Character1話【挑戦1 呼び出し】
レイア――うん、絶好調 !わたしも、そろそろ免許皆伝かな !
ジュードねえレイア、ちょっと休憩にしない ?組手をしてから、結構時間も経ってるし。
レイアええ~、ジュードってば、もう疲れちゃったの ?わたしはまだまだ……。
ぐぅ~~。
レイア……あっ。
ジュードははっ。やっぱりお昼にしようよ。ちゃんとレイアの分のお弁当も持ってきてるから。
レイア本当 ! ? さっすがジュード !じゃあ、早速準備して一緒に食べよう !
レイア……ふぅ、ごちそうさま !ああ、お腹いっぱいでしばらく動けないかも。
ジュードレイア、食べてすぐ横になると身体に悪いよ。
レイアもう、細かいなぁジュードは。気持ちいいから別にいいの。
ジュードはいはい。それよりレイア。どうして急に僕と稽古がしたいなんて言ってきたの ?
レイアう~ん、別に理由はなかったんだけどジュードもたまには思いっきり身体を動かしたほうがいいかと思ってさ。
ジュードなに、その理由……。けど、レイアの言う通りかも。最近は、ずっと本を読んでばかりだったから。
レイアもう、そんなことだろうと思った。でも、ジュードはすぐ頑張りすぎちゃうから今はそれくらい、のんびりしてたほうがいいかもね。
ジュード……のんびり、か。ねえ、レイアは他のみんなの様子とか聞いてたりするの ?
レイアうん。ミラは相変わらずキール研究室の人たちと一緒に大陸を飛び回ってるんだけど、そのせいでミュゼはミラに会えなくて寂しがってるみたい。
レイアあっ、そうそう。それで、ミュゼは暇だからってガイアスに付いていくことが多いんだってさ。
ジュードそうなんだ。でも、ミュゼが一緒だとガイアスも目立ちそうだね。
レイアうん。街では『遊び人のアーストと謎の美女』って言われてて、有名人になっちゃってるみたい。
レイアでも、街の人たちからはすごい信頼されてるみたいだしそういうところはさすがガイアス ! って感じだよね。
ジュードそっか。やっぱり、ミラもガイアスも自分の為すべきことのために行動しているんだね。
ジュード……僕も、二人に負けないように頑張らなきゃ。
レイア……ジュード ?
ジュードあれ ? 僕の魔鏡通信に連絡が来てる。誰からだろう……。
イバルおい、ジュード ! お前に話がある !
ジュードイバル ? どうしたの、急に ?
イバルいいから黙って聞け。これから俺が言った日時にコロセウムの街に来い !
レイアコロセウム ? そこって確か闘技場がある場所だったよね ?
ジュードえっと、イバル。もう少し詳しい話を……。
イバルその必要はない。来ればすぐにわかることだからな。それより、絶対に遅れるんじゃないぞ ! わかったな !
ジュード……あ、切れた。なんだったんだろ、今の連絡……。
レイアあれ ? それより、イバルは結局いつコロセウムに行けばいいのか言わなかったよね ?場所だってすごい大雑把だったし……。
ジュード待って、イバルから魔鏡通信文が届いてる。
ジュード……待ち合わせ場所は闘技場のロビーで日時もちゃんと書いてあるけど、やっぱり詳しい用件は書いてないね。
レイアう~ん、なんで闘技場に呼び出したんだろう……。まさか、ジュードと決闘したいとか ?
ジュードそれはないと思いたいけど……。とにかく、さっきの様子だと行ってあげたほうが良さそうだね。
レイアジュードって、なんだかんだイバルの相手をしてあげてるよね。
ジュードそうかな ? けど、イバルから僕に連絡をするなんてよっぽどのことだと思うから。
レイアまあ、いいや。とにかく、ジュードが行くっていうならわたしも一緒に付いていくね。
ジュードえっ ? 別に僕一人だけでも……。
レイアそうと決まれば、まずは出掛ける準備だね !あっ、そうだ ! 他のみんなにも連絡入れとこっと。
ジュードもう、レイアってば……。
ジュードでも……イバルが僕を呼び出すなんて一体、どんな用件なんだろう…… ?

Character2話【挑戦2 コロセウムにて】
ジュード結構人が多いね。でも、ロビーにいるなら……あっ、見つけた。
イバル遅いぞ、ジュード ! って、なんだ、レイア。お前も一緒に来たのか。
レイアだって、気になったんだもん。ねえ、なんでジュードを呼び出したの ?
イバルふっ、それはだな……。ジュード、お前に俺の仕事を手伝わせてやる !
ジュード仕事 ? それって、この前のサンタクロースみたいなこと ?
レイアあー、あれ、楽しかったよね !わたしたちのこと、新聞でも紹介されててビックリしたよ。
イバルそうだ ! そして、お前たちは知らないだろうがあの後も俺はルドガーたちを率いて八面六臂の大活躍を――
レイアあー、ごめん。長くなりそうだから手短にお願い。
イバルなんだとっ ! ? まあいい……。とにかく、この俺に仕事を任せたいという連中から次々と依頼が舞い込んでいてな。
レイアそっかぁ、イバルもがんばってるんだね。
ジュードじゃあ、イバルがコロセウムに来たのも仕事ってこと ?
イバルああ。だが、仕事の内容に問題が発生してな……。
レイア問題 ?
イバルいいか、一度しか言わないからよく聞けよ。
イバル今回の依頼主はリーゼ・マクシア大陸で商会を営む人間だ。そして、このコロセウムと貿易条約を結ぶための交渉をしたいそうだ。
イバルだが、他にも大陸を代表して貿易を仕切りたいという商会が多くてな。コロセウム側と交渉を始める前にそこははっきりさせておきたいと。
レイアえっと、つまり、イバルの依頼主の人は自分たちの商会が中心になって話を進めたいんだね。
イバルそういうことだ。そして、コロセウム側からの提案で今回行う闘技場トーナメントの結果でリーゼ・マクシア側の代表者を決めることになった。
イバル当然、各商会はすぐに戦える人間を雇い始めたが俺の依頼主は、この俺の強さを見抜いて仕事を頼んできたわけだ ! はっはっはっ !
レイアそういえば、確かミリーナたちもコロセウムの代表者と交渉する為に、闘技場に出たことがあったんだっけ ?それと似たような話かもしれないね。
ジュードうん……話は大体わかってきたんだけど結局、僕を呼んだ理由ってなんだったの ?
イバルそれはだな……。今回の闘技場トーナメントのルールが、煩わしいことにタッグバトルだったんだ……。
レイアえっ ? じゃあイバルは無理じゃない。いっつも一人だし。
イバル俺を寂しい人間みたいに言うなっ !大体、依頼を受けたときは、ちゃんと当てはいたんだ !
イバルだが、そのルドガーからは家族みんなでピクニックに行くからと断られ、ヴィクトルも娘と出掛けるからと断られてしまった……。
イバルくそっ ! あいつら、同じ日に用事があるなんて肝心なときに使えない連中だ !
レイアいや、それって二人とも一緒にピクニックに行ってるだけだと思うよ。エルだったら、みんな一緒に行こうって言いそうだし。
イバルとにかくだ ! ジュード、俺は仕事を遂行するために仕方なくお前に声をかけたんだ !ありがたく思え !
レイアイバル、やっぱり友達少ないんだね……。
イバル断ろうとしても無駄だぞ。依頼人には話を通してあるし、出場者としてエントリーも済ませておいたからな。
ジュード……はぁ、わかった。事前に教えて欲しかったけどイバルも困ってるみたいだし、手伝うよ。
レイア良かったね、イバル。ジュードがお人よしで。
イバルふん、俺に協力するのは当然だ。いいか、ジュード。俺の任務に関わった以上本気でやってもらうぞ。
イバルと言っても、お前はただの数合わせだ。他の連中が集めた代表者なんぞ一瞬でこの俺が倒してしまうからな !
ガイアスそうか、お前たちも来ていたのだな。
ジュードえっ、ガイアス ! ?
イバル貴様 ! 何故ここにいる ! ?
ミュゼふふっ、それは私たちも今回の闘技場トーナメントに参加するからよ。
レイアミュゼもいたの ! ? っていうか、今トーナメントに参加するって言った ?
ミュゼええ、さっきガイアスと一緒にエントリーを済ませたところよ。
ガイアスジュード、どうやらお前もトーナメントに参加するようだな。
ジュードう、うん……。だけど、どうしてガイアスが……。
ガイアスお前たちと似たような話だ。俺も、付き合いのある商会の連中に頼まれてな。
ガイアス『遊び人のアースト』としてそいつらの頼みを引き受けることにしたのだ。
ミュゼ私は付き合わされただけなんだけどジュードがいるのなら、少しは楽しめそうね。
イバルちょっと待て ! リーダーは俺でジュードはただの数合わせだ !
ミュゼあなたは……誰だったかしら ?
イバルこの俺を忘れているだとっ ! ?いくらミラ様の姉だからといってもこんな屈辱は…… !
ミュゼふふっ、冗談よ。だけど、あなただけだったら少し物足りないしジュードがいてくれて良かったわ。
イバルなっ…… ! ?
ガイアスその辺にしておけ、ミュゼ。だが、ミュゼの言う通り、お前たちがいるならこちらも楽しみが増えたというものだ。
ガイアスジュード、戦いの場となれば手加減はしない。お前も全力で挑んでこい。
ジュードガイアス……。
ガイアス行くぞ、ミュゼ。
ミュゼええ。それじゃあ、あなたたちも頑張ってね。
レイアビックリした……ガイアスとミュゼまで参加してたんだね。
ジュード……うん。
イバルはっ ! あの二人が相手だろうが最後に勝つのは俺だ !ジュード ! お前もビビるんじゃないぞ !
ジュード僕が、ガイアスたちと……。
レイア……ジュード ?
ジュード……うん、イバルの言う通りたとえ、ガイアスとミュゼが相手でも僕は全力でぶつかってみせる。
イバルよし、そうと決まれば俺たちも行くぞ !この俺の活躍を、観客共に見せつけてやる !

Character3話【挑戦3 予選開始】
レイアお~い、みんな~、こっちこっち~ !
ティポレイアー、おまたせー !
エリーゼ遅くなっちゃいました。
レイアううん、大丈夫。ジュードたちの試合はこれから始まるところだから。
アルヴィンしかし、あの巫子とジュードが一緒に戦うとはね。あいつら、水と油みたいなもんだろ ?
ローエンですがジュードさんも彼の性格は理解しておられます。案外、面白い戦いをしてくれるかもしれません。
アルヴィンだといいがな。せっかく来てやったのにすぐに負けちまうところを見るなんてオチはやめてくれよ。
エリーゼもう ! アルヴィンはどうしてすぐそんなこと言うんですか !
ティポアルヴィンのいじわるー !
ローエンまあまあ、エリーゼさん。アルヴィンさんも応援したい気持ちがなければ、遠路はるばるこちらに来ることもなかったでしょう。
ローエンそうですよね、アルヴィンさん ?
アルヴィンご親切なフォロー、どうも。ところで、ミラは来てないのか ?
レイアうん……さっきも連絡を入れたんだけど繋がらなくて。でも、魔鏡通信文は送っておいたから時間が出来たら来てくれるかも。
エリーゼミラ、やっぱり忙しいんですね。
アルヴィンまぁ、逆に良かったんじゃねえの ?ジュードはともかく、イバルはミラがいると空回りしそうだしな。
レイアあー、確かに。それはあるかも。
ローエンでは、ミラさんの分まで我々がジュードさんたちを応援しましょう。
エリーゼあっ、ジュードたちが出てきました !
イバルいいか、ジュード。相手の奴らは俺が倒す。お前は俺のフォローに回れ。
ジュードイバルがそれでいいなら構わないけど……危なかったらすぐに僕も前に出るからね。
イバルふんっ ! この俺にピンチなどあるものか !いくぞっ !
イバルはっはっはっはっー ! !どうだっ ! この俺の実力は ! !
観客――ワアアアアアアアッ ! ! ! !
レイアやった ! ジュードたちの勝ちだね !
アルヴィンへぇ、即席の割には、よくやってるんじゃねえの ?
ローエンええ……。
ローエン………………。
エリーゼローエン ? どうかしたんですか ?
ローエンいえ、私もお二人のように若々しく動き回れたら、と思いましてね。特に、最近は肩こりが酷いのが悩みの種で。
ティポローエンも大変だねー。エリーゼ、後でローエンに肩たたきしてあげようー。
エリーゼはい。ローエン、無理は駄目ですよ。
ローエンこれはこれは、思わぬ楽しみができました。
アルヴィン……本当のことを言わなくて良かったのか ?
ローエン今、私が不安を煽るようなことを言っても仕方ありません。ときには、静かに見守るのも大事なことです。
イバルふっ、やはり俺の敵ではなかったな !この調子で優勝は頂くぞ !
ガイアスああ、そうでなくては困る。
ジュードガイアス……。そっか、次は二人がいるブロックの予選なんだね。
イバルまったく、運のいい奴め。俺と同じブロックだったら今頃お前たちは地面に這いつくばっていたところだ。
ミュゼあら、面白い冗談を言うのね。
イバル冗談ではないっ ! 俺は本気だ !
ガイアスそうか。ならばよく見ておくがいい。俺たちの戦いをな。
イバル……くそっ、随分と余裕な態度を見せやがって !いいだろう、そこまで言うなら、お前たちの戦いも見てやろうじゃないか !
ジュード多分、ガイアスたちが予選で負けるようなことはないと思うけど……。
ガイアス――はああああああああっっ ! !
二人! ? ! ?
ガイアス……もう終わりか。
ミュゼ張り切り過ぎよ、ガイアス。私も少しは遊びたかったわ。
イバルおい、嘘だろ…… !試合が始まってすぐだぞ…… !
ジュードやっぱり、今の僕のままじゃ……。
観客たち――アースト ! ! アースト ! ! アースト ! !
アルヴィン大盛り上がりだな。まあ、あんな試合を見せられたら観客たちもこうなるわな。
ローエンやはり、ガイアスさんには人を惹きつける力がありますね。
レイアやっぱりガイアスってすごいんだね……。ん ? あれ…… ?
アルヴィンどうした、レイア ?
レイア今、アグリアがいたの。もしかして、わたしたちみたいに応援に来たのかな ?
ローエンアグリアさんですか ?確かに、ガイアスさんがいらっしゃるのならその可能性はありますが……。
レイアわたし、ちょっと声かけてくる !
アグリア……まだ、あいつらはいやがらねえか。
レイアアグリア !
アグリアてめっ…… ! こんなところで何してやがる。
レイア何って、多分アグリアと一緒だよ。まぁ、わたしたちはジュードの応援だけど。
アグリア応援だぁ ? けっ、相変わらずおめでたい頭してんな。
レイアえっ、違うの ? だったら……。
アグリアあー、うるせぇ ! てめえには関係ねぇだろ !
レイアちょ、アグリア ! 待ってよ !
アグリア黙れ、ブス ! あたしは今イライラしてんだ !これ以上近づいてきたら燃やすぞ ! わかったな !
レイアアグリア !……ああ、本当に行っちゃった。
レイアでも、ガイアスの応援じゃないならアグリアはどうして闘技場に来たんだろう……。

Character4話【挑戦4 本戦を控えて】
ティポジュードー。本選出場おめでとー !
エリーゼジュード、カッコよかったです。
ジュードありがとうエリーゼ。それに、みんなも遠いところまで応援に来てくれたんだね。
アルヴィン仕方ないだろ。来ないとレイアがうるさいからな。
レイアあー、そんなこと言うんだったら今度からアルヴィンには連絡しないよ。
アルヴィン冗談だよ。ま、ジュードとしては一番来て欲しかったやつが来てないのは不満だろうけどな。
エリーゼレイア、ミラからは何も連絡がないんですか ?
レイアうん……。もしかしたら、魔鏡通信文もまだ見てないかも……。
ジュード仕方ないよ。ミラが忙しいのは知ってるから……。
レイアジュード……。
ローエン……ところで、イバルさんの姿が見えませんがどちらに行かれたのでしょうか ?
ジュードあ、うん。イバルなら、依頼主の人に呼ばれて話をしてるみたい。
レイアあ、戻ってきたよ。
イバル待たせたな、お前たち !
アルヴィン別にお前を待ってたわけじゃないが話は終わったのか ?
イバルああ、この俺が負けるわけないと改めて言ってやったからな。
依頼主の商人エージェント、イバル。君がそこまで言うのなら私も信じるが、こちらも高い報酬を払っていることを忘れないでもらいたい。
依頼主の商人何より、あのアーストという男を雇っている商会は若造ばかりが集まっているようなところだ。そんな奴らに、この大口案件を奪われてたまるか。
ローエン失礼。今、「奪われる」と仰いましたが今回の大会は、あくまで貿易条約を結ぶために代表者を決めるだけではないのですか ?
依頼主の商人……商売ってのはそんな甘いもんじゃない。まだ経験も知識も浅い奴らに任せてみろ。自分たちの利益を優先するに決まってるさ。
アルヴィンへぇ、ご立派な考えだな。だが、それはおたくらも一緒なんじゃないか ?だからこそ、高い金払ってでも勝ちたい。そうだろ ?
依頼主の商人素人に何と言われようと構わん。こっちにも長年背負ってる看板ってものがあるんだ。
イバルふっ、安心しろ。あんたはこの俺に目をつけた時点で勝ったも同然だからな !ジュード、お前も何か言ってやれ !
ジュードえっと……明日も、頑張ります……。
依頼主の商人……本当に大丈夫だろうな。まあいい。明日も頼んだぞ、エージェントイバル。
イバルくっ ! ジュード ! なんだ、今の態度は ! ?
アルヴィンおいおい、ガイアスたちが相手だからナーバスになっちまうのはわかるが、あそこは嘘でもいいから胸張んなきゃ駄目なところだぞ。
エリーゼそんなにジュードを責めないでください。ジュードはアルヴィンと違って嘘つきじゃないんです。
レイアそ、そうだよ ! わたしだって、ガイアスとミュゼといきなり戦えって言われたらちょっと怖気づいちゃうかも……。
ジュード……ううん、アルヴィンやイバルの言う通り嘘でもちゃんと態度で見せなきゃいけなかったね。
レイアだ、大丈夫 ! ジュードなら絶対ガイアスたちにも勝てるよ !
ジュード……ありがとう、レイア。そうだよね、みんなもせっかく応援に来てくれたんだから、僕も頑張らなきゃ。
レイアジュード……。
ジュードごめん、僕、先に部屋に戻るね。
エリーゼ……ジュード、大丈夫でしょうか ?
ローエンジュードさんにとって、ガイアスさんは尊敬する人物であると同時に、いつかは超えなくてはいけない人物だったのでしょう。
ローエンそのガイアスさんと戦う以上、ジュードさんの心にも不安や葛藤があって当然です。
ティポぼくたち、何かできないかなー ?
ローエン今は見守ってあげましょう。私たちの知っているジュードさんなら必ず、自らの不安も退けることでしょう。
アルヴィンだといいがな。
イバル…………。
ジュード……明日は、いよいよガイアスたちと戦うことになるかもしれない。
ジュード大丈夫、僕だって……。
――ガンッ、ガンッ、ガンッ !
ジュード……窓の音、かな ?でも、風なんてそんなに吹いてなかった気が……。
イバル――おい ! 開けろ ! ジュード !
ジュードイ、イバル ! ? なんで窓なんかに張り付いて……。
イバル――聞こえてるのか ! ? 開けろと言ってるんだ ! !
ジュードわ、わかったよ……。
イバル……ふぅ。もう少しで落ちるところだったぞ。
ジュードど、どうしたの ? 僕に用事があるならちゃんとドアから来てくれれば……。
イバルジュード、少し俺に付き合え。
ジュードえっ ?
イバルいいから付き合えと言ってるんだ ! 行くぞ !
ジュードえっ、イバル、そっちは窓……って !うわあああっ ! !
ジュード……はあ、はあ。イバル……一体どうしたの ?いきなり窓から飛び降りるし、僕をこんなところまで連れて来て……。
イバル……ジュード。今から俺と戦え。
ジュード戦うって、イバルと ! ?
イバルそれ以外に何がある !
ジュードま、待ってよ !理由くらい、ちゃんと話してくれないと…… !
イバルうるさい ! 今から俺がお前の根性を叩きなおす !覚悟しろ、ジュード ! !

Character5話【挑戦5 かつての自分】
ジュード……くっ !
イバルどうした、ジュード !何を弱気になっている !
ジュード弱気……。僕が……。
イバルそうだ ! 俺が知っているお前は今のような腰抜けじゃない !
イバルジュードという奴は、例えどんな逆境に立たされても決して諦めない男だった !だからこそ、お前はミラ様に選ばれたのだろう ! ?
ジュード! ?
イバル思い出せ、ジュード ! !ミラ様の隣にいたお前自身のことをな ! !
ジュード……そうだ ! 僕は…… ! !
イバル思い出さないのなら、このまま俺がお前を倒す !喰らえ ! 空破殺撃弾 ! !
ジュード――はああああっ! !
イバルなにっ ! ?
ジュードイバル……確かに君の言う通り僕はずっと……心のどこかで迷っていたんだ。
ジュードミラやガイアスは、この世界に来てからも自分たちの為すべきことを見つけて行動しているのにそうじゃない自分はどうなんだろう、って……。
ジュードだけど、ミラやガイアスが認めてくれた僕はただ立ち止まっているような人間なんかじゃないっ !
イバルくっ……この動きは…… !
ジュード僕は、僕自身の意思で前へ進まなくちゃいけないんだ !
イバル――ぐぅっ !
ジュード……はぁ、はぁ。
イバル……ふっ。ようやく目が覚めたようだな。
ジュードうん、イバルのおかげでね。
イバルまったく、手間のかかるやつだ。ならば、俺はもう帰るぞ。
ジュード……あっ、待って、イバル。そういえばイバルにも渡しておきたいものがあって……。
イバルなんだ、これは……魔鏡というやつか ?
ジュード浄玻璃鏡っていって、詳しく話すと長くなるんだけど僕たち鏡映点はみんな持ってて、それは僕が予備で預かっていたものなんだ。
ジュードイバルみたいにまだ浄玻璃鏡を渡してない鏡映点の人たちもいるから。きっと、イバルの力にもなるときが来るはずだよ。
イバル……ふんっ。そういうことなら受け取っておいてやる。話はこれで全部か ? だったら俺は帰るぞ。お前の根性も叩き直せたからな。
ジュードイバル……。
イバル礼などいらん。これも、全て仕事の為だ。なんたって俺はプロフェッショナルのエージェントだからな !
ジュードえっと……イバル、僕たちの宿は逆の方向だよ。
イバルそ、そんなことはわかっている !少し遠回りをして帰ろうとしただけだ !
ジュードははっ、イバルに説教されるなんて思わなかったな。
ジュードだけど……ありがとう、イバル。
レイア…………。
ローエンレイアさん、ジュードさんにバレないうちに宿に戻ったほうが良いのでは ?
レイアひぃああ ! ? って、なんだ、ローエンか……。ビックリさせないでよ。
ローエンこれはこれは、失礼いたしました。ですが、どうやらレイアさんの心配も解決したようですね。
レイアうん……だけど、まさかイバルがジュードを励ますなんてね。
ローエン意外と、私たちが知らない未来の彼はジュードさんのことを認めているのかもしれません。
レイアだったら、素直にそう言えばいいのに。
ローエンそう簡単にはいかないのが、ライバルというものです。いやはや、これも一つの青春の形ですね。
レイアなにそれ、わたしにはよくわかんないかも。
レイアだけど……わたしはジュードの様子がおかしいことに気付いてたのに、何もしてあげられなかった……。
ローエンレイアさん。私は、決してそうは思いません。現に、あなたはジュードさんのことを気に掛けて悩んでいたではありませんか。
ローエンそんなレイアさんの優しさに、ジュードさんは何度も助けられたはずです。
レイアそうかな ?
ローエンええ、私が保証いたします。
レイアうん、そうだといいな。ありがとう、ローエン。
ローエンいえいえ。では、今日見たことは我々だけの秘密にしておきましょう。

Character6話【挑戦6 アグリアの目的】
エリーゼわぁぁ、今日は昨日よりも人がいっぱいですね。
アルヴィンエリーゼ、あんまり俺たちから離れるなよ。迷子を迎えに行くのはごめんだからな。
エリーゼ迷子になんてなりません !
ティポエリーゼを子供扱いするなー !
アルヴィンへいへい。しかし、本当に人が多いな。
ローエンどうやら、昨日のガイアスさんたちの試合が話題になっているようですね。
レイアじゃあ、ここの人たちのほとんどがガイアスとミュゼを見に来たってこと ?
アルヴィンそうだとしたら、ジュードたちは完全に当て馬だな。こりゃあ、相当やりにくくなるぜ。
レイアじゃあ、その分わたしたちも負けないように応援しないと……って、あれ ?
ローエン今のは、アグリアさんでしょうか ?
レイアうん。だけど、闘技場とは全然違う方向に歩いて行っちゃったよね ? なんでだろう ?
アルヴィンそんなの、本人に聞かなきゃわかんねえよ。と言っても、聞きに行ったところで昨日みたいに追い払われるのが関の山だろうけどな。
レイアうーん……。だけど、やっぱり気になる。わたし、ちょっと追いかけてくる !みんなは先に行ってて !
アルヴィン……ったく、あいつも懲りないねぇ。
エリーゼだけど、そこがレイアのいいところですよ。
ローエンでは、私たちは先に闘技場に入っておきましょう。この様子だと、場所取りも大変そうですからね。
レイアあれー ? アグリア、たしかこの辺りに入っていったはずなんだけど……。
レイアもしかして、わたしが追いかけてるのに気づいてこんな森の中に入って撒こうとしたのかな……。
? ? ?……情報通りだ。あの男は闘技場の試合に参加している。
レイア今の声……アグリアじゃないよね ?男の人の声だったし、誰かいるの ?
? ? ?了解。では、第二、第三部隊と合流後に作戦を開始する。
レイア(えっ…… ! ? あれって、帝国軍の兵士 ! ?でも、どうして……)
アグリアはっ ! ようやく尻尾を出しやがったな。
兵士Aだっ、誰だ ! ?
レイア(アグリア ! ?)
アグリア名乗るつもりはねぇ。陛下の命を狙うカス共なんかにはな。
兵士Bまさか、我々の計画を知っているのか ! ?
アグリア……やっぱりな。陛下がリーゼ・マクシア大陸の治安に関わるようになったら、必ずてめえらみたいなカスが出てくると思って警戒してたんだよ。
兵士Aならば、貴様はあのガイアスの部下というわけか。
アグリアだったら、どうだってんだぁ ?
兵士A丁度いい。貴様を捕獲し人質として使う。当初の予定とは異なるが、むしろ好都合だ。
アグリアアハハハハ ! ! あたしを人質だって ?いいぜ、やれるもんならやってみな ! !
レイアアグリア ! !
アグリアなっ ! てめえ ! なんでこんなところにいやがる !
兵士Aもう一人、仲間がいたか。だが、まあいい。こちらは小隊規模の兵士がいるんだ。数でこちらが負けることはない、かかれ !
兵士たち――うおおおおおおっっ ! !
レイア説明はあと ! この人たちを倒さなきゃいけないんでしょ ! ?だったら、わたしも手を貸すから ! !
アグリアクソッ ! てめえの手なんかいらねぇよ !陛下を狙おうとしたこいつらはあたしがまとめて燃やしてやる ! !

Character7話【挑戦8 対立】
レイアはああああああっ ! !
兵士Bぐはっ !
レイア……よし。これで、全員倒せたよね ?アグリア、大丈夫だった ?
アグリアはぁ ? 当たり前のこと聞いてくんじゃねえ、ブス !
レイアちょ ! ? 人が心配しているのになんでそんな言い方するかな ! ?
アグリアだいたい、なんでてめえがここにいんだよ !そんなにあたしの邪魔がしたかったのか ! ?
レイア邪魔なんてしてないでしょ ! ?わたしはただ……アグリアのことが気になって……。
アグリアはっ ! それでわざわざ付けてきたって訳か。だったら、もういいだろ。あんたは、あのボーヤのところにでも戻りな。
レイア待って。アグリアはどうするの ?
アグリア決まってんだろ。陛下を狙った奴らは全員始末する。
兵士A……ぐっ。
アグリアちっ。まだ息があんのか。……まあいい、すぐ楽にしてやるよッ !
レイアアグリア ! ? 駄目 !
アグリアてめっ ! ? 邪魔すんじゃねえ !そこをどけっ ! !
レイアどかない ! だって、もう勝負はついてるんだよ ! ?
アグリアお前には関係ねぇだろ ! !
レイア関係あるよ ! ! わたしは……。わたしはアグリアにそんなことしてほしくないっ !
アグリア! !
アグリアいい加減にしろよ…… !そんなにあたしの邪魔したいってんならてめえごと丸焼きに――
兵士B……覚悟ッ !
アグリア何っ ! ?
レイアアグリア ! ! あぶないっ ! !
レイアきゃああああっ ! !
アグリア! ?
兵士B……仲間を庇ったか。だが、一矢報いることはできたようだ。
レイア……ううっ !
アグリアおい、ブス ! なに余計なことしてくれてんだっ !
レイアアグ……リア……。良かった……怪我……しなかった…… ?
アグリアお前…… !
兵士Cこれは……第一小隊がやられているじゃないか ! ?おいっ、一体何があった ! ?
アグリアこいつら…… ! ! くそっ、潜んでた兵が集まってきやがったのか…… ! !
兵士Bた、助かった……。こいつらはガイアスの関係者だ。奇襲を受けてしまったが、一人は重傷。そのまま、あいつらを捕らえてくれ !
兵士C了解 ! おい、お前 !大人しく我々に降伏しろ ! !
アグリア……ふざけやがって。そんなに死にたきゃ、あたしが全員燃やしてやるよ !
レイア……アグ、リア……待って。
アグリアおいっ ! ? 動くんじゃねえ ! 死にてぇのか ! !
レイアこんな傷……全然平気…… !わたし……身体だけは丈夫だから…… ! !
レイアだから……わたしも戦う ! !わたしは……アグリアを助けたいから ! !
アグリアな、なんだ、この光…… ! ?
レイアもしかして、わたしの浄玻璃鏡が…… !
兵士Cひ、怯むな ! 魔鏡を持っているようだがどうせ、ただの小細工だ !総員、かかれ ! !
レイアこの力があれば…… ! アグリア ! !
アグリア……くそっ ! そのままくたばっても知らねぇからな !

Character8話【挑戦9 少女の奮闘】
兵士Cそんな……馬鹿な……。たった二人に、我々が負けるとは……。
レイア……はぁはぁ。やった……わたしたちの勝利……だね……。
アグリア……いや、まだだ。
レイアアグリア !
レイアあれ…… ? 力が入らない…… !
アグリアてめえら、覚悟はできてんだろうな ?
兵士C……敵に情けをかけられるつもりはない。我々は、誇り高き帝国軍の兵士だ。
アグリアそうかよ。だったら……。
レイアやめてっ ! アグリア !
アグリア――今度、陛下の命を狙うようなことしやがったらてめえら全員丸焼きだ ! わかったか !
兵士Cトドメを……刺さないのか ?
アグリア……てめえらみたいなカスの命なんて興味ねえよ。それに、今はうるせぇ奴もいるからな。
レイアアグリア……。
アグリアおい、ブス。お前、薬とか持ってねえのか ?
レイア……えっ ? えっと、少しだけなら持ってるけど。
アグリアだったら、それ全部出せ。
レイアアグリア、どこか怪我したの ?
アグリアいいから、とっとと出せ。
レイアわ、わかったよ……。
アグリア……これだけありゃあ十分か。おい、動くなよ。
レイアえっ ? ちょ、アグリア ! 痛い痛い痛い痛い !
アグリア動くなっつってんだろ。それ以上騒ぐなら、傷口燃やして止血すんぞ。
レイアなにそれ、怖っ ! ?
アグリアほら、ひとまずこんなもんでいいだろ。とっとと行くぞ。
レイアう、うん……でも、ごめん。しばらく動けそうにないかも。
アグリア……ちっ、仕方ねぇな。
レイアえっ ? うわっ !
アグリアいいか、街に戻るまでに少しでも暴れたらそのまま落として放っていくからな。
レイア……わたしのこと、運んでくれるの ?
アグリアてめえに何かあったら、あたしが陛下から怒られるかもしんねぇだろ。
レイアあはは、アグリアでもやっぱりガイアスに怒られるのは怖いんだ。
レイア……ねえ、アグリア。さっき、わたしのせいで怒ってたよね ?
アグリアああん ? なんの話だよ ?
レイアわたしが、アグリアを助けようとして怪我したとき。あのときね……ちょっと嬉しかったんだ。アグリアが、わたしの為に怒ってくれてるんだなって。
アグリアはぁ ? なに気持ち悪りぃ妄想してんだ、ブス !マジで落とすぞ。
レイアや、止めてよ ! 本当に今は冗談にならないから !
アグリアだったら、黙っとけ !あー、ったく。今日はマジで最悪な日だ。
ジュード――無事、僕たちも決勝戦まで来れたね。
イバル当然だ ! この俺がいて敗北などありえん !
ガイアスやはり、最後の相手はお前たちか。
ミュゼお疲れ様、さすがジュードね。
イバルふっ ! ようやく決着をつける時が来たな !言っておくが、こちらは手加減をするつもりはないぞ !
ガイアス俺は初めからそのつもりだ。
イバルぐっ……さすがはガイアスだな。この俺の発言にビビらないとは…… !
ミュゼふふっ。じゃあ、私たちも遠慮なくあなたたちを倒すことができるわね。
ジュード負けないよ、僕たちは。
ミュゼジュード、あなた……。
ガイアス……ふっ、いい目だ、ジュード。昨日までとは違うようだな。
ジュードうん、僕も、ガイアスたちと戦う覚悟を決めたから。
ガイアス……そうか。
ガイアスいいだろう。俺も全力をもって応えよう。

Character9話【挑戦10 いよいよ決勝戦】
コロセウム実況者お待たせしましたッ ! !激闘を繰り広げた本大会もいよいよ決勝戦ッ ! !ここまで勝ち上がった両チームの入場だッ ! !
観客たち――ワアアアアアアッッ ! ! ! !
エリーゼレイア、まだ帰って来ないですね……。
ティポもう試合が始まっちゃうよー。
ローエン何度か魔鏡通信に連絡は入れているのですが気付いておられないようですね。
アルヴィン大方、アグリアと揉めてんだろ。あいつら、喧嘩すると長いからな。心配しなくても、待ってりゃ戻ってくるさ。
アルヴィンそれより、やっぱ観客はガイアスたちに肩入れしてんな。ジュードの奴、大丈夫か ?
ローエンジュードさんなら、もう心配には及びませんよ。
イバルいいか、ジュード。作戦通りにいくぞ。
ジュード……うん、わかった。
ガイアスミュゼ、ここからはお前の力も必要になるかもしれん。
ミュゼええ、それがあなたの望みなら。
コロセウム実況者さぁ、会場のボルテージも最高潮ッ ! !両チームの選手たちも、既に準備万端といったところかッ ! !
コロセウム実況者ならば、思う存分戦ってくれッ !――試合開始ッッ ! !
イバル先手必勝 ! ! 覚悟しろ、ガイアス ! !
ガイアスいい動きだ……だが ! !
ガイアスその程度では、俺の首は取れんぞ。
イバルチッ ! ジュード ! !
ジュード――はああああああっっ ! !
ミュゼ甘いわ ! !
ジュードくっ !
ミュゼ私のこと忘れちゃダメよ、ジュード。
ガイアスミュゼ、援護は任せたぞ。
ミュゼええ、存分にやらせてもらうわ。
イバルくそっ ! 一気に攻めてガイアスを先に倒すという俺の作戦が…… !
ジュードイバル、一旦下がって !
イバルお前に言われなくても、わかっている ! !
アルヴィンさっきのイバルの動き、悪くはなかったんだがな。
ローエンええ。ですが、ガイアスさん相手では不意打ちも通用しないでしょう。
ローエン当然、ジュードさんもそれを見越して動いていましたがミュゼさんも彼らの動きを読んでいたようです。
アルヴィン即席のコンビネーションだけじゃあまだガイアスたちのほうが優勢って訳か。
エリーゼそんな……。
ティポジュードたち、もしかしてピンチー ?
ローエンいえ、そうとは限りません。よく見てください、あのジュードさんの目を……。
ローエン彼の目には、まだ諦めの色はありません。それどころか、戦いの中で勝つための糸口を探し続けています。勿論、イバルさんも同様でしょう。
アルヴィンあいつら、諦めの悪さだけは似てるからな。
アルヴィンこういう時こそお前の本領発揮だぜ。さぁ、どうする、優等生 ?
ガイアスどうした、お前たちの力はそんなものか ?
イバル……はぁ、はぁ。息一つ乱れてない、だと……。
ジュード…………。
イバルおい、どうしたジュード !何をぼーっと突っ立っている !
ジュード……うん、ガイアスたちに勝つには、これしかない。
イバル何っ ! ? 今なんと言った ! ?
ジュードガイアスたちに勝つ方法だよ。僕たちが勝つには、これしかない。だから、イバルにも協力してほしいんだ。
イバルぐぬぬ…… ! お前の言う通りにするのはしゃくだが話だけなら聞いてやろう。一体、どんな方法だ ?
ジュードイバル……ここからは、一緒に戦うのは止めよう。
イバルな、なんだとっ ! ?まさか、お前 ! この俺の力が信用できないのか ! ?
ジュード……違うよ。信用しているからこそ一緒には戦わないんだ。
イバルな、何を言っているんだ…… ?
ジュードだから、イバルにも僕のことを信用してほしい。僕の背中は……イバルに預ける !
イバルお、おい、待て ! ジュード !
ジュードガイアス ! !
ガイアス正面からぶつかってくるか……ジュード !
ガイアス……迷いがない拳だ。
ジュードまだまだ ! はあああああっっ ! !
イバルなんだ……ジュードの奴……。あいつ、本当に一人でガイアスに挑むつもりか ! ?
ミュゼちょっと、ジュード。私のこと、忘れてるんじゃない ?
イバル! ? おい、ジュード ! ミュゼの攻撃が来るぞ !
ミュゼ水霊の弾丸――ブルースフィア !
イバルジュード ! ! ……くそっ ! !
ミュゼあら、あなたがジュードを庇うとは思わなかったわ。
イバル俺だって好きで庇ったわけではないっ !おい、何やってるんだジュード !あのままだったら、お前がやられていたんだぞ ! ?
ジュードそこだっ ! !
ガイアスさせん ! !
イバル聞こえて……いないのか ?
ミュゼジュード……私を無視するなんて酷いじゃない。
イバル……そうか ! !あいつめ……大胆な作戦を立てやがって ! !
ミュゼだったら、無理やりにでも振り向かせてあげる !
イバルさせるかっ !
ミュゼちょっと、邪魔しないで。
イバルいや、お前の相手はこの俺だ ! くらえっ !
ミュゼ……小賢しいわね !
ガイアス……成程、そういうことか。ミュゼ ! 戻ってこい !
ジュード! ?
ガイアスミュゼの姿を見て距離を取ったか。ジュード、やはりお前の望みは一対一の戦いか。
ジュードそうだよ。ガイアスたちの連携が僕たちより上なら一緒に戦わせないようにすればいい。
ミュゼちょっと待って。だったらジュードあなた、一人でガイアスに勝つつもり ?
ジュード無謀かもしれない。だけど、少しでも可能性があるのなら僕はそれに賭けてみたいんだ。
ガイアス……いいだろう、お前の覚悟は受け取った。ならば、こちらもそれに見合う力を示そう。……ミュゼ ! !
ミュゼ本気なのね、ガイアス。わかったわ、私の力……受け取って !
イバルな、なんだ…… ! あいつらの姿が変わったぞ ! ?
ガイアスミュゼ、ここからはジュードたちの望み通りお前はイバルの相手をしろ。
ガイアス……ジュード、油断すれば一瞬でケリがつくぞ。
ジュードありがとう、ガイアス。でも、僕たちだって負けない ! !
イバルおい、ジュード ! お前ばかりにいい恰好はさせん !今回は俺が主役だということを忘れるなよ ! !
ガイアスこの光……浄玻璃鏡か。面白い。さあ、お前たちの力を見せてみろ !

Character9話【挑戦10 いよいよ決勝戦】
イバルはっはっはっ ! ! どうだっ ! !これが俺の真の実力だ ! !
ミュゼもうっ、本当にしつこいわね !こうなったら…… !
イバル消えた…… ! ? いや、上か ! ?
ミュゼうふふ、どう ? これだけ離れていれば攻撃することは出来ないでしょう ?
ミュゼここから、私の全力の術を叩き込んであげる !あなたもこれで終わりよ !
イバル俺を……舐めるな ! !
ミュゼ嘘…… ! ? こんな高さまで…… ! ?
イバル安全圏だと思って油断したな ! !
ミュゼこれじゃあ…… ! !
イバルもう遅い ! !トドメだぁぁぁぁ ! !
ミュゼそん……な ! !
コロセウム実況者おーっと ! イバル選手 !渾身の突撃でミュゼ選手をリングアウトにしたぞッ ! !
イバルははははははっ ! どうだ ! !これで俺のことを忘れたとは言わせん !
コロセウム実況者だが、これは同時にイバル選手もリングアウトとなる大胆な捨て身の戦法だッ !
ミュゼあなた……まさか自分を犠牲にしてまで私を……。
イバル犠牲だと ? そんなものになった覚えはない。俺はただ、今の自分の役目を果たしたに過ぎん。そして、あいつは俺に『勝つ』と言ったんだ。
イバルさあ、ジュード ! ! こっちは終わったぞ ! !お前も早く決着をつけろ ! !
ガイアス……ミュゼを相打ちにしたか。どうやら、勝負は俺たちに託されたようだな。
ジュード…………はぁはぁ。
ガイアスジュード、よくここまで戦い抜いた。だが、お前はもう限界のはずだ。
ジュード……それは、ガイアスも一緒でしょ ?
ガイアス……ふっ、気づいていたか。良かろう。ならば、次の一撃で最後としよう。
ガイアスいくぞ、ジュード ! !
ジュード僕は……負けない ! !
二人うおおおおおおおおおおおおおっっっっ ! ! ! !
ガイアス……くっ !
ジュード……っ !
コロセウム実況者両者ダウンッ ! ! これは互いに相当なダメージが入っていることは間違いなしだッ ! !
エリーゼジュード…… !
ティポこれって、一体どうなるのー ! ?
ローエンルールは10カウント方式を採用していますがこのままどちらも起き上がらなければ……。
アルヴィン勝負は引き分けになっちまう。ガイアスとミュゼを相手にそこまでやったんならそれでも上出来なくらいだ。だが……。
ローエンええ、ジュードさんはそれで納得しないでしょう。勿論、ガイアスさんも。
エリーゼジュード ! 起きてください ! !
ティポ早く起きてー ! ジュードー !
ジュード(……早く……早く立たないといけないのにもう身体のどこにも……力が入らない……)
ジュード(……やっぱり、駄目だったんだ。僕の力じゃ……ガイアスには、勝てなかっ……)
? ? ?立て ! ! ジュード ! !
ジュード……今の声は。
ジュード……ミラ ! !
ミラ=マクスウェル立つんだ、ジュード ! !君は、最後まで諦めない人間のはずだ ! !
ジュード……う、ううううっっ ! !
コロセウム実況者おっと ! ! ここでジュード選手が立ち上がった ! !そして、アースト選手は未だ目を覚ます様子はない ! !ということは―― ! !
ジュード……はぁ、はぁ !
ミラ=マクスウェルよくやった、ジュード。君の勝ちだ。
コロセウム実況者優勝は、イバル & ジュードチームだーーーー ! !
レイア――そっか。じゃあ、ミラはギリギリのところでジュードの試合に間に合ったんだね。
ミラ=マクスウェルああ、レイアが送ってくれた魔鏡通信文に気付いて急いで駆けつけたんだが、遅くなってしまった。
レイアでも、最後は観れたんだから良かったじゃん。あーあ、わたしも観たかったなぁ……。
ジュードレイアはそれどころじゃなかったでしょ。……怪我は、本当に大丈夫なの ?
レイアもう、ジュードってば心配しすぎ。これくらい全然平気だって。
レイアただ……アグリアにはちゃんとお礼を言いたかったな。わたしが知らないうちに街の診療所からもいなくなってたし……。
ガイアスそうか、ならばアグリアには、俺から伝えておこう。
ジュードガイアス。それにイバルもお疲れ様。貿易条約は上手く進みそうだった ?
ガイアスああ、丁度リーゼ・マクシア側の商人たちの意見もまとまったところだ。あとは、彼らに任せても問題はないだろう。
レイアでも、意外だったよね。イバルの依頼主の人ってガイアス側の商人さんたちと仲が悪かったんでしょ ?それなのに、協力して貿易条約を進めようなんて……。
イバルまったくだ。せっかく俺たちが勝ったというのに。
ガイアス俺が聞いた話だと、お前たちの依頼主から直々にこちらへ相談がきたそうだ。ジュード、お前の影響を受けてな。
ジュードえ ? えっと……僕、何もしてないはずだけど……。
ガイアスいや、お前の戦う姿を見て、若い者もまだまだ捨てたものではないと思ったそうだ。
レイアあっ、そっか。たしかイバルの依頼主の人ってガイアスたちの依頼主が若いから駄目だって言ってたんだっけ ?
ガイアスそうだ。だが、その考えを改めるきっかけを与えたのがジュード、お前だ。
ジュードそんな……。僕はただ……あのときはガイアスに勝ちたくて必死だっただけだよ。
ミラ=マクスウェルいや、君の姿は人の心を動かす力があるんだ。当然、私もその中の一人だ。
ジュードミラ……。
イバルぐぬぬ…… ! 先ほどからお前ばかり…… !ずるいぞ、ジュード !
ミラ=マクスウェルおっと、まだ言っていなかったな。イバル、お前の活躍も大したものだったぞ。
イバルミラ様…… ! ! ふ、ふふふふ ! !どうだ、ジュード ! ! 俺もミラ様から直々にお褒めの言葉を頂いたぞ ! これでおあいこだ !
ジュードう、うん……そうだね。
ジュードだけど、僕がそんな人間になれたのはミラやレイア……みんなと出会えたからだと思う。そして、ガイアスとも……。
ジュードだから、本気で戦ってくれて嬉しかった。……ありがとう、ガイアス。
ガイアスああ。俺もお前に恥じぬ人間であり続けよう。
ガイアスジュード。お前はまだまだ強くなる。これから先が、実に楽しみだ。