Character1話【救出作戦1 テセアラ領の異変】
しいなあー、もう ! あんたたちイチャイチャしたいんだったら、よそでやっとくれ !こっちはおせちの準備で忙しいんだよ !
しいな今回はケリュケイオンの連中がアジトにいるからね。あいつらの分まで作るとなったら時間が足りないことぐらいわかるだろ ! ?
エミルい、いや、僕はそんなつもりはなくて……。ただ、マルタがおせちに関わるのは色々とまずいと思って……。
マルタちょっと、エミル ! それ、どういう意味 ! ?
エミルあ、いや、えっと……ふ、深い意味はないよ…… !
テネブラエええ。けっして、マルタ様の料理の腕がまずいといっているわけではありませんよ。ねえ、エミル様。
エミルテネブラエ ! ?
しいなだから、そういうのはよそでやっとくれよ !
リフィル――ちょっといいかしら ?
しいなリフィル ! ?あんたまでおせち作りに手を出すつもりかい ! ?正月早々、集団食中毒を出すのは――
リフィル何の話 ?というか、随分失礼な物言いね。私がいつ食中毒を起こしたって言うのかしら。
テネブラエええ。リフィルさんの場合は食中毒というより飯テロリストという言葉がふさわしいのでは。
リフィルなんですって ! ?
エミルみ、みんな !リフィルさんの話を聞こうよ ! ね ?
エミルあの……リフィルさん、どうしたんですか ?
リフィル……そうね。色々な追及は後回しにしましょうか。
リフィルねえ、ロイドとジーニアスを見なかった ?多分コレットとプレセアも一緒だと思うのだけれど。
しいななんだい、自習組じゃないか。学習室にいないならどこかでサボってるんじゃないのかい ?
ロイドなあ、トンガリマダラトビネズミって本当は小さいのか ?
プレセアネズミとしては……大きい方かも知れません。最大で三十センチメートル……です。
ジーニアスけど、カロル調査室の情報だとウルフぐらいのサイズだったって……。
コレットご飯を食べ過ぎちゃったのかな ?
ロイドそうか !それで大きくなったのかもしれないな……。
ジーニアスそんな訳ないでしょ……。
ジーニアスそれより、そんな風に聞くってことはやっぱりロイド、トンガリマダラトビネズミのこと大きい動物だって思ってたんじゃないの ?
ジーニアステセアラ領はロイドを経由して具現化された大陸だからロイドの間違った知識が影響したんじゃない ?
ロイドだとしても、先生だって一緒に具現化されたんだから俺だけのせいじゃないと思うけど。
プレセアエンコードの影響もあるので大きさは……この際問題ではない……と思います。それより数です……。
コレットうん。最近、急に数が増えたって話だったよね。今までは森の中でたまに見かけるぐらいだったのに近頃は街道にまで出てくるって。
ロイド変な話だよな。カロル調査室も手一杯みたいだしイクスもミリーナも忙しいみたいだし、テセアラ領の異変は、俺たちで調べて何とかしようぜ。
ジーニアス姉さんに何も言わないで出てきちゃったのがちょっと心配だけど……。
ロイド先生だって忙しそうだったし、大丈夫だって。
プレセアロイドさんは……勉強に……飽きただけですよね ?
ロイドち、違うぞ ! ?
ジーニアス違わないでしょ。
コレット……あ、待って。何か……聞こえる。……悲鳴…… ?
ロイドコレット ! どっちの方角だ ! ?
コレットこの先 ! 村がある方だよ !
プレセア行きましょう…… !
村の女性きゃあああ ! ?
村の男性トンガリマダラトビネズミ ! ?
リーガル――お前たちは下がっていろ。
村の女性領主様 ! ?
リーガル臥龍空破 ! !
リーガルくっ、数が多い……。こんなに増えてしまったのか。
プレセア――リーガルさん ! ?
リーガル! !
ジーニアスリーガル ! ? ど、どうしてここに ! ?リビングドールにされて領主になってるって……。
プレセアだから……手かせをしていないんですか ?
村の男性領主様は俺たちを助けようとしてくれてるんだ !
コレットロイド、さっきのはこの人たちの悲鳴だと思う。
ロイド……よし、まずはトンガリマダラトビネズミを倒そう。リーガルはそっちの群れを頼む。俺たちはこっちを片付ける !
リーガル……承知した。

Character2話【救出作戦2 領主を連れて】
ロイド……よし、なんとかなったな。
プレセア本当に大きい……。本来のトンガリマダラトビネズミの……何倍もありました……。
村の男性あの……ありがとうございました。
リーガル――大事ない。それより、追い払ったとはいえまた奴らが現れるかも知れぬ。
リーガルこの辺りは我が軍がトンガリマダラトビネズミの討伐にあたっている。それが済むまで村から出ない方がいい。
村の女性は、はい。わかりました、領主様。
リーガルその先に部下がいる。彼らに村まで送ってもらうといい。
村の男性はい ! 失礼します !
コレットリーガルさん……。リビングドールβじゃないみたいに見えるけど……。
ジーニアスうん……。どういうことなの ?もしかして古いタイプ ?誰かの心核と交換された、とか ?
リーガル……いや、心核を交換されたわけではない。事情があって、リビングドールにされたという演技をしていた。
ロイド演技…… ?
リーガル詳しい話がしたいが、ここでは色々と不都合がある。お前たちのアジトに私を連れて行ってはくれぬだろうか。
ロイド……なあ、どうしてここだと話ができないんだ ?
リーガル帝国の監視の目がある。下手な動きをしてアリシアを巻き込むわけにはいかない。
四人! ?
プレセアアリシア ! ? アリシアも具現化されているの ! ?
ジーニアスアリシアって、プレセアの妹の…… ?
リーガル詳しい話は後だ。お前たちの捕虜のようにして連れて行かれれば帝国も手を出しはしないだろう。
プレセアロイドさん !
ロイドリーガル、念のために聞くけど……暴れたりしないよな ?
リーガル何を言うのだ。私はお前たちの仲間だぞ。
ロイド……わかった。
リーガルここが浮遊島アジトか……。
ゼロス――お ? コレットちゃんにプレセアちゃんにハニーにがきんちょ……って、リーガル ! ?
コレットテセアラ領で会ったんだよ !
ゼロスへえ~って、いやいや、リーガルはリビングドールにされたって話じゃなかったのかよ ! ?
プレセアリーガルさん、詳しい話を……聞かせて下さい。一体何があったんですか ?アリシアはこの世界に具現化されているんですか ?
リーガル……詳しい話は、鏡士たちの前でしたい。
ジーニアスイクスとミリーナ ? 二人とも忙しそうだけど……。
リーガル案内してくれ。
ロイドわかった。ジーニアス、コレット、プレセア先にリーガルを連れて行ってくれ。
ジーニアスえ ? うん。でもロイドは ?
ロイドちょっとゼロスに用事があるから、後から行くよ。
プレセアわかりました。リーガルさん、ジーニアス、コレットさん行きましょう。
ロイドジーニアス。リーガルのこと……よく見ておいてくれ。何か……気になるんだ。
ジーニアスえ ? う、うん。わかった。
ゼロスロイドくんよ、どういうことなんだ ?
ロイドわからない。けど、前に俺が領都で会ったリーガルはリビングドールβだった。
ロイドそれにあのリーガル、上手くいえないけどリーガルっぽくないんだ。だからさ、ゼロス。ミトスとエミルを連れてきてくれないか ?
ゼロスはあ ! ? なんで俺さまが ! ?
ロイドゼロス、暇そうじゃん。
ゼロス何だと ! ?俺さまはこれからアジトの美女たちを誘って――
ロイドとにかく頼むぞ !
ゼロスたまに浮遊島にいるとこれかよ……。人使い荒すぎだろ…… !

Character3話【救出作戦3 リーガルの事情】
イクス初めまして、リーガルさん。イクス・ネーヴェです。
ミリーナ……ミリーナ・ヴァイスです。
プレセアリーガルさん、一体何があったんですか ?
リーガル……全ては私が特異鏡映点であったことが原因だ。
ジーニアス姉さんと同じだね。特異鏡映点のアニマは時の因果律を歪められる。
リーガルそうだ。この力をニーベルング復活に利用するため私は研究に使われることになった。
コレット研究って……どんな研究だったんですか ?
リーガル……それは――
ロイド遅れてごめん !
イクスロイド ! 丁度今、リーガルさんが状況の説明を――
リーガル――許せよっ !
イクス! ?
ミリーナイクス、危ない ! ?
イクスあ、俺の魔鏡が――
リーガルバロールの魔鏡、頂いていく !
ジーニアスミリーナ ! 警備システムを作動させて !
ミリーナえ、ええ ! カーリャ !警備システムを起動 ! ゲートを全て閉じて !
カーリャわかりました !
ジーニアスロイドに言われてたから念のため、リーガルを連れてくるときにわざと遠回りの道を通ってきたんだ。
ジーニアスリーガルは浮遊島に詳しくないから脱出するつもりなら元来た道を戻るしかない筈だよ !
ロイドさすがジーニアス !よし、先回りして、リーガルを捕まえるぞ !
ジーニアスうん !
プレセア待って下さい ! 私も行きます !
コレット私も !
イクス俺も――
ミリーナ駄目よ、イクス !イクスは代わりの魔鏡を準備してからの方がいいわ。
ロイドイクス……ごめん。必ず俺たちで魔鏡を取り返す !
イクスああ。俺も後から追いかけるから、頼む !
リーガル(警報か ! 急いで脱出しなければ……)
ロイド待て ! リーガル !地上へのゲートはもう閉じてるぞ !
リーガル! !
プレセアリーガルさん ! どういうことですか !
リーガル……全てはアリシアのためだ。
プレセアそれじゃあ、何もわかりません。どういうことなんですか ! ?
ロイドそもそも、お前は本当にリーガルなのか ?俺たちのことを知っていたんだから単に具現化の時期が違うとも思えないし……。
コレットどういうこと ?
ジーニアスもしかして……レプリカとか ?
マルタ――リーガルさん ! ?
エミルゼロスの言ってた通りだ。
コレットエミル ! マルタ !
リーガル――神子、であったな。大人しくしろ !
コレットきゃっ ! ?
ロイドコレット ! ? リーガル ! 何をするんだ !
リーガル動くな。動けば、神子の首をへし折る。
プレセア! ?
リーガル神子、大人しく従えばあなたにも他の者にも危害は加えない。
プレセアコレットさんを放して下さい !あなたはアリシアを手にかけたことを後悔したんじゃなかったんですか ! ?
リーガル神子、私を浮遊島の外へ連れて行ってほしい。逆らうなら、あなたを手にかけねばならぬ。
コレット……ロイド。みんな、動かないで。私、リーガルさんを連れて地上に降りるから。
ロイドコレット !
マルタど、どうしよう……。これって私たちのせいだよね……。
エミルごめんなさい……。
ロイドいや、俺が甘く考えてたんだ。
ロイドリーガルの様子がおかしいことはわかってたのに浮遊島に連れてくればどうとでもなるって楽観的に考えちまった。二人が悪いんじゃないよ。
プレセアコレットさんを助け出しましょう。
プレセアそれに……まだあのリーガルさんが何者で何の目的があってイクスさんの魔鏡を盗んだのかもわかりません。
ジーニアス姉さんたちにも報告しよう。それから動いた方がいいよ。
ロイドああ、そうだな。

Character4話【救出作戦4 追跡と調査】
ミトス……どうしてボクがロイドの仲間に会いに行かなきゃいけないの。
ゼロス知らねえよ。頼まれたから仕方なく呼びに来てやったんだ。
ミトスああ、お前はどこの陣営でも小間使いなんだね。
ゼロス誰がそうさせてるんだっつーの !
ミトスとにかく、ボクがあいつの協力なんて――
2人! !
ゼロス今の声……コレットちゃんとリーガルか ?
ミトスああ、お前も天使化してるんだったね。ロイドの奴、しくじったのか。あはは、笑えるよ。
ゼロスくそっ ! 俺さまが追いかけて――
ミトス――ボクが追いかける。お前はロイドたちに知らせるんだ。早く来ないとボクがお前たちの仲間を始末するってね。
ゼロス――おいっ !
ゼロス……行っちまったか。まあ、本気じゃねぇだろうが念のために、クラトスに声をかけとくか……。
ロイドイクスはいるか ! ?
リフィルロイド ! ? リーガルはどうしたの ?
ロイド先生 ! それが――
リフィル……そう。リーガルがコレットを……。
リフィルリーガルがリビングドールβにされていたことは間違いない筈よ。私たちが情報を得た後に別の人物の心核を入れられたのか、それとも……。
ロイドなあ、イクスとミリーナはどうしたんだ ?
リフィル今、魔鏡を作るために、部屋にこもっているわ。それとさっきゼロスから魔鏡通信があってミトスがリーガルの後を追っているそうよ。
ジーニアスミトスが ! ?あ、そうか。ミトスも空を飛べるから……。
リフィル丁度救世軍もアジトに来ていたからクラトスもミトスを追っているわ。
リフィルリーガルとコレットがどこへ向かったか連絡をくれるように頼んであります。
プレセアロイドさん、転送ゲートを開いてもらって私たちも追いかけましょう。
ロイドそうだな。
リフィルいいえ。全員でリーガルを追いかけたところで彼が『何者』なのかわからないことには意味がないのではなくて ?
ジーニアスそうか……。あのリーガルが結局何者なのかボクたちはまだわかってないんだ……。
エミルでもロイドはあれがリーガルさん本人じゃないって気づいてたんだよね。
ロイド本人じゃないって言うか……上手く言えないけど俺たちの知ってるリーガルじゃないと思うんだ。
ロイド俺たち、元の世界でリーガルを捕虜にしたことがあるんだよ。なんか気になって、あのときと同じ言葉をリーガルにかけてみたんだ。
ロイドけどリーガルの反応がちょっと違ってたから具現化の時期が違うか、別人なのかなって……。
マルタえ ! ? そんなことを確認してたの ! ?ロイド、凄い !
リフィルそういうところはよく見ているのね。でも、それが本当なら、リーガルの本来の心核は抜かれていると思って間違いないわ。
リフィルルカの話では、ファントムのところにいたときに出会ったリーガルは私たちのことを知っているリーガルと思って間違いなさそうだから……。
プレセアでは、あのリーガルさんは……やはり……心核を抜かれている……。そして別の心核を入れられている可能性が……高いんですね。
しいな――で、どうしようっていうんだい ?
マルタしいな ! おせちの方はいいの ?
しいなあたしの担当分は終わらせてきたよ。テネブラエにも手伝ってもらってね。
テネブラエ人間の食事の準備を手伝うことになるとは思いませんでした。
しいなゼロスの方から大体のいきさつは聞いたよ。コレットとリーガルを助けるんだろ。もちろんあたしも協力するサ !
リフィルそうね。他のみんなもそれぞれ手が離せないからできる限り、私たちだけで何とかしましょう。まず、戦力を二つに分けることを提案するわ。
ゼロスははーん。コレットちゃんとリーガルを追いかける班とリーガルの心核を捜索する班か。
リフィル……心核、と限定していいのか悩むところだけれど。
ロイドえ ? どういう意味だ ?
プレセアまさか……レプリカ……。
3人! !
リフィルええ。リーガルのレプリカを作られていないとは言えないでしょう ?常に最悪のことを想定しておいた方がいいわ。
ロイド……ああ。

Character5話【救出作戦5 疑惑の領主】
ゼロスそろそろ領主の館の近くだな。テネブラエ、準備はいいか ?
テネブラエもちろんです。
テネブラエいかがでしょう ?
しいな相変わらず、上手く化けるもんだねえ。
テネブラエ闇の力に不可能は、少ししかありませんから。
マルタ不可能はないって言い切らないところが意外と謙虚だよね……。
テネブラエ私は水属性のように自信過剰なことは口にしませんから。
エミルそういうところは陰湿だよね、テネブラエ……。
テネブラエ何という言い草ですか !
しいなはいはい。テネブラエは謙虚でさっぱりしたいい闇属性だよ。
テネブラエそうでしょうとも !リヒブラエの次はリーブラエとして頑張りますよ。
エミルリーブラエ……。
ゼロスで、謙虚なリーブラエくんは手順を理解してるのかな ?
リーブラエもちろんです。リーガルさんのふりをして地下道の警備兵をどかすだけの簡単な仕事ですから。
ゼロスお~け~お~け~。おそらく帝国兵はリビングドールβにされてる筈だ。怪しまれることもないだろ。
マルタテネブラエ、頑張って !
リーブラエ警備ご苦労。
警備兵Aリーガル様、ですか ? どうしてここに ?
リーブラエ領都に黒衣の鏡士の仲間が潜入したとの情報を得たのでな。念のため地下を確認していた。
警備兵Bしかし、つい先ほどリーガル様が執務室に入られたのを確認しました。いつの間に地下へ…… ?
リーブラエ
ジーニアス――ミトス !
ミトスジーニアス。きみもこっちに来たんだね。
ジーニアスうん。リーガルのこと気をつけるように言われてたのにこんなことになっちゃったから……。
ミトスそれはロイドがいけないんじゃない。
ロイド……そうだな。リーガルに感じたあの妙な感じをもっとちゃんと伝えればよかったよ。
プレセアロイドさんだけが悪いわけでは……ありません。私たちみんな、リーガルさんがリビングドールにされていたことを知っていました……。
プレセアでも私は……アリシアの名前を聞いて冷静ではいられなくなってしまった……。
リフィルそうね。反省すべきことは多々あるけれど今はできることをしましょう。
リフィルクラトス、ミトス、リーガルの様子は ?
クラトスそこの屋敷に入っていった。一見廃墟のようだが帝国兵が巡回を行っている。中に何らかの施設があることは間違いなかろう。
ロイド――待った。魔鏡通信だ。
しいなロイド ! あんたたち、今どこにいるんだい ! ?
ロイドえ ? 領都の端にある廃墟の近くだけど……。
しいなそっちにリーガルはいるのかい ! ?
クラトスその筈だ。廃墟の中にリーガルが入っていったことを確認した。
ロイド何を慌ててるんだ ?
ゼロス聞いて驚け、ハニー。俺たちは領主の館の地下に来てるんだがどうも館の中にリーガルがいるらしいんだわ。
6人! !
リフィル――建物の中に入ってリーガルが本当にいるのか確認しましょう。
ミトスリフィルさん、その必要はないよ。中からリーガルの声がする。
ミトス間違いなく、ここにいるよ。ボクとクラトスが追いかけたリーガルはね。
プレセアそれじゃあ、リーガルさんが二人いる…… ?
ロイドベルベットの時みたいに、二人目が具現化されたかそれとも……レプリカかもしれないのか……。
しいなこっちはこれから領主の館に潜入する。また何かあったら連絡するよ。
ジーニアス気をつけてね。
しいなそっちもね !
ロイド俺たちも中に入ろう。どっちかのリーガルが俺たちの知ってるリーガルの筈だ。
リフィル……そうね。ただ、どちらが私たちの知っているリーガルにしても、心核は私たちの知らないリーガルの物だと推測できるわね。
ロイドん? だったらこっちのリーガルが偽者……いや、偽者って言葉はおかしいな。
ロイドえっと、こっちにいるのは俺たちの知らないリーガル、でいいんじゃないのか ?
リフィル心核は抜き取れるのよ。相性さえよければ入れ替えることもできるわ。
リフィルだから心核を入れ替えられている可能性を無視できない……。
ジーニアスそうか……。心核はボクたちの知らないリーガルで体はボクたちが知ってるリーガルだって可能性もあるんだ……。
プレセアこの中にいるリーガルさんに……聞きましょう。
クラトスならば、私とミトスは神子の救出に向かおう。天使は耳がいい。神子を捜すには適任だろう。
ロイドコレットの声は聞こえないのか ?
クラトスああ。おそらく気を失っているのだろう。
ミトス天使を捜す手段は色々あるんだ。クラトスの言うとおりにした方がいいんじゃない。
ロイドわかった。クラトス、ミトス。コレットを頼む。
ミトス………………。
クラトス了解した。リフィル、ロイドたちを頼むぞ。
リフィルええ、こちらも了解よ。みんな、気をつけていきましょう。
しいな――よし、警備兵たちは拘束したよ。
テネブラエリーブラエ作戦は失敗でしたね。まさか領主の館にもリーガルさんがいるとは思いませんでした。
マルタでも、テネブラエがリーガルさんのふりをしたからそのことがわかったんだし全部失敗って訳じゃないよ。
ゼロスとはいえ、リーガルに案内してもらう形で穏便に館の中を捜索するってのは難しくなったな。
エミルとりあえず、ここにいるリーガルさんが『何者』なのかを調べようよ。そうすれば次の手が打ちやすいと思う。
しいなここまで来たらそれしかないだろうね。みんな、敵に見つからないように慎重に行くよ !

Character6話【救出作戦7 領主の正体】
帝国兵A侵入者発見。確保しろ !
ゼロスおいおいおい、誰だ ! ?敵に見つからないように慎重に行こうなんて言ってた奴は ! ?
マルタしいなってば、いきなり兵士の詰め所の扉を開けちゃうんだもん。
しいなわ、悪かったよ !帝国兵になりすましていけば安全だと思ったんだ !ただ、制服を奪う前に見つかっちまっただけサ !
ラタトスクだから、余計な寄り道をしないで俺の記憶を頼りにさっさと執務室まで行けばよかったんだ !
テネブラエラタトスク様、この先の部屋が執務室です !
ゼロス下手すりゃ兵士たちとリーガルで挟み撃ちにされるが……迷ってる暇はねえな。入るぞ !
リーガルβ――お前たちが侵入者か。……ん ? 確かお前は以前も……。
ラタトスク覚えてやがったか。……ってことはお前がリビングドールのリーガルなんだな。
リーガルβなるほど。鏡士リーガルに会ったのだな。
ゼロス鏡士……だと ?
リーガルβなるほど、何も知らないのか。であれば、これ以上私から情報を漏らすわけにはいかない。ここでお前たちを捕らえる。
しいな――だったら、こっちはお前を眠らせるだけサ !
リーガルβ何っ ! ?もう一人……い……た…………。
マルタ……うん。リーガルさん、完全に眠ってる。ハロルドさんの薬、効果てきめんだね。
エミルしいなもさすがだね。気配を消して、リーガルさんの背後に回り込むなんて。
しいなあはは ! 何だよ、照れるじゃないか。これぐらいたいしたことないよ !
ゼロス一回失敗してるけどな ?
しいな殴るよ ! ?
ゼロスだから殴ってから言うなっつーの ! ?
マルタそれにしても、追っ手が入ってこないね。
ラタトスク……テネブラエ。お前か ?
テネブラエはい。魔物を館に侵入させました。そちらの対応で手一杯かと。
マルタえ ! ?ラタトスク、魔物と縁を結べるようになったの ! ?
ラタトスクいや。それはまだだ。これはテネブラエの単独の力だな。
テネブラエはい。元の世界と同じようには行きませんが魔物に声をかけて、協力を仰ぐことはできるようになりました。
テネブラエ配下というわけではないので彼らの気が変わればこちらを襲ってくることになってしまいますが……。
しいな……ということは、今、館の中は混乱してるってことだよな。
しいなだったら少しぐらい危険を冒しても領主の館の中をもう少し調べた方がいいんじゃないかねえ。
ゼロスははん、わかったぞ。確か領主の館に魔核工場が併設されてる可能性が高いんだったよな。
ゼロス今までの例からいくと、ここには領主と従騎士の心核がある可能性が高いって訳だ。
マルタ……もしかしたらパパの心核もあるのかな ?
エミルマルタ……。うん。もしそれを見つけられればきっとブルートさんも助けられるよ。
テネブラエそろそろイクスさんたちも魔鏡を完成させてこちらに合流して下さるかと。
テネブラエこちらのリーガルさんは私がリーブラエになって運び出しますので皆さんは――
エミル――リーガルさんたちの心核を探すんだね。
しいなよし、やれるだけやってみるサ !
ゼロス………………。
ロイド……なんだかおかしいな。
プレセア何が……でしょうか ?
リフィルそうね。違和感があるのは確かだわ。
リフィルこれだけ警備の兵士たちと戦っているのに増援が増えるわけでもなく淡々としているというか……。
ジーニアス相手がリビングドールβだからじゃない ?
ロイドうーん……。それもあるのかも知れないけど……。大事な物を守ってるって感じがしないのかな……。
プレセア……そう言われると、そうかも知れません。
ジーニアスどういうこと ? ここは何のための施設なのかな ?
リフィル……推測するには情報が足りないわね。
? ? ?くそ ! この魔鏡でも駄目なのか ! ?
ロイドリーガルの声だ!
プレセア行きましょう!
リーガル ?何故だ……。何故アリシアを具現化できない ! ?
四人! ?
プレセアアリシアを……具現化 ? どういうこと……ですか ?
リーガル ?貴様たちは――
ゼロスリフィル様……こいつはえらいことになりそうだぜ。
リフィルゼロス ? どうしたの ?
ゼロスこいつは俺さまの予想なんだが……もう一人のリーガルは『鏡士』としての力を与えられてる可能性がありそうなんだわ。
ロイド――え ? だけど、鏡士ってのは鏡士の血を引く人しかなれないんだろ ?
リーガル ?鏡士の血統…… ! やはりそれか……。そのせいでアリシアを具現化できないのか…… !
ジーニアスもしかして……アリシアを具現化する為にイクスの魔鏡を盗んだの ?
リフィル……あなたはリーガル、ではないわね。何者なの。
リーガル ?……私はリーガルだ。リーガル・ブライアン。ダーナの心核の欠片を与えられて、鏡士として作られたリーガル・ブライアンのレプリカだ。

Character7話【救出作戦8 作られしもの】
コレット誰かー ! 誰かいませんかー !
コレット(確かにロイドたちの声がしたと思ったんだけど……)
コレットロイドー ! ジーニアスー ! 先生ー ! プレセアー !
ミトス……そんなに大声を出さなくても聞こえてるよ。
クラトス神子、迎えにきた。今、鍵を壊す。
コレットクラトスさん ! ミトス !ありがとう、助けに来てくれて。
ミトス……ボクに礼を言うなんて、馬鹿みたい。
コレットどうして ? 元の世界のことは……確かに色々あったけど、今助けに来てくれたことにお礼を言うのは当たり前だと思うよ。
ミトス………………。
クラトス神子、リーガルを連れてここまで飛ぶ間に何か気付いたことはなかったか ?
コレットあ、はい……。えっと……リーガルさん、とってもいい人でした。
クラトスみ、神子……。私が聞きたいのはそういうことではなく――
コレットあ、いえ、あのリーガルさんは、私たちの知っているリーガルさんじゃなかったことはすぐにわかりました。私が空を飛べることに驚いてたから……。
コレットリーガルさん、アリシアを……プレセアの妹を具現化しなければ、本当のリーガルになれないって言ってたんです。
コレットでも、もうやめたいって……。アリシアを何度も殺すような真似はもう嫌だって……。
クラトスどういうことだ ?
コレットわかりません。でも凄くつらそうで……。だからロイドたちに知らせたかったんです。
コレットあのリーガルさんがどんな存在なのかはわからないけど話し合えばきっとわかり合えるって。
ミトス……アリシアって、確かロディルが勝手なことをして実験に利用した人間だったね。
ミトスどうしてリーガルは彼女を具現化しようとしてるの ?恋人だったから ?だとしたらあのリーガルは――
クラトス――魔鏡通信か。
イクスクラトスさん、ミトス。イクスです。今さっきエミルたちと合流しました。リビングドールβにされたリーガルさんも救出できました。
イクス今、エミルたちが回収した心核の中からリーガルさんのものを探しているところです。そっちはどうですか ?
クラトスこちらは神子――コレットを見つけて合流したところだ。
イクス俺たちはリーガルさんの心核を戻したらロイドたちと合流します。そちらは――
クラトス我々もそうするつもりだ。どうもこちらにいるリーガルは色々と訳ありのようだからな。
カーリャ――ミリーナさま、どうですか ?
ミリーナ心核は入れ換えたわ。後はリーガルさんが目覚めるのを待つだけ。
しいなさっき入れ換えたのが、あたしたちの知ってるリーガルの心核……なんだとしたら回収した残り二つは、誰の心核なんだい ?
ミリーナ一つは……従騎士のブルートさんのものじゃないかしら。後の一つはアジトで調べてみないとわからないわ。
マルタパパ……。魔核工場にもいなかった。どこかに出かけてるのかな……。
エミルマルタ……。
マルタ……大丈夫。ごめんね、エミル。心配かけて。回収した心核が本当にパパのものならいずれ必ずパパを助けられる……。だから、大丈夫。
イクスお待たせ。クラトスさんとミトスに連絡がついたよ。コレットを助け出せたみたいだ。
イクスリーガルさんの様子が安定してるならここにリーガルさんと護衛の戦力を残して俺たちも街外れの廃墟に行こう。
リーガル……う……ここ……は…… ?
しいなリーガル !
リーガルしいな……か…… ?
しいなああ、そうだよ !よかった、あんたはあたしたちの知ってるリーガルなんだね !
リーガル………… ?
ゼロス鏡士リーガル・ブライアン……って何がどうなっちまってるんだ。何だってアリシアを具現化しようとするんだ。
リーガルアリシア…… ! ?
ミリーナあ、急に起き上がったら――
リーガル……そうだ。思い出した。私のレプリカが……アリシアを…… !
エミルリーガルさん ! ? そんな体でどこへ行くんです ! ?
リーガル……きみは…… ?
エミルあ、そうか……。このリーガルさんは僕たちのことを知らないんだ……。
マルタ私たちのことは後で説明します。とにかく今は休んで下さい !
リーガル……いや、それはできぬ。グラスティンが作った私のレプリカが……アリシアを具現化しようとしている。
リーガル私は……彼女の安らかな眠りを妨げたくはない。
テネブラエお言葉ですが、もしアリシアさんという方が具現化されるとしたら、生前のアリシアさんがこの世界に誕生することになります。
テネブラエ死者の蘇りとは意味合いが違うのでは ?
リーガル……そうかも知れぬ。或いはプレセアが……アリシアの姉が生きたアリシアとの再会を望むのなら……。
リーガル――いや、しかし私はこの世界にアリシアを呼びたいとは思わない。
リーガル彼女は望まれて具現化されようとしている訳ではない。単に『リーガル・ブライアン』が執着していたものの象徴として具現化されようとしているに過ぎないのだ。
イクスどういうことですか ? それに具現化って……。確かリーガルさんには、元の世界でも具現化のような能力はなかったですよね。
イクスグラスティンがあなたのレプリカを作ったとしても鏡士の力なんて……。
リーガルあのレプリカには特殊な人工心核が埋め込まれているらしい。
リーガルダーナの心核の欠片を取り込んで作った人工心核に私の記憶を転写してあるそうだ。記憶の転写は不完全なようだが……。
リーガルそもそもは、鏡士の血の代わりに、ダーナの心核を入れることで、鏡士を人工的に作るという研究だと聞いている。
ゼロス以外の全員! ?
ミリーナ鏡士を作る…… ? それは成功したんですか ?
リーガル……わからぬ。私はリビングドールにされてしまったのでな。
イクス……けど、鏡士を人工的に作りたいなら最初の俺の遺体を利用すればよかったのに……。
リーガル奴らは、特異鏡映点を鏡士にすることを目的にしていたようだ。時の因果律を歪めて過去のニーベルングを具現化する為……と言っていた。
ミリーナ特異鏡映点の負のアニマなら過去へのアプローチができると考えたのね。
リーガル頼む。私は私のレプリカが我が片翼を具現化することを阻止したい。この状態では足手まといかも知れぬが……私をレプリカのいるところへ連れて行ってくれぬか。
しいな……何が何だかあたしにはさっぱりだけどリーガルがアリシアの具現化を阻止したいってことだけはわかるよ。
しいなイクス、ミリーナ。リーガルも連れて行ってやってくれないか ?
イクスわかりました。でも、あなたは戦える状態ではない筈です。無理はしないで下さい。
リーガル……ありがとう。

Character8話【救出作戦9 叶わぬ願い】
リフィル鏡士リーガル・ブライアン……。リーガルのレプリカ……。
ゼロス鏡士リーガル・ブライアン……って何がどうなっちまってるんだ。何だってアリシアを具現化しようとするんだ。
レプリカリーガルアリシアは我が片翼。
レプリカリーガル被験者のリーガルが彼女の命を奪ってしまったからこそ私が――リーガルのレプリカである私が彼女に命を与えようとして何がおかしい。
プレセアアリシアを……甦らせる……。
レプリカリーガルそうだ。アリシアは私が……いや、私の被験者が殺した。
レプリカリーガルアリシアも悔しかった筈だ。非道な実験に巻き込まれ……怪物にされて……。
レプリカリーガルだから私は……彼女の望みを聞き入れて……私のアリシアを――
ジーニアスそ……そんなのおかしい !
レプリカリーガル何…… ?
ジーニアスリーガルは……リーガルは、そんなこと望んでないよ !ボクらはこの目で見たもの。リーガルとアリシアさんがちゃんとわかり合ってお別れしたところを。
ジーニアスボクが知ってるリーガルは……悔しいけど格好いい大人だから、だからアリシアさんを自分のために甦らせようとはしない !
レプリカリーガル被験者の意志など知らぬ。だが、アリシアは……アリシアはもっと生きたかった筈だ !生きるチャンスを与えようとして何が悪い !
ロイド悪くなんかない。だけど、アリシアがこの世界で生きたいと思うかどうか本当のところはアリシアにしかわからないだろ。
ロイドこの世界に具現化されて、アリシアの死を見届けた人たちに囲まれて暮らすことが、アリシアにとって本当に幸せなのかどうかは誰にもわからない。
ロイドお前にだってわからないだろ !
レプリカリーガルそうだ。私にもわからぬ。わからぬから甦らせるのだ。アリシアがいれば私の記憶もきっと安定する。アリシアが傍にいれば――
プレセアあなたは……自分の記憶のためにアリシアを甦らせたいんですか…… ?
レプリカリーガルそれ……は……。
コレットリーガルさん。もう、やめましょう。リーガルさんだって、本当はもうやめたいって言っていたじゃないですか。
コレットアリシアさんを何度も具現化しようとしてその度に失敗して……何度も……アリシアさんを殺してしまったようなものだって……。
プレセア! !
リフィルあなたの記憶は、被験者の記憶の転写……刷り込みね。この世界では、記憶はアニムス――体に情報として残されている。
リフィルだからエンコードの作用で、レプリカには被験者の記憶も共有されている可能性が高い。グラスティンは恐らくそれを利用した。
リフィルけれどまだその技術は不完全で、あなたには被験者の強烈な後悔の記憶だけが受け継がれてしまっている。
リフィル言うなれば、あなたはアリシアを手にかけた直後のリーガルなんだわ。
レプリカリーガル………そうだ。私は何度もアリシアを殺している。鮮明な記憶が、朝も昼も夜も私を追い立てる……。
リフィルそれは、あなたの記憶じゃない。被験者の記憶よ。そんなものに囚われては駄目。あなたはリーガルと同じ姿だけれど、別人なのよ。
レプリカリーガル私は……私は……――
クラトス愛するものを甦らせたいという気持ちは恐らく多くのものが理解できるのだろう。実行するかしないかは別の問題だが。
ミトスそうだね……。けど、その愛する気持ちはお前の感情じゃないよ。自分のものじゃない記憶に感情が振り回されてるだけだ。
ミトスそれでもアリシアを甦らせたいの ?
レプリカリーガル……私は……アリシアを愛していない……のか…… ?
ミトスどうだろうね。
ロイドそれがわからないなら、わかるまでアリシアの具現化を止めればいい。命を生み出すことには責任が伴うって前に先生も言ってた。
ミトス世界の全てを敵に回す覚悟があるならボクはお前に力を貸してやってもいいよ。でも今のお前はそうじゃなさそうだ。
ロイドなあ、リーガル。いや、リーガルじゃないのかも知れない。
ロイドとにかく、あんたはまずあんた自身が何者なのか知るところから始めなきゃいけないんじゃないか ?
プレセア……もしもアリシアが異世界で生きたいと思っていたとしても……きっとあなたのことは選びません。
プレセアアリシアは被験者のリーガルさんを愛していました……。それは……間違いないです。
ジーニアスねえ、ボクの知ってるリーガルはあなたとは全然違うよ。だから、あなたはあなたとして生きて考えて行動していいんだ。
ジーニアスそうだ、ボクたちと一緒に行こうよ。それで、ゆっくり考えたらいいじゃない。
レプリカリーガルお前たちと一緒に…… ?
グラスティンヒヒヒッ ! レプリカの心核が異常な反応を示していると思ったら鏡映点の肉共とご一緒とはなあ。
ロイドお前っ !
グラスティンリーガル。よく考えろ。姿形は同じで記憶すらも継承していたら、それはもうお前が『リーガル・ブライアン』だ。
グラスティンリーガルなら、今度こそ愛しい愛しいアリシアと一緒に暮らしたいだろう ?
プレセア汚らわしい口でアリシアの名前を呼ばないで !
グラスティン黙れ、やせぎすの肉が。――さあ、リーガル。なんのために鏡士から魔鏡を奪ってきたんだ ?
グラスティンイクス・ネーヴェの特殊な魔鏡なら、今度こそ具現化を成功させてアリシアを呼び寄せられると思ったからだろう ?
グラスティンヒヒヒ、お前はよくやった。あと一息だ。
レプリカリーガル……そうだ。今度こそ上手くいく……。アリシアを……私のアリシアを救う !
ロイドやめろ ! リーガル !
グラスティンリーガルの邪魔はさせないぞ。大事な大事なモルモットだからなあ !
リフィルくっ ! 増援を呼んでいたのね !
ジーニアスプレセア ! あのリーガルを止めよう !
プレセア………………。
ジーニアスプレセア ?
プレセア……は、はい。
クラトス――来るぞ !

Character9話【救出作戦10 祈り】
ロイド――っ ! リーガルとグラスティンはどこだ ! ?
ジーニアス見て、ロイド ! 中庭に続く扉が開いてる !
リフィル行きましょう !
ジーニアスプレセア ? 行かないの ?
プレセア……止めて……いいんでしょうか。
ジーニアスえ ?
プレセア……私は……心のどこかでアリシアに生き返って欲しいと願ってしまっています……。
ジーニアス……うん。だったら、それでいいと思う。
プレセアジーニアス…… ?
ジーニアス多分、ここにいるみんな、何が正解なのかなんてわかってないよ。ボクも……。
ジーニアスもしこれが姉さんを甦らせるってことなら……ボクだってきっと悩むから。
ジーニアスだけど……あのリーガルがアリシアを具現化するのはなんか違うなって思うんだ。
ジーニアスでも、プレセアが具現化を望むならそれを止める権利はボクにはないよ。きっと……誰にもない。
プレセア……私……私も、あのリーガルさんがアリシアを甦らせるのは……あのリーガルさんが可哀想だと……思います。
ジーニアスうん。一緒に行こう。あのリーガルを止めて、それからちゃんと考えよう。
レプリカリーガル――今度こそ、アリシアを甦らせる !
ロイドな、なんだ、この光は ! ?
グラスティン今度こそいけた、か…… ?
アリシア……リーガル様……私を……ころし……て……。
ミトス! !
クラトスエクスフィギュア化した状態か……。
レプリカリーガルアリシア…… ! ? どうして……人間の姿では具現化できないのだ ! ?
アリシアリー……ガル……さ……。
プレセアあ……アリシア…… ! ? アリシアが ! ?
ジーニアス消えちゃった……。
リフィル……アリシアを失ったときの記憶が強すぎて 怪物として具現化されてしまったのね。 そして具現化の力が足りずに消失してしまった……。
レプリカリーガルくっ、もう一度――
コレットやめて ! これ以上アリシアさんを苦しめないで !
レプリカリーガルアリシアは、私が――
リーガルやらせはせぬ !
レプリカリーガル貴様は被験者か !
リーガル貴様は何度アリシアを殺せば気が済むのだ ! 何故その手をアリシアの血で染めようとする !
レプリカリーガルあれはアリシアではない ! あれは――
リーガルあれもアリシアだ ! 怪物となって自我を失い 苦しんだアリシアだ ! 我が片翼を侮辱するな !
グラスティンちっ。ゾロゾロと新手か。
イクスまたお前か…… !
ゼロス魔鏡通信を繋ぎっぱなしにしてたからな。 状況は全部把握してるぜ。
ラタトスク周りに伏せていた兵は俺たちが片付けたぞ。
マルタあとはあんただけよ、グラスティン !
しいなそうサ ! さっさと投降しな。
グラスティンおっと……。 いい黒髪のお嬢さんがいるなあ…… ! ヒヒヒ !
しいなな、なんだい、気色悪い奴だね !
ミリーナしいなには指一本触れさせないわよ。
グラスティンヒヒヒ、是非とも連れて帰りたいところだが…… 今はレプリカリーガルの方を 優先しなけりゃならないなあ。残念だ。
グラスティンおい、引き上げるぞ。
レプリカリーガルまだだ ! もう一度、今度こそアリシアを――
リーガルまだそんなことを言っているのか !
レプリカリーガル何故だ ! ? 何故、アリシアに手をかけたお前が 私を止めようとする ! ?
リーガル彼女を元の世界で生き返らせられるというなら 私とて、禁忌に手を染めたかも知れぬ。
リーガルだが、ここはアリシアが生きた世界ではない。 ここに彼女を呼ぶことは、我らのエゴに過ぎぬ。
2人………………。
リーガル私の愛したアリシアは死んだ。私が殺した。 それは私が一生をかけて償い、背負う罪だ。 そしてアリシアを安らかに眠らせることが私の使命だ。
レプリカリーガル邪魔はさせぬ…… ! 私はここでアリシアを具現化し 彼女と生きるはずだった未来を作る !

Character10話【救出作戦10 祈り】
レプリカリーガルぐぅ……っ……。
リーガル……もうよかろう。
レプリカリーガル……アリシ……ア……。私は……――
レプリカリーガル! ?
ロイドど、どうした ! ?
レプリカリーガル胸が……ぐぅ…… ! ?
グラスティンちぃ、人工心核が持たなかったか…… !
リフィルグラスティン !レプリカから人工心核を抜いてどうするつもり ! ?
ミトス……あの人工心核は、もう駄目だよ。
グラスティンそういうことだ。この中のダーナの心核の欠片だけは回収させてもらう。ついでに魔鏡も――
プレセアそうはさせません !
グラスティンち、やせぎすの肉が !まあいい、ダーナの心核さえ回収できればな !
ロイド――くそ ! 逃げ足の速い奴め。
ジーニアスねえ、リーガルのレプリカの心核が……。
クラトス……砕けてしまったか……。
コレット嘘……。レプリカのリーガルさんの体が……。
マルタ消えてっちゃう…… ! ?
プレセアそんな…… ! 待って下さい !
ゼロス……マジかよ。レプリカってのは……遺体も残らねえのか……。
リーガル…………使い捨ての駒か。帝国……め……。
ロイドリーガル ! ? 大丈夫か ! ?
イクス心核を戻したばかりで無茶をしたから意識を失ったんだ……。
プレセアリーガルさん ! ? しっかりして下さい !
カーリャあわわわ ! すぐにアジトに戻って医療班の皆さんに見てもらいましょう !
リーガル……心配を……かけた。無茶をしないという約束だったが……すまない……。
イクスいえ、無事で何よりです。今はゆっくり休んで下さい。
エミルそうですよ。アニーの話だと当分は寝たきりの生活になりそうですから。
リーガル……帝国との戦いで戦力が必要なときに……情けないな……。
マルタそんなことないです。リーガルさんはずっと一人で帝国と戦ってきたんだから。
ミリーナええ。今は休む番なんだと思いますよ。
リーガルありがとう……。
ゼロス気付いたら、もう新年を迎えてたとはなあ……。散々な年越しだったぜ……。
マークご苦労さん。けど、休んでる暇はないぜ ?正月があけたら、またケリュケイオンを飛ばすからな。ま、ゼロスは浮遊島に残ってもいいんだぜ ?
ゼロス……いやいや。いずれはそうするつもりだが、今はまだ、なあ……。
マーク踏ん切りが付かないってか ?
しいなほら、おせちだよ。
ゼロスおっ !ビフレスト風……じゃなくて、これはミズホ流か ?
しいなまあ、どことなく似た文化だからねえ。
マークまあ、何にしても、あのグラスティンと遭遇したのにお仲間も魔鏡も回収できて、よかったじゃねえか。
しいな……よかった、のかねえ。あたしは、あのリーガルがどうしても……不憫でサ。
ゼロス記憶まで押しつけられたんじゃ別人として生きることも許されない存在だもんな……。
テネブラエところで、気になることがあるのですが。
しいなどうしたんだい ?
テネブラエ私も毛並みが黒いのに、どうしてグラスティンは私に注目してくれなかったんでしょう。
三人………………。
ミトス……ジーニアス。みんなのところに行きなよ。
ジーニアスミトスも行こうよ。
ミトス……ボクは……いいよ。
ジーニアスミトス……。リーガルが言ってたことを考えてるよね。
ミトスううん。ボクはボクのしたことを後悔しない。ボクは何があっても姉さまを助けることを優先する。それがエゴであっても。
ミトスその為ならどんな命も踏みにじれる。そうやって生きてきた。
ジーニアス……そうだね……。でもこの世界では、ボクたち一緒に戦ってるよ。過去は変えられないけど、未来は変えられるよ。
ジーニアスそうでしょ ?
ミトス……そうだね。ほら、もう行きなよ。
ジーニアスうん……。じゃあ、また後でね。
クラトスミトス……。幸せにならぬことは、償いではない筈だ。
ミトスクラトス……。そうだね。理屈ではそうだよ。でもきっと世界はそう思わない。
ミトスそれでいいんだ。ボクは姉さまのために――姉さまを失いたくない自分のために世界を捨てた。
クラトスそれでも私はお前に言い続ける。幸せにならぬことが償いではないのだと。
ミトスそれはクラトスもだよ。ロイドにちゃんと向き合わないと。
クラトス……フ……そうだな。
プレセア……ありがとうございます。アリシアとレプリカのリーガルさんのお墓を作ってくれて。
ロイド何も埋めるものがないけど……俺たちはちゃんと覚えていたいからさ。
ロイドこの世界にあのリーガルがいたこともアリシアが……一瞬とはいえ具現化されたってことも。
コレットリーガルさんもありがとうって言ってたよ。動けるようになったら、お参りするって。
プレセア……私、心のどこかで思ってました。あのリーガルさんがアリシアを具現化させてくれたら……私は重荷を背負わずにアリシアと再会できる。
プレセアそうなってくれたらって……。その卑怯な心が、アリシアをこの世界でも苦しめてしまった……。
リフィル人の心は弱いものよ。
リフィルでも弱いことがいけないわけじゃない。弱さに負けて流されてしまわないように支え合っていけばいいのだと思うわ。
プレセア……はい。それで、あの……これ。
ロイドこれは……トンガリマダラトビネズミのお守り ?
プレセアはい。リーガルさんに聞いたんです。
プレセアあの辺りでトンガリマダラトビネズミが大量発生したのは、レプリカの実験をトンガリマダラトビネズミで行っていたからだろうって。
プレセアあの子たちも被害者だったんです。それで……あの子たちのヒゲと木彫りを組み合わせてお守りを作ってみんなで持ったらどうかって……。
コレットトンガリマダラトビネズミのお守りは幸運を呼ぶんだもんね。ありがとう、プレセア !
リフィル――そうだわ。今回の件、発端はロイドが自習をサボって私に断りもなく出かけたことだったわね。
ロイドあ……やべえ……。
リフィルあなたたち四人にはたっぷり宿題を用意しました。今度は逃げ出さないように――
ジーニアスプレセア ! ロイド ! ボクもお墓にお祈りするよ。
ロイド馬鹿、今こっちに来ちゃ駄目だ !
リフィルジーニアス ! 丁度よかったわ !お勉強頑張りましょうね。
ジーニアスえ……姉さん……いつにも増して顔が怖い……。
リフィルなんですって ! ?
ロイドジーニアス、逃げるぞ !
ジーニアスう、うん !
コレットふふふ、二人ともすぐ捕まって怒られちゃうのに。
プレセアそうですね……。
プレセア(アリシア……それに、リーガルさん)
プレセア(私にはまだ何が正しいのかわからないけれど……いつか二人にちゃんと私の答えを伝えるから……。それまで……待っててね)