Character1話【星誕祭1 アークでの催し】
ワイズマン皆さん、今回も突然お招きしてしまい大変申し訳ございません。
イクスいえ、俺たちもすっかり慣れてきたので大丈夫です。むしろ、呼んでもらえるのは光栄かもしれません。
ミリーナみんなアークで開催されるお祭りを楽しみにしているものね。
カーリャはいっ ! カーリャもお腹をペコペコにして待っていましたよ !
カーリャ・Nそうですね……アークではいつも美味しい食べ物を……ではなく ! その、私たちにもお手伝いできることがありましたら、誠心誠意、尽力させて頂きます。
ワイズマンそう言って下さると、私としても非常に助かります。何分、今回はかなり大がかりな祭りを開催する予定ですので、皆さんの協力が不可欠なのです。
ロイドなぁ、ワイズマン。勿体ぶらねえで教えてくれよ。一体どんな祭りをするんだ ?
ワイズマンそうですね。では早速、ご説明致しましょう。今回は『星誕祭』というお祭りを開催いたします。
カノンノ・E『星誕祭』ってことは、星が何か関係してるのかな ?
ワイズマンはい。仰る通り、今回の祭りのテーマは星の誕生です。多くの星が生まれ、これから生命が育まれることを祈りその願いを届ける祭りとなっています。
カノンノ・G生命が育まれることを祈るお祭りかぁ……。なんだか、素敵なお祭りだね !
P・カノンノそうだね。私たちが住んでいた星だって沢山の命が生まれて、素敵な場所になっていったんだよね。
ユーリそれで、オレたちは何をすればいいんだ ?ただ一緒に祈ってください、って訳じゃねえんだろ ?
ワイズマン実は、これから祭りに利用する祭壇の場としてアークにいくつか神殿を建設しようと考えています。
ロイドわかったぞ ! それを俺たちも手伝えばいいんだな !
ワイズマンいえ、神殿の建造に関しては私が異世界のものをトレースしたのち、パッと造りますので、ご心配なく。
ワイズマンですが、それでは少々味気ないものになってしまいそうでしたので、神殿には多くの星の誕生に関わる精霊の皆さんを祀らせてほしいと考えているのです。
ミラ=マクスウェル精霊か。成程、それで我々が呼ばれたというわけだな。
ワイズマンはい。ぜひ、今回は皆さんだけでなく精霊の方々にもご協力して頂けないかと。
ミラ=マクスウェルふむ……ああ、わかった。そういうことなら、四大たちも協力すると言っている。
ワイズマンありがとうございます。では、こちらが神殿の配置場所を記した地図ですのでお渡ししておきます。
ワイズマンそして、皆さんには、祭りの間はアークの住民が神殿を訪れるかと思いますので、度重なるお願いなのですが道案内などのスタッフをして頂けないかと……。
イクスわかりました。任せてください。
ユーリとなると、それなりに人手は必要になってくるな。他の奴らにも声かけてくるか。
ミラ=マクスウェルそうだな。精霊たちが関わってくるとなると私だけでなく、クラース精霊研究室のみなにも力を借りることになるだろう。
ミリーナクラースさんたちがいれば精霊についてのお話も、ばっちりアークの人たちに伝えられそうね。
ワイズマンそれでは、今回も宜しくお願いいたします。勿論、お手伝いだけではなく皆さんも祭りに参加できるように手配いたします。
カノンノ・Gねえねえ、パスカ、イアハート。私たちも神殿巡りしてみようよ !
カノンノ・Eうん ! もちろん、いいよ !みんなと一緒ならきっと楽しい――
? ? ?――け、て。
カノンノ・E……えっ ?
P・カノンノん ? どうしたの、イアハート ?
カノンノ・Eねえ、今、誰かの声がしなかった ?
イクス声 ? いや、グラスバレーたちが話している声なら聞こえてたけど……。
カノンノ・Eあれ……おかしいな。私の勘違い……だったのかな ?
カノンノ・Gイアハート…… ?
カノンノ・Eううん ! ごめんね、気にしないで。それより、神殿巡りの話だよね。今の内に回る順番とか決めておいたほうがいいかも。
P・カノンノそうだね。あと、途中で道に迷わないようにちゃんと地図をチェックしとかなくちゃ。
ミリーナふふっ、なんだかピクニックみたいね。イクス、私たちも一緒に回りましょう。
イクスああ。となると、スタートする場所がこの神殿だとして、次の神殿に辿り着く時間を差し引いて、滞在できる時間は……。
ユーリおいおい、楽しみにするのはいいけどちゃんと仕事すんのは忘れんなよ。
ミラ=マクスウェルでは、それぞれ配置と作業分担を決めて準備を進めていこう。
ロイドよしっ ! そんじゃ、みんな、頑張ろうぜ !
カノンノ・E…………。
カノンノ・E(さっきの声……ううん、私の気のせい、だよね ?)

Character2話【星誕祭2 呼び声】
ユーリ……よし、こっちは異常なし、と。ん ? あれは……。
ユーリよ、イアハート。
カノンノ・Eあっ、ユーリさん。もしかして、ユーリさんも買い出し ?
ユーリいや、オレは警備も兼ねて街を巡回中ってとこだ。サボってると、フレンの奴に文句言われるからな。
カノンノ・Eふふっ、ユーリさんってフレンさんと本当に仲良しですよね。
ユーリそりゃどうも。んで、そっちも順調そうか ?
カノンノ・Eうん。予定より早い時間に準備が終わりそうだってワイズマンさんが言ってました。
ロイドおっ、ユーリにイアハートじゃないか。こんなところで何してんだ ?
ユーリそういうお前たちは、どうしたんだ ?
ロイドうっ……それは……。
ミラ=マクスウェルロイドはリフィルから逃げてきたそうだ。
ロイドに、逃げてなんかないぞ !ただ、先生にいい機会だから俺も精霊のことを改めて勉強しろって言われて……。
カノンノ・Eもう、ロイドったら。リフィルさんの授業、すっごく楽しいのに勿体ないよ。
ユーリそうだぜ、ロイド。早く戻らねえと、お前を捕まえるためにあっちから追いかけてくるかもしれねえぜ ?
ロイド怖いこと言うなよ……。ありそうなのがまた何ともな……。
ユーリははっ。そうなりたくなきゃちゃんと先生の言うことは聞くんだな。
? ? ?――す、けて。
カノンノ・E……あれ ?
ミラ=マクスウェルどうした、イアハート ?
カノンノ・E……また、声が聴こえた。
ユーリ声 ? そういや、さっきもそんなこと言ってたな。
カノンノ・Eはい。ずっと、誰かが私に話しかけてるような……。
? ? ?助けて……。お願い……。
カノンノ・Eやっぱり聴こえる !それに、「助けて」……って……。
ロイド本当か ! ? けど、俺たちには何も聞こえないぞ ?
カノンノ・Eでも、私には聴こえるの。凄く苦しそうな声で……。
ミラ=マクスウェル……もしかしたら、何らかの原因でイアハートにだけ声が届いている可能性もある。
ユーリイアハート。その声がどっから聴こえてくるかわかるか ?
カノンノ・Eは、はい……。多分この道の奥のほうからだと思います。
ロイドよし、ならそっちに行ってみようぜ。
カノンノ・Eえっ、一緒に来てくれるの ?もしかしたら、私の勘違いかもしれないよ……。
ロイドそのときはそのときだろ。けど、イアハートの言う通り誰かが助けを求めてるなら、俺たちも力になれるかもしれないだろ ?
ミラ=マクスウェルそうだな。ユーリ、お前も異論はないな。
ユーリ当然。イアハート、案内は頼むぜ。
カノンノ・Eみんな…… !うん ! ありがとう !
ユーリまさか、路地の地下通路からこんな場所に繋がってるとはな。
ロイドここって、祭壇か ?けど、ワイズマンから貰った地図にはこんな場所、載ってなかったぞ ?
ミラ=マクスウェルイアハート。確かにここから何者かの声が聴こえてくるんだな ?
カノンノ・Eうん。それに今も誰かがここにいるような気がするの。
カノンノ・E自分でも、どうしてそう思うのか不思議なんだけど……。
ユーリ……人がいる気配もねえしこの先も、どこかに繋がってるってわけじゃねえよな。
カノンノ・E待って。あの光ってるモノ……なんだろう……。
ロイドなんだ、それ ?変わった形のペンダントだな。
カノンノ・Eうん……。だけど、このペンダント……わっ !
? ? ?――見つけた。あなたなら……私を……。
ロイドな、なんだ ! ? 急に光が…… ! !
ミラ=マクスウェルこの力は…… ! ? イアハート ! !すぐにそのペンダントから離れ…… ! !
カノンノ・Eううっ……あなたは、誰……なの…… ?
ユーリくっ……目を開けてられねえ……。こいつは、一体…… ! !
? ? ?――私は、私の名前は……。

Character3話【星誕祭3 現れたもの】
ミリーナイクス。こっちの屋台の準備は終わったみたいよ。
イクスお疲れ、ミリーナ。ははっ、カーリャとネヴァンは先に楽しんでるみたいだな。
カーリャはむはむ……。失礼ですねぇ。これはカーリャが責任を持って味見をして回っていただけですよ。
カーリャ・Nそ、そうなんです ! 皆さんお優しいので私の分のたこ焼きや綿あめまで渡してくれたのを無下にはできず……。
ミリーナいいのよ、ネヴァン。それはネヴァンも頑張ってくれたご褒美なんだから。
カーリャそうですよ、ネヴァン先輩。ミリーナさまもこう言ってますし今日は一緒に食べ歩きましょう !
カノンノ・Gあっ、いたいた。ねえ、みんな。こっちでイアハートを見かけなかった ?
イクスイアハート ? いいや、見てないけど……。
ミリーナ私も見ていないけど、グラスバレーたちと一緒じゃなかったの ?
P・カノンノそれが、買い出しに行ったきり、戻ってこないの。
カーリャほほう、さてはイアハートさまもカーリャたちのように屋台の食べ歩きツアーをしていますね。
エステルあの、すみません。こちらにユーリは来ていないでしょうか ?
イクスえっ ? ユーリさんもいないのか ?
フレンいや、ユーリだけじゃないんだ。他にも……。
ジュード実は、僕たちもミラと連絡が取れなくなってるんだ。
ミリーナじゃあ、コレットたちも……。
コレットうん。先生からロイドを捜して連れ戻して欲しいって頼まれたんだけど、見つからなくて。
ジーニアスまぁ、ロイドは姉さんから逃げてるだけだから大丈夫だとは思うんだけど……。
レイアけど、ミラだけじゃなくて他の人たちも一緒にいなくなっちゃったのは、ちょっと心配だよね。
フレンラピードも、屋台から出る食べ物の匂いのせいかユーリの居場所がわからないそうなんだ。
ラピードくぅーん……。
イクスわかりました。みんなのことはワイズマンにも知らせておきます。多分、ワイズマンならすぐにみんなの居場所を教えて――
レイアな、なに ! ? 地震 ! ?
カーリャあわわわわ ! こ、これ、結構大きくないですか ! ?
イクス! ? みんな ! ! 二時の方角を見てくれ ! !
カーリャ・Nあれはまさか……地面から塔が出現している ! ?
ジーニアスと……止まった……けど、なんなの、あの塔 ?
ワイズマン皆さん ! ご無事ですか ! ?
イクスは、はい。俺たちは大丈夫です。けど、あの巨大な塔は…… ?
ワイズマンそれが、私にも何故あのような塔が出現したのかわからない状況でして、すぐに原因を……。
レイアちょ ! 今度は何 ! ?
エステル光の柱が次々と…… !フレンっ ! あの光の柱がある場所は…… !
フレンええ、ワイズマンが用意した神殿の場所と一致します !
カノンノ・Gそんな ! ? じゃあ、神殿にいるみんなは…… !
ワイズマン少しお待ちを ! すぐに調べます。
P・カノンノみんな……大丈夫……だよね。
ワイズマン……ご安心ください。皆さんは無事に避難できているようです。ですが、これは大変なことになってしまいました。
ジュード大変なことって、あの塔や光の柱の原因がわかったんですか ?
ワイズマンはい。あの塔に……このアークのあらゆるエネルギーが集まっているようです。
ワイズマンおそらく、あの光の柱はアークのエネルギーを吸い取りあの巨大な塔へ流しているのかと。
ジュードそれって、つまり……アークの力が奪われてしまっているってことですか ?
ワイズマンその通りです。このまま放っておけばこのアークが消滅してしまう可能性があります。
レイアそんな ! ? アークが消滅なんて…… !
ワイズマン今、あの巨大な塔の中を調べています。皆さんにも見えるように、映像としてそちらに出します。
カーリャ・Nこれが、あの塔の中……。変わったものは見当たりませんが……。
コレット待って。今、人影が見えたよ。
カノンノ・G……嘘、あれは…… !
ラザリス ?…………。
二人ラザリス ! ?
カーリャちょ、ちょっと ! 映像が消えちゃいましたよ ! ?
ワイズマン……申し訳ありません。どうやら私の存在に気付きジャミングをされてしまったようです。おそらく、集めたアークの力を使ったのでしょう。
カノンノ・Gでも、どうしてラザリスが……。
イクスああ。ラザリスはあの時……。だから、あれが本当にラザリスなのかもわからない。
フレンイクス。僕たちはカロルたちと合流して神殿の中を調べてみようと思う。あの光の柱のことも何かわかるかもしれない。
ジーニアスだったら、ボクたちも姉さんたちのところに戻るよ。もしかしたら、姉さんがもう何か調べているかもしれないし。
ジュードここからは、みんなで手分けして行動したほうがいいかもしれないね。
イクスそれなら、俺たちはあの塔に向かうよ。
カノンノ・Gねえイクス、お願い。私たちも一緒に行かせて。
P・カノンノうん……もし本当にラザリスが関わっているのなら私たちも放っておけないよ。
イクスわかった。それじゃあ、塔へ向かうのは俺とミリーナ、ネヴァンとカーリャにパスカとグラスバレーでいいな。
ワイズマンでは、皆さんへの連絡は私が随時行いましょう。また皆さんに頼ってしまうことを承知の上で言わせて頂きます。
ワイズマン皆さん、どうか、お気をつけください。

Character4話【星誕祭4 進入】
イクスここが、塔の入口みたいだな。
カーリャ・Nイクス様、気を付けてください。ここから先は、慎重にいきましょう。
ミリーナそうね。当然、相手も警戒しているでしょうし。
イクスああ。それに、この先から何か得体の知れない禍々しい力を感じるんだ。
カノンノ・Gうん……。私も感じるよ。少し、怖いくらい……。
ミリーナ無理しないで、グラスバレー。ラザリスのこともあるし辛かったら、ここに残ってもいいのよ。
カノンノ・Gありがとう、ミリーナ。けど、大丈夫。ラザリスの姿を見た以上、放っておけないよ。
P・カノンノだけど、どうしてラザリスがアークにいるんだろう。イクスも言ってたけど、私たちが知ってるラザリスはティル・ナ・ノーグで……。
イクスもしかしたら、俺たちが知っているラザリスじゃないのかもしれないな。
カーリャはい ? それってどういうことですか、イクスさま ?
カノンノ・Gつまり……私たちの世界にいたみんなと同じように別の世界のラザリスかもしれないってこと ?
イクスうん。アークは他の世界とも繋がることができるから別の世界のラザリスという存在が呼び出されていても不思議じゃない。
ワイズマンはい、イクスさんの仰る通りでしょう。
ワイズマンお伝えしていませんでしたが、今回の祭りの為に干渉した世界は、皆さんの世界と非常に親和性が高い世界でしたので、可能性は十分にあります。
P・カノンノということは、私たちが知っているラザリスとは少し違う存在なのかもしれないんだね。
カノンノ・G……たとえ別の世界のラザリスだとしてももし苦しんでいるのなら、私は助けたい !
P・カノンノそうだね……。イアハートもこのことを知ったらきっと同じことを言うと思う。
イクスそうだな。それにここはティル・ナ・ノーグじゃない。もしラザリスが何か訴えたいことがあるなら違う解決の手段があるかもしれない。
カーリャそういえば、イアハートさまってまだ見つかっていないんですよね……。カーリャ、心配になってきましたよ……。
ワイズマン申し訳ありません。私も捜索しているのですが……。それに、他の方々の足取りも掴めてはいません。
イクスユーリさんたちも……ってことだよな。けど、もしかしたら俺たちよりも早くこの事態に気付いて動いてくれているのかも……。
カーリャ・Nそうですね。あの方々でしたらすぐに異常を察知して行動に移るかもしれません。
カーリャ確かに、よく考えれば頼りになる方たちばかりですね。
カノンノ・G連絡が返ってこないのは心配だけどきっとイアハートたちなら大丈夫だよ。
イクスえっと、ワイズマン。俺たちはこのまま、塔の中を調べてみます。
ワイズマン畏まりました。では、私は引き続きイアハートさんたちの捜索を進めていきます。何かあれば、すぐにご連絡します。
イクスありがとうございます。よし、じゃあみんな、行こう !
カロルあっ ! おーい、みんな !フレンたちが帰ってきたよ !
フレンカロル、こっちの状況は ?
カロルうん。突然の地震でビックリしたけどちゃんとアークの人たちの避難誘導は終わらせておいたよ。
フレンそうか。さすがだよ、カロル。不測の事態にも、慌てず迅速な対応をしてくれたんだね。
カロルい、いや~、それほどでも……。
リタちょっと、ガキんちょを褒めるのは後回し。それで、これは一体どういうこと ?また何か変なことが起こってるわけ ?
エステルそれが……このままだとアークが消滅してしまうかもしれないんです。
リタはぁ ! ? ちょ ! それって滅茶苦茶ヤバいじゃない !
ジュディスあまり穏やかな話じゃないみたいね。
フレン詳しいことは後で話すよ。まずは、この神殿に発生した光の柱を調査することになったんだ。
カロルわかった。それなら、当然ボクたちも行かなきゃね。
パティところで、ユーリは一緒じゃないのか ?てっきり、うちはフレンたちと一緒だと思ってたのじゃが。
エステルそれが……わたしたちも捜していたんですけどどこにもいなくて……。
リタもう、あの馬鹿。肝心なときにどこほっつき歩いてんのよ。
ラピード……くぅーん。
エステルやっぱり……ラピードも心配ですよね。
フレンユーリのことです。きっと今頃は他のところで誰かの手助けをしていますよ。
レイヴンそうね。青年ならありうる話だわ。
ジュディスなら、彼に抜け駆けされないように私たちも早く行きましょう。
エステル……そうですね。
エステル……ユーリ。大丈夫、ですよね ?

Character5話【星誕祭5 白き獅子】
カロルへぇ~、この神殿の中って結構広かったんだね。
リタ何やってんのよ、ガキんちょ。さっさと歩かないなら置いてくわよ。
カロルま、待ってよ ! 迷わないようにちゃんと地図を作りながら歩いてるんだから……。
リタ相変わらず細かいわね。そんなの頭の中で覚えときゃいいでしょ。
レイヴンいやいや、そんなこと言ってるとリタっちだって道に迷って、出口が分からなくなるかもしれないわよ。
レイヴンそう……薄暗い中、永遠に回廊を彷徨い続けるリタっち……。そして、その背後から忍び寄るのは、命を落とした悲しき亡霊たち……。
リタば、ばかいってんじゃないわよ !
カロルあいたぁ !なんでボク。
パティ今のはおっさんがリタ姐を怖がらせたのが悪いと思うぞ。
リタべべべべ、別にっ ! 怖いなんて言ってないでしょ !無駄口叩いてないで、とっとと行くわよっ !
ラピード……グルルルルッ !
エステルどうしました、ラピード ?
フレン……エステリーゼ様、お下がりください。ラピードがこの先に行くのを警戒しています。
ジュディスあら ? 何か見えてきたわ。
レイヴンん……確かにピカピカに光ってるモノがあるわ。でっかい宝石みたいね。
リタまさか、聖核……な訳ないわよね。アークにあるわけないし……。
エステルですが、何か不思議な力を感じます。
リタええ。詳しく調べてみないとわからないけどこの宝石……クリスタルって呼んだほうがいいかしら。
リタとにかく、これが今回の異変に関わっていることは間違いないと思う。
ジュディスそれなら、これをぶっ壊せば解決するのかしら ?
リタ馬鹿言わないで ! そんなことしたら何が起こるかわからないでしょ !待ってて、すぐにあたしが調べるから……。
? ? ?おっと。悪ぃがそれ以上、こっちに近づくな。
ジュディス……誰かしら ?
カロルちょっと待って、あれって……。
パティユーリなのじゃ !
リタユーリ ? あんま顔が見えなくてよくわかんないけど確かに声はそっくりだったわね……。
パティうむ ! うちがユーリを見間違うはずないのじゃ !
レイヴンパティちゃんがいうなら間違いないでしょ?これも愛の力ってやつかもね。
エステルユーリ ! 良かったです。わたしたち、ユーリのこと捜してたんですよ。
カロルそうだよ、ユーリ。ちゃんと連絡くらいしてよね。でも、どうしたの、その服装 ?
パティふむ、白い服装のユーリとは獲れたてのイカの刺身くらい新鮮なのじゃ。
カロルねえ、ユーリ。知ってるかもしれないけど今、アークが大変なんだよ。それで、ボクたちが……。
? ? ?おい、近づくなって言ったはずだぜ。
カロルユ、ユーリ ? 武器なんか構えてどうしたのさ ?
フレン……カロル、下がるんだ。様子がおかしい。
ラピードグルルルルッ ! !
カロルフレン ? それにラピードまで……。ね、ねえ……これって冗談だよね。
? ? ?へえ、そっちのお二人さんは気付いたようだな。だが、邪魔するってんなら、お前たちはラザリス様の敵としてオレが倒す。
レイヴンラザリス様って……おいおい、青年。本当に、どうしちゃったのよ ! ?
ラピードウウッ……ワンワンッ ! !
フレン……君は誰だ ?
? ? ?……教えたところで意味なんてねえだろ。それより、どうしてオレがこいつとは別人だって気付いたんだ ?
フレン僕の知っているユーリは、たとえどんな理由があろうと仲間に剣を向けたりしない。
クロー……なら、あんたの言う通り人違いだな。身体を借りてはいるが、オレは白き獅子のクローだ。
カロル白き獅子のクロー…… ?それに、ユーリの身体を借りてるって…… !
リタアークじゃ、こういうことも今まであったみたいだけど今回は最悪のパターンかもしれないわね。
フレン君の目的はなんだ ?もし、ユーリをこれ以上利用するというのなら力尽くで止めさせてもらう。
クローオレたちの目的は、この世界の力を手に入れて元の世界に平穏をもたらすことだ。
フレン……その為に、このアークがどうなろうと関係ないというのか ?
クロー全てはラザリス様の願いを叶える為。その為に、オレたち白き獅子がいるんだ。
フレン……君の言い分はわかった。ならば、僕がお前たちを止める。
エステルフレン ! ? ユーリと戦うんですか ! ?
フレンエステリーゼ様、今の彼はユーリではありません。ですが、ただ身体を利用されているというのならあいつの意識を無理やりにでも、叩き起こします。
ジュディスそうね、その方が手っ取り早いわ。
パティうちのユーリを奪うとは、絶対に許せんのじゃ !
クローへえ……やろうってのか。いいぜ、全員まとめてかかってきな ! !

Character6話【vsクロー】
クロー……くっ ! やるじゃねえか……。
レイヴンまだやろうっての ? あのさぁ、悪いけどもう勝負はついてんだわ。
クロー何言ってやがる。まだ終わっちゃいねえ。
フレンいや、君の負けだ。今の君では、僕たちには絶対に勝てない。
クロー……んなの、やってみなきゃ分かんねえだろ !
フレンはああっ !
クロー……くっ ! なんでだ !なんでオレの攻撃が通じねえ ! ?
フレン簡単なことだよ。君の剣には……意思がない。
クローなんだと……。
フレン誰かの意思に身を委ねる今の君が僕たちを倒せるわけがない !
フレン今の君の姿は、とてもユーリとは程遠い存在だ。これ以上、僕の友を侮辱することは許さないっ ! !
クロー……くっ ! そうだ、オレは…… !
クロー……ぐはっ ! ?
フレンクロー、だったね。今の僕の言葉がわからないのなら何度やっても結果は同じだ。
クロー……へえ、そうかよ。だったら、これならどうだっ !
エステルフレン ! !
フレンくっ…… !
リタあいつ、まだあんな力が残ってたの ! ?
カロルみんな ! ボクたちもフレンの加勢に―― !
フレン待ってくれ !
クロー ?なんだ ? もういいのかよ ?
フレン……はぁ。何の冗談だ、ユーリ。
エステルえっ ? フレン、今、ユーリって…… ! ?
ラピードワンッ、ワンッ ! !
ユーリ悪ぃな、みんな。世話かけちまった。
パティユーリじゃ ! 本物のユーリなのじゃ ! ?
ユーリうおっと ! ? パティ、いきなり飛びついてくるなよ。いてて…… !
ジュディス大丈夫 ? さっきまで私たちに派手にやられてたけど ?
ユーリああ、問題ねえよ。しかしお前ら、本当に容赦ねえな……。
リタってか、元に戻ったんなら、すぐに言いなさいよ !最後の攻撃のとき、あんた元に戻ってたんでしょ ?
ユーリだから、悪かったって。けど、フレンには剣(こっち)のほうがわかりやすいと思ってな。ついでに仕返しもできるし。
フレン全く、君って奴は……。
ユーリけど、お陰で目が覚めたぜ。
カロルそうだ ! ユーリ、今、アークが大変なことになってて…… !
ユーリああ。事情は全部わかってる。クローって奴がオレの身体を使ってたときも意識だけはちゃんとあったからな。
ユーリだが、こりゃ相当ヤバいことになってんぞ……。
リフィルふむ……神殿内も植物が自生しているな……。いや、木々の根も神殿の一部として設計されたのか ?興味深い……興味深いぞっ !
コレットでも、木の根っこが足下にもあるから転ばないように気を付けないといけませんね。
リフィルなるほど ! 侵入者の行く手を阻む障害としてあえてこのような設計にしたとも考えられる !
コレットだけど、そうなるとお掃除が大変かも。お掃除当番の人とか、どうやって神殿のお掃除するのかな ?
リフィルふむ、確かに老朽化という面では少々問題が発生してしまうかもしれん。だが、このような造りにしたメリットが他にもあるかもしれんな !
リーガル……相変わらず、噛み合っているようで噛み合っていない会話だな。
しいなコレットもリフィルもいつも通りってことだね。ま、コレットの言う通り、足下は気を付けとくよ。
プレセア……はい。それに、たとえ、木の障害があっても私の斧でなんとかします。
ジーニアス流石だよ、プレセア !だ、だけど何かあってもプ、プププ、プレセアはボクが守るからね !
プレセアはい。では、私もジーニアスを守ります。
しいな……ははっ。こっちはこっちでいつも通りか。
リーガルだが、これくらいが丁度よいだろう。下手に気負いすぎてはそれこそ足をすくわれるかもしれん。
しいなそうだね。今回のことは、あのラザリスが関わってるみたいだし……。
しいなん ? ありゃあ、人影かい ?誰かいるみたいだよ。
? ? ?やはり、あのお方の言う通り俺たちの計画を邪魔する連中が現れたか。
ジーニアスあれ…… ? なんだろう……。どっかで見たことがあるような……。
コレット……もしかして、ロイド ?
ジーニアスえっ、ロイドなの ! ?
コレットうん、顔は隠れちゃってるけど声はロイドの声だったよ。
プレセア……はい、私もロイドさんの声に聞こえました。
ジーニアスなーんだ、ボクたちより先に神殿の中に入ってたんだね。ま、そんなことじゃないかと思ってたけどさ。
ファング……俺は白き獅子のファング。お前たち、すぐにここから立ち去るんだ。
ジーニアス白き獅子 ? ファング ?もう、なに冗談言ってんのさロイド。
ファング冗談なんかじゃない。大人しく立ち去ってくれるなら、俺も手出しはしない。
ジーニアスあのね、ロイド。今は遊んでる場合じゃないんだって。
ファングこっちも遊びじゃないんだ。たとえ子供であろうと、俺は責務を全うする。
ジーニアス……どういうこと ? 声の感じも見た目もロイドなのに何か違う……。ロイドはボクのこと、子供呼ばわりなんてしないよ。
しいなロイドじゃないなら、なんだってのサ。まさかリビングドール ?
コレットううん……それとも違う感じがする。でも、ロイドなのにロイドじゃない。それだけは私にも何となくわかるよ。
ファングお前は……いや、他人の空似か……。こういうこともあると、ラザリス様は仰っていたからな。
リーガルラザリスだと ! ?
プレセア言動も、いつものロイドさんではありません。……まさか、誰かに操られているのでしょうか ?
ファング何度も言わせるな。俺は白き獅子のファングだ。全ては、ラザリス様の命令に従って動いている。それだけだ。
リフィルプレセアの予想通りロイドは何らかの術にかけられている可能性があるわね。
リフィルもしくは、以前の私のように別の人格が乗り移っているのか……。とにかく、彼が私たちを敵と見做しているのは確かだわ。
ファング状況が理解できたようだな。だったら、大人しく帰ることだ。
ジーニアスそんなこと、できるわけないだろ !
しいなロイドが操られてるってんならあたしらだって、退くわけにはいかないよ !
ファングそうか……ならば、仕方ない。退かないというのなら、力尽くでわかってもらうぞ !

Character7話【vsファング】
ファング……やるな、お前たち。
しいな勝負あったね。さあ、ロイドは返してもらうよ。
ファング……悪いが、そうはいかない。俺には、まだやるべきことがある。
コレットあれは……何かのスイッチ ?
ファングああ、この部屋に仕掛けた爆弾の起爆スイッチだ。これが作動したら、この部屋は破壊される。
しいな破壊って、あんた、何言ってんだい ! ?そんなことしたら、あんたまで瓦礫の下敷きになっちまうじゃないか ! ?
ファングだが、部屋が破壊されればこの先のクリスタルまでの道は閉ざすことができる。
リーガルつまり……お前はそのクリスタルを守るために私たちを阻もうとしていたのだな。
ファングその通りだ。
プレセア……どうしましょう。あの人の言うことが本当ならこの場に留まることは危険です。
リーガルああ、どうやら奴の目的はそのクリスタルを死守することのようだ。おそらく、今回の騒動の引き金の一つになっているものなのだろう。
リーガルだが、我々も爆発に巻き込まれる可能性がある以上迂闊には動けん。
ジーニアスそんな……。じゃあ、一体どうすれば……。
ファング悪いことは言わない。俺にこのスイッチを押させたくないのならすぐにこの神殿から――
リフィル――レイ !
ファングぐわああああああああっ ! !
全員! ?
ジーニアスね、姉さん ! ?
リフィル貴様 ! 今、ここを爆破すると言ったのか ! ?
ファングな、なんだ…… ! ? お前は……。
リフィルいいから私の質問に答えろ ! !
ファングはっ、はい !
リフィルこの馬鹿者がッ ! !神殿を破壊するなど何事だッ ! !
ジーニアスうわあ……。久々に見たな……姉さんのあんな姿。
リーガル……ふむ。リフィルにとっては、たとえワイズマンが造ったものだとしても、遺跡に近いこの神殿を傷つけられることが許せなかったのだな。
しいなははっ……ちょっと、あのファングって奴が可哀想になってきたよ、あたしは……。
リフィルおいっ ! ! 聞いているのか ! !私の生徒が、そのような蛮行を犯すなど言語道断だ ! !
ファングな、何を言ってるんだ ! ?俺はあんたの生徒なんかじゃ…… !
ファング ?いや、そうだ……俺は、先生の…… !
リフィルなんだ ! ? まだ言い訳をするつもりかっ ! ?
ロイドち、違うよ ! ? お、俺だよ、先生 ! !だから、手を放して…… ! ?
――カチッ。
ロイド…………あっ。
ジーニアス……ねえ、今、「カチッ」って音が聞こえたんだけどボクの気のせい……だよね ?
プレセア……いえ、ジーニアス。私にも聞こえました。
コレットこの音……なんだろ…… ?この部屋の沢山の場所で、時計の針が動く音が聞こえるよ ?
しいなそりゃ、起爆装置が動く音だよっ ! ?あたしたちも、早く逃げなきゃマズいんじゃないのかい ! ?
ロイドま、待ってくれ ! みんな !俺なら、その起爆装置を解除できる !爆発するまで、まだ時間があるはずなんだ !
ジーニアスえっ…… ? もしかして…… !
コレットロイド ! ロイドなんだね !
ロイドああ、心配かけてごめん !けど、話は後だ ! 爆弾が設置されている場所を教えるから、みんな、手伝ってくれ !
ガイアスジュード、何か分かったか ?
ジュードうん……。どうやら、このクリスタルがアークの力を吸収しているみたいなんだ。
エリーゼわたし、このクリスタルから凄い力を感じます。
アルヴィンそれで、俺たちでなんとかできそうなのか、ジュード ?
ジュード正直、まだ詳しく調べてみないと……。
レイアあっ、待って。フレンたちから通信が来たよ。もしかしたら、あっちで何かわかったのかも。繋げてみるね。
フレンみんな、そっちは今、どんな状況だい ?
ガイアス今、神殿の最深部で巨大なクリスタルを発見したところだ。
フレンそうか。なら、すぐにそのクリスタルを破壊してくれ。それで、アークの力が吸収されるのを止めることができるはずだ。
ミュゼそう。なら私に任せて。えいっ ! !
ティポわー ! いきなり攻撃したー ! ?
アルヴィンおいおい、こっちにも心の準備ってもんが……っておい……嘘だろ……。
レイアそんな……ミュゼの術でも壊せないの ?まさか、手加減した、とか ?
ミュゼいいえ。全力でやったわよ。でも、何かしら、この感覚……。
? ? ?やはり、防御壁を作っておいて正解だったな。
アルヴィンおっと、ここに来て黒幕の登場か ?
エリーゼ待ってください、アルヴィン !今の声、もしかして…… !
ジュードまさか……ミラ、なの ?
ユーリミラ…… ! ? ジュード、気を付けろ !今のそいつは、お前たちの知っているミラじゃねえ !
レイアえっ ? 何言ってるの ?顔は隠れちゃってるけど、絶対にミラだよ !
ロアー――私をその名で呼ぶな。私は白き獅子のロアー。ラザリス様に仕える騎士だ。
ガイアスラザリスだと…… !
ロアーどうやら、お前たちは我々の邪魔をしようとしているようだな。ならば、大人しくしてもらおう。
エリーゼミラ……なんだかいつもと違います。どうしちゃったんですか ?
ユーリ……聞いてくれ。今のミラはさっきまでのオレみてえに別人の意識が宿ってる。そして、そいつらの目的はアークの力を奪うことだ。
エリーゼそれじゃあ、今のミラは本当にわたしたちと戦おうとしているんですか ?
ミュゼあなた、いくらミラが可愛いからって身体を乗っ取るなんて許されると思ってるの ?
ロアーお前たちがどう思おうが関係ない。だが、私を倒さなくてはクリスタルは破壊できないぞ。
ガイアスどういうことだ ?
ロアーこのクリスタルは、私の力を使って守られている。その力を解除する為には、私を殺すしかない。
レイアそんな ! ? けど、身体はミラのものなんだよね ! ?
アルヴィンくそっ……いくら何でも趣味が悪すぎんだろ。
ジュード…………。
ガイアスどうしたのだ、ジュード。
ジュードうん……。わかったよ、ミラを助けてクリスタルを壊す最善の方法が。
ジュードユーリさん。さっき「オレみたいに」って言いましたよね。つまり、ユーリさんが元に戻れたならミラだって絶対に元のミラに戻すことができる。
ユーリああ、オレの場合、誰かさんのせいでちと荒療治だったがな。
ユーリどっちにしろ、お前たちも絶対にミラを元に戻せるはずだ。
ジュード……ありがとうございます。だったら、ミラを取り戻して力を解除してもらう。
ロアー……ふん。お前のような子供にこの私が遅れを取るとは思えないな。
ジュードそんなの、やってみなきゃわからない !
ロアーそうか……。ならば、私の手でわからせてやろう !

Character8話【vsロアー】
ジュード――はあああああっ ! !
ロアーくっ ! !私が、押されている…… ! そんなはずは……。
ガイアス白き獅子のロアーといったな。負けを認めて、大人しくミラを解放しろ。
ロアー私の負けだと ?違うな。お前たちにクリスタルを壊されない以上私は目的を達成できる。
エリーゼどうして、そこまでするんですか ?
ロアーそれが、ラザリス様の望む世界に必要なことだからだ。ならば、私がやるべきことは――
アルヴィンな、なんだ ! ?
ティポまた地震ー ! ?
ジュード違う…… ! この揺れの原因は…… !
ロアーそんな、馬鹿な…… !クリスタルに亀裂が……一体、なぜ…… ?それに、このエネルギー量は何だ ! ?
ロアー……まさか ! ? 他のクリスタルが破壊されたことで塔へのエネルギー供給を全て担ってしまったのか ! !
アルヴィンおい、この揺れ…… !ひょっとしなくても、俺たちもヤバいんじゃないか ! ?
レイアヤバいどころじゃないよ !なんか上から瓦礫も落ちてきてるし !
ミュゼこんなところ、さっさと退散しましょう。
ジュードうん……ミ……ロアーさんも早く ! !このままじゃ、あなたも巻き込まれてしまいます !
ロアーだが、クリスタルの暴走を止めなければ―― ! !
レイア嘘ッ ! ? ミラの上の天井が…… ! !
エリーゼそんな ! ? このままじゃあ、ミラが ! ?
ジュードミラーーーー ! ! ! !
ジュード……はぁ、はぁ。良かった……間に合った……。
ロアーお前は……何をしているんだ……。下手をすれば、お前まで巻き込まれていたかもしれないんだぞ !
ジュード……だとしても、僕はミラを守りたかった。今のあなたには、わからないことかもしれない。
ジュードだけど、もうミラだけが犠牲になるようなことは絶対にさせたくないんだ !
ロアー ?ジュード……君は……。
エリーゼ! ! ジュード ! ! ミラ ! !また天井が…… ! !
ティポ早く逃げてー ! !
ジュード……間に合わない !せめてミラだけでも…… ! !
ミラ=マクスウェルしゃがめ、ジュード ! !――シルフ ! !
ミラ=マクスウェル無事か、ジュード ! !
ジュード……ミラ。もしかして、意識が…… !
ミラ=マクスウェルああ、君のおかげだ。ありがとう、ジュード。
ジュードそんな……僕は何も……。
ミラ=マクスウェルいや、君の想いが、眠っていた私の意識を覚醒させてくれた。私は……また君に助けられたようだ。
ジュードミラ……。
アルヴィンったく、心配かけさせんなっての !
レイアううっ、ホントだよ !すっごく心配したんだからね !
エリーゼでも、本当に良かったです…… !
ティポうわーーーーん ! おかえりー、ミラー !
ミラ=マクスウェルありがとう、みな。しかし、ゆっくり話してもいられない。まずはここから脱出するぞ ! ミュゼ !
ミュゼええ ! 私たちが道を切り開くわ !それで一気に出口まで向かってちょうだい !
ガイアス承知した。では、急ぐぞ !
ミリーナ――凄かったわね、さっきの揺れ。
イクスもしかして、またアークで何か起こったんじゃ……。
ワイズマンいえ、どうやら塔へのエネルギー供給が全て停止した反動のようです。皆さんが無事、原因を究明し対処してくださいました。
カーリャ・Nそうですか。やはり、頼りになる方々ですね。
ワイズマンええ。少しトラブルはあったようですが皆さんはすでに神殿から脱出しています。
ワイズマンですが、予断を許さない状況です。既に供給されたアークのエネルギーがその塔に集まったままの状態に変わりはありません。
ワイズマンそれを利用されてしまえばアークだけでなく、他の次元の世界にも影響を与えてしまう可能性があります。
カノンノ・G利用される前に、私たちが止めなきゃいけないんだね。
P・カノンノねえ、あの扉の先……。なんだか、今までと違う雰囲気を感じるの。きっと、この先に……。
イクス……ラザリスが待ち構えているのかもしれないのか。
カノンノ・Gうん……。行こう、みんな。
ミリーナここは……なんだか不思議な場所だわ。
イクスああ、ここだけ別世界みたいな景色だ。
ワイズマン私の通信も可能なところをみると誰かが疑似的に作り出した空間のようですね。
カーリャ・Nならば、やはりここには――
ラザリス ?――これ以上、邪魔はさせない。
二人……ラザリス ! !

Character9話【vs破滅へと導く者】
イクス……ラザリス。どうして、アークの力を狙うんだ ?
ラザリス ?当然、世界を破壊するため。このアークの力を使ってあらゆる次元の世界を破壊する。
カノンノ・G……えっ ?
カーリャあらゆる次元の世界って、規模が大きすぎませんかっ !
カーリャ・Nですが、まだ私たちの手で止められるはず。その為に、私たちが来たのですから。
カノンノ・G……違う。
ミリーナ違う…… ? 何が違うの、グラスバレー ?
カノンノ・Gあなたは、ラザリスじゃない…… !世界の破壊だなんて……ラザリスがそんなことを望むはずがないもの。
P・カノンノうん……ラザリスは『生まれられなかった世界』だから『生まれた世界』を人一倍羨んで、愛しく思ってた。そんな子が世界を壊すなんてありえないよ !
カノンノ・Gねえ、あなたは、本当は誰なの ?
ラザリス ?……ふふっ。そう、違う世界のこの子を知ってたのね。でも、もうあの三人を利用する必要もないからこの姿じゃなくていいよね。
カノンノ・Gきゃあ ! ? な、なに…… ?
ミリーナあれは……ラザリスの姿が、変わって…… !
イアハート ?……ふふっ。
カーリャえええっ ! ? イアハートさまぁ ! ?
イクス待ってくれ ! ? イアハートの雰囲気がいつもと全然違う…… !
イアハート ?そう、あなたたちの知っているカノンノ・イアハートは、もういないの。
カノンノ・Gイアハートが……いない ?
イアハート ?私も、かつては『カノンノ』と呼ばれる存在だった。だけど『世界を破滅させる力』の残滓がこの子に引き寄せられた……。
破滅へと導く者だから、今の私は『カノンノ』なんかじゃない。私の使命は、世界や全ての生命の完膚なきまでの破壊。
P・カノンノあなたは……本当に世界を壊すつもりなの ?
破滅へと導く者ええ。その為には、このアークの力が必要だった。幸い、このペンダントに残っていた世界の記憶を利用して、計画を進めることができたの。
破滅へと導く者白き獅子たちは解放されてしまったみたいだけど役割は十分に果たしてくれた。ペンダントの力を使って私が偽物のご主人様を演じていたことも知らずにね。
カーリャカーリャ、カノンノさまの言っていることが全然わかりません……。
カーリャ・N彼女は、グラスバレー様たちの言う通りイアハート様ではありません。ですが、本当に身体はイアハート様のものならば……。
ミリーナイアハートを利用するなんて……。でも、助ける方法がきっと……。
破滅へと導く者諦めなさい。白き獅子たちとは違って世界を破壊させる力には、彼女も抗えなかった。もう手遅れよ。
P・カノンノそんなはずない !イアハートならきっと…… !
破滅へと導く者愚かね、現実を認めないなんて。だが、時は満ちた……これより使命を遂行する……。
ワイズマンいけません ! 彼女の周りに奪われたアークの力が集まっています ! このままでは、本当に世界が破壊されてしまいます !
カノンノ・Gやめて ! ! イアハート ! !
イクスみんな ! イアハートを止めるんだ ! !
破滅へと導く者あなたたちにも見せてあげる。世界を壊す、破滅の力を !

Character10話【vs破滅へと導く者】
カノンノ・G……はぁ、はぁ ! 駄目……力が…… !
破滅へと導く者もう終わりよ。あなたたちでは世界を滅ぼす力に敵うはずがない。
P・カノンノそんなこと……ない !私たちは、あなたを止める !
破滅へと導く者何故、そこまでするの ?破壊が終われば、全てが無になるの。争いもなく、悲しい事や辛い事も全部なくなる。
破滅へと導く者それでも、あなたたちは今の世界が大事だというの ?
イクス……もちろん、世界を守ることも大事だ。
破滅へと導く者そう、だったら……。
イクスけど、俺が守りたいものはここにいる仲間たちなんだ !
破滅へと導く者……仲間。
ミリーナええ、確かに世界には悲しいことや辛いことが沢山あるのかもしれない。だけど、それが全てじゃない。
カーリャ・Nたとえ、抗うことのできない苦境に陥ってもここにいる方々は自らの力で立ち上がってきました。私は、その皆さんの力を信じています !
カノンノ・Gそうだよ……。私たちには、みんなとの絆がある !だから、あなたの力にも決して負けたりはしない !
破滅へと導く者仲間……みんなとの絆…… !そんなもの……ッッ ! !
カーリャど、どうしたんですか急に……。なんだか、とっても苦しそうですよ…… !
カノンノ・E(やめて……もう、やめて ! ! )
破滅へと導く者そんな…… ! もう、お前の意識は私が奪ったはずなのに…… !
イクスなんだ……誰かと、話しているのか ?
P・カノンノもしかして……イアハート、なの ?
カノンノ・G……そうだよ !イアハートも私たちと一緒に戦ってるんだ !
P・カノンノだったら、私たちにできることは―― !
カノンノ・E(お願い、もうやめて ! あなたも本当は世界を滅ぼしたくないはずだよ !)
破滅へと導く者そんなこと……ないッ !私は……私は……ッ ! !
カノンノ・E(思い出して ! あなたの大切な仲間たちのことを !)
破滅へと導く者私の……仲間…… ! !そうだ……私は、みんなと一緒に……。
二人イアハート ! !
破滅へと導く者あなた、たちは……。
カノンノ・G頑張って、イアハート !
P・カノンノ私たちも一緒だよ !だから、負けないで ! !
破滅へと導く者う、うわああああああああっ ! !
カノンノ・E…………。
P・カノンノ…………ううっ。
イクスみんな、無事か ! ?
カノンノ・Gうん……平気だよ……。そうだ、イアハート ! イアハートは大丈夫なの ! ?
ミリーナええ、意識はないみたいだけどちゃんと呼吸も安定しているし、心配ないわ。
カノンノ・Gそっか、良かった……。
ワイズマン皆さん。どうやら、塔に集まっていたアークの力も無事、元に戻ったみたいです。
カーリャつまり、これで無事解決ってことですね !
ワイズマンはい、本当にありがとうございました。またアークはあなた方に救われたようです。
ワイズマンあとのことは、私が責任を持って対処致します。皆さんは、ひとまず広場にお集まりください。他の方々も、既に集まっていますので。
イクスわかりました。よし、それじゃあ俺たちも戻ろう。
カノンノ・E……あれ、ここは ?
P・カノンノイアハート。良かった、目を覚ましてくれて。
カノンノ・G大丈夫 ? どこか痛かったりしないかな ?
カノンノ・Eうん……私は何ともないよ……。ごめんね、心配かけちゃって……。
カノンノ・E……そうだ ! 他のみんなは ! ?ペンダントを拾ったときにユーリさんたちも一緒にいて……。
ユーリオレたちのことなら問題ないぜ。
ワイズマン念のため、私も皆さんの身体を調べさせてもらい彼らの記憶や意識は元の世界へと戻るようにしておきました。
イクスイアハートが拾ったっていうペンダントもワイズマンが影響が出ないようにしてくれたから安心してくれ。
ロイドけど、白き獅子って何者だったんだろな ?自分たちのことを、騎士って言ってたけど……。
ジーニアスロイドが騎士だなんて、全然似合わないよね。
ロイドほっとけ !
コレットでも、悪い人たちじゃなかったんじゃないかな ?
ジーニアスそうかな……。ボクたちのこと、倒そうとしてきたんだよ ?
コレットそれはそうだけど……。でも、爆弾があるって教えてくれたときは、私たちが巻き込まれないように逃げろって言ってくれてたよ。
ロイド確かに、俺も乗っ取られてたときの記憶は残ってるけど悪い奴らってのとは、少し違ったかもしれない。
ミラ=マクスウェル彼らも、ラザリスが偽物だとは気づいていなかった。もしかしたら、彼らも彼らなりに世界を正しい道へと導こうとしたのかもしれないな。
カノンノ・Eうん……私もね、あの子の記憶を少し覗いたの。彼女はずっと、旅をしてた。私たちのように、沢山の仲間と一緒に……。
P・カノンノそれって、別の世界の『カノンノ』のことだよね。ねえ、その子、どんな子だったの ?
カノンノ・Eえっとね、姿は私とそっくりでだけど、その世界のディセンダーとして生まれたの。
カノンノ・Gディセンダー ! えっ、それじゃあ、イアハートは別の世界だとディセンダーとして生まれたってこと ! ?
カノンノ・Eうん。それにね、私たちの世界と同じように名前と姿が一緒の人たちがいて――
ワイズマンあの、イアハートさん。大変心苦しいのですが皆さんの無事も確認できましたし、先に祭りを再開するアナウンスを流しても宜しいでしょうか ?
ロイドそっか、祭りがあること、すっかり忘れてたぜ !ん ? ちょっと待てよ。そういや、俺たちの服ってどこいったんだ ?
ユーリまあ、そのままなら、ペンダントを見つけた場所にでも置いてきてんじゃねえか ?
ロイドやべえ ! あの服は親父が俺の為に作ってくれた大事なものなんだよ ! 無くしたら困るんだって !
ワイズマンでは、皆さんの服は私が回収しておきましょう。ただ、少し時間がかかるかもしれませんのでその間は、そちらの服で祭りに参加してください。
ユーリ了解。動きやすいしオレは構わねえぜ。
ミラ=マクスウェル私も異論はない。それに、レイアやエリーゼたちからはなかなか好評みたいだからな。
ミリーナふふっ、ミラさんはどんな服でもばっちり着こなせちゃいそうね。
イクスそうだな……。色は白くてもこういうキリッとした感じのカッコよさが出る服もいいかもしれないな !
ミリーナそれなら、今度イクス用にも作ってみるわね !イクスなら絶対に似合うと思うわ !
カーリャとまあ、いつも通りのイクスさまたちは放っておいて。さあ、ネヴァン先輩 ! カーリャたちは屋台全制覇を目指して一緒に頑張りましょう !
カーリャ・Nま、待ちなさいカーリャ !そんなに急いで飛ぶと、他の人にぶつかりますよ !
カノンノ・E…………。
カノンノ・Gどうしたの、イアハート ?
カノンノ・Eあの子の記憶の中でね、その世界のラザリスも見たの。私たちの知ってるラザリスのように、世界に起こる争いや苦しみを目の当たりにして、ヒトを憎んでた。
カノンノ・Eそんな気持ちを、意識が支配されてたとはいえ私は利用した。そのことが、すごく辛いの……。私にはあの子を助ける手段がないのに……。
カノンノ・Gイアハート……。ううん、きっと大丈夫だよ。
カノンノ・E……えっ ?
カノンノ・Gだって、その世界にはディセンダーの『カノンノ』がいるんでしょ ? それに、私たちのように仲間もいるんだから。
P・カノンノラザリスを助けてあげたいって思う人たちは必ずいるよ。だから、私たちは信じよう。
カノンノ・E……うん、ありがとう、二人とも。
カノンノ・Gねえ、だったら『星誕祭』に倣って私たちの祈りを届けてみようよ。
カノンノ・E……祈り、か。そうだね、私、やってみる。
カノンノ・E別の世界のラザリス……。あなたには直接私の声は届かないかもしれないけれど……。
カノンノ・Eあなたにもきっと、ヒトのいる世界を憎まなくて済む日が来るって信じてるよ。