| Character | 1話【ハロウィン1 ヴァンパイア・レディ】 |
| セネル | ……目を覚ますとそこはハロウィンモードの街だった。状況を整理するとこういうことか。 |
| エミル | 訳がわからないよ !さっきまで僕たち、アジトの談話室でお茶してたよね ! ? |
| セネル | ああ。そこまではハッキリと覚えている。だがしばらくしたら、いきなり強い眠気に襲われ気がつけば、何故かこんな街の中にいたって訳だ。 |
| エミル | どういうことなんだろう……。なんだか悪い夢を見せられてる気分だよ。 |
| コーキス | あっ……わかったぞ !ここって夢の中なんじゃないか !マスター、試しに俺の頬をつねってくれよ。 |
| イクス | いや、実はさっき俺も自分の頬をつねってみたんだ。念には念を入れて、ちょっと強めに両頬をグイッと。 |
| セネル | その頬の赤みを見る限りちゃんと痛みはあったようだな。 |
| イクス | ああ。今もちょっとヒリヒリするけどこの痛みのおかげでわかったよ。ここは、夢なんかじゃない。 |
| 一同 | ……現実のティル・ナ・ノーグ。 |
| セネル | ……ちょっと待て。理解がおいつかない。俺たちはいったい何に巻き込まれているんだ ? |
| エミル | ハロウィンのイベント……なのかな ?よく見たらここ、去年もハロウィンをやっていたセールンドの新興街みたいだし―― |
| ? ? ? | それ以上の詮索はしないことね。さもなければ……ふふっ、血を吸うわよ ? |
| エミル | えっ、その声は ! ? |
| マルタ | 今夜はキミが獲物なの…… ? |
| エミル | マルタ ! ? それにテネブラエ ! ? |
| マルタ | じゃじゃーん。どうどう、似合ってるかな ? |
| エミル | う、うん。すごくいいと思う。けど、ちょっとだけ目のやり場に困るっていうか……。 |
| マルタ | もう、恥ずかしがらずにちゃんと見てよ。エミルに見てほしくて頑張って衣装のデザインを考えたんだからね。 |
| エミル | そ、そんなこと言われても……。というかなんで吸血鬼の仮装なんかしてるの ? |
| テネブラエ | おっと、エミル様。これは仮装ではありませんよ。何故なら今のマルタ様は闇の眷属。本物の吸血鬼なのです。 |
| マルタ | うん。今の私は吸血鬼モードのマルタなんだ。 |
| エミル | 吸血鬼モード ! ? |
| マルタ | あっ、いけない。ちょっと待ってね。まずはエミルたちにこのゲーム……じゃなかったこの世界について説明しなくちゃ。 |
| テネブラエ | マルタ様。カンペはこちらですよ。 |
| マルタ | ありがとう、テネブラエ。こほん……それじゃあ説明するね。 |
| マルタ | ここは闇の世界。恐怖の王国ハロウィンキングダム。あなたたちの目的は、ハロウィンの悪魔に攫われた可憐な乙女たちを救い出すことです。 |
| マルタ | ですが、ハロウィンの悪魔により乙女たちには闇の呪いがかけられてしまっています。このままでは乙女たちが闇に飲み込まれてしまう。 |
| マルタ | そんな乙女たちを救う方法が一つだけあるの。それは伝説のお菓子【キュアスイートパンプキン】を食べさせてあげること ! |
| エミル | 色々とつっこみたいことはあるけど……僕たちはまずそのキュアスイートパンプキンを手に入れればいいってこと ? |
| マルタ | その通り ! キュアスイートパンプキンはこの街のどこかに隠されてるよ。頑張って見つけて乙女にかけられた闇の呪いを解いてあげてね。 |
| マルタ | さもなければ……トリック・オア・トリート。イタズラされても文句は言えないんだから。 |
| エミル | イ、イタズラって ? |
| マルタ | さぁ~。どんなイタズラだと思う ?今宵の私はわる~い吸血鬼。血を吸われるだけじゃすまないかも……ふふふっ♪ |
| エミル | ちょ、ちょっとマルタ ! ?なんだか目が怖いんだけど !ラタトスク、交代交代 ! ! |
| ラタトスク | お、おい ! こんな時に俺を使うんじゃねぇ ! |
| マルタ | もう、二人とも。冗談だってば。 |
| コーキス | そ、そうなのか。エミル様の演技力に負けないくらいの迫真の演技だったけど……。 |
| テネブラエ | ひとまず私たちからの説明は以上です。詳しくはこちらのリーフレットに記載されていますので、どうぞご確認を。 |
| コーキス | あ、ああ。ありがとう。 |
| イクス | 何々……「無事脱出できたらハロウィングッズをプレゼント。抽選で豪華景品があたるチャンスも ? 」か。 |
| セネル | って、これただの脱出ゲームだよな ! ? |
| テネブラエ | 失敬な ! ここは闇が支配する恐怖の王国ハロウィンキングダム !断じて脱出ゲームなどではありません ! |
| マルタ | 苦しい、闇の呪いで苦しいわ、ラタトスク !さっきそこに置いておいたキュアスイートパンプキンではやく吸血鬼モードの私を助けて ! |
| マルタ | そして一緒にハロウィンを楽しみましょう ! |
| ラタトスク | ……アホらしい。だが、それがマルタの願いだっていうならやってやる。 |
| ラタトスク | 今その呪いとやらを解いてやるからな、マルタ ! ! |
| Character | 2話【ハロウィン1 ヴァンパイア・レディ】 |
| マルタ | さすがパティスリー・ロンドの特製パンケーキ !キュアスイートパンプキン、とっても美味しい ! |
| ラタトスク | ったく。手間かけさせやがって。これでお前にかけられていた闇の呪いは解けた……ってことでいいんだな ? |
| マルタ | そういうこと !助けてくれてありがとう。 |
| テネブラエ | 闇の吸血鬼モードで浮かれたマルタ様をこれ以上見ることができないのはつまら……残念ですがこれにて脱出成功となります。 |
| ラタトスク | ようやくこのくだらねぇ場所ともおさらばできるってわけか。 |
| マルタ | それじゃあ、あっちのゲートからハロウィンキングダムの外に出よっか。今度は私がお菓子を食べさせてあげるからね。 |
| ラタトスク | ――ちょっと待て。そのお菓子っていうのは、まさか……。 |
| マルタ | 私の手作りだよ ! せっかくのハロウィンだからエミルとラタトスクに食べて欲しくてたくさん作ってきたんだ ! |
| ラタトスク | ……チェンジだ、エミル。俺は少し休ませてもらう。せいぜい頑張れよ。 |
| エミル | ちょっ ! ? ラタトスク ! ?ここで僕に交代なの ! ? ずるいよ ! ! |
| マルタ | もう。ラタトスクってば恥ずかしがり屋さんなんだから。それじゃあ、エミル♪ 早く行こう♪ |
| エミル | ちょ、マルタ ! ? そのお菓子は味見したんだよね ! ?ちゃんと味見はしたんだよね ! ? |
| セネル | ……エミルの悪夢はまだまだ続きそうだな。 |
| イクス | はは……。そういえば、テネブラエは一緒に行かないのか ? |
| テネブラエ | エミル様が苦しむ姿を見るのは忍びないですし私はここのキャストもとい闇の世界の住人ですから見回り業務など、まだまだやることもあるのですよ。 |
| テネブラエ | 何より私はこの闇の世界を非常に気に入っています。やはり闇はいい……!最後の最後まで、私はこの世界にとどまるつもりです。 |
| セネル | 好きにすればいい。俺はそこの緊急避難扉から帰らせてもらうがな。 |
| テネブラエ | なんと ! セネルさんは闇の世界がお気に召さないのですか ! ? |
| セネル | 当たり前だ。こんなことにはもう付き合っていられない。 |
| ? ? ? | あらら、セネセネってば本当にこのまま帰っちゃっていいのかな ? |
| セネル | その声とその呼び方……まさか ! ? |
| ノーマ | ちっす ! 久しぶり、セネセネ。ハロウィンは楽しんでる ? |
| セネル | ノーマ ! お前、何でこんなところにいるんだ ! ? |
| ノーマ | そりゃここにいるのは当然でしょ。今のあたしは闇の世界の住人なんだもん。 |
| ノーマ | 今宵のあたしは小悪魔ノーマ。あたしの魅力でセネセネをメロメロにしちゃうぞ♪ |
| セネル | あのなぁ。そんなことはどうでもいいんだ。 |
| ノーマ | どうでもいいってことはないでしょ ! ?「可愛いよノーマ」とか「似合ってるぜノーマ」とかもうちょっと何かあるでしょ ! |
| ノーマ | それともあたしに魅力がないとでも言いたい訳 ! ?グー姉さんぐらいないと何を着ても無意味だとでも言いたい訳 ! ? |
| セネル | お前はいったい何の話をしているんだ。 |
| イクス | えっと……もしかしてセネルの仲間のノーマさん ?だとしたらはぐれ鏡映点だよな?だったら―― |
| ノーマ | あ、具現化のこととかなら大丈夫。リナっちから色々説明は受けてるから。 |
| イクス | 「リナっち」って……もしかしてミリーナのことか ! ? |
| ノーマ | 正解 ! さすがイっくんだね !カーりゃんから、そっちのコーくんの話も聞いてるよ。二人とも、よろしくね ! |
| イクス | ……イっくん……。 |
| コーキス | カーりゃん……コーくん……。 |
| ノーマ | テネテネもお仕事お疲れ様。みんなで頑張ってハロウィンを盛り上げようね。 |
| テネブラエ | はい。闇の素晴らしさを皆さんに知っていただくためにもこのテネブラエ、全力で臨みましょう。 |
| ノーマ | あたしは闇の住人としてのお仕事とかみんなにあだ名をつけたりとかで忙しいからもう行くね。それじゃあハロウィンを楽しんで ! |
| セネル | 誰がこのまま行かせるか ! |
| ノーマ | もう。どったのセネセネ。あたしは別に具現化についての説明は必要ないって言ったでしょ ? |
| セネル | お前に説明が必要なくても俺たちにはお前から諸々説明してもらう必要がある。 |
| ノーマ | 仕方ないなぁ……ここは闇の世界。恐怖の王国ハロウィンキングダムで―― |
| セネル | そっちについての説明じゃない !何故お前がここにいて、ミリーナやテネブラエと知り合いなのかについてだ ! |
| ノーマ | わかった ! わかったから落ち着いてよ !ちゃんと説明するってば ! |
| Character | 3話【ハロウィン2 お宝を探せ!】 |
| セネル | つまりお前はファントムにより具現化された鏡映点で具現化後はトレジャーハンターとして世界のあちこちを巡っていたという訳か。 |
| イクス | それで偶然この街でミリーナやシャーリィたちと出会って一緒にハロウィンの準備をするに至ったと。 |
| ノーマ | ざっくり説明するとそんなとこ。テネテネとも協力してハロウィンキングダムとか闇の呪いとか色々考えていったんだ。 |
| テネブラエ | 他にも闇にまつわる裏設定が山程あるのですが複雑過ぎるということでほぼ全てお蔵入りに……。いつか闇の設定に光があたる時が来るといいのですが。 |
| セネル | ともかく事情はわかった。ノーマが俺たちを巻き込んだ犯人だったということもな。 |
| ノーマ | こっそり物陰から見ていたんだけど目を覚ましたときのセネセネの顔とっても面白かったよ。 |
| テネブラエ | はい。それにエミル様の反応もなかなかでした。 |
| ノーマ | 作戦大成功だね ! |
| セネル | それはよかったな。それじゃ。 |
| ノーマ | ちょっと、セネセネ ! どこ行くの ! ? |
| セネル | 俺はアジトに帰らせてもらう。 |
| ノーマ | なんでよ ! ?キュアスイートパンプキンを見つけて呪われた乙女を助ける使命はどうする気 ! ? |
| セネル | 俺には関係ない。 |
| ノーマ | そっか。つまり、あたしやリッちゃんたちが闇に飲まれてもいいって言うんだね。これを知ったら、みんな悲しむだろうなぁ。 |
| セネル | ちょっと待て !シャーリィもこのゲームに参加してるのか ! ? |
| ノーマ | リッちゃんだけじゃなくクーとグー姉さんもだよ。 |
| セネル | グリューネさんはわかるがクロエまでもか。あいつら何やってるんだ。 |
| テネブラエ | 恐らく察していると思いますがミリーナさんとカーリャさんも参加しています。今こそ使命を果たす時ですよ、お二方。 |
| イクス | 俺とコーキスでキュアスイートパンプキンを見つけてミリーナとカーリャを救い出せばいいんだな。 |
| コーキス | 面白そうじゃん!マスター ! 一緒に頑張ろうぜ ! |
| イクス | ああ、たまには息抜きも大事だしな。よければセネルも一緒にキュアスイートパンプキンを探さないか ? |
| セネル | キュアスイートパンプキンを食べさせればいいなら別に俺がやらなくちゃいけない訳じゃないだろ。 |
| テネブラエ | いえ。先程渡したリーフレットを確認してください。 |
| ノーマ | 「同じ世界の出身者同士でしかキュアスイートパンプキンを食べさせることができない」と書いてるんだからね ! |
| イクス | あっ。本当だ。すっごく小さい文字だけどちゃんと書いてある。 |
| セネル | こんなの気付くか ! |
| ノーマ | けど、これでわかったでしょう。あたしを含めて四人が闇の呪いに苦しんでいる。それを助けられるのはセネセネだけってことが。 |
| ノーマ | それなのに、あたしたちを見捨てるって言うの ?あたしやリッちゃんたちが闇に飲まれてもいいって言うの ! ? |
| セネル | わかったから静かにしろ。シャーリィが参加してるという話なら仕方ない。俺もキュアスイートパンプキンを探してやる。 |
| ノーマ | さすがセネセネ ! そうこなくっちゃ ! |
| セネル | ということだ。イクス、俺も同行させてくれ。 |
| イクス | もちろん。それに四人分のキュアスイートパンプキンを一人で見つけるのは大変だろうからさ。俺にも手伝わせてくれよ。 |
| コーキス | 俺も俺も ! |
| セネル | ウィル、ジェイ、モーゼス……。俺以外の男は全員いないからな。正直とても助かる。 |
| テネブラエ | よかったですねぇ、ノーマさん。ゲームに巻き込むことができて。 |
| ノーマ | うん。よかったよかった。それじゃああたしはそろそろ―― |
| セネル | 待て。お前は俺と一緒に来てもらう。 |
| ノーマ | なんでさ ! ?あたしだって闇の呪いに苦しむ乙女なんだけど ! ? |
| セネル | 誰が乙女だ。バカなことを言ってないで手伝え。それで俺たちを無理やり巻き込んだことは帳消しにしてやる。 |
| ノーマ | まったくもう。セネセネってば強引なんだから。あたしだってやることがあるのにさ。 |
| ノーマ | 言っておくけど、キュアスイートパンプキンの隠し場所は知らないからね ?それはあたしの担当じゃなかったから。 |
| セネル | 別にいい。お前を側に置いておくのはまた余計なことをしないよう見張っておくという意味合いもあるからな。 |
| ノーマ | あんたはあたしの保護者か。けど……まあ、いいよ。特別に手伝ってあげる。 |
| ノーマ | セネセネと一緒にいれば『甘~いスイーツ』にも辿り着けそうだし。 |
| コーキス | 甘~いスイーツ ?キュアスイートパンプキンのことか ? |
| ノーマ | ひ・み・つ。 |
| セネル | 面倒な奴だな。 |
| テネブラエ | とにかくまずはハロウィンキングダムの中心地に向かいましょう。 |
| セネル | ああ。キュアスイートパンプキンとやらの隠し場所の手がかりを見つけないといけないしな。 |
| Character | 4話【ハロウィン4 闇の使い?】 |
| セネル | はぁ……はぁ……なんなんだこの屋敷は。トラップだらけじゃないか。 |
| テネブラエ | 何度も池に落とされてなんともイケずなトラップですねぇ ! |
| イクス | はいはい。池だけにな。――ところで本当にこの屋敷のどこかにキュアスイートパンプキンが隠されてるのか ? |
| セネル | 集めたヒントによればその筈だ。 |
| ノーマ | 虎穴に入らずんば虎子を得ずよ。トレジャーハンターなら勇気を持って前に進まなくちゃ。 |
| イクス | ……勇気か。さすが本物のトレジャーハンターだな。俺たちよりも肝が座ってるよ。 |
| コーキス | ああ、頼りになるぜ ! これは何かあってもノーマ様が助けてくれそうだな。よし、どんどん奥に進もうぜ ! |
| ノーマ | 待って ! 人の気配がする ! |
| クレス | あれ ? イクスとセネルじゃないか。 |
| セネル | クレスたちか ! ? |
| チェスター | お、コーキスとノーマも一緒みたいだな。 |
| クラース | まさかこんなところで会うとは思わなかったぞ。お前たちもキュアスイートパンプキンを探してこの屋敷を探索中なのか ? |
| ノーマ | そうだよ。クレすんにチェス、それにラースんもだよね ? |
| セネル | だからなんでお前はすでに他のアジトメンバーとも知り合いなんだよ……。 |
| クレス | このゲームに参加する時にミリーナから紹介されたんだよ。 |
| クレス | それより、丁度よかった。ちょっと困っていることがあるんだ。この扉、鍵がかかっていて奥に進めないんだよ。 |
| クラース | 扉の横の装置に、押してくださいと言わんばかりの怪しいボタンが五つあるのだがどれを押しても扉は開かなかった。 |
| チェスター | どのボタンもトラップだったからな。ピコピコハンマーが落ちてきたり吹き矢が飛んできたり……酷い目にあったぜ。 |
| イクス | 全てのボタンがトラップ……。じゃあ扉のロックを解除するのは別の方法を探す必要があるのか……。 |
| ノーマ | まあ、見てなさいって。こういうときの鉄則はただ一つ。 |
| クレス | ノーマ。何か策があるのかい ! ? |
| ノーマ | あたしを誰だと思ってるの。トレジャーハンターよ ? |
| セネル | ……ノーマ、お前まさか。 |
| ノーマ | こういうときは……全てのボタンを押してみるに限る !えいっ……ポチポチポチポチ、ポチっとな ! |
| セネル | バカ ! それは罠を解除してるとは言わな―― |
| イクス | あっ ! 扉が開いたぞ ! |
| チェスター | おいおい ! 奥の祭壇に置かれてるのってキュアスイートパンプキンじゃねぇか ! |
| ノーマ | えっへん ! どんなもんだい ! |
| セネル | ウソだろ。あのノーマが普通にトラップを解除するなんて。 |
| ノーマ | ちょっと。それがトレジャーハンターの先輩でありししょーに対する態度 ?もうちょっと感謝の意を示しなさいよ。 |
| チェスター | サンキュ、ノーマ。というわけでとっととキュアスイートパンプキンをいただいちまおうぜっと―― |
| イクス | うわっ ! な、なんだ ! ?急に扉が閉まったぞ ! |
| クレス | あれ……開かない……。 |
| クラース | 閉じ込められたようだな。 |
| ノーマ | トラップだったみたいだね。 |
| セネル | 結局そういうオチかよ ! |
| チェスター | キュアスイートパンプキンも消えてるじゃねぇか。なんて手の込んだトラップなんだ……。いったい誰だよ、こんな屋敷を作ったの。 |
| クレス | あれ……そういえばこんなことが元の世界でも……。 |
| すず | よくここまで辿り着きましたね。 |
| クレス | すずちゃん ! ? |
| すず | 今宵の私はすずではありません。闇の使いです。 |
| アーチェ | 闇の魔女も一緒だよ !すずちゃんが忍者の技術の粋を尽くして作ってくれたトラップ屋敷は楽しんでくれた ? |
| チェスター | アーチェ ! お前も一緒だったのかよ ! |
| コーキス | っていうか、このトラップ屋敷すず様が作ったのかよ ! ? |
| イクス | ……すずちゃん、凄すぎる。 |
| すず | 忍者……いえ、闇の使いですから。 |
| ノーマ | それにしても……すずっち、アーぽん。このトレジャーハンターであるあたしをトラップにはめるなんてなかなかやるわね。 |
| セネル | いや、お前はしょっちゅうトラップに引っかかってるけどな。 |
| クレス | 僕たちにはキュアスイートパンプキンで仲間を呪いから解放するという使命がある。たとえ脱出ゲームでもね。 |
| チェスター | ミント、ロディ、アミィは助けた。残るはお前たち二人だけって訳だ。 |
| クラース | さあ。このトラップを解除してもらおう。 |
| アーチェ | なら最後に、恐怖の試練を受けてもらうわよ !これをクリアできればキュアスイートパンプキンもあげるけど、どうする ? |
| クレス | もちろん ! 受けて立つ ! |
| アーチェ | ならこれを見るがいいわ ! |
| クレス | なんだ……どこからかスパイシーで食欲をそそられる香りが……。 |
| すず | 最後の試練。それはこのカレーを完食することです。 |
| ノーマ | へぇー ! おいしそー ! |
| すず | ですが、これはただのカレーではありません。激辛カレーです。 |
| ノーマ | えっ……激辛なの…… ? |
| アーチェ | この激辛カレーを食べきらない限りキュアスイートパンプキンは手に入らないわ ! |
| クレス | この辛い『カレェ』を……。 |
| チェスター | あっ、クレス !それオレが言おうとしたのに !くっそ……先を越されちまった ! |
| テネブラエ | クレスさんも中々やりますねぇ…… !素晴らしいダジャレ反射神経です。 |
| クレス | はは……そんなに『華麗』だったかな ? |
| チェスター | あぁっ ! また言われた ! !こっちの世界に来てからクレスのダジャレの腕がどんどん上がってやがる ! |
| クラース | お前たち。もうやめるんだ。これ以上は周りが凍えてしまう……。 |
| セネル | まあ、激辛カレーを食べるのにはちょうどいい。こいつで身体を温めるとしよう。 |
| コーキス | よし。それじゃあみんなで―― |
| 一同 | いただきます ! ! |
| すず | ……あ、あの……水が欲しければ言ってくださいね ?自分で作っておいてなんですがそのカレー、本当に辛いですから……。 |
| セネル | …………いや、そんなに辛くないけどな。 |
| すず | なっ ! そんな筈は !やりすぎたかと思いリンゴで辛さを中和したとはいえこの激辛に耐えるなんて……皆さん忍者ですか ! ? |
| セネル | これ激辛というより完全に甘口だろ ! !中辛にも達してないぞ ! |
| ノーマ | けど、この絶妙な辛さがいいよね !それにこのルーの独特なコクが最高だよ ! |
| クラース | すずの里でよく使われていたダシの技術をカレーに応用したというわけか。うん、これはなかなかいけるな。 |
| クレス | さすがすずちゃん。料理がうまいなぁ。 |
| すず | そ、そうですか。喜んでいただけたなら嬉しいですが……。 |
| チェスター | どっかの誰かにも見習ってほしいぜ。 |
| アーチェ | なんであたしを見るのよ ? |
| イクス | よし。ごちそうさまでした。みんなも……食べ終わったみたいだな。 |
| すず | で、では……キュアスイートパンプキンです。どうぞお受け取りください。 |
| テネブラエ | さて。また闇の同胞を失うのは残念ですがいまこそ二人の呪いを解く時です !皆さん、準備はよろしいですね ? |
| クレス | ああ、もちろんだ !すずちゃん、アーチェ !今、助けるぞ ! |
| Character | 5話【ハロウィン4 闇の使い?】 |
| イクス | よし。キュアスイートパンプキンを手に入れたぞ。 |
| コーキス | これでミリーナ様とパイセンを助けられるな、マスター ! |
| すず | 皆さん、ありがとうございました。おかげで闇の呪いが解けました。 |
| クレス | どういたしまして。僕たちの方こそ美味しいカレーをありがとうね。 |
| アーチェ | あたしもさっき一口食べてみたけどすっごく美味しくてびっくりしちゃった ! |
| ノーマ | ホント。これ何杯でもいけるよ。おっかわり~ ! ! |
| セネル | お前はそれで何杯目なんだ……。まあ、このカレーの旨さなら理解できなくもないが。 |
| すず | ……そんなに美味しかったんですね。なんだかそこまで言われると自分でも気になってきました……。 |
| テネブラエ | 人は知らない間に大人の階段を登っているもの。すずさんは辛いものが苦手なようですが知らない間に辛味を克服しているかも知れませんよ。 |
| すず | なるほど。それは一理あります。 |
| チェスター | すず、カレーにチャレンジするのか ? |
| クレス | 無理することもないと思うけど。 |
| すず | いえ。これは私にとっての試練。それに、皆さんが褒めて下さった味にも興味があります。 |
| すず | ノーマさん、一口もらえますか ? |
| ノーマ | すずっちの覚悟は受け取ったよ。それじゃあ、ちょっとだけ……はい、あ~ん。 |
| すず | で、では失礼して。 |
| すず | はむっ……………。 |
| ノーマ | どう ? |
| すず | …………。 |
| コーキス | 何も変わってないみたいだけど……。 |
| クラース | ……すず、大丈夫か ? |
| すず | こ、これしき……。忍者……ですから……。 |
| クレス | 我慢してたのか ! ?声が普通の状態じゃないぞ ! ? |
| チェスター | 早くすずに水を……って、こんな時に水がない ! |
| クラース | 待っていろ、すず !今、ウンディーネを召喚して―― |
| アーチェ | それはやめて ! また流されちゃう ! |
| ノーマ | すずっちは甘党なんだよね ! ?水がないなら代わりに甘いもの――これだ ! ! |
| すず | はむっ……。 |
| すず | …………ふわぁ、美味しい。 |
| 一同 | …………ふぅ。 |
| ノーマ | 間一髪だったね、セネセネ。 |
| セネル | って、すずに食わせたの俺のキュアスイートパンプキンだぞ ! ! |
| ノーマ | あっ……。 |
| すず | セ、セネルさん。すみません。 |
| セネル | いや。すずが気にすることじゃない。美味しいカレーを食べさせてくれたお礼と考えれば安いものだ。 |
| ノーマ | そうそう。だから謝らなくていいんだよ ?今のあたしみたいに堂々としていればいいの。 |
| セネル | 緊急事態だったから許すがお前は少しくらい申し訳無さそうにしろ ! |
| イクス | なぁ……それより時間は大丈夫か ?セネルはあと四つもキュアスイートパンプキンを集めなくちゃいけないんだろ。 |
| セネル | そうだな。今は言い争いをしている時間も惜しい。だがどこを探せばいいのか……。 |
| すず | それならこの先にある森のゾーンに行ってみてください。 |
| アーチェ | 確かに。あの森なら見つかるかもね。けど……ふっふっふっ。 |
| セネル | おい。なんだ、その不敵な笑みは。 |
| アーチェ | だってあの森は……魔女の森なんだもん。 |
| Character | 6話【ハロウィン8 森の魔女】 |
| ノーマ | セネセネ。さっき魔鏡通信があったんだけどイっくんとコーくんはリナっちとカーりゃんの呪いを解いて、無事に脱出したみたいだよ。 |
| セネル | それならよかった。ずっとあの二人を付き合わせるのも悪いからな。 |
| テネブラエ | 私もお手伝いいたしますのであとは三人でキュアスイートパンプキンを探しましょう。 |
| ノーマ | ――と、話している間に到着 !ここがすずっちとアーぽんが言っていた魔女の森だね。 |
| テネブラエ | ここにも闇を感じます。ああ、実に心地いい……。 |
| セネル | 今度は何が待ち受けているやら……。 |
| ? ? ? | うん ? そこにいるのは―― |
| ノーマ | ロイどん ! ジニ坊 !二人ともお疲れ ! |
| セネル | だからなんで、すでに知り合いなんだよ……。 |
| ロイド | ノーマにセネルにテネブラエか。お前たちも魔女の森でパンプキンなんちゃらを探してるのか ? |
| セネル | キュアスイートパンプキン、だ。その様子だと、そっちもまだ見つかってないみたいだな。 |
| ジーニアス | うん。恐ろしい魔女がいるって設定だったからここにいるのはアーチェじゃないかと思って探索を後回しにしてたからさ。 |
| セネル | アーチェならもうクレスたちが回収していったぞ。 |
| ジーニアス | そうだったんだ……。森に踏み込んだ人の首を切り落とす魔女って話だから確かにアーチェっぽくはなかったかも……。 |
| テネブラエ | どちらかというと胃腸を腐り落とす魔女ですからねぇ。 |
| ロイド | ゲーム開始からだいぶ時間が経っただろ。他の場所は大体探したから、カボチャのアレがあるのはもうこの森ゾーンしかないと思うんだよなぁ……。 |
| ジーニアス | コレットとしいなと姉さんは助けたからこの森にいるのは……プレセアってことになるのかな ? |
| ジーニアス | でも……プレセアが首切り魔女、かぁ。 |
| ロイド | どうしたんだよ、ジーニアス。ゲームの設定なら別に首切り魔女がプレセアでもおかしくないだろ。 |
| ジーニアス | それは……そうだけど。でもせっかくプレセアがコスプレしてるならもっと可愛い衣装が見たかったな……。 |
| ? ? ? | ……すみません。可愛くなくて。 |
| ジーニアス | えっ ! ? 今の声は―― |
| プレセア | こんばんは。 |
| ロイド | プレセア ! やっぱりこの森の魔女ってプレセアだったんだな ! |
| ジーニアス | えっ……。 |
| プレセア | あの……ジーニアス。どうかしましたか ? |
| ジーニアス | プ、プ、プ……プレセア ! ? |
| プレセア | はい。あの……可愛くない衣装で……がっかりさせてすみません。 |
| ロイド | そんなことないって。なあ、ジーニアス ? |
| ジーニアス | …………か、か、かわ……かかかわわわ……。 |
| テネブラエ | ダメですねぇ。あまりに衝撃的な視覚情報のせいで言語能力に支障を来しているようです。 |
| プレセア | 衝撃的…… ? それは良いことなのでしょうか ?それとも良くないことなのでしょうか ? |
| ノーマ | いいことだよ !ジニ坊がこうなったのは、プレぽんの魔女姿があまりにも可愛すぎるからだと思うよ。 |
| ジーニアス | ! ! ! ! ! ! ! |
| セネル | めちゃくちゃ首を縦に振っているな。それこそ首が取れそうな勢いだ。 |
| ロイド | でも、ジーニアスの気持ちもわかるよ。人の首を切り落とすとは思えないぐらい可愛らしい魔女だもんな。 |
| プレセア | ロイドさん…… !あ……ありがとう……ございます……。 |
| セネル | ……ジーニアスもロイドを見習ってもっと自然にプレセアを褒めればいいんじゃないか ? |
| ジーニアス | ボクだってそうしたいよぉ~ ! |
| プレセア | あの……。皆さんはキュアスイートパンプキンを探しに来たんですよね ? |
| ロイド | ああっと、そうだった。プレセア、どこにあるか知ってるか ? |
| プレセア | あそこの木の下に……二つあります。ですが、このまま通すことは……できません。 |
| セネル | また試練があるって訳か。 |
| プレセア | はい。ふにふにさせてください。 |
| ロイド | ふ……ふにふに ? |
| テネブラエ | ま、まさか……。 |
| ジーニアス | あ、そうか !テネブラエ。確か肉球を作れるんだったよね ? |
| テネブラエ | じょ、冗談ではありません !また肉球扱いされるのはお断りです ! |
| ノーマ | あっ ! テネテネが逃げた ! |
| テネブラエ | ……ここは魔物の姿に化けて群れの中に紛れ込ませてもらいます。これならどれが私かわからないでしょう。 |
| プレセア | 識別不能。……ならば全て倒すまでです。丁度街の人たちから魔物退治を頼まれていましたから。 |
| テネブラエ | そこまでして肉球をいじりたいのですか ! ?そのじめじめの執着心には水属性のアクアもびっくりですよ ! |
| ロイド | ……なぁ、これってどっちの味方をすればいいんだ ? |
| ジーニアス | 急いでテネブラエを捕まえよう !それでキュアスイートパンプキンを手に入れてプレセアの呪いを解いたあとは……。 |
| ジーニアス | プ、プ、プ……プレセアとボクとでハロウィンを―― |
| ロイド | 後半がよくわからないがとりあえずプレセアを止めてから俺たちでテネブラエを捕まえればいいんだな ? |
| ジーニアス | そういうこと !行くよ、ロイド、セネル、ノーマ ! |
| Character | 7話【ハロウィン8 森の魔女】 |
| プレセア | ふにふに……ふにふに……。 |
| テネブラエ | まさか生け捕りにされてしまうとは……。情けない……闇の名折れです……。 |
| セネル | キュアスイートパンプキン確保。ジーニアス、こっちはお前の分だ、受け取れ。 |
| ジーニアス | ありがとう、セネル ! |
| ロイド | 後はプレセアに食べさせるだけだな。 |
| ジーニアス | プレセア ! 待っててね !今キュアスイートパンプキンを食べさせてあげるから ! |
| ジーニアス | そ、そ、そしたら……ボクと一緒に……ハロウィンを ! ! |
| プレセア | ……ジーニアス。 |
| ジーニアス | 今いくよ、プレセア ! ! |
| ノーマ | いっけぇ ! ジニ坊 ! |
| ロイド | あ、おい ! ちゃんと足下見ろよ !でないと、また転ぶ―― |
| ジーニアス | ――あっ ! ? |
| 一同 | あっ……。 |
| ジーニアス | ああああああっ ! ?ボクのキュアスイートパンプキンが ! ? |
| ロイド | マジかよ……。キュアなんとかが泥だらけじゃないか ! ? |
| プレセア | これでは……もう食べられませんね。……残念です。 |
| ジーニアス | そ、そんなぁ……。 |
| セネル | この展開……まさか……。 |
| ノーマ | ……ジニ坊。かわいそう。セネセネもそう思うよね ? |
| セネル | …………ジーニアス。俺のキュアスイートパンプキンを受け取れ。 |
| ジーニアス | そんな ! 受け取れないよ ! |
| セネル | 遠慮するな。このキュアスイートパンプキンはここに置いておくからな。次は転ぶなよ。 |
| ジーニアス | ……セネル。 |
| セネル | ハロウィン楽しんで来い。じゃあな。 |
| ジーニアス | ありがとう、セネル !この恩は一生忘れないよ ! |
| プレセア | ありがとうございます。セネルさん。セネルさんは……優しいんですね……。 |
| ロイド | 悪いな、セネル。今度必ず埋め合わせするよ。ありがとう ! |
| ノーマ | さすがセネセネだね。あたし、セネセネの優しさに思わず泣きそうになっちゃったよ。 |
| セネル | 俺は別の意味で泣きたくなったけどな。くそ、どうして今日はこうもツイてないんだ。 |
| テネブラエ | まあまあ。そういうこともありますよ。 |
| セネル | ……いつまでも気にしていてもしょうがない。次こそ三度目の正直だ。キュアスイートパンプキンを手に入れてやるぞ。 |
| Character | 8話【ハロウィン9 合流】 |
| カイル | ――ありがとう、セネル !キュアスイートパンプキンが見つからなくて本当に困ってたんだ。 |
| カイル | 去年はリアラたちとハロウィンをまわれなかったから今年は一緒にまわりたかったんだよ ! |
| セネル | リフィルのお菓子を食ってダウンしてたもんな。まあ、キュアスイートパンプキンのことは気にするな。早く行ってやれ。 |
| カイル | いや、ちゃんとお礼はさせてもらうよ !それじゃあ、また後で ! |
| テネブラエ | いやぁ。カイルさんは元気がいいですねぇ。風のように走り去っていきましたよ。 |
| ノーマ | そしてセネセネは不可抗力とはいえまたまたまたキュアスイートパンプキンを失ったと。 |
| セネル | 失ったものは仕方がない。まだどこかにキュアスイートパンプキンがある筈だ。諦めずに探すぞ。 |
| ノーマ | おぉ、さすがセネセネ。そういう不屈の精神は変わってないね。 |
| セネル | どういう意味だ ? |
| ノーマ | ほら。セネセネってばジニ坊やカイルっちにキュアスイートパンプキンをあっさり渡してたでしょ。それがちょっと意外だったからさぁ。 |
| ノーマ | すずっちの時もセネセネの動体視力ならあたしを止めることもできたはずだし。 |
| セネル | 俺が突っぱねるとでも思ったのか ? |
| ノーマ | ま、これはお遊びだし、セネセネもそこまで強く拒否する訳ないか。 |
| セネル | それだけが理由という訳じゃないけどな。 |
| セネル | 俺は……自分の器量はわかっているつもりだ。だから普段は優先順位を付けざるを得ないと思っている。 |
| セネル | けど、アジトの奴らもこの世界でできた大切な仲間だ。 |
| ノーマ | 大切なのはリッちゃんだけじゃない、と。 |
| セネル | まあ、そのキュアスイートパンプキンが困っている仲間を見捨てて手に入れたものだとシャーリィが知ったら悲しむというのもあるがな。 |
| ノーマ | 結局はそこかい !すごくセネセネらしいけどさ ! |
| セネル | シャーリィもこっちに来てたくさんの人たちと関わるようになったからな。同年代の仲間も多くて、結構仲良くやっているんだ。 |
| ノーマ | リッちゃんが ! ? それならクーとも更に仲良くなってるはず……もち、グー姉さんとも !うっそ……これ完全にあたし出遅れてた~ ! |
| セネル | ………… ? |
| ノーマ | どったの、セネセネ? |
| セネル | ……いや。お前、シャーリィたちをこのゲームに招待してるんだよな ? |
| ノーマ | うん。そうだよ。 |
| セネル | ならシャーリィとクロエ、グリューネさんたちのことはすでに知っている筈だろ。なのにどうして初耳みたいなことを言うんだ。 |
| ノーマ | …………ふふ。ついリッちゃんの話で興奮しちゃった。それを聞き逃さないとは、さすがセネセネだね。 |
| セネル | おい。何を隠して―― |
| テネブラエ | な、何事ですか ! ?いきなり衝立が倒れてきましたよ ! |
| ノーマ | ウソ ! ? しっかり固定してあった筈なのに !というかハロウィンの飾り付けもあちこちに吹っ飛んで壊れちゃってるじゃん ! |
| セネル | 見ろ ! 誰か場内に入ってくるぞ ! |
| クロエ | よし ! 侵入完了だ !まずは人質を探すぞ ! ! |
| シャーリィ | ク、クロエ ! ちょっと待って !一度落ち着いて ! |
| クロエ | いいや、止まる訳にはいかない !攫われた乙女たちはこの私が命に代えても助け出す ! ! |
| グリューネ | あらあら。どうしましょう。困ったわねぇ。 |
| セネル | お前たち ! ? 何やってるんだ !待機エリアで待っていた筈じゃ……。 |
| ノーマ | おぉ。まさかの全員集合。 |
| シャーリィ | お兄ちゃん ! ?それに……ノーマ ! ? |
| グリューネ | これはどういうことかしらぁ。 |
| クロエ | 大方、攫われていたノーマをクーリッジが助けたのだろう ! |
| クロエ | ノーマ、無事でよかったぞ !やっとこの世界でも再会できたな ! |
| クロエ | 本当ならばゆっくり話をしたいところだが……それは後だ !ここは私に任せて避難してくれ ! |
| ノーマ | えっと……クーってば何か勘違いしてない ? |
| セネル | これは勘違いで喧嘩をしていただけのカップルの男を半殺しにしたときと同じパターンだな。 |
| クロエ | 勘違いなどあるものか !私は乙女が悪しき存在により攫われたと聞いて―― |
| セネル | クロエ。これはただのゲームだ。ほら、リーフレット。 |
| クロエ | ……………………なん、だと ? |
| シャーリィ | クロエったら乙女が攫われたっていうのを聞いた途端に飛び出しちゃったんだもん。 |
| セネル | まったく。お前という奴は……。 |
| クロエ | …………わ、私としたことが。 |
| グリューネ | まあ。クロエちゃんったらお顔が真っ赤でかわいいわねぇ。 |
| クロエ | い、言わないでくれ……。 |
| ノーマ | いやぁ、クーは相変わらずだね。それにリッちゃんとグー姉さんも。みんな元気そうでよかったよ。 |
| グリューネ | ええ。ノーマちゃんもね。久しぶりに元気なノーマちゃんが見られてとっても嬉しいわ。 |
| クロエ | ま、待て。ということはノーマはクーリッジと共にこのゲームに参加していただけということか ? |
| ノーマ | 簡単に言うとそういうことだけど色々気になることもあるよね。安心して、みんなには今からちゃんと説明するから。 |
| セネル | おい……そのみんなってのには当然、俺も入ってるよな ? |
| ノーマ | ふっふっふ……とうとうセネセネに真実を話す時が来たみたいだね。この、恐ろしい真実を。 |
| セネル | もったいぶってないで早く話せ。ことと次第によっては―― |
| テネブラエ | 盛り上がっているところ恐縮ですが少々よろしいでしょうか ? |
| セネル | どうした、テネブラエ。 |
| テネブラエ | 係員の方が皆様をじっと見ていますよ ?あちらの衝立と飾り付けをメチャクチャにした犯人たちめ――という目で。 |
| 一同 | あっ…………。 |
| セネル | ……ひとまずこっちが先だな。みんなで直すか……。 |
| Character | 9話【ハロウィン10 呪いを解け!】 |
| セネル | ――みんな。修繕道具は返してきたぞ。 |
| テネブラエ | ――おや、やっと修繕が終わったようですね。 |
| ノーマ | テネテネ、どこに行ってたの ?修繕の間ずっと姿が見えなかったけど。 |
| テネブラエ | そろそろ闇の世界ともお別れですからねぇ。名残を惜しんでいました。それに施設が壊されたのは私とは関係ありませんし。 |
| テネブラエ | それにしてもようやく役者が揃いましたか。いやぁ、これはどうなるのか……楽しみですねぇ。 |
| グリューネ | あら、テネブちゃん。あなたも真実に興味があるのね。 |
| テネブラエ | はい。この闇の世界を愛する者としては闇の中に隠された真実を是非見てみたいものです。 |
| ノーマ | セネセネ。工具や飾りを運んで疲れたでしょう。長い話になるし後でもいいんだよ ? |
| セネル | 寝言は寝ていえ。 |
| ノーマ | はいはい。冗談だよ。リッちゃんたちには具現化されてからの経緯はおおよそ説明したからね。セネセネへの説明もちゃんとするって。 |
| ノーマ | こほん。それじゃあ仕切り直して……セネセネに語ってあげる。この恐ろしい真実を。 |
| セネル | シャーリィたちが参加していると俺に言ったのは俺をこのゲームに参加させるための嘘。理由は簡単。俺へのトリック――いたずらだった、と。 |
| ノーマ | ふふっ。さすがに気がついたみたいね。 |
| ノーマ | そう、その通りよ ! ずっと一緒に居たから忘れかけていたと思うけど、あたしも闇の世界の住人 !今宵のノーマは小悪魔ノーマなのだから ! |
| ノーマ | けど恐ろしい真実はそれだけじゃないわ。なんと―― |
| セネル | キュアスイートパンプキンの入手が難航したのも実はお前の狙い通りだったんだろ。 |
| ノーマ | へ、へぇ。そこにも気がついたんだ。それも正解だよ。どういうことかと言うと―― |
| セネル | お前は『甘~いスイーツ』を探していると言った。人の不幸は蜜の味。お前が堪能したかったのは『俺の困った姿』だったんだ。 |
| セネル | そのためには簡単にクリアされてはつまらないしせっかくのハロウィンと久しぶりの再会だ。真実を語るときの衝撃をもう少し強めたい。 |
| セネル | だから、トレジャーハンターとして培ってきた経験と知識を無駄にフル回転させて予想を立てたんだろう。 |
| セネル | 高確率でトラブルが起きそうなルートを。アジトにいる仲間の性格や特徴この脱出ゲーム内での設定などの情報を元に、な。 |
| ノーマ | そ、そうだよ。そしてあたしは―― |
| セネル | 俺を手助けするフリをしつつそのルートにそれとなく誘導をした、と。 |
| ノーマ | ちょっとセネセネ ! ?あたしが恐ろしい真実を告げるっていう一番美味しいところを全部もっていかないでよ ! |
| セネル | ご馳走は十分に堪能済みな筈だ。これぐらい別にいいだろ。 |
| ノーマ | いいわけあるか !セネセネを驚かせるためにあたしがどれだけ頑張ったと思ってるの ! ? |
| クロエ | まあ……聞いている限りなかなかに気合が入ったイタズラだったがな。 |
| シャーリィ | この真実よりもノーマの執念の方がちょっと怖いかも……。 |
| グリューネ | いつものノーマちゃんも素敵だけど小悪魔なのにちょっとドジっ子なノーマちゃんもお姉さん、すごく好きよぉ。 |
| ノーマ | 誰がちょっとドジっ子だい ! |
| セネル | もう茶番は終わりでいいよな。それじゃあアジトに帰らせてもら―― |
| ノーマ | 待ちなさい ! まだあたしの呪いは解けてない !こうなったらこのもやもやを晴らすまでセネセネにた~くさんイタズラしちゃうんだからね ! |
| セネル | まだやるつもりかよ ! ? |
| グリューネ | そうよねぇ、せっかくのハロウィンだもの。ちゃんと最後まで楽しみ尽くさないとねぇ。 |
| ノーマ | ならグー姉さんも飛び入り参加決定ね !一緒にセネセネにイタズラしちゃおう ! |
| グリューネ | でも、イタズラは可哀想だわ。だってわたくしはセネルちゃんも大好きだもの。 |
| グリューネ | だから、イタズラの代わりにハロウィンが終わるまでずっとセネルちゃんをハグハグしようと思うの。 |
| 二人 | ハグハグ ! ? |
| セネル | グ、グリューネさん……それはやめてくれ。いや……ハグハグが何か俺は知らないがきっとハロウィンの趣旨からも外れている。 |
| ノーマ | おっ。セネセネが焦ってる。これはもしかして……本当は期待してたりして ? |
| セネル | どうしてそうなる ! ? |
| シャーリィ | クロエ。私たちもこのハロウィンに飛び入り参加させてもらおうよ。 |
| クロエ | あ、ああ。そうだな。この事態を見過ごすことはできない。 |
| ノーマ | もうゲーム終了間際だから闇の衣装に着替えている時間はないけど……まあいっか ! みんな飛び入り参加決定 ! |
| セネル | なんだ、そのいい加減さは ! ? |
| ノーマ | さあさあ、セネセネ。このままゲームが終了すればハロウィンが終了するまでとはいえイタズラされまくられる展開になっちゃうよ。 |
| セネル | ……だが、キュアスイートパンプキンがあればお前たちを呪いから解放――つまり俺はイタズラを回避できるんだろう ? |
| ノーマ | そうだけど、今から四つも見つける時間はない。ここは諦めて―― |
| セネル | ふっ……甘いな。これを見ろ。 |
| 一同 | ――それは ! ! |
| ノーマ | な、なんで ! ? そんな……ありえない……。 |
| ノーマ | どうしてキュアスイートパンプキンを四つも持ってるの、セネセネ ! ? |
| セネル | 簡単さ。見つけたんだよ。 |
| ノーマ | そんな筈ないよ !だってセネセネはずっとあたしの側にいた !キュアスイートパンプキンを持ってる訳ない ! |
| セネル | 事実として持っているんだ。やっぱり小悪魔だけどドジっ子だな。 |
| セネル | イタズラされるなんてごめんだ !こいつでお前たちを闇の呪いから解放する ! |
| Character | 10話【ハロウィン10 呪いを解け!】 |
| グリューネ | ふふっ。キュアスイートパンプキン。とっても美味しいわねぇ。 |
| シャーリィ | はい。カボチャの優しい甘みとふわふわした食感がたまりません。 |
| クロエ | パティスリー・ロンド……恐ろしい店だ。フィナンシェだけでなくこんなに美味な菓子パンも作れるとは。こ、これではお腹周りが……。 |
| セネル | さて。これで無事に闇の呪いとやらは解けました、と。 |
| ノーマ | …………。 |
| シャーリィ | ノーマ。さっき一口食べてからずっと固まっているけど……どうかしたの ? |
| グリューネ | こんなに美味しいのに……もしかしてノーマちゃんの口には合わなかったのかしら。 |
| クロエ | 何でも美味しいと感じるグリューネさんではあるがこのキュアスイートパンプキンの味は私たちも美味だと思うぞ。 |
| シャーリィ | ノーマの口にも合うと思うけど……。 |
| ノーマ | あ、ううん……違うの。口に合わなかった訳じゃない。むしろその逆っていうのかな……。 |
| クロエ | 逆 ? |
| ノーマ | 実はハロウィンの準備のときにキュアスイートパンプキンを試食させてもらったのね。 |
| ノーマ | 試食した時も美味しいって思ったんだけど…………これはそれ以上。ううん。格段に美味しくなってる。 |
| セネル | それは不思議だな。 |
| グリューネ | あら。そうかしら。わたくしは理由がわかった気がするわ。シャーリィちゃんたちもよね ? |
| クロエ | ああ。もちろんだ。 |
| シャーリィ | きっと、みんなで一緒に食べたからじゃないかな。 |
| ノーマ | ……みんなで、か。 |
| セネル | ――ということだそうだぞ ? |
| ノーマ | ふっ……うん、そうだね。それは間違いなく真実だよ ! |
| ノーマ | ……まあ、真実は一つだけとは限らないとも思うけど。 |
| シャーリィ | ノーマ ? 何か言った ? |
| ノーマ | べっつに。ただ、セネセネがいきなりキュアスイートパンプキンを出してきてビックリしたってだけ。 |
| ノーマ | まぁ、いつの間にか四つ隠し持ってたのもそうだけど……あたしの分も確保しておいてくれるなんてね。 |
| セネル | 優先順位のこと、伝えてあったのにか ? |
| ノーマ | えっ…… ? |
| セネル | そんなの用意するに決まってるだろ。お前たちは俺の仲間なんだ。それも、ちょっと特別な、な。 |
| シャーリィ | お兄ちゃん……。 |
| クロエ | ふふっ……特別な仲間、か。 |
| グリューネ | 素敵ねぇ。今の言葉を聞いてもっとセネルちゃんを好きになっちゃったわ。ねぇ、ノーマちゃん ? |
| ノーマ | あたしに話を振らないでよ !だいいちセネセネは―― |
| ノーマ | って、セネセネいないし ! |
| クロエ | クーリッジの奴、いつのまに ! ? |
| グリューネ | 脱出成功者ゲートの方に歩いていったわよ。テネブちゃんと一緒に。 |
| ノーマ | グー姉さん ! 気づいてたなら言ってよ ! |
| シャーリィ | きっと外で待っててくれてるよ。キュアスイートパンプキンを食べ終わったら私たちも行こう。 |
| ノーマ | まったく、もう。本人に自覚はないだろうけどさすがにカッコつけすぎだっての。 |
| セネル | さてと。こんな場所はもうごめんだ。一足先に、外に出させてもらうとするか。 |
| テネブラエ | おや。行ってしまわれるのですね。 |
| セネル | テネブラエ。お前にも礼がしたい。予備に作っておいた『余り物』で悪いが味は保証する。受け取ってくれないか ? |
| テネブラエ | いいえ。お気遣いなく。私は食事を必要とはしませんので。それに中々貴重な体験をさせてもらいましたから。 |
| セネル | 貴重な体験、か。それにしてもお前の能力には恐れ入ったな。 |
| テネブラエ | 当然です。闇のセンチュリオンですから。しかしながら一時は欺けたとはいえ最後のノーマさんの反応を見る限りは……。 |
| セネル | あいつはバカじゃないからな。 |
| セネル | キュアスイートパンプキンを探す時間はなかったがそれは『あいつの目の前にいた俺』は、って話だ。このことに気づいていてもおかしくはない。 |
| テネブラエ | そうですか。真相は闇の中……とはいかないものですね。 |
| セネル | まあ、別に俺は知られても構わないけどな。 |
| テネブラエ | というと ? |
| セネル | あのキュアスイートパンプキンを食べてそれが美味しいと感じた、もう一つの真実。シャーリィたちの答えこそが全てだからさ。 |
| テネブラエ | なるほど。確かに、それがある限りはノーマさんもあれこれ言えないでしょうねぇ。こちらの真実に気付いたとしても。 |
| セネル | そういうことだ。まあ、つまるところ―― |
| セネル | ザマミロ、ノーマ。これが俺のトリックだ――って話さ。 |