| Character | 1話【イースター1 祭の準備】 |
| ウッドロウ | 闘技場運営からの連絡事項は以上だ。それではイースター闘技祭の開催に向けて各々準備に取り掛かってくれ。 |
| ジョニー | さあ、張り切っていこうぜ ! |
| 一同 | おーっ ! ! |
| イクス | ウッドロウさん、ジョニーさん。開催準備の進行役、ありがとうございます。エミルとマルタもすごく感謝してましたよ。 |
| ウッドロウ | ビフレスト式武闘会から、間もない開催だ。二人は広報など表立って色々とやることもあるだろう。役に立てているなら嬉しい限りだ。 |
| ジョニー | 俺はなーんにもしちゃいないぜ。ファンダリア王にかかれば裏方仕事なんざ余裕だろうし道化のジョニーらしく適当にやってるだけさ。 |
| ウッドロウ | そう言いながらも、皆の様子を気にかけ相応しいタイミングで、鼓舞してくれている。ジョニーには私も感謝しているよ。 |
| ジョニー | さあて、何のことだかな。みんなのやる気があるのはあんたの提案したイースター闘技祭が楽しみだからだと思うぜ。 |
| スタン | 俺も楽しみです ! 確か、イースターってゲームとか仮装とかをするんですよね。 |
| ルーティ | あんた、絶対よくわかってないでしょ。まあ、あたしも人のこと言えないんだけど。 |
| イクス | 簡単に言うと、イースターっていうのは春のお祭りなんだ。卵を使ったゲームとウサギの仮装をするのが習わしだな。 |
| ウッドロウ | ソモサン。ではここで問題。なぜ卵がゲームに用いられるか、わかるかな ? |
| フィリア | セッパ。卵は生命と復活の象徴だからです。本来イースターとは、伝説のビクエの復活祭。ビクエ復活とその生命を祝う意味が込められています。 |
| ウッドロウ | 正解だ。フィリア君には少し簡単過ぎたかな。 |
| フィリア | ソモサン。では私からも問題です。イースターでウサギの仮装をする理由は何でしょう ? |
| ウッドロウ | セッパ。ウサギは繁栄の象徴だからだ。春は多くの命が芽吹く季節。多産なウサギとかけて子孫繁栄、豊穣を祈る意味があると言われている。 |
| フィリア | 正解です。ウッドロウさんもさすがですね。 |
| ルーティ | クイズの腕前が上がってる……。あんたたち、よく勉強しているわね。 |
| ウッドロウ | 知は力なり。知識は生に活力を与えてくれる。ルーティ君たちも今の話を聞いてイースターがより楽しみになったはずだ。 |
| スタン | はい ! なんだか明るくて楽しそうですね ! |
| ウッドロウ | そのとおりだ。だからこそ今回のイースターでは普段、闘技場とは縁のない、子連れの家族層に一番楽しんでもらえるよう計画している。 |
| フィリア | 確かに……ゴロツキチャンピオンの噂もあって小さな子供のいる親御さんたちの中には闘技場を快く思っていない方もいらっしゃいます。 |
| フィリア | 今回のイースター闘技祭がうまくいけば今までの印象が払拭され、より多くの人がこの観光地に訪れるようになるかもしれませんものね。 |
| ウッドロウ | ああ。そのためにも子供とその親が気軽に参加できるよう私たちも工夫をしていこう。 |
| スタン | ……子供のいる親、か。なら俺、カイルと一緒に参加しようかな。 |
| ルーティ | いいんじゃない。嬉しさに踊りだしそうな光景が目に浮かぶわ。 |
| スタン | じゃあ一度声をかけにアジトに戻るよ。ちょうど荷物を取りに行く用事もあったしさ。それじゃあ、またあとで。 |
| フィリア | スタンさん、すごいですね。もうすっかりカイルさんと親子であるということを受け入れているようで……。 |
| ルーティ | ……ええ、ホントすごいわ。 |
| ソーディアン・アトワイト | ルーティ……。 |
| フィリア | す、すみません ! 違うんです !別にルーティさんと比較したわけではなくて……。 |
| ルーティ | わかってるわよ。あたしもあんたと同じ。スタンに感心したってだけよ。あいつの器とかさ、順応性の高さとか……。 |
| ルーティ | って、あたしがあいつを褒めるとのろけてるみたいじゃない !あーもう、ヤダヤダ。 |
| ウッドロウ | ルーティ君もだいぶ心にかかったモヤが晴れてきたようだね。 |
| ルーティ | 少なくともスタンとのことはね。夏祭りを一緒にまわりながら色々話せたおかげかな。フィリア……あの時は、ありがとね。 |
| フィリア | 感謝されるほどのことはしていませんよ。大切な仲間が悩んでいるのを放っておけなかっただけですから。 |
| ウッドロウ | さてと、いつまでも立ち話をしていては他のスタッフに示しがつかない。そろそろ私たちも仕事に取り掛かるとしよう。 |
| イクス | そうですね。ちょうどミリーナがオススメしてくれた雑貨屋さんが、街に来る時間ですし小物や飾りとか、色々仕入れておかないと。 |
| フィリア | その雑貨屋さんの話、私も聞きました。今の季節だと、イースターにぴったりの可愛いものがたくさんあると評判みたいです。 |
| ルーティ | マリーと違って、あたしは可愛いものとかよくわからないけど、仕入れなら任せなさい。ばっちり値切ってやるわよ。 |
| ソーディアン・アトワイト | 頼もしい限りだけど、ほどほどにしなさいよ。 |
| ウッドロウ | それでは皆で、街の広場に向かうとしよう。 |
| Character | 2話【イースター2 雑貨屋の主人】 |
| イクス | 広場が雑貨屋目当ての人でいっぱいだな。噂には聞いていたけどまさかここまで人気だったとは思わなかったよ。 |
| ジョニー | だいぶ繁盛しているみたいだな。店主はかなりの商売上手と見た。イクス、どんな奴か知ってるか? |
| イクス | 可愛いもの好きの女性らしい……としか。あ、でも魔物に襲われそうになった子供を助けたって話を聞きました。たくましい人だなんて言われてたな。 |
| ルーティ | 可愛いもの好きだけどたくましい……っていやいや、そんなまさか……。 |
| ? ? ? | さあ、そこのお客さん。どうぞ遠慮せずに見ていってくれ。イースターにぴったりの可愛いものがいっぱいだぞ。 |
| 一同 | ! ! |
| ? ? ? | ど、どうした ?もしかして…………可愛くなかった、か ? |
| フィリア | い、いえ。どの商品も可愛らしいですよ。そのお召し物もとても素敵です。 |
| ? ? ? | ありがとう。イースターといえばウサギだからな。バニーガールを可愛くアレンジしてみたんだ。よければ一着どうだ ? |
| ルーティ | って、そんな話している場合じゃないでしょう !マリー、あんたなにやってるのよ ! ? |
| ウッドロウ | まさか雑貨屋の店主がマリーさんだったとは……。 |
| マリー ? | ? 確かに、わたしはマリー。マリー・エージェントだが……わたしの名を知っているということは、以前どこかで会ったのか ? |
| ルーティ | 会ったのかって……何よその冗談。それにあんたの本名はマリー・ヴィンセントでしょうが。 |
| ルーティ | もしかして、からかってるの ? |
| マリー | いいや。マリー・エージェントが本名だ。もしや人違いではないか ? |
| ルーティ | マリー・エージェントはあたしがつけた名前でしょう。ちょっとマリー、どうしちゃったのよ。 |
| フィリア | どこか様子がおかしいみたいですね。 |
| イクス | ルーティたちの知り合い……なんだよな ?鏡映点リストの写真に何となく似てるし。でも名前はマリー・エージェントで登録されていたはずだけど。 |
| ルーティ | あっ……。 |
| マリー | うむ、やはりわたしの記憶に間違いはなかった。何のリストかはわからないがやはりわたしはマリー・エージェントではないか。 |
| ルーティ | ちょ、違うのよ ! リスト作成のときにうっかりあたしが呼び慣れてるエージェントって方で申請しちゃったの ! 本当はヴィンセントなのよ ! |
| ソーディアン・アトワイト | あの時はルーティも色々あったものね……。 |
| マリー | なにっ ! ! 剣がしゃべったぞ ! ?これはすごいな、どういう仕組みだ ! ? |
| ジョニー | お前さんたち。一度落ち着いた方がいいんじゃないか。 |
| ウッドロウ | そうだな。まずはマリーさんについて。どこか様子がおかしいみたいだが……。 |
| コングマン | お前ら、ちょうどいいところにいやがったな ! |
| ルーティ | コング ! あんたも一緒だったの ! ? |
| コングマン | おう。修行のため雪山にこもっていたら景色を眺めてたマリーとばったり出くわしてな。 |
| コングマン | だが見ての通り、様子がおかしい。なんせ俺様たちのことを知らねぇっていいやがるんだ。 |
| ルーティ | そうなの ! ? あたしのことも ! ?ここにいるフィリア、ウッドロウ、ジョニーは ?スタンとリオンのことも覚えてないの ! ? |
| マリー | すまない。 |
| コングマン | マリー・エージェントっていう名前以外は覚えてねぇらしい。修行中とはいえ放ってはおけねぇと思ってここまでついてきたわけよ。 |
| イクス | まさか……マリーさんも具現化時間軸が違っていてみんなと知り合う前から具現化されたとか ? |
| イクス | いや、待てよ。そもそも鏡映点として具現化されなかったという可能性も……。 |
| ウッドロウ | だがマリーさんはルーティ君がつけたマリー・エージェントという名を覚えている。これは紛れもない事実だ。 |
| ウッドロウ | 元の世界での記憶があるということは少なくとも鏡映点として具現化されたことは間違いないだろう。 |
| ウッドロウ | そして、目の前にいるマリーさんの具現化時間軸はわからないが、少なくともマリー・エージェントという名を覚えているということは……。 |
| ジョニー | 元の世界で、ルーティとは知り合っているはずだ。なのに、マリーは知らないと言っている。おかしな話だと思わないか ? |
| ルーティ | まさか……また記憶喪失だったりして……。 |
| マリー | なんと。わたしの記憶喪失は二回目だったのか。とても新鮮な気分だったから初めてかと思っていたぞ。 |
| ルーティ | 記憶を喪失してるんだから当たり前でしょう !うん、やっぱりこの感じはマリー本人とみて間違いないわ ! |
| イクス | 具現化された際のショックで一時的に記憶障害になっているのかも……。ひとまず俺は、アジトの医療班に伝えてくるよ。 |
| ルーティ | 他に、あたしたちができることは……。 |
| コングマン | それじゃあ、あとは任せたぜ。 |
| ジョニー | なんだ、コングマン。記憶喪失のマリーを放っておいて行っちまうなんざちょっと冷たいんじゃないか。 |
| コングマン | 薄情だと言われりゃそうだろうよ。だがわかってくれ。これ以上俺様がここにいちまうと……。 |
| フィリア | ? |
| コングマン | おぉ、フィリアさん !そんな悲しそうな瞳で俺様を見つめないでください !俺様だって、あなたを悲しませたくはないんです ! |
| フィリア | えっと……私悲しそうな瞳をしていたでしょうか……。 |
| ルーティ | 割と普段どおりだったと思うわよ。 |
| コングマン | とにかく、俺様はまだ修行の身。チャンピオンに相応しい人物になるべくまだまだ強くならなきゃいけねぇのよ。 |
| ジョニー | そこまで言うなら止めるのも野暮か……。 |
| コングマン | わかってくれたか。俺様の決意はこの鋼の肉体と同じぐらい硬いのよ。 |
| コングマン | なに、心配はいらねぇ。それに修行ももう少しだ。次のイースター闘技祭にはチャンピオンとして舞い戻ってくるからよ。 |
| マリー | コングマン。世話になったな。戻ってきたらぜひわたしに声をかけてくれ。お礼に渡したいものがある。 |
| コングマン | 渡したいもの ? |
| マリー | 楽しみにしておけ。お前をより強くしてみせよう。 |
| コングマン | 俺は筋肉さえありゃいいが厚意を無下にするつもりはねぇ。何かわからねぇが楽しみにしてるぜ。 |
| ルーティ | マリー。人の心配するのはいいけどまず自分の心配をしなさいよ……。 |
| コングマン | それじゃあフィリアさん。もうしばらく寂しい想いをさせますが許してください。どうかこの美しい花を俺だと思って……。 |
| フィリア | は、はい。雪山で咲いていた花のようなのでなかなか管理が難しそうですが……。ひとまず、枯らさないよう気をつけますね。 |
| マリー | うんうん。これも愛だ……ん ?待て、その花は…………。 |
| ウッドロウ | マリーさん。この花に見覚えが ? |
| マリー | ああ……これは雪白草だ……。だが、どうしてわたしはこの花の名を……。 |
| マリー | うっ……頭が……。 |
| ルーティ | きっと記憶が戻りそうなんだわ。マリー ! 頑張って…… ! |
| マリー | 愛……雪白草……マリー……ヴィンセン、ト…………。 |
| フィリア | マリーさん? |
| マリー | ……そうか。なぜわたしは短剣を持っているのか不思議だったが、そういうことだったか……。 |
| ルーティ | マリー ! ! あんた―― |
| マリー | ……思い出したぞ。わたしはダリス・ヴィンセントの妻マリー・ヴィンセ、ン―― |
| ルーティ | ちょ、マリー ! ?いきなり倒れてどうしたのよ ! ?記憶の次は意識を失っちゃったの ! ? |
| ウッドロウ | 記憶が戻った反動だろうか……。こちらにアジトの医療班が向かっている。詳細は彼らに診てもらおう。 |
| ジョニー | そうだな。今はマリーを闘技場の医務室に運ぶぞ。 |
| Character | 3話【イースター3 準備再開】 |
| ルーティ | ちゃんとマリーの記憶も意識も戻ってよかったわ。一時はどうなることかと思ったわよ。 |
| マリー | 心配かけてすまなかったな。見ての通り、わたしは元気一杯だ。アニーもわざわざ診察に来てくれてありがとう。 |
| アニー | いえ、記憶も体調も問題ないようでよかったです。最後に、この書類にマリー・エージェントとサインだけお願いします。 |
| マリー | お安い御用だ。だが、わたしの本名はマリー・エージェントではなくマリー・ヴィンセントなのだが……。 |
| アニー | えっ、そうなんですか ! ?名簿はマリー・エージェントになってましたけど……。 |
| イクス | マリーさん、すみません。登録名の変更は出しておいたんですが手続きや修正にもう少し時間がかかるみたいで……。 |
| マリー | 気にしないでくれ。皆の手を煩わせるのも忍びないからな。時間があるときに直してくれれば構わない。 |
| マリー | それに、名簿の名前が何であろうとわたしがマリー・ヴィンセントであることに変わりはないのだからな。 |
| イクス | そう言ってもらえると助かります……。 |
| アニー | それじゃあ、わたしはもう戻りますね。イースター闘技祭、アジトのみんなも楽しみにしていますよ。準備、頑張ってくださいね。 |
| マリー | さてと。診察も問題なく更に、アニーから嬉しい報告も聞けたからな。そろそろイースター闘技祭の準備を再開するとしよう。 |
| ウッドロウ | マリーさん。その前にどうしても話しておきたいことがある。少し時間をもらえないだろうか。 |
| イクス | あっ……俺、先に準備に戻ってますね。 |
| マリー | ……先程イクスから聞かされたこの世界ティル・ナ・ノーグや具現化についてではなく他にも重要なことがあるのだな。 |
| ウッドロウ | この世界というよりも主に私たちに関係することだ。 |
| 二人 | …………。 |
| マリー | ……わかった。長くなっても構わない。ウッドロウ、ちゃんと聞かせてくれ。 |
| ウッドロウ | ……強引に一言でまとめてしまうと私たちは、同じ世界から具現化されてはいるが具現化時間軸に差がある、ということだ。 |
| マリー | ……なるほど。だからはるか昔天地戦争時代のディムロスたちもこの世界に存在しているというわけか……。 |
| フィリア | マリーさん、ここまでは理解できましたか ? |
| マリー | あ、ああ……。なんとかではあるがな。 |
| ウッドロウ | 詳細部分の説明は、現時点では控えておこう。だが最後にもうひとつだけ覚えておいて欲しいことがある。 |
| ウッドロウ | それは、私たちからみて過去だけでなく未来からも具現化された存在がいるということだ。 |
| フィリア | このリストの方々ですわ。 |
| マリー | これは…… ! ど、どういうことだ。全員初めて見る顔のはずなのだが……何人かは、見覚えがあるような気もする……。 |
| マリー | まさか、まだわたしは思い出せていないことがあるのか ! ? |
| ルーティ | 安心して、あんたの記憶もリストをみて抱いた感覚もどっちも正常よ。 |
| マリー | ルーティ、それはどういう意味だ ? |
| ルーティ | また後で説明させて。ちょっと久しぶりに色々話したいこともあるしさ。 |
| マリー | ……わかった。 |
| ウッドロウ | では、私からの説明は以上だ。あとはルーティ君に任せるとしよう。 |
| フィリア | マリーさんも、記憶が戻ってすぐにたくさんのことを聞いて疲れてしまいましたよね ? |
| マリー | 正直なところな。だがこれしきどうということはない。それに楽しいこともあったからな。 |
| フィリア | 楽しいこと ? |
| マリー | もちろん、ソーディアンと直接会話できることだ ! |
| ソーディアン・クレメンテ | ずっとわしらソーディアンがどんな人物か気になっていたようじゃったからのう。 |
| ソーディアン・アトワイト | 今の私たちは剣ですけどね。 |
| ソーディアン・イクティノス | 違いない。 |
| マリー | おぉ、聞こえる ! 剣から声が聞こえるぞ ! !これもわたしにとっては具現化の恩恵のひとつだ ! |
| ウッドロウ | そ、そうか。マリーさんが楽しいなら何よりだ。 |
| ルーティ | あたしたちソーディアンマスターからしたら普通のことだけどね。強いて言うならイクティノスとのやり取りは新鮮だけど。 |
| ソーディアン・イクティノス | お前の具現化時間軸ではまだ俺は休眠状態であったからな。 |
| ルーティ | あたしからみて未来ではなんやかんやあってイクティノスの機能が復活したってわけね。 |
| ウッドロウ | そういうことになる。 |
| マリー | そうか……わたしたちも微妙に具現化時間軸が異なるのだったな。 |
| マリー | はじめはややこしいと思ったがおかげでイクティノスとも会話できたと考えればこれはこれで愉快なものだな。 |
| フィリア | マリーさんはポジティブでいいですね。私も見習いたいぐらいです。 |
| ルーティ | ずっと横にいるあたしとしてはポジティブ過ぎて心配になることもあるけどね。 |
| ソーディアン・アトワイト | けどそれもまたマリーの魅力でしょう ? |
| ルーティ | ま、そうだけどさ。 |
| マリー | おぉ。ルーティだけでなくアトワイトにまで褒められるとは。嬉しい限りだぞ。 |
| ジョニー | まだまだ元気はあり有り余ってるみたいだな。 |
| マリー | ああ。そろそろわたしたちもイースターの準備に戻るとしよう。まずはイースターエッグ作りだ ! |
| Character | 4話【イースター4 買い出し】 |
| ルーティ | マリー。追加のタマゴ、持ってきたわよ。これでエッグハンティングに使う分は足りそう ? |
| マリー | これだけあれば大丈夫だろう。あとはこのタマゴたちをとびきり可愛くするだけだな。さあ、みんな引き続き頑張ろう。 |
| 二人 | はい ! |
| ルーティ | それにしても、どのイースターエッグもすごいわね。ただのタマゴだけど、こう丁寧に装飾がされてるとまるでお宝みたいだわ。 |
| リリス | そう言ってもらえてよかった。このイースターエッグはエッグ・ハンティングっていう宝探しゲームにも使う予定なんですよ。 |
| マリー | だからわたしたちも可愛さにこだわりを持ちひとつひとつ丹精を込め作っているんだ。どれも可愛いだろう ? |
| マリアン | ウサギ、鳩、子羊……色々なモチーフのイースターエッグを作りました。ここにあるのが完成品なので、よければ見てください。 |
| ルーティ | どれもチビたちが喜びそうね。あれ…… ? なんかひとつだけ変わったデザインのエッグがあるわね。 |
| リリス | それは私の自信作 !お兄ちゃんをイメージしたイースターエッグなんです !イースター当日にプレゼントしてあげようと思って ! |
| ルーティ | あぁっ ! 確かにスタンっぽいわね !長い金髪とか甲冑の感じとか ! |
| リリス | マリアンさんもリオンさんをイメージして作ったんですよね ? |
| マリアン | はい。これです。 |
| ルーティ | あはは。ご丁寧にシャルティエまで描いてある。服やマントの感じとかも含めてこれは間違いなくリオンだわ。 |
| マリアン | リオン様にも気に入ってもられるといいのですが……。 |
| リオン | マリアン、僕に何か用か ? |
| マリー | おぉ、リオン。戻ったか。 |
| リリス | 顔料の買い出し、もう終わったんですね !さっき頼んだばっかりなのに仕事が早くて助かります ! |
| マリアン | 買い出し……そうだったのですね。わざわざ、ありがとうございます。本来なら使用人である私の役目なのに。 |
| リオン | 見回りのついでに買ってきただけだ。それに……この世界ではもう使用人というわけではないだろう。 |
| マリアン | ええ。ですがずっとお仕えしてきましたから。気持ちは簡単に切り替わりそうにありません。 |
| リオン | そうか……。それはそうと、さっき何か隠しただろう ? |
| マリアン | ふふっ……さあ、何のことでしょう。 |
| リオン | なんだ、教えてくれないのか ? |
| ルーティ | ははっ、なによその反応。いつもはクールなくせに面白いわね。案外子供っぽいところもあるってわけね。 |
| リオン | 喧嘩を売っているのか ? |
| リリス | まあまあ、リオンさんも落ち着いてください。ずっと一緒に過ごしてきた相手には接し方も変わるのはわかってますから。 |
| リリス | あっ、そうだ。もし時間あるようならまたお使いを頼んでいいですか ?散歩がてら、いい気分転換にもなると思いますよ。 |
| リオン | またか。何度やらせれば気がすむんだ。 |
| ルーティ | ……リリス。チェルシー並に怖いもの知らずね……。 |
| マリー | よし、完成したぞ。 |
| ルーティ | マリー、静かだと思ったらイースターエッグ作りに集中してたのね。って、そのエッグは……。 |
| マリー | ダリスをイメージしたエッグだ。渡すことはできないが、せっかくだからな。 |
| ルーティ | ……また離れ離れになっちゃったものね。 |
| マリー | ああ。だが、たとえ異なる世界にいようともわたしの心はたえずダリスと共にある。きっとダリスも同じであろう。 |
| リリス | 私もそう想いますよ。だって二人は夫婦……つまり家族なんですから !家族の絆は永久に不滅です。 |
| ルーティ | 家族の絆、か……。 |
| リオン | …………。 |
| マリー | ルーティもエッグを作ってみたらどうだ ? |
| ルーティ | えっ……あ、あたしはいいわよ。こういうの苦手だし……。 |
| ロニ | おおおおおおっ !ちょいと闘技場の手伝いにきたらこんな幸運に巡り合うとは ! ! |
| リオン | この下卑た叫び声は……。 |
| ロニ | ここは俺のための楽園か ! ?ルーティさん、リリスさんに、マリアンさんそれに見知らぬ美女がもう一人……だとっ ! ? |
| ナナリー | 相変わらず見境なしの猿だね……ってあんた、新しくアジト側に合流した鏡映点の……。 |
| ロニ | マリー・エージェント ! ? |
| マリー | ああ。新しく合流した鏡映点だ。本名はマリー・ヴィンセントだがな。 |
| ロニ | おっと、そういやそうでしたね。俺たちの時代でもマリー・エージェントって聞いてたんでついうっかり。 |
| ルーティ | アジトだけでなく未来でも ! ?あたしがなんとなくつけた名前がまさかここまで影響を及ぼすことになるなんて……。 |
| マリー | 未来……そうか。お前たちはわたしたちからみて未来の時間軸から来た鏡映点だったな。 |
| ナナリー | ああ。あたしはナナリー・フレッチ。で、こっちの猿がロニ=デュナミス。 |
| ロニ | 四英雄と共に世界を救った美女とご対面できるなんて光栄です !くぅぅ、人妻なのがおしいっ ! ! |
| ロニ | ここは穏便にマリアンさんを嫁にもらうっていうことで。 |
| マリアン | わ、私ですか……。 |
| リオン | シャル。お前に薄汚い血を吸わせることになるが構わないか ? |
| ソーディアン・シャルティエ | 坊ちゃんのためなら錆も怖くありません。 |
| ロニ | 待て待て待て ! これは冗談だろうが。嫌だねぇ……こう真意が読めない奴は。 |
| ナナリー | まあ、リオンも落ち着きな。あんたの肩を持つつもりはないが……。 |
| ナナリー | 女の敵は、あたしが締めとくよ。 |
| ロニ | アーーーーッ ! ! ギブギブギブッ ! ! |
| ルーティ | あんたたちはいつも賑やかね。ま、そういうのは嫌いじゃないけどさ。 |
| ロニ | さすがはルーティさん、わかってらっしゃる ! |
| ルーティ | ルーティさん、ねぇ……。別に無理にやめろとは言わないけどあたしは呼び捨てで構わないわよ。 |
| ロニ | すいません。ルーティさんは居心地悪いかもですがこればっかしはどうか勘弁してください。 |
| ロニ | 俺にとってルーティさんは母親みたいな存在なんです。だから雑に呼び捨てとかしたくないっていうか……。 |
| ルーティ | はいはい。わかったわよ。 |
| マリー | ちょっと待て……今、母親と言ったのか ? |
| リリス | えっ ! ? そういえばカイルとロニさんって同じデュナミス姓だけど……。 |
| ルーティ | ちょ、ちょっと ! なに誤解してるのよ !違うに決まってるでしょう ! 違う……わよね ? |
| ロニ | あ、当たり前です ! 似ても似つかないでしょう !カイルと違って俺は血の繋がりはないですって ! |
| マリー | ……カイルと違って ? |
| ルーティ | ああ……それは……。ちょっと、また後で話すわ。 |
| ロニ | ……ルーティさん。 |
| リオン | 闘技場の手伝いに来たのだろう。ここにいられては作業の邪魔だ。とっとと消えろ。 |
| ロニ | チッ……わかったよ。いちいち発言に棘がある奴だな、まったく。 |
| ナナリー | マリーさん。あたしたちもまだ仕事が残ってるから時間があるときに、改めて挨拶させてもらうよ。 |
| マリー | ああ、お茶をしながらゆっくり話そう。可愛いお菓子も用意しておくぞ。 |
| リリス | それじゃあ、それぞれ仕事に戻りましょうか。 |
| ルーティ | そうね。あたしもまだやることが残ってるし。 |
| マリー | ルーティ。残っている仕事が片付いたら休憩がてら、一緒にお茶でもどうだろう ? |
| ルーティ | いいわよ。 |
| マリー | それじゃあ、また後で。 |
| Character | 5話【イースター5 相棒】 |
| ルーティ | あっ、マリー。ようやく来たわね。 |
| マリー | すまない。闘技場の手伝いに来ていた皆に挨拶をしていたら遅くなってしまった。 |
| ルーティ | そういえば、ロニとナナリーだけじゃなくリアラたちも来てたみたいね。 |
| マリー | ああ。カイルにも軽く挨拶をしてきたよ。 |
| ルーティ | ……どうだった ? |
| マリー | とても明るく活発な少年だった。こちらも元気をもらえたよ。 |
| ルーティ | うん……。 |
| マリー | …………。 |
| ルーティ | まあ、話っていうのはさ……。 |
| ルーティ | ……カイルが私とスタンの息子ってことなのよ。 |
| マリー | ああ。そうだと思ったよ。 |
| ルーティ | さすがはマリーね。やっぱり気づいてたんだ。どうりで落ち着いてるわけだわ。 |
| マリー | 女の勘さ。もちろん驚かなかったと言えば嘘になるがな。 |
| ルーティ | びっくりよね。未来ではあたしとスタンが結婚して子供までいるっていうんだから。 |
| ルーティ | まあ、こっちの世界でアニーが小説を執筆する手助けにスタンと結婚式っぽいことはしたけどさ。もちろん演技でだけど。 |
| マリー | そうだったのか ! 立ち会えなかったのが残念だ。ルーティのウェディングドレス姿わたしも見たかったぞ。 |
| ルーティ | ミリーナが写真持ってると思うけど……いや、やっぱり写真はなし !思い出すだけで恥ずかしくなってきたわ。 |
| マリー | その様子だと別に嫌ではなかったというわけだな。 |
| ルーティ | うん。一時期スタンと変な空気になったこともあったけど……。 |
| マリー | 無理もないだろう。未来での関係を知らされて意識しない方が無理というものだ。 |
| ルーティ | けど……一緒に夏祭りで屋台をまわって花火をみて、馬鹿みたいに騒いでたらわかったんだ。こいつとは今まで通りでいいんだって。 |
| マリー | こちらの世界でも変わっていくことはあるかもしれない。だが、無理して変わる必要はない、というわけか。 |
| ルーティ | うん。あたしはスタンのことは……好き、だけど少なくとも今感じている好きは、マリーがダリスに抱いているようなものとは、違ってると思うから。 |
| マリー | 戸惑うことも多かったと思うがちゃんと自分の答えを見出せた。それだけで立派なものだ。 |
| ルーティ | そういう意味では相手がよかったのもあるかもしれないけどね。スタンも同じ、わかってくれてるから。 |
| ルーティ | ただ……やっぱり違う部分もあるけどね。 |
| マリー | ……違う部分 ? |
| ルーティ | あっ、ううん。人間性や育った環境も違うし当たり前のことなんだけどさ。 |
| ルーティ | とにかく、話を聞いてくれてありがとう。みんないい奴らだけど……ここまで話せるの、マリーぐらいだからさ……。 |
| マリー | まだ話足りなければわたしは付き合うぞ ? |
| ルーティ | さすが相棒。けど大丈夫よ。マリー、本当にありがとうね。 |
| マリー | なに。相棒だからな。 |
| ルーティ | そろそろ仕事に戻りましょう。広場を見ればわかるとおり、家族連れの観光客も集まってきてるわ。イースターはもうすぐよ。 |
| マリー | ラストスパートだな。それじゃあわたしはまたイースターエッグ作りに戻るとしよう。 |
| ルーティ | あっ、マリー。そのことなんだけど……。 |
| スタン | ルーティ ! ここにいたのか !あ ! マリーさんも一緒だったんですね !会えてよかったです。 |
| マリー | お互い忙しくて、魔鏡通信での挨拶だけになっていたからな。スタンも元気そうでよかった。 |
| スタン | はい ! マリーさんもお元気そうで ! |
| ルーティ | ところで、スタン、何か用 ? |
| スタン | あ、そうだった。カイルと一緒にイースターをまわるんだけどよかったらルーティもどうかなと思ってさ。 |
| ルーティ | あたしも ? |
| スタン | うん。もし、何か予定があるんならカイルと二人で行くけど……。 |
| ルーティ | あたしも大丈夫よ。ウッドロウやフィリアと違ってあたしは当日、そこまで仕事もないし。 |
| スタン | それならよかった !きっとカイルも喜ぶよ !それじゃあ、当日はよろしくな ! |
| ルーティ | さてと、またひとつ頑張る理由が増えたわね。 |
| マリー | それでは張り切っていこう。闘技場を可愛いもので埋め尽くすんだ。 |
| Character | 6話【イースター6 祭開催】 |
| カイル | うおおお ! イースター闘技祭すごく賑わってますね ! |
| ルーティ | まさかここまで人が集まるとは思わなかったわ。ウッドロウが狙ったとおり特に家族連れが多いわね。 |
| スタン | 俺たちもその中の一組だな ! |
| カイル | はい ! |
| ルーティ | ま、まあ……そうだけど。 |
| カイル | 時間が惜しいですし、さっそく広場を回りましょうよ。あっ、スタンさんとルーティさんはどこか行きたいところありますか ? |
| ルーティ | あたしはあんたたちに任せるけど……。 |
| スタン | なあ、カイル。その話し方、もうやめていいんだぞ ?俺たち家族なんだしさ。 |
| カイル | あっ、すみません。出会った頃、混乱させないよう他人のふりをしなくちゃいけなかったから今の話し方が染み付いちゃったみたいで。 |
| スタン | カイル……。 |
| ルーティ | そういえば一番はじめに出会った頃……あたしたちのことは……。 |
| カイル | はい……あんな感じで、油断してると元の世界のときみたいに話しかけちゃいそうだったので。 |
| スタン | それはつまり、元の世界では普通に話してたってことだよな ? |
| カイル | はい。えっと普通に……父さん、母さんって。 |
| ルーティ | まあ、そうよね……。普通に考えて。 |
| スタン | カイル。あの時の話の続きだけど……俺は、元のように話してくれたって―― |
| カイル | も、もういいじゃないですか !せっかく三人一緒なんですからイースターを楽しみましょうよ ! |
| スタン | ……わかった。それもそうだな ! |
| ルーティ | じゃあ、せっかくついでってことでなにか買ってあげるわよ ? |
| カイル | ええぇ ! ? 別にいらないですよ !だって屋台のものって高いじゃないですか ! |
| ルーティ | 確かに割高だけど、こういう場でしょ。もしかして遠慮してるの ? |
| カイル | 遠慮してるっていうかむしろ遠慮させて欲しいっていうか……。なんだか後が怖くて……。 |
| ルーティ | なんでそうなるわけ ?別に裏も何もないわよ ! |
| スタン | こんなに財布の紐が緩いルーティは初めて見た気がするよ。いつも定価で買うのも渋るのに。 |
| カイル | 孤児院の経営のこともあるので未来のルーティさんはもっと財布の紐が固いですよ。 |
| スタン | そうか。それはカイルが怪しむのも無理はないな。まあ、未来のルーティもルーティらしくて俺はちょっとおもしろかったけど。 |
| ルーティ | はいはい、どうせあたしはケチですよ。けど出すもの出す時には惜しまないのもあたしよ。今日ぐらい別にいいでしょう。 |
| カイル | それじゃあ……お言葉に甘えて……。 |
| ウッドロウ | おや。スタン君とルーティ君それにカイル君たちじゃないか。 |
| フィリア | 三人で参加されていたんですね。 |
| スタン | ウッドロウさん ! それにフィリアも ! |
| ルーティ | あんたたちも仮装してたのね。 |
| フィリア | マリーさんに用意してもらったんですよ。少しばかり恥ずかしいですが……。 |
| カイル | そんなことないですよ !フィリアさんもウッドロウさんもすごく良く似合ってます ! |
| スタン | ああ ! ポテちゃんと同じぐらい可愛いよ ! |
| 二人 | ポテちゃんさん ! ? 誰ですか ! ? |
| ルーティ | どうせ羊と一緒に飼っていたウサギでしょう。 |
| スタン | うん。綿菓子みたいに真っ白でフワフワしていて俺が近くに行くと耳がピョンって立つんだ。すごく可愛かったなぁ……。 |
| フィリア | そ、そうですか。 |
| ウッドロウ | スタン君は相変わらずのようだね。 |
| スタン | あれ、そういえばどうして二人は仮装しているんですか ? |
| ウッドロウ | ゲームのためさ。 |
| カイル | ゲーム ? |
| フィリア | よければカイルさんたちも参加していってください。ちょうどはじまる時間ですから。 |
| ウッドロウ | 司会のマリーさんが出てきたな。私たちも準備するとしよう。 |
| マリー | さあ、みんな ! エッグハンティングの時間だ !あちこちに隠されたイースターエッグを見つけてくれ !集めた数に応じて特別な賞品と交換するぞ。 |
| マリー | そして、一番多く集められた優勝者には……なんと豪華賞品をプレゼントだ ! |
| カイル | 豪華……。 |
| ルーティ | ……賞品。 |
| スタン | あ、二人のスイッチが入った。 |
| マリー | 更に、そこのお兄さんとお姉さんを捕まえられたらボーナスでイースターエッグがたくさんもらえるぞ。 |
| ウッドロウ | 私たちがボーナス・ラビットだ。 |
| フィリア | 頑張って捕まえてくださいね。 |
| スタン | あ、なるほど。このための仮装だったんだな。 |
| マリー | それではみんな、準備はいいか ? |
| カイル | スタンさん、ルーティさん !オレたちも参加しましょうよ ! |
| スタン | ああ ! 俺たちもやるか ! |
| ルーティ | レンズハンターの腕前、見せてやるわ ! |
| マリー | それではカウントダウンだ ! 3 ! |
| ウッドロウ | 2 ! |
| フィリア | 1 ! |
| 三人 | エッグ・ハンティング、スタート ! ! |
| Character | 7話【イースター8 ボーナス・ラビット】 |
| ウッドロウ | 捕まってしまったな。 |
| フィリア | どうぞ、私たちからのボーナス・エッグですよ。 |
| カイル | やった ! こんなにエッグが集まった ! |
| マリー | 順調じゃないか。これはエッグハンティングで優勝も夢じゃないぞ。 |
| カイル | これもスタンさんとルーティさんのおかげですよ ! |
| スタン | おかげってほどおおげさなものじゃないだろう。それに、これは三人で力を合わせて集めたものだからな。 |
| カイル | ……三人で。 |
| ルーティ | そういうこと。だからうっかり無くすんじゃないわよ。 |
| カイル | そこまでオレは抜けてないですって ! |
| スタン | あははっ。きっと未来でも同じようなこと言われたんだな。 |
| カイル | スタンさんには、お見通しか。さすが…………あっ ! ! |
| スタン | カイル、どうかしたのか ? |
| カイル | えっ……いや、何でもないですよ。ちょっとリアラたちを広場の方で見かけただけです。 |
| スタン | みんなも来てたんだな。その様子だと気になってるんだろう。リアラたちのところ、行ってきたらどうだ ? |
| カイル | うっ……それもお見通し……。けど今は三人でエッグハンティング中だし……。 |
| ルーティ | 別にちょっとぐらい休憩したっていいわよ。エッグもこんなにあるんだし少し休憩したら、また三人で集めましょう。 |
| カイル | …………いいんですか ? |
| スタン | ちゃんとここで待ってるよ。 |
| カイル | ……そ、それじゃあ…………えっと―― |
| 二人 | ? |
| カイル | 行ってくるよ ! 父さん、母さん ! !それじゃあ、また後でね ! |
| スタン | ……カイル、嬉しそうだったな。 |
| ルーティ | …………。 |
| スタン | ルーティ ? |
| ルーティ | ……母さん、か。 |
| 三人 | …………。 |
| リオン | お前たち。そんなところにたむろするな。通行の妨げになりかねんぞ。 |
| スタン | あ、すみません……って、リオンじゃないか。リオンもイースターに参加していたんだな。 |
| リオン | 僕は見回りだ。こんな子供向けの催し物に僕が参加するわけないだろう。 |
| スタン | そうなのか ?イースターエッグを持ってたからリオンもイースターを楽しんでるのかと思ったよ。 |
| フィリア | 本当ですね。リオンさんをイメージしたオリジナルのイースターエッグでしょうか ? |
| スタン | 俺もリリスにもらったよ !リオンはマリアンさんからか ?やっぱり世界に一つだけのエッグは嬉しいよな。 |
| リオン | お前たちには関係ないだろう !いいからもっと端によれ。 |
| ルーティ | …………。 |
| マリー | ……ルーティ、大丈夫か ? |
| ルーティ | う、うん。大丈夫よ。何でもないわ。 |
| リオン | ……遠目から見えた。カイルとのことだろう ? |
| ルーティ | ……あたしたち、カイルの親なのよね。 |
| スタン | カイルは嘘を言うような奴じゃないだろう。 |
| ルーティ | それはわかってる。けど……親っていったい何か、わからない……。スタン、あんたはどうなの ? |
| スタン | まあ、なんとなくは……。具体的に何かって言われると難しいけど大切な家族ってことには変わりないし……。 |
| ルーティ | 本当に飲み込めているの ?だって、あんたも、さっきのカイルの呼びかけに何も返してあげられなかったじゃない。 |
| スタン | そ、それは…………。うん、そうだな。 |
| ルーティ | あたしは…………いや、何でもない。 |
| マリー | ルーティ。一人で抱え込むな。言いたいことがあるのだろう。ちゃんと言ったほうがいい。 |
| スタン | ああ。聞かせてくれ。 |
| ルーティ | ……じゃあ、聞かせてあげる。すっごく酷いこと。 |
| ルーティ | あたしは……あたしにとっては孤児院のチビたちだけが家族なのよ。こっちの世界に来てもこの想いは変わってない。 |
| ルーティ | なのに、いきなり息子だなんて……血の繋がった子供だなんて言われてもどうしたらいいのかわからない。 |
| ルーティ | それに……たとえ未来では母親であっても今ここにいるあたしはそうじゃない ! |
| スタン | 今の俺たちのように普通に接すればいい。これじゃあダメなのかな ? |
| ルーティ | ダメなのよ ! そもそも普通ってなに ! ?悪いけど、あんたにとっての普通はあたしにとっての普通じゃない ! |
| ルーティ | あたしはあんたとも決定的に違ってるの !だって、普通の家族っていうものすら知らないのよ !血の繋がった親や家族……何もかも、知らないの ! |
| ソーディアン・アトワイト | ルーティ……。 |
| リオン | …………。 |
| ルーティ | こんなの、カイルが可哀想だっていうのはわかる。……けど、あたしは、どうカイルと接したらいいのか、わからないのよ……。 |
| ルーティ | ねぇ、教えてよ。あの時、あたしはなんて見送ればよかった ?どんな顔をすればよかったの…… ? |
| ルーティ | 今のあたしに…………カイルの母さんって言葉は……………………………重い…………。 |
| 一同 | ………………。 |
| リオン | 血の繋がりが全てではない。 |
| ルーティ | えっ ? |
| リオン | 肉親であってもわかりあえないこと場合によっては切り捨てねばならないこともある。 |
| スタン | そんなことは―― |
| リオン | いいや、事実だ。具現化された鏡映点でも肉親と敵対せざるを得なかった者は少なくない。大切なものを守るためにな。 |
| ルーティ | ……自分が潰れないようにカイルのことを切れっていうの ? |
| リオン | それも一つの答えだろう。だが僕の言いたいことはそうじゃない。 |
| ルーティ | じゃあ何よ ? |
| リオン | 血の繋がりに、固執する必要はないということだ。たとえ赤の他人であっても、もしくは人でなくてもかけがえのない存在になり得るのだからな。 |
| ソーディアン・シャルティエ | ……坊ちゃん。 |
| ウッドロウ | リオン君の言うとおりだ。血の繋がりは大切だがそれだけが絆の証というわけではない。 |
| マリー | ああ。わたしとダリス……夫婦だってもとは他人だ。ルーティにとっての孤児院の子供たちもそうだろう ?だが互いに大切な存在に、家族になっている。 |
| ルーティ | ……家族に。 |
| ソーディアン・アトワイト | 今のルーティにとってカイルさんはどういう存在なのかしら ? |
| マリー | ルーティは、カイルとどうなりたい ? |
| ウッドロウ | 三人で考えるべきことだろう。一度、真正面から対話をする時が来たのかも知れないな。 |
| スタン | ……今の俺たちの想いはカイルを傷つける可能性だってあるんですよ。 |
| フィリア | けど、このままではいけないとも思っているんですよね ? |
| フィリア | なら、あと必要なのは一歩踏み出す勇気だけです。きっと三人なら大丈夫ですよ。 |
| スタン | フィリア……。そうだな、必要なのは勇気か……。 |
| ルーティ | ふっ……簡単に言ってくれるじゃないの。フィリアも初めて出会った頃とは変わったわね。 |
| リオン | お前たちごときがリスクなど考えるな。馬鹿は馬鹿らしく突き進んでいればいい。 |
| スタン | うん、そうだな ! ぶつかっていけばいい。ありがとう、リオン。 |
| リオン | べ、別に僕は思ったことを言っただけだ。 |
| スタン | それでも励ましてくれたのは嬉しいよ。 |
| ルーティ | ちょっと、スタン。あたしたち、同時に軽く馬鹿にもされたんだけど……。 |
| リアラ | あっ、皆さん ! |
| スタン | リアラじゃないか。どうしたんだ、一人でウロウロして。 |
| ルーティ | というかカイルと一緒じゃないの ? |
| リアラ | それが……約束の時間になっても待ち合わせの場所に来なくって……。皆さんもどこにいるか知らないんですね……。 |
| スタン | どうしたんだろう。リアラとのデートをすっぽかすはずがないよな。 |
| ルーティ | まさか何かに巻き込まれてるんじゃないでしょうね。 |
| リオン | あいつならありえなくもないだろうな。 |
| ハロルド | おっ、何よこんなところで集まって。もしかして、私に解剖されてもいいって人の集会 ? |
| ソーディアン・ディムロス | そんなわけがあるか。ハロルド、お前こそこんなところで何をしている。 |
| ハロルド | カイルと珍獣の戦いを見に行くところよ。顔を覆面で隠した謎の男……どんな奴か気になるでしょう ? |
| リオン | 覆面だと。 |
| ハロルド | あ、ジューダスじゃないわよ。安心なさいって。今日は、自分のそっくりさんがコスプレしてる恥ずかしい光景を見ずに済むから。 |
| フィリア | え、えっと……やはりカイルさんは何かに巻き込まれていたみたいですね。 |
| リアラ | ハロルド。カイルの居場所を知ってるのね。お願い、連れて行って。 |
| スタン | 俺たちもついていくよ。 |
| ハロルド | 仕方ないわねぇ。さあ、行くわよ。 |
| Character | 8話【イースター9 カイルの居場所】 |
| ジョニー | それじゃあ試合は終了だ !会場のみんな、挑戦者はいつでも募集してるからな ! |
| カイル | そ、そんな……。まさかこんなことになるなんて。 |
| ナナリー | やっちまったねぇ。 |
| ジューダス | だからあれほど油断するなと言っただろう ! |
| ロニ | バカにつける薬はないってのはこのことだな。あんな安い挑発に引っかかってよ。 |
| カイル | みんな、そこまで言うことないだろう。けど、どうしよう……あとでリアラには事情を話すとしても…………。 |
| リアラ | カイル ! ここにいたのね ! |
| ハロルド | あら残念。珍獣との試合はもう終わっちゃったのね。 |
| カイル | リアラ ! それにハロルドも !あっ、それに……………。 |
| スタン | カイル、大丈夫か ? |
| ルーティ | 顔色が悪いじゃない。何かあったの ? |
| カイル | いいいい、いや ! 何でもないですよ ? |
| 二人 | ? |
| カイル | そ、それじゃあ二人はまた後で !ほら、みんな、行くよ ! |
| リアラ | えっ、ちょっと待って、カイル ! |
| ナナリー | 慌てると転ぶよ。 |
| ジューダス | まったく仕方ない。ハロルド、お前もついてこい。 |
| ハロルド | オッケー ! お礼は解剖でいいわよ♪ |
| ロニ | ハロルドと付き合うのは臓器がいくつあっても足りそうにねぇな―― |
| カイル | ちょっと、ロニ ! 何突っ立ってるの ! ? |
| ロニ | ちょいと美女の気配を感じてな。ここはお茶に誘うのが礼儀ってもんだ。先に行ってろ。 |
| カイル | いつも通りフラれ終わったらはやくこっちに来てよ ! |
| ロニ | なんでフラれること前提なんだよ !ったく……まあ、茶番はこのぐらいにして。 |
| 二人 | …………。 |
| ロニ | ……スタンさん、ルーティさん。えっと……どうかしましたか ?俺でよければ、話を聞きますけど。 |
| スタン | あ、うん。ありがとう。けど大丈夫だよ。 |
| ロニ | ……そうですか ?こんなこと言うのも失礼ですが……やっぱ、無理してるように見えますよ。 |
| ルーティ | たいしたことじゃないのよ。ただ……ちょっとだけカイルの様子が気になっただけ。 |
| スタン | さっきのこともあったから気まずい思い、させちゃったのかな。 |
| ロニ | カイルに ? スタンさんたちが ? |
| ロニ | あはははっ ! ! そいつはありえませんよ ! |
| ルーティ | な、何よ。そんなに笑って。 |
| ロニ | なんだ、さっきのカイルの様子を気にしてたんですね。お二人のことだからもう見抜いてるのかと思いましたよ。 |
| ルーティ | 見抜いている ? |
| ロニ | カイル、なんだかバツが悪そうにしてたでしょ。あれはスタンさんたちと集めたイースターエッグをさっきの試合で全部没収されたからなんですよ。 |
| 二人 | 全部没収 ! ? |
| ロニ | あいつ、テストの点数が悪いとタンスの奥に隠したりしてましたからねぇ。 |
| ロニ | けど、結局バレて怒られるのがお決まりだったんですよ ! わはは ! !今でも思い出しただけで腹がよじれそうだ ! |
| ロニ | あ、今回のこと俺がチクったのは内緒で頼みますよ。 |
| ルーティ | ふっ……ええ、わかったわ。 |
| スタン | けど、よかったな。 |
| ルーティ | ええ……そんな程度のことで。 |
| ロニ | 何をおっしゃいますか !ここはいつもどおりガツンとげんこつでも……。 |
| ロニ | いえ……すみません。俺たちにとって当たり前のことでも二人は違いますよね。 |
| ルーティ | ……あんたも、未来であたしたちが経営してるっていう孤児院でカイルと一緒に育ったのね。 |
| ロニ | はい。デュナミスを名乗ってるのがその証ですよ。 |
| スタン | ロニもカイルもデュナミスだよな。 |
| ロニ | ええ。デュナミス孤児院で育ったチビは全員デュナミスって姓を名乗るんです。みんな同じ、兄弟ってことで。 |
| スタン | 同じ家族として……って意味でもあるのかな ? |
| ロニ | 孤児院の方針。これだけは確かです。 |
| ルーティ | ふっ……悪くない方針ね。孤児院育ちのあたしとしてはちょっと気に入ったわ。 |
| スタン | うん。俺もすごく良いと思うよ。 |
| ロニ | ……スタンさん、ルーティさん。俺みたいな奴が偉そうにしてすみませんが一つだけ言わせてください。 |
| ロニ | カイルは血の繋がりも、そうじゃない繋がりもある特別な環境で育った。だからこそ、辞書には載ってないような関係でも、簡単に築いちまえる。 |
| ロニ | それに、あいつは馬鹿なところはありますがちゃんと相手のことはわかる人間なんです。 |
| ロニ | だから、言いたいことがあればちゃんとぶつかってやってください。それで折れるほど、ヤワな育ちはしてませんから。 |
| スタン | ロニ……。 |
| ルーティ | あんたもなかなか目ざといわね。 |
| ロニ | ……二人は俺にとっても両親だ。だから悩んでるような顔は見たくない。幸せに、笑っていて欲しいんです。 |
| ロニ | って、いけねぇ !うっかり二つ言っちまった…… ! |
| ロニ | じゃあ、俺はそろそろカイルの手助けに行ってきます。エッグを没収されたってバレないよう今頃血眼になって回収してると思うんで。 |
| ルーティ | ……しばらく時間がかかりそうね。 |
| スタン | いつもは待たせてる側だけどたまにはのんびり待つとするか。 |
| ルーティ | 悪いわね。あたしはパス。 |
| スタン | ルーティ ? どこ行くんだ ? |
| ルーティ | ちょっと野暮用よ。ただ待ってるのは性に合わないもの。 |
| Character | 9話【イースター10 ここからはじまる】 |
| カイル | はぁ……はぁ…………。みんなのおかげでなんとか奪われたエッグ分を集め終わった……。えっと……二人はどこだ ? |
| ルーティ | やっと戻ってきたわね。 |
| スタン | 遅かったじゃないか。 |
| カイル | い、いやぁ……すみません。ちょっと野暮用があって……。 |
| カイル | そ、それはそうとエッグハンティングの続きをしましょうよ !さあ、優勝目指して頑張りましょう ! |
| スタン | その前に話しておきたいことがあるんだ。 |
| カイル | えっ……。 |
| ルーティ | 真面目な話だけど、いい ? |
| カイル | ……ダメ、です。 |
| 二人 | …………。 |
| カイル | オレから白状させてください !実は、三人で集めたイースターエッグ試合に負けて、全部奪われちゃったんです ! |
| カイル | 本当にごめんなさい ! ! |
| 二人 | …………えっ ? |
| カイル | ……えっ ?この話……じゃなく、て ? |
| スタン | あははっ。そうじゃないよ。別のことさ。 |
| カイル | えぇ ! ? そ、そうだったんですか ! ?てっきりオレ、隠していたのがバレて雷落とされるのかと思ってました。 |
| カイル | あれ……バレてなかったということはオレ、自分でバラしちゃったってこと ! ?し、しまったぁ ! ! |
| ルーティ | まあ、知ってはいたけどね。なんか頑張ってるみたいだから知らないフリしてあげてたのよ。 |
| カイル | えっ…… ? |
| ルーティ | また集めればいいだけでしょ。 |
| カイル | あ、はい……まあ、それはそうなんですけど。 |
| スタン | 話したかったことって言うのは俺たち三人についてのことなんだ。 |
| カイル | オレたち三人……。 |
| ルーティ | 話してもいい ? |
| カイル | ……いえ。これもやっぱりオレから言わせてください。…………いい、ですか ? |
| スタン | ああ。 |
| カイル | ……オレ、ロイドとクラトスさんがちょっと羨ましかったんです。 |
| カイル | けど、あの二人は本当に親子で……でも今のオレたちはちょっと違っていて…………。 |
| カイル | だから、やっぱり今は……オレ……父さん、母さんじゃなくてスタンさん、ルーティさんって呼びます。 |
| ルーティ | ……本当に、それでいいの ? |
| カイル | はい。オレ、二人のことがすごく大切でだから、負担にもなりたくない。みんなで幸せでいたいんです。 |
| カイル | それに、無理に一般的な関係に当てはめることはないと思うから。大切なのは、どう未来を作っていくかでしょう ? |
| スタン | ああ。今、目の前にある未来をみんなで進むことが大切だもんな。 |
| ルーティ | これから作られていく未来の中で自然と呼び方や話し方、関係も変わる……いえ、徐々に確立させていこうってわけね。 |
| カイル | 改めて……ここから一緒にはじめましょうよ。オレたちだけの新しい関係、オレたちの未来を。 |
| ルーティ | ……あたしたちが話そうとしていたことさらっと全部言われちゃったわね。 |
| スタン | カイルは強いな……。 |
| カイル | 当たり前じゃないですか。オレは英雄スタン・エルロンとルーティ・カトレットの息子。 |
| カイル | だけどカイル・エルロンでもカイル・カトレットでもない。 |
| カイル | カイル・デュナミスなんですから ! |
| スタン | カイル・デュナミスか……。 |
| ルーティ | いい名前よね。 |
| カイル | それじゃあ話は終わりです !エッグハンティングに行きましょう ! |
| ルーティ | 待ちなさい。それはそれとして……あたしたちがせっかく集めたイースターエッグが奪われたままっていうのはシャクだわ。 |
| スタン | あっ、はじまった。 |
| カイル | め、目つきが鋭い……。 |
| ルーティ | さあ、あんたが戦った珍獣を狩りにいくわよ。今度はこっちが倒す番なんだから。 |
| ? ? ? | 俺様に闘いを挑もうってのか ? |
| カイル | その声は ! ! |
| ? ? ? | いい度胸だ、かかってきな ! |
| 三人 | コングマン ! ? |
| ジョニー | おっと、また新たに挑戦者の登場ださあ、イクス ! ゴングを鳴らせ ! |
| イクス | は、はい。けどジョニーさんしつこいようですが体調のこともあるのであまり無理はしないでくださいね。 |
| スタン | コングマン、そんな格好で何してるんだよ。 |
| ラビットマン | コングマン ? 知らねぇな。俺様はラビットマンよ。 |
| 二人 | ラビットマン ! ? |
| カイル | 油断しないでください !ふざけた格好してますけど強いですから ! |
| マリー | ふざけた格好とは心外だな。 |
| スタン | マリーさん ! ? |
| ルーティ | まさかあの格好……マリーのコーディネートなの ? |
| マリー | そのとおり ! 私がデザインをした !イースターらしく可愛いだろう ?もちろん子供にも大人気なんだぞ ! |
| ルーティ | そ、それは……わかるけど……。 |
| ラビットマン | おっと。舐めてると痛い目みるぜ。 |
| マリー | 可愛いこそ絶対正義。つまり可愛いものは強い。ならば可愛さをその身に纏えば―― |
| ラビットマン | ――強くなる ! !俺様はこのラビットスーツを身にまといさらなる強さを手に入れたわけよ ! ! |
| スタン | いや、ただ修行の成果で強くなっただけだと思うけど……。 |
| カイル | さっきは油断したけど今度は負けないぞ ! |
| ルーティ | あたしたちが集めたイースターエッグ倍にして返してもらうわよ。 |
| スタン | 倍 ! ? ルーティ、さすがにそれは |
| ラビットマン | いいだろう !だがそれも俺様を倒せたらの話 !さあ、かかってきな ! |
| Character | 10話【イースター10 ここからはじまる】 |
| スタン | よし ! 俺たちの勝ちだ ! ! |
| ルーティ | 倍とはいかなかったけど三人で集めた分のイースターエッグはちゃんと取り返せたわね ! |
| カイル | ラビット……コングマンさんは大丈夫かな。またまたチャンピオンの座を奪われてさすがにちょっと気の毒なような……。 |
| ウッドロウ | コングマンさんのことなら心配無用だ。また修行のため山ごもりをしようとしていたが私たちが引き止めておいたよ。 |
| フィリア | 闘技場の名誉チャンピオン兼特別運営顧問として留まってもらうことになりました。 |
| コングマン | おう ! 名誉チャンピオンであろうとチャンピオンはチャンピオンだ !これからも闘技場を盛り上げていくぜ ! |
| ジョニー | よろしく頼むぜ、コングマン。 |
| マリー | やはり闘技場といえばコングマンだからな。人々のマイティの呼び声がその証だ。 |
| イクス | はい。それにゴロツキチャンピオンの他にも闘技場に名物チャンピオンがいるのはすごく心強いです。 |
| コングマン | おうよ ! イースター期間はラビットマンだが引き続きチャンピオンとして挑戦者を待ち受けるとするぜ ! |
| スタン | それじゃあ俺たちはまたエッグハンティングでもするか ! |
| カイル | そうですね……ってその前に、ちょっと腹が減ったなぁ。 |
| スタン | 言われてみれば……。 |
| カイル | けど……さっきリアラたちと広場を回ったときにお小遣いは使い切っちゃったし……。 |
| スタン | なら俺が……あっ。アジトに財布、忘れてきちゃったみたいだ。 |
| カイル | それなら後の頼みは……。 |
| ルーティ | そんな目であたしを見ても屋台の食べ物なんて高くてしょうがないんだから。 |
| カイル | えぇ ! ? さっきは買ってあげるって言ったのに !値段も気にすることないって ! |
| ルーティ | さっきはさっき、今は今。小遣いを使い切ったあんたの自業自得よ。 |
| スタン | あはは。カイルには悪いけどこれでこそいつものルーティだな。 |
| カイル | ちぇっ。 |
| ルーティ | 代わりにプレゼントをあげる。……はい、受け取りなさい。 |
| カイル | えっ……これ、イースターエッグ ! ? |
| スタン | おぉ、カイルをイメージしたやつか ! |
| カイル | ルーティさん……。 |
| ルーティ | 復活祭おめでとう、カイル。 |