ソーディアン・アトワイトええ。私もよ。
ソーディアン・シャルティエ僕も同じです。
リオンお前たちについて不可解なことは山程ある。何故ソーディアンを持たない者が晶術を使えるのか、その他にも――
カイルけどオレたちは何もウソはついてないです !これだけは本当です !
ディムロスああ。カイルくんたちはハロルドの部下として地上軍に加わり、私たちと天地戦争を共に戦った。これは偽りのない事実だ。少なくとも私たちにとって。
リオンならば――やはり伏せている真実があるということだな。
リアラそ、それについては……。
スタン……リオン。もうその辺にしておかないか ?
ルーティ別にこの二人は捕虜じゃないんだしさ。ま、わかってると思うけど。
カイル……スタンさん、ルーティさん。
リオンふん……別に僕もこれ以上こいつらを問い詰めるつもりはない。
カイルえっと……つまり信頼してくれるってことですか ?
リオン別にいま聞き出す必要はないと判断しただけだ。それに、ロイドやクレスの世界のこともある。
リオン並行世界かつ過去の時間軸からの具現化など想像がつかないわけじゃないからな。勘違いするな。
カイルは、はい ! ありがとうございます !
ミリーナディムロスさんも構いませんか ?
ディムロスああ。私としても気になるところではあるが何やら込み入った事情があるのだろう。無理に聞き出すつもりはない。
ディムロスそれに私の場合は君たちではなく別の人物を問い詰めるべきだろうからな。
カイルハロルドですね。
シャルティエ…………。
ディムロスとにかく私から尋ねたいことは以上だ。君たちが村を探っていた理由も承知した。
イクスそれにしても驚きましたよ。武器を仕入れていたのは対帝国部隊を組織しようとしていたからなんて。
ディムロス帝国から逃亡をした後に色々と縁があってな。
シャルティエ同じように囚われていた人や帝国に家族の命を奪われた人たちと出会ってどうしてもって頼まれてね……はぁ。
ディムロスシャルティエ ? それは何に対する溜息だ ?
シャルティエち、違いますよ ! ただの深呼吸ですって !いやだなぁ、ディムロスは。あはは……ははは…………はぁ。
ソーディアン・アトワイトそうよ。この感じこそシャルティエだわ。なんだか懐かしいわね。
ソーディアン・ディムロスああ。地上軍での日々を思い出すな。少佐の階級を与えてしばらくしてから――
ソーディアン・シャルティエ二人とも その話はやめてくださいよ !少なくとも坊ちゃんの前では !
シャルティエうっ……あれは辛かった……。だいたいディムロスはアトワイトのことを――
ディムロス×2それは何の話だ ?
シャルティエ×2な、なんでもないです !
リオンお前たち ! うるさいぞ !話が進まないだろ !
ルーティ話って……他に何かすることあるの ?
リオンなければ、ディムロス中将がここまで内情を話したりはしないだろう。
ソーディアン・ディムロスそのとおりだ。組織を束ねるものとして相手がたとえ自分であっても。
ディムロスリオンくんだったか。鋭いな。ソーディアンの私の言う通りだ。では、歩きながら話すとしよう。

Character3話【苦難2 ディムロスの思惑】
イクスえっと……つまりは協定みたいなことでしょうか ?
ディムロスああ。単刀直入に伝えよう。私たち対帝国部隊はお前たちと協定を締結したい。
リオンなるほど。やはりそういうことか。
イクス俺は大歓迎だけど……どうなんだろう。いちおうジェイドさんたちにも相談した方がいいような……。
リオンこの件は僕が預かる。
イクスありがとう。なら、悪いけど頼むよ。リオンなら安心だ。
ルーティあんたもあっさりねぇ……。ま、こいつは適任だと思うけど。
イクス適材適所だよ。
スタンイクスも柔軟になったなぁ。ちょっと背も伸びたしさ。
イクスあ、ありがとうございます……。
カイル……いいなぁ。イクス。
スタン? カイル、どうした ?
カイルう、ううん。何でもないです。
リオンではディムロス中将。引き続き村まで案内を頼みます。
ディムロスもちろん村に案内するがその前に1ついいかい、リオンくん ?
リオン
ディムロスもちろん最低限の礼儀はある。だがここで立場や階級を気にすることはない。その方が、私も君という人間を早く理解できて助かる。
リオン……ああ。わかった。
ディムロスおっ。私たちが拠点としている村が見えてきたな。
シャルティエはぁ……やっと戻ってこれた……。
ディムロスではシャルティエ。一足先に行って出迎えの準備を進めておいてくれ。
シャルティエえっ……ぼ、僕ですか ?
ディムロスそれから後日開催される慰労会に皆も参加できるよう手配を頼む。顔合わせはしておいて損はないだろう。
シャルティエ………………了解です。
カイルディムロスさん。慰労会ってなんですか ?
ディムロス地上軍式短期新兵強化合宿、通称ブートキャンプを終えた隊員たちへのねぎらいみたいなものだ。
シャルティエおかげで僕はずっと休みなし……。僕に勇気がなくて有給申請できないのが原因って自覚はありますけどそれにしたって――
ディムロスシャルティエ、聞こえているぞ。
シャルティエなっ、違いますよ ! なんでもないですからね !慰労会はパーティみたいなものですし僕も楽しみだなぁとは言いましたけど他には何も !
ルーティちょっと待って、パーティってことは……とっても豪華な食事があったりするわけ ! ?
カイルうわぁ ! めっちゃ楽しみですね !
スタンよーし ! 今から腹をすかしておかなくちゃだな !
リオン……意地汚い奴らめ。
シャルティエはぁ……これはたくさん料理を用意しとかないと。料理が少なすぎるって絶対クレームくるもんな……。主に幹事である僕に……。みんなよく食べるからなぁ。
リアラ……シャルティエさん。その……何か手伝えることがあれば言ってくださいね。
ミリーナ私も料理だったら任せてください。
シャルティエありがとう……。そのときは相談するよ。それじゃあ、またあとでね。
ディムロスついたら茶を飲んで一休みしてくれ。その後、協定について話すとしよう。
リオンいや。茶の方が後だ。
ディムロスふっ……いいだろう。

Character4話【苦難3 シャルティエの悩み】
ディムロス物資、情報の共有についてもまとまったな。ひとまず私の方で協定書の作成を進める。
リオンわかった。だがその前にそちら側の戦力も確認しておきたい。
ディムロスいいだろう。ならば資料を持ってくる。ここで待っていてくれ。
イクスふぅ……これで協定周りは一段落か。コーキスに一報しないとな。……ちゃんと伝わるかな?
スタンこういう難しい話はよくわからないけどリオンがいると助かるな。
リオンお前たちに仕事を任せていてはいつまでたっても終わらない。僕はグズに歩調を合わせるつもりはないだけだ。
シャルティエ……だったらお茶くらい自分でいれればいいのに。さっきから偉そうにふんぞりかえってさ。なんで僕がこんなガキにわざわざ――
リオンガキ……だと ?
シャルティエい、いえ ! 何でもありません !お茶、ここに置いておきますね !口に合わなければ新しく用意するので言ってください !
ソーディアン・シャルティエ相手が坊ちゃんだとはいえ自分のことながら自分が情けない……。さすがに弱すぎるだろ……。
シャルティエ別に……どうせ僕にできることなんて雑用と長い物に巻かれることくらいだからね。ダメな奴と思われたって痛くも痒くもないよ。
シャルティエ隊員たちもディムロスのことばっか尊敬するしさ。僕に気を使って「シャルティエさんもいい人」とか言ってくれるけど、具体的には何もでてこない。
シャルティエようやく一人がいいところを答えたのが、金髪って……僕は銀髪なんだけどな……。まあ、きっと僕の髪は金髪に見える人には見える銀髪なんだろうね。
ソーディアン・シャルティエあああああっ ! もうやめろ ! !
ソーディアン・ディムロスシャルティエ、そこまで卑屈にならんでもいいだろう。
ソーディアン・アトワイトそうよ。気にしすぎじゃないかしら。
シャルティエうるさいな。放っておいてよ。今だから言うけど、僕、二人のことも苦手だったから。二人のあれやそれを見せつけられ続けた気持ちわかる ?
ソーディアン・シャルティエやめろって言ってるだろぉぉ ! ! ! !
二人…………。
ソーディアン・シャルティエち、違うんだよ ! ? 二人とも誤解なんだ !僕は全然そんなこと思ってないからね ! !ホント、僕には困ったものだよ……あははっ ! !
シャルティエあ、ごめん。ソーディアンの僕はうまいこと取り繕って仲良くやってたんだね。いざとなったらだんまりを決め込みそうではあるけど。
ソーディアン・シャルティエ坊ちゃん ! こいつを斬らせてください !僕の錆にしてやりましょう !
ソーディアン・シャルティエいや、けどこいつのせいで錆びるのはイヤだからやっぱり晶術でお願いします !さあ、いっぱつぶっ飛ばしてやりましょう !
リオンうるさいぞ、シャル。お前も出会ったときは――
ソーディアン・シャルティエあぁぁぁ ! ! 聞きたくない聞きたくない ! !どこかに行ってしまえ、僕と僕の過去 ! !
シャルティエ……わかったよ。行けばいいんだろ。どうせそろそろ慰労会の準備に戻らなくちゃだと思ってたんだ。
シャルティエミリーナさんとリアラさんとルーティさんが料理は手伝ってくれてるけど三人に任せきりも悪いからね。
イクスミリーナたちは料理が得意ですし任せても大丈夫だと思いますよ。
シャルティエそうなの ? けど、どうせ後で陰口とか言うんでしょ ?
シャルティエ料理全然手伝ってくれなかったとか、ソーディアンのオリジナルなら玉ねぎのみじん切りぐらいやれよとか。
カイルリアラたちが言うはずないですって……。
シャルティエけど人間って裏表あるからなぁ。ソーディアンの僕も大丈夫だと思う ?
ソーディアン・シャルティエ…………。
リオンシャル。どうした ?
ソーディアン・アトワイト機能を停止しているようね。
スタン狸寝入りの機能まであるのか。ソーディアンはすごいな。
ソーディアン・ディムロス断じてそんな機能はない。
シャルティエあーあ、僕も剣だったらこんな面倒な雑用やらずにすんだのに。というよりなんで少佐の僕が慰労会の幹事なんか――
ディムロスならば人々の剣らしく戦いの場へと赴いてもらうか。
シャルティエディムロス ! ?
ソーディアン・シャルティエディムロス ! ちょっと聞いてよ !さっきこいつが面倒くさい雑用を全部ディムロスに押し付けてやりたいって言ってたよ !
シャルティエそこまでは言ってな……じゃなくて !とにかく違うんですよ ! !
ディムロス慰労会の幹事は私が引き受けよう。もちろん恒例である幹事の開幕一発ギャグもこの私が責任をもって引き受ける。
シャルティエディムロスが一発ギャグも ! ?
ディムロス当然だ。引き受けた以上は全力を出す。その代わり、お前には私が行う予定だった偵察任務にあたってもらう。
ディムロス帝国兵と思わしき者たちが何やら不審な動きをしているという情報が入った。様子を探ってこい。
シャルティエふぅ。よかった。偵察任務くらいなら別に……。
ディムロスただし……あの三人組を連れて行け。
シャルティエあの三人組って……まさかあいつらですか ! ?
ディムロスそのまさかだ。
シャルティエなんでよりにもよってあの三人組なんですか ! ?勘弁してくださいよ ! !
カイルシャルティエさん……嫌がりすぎですよ。
ディムロス残念だな。当の三人組はシャルティエを非常に尊敬しているのだが。
スタンなんだよ。シャルティエさんにもそんな部下がいるんじゃないか。
シャルティエ……あれは尊敬していると言えるのか。
ディムロスでは任せたぞ、シャルティエ。あの三人組には私から伝えておこう。お前との任務、きっと喜ぶだろう。
シャルティエ胃が痛い……。
リオン待て。相手が帝国という話なら僕たちにも関わることだ。
リオン何か考えがあってのことだとは理解している。だが有益な情報が手に入るかもしれないにも関わらずこのシャルティエに任せるとはまさに愚の骨頂だ。
ソーディアン・シャルティエ僕も同感です。それに僕のことを尊敬する部下なんて絶対に変な奴らですよ。何かやらかすに決まってます。
シャルティエ二人ともちょっと酷すぎない ! ?
ディムロスつまりリオンくんも同行するということかな ?
リオンああ。あくまで鏡士側の人間として。
スタンリオンが行くなら俺も行くよ !
カイルじゃあオレも !イクスも来るよね ?
イクスああ。もちろん。いいかな ?
リオンああ。少数精鋭、僕とお前たちのフォーマンセルで向かうぞ。準備が整い次第、すぐに出発だ。
ディムロス本任務に関する資料は部下に届けさせる。あとは各々の判断に任せるとする……が、最後に1つだけ命令だ。
ディムロス生きて帰ってこい。
二人了解です ! !

Character5話【苦難4 ピエールの翼】
カイルいたよ、帝国兵たちだ。周囲を警戒しているみたいだね。
イクスつまり資料に書かれていた遺跡に帝国兵たちが潜んでるのは間違いないわけだな。けど、いったい何をしてるんだ……。
リオンまず遺跡周辺の警戒状況や侵入脱出経路を確認するため僕が一人で様子を見てくる。お前たちはここでおとなしく待機していろ。
スタンわかった。けど何かあったときは魔鏡通信ですぐに連絡してくれよ。
リオン言われるまでもない。尤も僕がヘマをやらかすなど万に一つもありえんがな。お前たちは待っている間に作戦の確認でもしていろ。
スタンああ。それじゃあ頼んだぞ。
シャルティエ…………はぁ。いいなぁ。リオン隊の方はまとまりがあって。
シャルティエ一方で、僕の部下三人組なんて絶賛遅刻中。こっちに向かってるみたいだけどいつまでたっても来ないしさ……。
ソーディアン・ディムロス任務にも関わらず遅刻とは感心せんな。いったいどのような人物たちなんだ。
カイルあれ ? この気配……何か近づいてきますよ !
シャルティエああ。ようやく来たみたいだね。はぁ……よかった。これで任務が続行でき――
シャルティエ隊隊員Aはーっはっは ! お待たせしました !シャルティエ隊長 ! !
シャルティエ隊隊員B我らシャルティエ隊長の忠実なる下僕 !
シャルティエ隊隊員C三人揃って !
シャルティエ隊隊員三人組俺たちピエール !ピエールの翼 ! ! イエイ !
スタンすごいな。全員ピエールさんって言うのか。
カイルスタンさん。それはたぶん違いますしツッコむところもそこじゃない気がします。
イクスえっと……その…………ダメだ。ごめん、ピエールの翼の皆さん。俺、こういうときのリアクションが苦手で……。
シャルティエイクスくん……こっちこそごめん。真面目に取り合わなくていいからね。全部スルーしてもらって構わないから。
シャルティエそれより……君たち。ピエールの翼はやめてくれって言っただろ。そんなもの僕は絶対に認めないからね。
ピエールの翼はい ! 認めてもらえるよう、今後も精一杯頑張ります !
シャルティエ絶対に認めないって聞こえなかった ! ?ダメだ、バルバトスと同じくらい話が通じない……。悪いけどもう帰って欲しくなってきたよ……。
ソーディアン・ディムロスシャルティエ。帰すも連れて行くも隊長であるお前次第だがひとまず遅刻の理由は聞いておくべきではないか ?
シャルティエ相手にしても話が長くなるし疲れるだけだから面倒なんだけど……これも隊長の義務だもんね。
シャルティエえっと、三人共。どうせろくでもない理由だろうし注意しても僕の言うことを聞いてくれないことはわかってるけど、どうして遅刻したか教えてくれる ?
ピエールの翼A遅刻の理由ですか ? 愚問ですね。
ピエールの翼B忌まわしき帝国兵をぶっ飛ばすため新技を考えていました。
ピエールの翼Cどうしても気になるようならお見せしましょう。みんな、あの岩に向かっていくぞ。
ピエールの翼超回転・ピエール・ド・トルネード ! !
カイルそれオレとスタンさんが考えた新技じゃないか !こらぁ、勝手に使うな~ ! !
リオン戻ったぞ。このままいけば帝国兵に気づかれず侵入できそう……っておい !何を遊んでいる !
スタンリオン、見てみろよ。三人の合体技なんだってさ。俺たちもカイルとやってみないか ?
リオン断る !
シャルティエというより岩じゃなくて僕の方に迫ってきてるんですけど !こっち来るな ! どれだけ命中精度悪いんだよ !
帝国兵どうした。訓練にしては騒がしい……なっ ! ?お前たちは何者だ ! ?
イクス帝国兵 ! ?
帝国兵おーい ! みんな !敵しゅ――
ピエールの翼くらえぇ ! !
帝国兵ぐはぁああっ ! ! ! !
イクスなんて威力だ ! 帝国兵がぶっ飛んでいったぞ !あんなに綺麗な放物線をみるのはディストさんぶりだ !
シャルティエはぁ……はぁ……。けど危ないから、もう絶対に使わないで。君たちも目が回ってるみたいだし。
ピエールの翼Aお言葉ですがそれはできません !この新技は我々にとって――
リオン……つかうな。
ピエールの翼……えっ ?
リオンつかうな。
ピエールの翼了解いたしました ! リオン隊長 !
シャルティエちょっ ! なんでリオンくんの言うことは素直に聞くんだよ ! ?本当に僕のこと尊敬しているんだよね ! ?
ソーディアン・シャルティエこれぞ人徳ってやつだよ。自分で言っててちょっと悲しいけど。
イクスえっと……いまのところ他の帝国兵たちは気づいてないみたいだし先に進まないか ?
ソーディアン・ディムロスじきに吹っ飛んでいった帝国兵が持ち場にいないことに他の兵が気付くだろうからな。そうすればあたりの警戒は強くなる。
リオン……となると予定していた侵入経路の使用はリスクが高すぎるか。安全な別経路は1つあるが……。
スタンリオン。どうしたんだよ。なんだか浮かない顔してさ。
リオン……なんでもない。行くぞ。

Character6話【苦難7 新兵器】
スタンそれにしてもさすがリオンだよな。周囲に流れる川から遺跡の地下に水脈があるはずだって気がつくなんてさ。
カイルおかげで無事に潜入できましたもんね。地下水脈をボートで進むのもちょっと楽しかったですし。
イクスけど……リオン、すごい顔色が悪くなってたよな。しばらくボートの見張りをしてから追いかけるって言ってたけど大丈夫なのか。
カイル乗り物酔いに効くツボを教えておいたんできっとすぐよくなるよ。まあ、リオンさんも知ってたんだけどさ。
シャルティエ本人は否定していたけど明らかに酔っていたからね。僕もまだちょっとだけ気持ち悪いぐらいだし。みんなピンピンしているのが不思議なくらいだ。
スタンシャルティエさん、もし具合悪いならボートに戻って休んでもらっても大丈夫ですよ ?
シャルティエそこまで重症じゃないから平気だよ。それにさ、休んでるわけにもいかないって。僕はいまスタンくんたちの隊長でもあるし――
リオン……スタンたちを頼んだぞ。
シャルティエあんなこと言われちゃったらな……。
ソーディアン・ディムロス…………。
スタンなんだ ? 変な装置が置いてあるぞ。それもこんなにたくさん。
シャルティエこれは !
カイルシャルティエさん、この装置が何かわかるんですか ?
シャルティエ具体的にどんな装置かはわからないよ。けど、たぶん……いやこれは間違いなく、軍事兵器だ。
イクス軍事兵器だって ! ?
ピエールの翼A軍事兵器 ! ? これが全部ですか ! ?そんなバカな !
ピエールの翼B……帝国の奴らめ。
ピエールの翼Cシャルティエ隊長。すべて破壊しましょう。
シャルティエダメだ。どのような軍事兵器か詳細がわからない以上、うかつに破壊するのは危険過ぎる。
ピエールの翼Aですが、こんなにたくさんの軍事兵器……人殺しのための道具を発見しておきながら何もせず帰ることなんてできませんよ !
シャルティエわかった ! わかったからあまり大声を出さないで――
帝国兵誰だ ! そこにいるのは ! ?
シャルティエあぁ……やっぱり見つかったよ !僕もこうなること予想はしてたけどさ !
帝国兵何者かわからんが……ふっ、ちょうどいい。新型兵器の実験材料を確保する手間が省けた。装置、起動っ ! ! 標的を破壊せよ。
イクス装置が変形した ! ?
ピエールの翼Aくそっ。何が実験材料だよ。ふざけんな ! いくぞ、ピエールの翼 ! !
ピエールの翼Bくらえっ ! ぶっ壊してやる ! !
ピエールの翼Cなっ ! どういうことだ ! ?攻撃がはじかれる !
イクスやっぱり ! この兵器から微かに魔鏡の力を感じる !恐らく特殊な魔鏡機器技術が組み込まれてるんだ !
ソーディアン・ディムロスなるほど。それにより兵器全体に魔術障壁が展開され攻撃を跳ね返しているわけか。小賢しい真似を。
シャルティエ! 三人共 !危ない、さがれ ! !
シャルティエはぁっ ! !
ピエールの翼……た、助かった。
シャルティエくそっ……思ってた以上に頑丈だな。
帝国兵設計は問題なし。魔術障壁も展開確認。ただし一定以上の衝撃には耐えられない、と。偉そうなことを抜かしていたが大したことないな。
帝国兵まあ、いい。最低限のデータは取れた。あいつにとっとと書類を提出してグラスティン様の研究をお手伝いしなくては。
カイルあっ ! おい、待て ! 逃げるな !
ソーディアン・ディムロスシャルティエ !あやつが手に持っていたのは兵器の設計図ではないか ! ?
シャルティエ手に入れたいところだけどさすがにこの数を相手にしてだと――
ピエールの翼A俺たちが――
シャルティエダメだ。さがっていろ。お前たちではこいつらは倒せない
ピエールの翼Bけど俺たちでも――
シャルティエさがっていろ。これは命令だ。お前たちの意見など聞いていない。いいか、もう二度と同じことを言わせるなよ。
ピエールの翼…………。
イクスな、なんだかシャルティエさん今までにないくらいキツイな……。
カイルオレも、あんなシャルティエさんははじめてみるよ。
シャルティエふんっ……これだからバカの相手は疲れるんだ。いくぞ、シャル。
スタンうん ? いまシャルって言ったよな。それによく考えると、さっきの台詞どこかで聞いたような――
カイル……ってリオンさんの真似だ ! !
シャルティエはぁ……緊張した。けど、とりあえずこれ以上場が混乱することはないから安心して。ちゃんと隊長としての務めを果たしたよ。
イクスお、お疲れ様です……。
シャルティエさあ、とりあえず目の前のこいつらをなんとかしよう !

Character7話【苦難8 シャルティエの苦難】
スタンくそっ。数が多すぎる。
カイルこのままじゃさっきの奴にも逃げられちゃうよ !
ピエールの翼…………っ。
シャルティエはぁ……まったく。
ソーディアン・ディムロスシャルティエ。あまり我はお前に対し口出しはしまいと決めているのだが――
シャルティエ……わかってますよ。ディムロスやリオンくんのように振る舞っても結局、僕はうまくいかないんだって。
シャルティエそれに……地上軍の頃から周りの目を気にして振る舞っていた代償ですかねぇ。気になってしかたないんですよ。
シャルティエ周りの人の……気持ちってやつに。
ソーディアン・ディムロス……シャルティエ。
シャルティエおいっ。三人とも。
ピエールの翼…………。
シャルティエさっきは悪かったよ。本心じゃないってば。君たちのこと、どうでもいいなんて思ってない。
シャルティエかといって君たちが大切かというとそうでもなくてまあ……割とどうでもいいかなぐらいかな。だけど、ちゃんと君たちのことはわかってるつもりだ。
シャルティエ君たちは大切な人たちを守るためなら「生きて帰ってこれなくていい」と本気で思ってる。まったく、無鉄砲な三人組なんだって。
シャルティエそう、だからディムロスではなく僕の部下になったのも当然わかってる。今は慕ってくれてるけどはじめは消去法で僕を選んだってことも。
ピエールの翼……シャルティエ隊長。
シャルティエ僕の部下なら僕の部下らしくしていろ。いつもは僕の命令なんて全然聞かないくせに何を素直に聞いてるんだよ。
シャルティエさあ ! あのバカげた新技をこいつらにお見舞いしてやれ !とにかく敵を四方に吹っ飛ばすんだ !
シャルティエその後のことは僕がなんとかする !いけ、ピエールの翼 !
ピエールの翼は、はいっ ! !
シャルティエみんな ! 作戦変更だ !スタンくんとカイルくんは妨害する兵器を破壊しつつさっきの帝国兵を追いかけ、設計図を奪取してくれ !
二人了解 !
シャルティエイクスくんは悪いけど僕と一緒に付き合ってもらうよ。
イクスええ。俺でよければ喜んで。
シャルティエうぅ……君みたいな素直な部下が欲しかった。
イクスはは。これはこれでシャルティエさんの部下らしくはないですけどね。
ピエールの翼Aスタンさん ! カイルくん !俺たちが道を開きます !いくぞ、お前たち !
ピエールの翼超回転・ピエール・ド・トルネード ! !
スタンいまだ ! いくぞカイル !
カイルはい ! いざとなったらオレたちも新技で切り抜けましょう !
スタンああ ! ピエールの翼には負けてられないからな !
ソーディアン・ディムロスやれやれ……では二人とも。ここは頼んだぞ。
シャルティエはい !
イクスよし、いくぞ ! ピエールの翼が新技で敵を分散させてくれてるいまがチャンスだ !魔術障壁で守備は硬いけど各個撃破していけば――
シャルティエって、おい ! 三人組 !いま迫ってるのは敵じゃなくて僕なんだけど !相変わらず命中精度が悪すぎだよ ! !
イクスシャルティエさん ! 後ろに敵が !
シャルティエダメだ ! 敵の攻撃までは避けられ――
? ? ?世話のかかる奴だな。
シャルティエリオンくん ! あ、ありがとう……。ははは……また情けないところを見られちゃったな。
リオンいや。お前にしてはまずまずなんじゃないか ?
シャルティエ……えっ。
ソーディアン・シャルティエもう。坊ちゃんってば。僕に対して甘すぎませんか ?そりゃ僕は嬉しいですけど一方でなんだか複雑だったりも……。
リオン別に僕は普通だ。余計なお喋りなら後にしろ。
シャルティエいまはこいつらに集中して一気に片付けちゃおう !
ソーディアン・シャルティエそれはわかってるけど……って、ちょっと僕 !なに坊ちゃんと意気投合してるんだよ ! ?
リオンさあ、いくぞ !僕たちの力を見せつけてやろう、シャル !
シャルティエ×2はいっ ! !
ソーディアン・シャルティエって、お前はシャルじゃなーい ! !

Character8話【苦難8 シャルティエの苦難】
シャルティエ報告は以上です。
ディムロス皆、ご苦労。まさか敵の新型兵器の設計図やその他機密情報まで入手してくるとは思わなかったぞ。
カイルけど悔しいな。もうちょっとで実験を率いていた帝国兵も捕らえられそうだったのに。まさか隠し通路があったなんてさ。
ディムロスいいや、これでも十分な成果だ。またカイルくんに助けられたよ。
カイルそ、そんな。天地戦争のときも含めてオレだけの力じゃないですから。
ディムロスほう。その返事はカイルくんくらいの年齢でなかなかできるものではない。誰でも戦果を誇示したくなるものだからな。
ディムロスしばらく会わない間にまた成長したようだな。
カイルな、なんか照れちゃうな……。
スタンディムロスさんはソーディアンのディムロスと同じできっとお世辞で人を褒めたりはしないよ。もっと堂々と誇っていいんじゃないか ?
カイルそれじゃあ……今回はちょっとだけ !あとでリアラにオレの活躍を話そうっと !それにアジトに帰ったらジューダスにも !
ディムロスシャルティエ。
シャルティエなんですか ?
ディムロスあの三人組が隊全員に話していたぞ。例の厄介な兵器を相手にしても動じずお前の見事な指揮で危機を切り抜けられたと。
シャルティエ僕は指揮なんてした覚えないです。その場にあわせて行動しただけですよ。
ディムロスいや。それがお前らしい見事な指揮だということだ。よくやったな、シャルティエ。
シャルティエえっ……あぁ……。ありがとう、ございます。
リオンふっ……。
ソーディアン・シャルティエ坊ちゃん。今気づいたんですけど昔の僕をみて少し楽しんでました ?
リオンさあ。どうだろうな。
イクスさてと。無事に協定も締結できたことだしこれでようやく一段落か。
シャルティエまあ……手に入れた資料から新たな悩みのタネができましたけどね。
カイル悩みのタネ ?
ディムロスあの装置の開発者は――恐らくハロルドだ。
カイルハロルド ! ? ハロルドってオレたちが知ってる、あのハロルド ! ?
スタンカイルたちの仲間なんだよな ?なんで帝国の兵器を開発してるんだよ。
カイルきっと脅されて仕方なく開発してるんだ。くそっ……はやく助けてあげたいな。
ディムロス……脅されてか、あるいは。
カイルディムロスさん ?
ディムロスいや、これ以上はただの憶測だ。やめておこう。
ディムロス先程も伝えた通り、私たちは引き続きこの村を拠点として部隊を率い活動していくつもりだ。
ディムロスハロルドの件も調査事項に加えておこう。協定のとおり何かあればそちらにも情報を共有する。
イクスはい。よろしくお願いします。
ルーティちょっと、あんたたち。いつまで話し込んでるのよ。そろそろ慰労会の時間でしょ。
リアラ料理の用意もできたわ。
ミリーナこっちの準備はバッチリよ。
カイルやった ! パーティだ ! !
スタンよーし ! たらふく食べてやる !
ディムロスでは向かうとしよう。幹事が開催時間に遅れるわけにはいかんからな。
シャルティエディムロス。本当に一発ギャグをやるんですか ?
ディムロス当然だ。すでに準備はできている。シャルティエ、見ていろ ?
ディムロスこほん。皆、待たせたな。
隊員おっ、きたきた。ディムロスさんだ。
ディムロスでは恒例の幹事一発ギャグからはじめさせてもらおう。
一同……ごくり。
ディムロスソーディアン
ディムロスディムロス ! !
一同………………。
一同あははは…… ! !
隊員やっぱりディムロスさんは最高だな !強くて、頼りになるし、それに面白いときた !
隊員一発ギャグも完璧だなんてさすがだぜ ! !
リアラすごい盛り上がってるわね。
カイルやっぱりディムロスさんって人気者なんだな。
シャルティエ……またディムロスか。はぁ、やっぱり僕が幹事やればよかったかな。
隊員シャルティエさん !ディムロスさんの飲み物なくなったから追加で !
シャルティエえっ……いや、なんで僕が。そういうのは幹事の――
隊員シャルティエさん ! こっち食べ物 !
隊員こっちにはデザート持ってきて !
シャルティエなんで僕は幹事じゃないのにこういう扱いなんだ ! !わかったよ、やればいいんでしょ !
リアラシャルティエさんも大人気ね。
カイルああ。ディムロスさんとは違う方向でだけど。
シャルティエいつか全員見返してやるーー ! !