Character1話【チョコ作り1 情報収集】
これは未来の物語。一つの区切りを迎え、新たな局面に望む歴史の一幕。
その幕間の物語を今ここに――
クレアお疲れ様、しいな。
しいなありがとう。でも疲れるような仕事じゃなかったよ。ダオスの所に報告書を届けるだけだからねぇ。
クレアあら、すずちゃんに頼む訳にもいかないから助かるってカロルが言っていたわよ。
しいなそうだねぇ……。すずたちの話を聞いているとダオスと仲良くしろとは言えないからね。
しいなあたしだって、あいつがやったことは許せないって思っちまったからサ。
しいなかといって、あたしたちと敵対するそぶりがないのに敵意を向けるってのも違うだろ。
マリアン……難しいですね。こういう問題は。
しいなまあ、あたしが繋ぎをやることですずたちに嫌な思いをさせないならそいつが一番サ。
クレアそれじゃあ、これからアジトに戻るのね ?
しいなああ――
しいな――っと、ちょっと待った。コーキスがいる。
マリアンえ ! ? コーキスさんは確か……。
しいな……ああ。ちょっと気になるね。あたしはコーキスを追いかけるよ。あ、でもイクスたちへの報告は少し待っとくれ。
マリアンはい、わかりました。
救世軍アリス派Aここが人間牧場跡です。アリス様 !
アリスええ~ ? ここが人間牧場 ?アリスちゃんの知ってる人間牧場とは全然雰囲気が違うじゃない。
救世軍アリス派Bそ、そうは言われましても……。
アリスまあいいわ。それじゃあ、あんたたちは手分けしてエクスフィアが残ってないか探してちょうだい♪ アリスちゃんは――
救世軍アリス派C自分が椅子になります !背中にお掛けになって下さい、アリス様 !
アリスあら……気が利くじゃない♪ でも……私の命令を先回りするなんて、ナ・マ・イ・キ♪
救世軍アリス派Aいいなぁ……。あいつアリスちゃん様の鞭でぶたれてるぞ……。
救世軍アリス派Bくっ、俺だってアリスちゃん様の椅子になりたかった…… !
アリスそこのキモい二人。くだらないお喋りはやめて後ろの岩陰を調べてきてくれる ?ネズミがうろついてるみたいよ ?
? ? ?! ?
救世軍アリス派A――いました ! こいつは確か、鏡精です !
コーキス………………。
アリス鏡精…… ? 何、それ ?
救世軍アリス派B救世軍が同盟を組んでいる浮遊島の鏡士の……妖精 ? しもべ ? のようなものであります !
コーキスな、何だよそれ ! 鏡精は鏡精だ !
アリスふ~ん。要するに鏡士のペットちゃんなのね ?そのペットちゃんがどうしてこんな所にいるの ?飼い主とはぐれたのかしら ?
コーキス俺はペットじゃない !それに……今はマスターとは一緒にいない。
アリスあら~ ? 捨てられちゃったのね。可哀想なペットちゃん♪
コーキス違う ! 俺は俺の意志で――
アリスきゃっ ! ? 何 ! ?
救世軍アリス派Aこの煙……敵襲か ! ?
救世軍アリス派Bアリスちゃん様を守れ ! !
しいな……やれやれ、何だかいけ好かない女だったねぇ。
コーキス――しいな様 ! ?
しいなしっ ! 大きな声出すんじゃないよ。離れたとはいえ、まだ近くにあの変な女がいるんだからサ。
コーキスあ、ご、ごめん……。
しいなあたしが見てた限りだと、あんた、あの変な女と救世軍の後をつけてたみたいだけど、何してたんだい ?
コーキス……ボスに頼まれたんだ。救世軍にアリスって鏡映点がいるから様子を見てきてほしいって。
しいな鏡映点……あいつが ?
しいな――コーキス。あんたは不本意かも知れないけど今回の件、アジトのみんなに報告させてもらうよ。イクスたちがあんたのことを心配してるしね。
コーキス……うん。
しいなそれと……できることならイクスたちに顔を見せてあげな。カーリャなんて気落ちしちゃって気の毒なぐらいなんだからサ。
コーキス………………。

Character2話【チョコ作り2 救世軍のマドンナ】
ジェイド大変残念なことが起きました。
イクス――と、言うと ?
ジェイド鏡映点のアリス嬢が見つかってしまいました。
イクスああ……。確かエミルたちの世界の人でデクスさんが捜していたっていう、ドSの……。
ジェイド永遠に見つからなければ、デクスを便利に使えたのですが、しいなが見つけてしまいまして。
しいななんだい、その言い種は !
ミリーナごめんなさい、しいな。ジェイドさんはこういう人だから……。
ミリーナそれで、デクスさんには知らせたんですか ?
ジェイド今、エミルとマルタに連絡を頼んでいます。――さ、しいな。
しいな……わかってるよ。
しいなイクスたちを呼んだのはアリスって女の話とはまた別の話でね。――コーキスに会ったんだ。
三人! ?
カーリャコーキスは元気でしたか ! ?
しいなああ。それで、あたしがあんたたちとコーキスの繋ぎ役を引き受けるってことで同意を取り付けてきたんだよ。
イクスごめん……。俺がコーキスを説得しなきゃいけないのに……。
しいなあー、それそれ。そういうのはやめときなって。コーキスはこのアジトから出ていった。あいつの意志でね。
しいな鏡精だからって、鏡士の持ち物じゃないんだ。鏡精にも自分の意志があり、考えがあってそれでこのアジトにはいられないと思ったんだろ。
しいなそいつを否定するような言い種はいけないよ。
ジェイド………………。
イクスそう、ですね。その通りだ……。俺のこういう所がコーキスは気に入らなかったのかな。
カーリャそんなことありませんよ !コーキスはイクスさまのことが大好きなんです。今だってきっとそうですよ !
しいなああ、あたしもそう思う。信じてあげなよ、イクス。
しいなあたしは……あたしの大切な友達の言葉を一番大事な時に軽視しちまってずっとそのことを後悔してるんだ。
しいななんであの時、あの子の気持ちをわかってあげられなかったのかって。あんたは同じ轍を踏むんじゃないよ。
イクス……ありがとう、しいな。
ミリーナねえ、しいながコーキスと連絡を取ってくれるなら私たちからコーキスにチョコレートをプレゼントしない ?
イクスチョコレート…… ?ああ、そうか。もうすぐバレンタインだから……。
カーリャそうですよ !バレンタインに手作りチョコレートを作ってコーキスにプレゼントしましょう !
カーリャコーキスのことですから、チョコのおいしさに釣られてアジトに戻ってくるかも知れません。
ジェイドそれはどうでしょう。カーリャとネヴァンならまあ、そうかも知れませんが……。
しいなしっ。聞こえたらまた『陰険ロン毛メガネ』って騒がれるよ ?
イクス……うん、そうだな。俺、やってみるよ。俺の想いをチョコレートに込める !
ミリーナええ、その意気よ ! 早速準備を始めないと !
カーリャネヴァン先輩にも手伝ってもらいましょう !
ミリーナそれじゃあ、しいな。チョコレートを作ったらその後は頼むわね !
しいな……よかったよ。イクスが思っていたよりはしっかりしてて。
しいなコーキスのこと報告して、手がつけられない程落ち込んだらどうしようかと思ってたんだ。あたし、人を慰めたりするの苦手だからサ。
ジェイドあなたは馬鹿正直ですからねぇ。ところでロイドにチョコレートをあげなくていいのですか ?
しいな! ? ! ? ! ?
ジェイドおや、そんな馬鹿正直な反応をされるとは思っていましたが面白いですね。
しいなな、な、な……何なんだい !この陰険ロン毛メガネ ! !
デクスな……何だと、少年 ! もう一度言ってくれないか ! ?
エミルあ……えっと……。だから、アリスが見つかったって……。
デクスぅ――
デクスぅうおおおおおおおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉ ! !アリスちゃ―――――――――――――――んっっ ! !
マルタ……だから嫌だったのに。デクスに連絡する役目。
エミル仕方ないよ……。ジェイドさん、僕たちが伝えないならアリスが見つかったことは隠してデクスを利用し続けるって言うから……。
エミルデクスは酷い奴だけどこの世界では助けてもらったし……。
マルタ……そうだけど。
テネブラエいっそ騙したままこき使った方が色々と面倒がなくて良かったのではないでしょうか。
エミル――あの、デクス。とりあえず一度アジトに来てもらえないかな。それから一緒にアリスに会いに行こうよ。
マルタ私は会いたくないけど……。
デクスア――リ――ス――ちゃ――――――んっっ ! ! ! ! !
マルタ……っていうか、デクスうるさい ! !
デクスそうかぁぁぁぁ。この間買った、トンガリマダラトビネズミ恋愛祈願お守りが早速効果を発揮したに違いない。こうしちゃいられないぞ ! もうすぐ恋人たちの祭りと
デクスやらがあるというこの時期に、オレとアリスちゃんが運命の再会を果たすなんて。こいつはもうアレだ。決まりだ ! 会いたかった、デクス ! あなたに会えない間に
デクス私、自分の気持ちに気付いちゃったの。好き。結婚してなんつって、ちゅーする展開がくるぞ ! ? 待っててくれ、アリスちゃん ! 今、キミの王子様が迎えに行くよ !
マルタ全然人の話聞いてないし !ホント、デクスって……。
エミルはは……。うん、ちょっとアレ……だよね。

Character3話【チョコ作り2 救世軍のマドンナ】
ゼロスあー ! 楽しみだなー ! 救世軍のマドンナちゃん !メチャクチャ美少女らしいぜ ? 期待が高まるー !
マーク……で、何で俺が付き合わされるのかなーゼロスさんよ。
ゼロスだって、シンくんは「興味ないね」だしクラトスなんざ誘いたくもねぇしローエンには丁重にお断りされちまったし……。
ゼロスヴィクトルは子持ちだから誘うのはNGだし、おたくのマスターは金髪のバリボー好きだし……ってあ、マーくんも金髪のバリボーがお好みだったかなー ?
マークはいはい。か弱い鏡精いじって楽しむのはやめてくれ。カノンノ――イアハート以来の救世軍のアイドルらしいからな。ま、確かに興味はあるよ。
ゼロスそうでしょうとも ! たまにはむさ苦しいケリュケイオンを離れて、気分転換がてら救世軍の美少女とやらのご尊顔を拝もうぜ。
マーク――おっと、そこの食堂にいるらしいぜ。噂のマドンナとやらは。
ゼロスどれどれ ? どのかわいこちゃんがマドンナかなー ?
救世軍アリス派Dアリス様、常温のお水をお持ちしました。
アリスありがとう♪
ゼロスおっと…… ! こいつは噂以上の美少女でねーの ! ?
マークあー、女に免疫ない奴なら一発でコロッといくタイプだな、こりゃ……。
ゼロスやあ、キミが救世軍のマドンナ ? 噂通り可愛いね。
アリスやだぁ♪ マドンナっていつの言葉 ?
アリス――って……あら、あなた、テセアラの神子じゃない。どういうこと ? どうしてあなたがこの世界にいるの ?
ゼロス……ん ? 俺さまを知ってる…… ?
ゼロス――待てよ ? アリスって呼ばれてたな。もしかしてマルタちゃんたちと因縁があるって言うヴァンガードの幹部か ?
アリス何、その他人行儀な態度。アリスちゃんと神子様の仲じゃない♪それとも……あの時のこと、忘れちゃったの ?
マークおい、ゼロスくんよ。元の世界で何やらかしたんだ ?
ゼロスいやいやいやいや待て待て待て待て !俺さま、一度出会った女の子のことは絶対忘れねぇからな ! ?
ゼロス大体こんな可愛い子と知り合ってたら忘れたくても忘れられねぇっつーの ! 初対面だって、初対面。
アリス私のこと……忘れちゃったのね。あんなに熱い時間を一緒に過ごしたのに。
救世軍アリス派Eな、何…… ! ?
救世軍アリス派F俺たちのアリスちゃん様の昔の男なのか ! ?
ゼロスええええ、そんな悲しい顔をしないでくれよ、ハニー !確かに俺さまはキミのことを知らないけどこれからじっくり知りたいな…… ? いいだろ ?
救世軍アリス派Gお、お前 ! アリス様に近づくな ! !
アリス黙りなさい、しもべたち ?私が誰と話すかは私が決めるのよ ?
救世軍アリス派Eし、失礼しました ! ?
ゼロス本物の女王様タイプ ! ? 俺さまも調教されちゃう ! ?
アリスあら、神子様もアリスちゃんのしもべになりたいの ?
ゼロスう~ん ! なるなる~ !俺さまアリスちゃんの愛の奴隷になっちゃうぜ~ ?
しいな奴隷神子とはまた斬新だねぇ……。
ゼロス――うわおぁあ ! ? し、しいなぁ ! ?
ミリーナゼロスくん、気持ちはわかるわ私もイクスの愛の奴隷だから。
イクスえええ ! ? ミリーナ ! ?
マークマジかよ……。頭痛くなってきたわ……。
カーリャさすがミリーナさま……。イクスさまのことになるとネジが緩みっぱなしです……。
カーリャ・Nカーリャ。小さなミリーナ様の深い愛情をそのように茶化してはいけませんよ。
マークいや、茶化すとこだろ。ああ……ツッコミが足りねぇ……。
マルタゼロス……相変わらず最低……。
ゼロスマルタちゃんまで ! ?
エミル元気そうでよかった……のかな ?
ゼロス何、エミルくん、その哀れそうな視線 ! ?
テネブラエお盛んですねぇ。クックックッ !
アリスやだぁ、マルタちゃんまでこの世界にいるの ?どういうこと ?相変わらずペットちゃんにおんぶに抱っこって訳 ?
マルタそ、そんなんじゃ……。
ラタトスク……おい、マルタに喧嘩を売るつもりなら俺が買ってやる。
アリスほらー♪ やっぱりおんぶに抱っこ。この訳のわからない世界でも「助けてーラタトスクー」……ってウダウダやってるんじゃない。
ラタトスクてめぇっ !
デクスアリスちゃ―――――――――――――――んっっ ! !
アリス――え ! ? 3Kデクス ! ?なのに臭くない ! ? 嘘 ! ?
デクスアリスちゃんの王子様、デクス参上 !捜したよ、アリスちゃん ! 心細かっただろ ?大丈夫、これからはいつもそばでキミを守るよ !
アリス誰が王子様なのよ ! 相変わらずキモくてキショい !臭くないだけマシだけど2Kになってグレードダウンじゃない。
デクスああ、アリスちゃん、そんなにメロメロコウの匂いが好きだったんだね ! ごめんよ。この世界ではメロメロコウが売ってないんだ。
デクス今、代わりになる香水を探してるところだから――
アリス勘弁してよ ! そんなところグレードアップしなくていいわ。っていうか、何なの、この状態 !何でマルタちゃんたちとデクスが一緒にいるの ?
アリスアリスちゃんにわかるように説明しなさいよ !

Character4話【チョコ作り3 お迎え準備1】
アリス――わかったわ。やっぱりここはシルヴァラントやテセアラのある私たちの世界とは違ったのね。
アリスおかしいと思ってたのよ。同じ名前の街があるのに全然町並みも地形も違うしヒュプノスが効かないから魔物も操れないし。
ゼロスそれにしても、アリスちゃんが俺さまたちより未来の世界から来たとはなあ。
アリスだったら何なの、神子様 ?
ゼロス俺さまたちの時代にもアリスちゃんはいた筈だろ ?こーんな美少女を見逃してたなんて俺さま超ショック。
しいなはあ……。あんたは口を開けば女の話だねぇ……。
アリス……………………。
エミルアリス ? どうしたの ?
アリス変な感じ。ゼロスもしいなもアリスちゃんたちのことを知らないなんて。で、アリスちゃんにどうしろって言うの ?
イクスあ、はい。えっと、俺たちは鏡映点の人たちに協力をお願いしているんです。
イクスそれに、帝国が鏡映点を利用しようとしているのでそこから守りたい。だから――
アリスアリスちゃんにあんたたちの所へ行けって言うのね。
アリスぜーったいイヤ !
マルタだと思った。どうせ私がいるから嫌なんでしょ ?私だって、あんたたちがしてきたこと考えたら――
アリス勘違いしないでくれる ?マルタちゃんなんてどうでもいいの。どうせなーんの役にも立たないんだから。
アリス私はそこの鏡士とかいう奴の言い分が嫌いなの。
アリス守りたいだか何だか知らないけど結局自分たちも鏡映点の力を利用してるんだから帝国ってのと変わらないじゃない。
二人! ?
カーリャ・N――アリスとやら。口を慎みなさい !
アリスいやーん、こわーい♪
イクスネヴァン、待ってくれ。アリスさんの言うことはもっともだよ。
アリスあら、案外素直なのね。もしかしてあなた、ミリーナのペットちゃん ?
イクスそうじゃないけど……。いや、そういう話じゃなくて。
イクス確かに俺たちは帝国と同じことをしている。元を正せば俺たちもこの世界の歪みに荷担しているんだし。だから、無理強いはしない。
イクス俺たちはあなたの力を利用したい。その代わりあなたも俺たちの力を利用してくれればいい。利害が一致するなら協力したいんだ。
イクスもちろん、その上で……仲間になれたらいいなって思うけど。
ミリーナええ、イクスの言う通りよ。もう一つ付け加えるなら私はアリスのこと、とっても可愛くて好きだけれどイクスの敵になるなら、容赦はしないってことかしら。
カーリャ・N同じく。イクス様と……ミリーナ様を傷つけるものは地の果てまで追いかけて、必ず始末します。
カーリャカ、カーリャだって……許しません !でも、味方になってくれるならお菓子を分けてあげてもいいです。
アリス……ウフフフフ。マルタちゃんよりは随分マシね。
マルタ………………。
アリスそれに、鏡士ってすごい力を持っているんでしょう ?力を持つ人は好きよ。
アリスけど、生憎とアリスちゃんここの生活が気に入っているの。しもべも沢山いるし。
イクスそうか……。
アリスでも、味方をしないとも言ってないわ。今はやることがあるから、あなたたちのお誘いはやることを済ませてからのお返事でもいいかしら ?
アリスそうね……。バレンタイン……とかいうお祭りの頃にはどうするか決めるつもりよ。
イクスああ、わかった。
デクスん――んんんんんん !
しいな……なぁ、デクスの奴、さっきからなんか呻いて、ごろごろ床を転がってるけど。
アリス手足縛って猿ぐつわまでさせたのにそれでもうざいって、才能よね……。
アリスゼロス、デクスの猿ぐつわと縄を外して。
ゼロスはいは~い。
しいななんだい、いいなりとは情けないねぇ。
ゼロスしいなってば妬いてる ?
しいな殴るよ ! ?
ゼロスだから殴ったよ、の間違いだろ、それ ! ?殴ってから言う台詞じゃねぇっつーの ! ?
デクスぷはっ !オレもアリスちゃんの敵は地の果てまで追いかけて殺す !
マークお、つまりネヴァンパイセンとデクスは同類ってことか。
カーリャ・Nこ、これと私が……ですか ! ?言われてみれば……髪の色も似ています……。そんな……。私もキモくてキショくて……くさい…… ?
デクスあんた、匂いが気になるならオレと一緒に香水を探そうぜ !メロメロコウに変わるモテモテ香水を !
アリスやめて。今度変な香水をつけたら、魚の餌にするわよ。
マルタ……ねぇ、アリスはどうして救世軍と一緒にいたの ?
デクスそうだよ ! アリスちゃんは今までどうしてたんだ ?何かつらい目に遭ったりしてたんじゃ……。
アリス別に、元の世界と変わらないわよ。ヒュプノスが使えなかったから自分で戦うしかなかったけど。
アリスとにかく自分の知ってる世界じゃないことはすぐにわかったわ。だから小さな村に入り込んで自警団を作らせて魔物を狩って資金を集めてたのよね。
アリスそしたら自警団が思いの外強くなっちゃって救世軍にスカウトされて今は救世軍地上部隊第三連隊の隊長よ。
マルタ! ?
しいな順応力が高すぎないかい ! ?
ゼロス・デクスさっすがアリスちゃん !
デクスお、お前 ! ?アリスちゃんのことを気安くアリスちゃんって呼ぶな !
ゼロスえー ! ? じゃあ、マイスイートハニー♪で !
デクスぅ……うおおおおおおぉぉぉっ ! ! !
アリスデクス、うるさい。
デクスア、アリスちゃん……。
イクスはは……。えーっと……アリスがやることがあるって言うなら、俺たちもこの地上基地で待たせてもらおう。
イクスチョコ作りもここの食堂の施設ならできるだろ ?
デクス! !
アリスチョコ ? バレンタインに配るつもりなの ?
ミリーナええ。よかったら、アリスも一緒に作る ?
アリスどうしてアリスちゃんが ? バレンタインって誰かに隷属したい人間が、ご主人様にプレゼントして奴隷にしてもらう日なんでしょ ?
イクスざ、斬新な見解だ……。そうか、恋人同士も突き詰めると隷属関係になる……のか…… ?
マークならねぇから。
ミリーナイクスに隷属するってドキドキしちゃうわね。あ、でもイクスがペットって言うさっきの発言もちょっとドキドキしちゃったわ !
カーリャはいはい。ミリーナさまはイクスさまが絡むとすぐテンションがおかしくなるんですから……。
ゼロスつーことは、イクスたちはしばらくここに残るんだな。俺らはどうするよ。マーくん。
マークあー、俺は一度ケリュケイオンに戻るわ。救世軍の末端の方に鏡映点が紛れ込んでる可能性が出てきたからな。
マーク……ま、他にも色々気になることがあるんでちょっと調べに行ってくるよ。
ゼロス……俺さまはもう少し、アリスちゃんと親交を深めたいんで残らせてもらおっかなー。
デクス! !
マーク……なるほど ? じゃあ好きにしてくれ。さ、それじゃあ解散だ。いつまでも食堂で騒いでたら他の奴らの迷惑になるからな。

Character5話【チョコ作り5 材料の用意】
マルタ………………。
エミルマルタ……大丈夫 ? 元気がないけど……。
マルタ私……やっぱり頼りない ?
エミルマルタ……。
マルタアリスに嫌われてることはわかってたけど何の役にも立たないなんて言われて……。正直もの凄く頭にきたんだ。
マルタ元の世界で、私、パパと向き合うのを避けてたでしょ。エミルとラタトスクのおかげでそのことに気づけてちょっとだけど前に進めたと思ってた。
マルタ少しは成長してると思ったし、この世界にきてからもイクスたちに出会うまでは、三人で力を合わせて頑張ってきたって思ってたし……。
マルタけど……アリスがこの世界にきて一人で生き抜いてた話を聞いちゃったら私の頑張りなんて……。
ラタトスク馬鹿か、おまえは。
マルタえ ! ?
ラタトスクアリスは確かに強いんだろうよ。だからなんだ ?あいつが一人で生きているとでも ? 力で支配し力で服従させるには、支配される弱い存在が必要なんだ。
ラタトスク結局あいつだって、一人じゃ生きられねぇんだよ。ただのハーフエルフでしかねぇんだからな。
エミルアリスが一人で頑張ってきたのは凄いことだと思うよ。でもみんなで力を合わせて頑張ってきたことを否定するのは違うよ。
エミルマルタは僕やラタトスクの頑張りも否定しちゃうの ?一緒に頑張ってきたって思ってくれてたのに ?
マルタ! !
エミルそれに僕だってマルタと同じだよ。いつだってマルタに背中を押されてたし、ラタトスクには怖いからって戦いを押しつけてたり……。
エミル弱くて頼りなかったけど色んな人たちと出会って少しは成長したと思うし一人じゃ成長なんてできなかった。マルタは僕や――
ラタトスク俺には、必要な存在だ。役に立つとか立たねぇって話じゃない。
マルタ……うん。ありがとう、二人とも。
しいなああ、エミルにマルタ ! そこにいたのか !ちょっと助けとくれよ !
マルタしいな…… ? どうしたの ?もの凄く疲れた顔してるけど……。
しいなどうしたもこうしたも、あのデクスって奴が本当に面倒な奴でサ。話が通じないんだよ。
しいなジェイドがスパイとして使ってる時はそこそこ有能だと思ってたんだけどとんでもない誤解だったよ。
しいな二人なら扱いに慣れてるだろ ?何とかしてくれないか ?
エミルいや、僕たちも別に慣れてる訳じゃ……。
マルタアリスに押しつければいいのに。
しいなそれがあのアリスっていけ好かない女とゼロスが連れ立ってどっか行っちまってサ。それを見たデクスが――
デクス――しいな ! 話の途中だぞ !
しいな来たよ……。
デクスあんたは元の世界で、気絶したアリスちゃんを助けてくれたじゃないか。今回も力を貸してくれ !
しいなだから、あたしはあんたたちより前の時代から具現化とやらをされてるんだよ。大体、あたしがあの女を助けたなんて、信じられないんだけどねぇ。
しいな何があったっていうのサ。
エミル……えっと、多分しいなが落とし穴に落ちた時にアリスの上に落ちて下敷きにして気絶させた時のことじゃないかな。
しいなあ、あたし、また落とし穴に落ちるのかい ! ?コレットが近くにいたのかねぇ……。
デクスなあ、このままじゃアリスちゃんが、テセアラの神子――ゼロスの毒牙に掛かっちまう ! その前にアリスちゃんの目を覚まさせないといけないんだ !
ラタトスクどっちかっつーと、ゼロスの方がアリスの毒牙に掛かるんじゃねぇのか。
エミルははは……。
しいなだからって、チョコレートに薬を仕込むなんて正気じゃないよ ! !
エミルとマルタチョコレートに薬 ! ?
デクスもう、それしかないんだ。とうとう、帝国で手に入れたこの惚れ薬を使う時が来た…… !
マルタ何それ ! ? まさか、それをアリスに飲ませるの ! ?
デクス何を言ってるんだ !アリスちゃんの気持ちを薬で変えるなんてアリスちゃんに申し訳ないだろう ! ?
マルタええ ! ? だって昔から、怪しい通販グッズでアリスの気を引こうとしてたじゃない ! ?
デクスあれは『オレ』に作用して、『オレ』がアリスちゃんに好かれるグッズだからいいんだよ !マルタは全然わかってないな !
マルタ同じことじゃないの ? だって、どっちにしたって自分以外の力で気持ちをねじ曲げるんでしょ ?
デクス! ?
しいな……それ以前に効かないと思うけどねぇ。そんな胡散臭い薬なんて。
エミルっていうか、だったらその惚れ薬をどうするつもりだったの ?
しいなチョコレートに混ぜて、あたしからゼロスにプレゼントしろって言うのサ。
テネブラエなるほど……。つまりゼロスさんの方の気持ちを薬で手っ取り早く変えてしまおうと。
しいな冗談じゃないよ。薬が本物だとしてもしち面倒なだけじゃないか。マルタも言ってたけど薬で人の気持ちを変えるなんて、いい気分じゃないよ。
デクス………………。

Character6話【チョコ作り6 葛藤】
コーキス………………。
コーキス………………。
ゼロス――あれ、コーキスでねーの。
コーキスゼ、ゼロス様 ! ?
ゼロス何してんのよ、こんなとこで。イクスと色々あって、しばらく自分探しの旅に出たって聞いてっけど。
コーキスじ、自分探しぃ ! ? そ、そんなんじゃ……。でも……そうなのかな……。
ゼロス里心でもついて、イクスに会いに来たのか ?ん ? つーか、どうしてここにイクスたちが来てるって知ってるんだ ?
コーキス……しいな様が、明日俺に渡すものがあるからここに来てくれって。
ゼロス明日 ? まだ今日でしょーよ。
コーキスそうだけど……。マスターたちもここに来てるって言ってたから……どこかで顔を見られないかなって。
ゼロス……なるほどね。
コーキス………………。
ゼロスなあ、コーキスよ。色々と気まずくて会いにくいって気持ちは俺さまにもわかるぜ。
ゼロスけどな、そうやって逃げ回ってると結局気まずさだけがどんどん膨れあがって二度と会うことができなくなっちまうもんだ。
コーキスうん……。それは何となくわかる……。
アリスちょっとゼロス。どこ行ってたのよ。アリスちゃんのお願い聞いてくれるんじゃなかったの ?
ゼロスおおっと ! アリスちゃん !悪い悪い。詳しい話は二人っきりになれる場所で、な。
ゼロスコーキス、丁度いい。このイクスに頼まれた買い物メモあいつに渡しといてくれよ。
ゼロス俺さま、これからアリスちゃんとのデートだからいけそうにねーんだわ。
コーキスえ ! ? けど、俺、マスターとは――
ゼロスゼロスくんに頼まれたって言えば基地の中に入れてもらえっから。イクスは食堂な。頼んだぜぇ~ ?
アリスゼロス~、あんまり待たせるならその綺麗な顔に消えない傷を作るわよ ?
ゼロスアリスちゃん、ドS~ ! 殴って殴ってぇ~ !
コーキス…………マスター。
カーリャ・Nイクス様、調理室の準備は完了しました。
イクスありがとう、ネヴァン。
カーリャう~ん♪ 甘い匂いがしますねぇ…… !ちょっと材料の味見を……。
カーリャ・Nいけません、カーリャ。調理室のチョコレートは私たちだけのものではないのですよ。
カーリャ・Nエミル様たちも、チョコレート作りに参加すると言っていました。材料が足りなくなってはみんなに迷惑が掛かってしまいます。
カーリャ先輩。口の端にチョコレートが付いてますけど……。
カーリャ・N! ?き、気のせいです !
イクスはは、ネヴァンは食いしん坊だな。
ミリーナふふ、ホント。可愛いわね。
カーリャ・Nす、すみませ……ん……。
ミリーナさて、エミルたちに場所を空けてあげなくちゃいけないから、私たちは先に取りかかりましょうか。
救世軍鏡士殿。あんたたちに客が来てるぞ。
コーキス…………あ……あの……。
四人! ! !
イクスコーキス ! !
コーキス……あの……ちょっと、近くまで来たから……。
カーリャコーキスゥゥゥゥ ! ! ! !心配してたんですよぉ ! ! ! !
ミリーナお帰りなさい、コーキス。
コーキス俺、別に帰ってきた訳じゃなくて……。
イクス……またどこかに行ってしまうとしてもコーキスの居場所は俺たちの横だろ。だからお帰りでいいんだよ。
イクスおかえり、コーキス。
コーキス……う……うん……。た、ただいま……。マスター……会いたかったよ…… !

Character7話【チョコ作り7 対決】
カーリャコーキスは子供ですね !イクスさまの顔を見た途端、べそべそと泣き出して。
コーキスぱ、パイセンだって、鼻水垂らしてたじゃねーか !
カーリャ垂らしてません !
カーリャ・Nフフ……。二人ともまだまだ子供ですね。
二人子供じゃない !
カーリャです !
ミリーナもう、三人とも、それぐらいにして。さ、コーキス。せっかく会いに来てくれたんだから話はどこか落ち着ける場所でしましょう。
イクスえ ? 別にここでも――
カーリャ・N小さいミリーナ様の言う通りです。ここは、この後も使う人たちがいますから !
イクス! !
イクスそ、そうだった ! ここじゃちょっと具合が悪いな。じゃあ、俺たちが一時的に借りてる部屋に――
コーキス……マスター。
イクスえ ?
コーキスまた、嘘ついてるな。俺、もうマスターが隠し事してるのなんとなくわかるから。
コーキスなんで俺がマスターの元に帰らないのかマスターはまだわかってないのか ! ?
イクスち、違うよ。それはもう十分にわかってる。だけど、それはそういうことじゃなくて――
コーキスじゃあ、どういうことなんだよ !
コーキスマスターだけじゃなくて、ミリーナ様もネヴァンパイセンもみんな……俺に何かを隠してるじゃないか !
カーリャコーキス ! いい加減にしなさい !
コーキス! ?
カーリャコーキスは自分の意志でアジトを出て行ったんですよ ! ?
カーリャ今は敵かも知れない相手に、言えないことがあるのは当たり前じゃないですか ! でもミリーナさまもイクスさまもコーキスを迎えてくれたんですよ ! ?
カーリャ・Nそ、それは……私の言う台詞だと思っていました……。小さいカーリャも言う時は言うのですね……。
コーキス先輩……。
カーリャそれに隠していたのはそんな大層なことじゃありません !
カーリャしいなさまから、コーキスに連絡をつけられると聞いて明日のバレンタインに向けて、チョコレートを作っていたんです。サプライズで !
コーキス! !
ミリーナカーリャ……。言っちゃったわね……。
カーリャこんなお馬鹿さんには言ってあげなきゃわからないですからねっ !
コーキス……マスター、ホントに ?
イクスはは……。うん。ほら別にバレンタインは恋人だけじゃなくても、感謝の印としてプレゼントをする風習もあるんだし。
イクスまあ、それもお菓子会社の戦略に乗せられてるような気もするけど……。
イクスそれでもいいかなと思ったんだよ。俺コーキスにすごく感謝してるからさ。
コーキス……ごめん……ごめんな。マスター。俺、勝手に勘違いして怒って……。
イクスいいんだよ。俺がそんな風に心配させるようなことをしてきたんだから。
コーキス……マスター !
カーリャ・Nではこれより、第一回鏡士VS鏡精チョコレート作り選手権を行います。
ミリーナうふふ。イクス、とびきり美味しいチョコレートを作って、カーリャとコーキスをびっくりさせてあげましょうね。
イクス……う、うん。でも本来は俺たちからコーキスへチョコレートをあげるって話だったのに……。
コーキス細かいことはいいんだよ !俺だって、マスターやミリーナ様に感謝の気持ちを伝えたいんだからさ。
カーリャコーキス ! 鏡精の愛情たっぷりチョコレートでミリーナさまとイクスさまをぎゃふんと言わせてやりましょう !
カーリャ・Nでは、鏡士チームも鏡精チームも――レディ……ファイッッ !
カーリャむむ……。こっちのチョコレートも甘くて美味しいですね。
コーキスパイセン ! ? つまみ食いばっかしてないで早く飾り付けを手伝ってくれよ。
カーリャそういうコーキスだってさっきまでつまみ食いばかりしていたじゃないですか !
コーキス俺のは味見だよ ! ちゃんとマスターの好みの味になってるか確認しなきゃいけなかったからな。
カーリャカーリャだってそうですよ !
コーキスわかったわかったって。じゃあ、俺はいちごを上にのせてくからパイセンは他のトッピングを頼むな。
カーリャ任せなさーい ! うりゃーっ !
マルタうわ~ ♪ 甘くていい匂い ♪
マルタあれ、ネヴァン。みんなと一緒に作らないの ?
カーリャ・Nはい。実はさっきコーキスが戻ってきたので急遽、鏡士と鏡精でチョコレート作り対決を行うことになったんです。
カーリャ・Nせっかく鏡士と鏡精の水入らずですから私はここで待っていようかと……。
ミリーナうふふ、ほら味見よ。イクス、あーんして ♪
イクスも、もう味見は十分だよ……。……っていうか、そんなにくっついてたら飾り付けが……。
エミルす……すごい……。なんか覗いちゃいけない空気を感じるね……。
カーリャ・Nふふ。ええ、お幸せそうで何よりです。
テネブラエ……ゲフィオンさんもここにいらっしゃればよかったですねぇ。
カーリャ・N……はい。私もいつの日か必ず、私のミリーナ様に……。
デクス……なあ、あんた。同じ匂いを気にする同志としてオレたちと一緒にチョコレートを作らないか。
カーリャ・Nえ ! ?
しいなああ、そいつはいいね。調理室が空いたらネヴァンも一緒に作ろうよ。こっちはマルタのお目付役が必要だからねぇ……。
マルタしいな、ひどーい !チョコレートなら失敗しないもん !
ラタトスクどうだろうな。何しろ精霊も気絶させるぐらいの料理の腕前だからな。
マルタラータートースークー ?
ラタトスク! ?
エミルああ ! ? 勝手に引っ込んだ ! ?ラタトスク、ずるいよ ! ?
しいな……うん ? そこの床になんか紙が落ちてるけど……。
カーリャ・N本当ですね。
カーリャ・N――おや ? これはゼロス様からイクス様への……。

Character8話【チョコ作り8 探し物】
しいな……何とか間に合ったみたいだね。
エミルまだゼロスとアリスは来てないみたいだね。
マルタまさかゼロスが、アリスの行動を疑ってくっついて回ってるなんて……。
テネブラエしかしあのアリスならありそうなことです。救世軍を乗っ取り、大量のエクスフィアを使って魔物の軍団を作り上げて操ろうなどと、許しがたい。
しいな可愛い顔して、中々エグいことを考える女だねぇ……。
ラタトスク――しっ。誰か来るぞ。
アリス……ちょっとゼロス。どこに行ってもエクスフィアがないじゃない。アレがないとヒュプノスを改造できないんだけど。
ゼロスいやー、おかしいねぇ。俺さまがマーくんから聞いてたエクスフィアの保管場所ってのは大体巡ってきたんだけどなぁ。
アリス街のカフェに、公園に、砂浜……。とてもエクスフィアのありそうな場所じゃなかったけど。
アリスっていうか、本当に知ってるの ?救世軍が隠してるエクスフィアの保管場所。
ゼロス当たり前でしょうよ。知ってるからこそ監視の目がないか慎重に、あちこち連れ回してたんだぜ ?
アリスへぇ……。てっきりアリスちゃん時間稼ぎをしてるんだと思ってたわ。
ゼロスまたまた、ご冗談を♪
アリスあら、いたって本気よ♪ところで……この大きな樹、知ってる ?
ゼロス大樹カーラーンだろ ? ロイドくんたちが具現化された時に、一緒に具現化されたらしいな。俺たちの世界じゃ、もう枯れちまった筈だってのに。
ゼロスなんでかこの世界には枯れてない状態で具現化されてしかも一度は暴れたらしいぜ。
アリス……その話なら知ってるわ。今じゃアルタミラって呼ばれてる領都の辺りで、樹の根が暴れたんでしょ。迷惑な樹ね。
アリス――それで ?どこに救世軍が集めたエクスフィアを隠してるの ?
アリスそろそろ吐いてくれないと、アリスちゃんも本気になっちゃうわよ ?
アリス――いらっしゃい !ニンゲンタロー ! ニンゲンジロー !
しいな悪いね。あんたがこの樹の周りに伏せていた部下たちには、おねんねしてもらったよ。
アリス……ゼロスがアリスちゃんに気のあるフリをして何かを企んでるってことはすぐにわかったけどまさか、マルタちゃんたちの差し金だったってこと ?
マルタ私がそんな回りくどいことする訳ないじゃない。
アリスそうよねぇ♪マルタちゃんって非力なだけじゃなくておつむも、ア・レだし♪
マルタなんとでも言えばいいよ。確かに私は非力だしみんなの力に頼ってばっかりだったけどでも、弱いからできることだってある筈だから。
エミル弱くたって力を合わせて支え合うことぐらいできるよ !
アリスふーん? そういうのを依存っていうんじゃない ?弱さなんて、人の社会システムの偽善に付け入るぐらいの利用価値しかないと思うけど。
しいななんだい、さっきから嫌なことばかり言う女だね !あんたがエクスフィアを探してるのだってエクスフィアの力に寄生するためじゃないか !
ゼロスアリスちゃんよ、エクスフィアは帝国の連中の手に渡らないように、隔離してあるんだわ。
ゼロスなあ、お前エクスフィアを強奪するために救世軍のスカウトを受けたんだろ ?
ゼロスいや、救世軍が自分をスカウトしてくるように動いたんだよな。
アリスあら♪ 何の話かしら♪
ゼロスしらばっくれるなよ。ここはマナを生む伝説の大樹の下だ。正直な告白を期待したい所なんだがねえ ?
ゼロスマークからも連絡を受けてるぜ。救世軍の各部署に自分の息の掛かった連中を送り込んで地上部隊全体の掌握に掛かってるってよ。
アリスふふ♪ そう……案外早くバレちゃったのね。
アリスでもいいわ。しもべたちなら腐る程手に入ったしあとはエクスフィアを手に入れればヒュプノスの改良に取りかかれるもの。
テネブラエやはり、ここでも誇り高き魔物を操ろうというのですか !
アリス誇りでご飯は食べられないのよ、テネブちゃん♪それに、ここには上質のエクスフィアが二つもあるじゃない。
アリスしいなとゼロスのエクスフィア。そ・れ・に、ゼロスが隠し持ってる神子の輝石も頂いちゃうわ。
ゼロス! ?
アリスさあ、さっさとエクスフィアを残して死んでちょうだい♪

Character9話【チョコ作り9 お仕置きタイム】
アリス……まだ終わらないわよ !私はこんなところで負けない――
デクスうおおおおおおおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ ! !アリスちゃ―――――――――――――――んっっ ! !
アリスデクス ! ?
デクスアリスちゃん ! 待ってくれ !
アリス何よ、あんたまで私の邪魔をするつもりなの ?
デクス違うよ ! オレはいつだってアリスちゃんの味方だよ。アリスちゃんがオレを助けてくれなけりゃオレはとっくに死んでるんだ。
デクスオレの命は全部アリスちゃんのものだよ。
アリスだったらどいて !あいつらからエクスフィアを奪ってやるんだから !
デクスその前にこれをもらってくれ、アリスちゃん ! !
デクスやっと冷えて、ギリギリ固まったんだ !これはオレからアリスちゃんへの愛と感謝を込めたしもべの証――契約のチョコの指輪だよ !
アリスギリギリ……冷えて固まった…… ?まさかそれ、デクスが作ったんじゃないでしょうね……。
デクスそうだよ、アリスちゃん !このデクスが――いや、アリスちゃんの愛のしもべニンゲンデクローが !
アリス……へ、変なもの入れてるんじゃないでしょうね。手作りってそういうとこがキモいのよね……。
しいなああ、その点は保証するよ。チョコを溶かしたのはエミルだし、デクスは使い捨ての手袋使って指輪の形に整えただけサ。
しいなちょっと指輪と言うには不格好だけどね。
デクスマルタとしいなに言われて気付いたんだ。
デクスオレはアリスちゃんに振り向いて欲しくて色んなグッズに頼ったけど、そもそもアリスちゃんの気持ちを変えようなんてことがおこがましいんだって !
デクスあらためて、オレはアリスちゃんのしもべになる !バレンタインデーにはまだ少しだけ早いけど受け取ってくれ ! ! !
アリス嫌よ。
マルタそ、即答 ! ?
ゼロスしかもくい気味……。
テネブラエこれは痛ましい……。
アリス誰をしもべにするか選ぶのはアリスちゃんでデクスじゃないの。2Kのくせにずうずうしい。
デクスアリスちゃん……。そうか……。そうだよね……。
エミルだ、だけど、アリス――
アリスマルタちゃんのペットちゃんは黙ってて。
アリス今更しもべもへったくれもないでしょ。大体、この指輪……のサイズおかしくない ?アリスちゃんの指、こんなに太くないし。
アリスこれじゃあ、親指にはめても抜け落ちちゃうじゃない。ほんっと、不器用なんだから。
デクスご、ごめんよ……。アリスちゃん。
アリスしかも慌てて固めたからなんか微妙に溶けかかってるし……。だから――
しいなあ、アリスの奴…… !
エミル指輪の宝石だけ食べた ! ?
デクスアリスちゃん…… !
アリス……まぁ、味は悪くないわね。ペットちゃん、中々上手じゃない。
エミルあ、ありが……とう…… ?
アリスさてと、デクス、お手。
デクスえ、うん。
アリスおかわり。
デクスはい。
アリス口を開けて。
デクスふあ……――お ! ?
アリス残りのチョコはあんたにやるわ。
デクスぅうぉぉぉぉぉぉぉおおおおおおおぉ ! ? ! ? ! ? ! ?アリスちゃんからのチョコレートだ―――――― ! ! !
テネブラエいや、アレはデクスが自分で作ったチョコですからアリスからのチョコとは言わないのでは……。
しいな野暮なこと言うんじゃないよ。デクスにしてみればあれでもアリスからもらったチョコなんだから。
ゼロスうんうん、これで大団円ってか ?
ゼロスデクスもチョコレートをもらって大満足みたいだしあとはアリスちゃんを捕まえてマーくんの所にしょっ引くだけだな。
デクスそんなことはさせないぞ !アリスちゃんはオレが守る !
アリス――デクス、うるさい。
デクスあ、ごめんよ、アリスちゃん。
アリスねぇ、ゼロス。私をマーくんの所に連れていくっていうなら、大人しく付いていってあげてもいいわよ。
アリスそ・の・か・わ・り♪アリスちゃんを騙した罰は受けてもらわないとね♪
ゼロス……おおっと、そいつはどういうことかな ?
アリス決まってるでしょ ?アリスちゃんのお仕置きタイムよ♪
デクスアリスちゃん ! オレも加勢するよ !
アリス言っとくけど、デクス。あんたもお仕置きされる方なのよ。
アリスマルタちゃんたちと一緒にいたのにアリスちゃんを陥れる計画に気付かないなんてしもべ失格じゃない。
デクスああああ、そうかぁぁぁぁ !ゼロス、ここは大人しく二人でアリスちゃんにお仕置きされよう !
ゼロスはあ ! ? 俺さまを巻き込むな ! !それに俺さまたちにお仕置きするならしいなたちだって――
アリスああ、そうね。しいな、マルタちゃん、ペットちゃん。ゼロスにお仕置きするのとアリスちゃんにお仕置きされるの、どっちがいい ?
しいなそうだねぇ……。デクス、あたしの作ったチョコも持ってきてくれたかい?
デクスああ、もちろんだ。そこの保冷箱に入れてある !
しいな了解だよ。それじゃあ、あたしはアリスに協力しようかねぇ。
マルタええ ! ? しいな、本気なの ?
しいなもちろん本気さ。マルタ、エミル、あんたたちも手伝いな !
ゼロス何で ! ?俺さまいいことしたのに、なんで裏切られるのー ! ?

Character#N/A
カーリャ・Nしいな様たちは大丈夫だったでしょうか。やはり私も一緒に行った方がよかったのでは……。
イクスそうだよな……。ゼロスさんは俺にアリスを捕まえるのを手伝ってくれってメモを託したんだし……。
ミリーナ大丈夫よ。マークたちも加勢に向かうって言ってたもの。
ミリーナそれに、私たちがアリスを捕まえる方に荷担したらアリスが鏡士を信用してくれなくなるかもってテネブラエさんも言っていたじゃない。
イクス……どっちにしても、もう俺たちには協力してくれなさそうだけど。
コーキスそれにしても俺、うっかりしてマスターにメモ渡すの忘れてたからしいな様たちが気付いてくれてよかったよ。
カーリャコーキスはおっちょこちょいですねえ。
コーキス仕方ないだろ。……みんなに会えて、なんかすげぇ嬉しかったからメモのことすっぽ抜けちゃって……。
カーリャ・Nおや、12時を超えたようですね。日付が変わりました。
イクスあ、本当だ。ハッピーバレンタイン !これは俺とミリーナから、コーキスとカーリャに。
カーリャわーい♪
コーキスありがとう、マスター !
カーリャむむ、美味しそうなフォンダンショコラ…… !でもカーリャたちだって負けてませんよ !
コーキスこれは俺とパイセンから……チョコケーキ !
ミリーナまあ、可愛いカップケーキ ! すごく嬉しいわ。
イクスうん、それにすごく美味そうだ !ありがとう、コーキス。カーリャ。
カーリャ・Nこの勝負、どちらもお互いへの愛情がこもっていて甲乙つけがたいですね。よって、引き分けにしましょう。
ミリーナあら、まだ勝負は終わってないわよ。
カーリャ今度は私たち後輩組から、ネヴァン先輩に。
イクスこっそり四人で作ったんだ。トリュフだよ。
コーキスパイセンのパイセン……色々迷惑かけてごめん。マスターのことよろしくお願いします。
カーリャ・Nわ、私にですか…… ! ?あ……ありがとうございます…… !
テネブラエゼロスさん、まだ帰らないのですか?
ゼロスあ ? まあな……。お前こそ、エミルたちと一緒じゃねぇのか。
テネブラエ私はこれからラタトスク様たちに起こる惨劇を止められそうにないので敢えて距離を取っているのです……。
ゼロスああ、マルタちゃんからの愛を試されるのか。マルタちゃん、ナチュラルに砂糖と塩を間違えるからな……。
テネブラエおや、ゼロスさんが持っているのもチョコレートですか?
テネブラエ……そういえば、しいなさんが戦闘中に投げ込んできていましたねぇ。
ゼロス……ああ。
しいなゼロス。マークたちが捜してるよ。アリスの処遇のこととか、色々相談があるみたいでサ。
ゼロスお、噂をすればしいなでねーの。戦闘中に、俺さまへの愛の告白とは痺れたねぇ !
しいな何言ってんだい。そんな訳ないだろ。義理だよ、馬鹿。
ゼロス知ってるっつーの。どうせロイドくんには顔ぐらいある、大きなハート型のチョコでもやるんだろ ?
しいなそ、そんなものやらないよ!
しいな――い、いや、ロイドにはちゃんと渡すけどみんなに渡すつもりだよ。あんたにあげたのと同じ物を。みんな仲間だからね。
ゼロス馬鹿だなぁ、しいなは。こういう時に差をつけなくてどうするんだよ。
しいな……な、何の話だい?
ゼロス……いや、何でもねぇよ。
しいなとにかく、マークが呼んでることは伝えたからね。それと……あんたもそろそろアジトにおいでよ。ロイドが寂しがってるよ。もちろんあたしらもサ。
ゼロス……そうだな。けどその為には、切らなきゃいけない仁義ってのがあってだなぁ。
しいな仁義 ?
ゼロスけじめって奴だよ。そろそろ……俺も逃げる訳にはいかねぇのかもなぁ。
マーク……は ? なんだって ?
アリスもう、マーくんったら、耳が遠いの ?アリスちゃんが、あんたたちに協力してあげるって言ってるの。
マークいや、お前こそ、人の話を聞いてたか ?お前は救世軍を乗っ取ろうとしてたんだぞ。そんな奴を味方にすると思うのか ?
アリス思うわよ。だってあんたたち私を殺して処罰する根性はないでしょ ?
アリスそれをやったら鏡士の方のお仲間からクレームが来るもの。あっちと同盟が途切れたら、救世軍も大変でしょう。
マーク……わからないうちに始末するかも知れないぜ ?
アリスだったら試してみてよ。それに、私を無罪放免で解き放ってご覧なさい。
アリス救世軍の中を無様に引っかき回されてたことが知れ渡って、指揮系統の統制が取れなくなっちゃうんじゃないかしら ?
アリス何ならしもべを連れて帝国に行ってもいいカモ♪
マーク……わかったわかった。で、何が望みだ ?
アリスエクスフィア。
マークそいつはダメだ。
アリスだったら魔鏡技術とやらを知りたいわ。
マークそっちで妥協してもらおうか。後で技師を紹介するよ。
アリスうれしい♪ 頼りにしてるわね、マーくん ?
デクスこのデクスさまもお前らに力を貸してやるぜ !
マーク…………あー。何だってこう、頼みもしないのに面倒な奴らが寄ってくるんだ……。
コーキス……マスター。もういいよ、見送りは。もう基地なんか見えなくなっちゃったじゃん。
イクス……うん。ごめんな。なんか名残惜しくてさ。
コーキス……………………。
イクス……行くなよ。
コーキス! ?
イクス戻ってこいよ。俺たちの所に。
コーキス……マスター。俺決めたんだ。
コーキス色々あって、色んな迷惑もかけて……だから……マスターの所に戻るならちゃんとけじめをつけてからって。
イクス……ってことは、いつかは帰ってきてくれるんだな ?
コーキス……うん。
イクス約束だぞ。
コーキスうん、約束する。だから、それまで……元気でな。マスター !
ミリーナ行っちゃったわね……。
イクス……ああ。なんだろう。子供が生まれて、独立したらこんな感じなのかな……。
ミリーナ……ふふ。イクスパパは子離れができないのね。
ミリーナ――さあ、私たちも帰りましょう。まだ私からのチョコレートもあげてないし、ネヴァンもチョコレートを用意してくれているんですって。
イクスそれは嬉しいな。じゃあ行こうか。バレンタインデーは始まったばかりだもんな。