| Character | #N/A |
| イネス | さあ、事件発生よ !先ほど、アークの居住地区で馬車が強奪されたわ ! |
| イネス | 積荷は食材やら貴重品やら……私の ! 私の商品よ !そして犯人は── |
| ハスタ | そう、オレさまなのです ! |
| ハスタ | 皆さん馬車の上から失礼いたします !ハスタくん、ハスタくんに清き一票をお願いします ! |
| ハスタ | 当選した暁には、風呂は三日に一回。昼食には必ずホウレンソウを食べることを義務付けマス ! |
| ハスタ | ご声援ありがとうございます !ハスタくんは全国の精肉業者のミカタです ! |
| イネス | こらー ! 私の商品を壊したら許さないわよッ ! |
| イネス | もう、誰よ。あんなヤツをアークに呼ぼうなんて言い出したのは。 |
| ワイズマン | 申し訳ありません。悪役について調査したところ彼がピッタリかと思いまして……。 |
| イネス | はぁ……役に収まるような奴じゃないわよ。まあいいわ、それよりワイズマン !もっとこう、映像に迫力は出せないの ! ? |
| ワイズマン | カメラマンというのは初めてなものでして……。 |
| イネス | 言い訳は無し ! アークの人たちもダイナミックな映像を期待しているのよ ! |
| ワイズマン | ど、努力します。 |
| イネス | ああーっと ! 馬車がカーブを曲がりきれずに建物に接触ー ! ていうか、私の商品がー ! ? |
| ワイズマン | おおっ、今のはしっかり映像に収めましたよ。イネスさんの仕入れた品が派手に壊れるところ。なかなか迫力があったのではないでしょうか。 |
| イネス | くううっ…… ! あれ高かったのに !……いいえ、それよりも今は番組よ ! |
| イネス | さあ、このまま犯人に逃げられてしまうのかー ! ? |
| カイル | 待てー ! 馬車を返せー ! |
| イネス | おおっと、ここでついに『ヒーロー』の登場です ! |
| イネス | 今回特別に用意された衣装に身を包み暴走する馬車を猛然と追っていく !カイル頑張ってー ! 私の商品のためにも ! |
| カイル | そう言われても相手が馬車じゃ簡単には追いつけないよ。 |
| カイル | なんとかして先回りしないと……。 |
| ハスタ | 逃げるハスタくん。追う少年。少年老いやすく……えーと、なんだっけ ?とにかくガンバリマショウ ? |
| ハスタ | 朝までに追いつけたらおめでとう !お祝いはお肉がいいかしら ?ホウレンソウなんて人間の食べるものじゃないデスヨ。 |
| ? ? ? | ちょおっと待ったぁ ! |
| ハスタ | んー ? |
| カイル | ワイルドタイガー ! |
| ワイルドタイガー | 散々好き放題やってくれたみたいだがこの俺が来たからにはもう思い通りにはさせねえ !市民の安全はこのワイルドタイガーが守る ! |
| ワイルドタイガー | いくぜ悪党 ! ワイルドに── |
| ハスタ | あらよっと。 |
| ワイルドタイガー | っだ ! ? あっぶねーな ! 何しやがる !こっちはまだ決め台詞の途中なんだぞ ! |
| ハスタ | ボクちん、そういうノリ嫌いなんですよねー。正義の味方的な ? 自分に酔っちゃってる感じ ?おまけにそのくびれた腰回り ! |
| ハスタ | 人と話す時は、相手の目を見て右手は腰に、左手はそえるだけ。そうママに教わったでしょ ! |
| ワイルドタイガー | っだ ! 物を投げるなー ! |
| イネス | タイガー ! それ私の商品なんだからね !壊さないように全部受け止めて ! |
| ワイルドタイガー | 無茶言うな ! ……あだっ ! ? |
| ワイルドタイガー | うわあああああっ ! |
| カイル | タイガー ! |
| ワイルドタイガー | ああああっ ! ……ってあれ ? |
| バーナビー | 間一髪でしたね。虎徹さん。 |
| ワイルドタイガー | バニー ! わりぃ、助かった ! |
| バーナビー | まったく、どうしてあなたはいつも高いところから落ちるんですか。 |
| ワイルドタイガー | ちっとバランスを崩しただけだ。お前が来なくたって、ちゃんと着地したよ ! |
| バーナビー | またそんな強がりを……。どう考えても頭から突っ込んでましたよ。 |
| ワイルドタイガー | うるせえ ! |
| カイル | 二人とも、ケンカしてる場合じゃないよ !あいつ、逃げちゃったよ ! |
| ワイルドタイガー | なにいいいっ ! あの野郎…… !追うぞバニー ! カイル ! |
| バーナビー | 了解です。 |
| カイル | うん ! |
| Character | #N/A |
| ワイルドタイガー | よし ! 馬車に追いついたぞ ! |
| バーナビー | ですが、どうやって足止めします ? |
| ワイルドタイガー | あー、こう上手いこと車輪だけ壊して動けなくするとか。 |
| バーナビー | あのスピードですから、大惨事になりますよ。 |
| カイル | 商品を壊したらまたイネスさんに怒られるよ。 |
| ワイルドタイガー | だったらどうすりゃいいんだよ ! ? |
| ハスタ | うーん、いつも追い掛ける側だったけどこうして追われるのも意外にオツなもの。だけど、ちょっぴり物足りないのはなぜかしら。 |
| ハスタ | そうだ。いっそのこと── |
| ? ? ? | フリーズランサー ! |
| ハスタ | うわわっ、ちべたい ! ちべたい ! |
| カイル | 馬車が止まった ! |
| バーナビー | あの氷は……。 |
| ワイルドタイガー | あそこだ ! |
| セルシウス | 私の氷はちょっぴりコールド…… |
| セルシウス | あなたの悪事を完全ホールド ! |
| ワイルドタイガー | どっかで聞いたような台詞だな……。 |
| バーナビー | 僕がお教えしました。イネスさんが彼女に決め台詞が欲しいというので。 |
| イネス | いいわよ、セルシウス ! その調子 !アークの人たちも盛り上がってるわ ! |
| カイル | だから、のんびり話してる場合じゃないって !あいつまた逃げちゃったよ ! |
| ワイルドタイガー | なにいい ! ? |
| ハスタ | こんなことでオレさま止まらない !冷たい扱いには慣れておりますゆえ !はいよー ! ウマ ! |
| ? ? ? | ヴォルテックチェイサー…… ! |
| ハスタ | って、なんだあ ! ? |
| カイル | 見てよ ! 馬車の車輪が ! |
| バーナビー | 銃撃 ? いったい誰が……。 |
| ワイルドタイガー | 今はんなこと考えてる場合じゃねえ !あのままじゃ制御を失った馬車がどこかにぶつかって── |
| アークの住人 | きゃあああっ ! |
| バーナビー | いけない ! 逃げ遅れた人が ! |
| ワイルドタイガー | うおおおおおおっ ! |
| バーナビー | 虎徹さん、ハンドレッドパワーを…… ! |
| ワイルドタイガー | 間に合ええええええええっ ! |
| カイル | すごい ! 馬車を受け止めた ! |
| ワイルドタイガー | どおおおおおりゃああああああっ ! |
| ハスタ | お、おおおっ ! ? 何ごとおおおお ! ? |
| ワイルドタイガー | ハァハァ…… !ど、どうだ…… ! |
| バーナビー | 最後、とっさに方向を逸らしたんですね。よかった。あのまま正面から受け止めていたら虎徹さんごと壁に激突していたところですよ。 |
| ワイルドタイガー | へへ……俺もけっこう頭を使うようになったろ。 |
| バーナビー | ……そうですね。 |
| カイル | 街の人も無事だったよ。だけど、いったい誰が車輪を壊したのかな。 |
| セルシウス | それは『彼』みたいね。 |
| ワイルドタイガー | ヴィクトル、あの野郎乱暴なことしやがって……。 |
| カイル | でも、ヴィクトルさんが撃たなかったらもっと被害が出てたかもしれないよ。 |
| ワイルドタイガー | むう……。 |
| イネス | ちょっと、話し合ってる場合じゃないわよ !ハスタが逃げてる ! |
| ハスタ | てめえらがちちくり合ってる間にハスタくんはあばよーなのデス。 |
| カイル | 待て ! 行かせないぞ ! |
| ハスタ | おやおや、これは利発そうなお坊っちゃん。お名前は確かカ、カ……カニ雑炊くん ? |
| カイル | ぜんぜん違うよ !ていうか『カ』しか合ってないじゃないか ! |
| ワイルドタイガー | こら ! まともに相手にすんな !逃げられるぞ ! |
| カイル | あ、しまった ! ? |
| ハスタ | それじゃ今度こそほんとにあばよ。カニの坊主。 |
| バーナビー | いいえ、そうはいきません。 |
| ハスタ | あいたーっ ! ? |
| バーナビー | 不可解な言葉で相手を煙に巻き、混乱させる。あなたのような悪党の考えることはお見通しですよ。 |
| ハスタ | ボクちんを手荒に扱うあなたはどなた ! ? |
| バーナビー | 名乗るつもりはありません。もう二度と会うこともないでしょうから。 |
| ハスタ | うーん、そのすました顔。シュッとした鎧。どっちもムカつくですヨ ! |
| バーナビー | 僕もそのふざけた態度は不愉快です。あの男を思い出しますから……。 |
| ワイルドタイガー | おお、よく捕まえたなバニー ! |
| バーナビー | 虎徹さんの詰めが甘いんですよ。 |
| ワイルドタイガー | まあまあ、そこはバディで補い合ったってことで。 |
| バーナビー | まったく、あなたという人は……。 |
| ワイズマン | お待たせいたしました皆さん。その方は、私が責任を持って連れて行きます。 |
| ハスタ | 大人しく連れて行かれちゃいマス。これでもハスタくん、引き際は心得てる。 |
| ハスタ | オレさまの良いところは切り替えの良さとピンクが似合うところだっておふくろにはとくに言われたことはないけど。 |
| ハスタ | だが、次は必ず殺す。 |
| バーナビー | …………。 |
| ハスタ | それじゃ、また会おうぜぇ……ウサギちゃん。 |
| Character | #N/A |
| イネス | お帰りなさい。それから、みんなお疲れ様。見事にハスタを逮捕したわね。ちょっとヒヤヒヤしたけど。 |
| バーナビー | すみません。何度もチャンスがあったのにその度に取り逃がしてしまって。 |
| イネス | いいのよ。最後はバーナビーがしっかり捕まえてくれたじゃない。あのシーンはアークの人たちにも好評だったわ。 |
| イネス | それとセルシウスも、決め台詞よかったわよ !アークの人たちにも大ウケだったわ。練習したかいがあったわね。 |
| セルシウス | ああいうのが好まれるのね。人間の考えることは面白いわ。 |
| イネス | カイルは……。 |
| カイル | はぁ……結局、オレはなにも活躍できなかったよね。 |
| イネス | でも、一番最初に駆けつけたじゃない。必死に馬車を追い掛けてる時なんてみんなが声援を送ってたわよ。 |
| カイル | そっか…… ! よし、次もがんばるよ !絶対、悪いヤツを捕まえるんだ ! |
| イネス | うんうん。その意気その意気。で、ワイルドタイガーなんだけど……。 |
| 虎徹 | お、ついに俺の番か ! |
| 虎徹 | 暴走馬車を止めて住人も救った !まさに大活躍 ! |
| イネス | そんなわけないでしょう !大活躍どころか大惨事よ ! |
| 虎徹 | えええっ ! ? |
| イネス | 馬車が建物に突っ込んだ時なんかアークの人たち「うわぁ……」って顔してたわよ !ついでに言うと私の商品も台無しよ ! |
| 虎徹 | しょうがねえだろ !とっさのことだったんだからよ ! |
| 虎徹 | だいたい馬車を壊したのは俺じゃねえだろ !あいつに文句言えよ ! |
| ヴィクトル | それは、私のことか。 |
| カイル | ヴィクトルさん ! 遅かったね。 |
| ヴィクトル | ハスタが暴れたからな。ワイズマンを手伝っていた。 |
| ワイズマン | お手伝いいただき助かりました。私の力で取り押さえようとするとハスタさんに大怪我をさせてしまうかもしれないので。 |
| 虎徹 | 噂をすりゃ戻って来やがったな。おい ! どういうつもりだ ! |
| ヴィクトル | どういうつもり、とは ? |
| 虎徹 | どうして車輪を撃った ! 危ねえだろうが ! |
| ヴィクトル | 一刻も早く馬車を止めるにはあれが最善だった。現に、お前たちはチャンスがありながら二度も取り逃がしていただろう。 |
| 虎徹 | だからって、いきなりはねえだろ。せめて俺らに合図を送るとか……。 |
| ヴィクトル | この『ヒーロー』とやらは個人の活躍を競うものだと聞いているが ? |
| 虎徹 | そ、それはそうだけどよ。そこはなんつーか、暗黙の了解っつーか……。 |
| 虎徹 | とにかく『ヒーロー』っていうのはお互いの信頼も大事なんだよ ! |
| イネス | はいはいそこまで。二人ともケンカはナシ。 |
| イネス | タイガーの言い分もわかるしヴィクトルの判断も間違ってはいなかった。そういうことでいいわね ? |
| 虎徹 | だけどよお……。 |
| ワイズマン | ご安心ください。それぞれの活躍に応じて公平かつ客観的にポイントをつけるつもりです。もちろん、それに伴う報酬もご用意します。 |
| イネス | あなたたちの世界の『HERO TV』ってそういう仕組みなのよね ? |
| バーナビー | ええ、概ねその通りです。ポイントを競い合うのですから、相手を出し抜くのは当然のこと……。 |
| 虎徹 | お、おい、バニー ! |
| バーナビー | ……と、少し前の僕なら言っていたでしょうね。 |
| バーナビー | 競い合う中にも、一定の協調関係は必要だと今は思っています。少なくともこうして事件が解決した後くらいは歩み寄ってもよいかと。 |
| 虎徹 | ほら見ろ ! |
| バーナビー | 虎徹さんにも言ってるんですよ。 |
| 虎徹 | え……。 |
| バーナビー | ヴィクトルさんがいないタイミングで糾弾するのはフェアじゃないと思います。 |
| 虎徹 | そ、そりゃあ……悪かったな。ヴィクトル。 |
| ヴィクトル | 私は救世軍に報酬が払われるのなら構わない。毎度、唐突にアークに呼び出されるのは困るが。 |
| セルシウス | わたしも文句はないわ。報酬がアジトのみんなの役に立つのなら。 |
| カイル | オレも ! |
| イネス | 任せて、その分活躍を期待してるわよ。 |
| 虎徹 | 待て待て待て ! その前に一つ言いたいことがある ! |
| イネス | なによ、ちゃんとタイガーにも払うわよ。 |
| 虎徹 | そうじゃねえって !そもそもどうして今回の事件が起きたかって話だ ! |
| ワイズマン | 『ヒーロー』とは犯罪と戦い平和を守る存在とお聞きしましたが ? |
| 虎徹 | だからって、わざわざあんなヤツをこの街に連れて来ることはねえだろ ! |
| ワイズマン | しかし、そうでもしなければアークの『祭り』を開催することができません。 |
| 虎徹 | いや、だからよ。その『祭り』のために悪いヤツを呼んで来るのは本末転倒っつーか……。 |
| イネス | 言いたい事はわかるけどそれじゃ『HERO TV』ってどうやってるわけ ? |
| 虎徹 | そりゃまあ、シュテルンビルトはでかい街だから日々色々な事件が起こっていてだな。 |
| イネス | 事件を解決するのは自警団などが負うべき仕事でしょ。 |
| 虎徹 | いや、ほら、俺らの世界には『NEXT』っつうすごい能力を持ったヤツもいて……。 |
| セルシウス | わたしたちの世界にも魔術があるわ。わたしみたいな精霊や、魔物もいる。 |
| カイル | うーん、『ヒーロー』って警察や軍人と何が違うんだろう。 |
| 虎徹 | そ、そりゃあ、だから……『ヒーロー』は……。 |
| 虎徹 | バニーもなんか言え !こういう説明はお前の方が得意だろ ! |
| バーナビー | 異なる世界の人たちですよ。文化も社会構造も、常識だって違います。そう簡単には伝わりませんよ。 |
| 虎徹 | 諦めるなよ ! |
| カイル | あ、でも、どんな時でも困ってる人を助けようとする虎徹さんはカッコイイと思うよ ! |
| 虎徹 | お、おう……ありがとよ、カイル……。 |
| イネス | 少年に思いっきり気を遣われてるじゃない。 |
| 虎徹 | むうぅ……わかった。こうなったら、俺が体を張って教えてやる。 |
| バーナビー | ちょっと虎徹さん。何をするつもりなんですか。 |
| イネス | そうよ。アーク版『HERO TV』はこの後も予定が詰まってるんだからね。 |
| 虎徹 | それよりも、まずはお前らに『ヒーロー』のなんたるかってやつを叩き込まないと始まらねえだろうが ! |
| ワイズマン | 悪役の方や、手強い魔物も手配してあるのですが……。 |
| バーナビー | こうなると虎徹さんはテコでも動きませんよ。頑固な人ですから。 |
| セルシウス | 暑苦しいわね……。 |
| ヴィクトル | 付き合っていられん。私は遠慮させてもらう。 |
| 虎徹 | あ、おい ! ヴィクトル ! |
| カイル | 行っちゃったね。 |
| 虎徹 | ……まあいい。あいつはまた今度だ。お前ら、俺についてこい ! |
| Character | #N/A |
| イネス | こんなとこまで連れてきて、何をするつもり ? |
| 虎徹 | パトロールだ。 |
| セルシウス | パトロール ? |
| 虎徹 | 事件は街で起きてるんだ。『ヒーロー』が家の中にこもってたんじゃ解決できるもんも解決できねえだろ。 |
| 虎徹 | というわけで街をパトロールして事件の現場を見つける。でもって、俺がそれを解決する。 |
| 虎徹 | その姿を見せれば、みんなにも『ヒーロー』のなんたるかが伝わるってもんだろ ? |
| バーナビー | 言いたい事はわかりますがそう都合よく事件は起きないのでは ? |
| 虎徹 | いいんだよ ! 細かいことは !さっそくパトロールに出発 ! |
| 虎徹 | ……って、なんにも起きない ! |
| バーナビー | 見事に平和そのものですね。 |
| 虎徹 | 平和すぎるだろう !事件どころか、ゴミのポイ捨てすらねえぞ ! ? |
| イネス | アークの人たちって、基本的に善良なのよね。あんまり欲がないっていうか、ガツガツしてないから衝突もしないし。商売人としては困ったものだけど。 |
| カイル | そういえば『祭り』っていう割にはあんまり騒がしくないよね。オレの育ったクレスタの街なんてすごく賑やかなのに。 |
| セルシウス | 静かでいい街じゃない。うるさい街は苦手だわ。 |
| ワイズマン | アークには必要な物は十分にありますから取り合いになることはありません。 |
| ワイズマン | 住人たちが観測対象の争いに辟易しているのもここが静かな理由かもしれません。 |
| ワイズマン | だからこそ『祭り』という娯楽や癒やしを外の方々に求めているのです。 |
| バーナビー | 興味深いですね。もしかするとアークの人々は僕たちよりもずっと高度な文明社会を経た後で現状に辿り着いたのかもしれませんね。 |
| 虎徹 | そりゃ平和なのが一番だけどよ。これじゃ『ヒーロー』の手本なんて見せられねえな……。 |
| アグリア | 見つけたぞ ! てめぇら ! |
| カイル | アグリア ! ? |
| ワイズマン | アグリアさん、どうされたのですか。 |
| アグリア | どうもこうもねえ !てめぇらに文句を言いに来たんだよ ! |
| バーナビー | 僕たちに……ですか。こちらには身に覚えがありませんが。 |
| アグリア | うっせー、黙ってろヒョロメガネ ! |
| バーナビー | ヒョロ…… ! ? |
| バーナビー | 初対面の相手に失礼じゃないですか ? |
| 虎徹 | なーに、子供の言うこと真に受けてんだよ。ちょうどいい、見てろ。こういう子に正しい道を示すのも『ヒーロー』の役目ってな。 |
| 虎徹 | あー、お嬢ちゃん。そんな言葉使いしちゃいけないぞ。それに、バニーはこう見えてけっこう繊細……。 |
| アグリア | はぁ ? 知るかそんなの。てめぇこそ黙ってろ変なヒゲ。 |
| 虎徹 | へ、変なヒゲだとお ! ?オシャレだよ ! オ・シャ・レ !わかんねえかなこのワイルドさが ! |
| バーナビー | 虎徹さんこそ真に受けてるじゃないですか。 |
| 虎徹 | 叱る時は叱るべきなんだよ ! |
| アグリア | どいつもこいつもゴチャゴチャうるせえ !あたしはムカついてんだ ! |
| ワイズマン | アグリアさん、どうか落ち着いてください。 |
| アグリア | 一番ムカついてんのはてめぇだ発光野郎 ! |
| アグリア | 人を勝手にこんなとこに連れてきて祭りで悪役をやれだあ ?かと思えばやっぱり必要なくなったって……。 |
| アグリア | ふざけんな ! |
| イネス | まあ、そう聞くと怒って当然よね。 |
| ワイズマン | 誠心誠意、謝罪はしたつもりだったのですが……。 |
| セルシウス | 虎徹、あなたのせいね。 |
| 虎徹 | ええっ ! ? 俺かよ ! |
| イネス | 悪役は必要ないって言い出したのタイガーじゃない。 |
| 虎徹 | だ、だけどよお……カイル !お前は俺の味方だよな ! な ! ? |
| カイル | 一応、謝っておいた方がいいんじゃないかな。ほら、アグリアすごく怒ってるし。 |
| 虎徹 | なにい ! 俺の味方はいねえのかよ ! |
| アグリア | 報酬を稼いで陛下の役に立てるならと思って我慢してたが、もう限界だ ! |
| 虎徹 | うわっちちっ ! なんだこりゃ ! |
| アグリア | アハハハ ! ほら、やってやるよ !お望み通りの悪役ってやつを ! |
| バーナビー | 火を操る能力ですか……。ファイヤーエンブレムさんとどちらが上でしょうね。 |
| 虎徹 | だから感心してる場合じゃねえって ! |
| カイル | アグリアには悪いけど、今は戦うしかないよ。 |
| イネス | そうね。とりあえず思い切りストレス発散させてあげないと話を聞いてもらえそうにないわ。 |
| セルシウス | 炎の術……嫌な相手だわ。 |
| 虎徹 | くっそー、やるしかねえってのかよ ! |
| Character | #N/A |
| ワイズマン | 皆さん、お待たせしました。 |
| カイル | アグリアは…… ? |
| ワイズマン | ガイアスさんにお越しいただいてなんとか納得してお帰りいただきました……。 |
| セルシウス | 心なしか、ワイズマンの光が弱まってる気がするわね。 |
| バーナビー | まあ、あの罵詈雑言ですから。聞いてるだけで疲弊しそうですよ。 |
| イネス | ……アグリアも相当苦労してきたらしいから。大目に見てあげましょ。 |
| 虎徹 | 十四、五歳ってとこか。うちの楓も、もしかしたらあんな風に……。いやいや ! 楓に限ってそんなことは ! |
| 虎徹 | ……帰ったら、もうちょっと楓との時間を作るか。 |
| ワイズマン | しかし、困りました。今後の『祭り』はどうしたら良いのか……。 |
| イネス | 『ヒーロー』の相手がいなくなったわけだものね。 |
| 虎徹 | だから、わざわざ悪役を用意するなんて間違ってるんだって。 |
| イネス | あら、ヴィクトル。どうかしたの ? |
| ヴィクトル | 先ほど、街中で戦闘があったと聞いたが。 |
| イネス | 声をかけられなくてごめんなさい。今回は、私たちで対処したわ。ちょっと事情があって。 |
| ヴィクトル | それは構わない。だが、私はいつまで待機していればいい。 |
| ワイズマン | それも、現在検討中です。虎徹さんから『ヒーロー』という存在についてご意見をいただいたので。 |
| ヴィクトル | ……そうか。必要があれば呼んでくれ。 |
| 虎徹 | 待ーった ! 待った !そう急ぐこともないだろ。 |
| ヴィクトル | なんだ。 |
| 虎徹 | お前も今は『ヒーロー』なわけだし。たまには俺らと親睦を深めようぜ、な ! |
| ヴィクトル | それはこの『祭り』の一貫か ? |
| 虎徹 | いや、そういうわけじゃねぇけどよ。 |
| ヴィクトル | ならば遠慮しておこう。 |
| 虎徹 | あ、おい ! 待てって ! ヴィクトル ! |
| 虎徹 | はぁ……付き合いの悪いヤツだな。 |
| バーナビー | あんまりしつこくすると嫌われますよ。 |
| 虎徹 | 俺はただ、『ヒーロー』同士せっかくだから仲良くやった方がいいと思って……。 |
| バーナビー | そういうの、嫌がる人もいるってことです。見たところヴィクトルさんは虎徹さんとは正反対のタイプだと思いますよ。 |
| セルシウス | 確かに、虎徹みたいに暑苦しくないわね。 |
| 虎徹 | そんなに暑苦しい暑苦しいって言うなよ !せめて熱血とかそういう……。 |
| バーナビー | 熱血って時代遅れですよ、そういうの。 |
| 虎徹 | いいだろ別に ! |
| イネス | ともかく、『祭り』を続けるなら次の手を考えないといけないわね。 |
| ワイズマン | そうですね。申し訳ありませんが皆さんにはそれまで待機していただくということで。 |
| 虎徹 | まあ、仕方ないか。よし。んじゃ行くぞ。 |
| カイル | 行くって、どこへ ? |
| 虎徹 | 平和ってのはちゃんと維持されてはじめて成り立つもんなんだ。 |
| バーナビー | 虎徹さんの言う通りですね。そういうことなら僕もお付き合いします。 |
| ワイズマン | すみません。バーナビーさんには少々手伝っていただきたいことが。 |
| バーナビー | 僕に、ですか ? |
| カイル | 結局、オレと虎徹さんだけになっちゃったね。 |
| 虎徹 | バーナビーは仕方ないにしてもセルシウスまであっちについていくとはなあ……。 |
| 虎徹 | 人のこと暑苦しいって。あの年頃の女の子は難しいわ。 |
| カイル | あの年頃って、セルシウスさんは虎徹さんよりずっと年上だよ。 |
| 虎徹 | マジかよ ! ?見た目はうちの楓とそう変わらねえのに ! |
| カイル | セルシウスさんは精霊だからね。ずーっと昔から生きてるんだ。 |
| 虎徹 | はー、見た目じゃわからねえもんだな。さすが異世界ってわけか。 |
| 虎徹 | あ ! もしかして、カイルお前も……。 |
| カイル | オレは普通の人間だよ !……もうちょっと背は伸びてほしいけど。 |
| 虎徹 | なーに、心配すんなって !カイルだって今にグーンと背が伸びるさ ! |
| カイル | そう言ってくれるのは嬉しいけどなんか、子供扱いされてるみたいだなぁ。 |
| 虎徹 | ははっ。俺から見りゃカイルはまだまだ少年だよ。 |
| カイル | そりゃあ、オレはまだ父さんみたいな英雄にはなれてないかもしれないけどさ……。 |
| 虎徹 | 英雄 ? お前の父ちゃんが ?ちょっとその話聞かせてくれよ。 |
| カイル | じゃあ、長くなるけど……。 |
| 虎徹 | そっか、憧れの人みたいになりたい気持ちは俺にもよくわかるわ。 |
| カイル | 虎徹さんも ? |
| 虎徹 | あぁ、俺もお前と同じように憧れの人がいて『ヒーロー』になったんだ。といっても、あの人みたいな偉大な『ヒーロー』にはまだまだなれてないんだけどな。 |
| 虎徹 | ……頑張れよカイル、お前ならきっと英雄になれるさ ! |
| カイル | うん、ありがとう。そのために今はまず、『ヒーロー』を頑張らないとね ! |
| 虎徹 | そうだな。そしたら、お前も決め台詞があった方がいいな。 |
| カイル | 決め台詞って、セルシウスさんが言ってたようなやつ ? |
| 虎徹 | あれは俺ら向きじゃない。もっとこう、カッコイイやつだ。 |
| カイル | カッコイイやつかぁ ! どんなのがいいかな。 |
| 虎徹 | 折紙のは……語尾に「ござる」だからなぁ。あいつには悪いがカッコイイとはちょっと違うよなあ。まあ、大事なことだからゆっくり考えようぜ。 |
| カイル | うん。わかった !決め台詞かあ……なんだかワクワクしてきた ! |
| 虎徹 | おう、その意気だ。……ヴィクトルもこのくらい素直だったらもうちっと話せるんだけどなぁ。 |
| カイル | ヴィクトルさんがどうかしたの ? |
| 虎徹 | いやほら、あいつどうもそっけないだろ。ずっと一人でいるし、ちゃんと友達いんのかな。 |
| カイル | そういえば虎徹さんは、ヴィクトルさんのことすごく気にかけてるよね。 |
| 虎徹 | まあ、同じ父親だからかな。しかも楓と同い年くらいの娘だっていうじゃねえか。 |
| 虎徹 | その娘とも、今は一緒に暮らしてないんだろ ?イネスから聞いたんだ。 |
| 虎徹 | そういうの知っちまうと、なんつーかこう他人の気がしないっていうか、あいつもいろいろ抱えてるもんがあるんだろうなって思ってよ。 |
| カイル | そっか。虎徹さんは、ヴィクトルさんを励ましたいんだね。 |
| 虎徹 | うーん……まあ、そうなのかもな。そういうことにしとくか。 |
| Character | #N/A |
| バーナビー | ハスタが、僕と話したいと…… ? |
| ワイズマン | ええ。そうすれば大人しく帰るとおっしゃっています。 |
| セルシウス | そんなこと気にせず、送り返せばいいでしょう ? |
| ワイズマン | こちらがお呼びだてしたわけですからできれば、穏便にお帰りいただきたいのです。 |
| バーナビー | わかりました。そういうことでしたら。 |
| ワイズマン | 助かります。では、こちらへ……。 |
| ハスタ | ウサギちゃ〜ん、待ってたよん。 |
| バーナビー | その呼び方はやめてください。 |
| ハスタ | あら、いきなりフラれちゃったのよ。もしかしてフワフワはお嫌い ?むしろゴワゴワな肌触り ? |
| バーナビー | 相変わらず意味不明ですね。僕に用があるのでは ? |
| ハスタ | その通りですよ !貴殿に耳よりなお話がゴザイマス。 |
| バーナビー | 聞きますから、早く用件を言ってください。 |
| ハスタ | ううーん、せっかちはいけません。耳よりというからには耳をお貸しいただかねば。 |
| バーナビー | お断りします。あなたのことです、近寄れば何をされるかわかったものじゃありません。 |
| ハスタ | あれま、つれない。ハスタくん大ショック !……チッ、坊やでもこっちはひねくれ坊やってわけか。 |
| バーナビー | 用が済んだなら僕は帰りますよ。 |
| ハスタ | 待った待った! まだまだ用事は終わってない。終わってないどころか、始まってもいない !オレたちこれからっしょ。 |
| ハスタ | 人の話は最後まで聞きなさいってパパとママだって言ってたはずデスよ。ウサギちゃんが絵本を読んでもらった時に。 |
| バーナビー | ……そんな話はしていません。 |
| ハスタ | おや ? パパとママのお話は退屈だった ?それともパパとママが退屈だった ?冷めた関係 ? 夫婦の危機 ? 家庭崩壊 ? |
| バーナビー | もう付き合いきれません。 |
| ハスタ | これまた図星だったかしら !それとも、今でも恋しいのかな。おかーさーん、おとーさーん ! |
| バーナビー | いい加減に…… ! |
| セルシウス | 黙りなさい。 |
| ハスタ | はがっ…… ! |
| バーナビー | セルシウスさん……。 |
| セルシウス | こんな男に、好きにしゃべらせることはないわ。あなたが怒りを感じる必要もない。 |
| バーナビー | ……ありがとうございます。あなたの言う通り、もう少しで取り乱すところでした。 |
| セルシウス | あなたの心が静かな方がわたしにとっても心地よいわ。 |
| バーナビー | ワイズマンさん、これで十分でしょう。彼の希望通り話は聞きました。 |
| ワイズマン | そうですね。このままセルシウスさんの氷でしばらく頭を冷やしていただきましょう。その後で、元の場所に送り返します。 |
| イネス | これが頼まれてた物資よ。 |
| マーク | いつも悪いな。助かるよ。だけど、今はアークにいるんじゃなかったか ? |
| イネス | ワイズマンに頼んで一時的に戻してもらったのよ。いつまでも自分の商売をほったらかしにできないもの。 |
| イネス | あ、そうだ、これ。ヴィクトルから手紙よ。定時連絡だって。 |
| マーク | あいつもマメだな。こっちのことは気にしなくていいのに。 |
| エル | パパがいるの ! ? |
| イネス | エルちゃん ? どうしてここに……。 |
| マーク | おっと。そういや、イクスのとこからお使いに来てたんだったな。 |
| イネス | えっと、ヴィクトル……エルちゃんのパパはここにはいないの。今は、アークに呼ばれていて……。 |
| エル | じゃあ、エルをパパのところに連れていって ! |
| イネス | ええと……どうしようかしら。一応、ワイズマンに聞いてみるけど……。 |
| エル | お願い ! |
| Character | #N/A |
| 虎徹 | それじゃ、問題だ。 |
| 虎徹 | 街中で犯罪者が暴れ、どこかに逃げ去っていきました。目の前には事件に巻き込まれ助けを求める人が大勢います。最初にすることはなんでしょう ? |
| 虎徹 | まずは、セルシウス君 ! |
| セルシウス | 犯人を追いかけて凍らせる ? |
| 虎徹 | だああああっ ! 不正解っ !次 ! カイル君 ! |
| カイル | えっと、まずは街の人を救助する……かな。 |
| 虎徹 | 正解 ! さすがカイル !やっぱお前は見所あるぜ ! |
| バーナビー | いったい何をやってるんですか ? |
| 虎徹 | おお、バニーか。こいつらに『ヒーロー』についての講義をしてたんだ。 |
| バーナビー | 『ヒーロー』について、講義ですか……。実践から、ずいぶん後退しましたね。 |
| 虎徹 | 仕方ねえだろ。この街はやたらと平和なんだから。 |
| バーナビー | まあ、ヴィクトルさんが参加しているのは進展したと言えるかもしれませんね。 |
| ヴィクトル | これも仕事だとイネスに頼まれたからだ。 |
| 虎徹 | 参加してくれるならなんでもいいさ。さっきの質問、お前ならどうする ? |
| ヴィクトル | まずはその犯罪者を叩く。問題は根本から解決しなければ無意味だ。 |
| 虎徹 | それじゃ目の前の人たちは見殺しじゃねぇか ! |
| ヴィクトル | 救助を優先すれば、その間、犯罪者は野放しだ。当然ながら被害は拡大する。 |
| ヴィクトル | どう転んでも一定の被害が出るのなら素早い解決を優先するのは当たり前のことだ。 |
| 虎徹 | それは…… !けど、目の前で苦しんでる人を放ってはおけねえだろ。 |
| ヴィクトル | なぜそれほど目先のことにこだわる。『ヒーロー』が人々の称賛を得ることを目的とするなら結果的にどれだけ被害を抑えられたかが重要だろう。 |
| ヴィクトル | 大局を見て、より大きな成果をあげた者が多くの称賛を浴びる。それは歴史を見ても明らかだ。 |
| ヴィクトル | そういう者は『英雄』と呼ばれる。 |
| カイル | 英雄……。 |
| バーナビー | 『英雄』という言葉は僕たちの世界にもあります。ですが『ヒーロー』という存在は、それとはまた違った意味をもって人々に浸透しつつあるのも事実です。 |
| 虎徹 | ああ、そうだ。上手くは言えねえけど『ヒーロー』ってのはそういうもんじゃねぇよ。 |
| セルシウス | 盛り上がっているようだけど呼び方なんて言葉以上の意味はないでしょう。 |
| バーナビー | セルシウスさん……。 |
| セルシウス | 結局、力がなければ何も成し遂げられない。言いたいことがあるなら戦って示しなさい。 |
| バーナビー | そんな乱暴な……。 |
| セルシウス | それが精霊のやり方よ。 |
| ヴィクトル | 確かに、言うだけなら誰にでもできる。何かを主張するなら行動と結果で示すしかない。 |
| セルシウス | なら、あなたも手伝うわよね ? |
| ヴィクトル | なに……。 |
| セルシウス | 行動で示せと言ったのはあなたよ。 |
| ヴィクトル | ……いいだろう。 |
| ヴィクトル | しばらく出番がなかったからな。ちょうどいい肩慣らしだ。それに、『ヒーロー』の力というのも見てみたい。 |
| 虎徹 | ヴィクトル、お前……。 |
| ヴィクトル | 来い。ワイルドタイガー。人を救うというお前の言葉がただの思い上がりでないか示してみろ。 |
| Character | #N/A |
| ヴィクトル | 『ヒーロー』、口だけではないようだな。 |
| 虎徹 | いつまで続けるつもりだ、ヴィクトル ! |
| ヴィクトル | いつまで、か……。 |
| ワイズマン | 皆さん ! 大変です ! |
| カイル | ワイズマン、どうしたの ? |
| ワイズマン | ハスタさんが、逃亡しました ! |
| バーナビー | あの男が ! ? いったいどうやって。 |
| ワイズマン | 様子を見に行った者を脅して牢を開けさせたようです。セルシウスさんの作り出した氷を武器にして。 |
| セルシウス | ……わたしのせいね。 |
| バーナビー | ヤツの挑発にのせられた僕にも責任があります。すぐに捕まえに行きましょう ! |
| ヴィクトル | ……決着は別の機会に持ち越しのようだな。 |
| 虎徹 | 決着なんてねぇよ。俺たちは敵同士じゃないんだ。 |
| ハスタ | 薄暗い地下牢からの大脱走 !そして大脱出からのハスタくん大復活 ! |
| ハスタ | 今度こそ、小綺麗なこの街を阿鼻叫喚のどん底へフォーリンダウンさせるために戻ってきました ! |
| ハスタ | なんて、一人で盛り上がっていても虚しいぽん。あんまり騒げないし。なぜならピカピカマンに見つかってしまうから。 |
| ハスタ | さて、ここまでコケにされたからにはオレさま仕返ししないと気が済まないデスよっと。とくに、いけすかないウサギちゃんには念入りにネ。 |
| ハスタ | どうしようかな〜……おやぁん ? |
| イネス | エルちゃん、私は仕事を片付けてくるからもうちょっとだけ待っててね。後でちゃんとパパのとこに連れてってあげるから。 |
| エル | うん。わかった。エル、ここで待ってるね。 |
| ハスタ | ほっほ〜ん……これはこれは……。ナイスな人質ちゃんを発見したかも。 |
| 虎徹 | くそっ、あのイカれ野郎どこに行きやがった !あんなの街をうろついてたらシャレにならねえぞ ! |
| 虎徹 | ……こっちにもいねぇか。だったらあっちだ ! |
| 虎徹 | おわっ ! ? ヴィクトル ! ? |
| ヴィクトル | ……お前か。 |
| 虎徹 | お、脅かすなよ !心臓止まるかと思ったぞ ! |
| ヴィクトル | 大げさだ。非常事態に警戒するのは当然だろう。 |
| 虎徹 | だからって、いきなり銃を向けるなよ……。それより、ハスタの野郎は ?なんか手がかりくらい見つかったか ? |
| ヴィクトル | いや、まだだ。奴のことだ、すぐに騒ぎを起こすかと思ったが……。 |
| イネス | ヴィク、トル……。 |
| 虎徹 | イネス ! ? ど、どうしたんだそのケガは !すぐに手当しねぇと……。 |
| イネス | うっ……私のことはいいの……。それより、エルちゃんが……。 |
| ヴィクトル | なっ……エル、だと…… ! ? |
| カイル | ダメだ。どこにも見当たらないよ。 |
| セルシウス | こちらにもいないわ。上手く隠れているみたいね。 |
| バーナビー | あの男、思ったより慎重ですね……。 |
| バーナビー | 確か、ワイズマンさんの力がなければこのアークからは出られないのですよね。 |
| カイル | うん。そのはずだよ。 |
| バーナビー | だとしたらただ逃げまわっても意味がない。ハスタ、いったい何を考えている……。 |
| ハスタ | はろはろ〜、ウサギちゃん。待った ? |
| バーナビー | ハスタ ! ? |
| ハスタ | 違う違う。そこは「ううん、今来たところ」って言ってくれないと。そしたらオレさまこう答えます。「ウソつけ、肩パットが尖りすぎてるぞ」って。 |
| バーナビー | 相変わらず意味のわからないことを……。 |
| セルシウス | 耳を貸す必要はないわ。わざわざ出て来てくれたんだからもう一度氷漬けにするまでよ。 |
| ハスタ | おおっと待ちなさいウサギさん & クーデレちゃん。コレを見てもそんなにメガネを四角くしていられますかい ? |
| エル | きゃっ ! |
| バーナビー | っ ! ? |
| カイル | エル ! どうしてこんなところに ! ? |
| エル | パパに会いに来たら、この人に捕まって……。イネスが、ケガしちゃって……。 |
| バーナビー | パパ……まさか、ヴィクトルさんの…… ! ? |
| ハスタ | 感動のご対面はここまで〜。続いてはハスタくんによるウサギちゃん血祭りショーです。 |
| ハスタ | 大変ショッキングな映像がございます。皆さま、目を皿のようにしてご覧下さい。 |
| 虎徹 | 見つけた ! あそこだ ! |
| イネス | エルちゃん…… ! |
| 虎徹 | 子供を人質にするなんて許せねぇ。今すぐ助けてやるからな ! |
| ヴィクトル | 待て ! |
| 虎徹 | ヴィクトル ! ? なんで止めるんだ ! ? |
| ヴィクトル | ハスタはまだこちらに気づいていない。ヤツが隙を見せるまで待つんだ。 |
| 虎徹 | んな悠長なこと言ってる場合か !エルちゃんが、お前の娘があのイカれ野郎の手の中にいるんだぞ ! |
| ヴィクトル | そんなことはわかっている !だが、確実に救うには慎重にいくべきだ。 |
| 虎徹 | だけどよぉ…… ! |
| イネス | タイガー !お願い、そのくらいにしてあげて。 |
| 虎徹 | なんで……あっ。 |
| ヴィクトル | エル……私は……。 |
| 虎徹 | ヴィクトル、お前……。 |
| 住人たち | きゃああああああっ ! |
| 虎徹 | っ ! ? 今度はなんだぁ ! ? |
| Character | #N/A |
| カイル | 悲鳴 ! ? |
| セルシウス | それだけじゃないわ。この気配……たくさんの魔物。 |
| バーナビー | 貴様、何をした ! ? |
| ハスタ | 同じ囚われの身。ボクちん同情を禁じ得ない。だから、解き放ったのです。 |
| セルシウス | 『祭り』のために魔物も用意しているとワイズマンが言っていたわ…… ! |
| カイル | 街の人を助けに行かなきゃ…… ! |
| ハスタ | んまぁ ! このいけず ! ハスタくんを置いてどこに行くつもりかしら ! |
| ハスタ | なーんて、一歩も動くなよボーイズアンドガールズ。危うくハスタくんの得物が、お嬢ちゃんの首筋にぶっすりイっちゃうとこだったぜい。 |
| エル | ひっ…… ! |
| バーナビー | くっ…… ! なんて卑劣な ! |
| ハスタ | 喜んでもらえて嬉しいよウサギちゃん。こういうシチュエーション最近なかったよネ ! |
| ハスタ | そんなわけで、街の連中が殺されていくのをそこで大人しく見てな。 |
| 虎徹 | くそっ、好き放題しやがって。もう我慢できねぇ ! |
| ヴィクトル | 待て。これはチャンスだ。 |
| 虎徹 | チャンス、だと……。 |
| ヴィクトル | ハスタはバーナビーに執着している。そこに必ず隙ができるはずだ。 |
| 虎徹 | まさか、それまで見てるってのか ! ?街の人たちが襲われてるのに ! |
| ヴィクトル | …………。 |
| 虎徹 | 目の前で困っている人は全員助ける。それが『ヒーロー』ってもんだ ! |
| イネス | タイガー……。 |
| 虎徹 | お前のやり方で助けられて、娘は喜ぶのかよ。答えろ、ヴィクトル ! |
| ヴィクトル | …………。 |
| 虎徹 | くっ……もういい ! |
| イネス | ちょっと、タイガー ! どこ行くのよ ! ? |
| 虎徹 | 俺は俺のやり方で助ける !街の人たちも、ヴィクトル、お前の娘もだ ! |
| ヴィクトル | ま、待て…… ! |
| ハスタ | うーん、思ったより騒ぎが大きくならないデスね。オレさま期待外れ。 |
| ハスタ | さて、どうするか……おっと、ウサギちゃん。一歩も動いちゃダメだって言ったじゃない。 |
| ハスタ | こいつはペナルティを科さないといけませんなあ。 |
| ハスタ | ちなみに、一歩というのはオレさま基準なのでウサギちゃんは二歩分ということになります。つまりはペナルティも二倍。 |
| ハスタ | ……いや、ちょっと待って。それじゃハスタくんの足が短いみたいじゃない。 |
| バーナビー | くっ……どうすれば……。 |
| 虎徹 | う、うわああああっ !助けてくれええええ ! |
| ハスタ | ああん ? なんだあ…… ? |
| カイル | えっ、虎徹さ── |
| バーナビー | しっ ! 待ってください。このまま様子を見ましょう……。 |
| 虎徹 | 化物がたくさん現れたんだよお !このままじゃ食い殺されちまう ! |
| ハスタ | チッ……その辺の住人か。おっさん、今すぐどっか行きな。オレさまは今いいとこなんだよ。 |
| カイル | そっか、ハスタはスーツの姿しか知らないから。 |
| セルシウス | それにしても迫真の演技ね。 |
| 虎徹 | そんなこと言わずに。な ?槍なんか持って、あんた強そうじゃないか。こう、パッと行ってササーッとやっつけてくれよ。 |
| ハスタ | あー、ハイハイ。じゃーお前から……って、おっさん。さっきと違ってずいぶん余裕があるな。 |
| 虎徹 | え ? そうかい ?そりゃま、こんだけ近づけりゃあな ! |
| ハスタ | なにっ ! ? |
| 虎徹 | いまだ ! |
| エル | このぉっ ! |
| ハスタ | いってぇ ! ? |
| エル | きゃっ ! ? |
| ハスタ | ガキが……。オレさまに噛みついてタダですむと思うな…… ! |
| ヴィクトル | いいや、タダではすまないのは貴様だ。 |
| ハスタ | ぐはっ…… ! ? |
| エル | パパ ! |
| ヴィクトル | エル、大丈夫か。どこかケガはないか ? |
| エル | うん。エル、平気だよ。 |
| ヴィクトル | そうか……よかった。 |
| 虎徹 | へへっ。タイミングばっちりだったぜヴィクトル。 |
| ヴィクトル | ああ。……感謝する、虎徹。 |
| ハスタ | いってー、あの仮面野郎本気で蹴りやがったな。人質は取り返されるし、ハスタくんの計画台無し。これぞ踏んだり蹴ったり ? |
| ハスタ | しかし、いつまでも失敗にクヨクヨしないのがハスタくんの良いところ。学校の先生にもそこだけは褒められた。 |
| ハスタ | おっと、この話はここまでね。次回、初恋の先生がある日無残な姿で発見され…… ! ?乞うご期待。 |
| バーナビー | いいえ、次はありませんよ。 |
| ハスタ | おや、ウサギちゃん。お怒りでいらっしゃる ?だけど暴力はイケナイ。はい、こーさん !善人のミナサマはこれで手が出せぶほあっ ! ? |
| バーナビー | おっと、失礼。降参しているのに気づきませんでした。 |
| ハスタ | クソが……てめぇら……殺す。殺してやる……。 |
| セルシウス | そこまでよ。 |
| ハスタ | がっ ! ? |
| セルシウス | 殺す殺すって……その言葉、聞き飽きたわ。そこで大人しくしていなさい。 |
| カイル | 二人とも、すごいコンビネーションだったね。オレ、また出番がなかったよ。 |
| セルシウス | 大したことじゃないわ。コンビネーションといえば、どうして虎徹の意図がすぐにわかったの ? |
| バーナビー | それは……まあ、バディですから。 |
| セルシウス | バディね……。 |
| バーナビー | お気に召さない答えでしたか ? |
| セルシウス | いいえ、そうじゃないわ。あなたも意外と暑苦しいなと思っただけよ。 |
| ワイズマン | 皆さん ! よかった、ご無事でしたか。どうやらハスタさんも捕らえてくださったようですね。 |
| イネス | ワイズマン、街に現れた魔物はどうなったの ? |
| ワイズマン | こちらで概ね処理しました。ケガをした者もおりますが皆、軽傷ですんでいます。 |
| 虎徹 | ふぅ……そうか。これで一安心だな。 |
| イネス | はぁ……これで『祭り』のために準備したものは全部台無しになっちゃったわね。 |
| 虎徹 | まーだ、んなこと言ってんのか。みんな無事で被害も抑えられた。それでいいじゃねぇか。 |
| イネス | それはそれ、これはこれよ ! |
| イネス | こっちはあれこれ準備するのにお金も時間もたっぷり使ってきたんだから !その損害、タイガーが立て替えてくれんの ! ? |
| 虎徹 | いい ! ? お、俺が払うのかよ ! ? |
| ワイズマン | まあまあ、イネスさん。そういうことでしたら一つ提案があります。 |
| ワイズマン | 実は、大型の魔物を別の空間に隔離してあります。街中で処理すると被害が拡大しそうだったので。その対処を『ヒーロー』の皆さんにお願いしましょう。 |
| ワイルドタイガー | おいおい、ここは…… ! |
| ワイズマン | はい、虎徹さんとバーナビーさんに馴染みのある景色を用意させていただきました。もちろんヒーロースーツも。 |
| イネス | ここで戦いの様子を『祭り』として放送するわけね。ポイントを競い合っていた『ヒーロー』が最後に共闘……。確かに盛り上がりそう ! |
| カイル | よーし、今度こそ活躍するぞ ! |
| セルシウス | 最後のひと仕事ね。 |
| ヴィクトル | 私も力を尽くそう。 |
| ワイルドタイガー | はぁ。まーだ働かせる気かよ。 |
| イネス | 住人たちのためよ。これも『ヒーロー』の仕事でしょ。 |
| バーナビー | そう言われてはやらないわけにはいきませんね。 |
| ワイルドタイガー | 仕方ねぇな……いくぞ、バニー ! |
| バーナビー | 了解です。虎徹さん。 |
| Character | #N/A |
| 虎徹 | やれやれ、どうにか魔物も片付いたな。 |
| バーナビー | お疲れ様です。虎徹さん。 |
| 虎徹 | お前もな、バニー。 |
| ヴィクトル | 虎徹……一つ聞きたいことがある。 |
| 虎徹 | んだよ。神妙な顔して。 |
| ヴィクトル | なぜ、あの時一人で飛び出した。エルの……他人の娘のために自分の身を危険にさらす理由はなかったはずだ。 |
| 虎徹 | まーだそんなこと言ってんのか。目の前で危険にさらされてる人がいたら助けにいくのが当然だろうが。 |
| 虎徹 | それに、お前が飛び出して行きたいのを必死に堪えていたみたいだったからな。 |
| ヴィクトル | 私が……。 |
| 虎徹 | 『ヒーロー』が自分の子供だけを優先していいのかって考えることもある。 |
| 虎徹 | けどよ、父親ってのは何よりもまず自分の子供の『ヒーロー』じゃなきゃいけねぇって思うんだ。 |
| ヴィクトル | なるほど……それが『ヒーロー』というものか。少し、わかった気がする。 |
| カイル | オレも、『英雄』と『ヒーロー』の違いがなんとなくわかったよ。 |
| カイル | 『英雄』は誰かにそう認められるもので『ヒーロー』は目の前の誰かを助けようとする生き方なのかも。 |
| 虎徹 | そう ! それだよ !ちょっとは『ヒーロー』のことが分かってきたな ! |
| バーナビー | 少年に代弁してもらってどうするんですか……。 |
| 虎徹 | い、いいだろ、こういうの苦手なんだよ ! |
| セルシウス | 『ヒーロー』は力じゃなくて生き方……。悪くない答えだわ。 |
| イネス | エルちゃん、パパに会えてよかったわね。 |
| エル | うん。ありがとうイネス。ケガは大丈夫…… ? |
| イネス | ええ。もうバッチリよ。 |
| ヴィクトル | 私からも礼を言おう。エルをここまで案内してくれたことに。 |
| イネス | 礼なんていいわよ。私も下手打っちゃったし。 |
| イネス | それに、エルちゃんは自分でワイズマンに頼み込んだのよ。「パパの力になりたい」って。 |
| ヴィクトル | エルが…… ? |
| エル | あのね、前にアークに来た時に言われたの。「力がなければ、そういう扱いを受ける」って。みんなのジャマになったり、置いていかれたり……。 |
| エル | だからエル、自分でやらなきゃって思ったの。パパにどうしても会いたかったから……。 |
| ヴィクトル | そうか……エルは強くなったんだな。 |
| ヴィクトル | だけど、これからはあまり無茶はしないでほしい。今度はパパの方からエルに会いに行くから。 |
| エル | ……うん。待ってる。パパもお仕事がんばってね。 |
| 虎徹 | 良い子だな、エルちゃん……。 |
| バーナビー | えぇ、たとえ特別な力がなくてもとても強い子ですね。 |
| ワイズマン | ところで皆さん。できれば、あらためて『祭り』を仕切り直したいと思うのですが……。 |
| 虎徹 | あー、そのことなんだけど、考え直させてくれ。やっぱ『ヒーロー』は本当に困ってる人のためにあるもんだからよ。 |
| バーナビー | 僕も同じ意見です。ここに『ヒーロー』のやるべきことはないと思います。 |
| ワイズマン | そうですか。残念ですが、お二人の意思は堅いようですね。 |
| カイル | そっか……虎徹さん、帰っちゃうんだね。もうちょっと話、聞きたかったな。オレの決め台詞だってまだ考えてないし。 |
| ヴィクトル | そうだな……私もだ。 |
| 虎徹 | カイル ! 嬉しいこと言ってくれるじゃねぇか !それにヴィクトルまで ! |
| 虎徹 | 俺も、お前とは父親同士じっくり酒でも飲みながら話がしたいと思ってたんだ。 |
| ヴィクトル | ふっ、そうだな。お前の娘の話も聞かせてくれ。 |
| 虎徹 | あぁ、もちろんだ !ほら、セルシウスもどうだ ! |
| セルシウス | わたしは遠慮しておくわ。 |
| 虎徹 | ……相変わらずお前さんだけは冷たいね。確かに、これでお別れってのも寂しいけどよ。 |
| バーナビー | そうですね。異世界にやってくるなんてそうそうない機会ですから。 |
| ワイズマン | その『想い』があるのでしたらシャドウを残してはいかがでしょう ? |
| 虎徹 | シャドウ ? なんだそりゃ ? |
| ワイズマン | この世界で生きることを望む心から作り出すお二人の分身のようなものですね。 |
| バーナビー | 僕たちの分身ですか……。おそるべき技術ですね。 |
| 虎徹 | なんでもいいや。とにかく、そのシャドウってのがあればこっちでも『ヒーロー』がやれるんだろ ? |
| 虎徹 | だったら迷うことはねぇ。別の世界だろうが、困ってる人を助けるのが『ヒーロー』ってもんだ ! |
| バーナビー | 仕方ありませんね……付き合いますよ。僕は虎徹さんのバディですからね。 |