| Character | 1話【救出作戦1 新しい生活】 |
| | アレウーラ領と原界領の間にある、とある小島 |
| ガラド | ふぅ、上出来じゃねぇか。子供たちの農作業の実習用にはこんなもんでいいだろ。 |
| エルマーナ | ガラドのおっちゃん !うわ、開墾一人でやったんかいな。えらい大変やったろ ? ほら、腰のばしぃや。 |
| ガラド | あ痛たたたた……。おい、エルマーナ。年長者はもっと丁寧に扱え。 |
| エルマーナ | あはは !今度は反り返ったままになってもうた。おっちゃん、華麗なエビ反りやなぁ。 |
| エルマーナ | エビかぁ、煮ても揚げてもうまいなぁ。あぁ、食いもんのこと考えてたらお腹すいてきたわ。 |
| ガラド | 娘っ子、見てねえで戻せってんだ。 |
| エルマーナ | あはは、ごめんやで。せーの ! |
| ガラド | ふぅ、やれやれだ。 |
| エルマーナ | 学校に戻ってお昼にしようや。子供らもおっちゃん帰ってくるの待ってるで ! |
| ガラド | そうだな、そろそろ戻るか。 |
| 賢そうな男の子 | 先生 ! 早く~ ! お腹すいたよ〜 ! |
| 将来有望な女の子 | エル先生 ! ガラド先生 !こっちこっち ! |
| エルマーナ | みんな、待たせたなぁ。ガラドのおっちゃん、ちゃんと連れてきたからな。ほな、お昼にしよか ! |
| 体の大きな男の子 | イエーイ ! 飯だ ! 飯だ ! |
| 校長先生 | ガラド先生、お疲れさまでした。裏山で作業をさせてしまってすみませんね。 |
| ガラド | なんの。当てのない俺たちを村に置いて仕事までくれたんだ。これくらい何ともねぇさ。 |
| 校長先生 | 早いものです。お二人が島に来て、もうだいぶ経つのですね。学校にもすっかり馴染んだ様子で。 |
| ガラド | そうだな。エルマーナと出会ってさてどうしたものかと、各地を流れていたからな。生きてく場所をもらってこっちこそ感謝してるさ。 |
| 校長先生 | 生徒たちも、すっかりお二人を慕っております。このままずっといてくれると嬉しいですよ。特にあの三人の子供たちはね。 |
| ガラド | この島は穏やかでいい。……それに帝国の脅威も及んでいない。こちらこそよろしく頼むぜ。 |
| 校長先生 | よかった。『これから先』もよろしくお願いします。さて、お昼にしましょうか、ガラド先生。 |
| ガラド | 『これから先』も、か……俺たちも一人でほっぽり出される人生には辟易だ。このまま穏やかにいられれば、それも悪くねぇ。 |
| エルマーナ | おっちゃん、おっちゃん !えらいこっちゃ ! ! |
| ガラド | どうした、慌てて ? |
| エルマーナ | あいつらや !島に来る前におっちゃんを狙ってきたあの兵隊が来とる ! ! |
| ガラド | クソ、帝国の奴らか。穏やかにもしてらんねぇのかよ……。エルマーナ、子供たちを ! |
| エルマーナ | 任せとき ! |
| ヒスイ | コハク、どうだシングの様子は ? |
| コハク | ……まだ良くないみたい。いつになったら元気になってくれるんだろう……。 |
| シング | あ……うぅ……コハク……ヒスイ……。 |
| コハク | シング…… ! |
| コハク | また寝ちゃった……ずっとこんな感じ。たまに意識は戻るんだけど、すぐに……。どうしたらいいんだろう、お兄ちゃん。 |
| ヒスイ | うろたえるな、こいつなら必ず良くなるさ。絶対に死なせやしねえ……。 |
| ヒスイ | カルセドニー奪還だって失敗したままだ。俺は必ずやり遂げるぞ。 |
| コハク | けど、シングがこのままじゃどうやって……。 |
| ヒスイ | 逆だよ。カルセドニーがいりゃシングだって起きないわけにいかねえだろ。こいつはそういうやつさ。 |
| コハク | そう……だよね。お兄ちゃんのいうことって滅茶苦茶だけどでも、不思議と間違ってない気がする。 |
| ヒスイ | へへっ。ま、無事に元気になったあかつきにゃコハクを泣かせた罰として一発殴るけどな ! |
| コハク | もうっ ! お兄ちゃん ! !シングに優しくしなかったら許さないから ! |
| ヒスイ | 痛ぇ ! ! これでこそ我が妹だぜ……。コハク、やっと元気になったな。 |
| コハク | あ…… !ありがとう、お兄ちゃん。 |
| ヒスイ | さっき、カロル調査室から連絡があった。カルセドニーが領主のもとを離れてある小島に移動しているのを掴んだってよ。 |
| ヒスイ | 帝国兵もあまり引き連れずの行動らしい。こりゃあ、またとないチャンスだぜ ! |
| コハク | でも……ユリウスさんには、領主と従騎士の調査はやめるようにって言われてるんだよ ? |
| ヒスイ | いいんだよ。こっちは一度失敗してるんだ。調査じゃねえ、奪還の続きをするだけだッ ! |
| ヒスイ | どうあろうが、俺はやるぜ。丁度、ロイドたちがテセアラ領から持ってきた心核がカルセドニーの物だってことがわかったところだしな。 |
| ヒスイ | こいつはなんとしても奴を助け出せってことじゃねえか ! ? |
| コハク | ……わかった。じゃあ、イネスたちも呼んでこようよ。 |
| ヒスイ | いや。大人数で行くと目立っちまうからな。俺一人で行く。それにシングを診てくれる奴が必要だ。 |
| コハク | そんな ! 一人じゃ危険だよ !わたしも一緒に行く。止めても聞かないから ! |
| ヒスイ | コハクを危険なところに連れていけっかよ !……って言ってももう聞かねぇか。まったく、お前もリチアもガンコな所はそっくりだぜ。 |
| ヒスイ | よっしゃ、そうと決まればさっそく出発だ。 |
| キュキュ | 困った。もう動いてしまたか。ヒスイたち動いたら手伝う、ユリウスと約束してしまた。 |
| キュキュ | よし、キュキュもいっしょ行く ! |
| Character | 2話【救出作戦2 潜入調査】 |
| | アレウーラ領・魔核精製工場 |
| カイウス | ここが魔核を作ってるって工場なのか ? |
| ティルキス | ああ、情報通りだ。ここにアレウーラ領の領主と従騎士の心核があるはずだ。 |
| カイウス | フォレストさん、それに誰かわからない領主……絶対に助け出そう、ティルキス。 |
| ティルキス | もちろんだ。カイウスのおかげでここに来られたんだ。この機会をムダにはしないさ。 |
| ティルキス | しかし、カイウスがあれほどユリウスに詰め寄ったときは驚いたぞ ? |
| ユリウス | 困ったな……。この前も伝えただろう。君たちの安全のためでもあるんだ。 |
| ユリウス | 領主と従騎士に該当する人物の調査はしばらく控えて欲しい、と。カイウスも納得していたはずだろう。 |
| カイウス | けど、カロル調査室でフォレストさんが単独で領主のもとを離れたってわかったんだろ ! |
| カイウス | こんなチャンスは他にないんだ !領主の館に攻めようって言ってるんじゃない。お願いだよ、わかってくれよ ! |
| カイウス | フォレストさんはオレたちの仲間なんだ ! |
| ユリウス | 参ったな。ティルキスからも何か言ってもらえないか。 |
| ティルキス | 悪いが、俺はカイウスに賛成だ。 |
| ティルキス | 所在も、単独で行動していることもわかっている。カイウスが言うように、彼は俺たちの仲間なんだ。 |
| ティルキス | もし君も弟が同じようにされていたら黙っていられないだろ ?俺たちにとっても同じなんだ、わかってくれないか。 |
| ユリウス | もしルドガーだとしたら、か……。 |
| ユリウス | 命を投げ打ってでも救うだろうな。君も卑怯だ。反論のしようがない。 |
| カイウス | そう言うってことは……ありがとう、ユリウスさん ! ! |
| ユリウス | そんな笑顔で抱きつかれちゃますます断れないじゃないか。 |
| ユリウス | ただし、条件を二つ出させてくれ。 |
| ユリウス | 一つは最低人数で実行すること。酷なようだが、帝国にも狙いがあるだろうしな。リスクは可能な限り減らしたい。 |
| ユリウス | そして、もう一つは―― |
| ティルキス | ああ見えてユリウスは案外年下に弱いのかもな。見事な対応だったぞ、カイウス。 |
| カイウス | や、やめてくれよ。オレ、わざとやったんじゃないぞ !意地の悪い言い方するなよな。 |
| ティルキス | 天然だからよかったんだ。ユリウスは賢そうだからな狙ってやったら見抜かれてたぞ ? |
| カイウス | む~……。なんか褒められてる気がしないぜ。 |
| ティルキス | ははは。さて、雑談はここまでにしよう。ユリウスも100%納得したわけじゃない。もし俺たちが失敗すれば、彼が責任を問われる。 |
| カイウス | うん、ユリウスさんを困らせたりしない。絶対にフォレストさんの心核を取り戻して元に戻してやるんだ ! |
| カイウス | そういえば『もう一つの条件』はどうなってるんだろう。 |
| カイウス | ユリウスさんが送ってくる助っ人と一緒に行動するのが約束だけどまだ誰も来ないよな。 |
| ティルキス | いつ来るかわからん助っ人を待っていても仕方ない。俺たちはさっさと動き始めよう。 |
| ティルキス | しかし、聞いていた話よりも工場内の警備が厳しくないか ? |
| カイウス | シングたちの作戦やリッドがフォッグさんとレイスさんを元に戻したことが原因かな。 |
| ティルキス | たぶん、そうだろうな。なかなかどうして、帝国側も必死なようだ。 |
| ルカ | 待たせてごめん !よかった。まだ突入してなかった。 |
| カイウス | ルカ ! ? どうしてここに……。もしかして助っ人ってお前なのか ? |
| ルカ | うん、君たちと一緒に行くようにユリウスさんに頼まれんたんだ。 |
| ルカ | ユリウスさんは、フォレストさんを直接知らない人が手助けに行った方がいいって思ってるみたい。感情が入りすぎずに冷静でいられるからって。 |
| ティルキス | 正しい判断だな。さすがユリウスだ。 |
| コンウェイ | さあ、ボクたちがいればあの警備も何とかなるだろう ? |
| カイウス | ああ ! ルカたちがいるなら心強い。フォレストさんの心核を取り戻すぞ ! |
| Character | 3話【救出作戦3 仲間の心核】 |
| ティルキス | なんだかそれっぽい部屋に来たな。カイウス、このあたりを調べてみよう。 |
| カイウス | わかった ! |
| コンウェイ | ボクは周囲を警戒しているからルカくんも一緒に探してあげて。 |
| ルカ | ありがとう、コンウェイ。 |
| ティルキス | あった……こっちだ、カイウス。フォレストの名がある。二人とも来てくれ。 |
| カイウス | これがフォレストさんの心核……。 |
| ティルキス | あいつらしいな。生命力に溢れて、実直で力強さを感じる。強いオーラだ。 |
| ルカ | ティルキスはそんなことがわかるの ? |
| コンウェイ | キミが他にも心核を見たとは初耳だけど ?まさかあてずっぽうを言ってるんじゃないよね。 |
| ティルキス | ははは、バレたか。いや、なんとなくそんなふうに感じたからさ。 |
| カイウス | なんだよ、ティルキス。オレもすっかり信じちゃったよ。 |
| コンウェイ | あながち間違いじゃないかもしれないよ。身近な人物で本人を知っているからこそ感じ取れるものがあるのかもしれない。 |
| コンウェイ | ボクとルカくんにはわからなかったけどカイウスくんは同じように感じたみたいだし。心という曖昧なものだから証明は難しいけど。 |
| ティルキス | だ、そうだ。カイウスもそう信じておけよ。 |
| カイウス | なんだかなぁ、コンウェイさんが言うと説得力あるけど、ティルキスだとテキトーっぽく感じるよ。 |
| ティルキス | おいおい、酷いやつだな。 |
| コンウェイ | さて、談笑はここまでだ。ここには一つしか心核が見当たらないみたいだ。 |
| カイウス | だったらもう一人の分――まだ誰かはわからないけど、領主の分も探しに行こう ! |
| ルカ | でも、この警戒体勢を考えるとすでにもう一つの心核は別の場所に移されたってことはないかな ? |
| ティルキス | あり得るな。俺たちが侵入したことも気づかれただろうし、これ以上無闇に探し回るのは危険なだけかもしれない。 |
| カイウス | けど、もう一人いるならオレは助けたいよ……。ここで止めるなんて嫌だ ! |
| コンウェイ | 気持ちはわかるけどね。こういう状況を判断するためにボクたちが遣わされたんだ。熱くなっては正しい道が見えないよ ? |
| カイウス | ……っ !確かに、コンウェイさんの言う通り、だな……。 |
| ルカ | あっと…… ! ごめん、魔鏡通信だ。 |
| ユリウス | ルカ、みんなも一緒か ? |
| ルカ | はい。カイウスとティルキスもいます。 |
| ルカ | たった今、フォレストさんの心核を取り返しました。けど、領主の分が見当たらなくて……。 |
| ユリウス | そうか。カイウス、聞こえるか ? |
| カイウス | はい、聞こえてます。 |
| ユリウス | 君のことだから、もう一つを見つけたいと駄々をこねてるだろう。 |
| カイウス | うっ…… ! お見通しかよ。 |
| ユリウス | はは、君の性格を考えればそのくらい簡単に想像がつくよ。 |
| ユリウス | 俺と約束しただろう。君たちの身の安全が第一だ。不必要な危険は避けてくれ。 |
| カイウス | は、はい……わかりました。 |
| ユリウス | いい子だ。それと君に報せがあるんだ。いい報せと悪い報せの両方だが。 |
| カイウス | なんですか ? |
| ユリウス | フォレストが少数の帝国兵を連れてアレウーラ領と原界領の間にある小島へ向かっているとわかった。 |
| カイウス | やった。フォレストさんが領都から離れているなら助けるチャンスがあるよ ! |
| ユリウス | ああ、彼は領主ではないようだな。ただ、悪い報せの方だが、カルセドニーも領主のもとを離れてその小島に向かっているんだ。 |
| ティルキス | シングたちが助けようとしていた騎士か。二人が同じ小島に……なにかあるのか ? |
| ユリウス | そこまではわかっていない。ただし、このようなことは稀だ。 |
| コンウェイ | 罠、ということはないのかな ? |
| ユリウス | その可能性も考えたが、フォレストの心核を取り戻したばかりの今、こちらの救出作戦を利用して嵌めようとしているとは考えにくい。 |
| コンウェイ | なるほど、確かにそうだね。なら別の理由があってその小島に移動していると考えた方がよさそうだ。 |
| カイウス | 細かいことは後から考えればいいよ !オレたちは小島に向かってフォレストさんを助ける。 |
| ティルキス | カルセドニーのことはシングたちは知っているのか ? |
| ユリウス | 困ったことに、それを知ってヒスイとコハクがすでにその小島に向かってしまったんだ。 |
| コンウェイ | まったく、無茶する人たちばかりだね。こうも言うことを聞いてもらえないとあなたも頭が痛いんじゃない ? 心中お察しするよ。 |
| ユリウス | 好きに言ってくれ。ただ、俺の弟『たち』が勝手をしても最後まで面倒を見るのが兄貴の役目だろ。 |
| コンウェイ | 面倒見がいい『お兄さん』だね。 |
| ユリウス | カイウスといい、ヒスイといい……。今回の件が終わったら十分に労ってもらうさ。 |
| コンウェイ | 弟想いな兄が報われることを祈ってるよ。 |
| ティルキス | それじゃ、俺たちもその小島ってのに向かおうじゃないか。 |
| カイウス | うん、そうだな ! |
| ユリウス | ヒスイとコハクにはこちらから連絡をとっておく。島で合流してくれ。 |
| ユリウス | カルセドニーとフォレスト二人が共に行動しているかはわからないが君たちが合流すればなにかと協力し合えるだろう。 |
| カイウス | ありがとう、ユリウスさん ! |
| カイウス | フォレストさんをこの心核で元に戻すんだ。オレたちもその島に行こう ! |
| Character | 4話【救出作戦4 村の騒動】 |
| キュキュ | さ、着いた !コハク、船旅お疲れさま ! |
| ヒスイ | やっと着いたか……って、なんでテメエが俺たちを引っ張ってんだよ ! ? |
| コハク | ちょっと、お兄ちゃん !協力してくれてるキュキュに失礼でしょ。 |
| キュキュ | キュキュ、気にしない。負け犬はほえる。ヒスイもそれ。ほえられるのは勝った者のさだめ。だから悔しくない。 |
| ヒスイ | なんだぁ ! ? 好き放題言いやがってッ !今に見てろよ ! |
| コハク | 仲良くなろうと思ってウィスを始めたのにここまで険悪になるなんて。もう、どうしてこうなるの……。 |
| キュキュ | ……ん ? |
| コハク | どうしたの、キュキュ ? |
| キュキュ | なにか聞こえた……村の方。 |
| ヒスイ | ……祭りのにぎわいって感じでもなさそうだな。なにかこの村で起きてるぞ。 |
| コハク | カルセドニーかな ? |
| ヒスイ | そうかもしれねえ。行ってみようぜ。 |
| 帝国兵β | 抵抗するな。殺しはしない。 |
| ガラド | なんだぁ、こいつら俺が目的じゃねぇな。エル、お前は子供たちを守れ ! |
| エルマーナ | んなこと言うておっちゃん一人で平気かいな ! ? |
| ガラド | ガキが余計な心配してんじゃねぇ。どうにかしてやるさ。 |
| 帝国兵β | あとを頼んだ。私は報告に戻る。 |
| 帝国兵β隊 | 了解。 |
| ヒスイ | あれは……ガラドのオッサン ! ! ? |
| コハク | ガラドさんも具現化されていたの ! ?子供たちを守って帝国兵と戦ってるみたい。 |
| キュキュ | エルマーナ ! |
| ヒスイ | お前、あのガキを知ってるのか ? |
| キュキュ | エル、ルカたちと一緒に旅したなかま。巨龍の魂の生まれ変わり。すごく、強い ! |
| ヒスイ | ルカと同じ転生者ってやつか。じゃあ、どうして戦わねえんだ。 |
| コハク | 他の子供たちを守ってるんだよ !お兄ちゃん、助けよう ! ! |
| ヒスイ | ああ、帝国に操られてるって感じでもなさそうだしな。ガキを守ってるなら、俺たちの知ってるオッサンに間違いねぇ ! |
| キュキュ | エルも前と同じ !小さい子たち、守る。優しいエル ! |
| ヒスイ | よっしゃ、行くぜ ! |
| ヒスイ | よう、ガラド久しぶりだな ! |
| ガラド | ヒスイじゃねぇか ! ?それにコハクもいるのかよ。 |
| キュキュ | エル ! ダイジョウブか ?キュキュたち、いま助ける ! |
| エルマーナ | キュキュ姉ちゃんかいな ! ?なんで、こんなとこにおるん ! ? |
| ヒスイ | 細かいことはあとだ !まずはうざってぇ帝国兵を蹴散らすぜ ! |
| ガラド | 助かったぜ。恩に着る。 |
| ヒスイ | それより、また会えて嬉しいぜ ! |
| エルマーナ | おおきに、キュキュ姉ちゃん ! |
| キュキュ | エル~ ! また会えてうれしい ! ! |
| エルマーナ | あははっ ! 相変わらずやなぁウチもごっつうれしいで ! |
| キュキュ | エルはいつからここにいるんだ ? |
| エルマーナ | この小島にか ?ええっとな……かなり前やで。いつやったかな。 |
| コハク | 事情を知らないみたいだし……ちゃんと説明しておいた方がよさそうだね。 |
| エルマーナ | ホンマかいな〜。知らん場所に突然いて変やなぁ思たけどウチ……違うウチになってもうたんか。 |
| コハク | ショックだと思うけど冷静に少しずつでも受け入れて欲しいの。わたしたちも最初は同じだったから。 |
| ガラド | 俺もいつだったかはよくわからねぇが気づいたら帝国に捕らえられていてよ。 |
| ガラド | 隙を狙ってなんとか逃げ出してエルマーナと偶然出会ったんだ。そんで、この島に流れついたのさ。 |
| ガラド | しかし、向こうの世界ではもう少しでガルデニアを……デスピル病をなくせるってところだったってのに。 |
| ガラド | まさかもう帰れねえとはな。……これも因果かねぇ。 |
| ヒスイ | オッサンの気持ちはわかるぜ……。いきなりで色々受け入れがたいと思うが―― |
| ガラド | いいさ、悩んだところで仕方ねぇんだろ。だったら受け入れるまでさ。 |
| エルマーナ | ま、そうやな。腹も減るし、眠くなるし、嬉しいことは嬉しいし前となんも変わらんからええんちゃう ? |
| ガラド | 世界が違うだけだしな。俺はそういうのは初めてじゃねぇんでな。 |
| キュキュ | そんなこというやつ、初めて。面白いな、お前。 |
| ガラド | ん ? おめえの格好……。 |
| ヒスイ | どうした、オッサン ? |
| ガラド | いや、ちょっとな。それよりここに羽の兄さんもいるんだろ。助け出すんなら手ぇ貸すぜ。 |
| ヒスイ | 本当かよ !助かるぜ。 |
| ガラド | それに、奴ら島の大人を連れ去りやがった。島民にはデカい借りがあるんだ。救ってやりてぇのさ。 |
| キュキュ | エルも、一緒に手伝ってくれないか ?エルがいれば百人力 ! |
| エルマーナ | えっとな……そうしたいんやけど。 |
| キュキュ | どした ? |
| エルマーナ | この学校の子らがすっかり怯えてしもて。ごめんな、キュキュ姉ちゃん。また帝国兵が来るかもしれへんやろ。この子たちを守ってやりたいんよ。 |
| キュキュ | そうか。わかた。キュキュたちが、帝国兵倒す。エルは安心して待ってる ! |
| キュキュ | これ、魔鏡ツーシンキ。これでキュキュたちと話せる。エル、持ってて。 |
| エルマーナ | ほえ~、すごいなぁ。離れてても話せるんかいな。ホンマ、ありがとうな !これがあれば少しは安心や。 |
| ガラド | 子供たちを頼んだぜ、エル。 |
| ヒスイ | さて、帝国の連中を追っ払うとするか。村人たちがどこに連れて行かれたかわかるか ?きっとそこにカルセドニーもいるはずだ。 |
| エルマーナ | あんな、さっき子供たちがな裏山の坑道の方に帝国兵が入っていったのを見たらしいんや。 |
| エルマーナ | せやから、そこが敵陣かもしれへん。 |
| ヒスイ | ナイスな情報だ ! |
| キュキュ | そうだ、船でユリウスから連絡あった。カイウスたち、ここ向かてる。フォレストもここ、いるらしい。 |
| コハク | え、そうだったの ! ?なら、合流した方がよさそうだね。 |
| ヒスイ | とりあえず先に向かおうぜ。カイウスたちとは裏山で合流しよう。 |
| Character | 5話【救出作戦5 帝国兵を追って】 |
| ガラド | この先が坑道だ。足跡が無数にあるところを見るとここに出入りしてるのは間違いないようだな。 |
| コハク | カイウスたち、いつ到着するのかな……。 |
| ガラド | あまり身を隠せる場所もねえからな。ダラダラとここにいるわけにはいかないぜ ? |
| ヒスイ | まだ時間がかかるようなら俺たちだけでも先に入って様子を見るか。 |
| コハク | 待って、お兄ちゃん。もう失敗はできないんだよ !ここは慎重にいかないと。 |
| ヒスイ | わ、わかったから怒るなよ。カイウスたちをもう少し待つか。 |
| ガラド | シングのためか。コハク、お前と初めて会った時もシングはそのくらい必死だったぜ。周りが見えなくなるくらいにな。 |
| ガラド | 俺の知らない間に一緒にいすぎて似てきたんじゃねえか ?ははは ! |
| コハク | もう……そんなんじゃないよ。 |
| ティルキス | 待っててくれたか。道に迷って遅れた。すまなかった。 |
| カイウス | お待たせ、ヒスイ ! |
| ヒスイ | お、噂をすれば。よく来てくれたな。 |
| ルカ | キュキュさんもお待たせ。 |
| キュキュ | 聞いて、エルいた !ルカたちも会ったか ? |
| ルカ | エル ? ルドガーさんのところのエル ?僕たちは会ってないけど……。 |
| キュキュ | 違う、キュキュたちのエル !この島、いた ! |
| ルカ | エルマーナがいたの ! ? |
| コンウェイ | これは思わぬ拾いものだね。それで、一緒じゃないのかい ? |
| ガラド | ガラドだ。よろしくな兄さん方。エルマーナは俺と一緒にこの島で暮らしてんだ。 |
| ガラド | 今は学校で子供たちを守ってもらってる。帝国の連中がまた来るとも限らねえからな。 |
| ルカ | そっか。エルらしいね。でも、エルもこの世界に具現化されていたなんて驚いたよ。 |
| ルカ | あとでイリアたちにも教えてあげなきゃ。きっと早く会いたいって言うだろうから。 |
| ティルキス | さて、本題だけどお前たちの友人のカルセドニーがこの島に来ているんだよな ? |
| ティルキス | 俺たちの仲間のフォレストもここに来ている。二人には何か目的があるんだろう。 |
| ガラド | 村の大人たちだけが強制連行された。ひょっとすると子供たちは、帝国兵にとっちゃ重要じゃなかったのかもしれねぇ。 |
| コンウェイ | つまり、大人の力が必要だったと。見たところ、ここは坑道跡だしなにか力仕事でもさせているんじゃないかい ? |
| ティルキス | たしかにそうだ。普通なら村に陣を立てるはずだ。それがこんな山奥にいるということはお目当てはこの坑道跡か。 |
| ガラド | なら、実際に行って確かめるだけだな。面子はこれで全員なんだろう ? |
| ヒスイ | ああ。それじゃ行ってみようぜ。カルセドニーの奴がいるんならここで勝負を決めてやる。 |
| コハク | うん ! |
| カイウス | フォレストさんもきっとここだよ。オレたちも気合入れていこう、ティルキス。 |
| ティルキス | ああ、もちろんだ ! |
| Character | 7話【救出作戦7 騎士との戦い】 |
| ガラド | この先をもう少し登ったところが坑道跡のある場所だ。 |
| ヒスイ | 裏山って聞いてたから大した山じゃねえと思ってたのによ……はぁはぁ……。 |
| ルカ | すごい山だね……。もうかなり登ってるのに、まだ着かないの ? |
| ガラド | おいおい、若者がオッサンより先にへばってんじゃねぇぜ ? |
| コハク | ほら、お兄ちゃん、見て見て !すごい景色だよ。海も見える ! |
| コンウェイ | ……景色でも楽しまないとたしかにやってられないね。これは。 |
| キュキュ | キュキュは、全然平気。コンウェイ、情けない。 |
| コンウェイ | まったく、体力があって羨ましいね。ボクは体力がなくてもその分は頭で補ってるんでね。 |
| ティルキス | なあ、小さな島だと思っていたのによく見たら周囲は岸壁に囲まれたなかなか険しい環境だ。 |
| ガラド | ああ、お前さんたちが来た港が唯一、船で接岸できる場所だな。 |
| ガラド | 周囲の海岸は崖だから上陸は難しいだろうよ。それもあって帝国はコストの悪さを考えてこれまで手出ししていなかったのかもしれねぇ。 |
| ガラド | さて、目的の場所は目の前だ……。そこは拓けてるから、休憩もできるだろう。止まらずにいくぞ。 |
| カイウス | 待ってくれ、ガラドさん !誰かいるぞ。 |
| カルセドニーβ | 麓まで一気に降りるが貴様は飛べるか ? |
| フォレストβ | 貴様のように飛行はできない。私を抱えて降りられるか ? |
| カルセドニーβ | この島の風を考えるとその体躯を抱えて降りるのは難しい。 |
| カルセドニーβ | 共に下山しよう。ソーマ使い相手に先行しての単独戦闘は避けておこう。 |
| ティルキス | どうやら二人は歩いて下山するみたいだな。 |
| ガラド | お前さんたちは羽の兄さんとフォレストにその心核ってのを戻すんだろ ? |
| ティルキス | はい。そのつもりです。 |
| ヒスイ | そのためにはあいつらをぶっ倒して気絶でもさせるしかねえ。 |
| コハク | 乱暴だけど、それしかないよね。 |
| ガラド | その後は ? |
| ルカ | 方法は聞きました。どこかの家や宿があればそこで術式はできます。 |
| ルカ | スピルリンクでも可能ですけど早いのは、やっぱりハロルドさんに教わったやり方になると思います。 |
| コンウェイ | やれやれ。仕方ないけど、この山道を二人を抱えて下りると考えると骨が折れるね。 |
| ガラド | そういいつつ、下りる前提で話してるじゃねえか。おめえさん、素直じゃないな。 |
| カイウス | フォレストさんのことは心配いらないぜ。オレが絶対に麓まで下ろすからさ ! |
| コハク | カルセドニーも任せて !無事に一緒に帰るんだから。 |
| ガラド | 頼れる若者たちだ。なら問題はねえな。 |
| ガラド | 行くぞッ ! おめえらッ ! ! |
| カルセドニーβ | なんだ、貴様ら ! ? |
| フォレストβ | ソーマ使いか !手間が省けた。ここで排除する ! |
| Character | 8話【救出作戦8 取り戻した心】 |
| カルセドニー | うっ……あ……僕はどうして……。 |
| フォレスト | 気づいた……か。 |
| カルセドニー | あなたは…… ? ぐっ、身体が……この痛み……。 |
| フォレスト | わからない……なにが……あったんだ……。 |
| コハク | 二人とも気がついたの ! ? |
| カルセドニー | お前は……コハク……。 |
| コハク | よかった……無事に戻ってる……。みんな、二人が目を覚ましたよ ! ! ! |
| ヒスイ | ったく、なかなか目を覚まさねえから心配したぞ ! |
| カイウス | フォレストさん、よかった !元に戻ったんだな ! ! |
| フォレスト | カイウス……これは一体……ティルキス様まで……。 |
| ティルキス | フォレスト、お前たちの置かれた状況について話す必要があるな。 |
| ルカ | もう少し身体が落ち着いてからでもいいんじゃないですか ? |
| フォレスト | 気遣いは……無用。なにもわからない……より…………教えて……欲しい。 |
| カルセドニー | 僕も……頼む……。 |
| ティルキス | わかった。初めは飲み込めないかもしれないがすべてを話すよ。 |
| カルセドニー | 僕が、具現化された存在だと……そういうことだな。 |
| コハク | うん。わたしたちもみんな一緒。カルセドニーの記憶を考えるとタイミングもわたしたちと同じだと思う。 |
| カルセドニー | そうか……それで、シングは僕を助けるために重症を負ったのか。 |
| ヒスイ | ああ、シングの野郎もお前を取り戻すために必死だったんだ。 |
| カルセドニー | あいつには……返せないほどの借りを作ってしまったよう……だな。 |
| カルセドニー | あいつは……いつも僕に正しい道を示す。……シング……やはりお前は僕の……。 |
| カルセドニー | うぐっ……。 |
| コハク | もう少し元気になったらシングに連絡してあげて。あなたの声を聞けばきっとシングもすぐ元気になるよ ! |
| カルセドニー | ああ、もちろんだ。 |
| ヒスイ | それで……領主のことだけどよ。 |
| カルセドニー | パライバさまは……必ず救い出す。たとえ……この身が千切れてバラバラになろうとも僕は……取り戻す。 |
| カルセドニー | そしてこの世界でも苦しむ人々が……いるのなら……結晶騎士として……看過するわけ……にはいかない。 |
| ガラド | へっ、ボロボロになっても騎士道と惚れた女のことを守るか。それでこそ羽の兄さんだぜ。 |
| カイウス | フォレストさんの元の世界の記憶はどうだ ? |
| フォレスト | ああ……お前たちと国王を打倒し私たちは国の……立て直しを…… |
| ティルキス | こちらに来てからのことは ? |
| フォレスト | いえ……わかりません……。さきほど聞いた……領主も……誰かは……。 |
| ティルキス | そうか。ともあれ、お前が戻って来ただけで十分だ。無事でよかったよ、フォレスト。 |
| フォレスト | だが、少し……心残りです……。トールスたちとも会えないのですね……。 |
| フォレスト | しかし……本来の私が……向こうでは続けているのですね……。妙な気分……ですよ……。 |
| ティルキス | 俺も同じだったが、すぐに慣れる。元の世界のお前はきっとやり遂げているだろうさ。 |
| フォレスト | そう……ですね。最後まで見られないのが……心残りです。 |
| カイウス | フォレストさん……。ごめん、元に戻らなければこんな気持ちにならなかったよな。 |
| フォレスト | 何を言ってるんだ……。戻れないままの方が……もっと辛いさ……。感謝している。カイウス。 |
| フォレスト | カイウス……少し大人になったようだな。お前は、私たちレイモーンの民の希望だ。 |
| カイウス | そ、そんなどうしたんだよ、急に。なんだか照れるじゃないか……。 |
| フォレスト | この世界もまた……多くの戦いがあるのか……。お前やティルキス様が生きていく世界なら……私の力を役立てたい……。 |
| フォレスト | かつて、ジャンナ事変から……逃げた私はもう……逃げないと誓った。何度……倒れようが……前に進むだけだ。 |
| カイウス | フォレストさん…… ! |
| コンウェイ | おや…… ?キュキュの魔鏡通信機から連絡が来ているんだけど。 |
| キュキュ | エルからだ !キュキュの魔鏡ツーシンキ、エルがもてる。 |
| コンウェイ | なるほど、そういうことかい。 |
| エルマーナ | ガラドのおっちゃん !キュキュ姉ちゃん ! 助けてーな ! |
| ガラド | どうしたエル ! ? |
| エルマーナ | 学校にまた……帝国兵が来て……あかん ! |
| エルマーナ | ダメや……子供……手を出したら……許さへんでっ ! |
| ルカ | エル ! エル、どうしたの ! ? |
| エルマーナ | みん……逃げ……やっ !約束した場所……走っ…… ! |
| ガラド | エル ! 返事をしろ ! ! |
| コンウェイ | 切れてしまったようだ……。 |
| ルカ | エルのところに帝国兵が来たんだ !急いで学校に行かないと ! |
| コンウェイ | けど、どこかに逃げたようだよ。学校へ向かっていったんじゃ手遅れになるかもしれない。 |
| ガラド | どっちにしろ今からじゃ遅え。『約束の場所』と言っていたから海岸線の崖……かもしれねえな。 |
| ヒスイ | 俺たちにはわからねぇがガラドのオッサンがそういうならそこに賭けてみようぜ。 |
| ガラド | あそこは隠れて時間を稼ぐには最適だ。目の前は断崖だがよ……。 |
| カルセドニー | 海岸の崖か……そうなると……。 |
| ガラド | なんだ、兄さんに考えがあるってぇのか ?けど、その傷だ。無理すんな。 |
| カルセドニー | 無理は承知……それでも……きっとシング……なら、そうするだろう……。 |
| Character | 9話【救出作戦10 今とこれから】 |
| エルマーナ | ほらみんな ! 諦めんで走りッ !あいつらに追いつかれる前に隠れるで ! |
| 賢そうな男の子 | 先生、ま、待って〜。僕もう走れ……ない。はぁはぁ……。 |
| 将来有望な女の子 | ほら、頑張って。もう少しだから ! |
| 体の大きな男の子 | 肩貸してやる。ほら、諦めんなって。がんばろうぜ。 |
| エルマーナ | 偉いで、みんな。もう少しの辛抱やさかいな。 |
| エルマーナ | もし……ウチがいなくなっても諦めんと、みんなで助け合えば絶対大丈夫や。約束してな。 |
| 将来有望な女の子 | 先生……わたしたちを置いてどっか行っちゃうの ? |
| 賢そうな男の子 | やだよ。僕、先生がいないなんてイヤだからねっ ! |
| エルマーナ | あはは、そんなんじゃないで。もしも、そうなったらの話や。ウチの言い方が悪かったな。 |
| 体の大きな男の子 | なんだ、焦ったぜぇ。それを聞いて安心したぞ。 |
| 体の大きな男の子 | 先生、オレおしっこ行きたい。 |
| エルマーナ | 我慢できないんか ? ……しゃーないなぁ、遠くへ行くんやないで。見えるところおりい。 |
| 体の大きな男の子 | ば、ばか言うなよ。誰が見えるところですんだよ。 |
| 将来有望な女の子 | ねえ、先生の言ってたところってもう少しなんでしょ ? |
| エルマーナ | そうや。ごめんな、キツいけどあともうちょっとや。頑張ってな ? |
| 体の大きな男の子 | うわぁ〜〜〜〜〜〜〜〜〜っ ! |
| エルマーナ | なんやっ ! ? |
| 帝国兵β | 子供を一人確保した。残り三名の子供も発見。 |
| 体の大きな男の子 | ごめんよ……先生……。 |
| エルマーナ | 何言っとるん !すぐ助けるから待っててな ! |
| エルマーナ | けど、どうしたらええんや。ひぅ、ふぅ……あいつら十人近くおるやん。まずいで……。 |
| エルマーナ | ウチ一人やったらどうにかなるけど……この子らを守って戦うとなると……。 |
| 帝国兵β | お前たちは、左右から回り込んで崖に追い詰めろ。 |
| 帝国兵β隊 | はっ ! |
| 賢そうな男の子 | ど、どうしよう、エル先生っ ! |
| エルマーナ | 逃げられへん、な。どの道、この場所が見つかったらどこに隠れても無駄や……。 |
| 賢そうな男の子 | 先生、もう下がれないよ。後ろは崖だよ……。 |
| 将来有望な女の子 | ねえ、エル先生も、ガラド先生みたいに戦えるんでしょ ! |
| エルマーナ | それはそうやけど……。 |
| 賢そうな男の子 | 先生はそこらへんの大人より強いんだから、あんな兵隊やっつけちゃってよ ! |
| 体の大きな男の子 | 先生、オレのことはいいから。戦ってくれよぉ ! |
| 帝国兵β | おい、黙っていろ ! |
| エルマーナ | (一人は人質にとられとるし、こっちの二人を守りながらウチ一人じゃ戦えん……) |
| エルマーナ | どっちかを取るしかないんか……。あかん、そんなこと出来ひん ! |
| ? ? ? ? | 子供たちは僕に任せろっ ! ! |
| エルマーナ | な、なんや ! ? |
| カルセドニー | 僕は元結晶騎士団隊長カルセドニー。子供たちは僕が預かろう。お前は、存分に戦え…… ! |
| エルマーナ | あんた大丈夫かいな !ごっつ顔色悪いで ! ? |
| カルセドニー | 心配するな。いかなる時も民を守るのが騎士の役目だ ! ! |
| 帝国兵β | バカな。カルセドニー様がどうして ?いったいどうなって……。 |
| 体の大きな男の子 | くそう、こうなったらオレも !……がぶっ ! ! ! |
| 帝国兵β | ぐうっ ! ! このガキが ! |
| フォレスト | その手は未来ある子供たちを殴るものではないだろう…… !その子は返してもらうっ ! |
| 帝国兵β | あなたはフォレスト様……カルセドニー様に続いて……構うな、やってしまえ。 |
| 帝国兵β隊 | くらえ ! |
| フォレスト | ぐはっ ! |
| 体の大きな男の子 | お、おじさん……大丈夫……か ? |
| フォレスト | ……これしきのこと。心配など無用だ。お前は自分の身を守ればいい。 |
| カイウス | 獅子千裂破 ! ! |
| フォレスト | カイウス……すまない。 |
| カイウス | フォレストさん ! !まだ身体が万全じゃないんだ。オレが戦うから、無理しちゃだめだ ! ! |
| カイウス | お前もオレの後ろに隠れてろ。 |
| 体の大きな男の子 | あ、うん……ありがと。 |
| フォレスト | カイウス……立派になったな。いいぞ……自分のことだけではない……弱き者たちを守れる男になるんだ。 |
| 体の大きな男の子 | お、おっちゃん。大丈夫かよ !倒れちゃったぞ…… ! |
| カイウス | きっと大丈夫だ。フォレストさんに守ってもらった分お前はしっかり自分の身を守るんだ。 |
| コハク | カイウス !フォレストさんとこの子のことはわたしに任せて。 |
| エルマーナ | 誰かは知らんが、デカいおっちゃん、恩に切るで ! |
| エルマーナ | よっしゃ ! これで思う存分闘えるわ !手加減せんと、やったるで~ ! ! |
| ガラド | 帝国兵のてめぇら。俺も遠慮はしねえぜ ! |
| ヒスイ | 行くぜッ ! ! |
| Character | 10話【救出作戦10 今とこれから】 |
| カイウス | これで帝国兵はみんなやっつけたな。あ、フォレストさんは ! ? |
| コハク | 平気。残っていた力を振り絞ったんだね。すごく消耗してるけど、命に別状はなさそうだよ。 |
| カルセドニー | 上からも残っている敵は確認できなかった。ぐっ…… ! ……僕ももう限界のようだ……。すま……ない……。 |
| ヒスイ | まったく、うちの結晶騎士さまはあんな体で無茶するぜ。安心しろ。すぐに治療してやるからな。 |
| 将来有望な女の子 | うわーん。先生、怖かったよぉ…… ! |
| エルマーナ | 大丈夫や。もう怖い連中はおらへん。よく頑張ったな、よしよし。 |
| エルマーナ | 抱っこしたる。こっちへおいで。 |
| 賢そうな男の子 | うわ、先生……汗臭いよぉ。 |
| エルマーナ | なんや ! 余計なこと言うのはその口か ? その口を縫い付けたら黙るんか ? |
| 体の大きな男の子 | こ、怖えええぇぇ。 |
| エルマーナ | あはは ! 冗談やがな、冗談 !ほれ、汗臭さは愛情の証や ! 我慢しい〜 ! |
| ルカ | エル ! 無事でよかった ! !やっと落ち着いて話せるね。 |
| エルマーナ | ルカ兄ちゃん~~ ! !会いたかったで ! 元気にしてたか ?ご飯、ちゃんと食べてるか ? |
| コンウェイ | 相変わらず過保護だね。元気そうで何よりだよ、エル。 |
| エルマーナ | コンウェイのおっちゃんもおったんかいな !そっちこそ相変わらずの美人さんやな。 |
| ルカ | アジトにはイリアたちもいるよ。みんなエルに会いたがってる。 |
| エルマーナ | ホンマ ! ? なんや、ウチが最後かいな~。ま、大トリ飾るっちゅうことでええけどな。 |
| ルカ | それでね、エル。それとガラドさん。よければ僕たちと一緒に来て欲しいんだ。二人の力があれば、僕たちも心強いし。 |
| エルマーナ | えっと、それは……行きたい気持ちはあるで ?けどウチにはあの子らがおる……。今は守ってあげたいんや、あの子らを。 |
| ガラド | 島の他の子と違って、三人には親がいねぇんだ。俺とエルは先生って言ってるけど、実質親代わりみたいなもんなんだよ。 |
| 将来有望な女の子 | エル先生、ガラド先生 ? |
| エルマーナ | あんたら三人とも聞いとったんかいな。悪い子やで〜〜。 |
| 賢そうな男の子 | 先生、この前はすごくカッコ良かったよ !二人ともあんなに強いなんて想像以上だったよ。 |
| 体の大きな男の子 | けどよぉ。こんな島にいていいのかよ ?島の人たちと違って先生たちは特別だろ ! |
| エルマーナ | え ? 急にどないしたん…… ?なにが言いたいねん。 |
| 将来有望な女の子 | わたしたちのために島にいてくれるのは嬉しいけど先生はカッコ良く戦う、自慢の先生でいて欲しいの。先生は島から出るべきよ。 |
| エルマーナ | せ、せやけどウチが島を出たらもう会えへんのかもしれんで ! ? |
| 賢そうな男の子 | 僕たちが会いに行くよ。立派な大人になって、先生の力になれるぐらい勉強もする ! |
| 体の大きな男の子 | ああ、オレもたくさん食べて先生を守れるぐらい強い大人になるよっ !あのおっちゃんみたいにな ! |
| 将来有望な女の子 | わたしも立派な先生になる !絶対絶対、先生みたいになって島の子たちをお世話するの ! |
| ガラド | おめえら……。 |
| エルマーナ | あんたら、いつの間にこんな立派になったんや。……あかん、ウチ泣きそうや。ウチが一番、子供みたいやん。 |
| 体の大きな男の子 | 先生、泣かないでくれよ……。もし先生が泣いたら、オレだって我慢できなくなっちゃうよ……。 |
| 賢そうな男の子 | おい、そういうことは言わないって約束しただろ !僕だって、本当は……本当はさぁ……。 |
| 将来有望な女の子 | あー、もうっ ! あんたたちがそんなんじゃ先生たちが安心して行けないでしょ ! |
| 将来有望な女の子 | 先生、わたしたちは大丈夫 !先生が教えてくれたように三人で諦めず、力を合わせてがんばるから ! ! |
| ガラド | ……エル、こいつらの覚悟は本物だ。それを受け止めてやるのも親の仕事だぜ。 |
| エルマーナ | …………よっしゃッ ! ありがとな !みんなのおかげでウチも決心した。ウチ、ルカ兄ちゃんたちのところに行くわ ! |
| ヒスイ | おい、ルカ。そろそろ戻りの船が出るぜ。エルマーナはどうするんだ ? |
| エルマーナ | もちろんウチも行くで !みんなにも改めて挨拶させてぇな ! |
| エルマーナ | 三人とも、必ず立派な大人になってな。待ってるで。ウチ、またみんなに会えるの楽しみにしとるで ! ! |
| テロップ | 小島から出港した船の船室 |
| ガラド | あの子たちも具現化された存在か……。みんな……達者でな。 |
| コンウェイ | 感傷的になってるのかな。人生をいくら経験しても人の脳はまやかしすら感傷に浸らせるのかい。 |
| ガラド | 本物かどうかなんて関係ねぇさ。島で過ごした記憶は俺には本物だからな。偽物とか本物とかどうでもいいんだよ。 |
| キュキュ | キュキュも、そう思う。コンウェイは、酷いこと言う。 |
| コンウェイ | この世界ではボク自身もある意味偽物だからね。というか、記憶や心が同じだとしたら偽物と本物に違いはあるのかな。 |
| キュキュ | コンウェイと話す、疲れる。それよりガラド、教えてあげる。 |
| ガラド | ん ? なんだよ。 |
| キュキュ | 帝国は、最後まで小島で聖核、見つけられなかたみたい。たぶん、ガセネタだたね。 |
| ガラド | なんだよ、それじゃ偽物のネタで俺たちはひでぇ目にあったっていうのか。勘弁してくれよ。 |
| ガラド | だが、まあ。良しとするか。おかげでヒスイたち、それに思わぬ連中とも会えたしな。 |
| コンウェイ | どういう意味だい ? |
| ガラド | オラデュラカワ、ベキコワ、ボトコノク ? |
| キュキュ | 驚いた ! ガラドもキュキュたちと同じか ? |
| コンウェイ | まさか、あの世界の人間に会うなんてね。 |
| コンウェイ | 考えてみれば、あなたの仲間は『開かれし心の世界』から来たんだからその可能性は考慮してもよかったね。 |
| キュキュ | けど、どうしてキュキュたち同じ世界の人間とわかた ? |
| ガラド | 一つは、お前さんの服装だ。そしてもう一つはあの世界独特の雰囲気だ。20数年忘れてたが、接していたら思い出したよ。 |
| キュキュ | 20数年…… ? |
| コンウェイ | へえ、あなたは20年ほど前に派遣されたということですか ? |
| ガラド | はは、お前さんも絶妙な言い回しをするな。『派遣』となれば、自ずと兄さんの敵か味方かわかるからな。 |
| キュキュ | キュキュ、嬉しい !ガラド、キュキュと同じ国の人間。どうする、二人、コンウェイやってしまうか ? |
| コンウェイ | まだこだわってるのかい。この世界じゃ、どの道自分の国なんて関係ないだろう。 |
| ガラド | カマかけといて、よく言うぜ。……って、やっぱり戻る方法はねえか。 |
| コンウェイ | ええ、残念ながらね。戻りたいんですか ? |
| ガラド | 戻りたくねえといえば嘘になっちまうかな。どうなってるかくらいは、知りてぇさ。 |
| ガラド | だが、どちらかといえば『開かれし心の世界』にやり残したことがあってな。そっちがちょいと引っかかってる。 |
| ガラド | それを終えたら帰る選択肢もあったかもしれねえな。 |
| ガラド | (とはいえ、ずいぶん時間が経っちまったからな。今更、国の為に働くことはどうでもいいけどな) |
| フォレスト | うっ……お前たちか……。 |
| ガラド | おっとすまねえな。あんたらが寝てるとこで騒がしくしちまって悪かった。 |
| フォレスト | ああ……構わない。そのうち……また寝てしまうだろう……好きにしていてくれ……。 |
| コンウェイ | フォレストさんといいましたね。あなたもカイウスくんと同じレイモーンの民なんですか ? |
| フォレスト | ああ……。 |
| コンウェイ | 以前、異界の狭間で、獣人化した人々の世界を見たことを思い出したんだ。レイモーンの民のような姿をね。 |
| ガラド | 獣人の世界か……。 |
| コンウェイ | もしかしたら、ボクら側の人間がカイウスくんたちの世界に干渉したのかもしれないと思ってね。 |
| ガラド | 干渉したいくつかの世界に対して異界の狭間を通してなんらかの影響が出てしまったってわけか。 |
| コンウェイ | 実証はしていないからあくまで推測に過ぎないけどね。何か思い当たることはありませんか ? |
| フォレスト | 別の世界か……いや……どうだった……かな……。私には……わから……。 |
| キュキュ | あれ、寝てしまた。もう少し聞きたかった。 |
| ガラド | もういいだろ。ここでは関係ねえことさ。大事なのは、今おめえらが見ている世界の現実だろうよ。 |
| ガラド | それより……ふぅ、腹が減ったな。飯にしねぇか ? |
| キュキュ | キュキュも、ご飯食べる ! |
| コンウェイ | いいね。ボクもご一緒するよ。お腹が空くということは、生きてる証だからね。食べたい時に食べられる自由を謳歌しようか。 |
| ガラド | 小難しいこと言ってねえで行くぞ。お前らの国は、そういうとこがよくねえ。なんでもかんでも意味を考えすぎだ。 |