| Character | 1話【試練1 精霊片を求めて】 |
| ルーティ | ……ハァ。 |
| ウッドロウ | ルーティ君がため息とは珍しいな。しばらく歩き詰めで疲れてしまったかな。 |
| ルーティ | ご心配どうも。でも別に、このぐらいで疲れやしないわよ。 |
| ルーティ | ただ、どうして1ガルドにもならないのに森の中なんて歩き回ってるのかって思ったらつい、ため息が出ただけ……ハァ。 |
| S・アトワイト | 精霊装を手に入れるためよ。文句を言わないの。 |
| S・イクティノス | 帝国との戦いが終わっても、この世界から争いの火種がなくなったわけではないからな……。 |
| S・イクティノス | 精霊装のように、戦いに役立つ力が多くあるに越したことはないだろう。 |
| ルーティ | まぁ、それはわかってるわよ。だからこうして一緒に来たんでしょ。 |
| ルーティ | よくよく考えれば、精霊装で一儲けできる可能性もなくはないか。ふふふ……。 |
| S・アトワイト | また、そんなこと言って。精霊の力を私欲のために使ってはダメよ。 |
| ウッドロウ | ルーティ君らしい発想でいいのではないかな。法に触れない範囲でなら、だが。 |
| ルーティ | でしょ ? 便利な力は使ってこそよ。 |
| ルーティ | ……ねえ、ジューダス。あんたはどう思う ? |
| ジューダス | …………。 |
| ルーティ | 何よ、無視することないじゃない。聞こえてるんでしょ ? |
| ジューダス | ……ああ、聞こえている。 |
| ルーティ | 言いたいことがあるなら正直に言ったら ?「やれやれ、金のことしか頭にないのか」とか「がめつい女だ」とか、言いたい顔してるわよ。 |
| ジューダス | さあな。好きにすればいいだろう。僕は興味がない。 |
| ルーティ | ……あっそ。ま、いいわ……。 |
| ウッドロウ | ……ふむ。 |
| S・イクティノス | どうした、ウッドロウ ? |
| ウッドロウ | あの二人の様子が、どうもぎこちなく思えてね。以前はこんな仲ではなかった気がするのだが……。 |
| S・イクティノス | そうだな……ジューダスが何者かによっては思い当たらなくもない。彼が別時間軸のリオンなのだとしたら、だ。 |
| ウッドロウ | ……断定することはできないな。本人が明かさず、私も探るつもりはない。 |
| S・イクティノス | ならば、仮定の話としてもし彼がそうだとすれば……お前も知っている通りリオンとルーティは姉弟。つまり、彼らも―― |
| ウッドロウ | ……声を抑えてくれ、イクティノス。 |
| S・イクティノス | ――彼らもまた、姉弟ということになる。二人の関係に変化があったのだとすればその辺りに関連があると考えるのが自然だろう……。 |
| ウッドロウ | ルーティ君が、そのことに気付いたと ? |
| S・イクティノス | 無論、あくまで推測だ。確かなことはわからない。戦局を読むならまだしも、人間関係は専門外なのでな。野暮な話をしてしまい、すまない。 |
| ウッドロウ | いや、私こそ悪かった。二人の間のことに、私たちがあれこれと想像を働かせるのはいいことではなかったな。 |
| S・イクティノス | 気にするな。仲間を心配するのは当たり前のことだ。 |
| ルーティ | ――はぁっ ! ?何言い出すのよ、いきなり ! |
| ジューダス | 僕はそれほど突飛なことを言ったつもりはないが。 |
| ウッドロウ | 二人とも、どうしたんだ ? |
| ジューダス | 大したことじゃない。少しの間、別行動を取りたいと言っただけだ。 |
| ウッドロウ | 別行動 ? 何のために ? |
| ジューダス | 偵察だ。この辺りの森は魔物も多い。様子を探っておくに越したことはないだろう。 |
| ルーティ | あたしたち三人がいれば、そこらの魔物に後れなんか取らないでしょ。わざわざ偵察なんかしなくても……。 |
| ジューダス | 余計な戦闘を避ける役には立つだろう。まだ精霊片は半分ほどしか集まっていないんだ。この先何があるかもわからない。 |
| ルーティ | そのために、わざわざ危険を冒す必要はないでしょ。もう、なんでそんなに強情なんだか……。 |
| ジューダス | 僕は提案をしただけだ。そっちこそ、どうしてそんなに僕のことを気にする ? |
| ルーティ | ! それは……。 |
| ウッドロウ | 二人とも、落ち着くんだ。ここで言い争っていても仕方ない。 |
| ウッドロウ | ……ジューダス君。偵察の理由は理解したが、今は精霊片を集めるのが一番の目的だ。 |
| ウッドロウ | 精霊片吸引器が一つである以上、なるべく固まって動く方が得策だと思うが、どうかな ? |
| ジューダス | ……まぁ、いいだろう。 |
| ルーティ | あたし以外には素直ってわけ ?なんなんだか……。 |
| S・アトワイト | そんなこと言っている間に、もう日が暮れるわよ。順調に進んではいるけど、今日中に精霊片を集め切るのは難しそうね。 |
| ウッドロウ | そのようだな。今日のところは、近くの街で宿をとって休んだ方がいいかもしれない。 |
| ジューダス | どこか心当たりがあるのか ? |
| ウッドロウ | ああ、以前立ち寄った街がこの近くにあったはずだ。そこへ向かうとしよう。 |
| ルーティ | いいわね、さっさと休みましょ。ごちゃごちゃ言い合ってたら疲れちゃったわ。 |
| ジューダス | ……。 |
| Character | 2話【試練1 精霊片を求めて】 |
| ルーティ | あら ? この街、見覚えあるわね。もしかして前に夏祭りをやった場所 ? |
| ウッドロウ | ああ、そうだ。私も訪れるのは久しぶりだよ。あの時は街の皆とも協力していい夏祭りになった。彼らも元気でいるといいが。 |
| S・イクティノス | ……心なしか、街が静かだな。活気がないようにも見えるが……。 |
| ルーティ | そう ? あたしには、普通に見えるけど。 |
| ジューダス | 街並みのあちこちに崩れた建物がある。帝国との決戦の時、ここも被害を受けたのだろうな。 |
| S・アトワイト | 復興が進まないせいで、街の空気も暗くなってしまっているのかしら……。 |
| ? ? ? | ん ? おい、そこにいるのは―― |
| ロニ | ジューダスじゃねえか !それにルーティさんとウッドロウさんも。 |
| ルーティ | ロニにフィリア ?なんか、珍しい組み合わせね。 |
| フィリア | しばらくぶりですね、皆さん。お元気そうで何よりですわ。 |
| ルーティ | うん、そっちもね。この街に来てるなんて知らなかったわ。 |
| フィリア | ここでは以前、司祭として働かせてもらいましたから。今も度々寄ってお手伝いをしているんです。 |
| ウッドロウ | さすが、フィリア君だな。 |
| フィリア | そんな……当たり前のことをしているだけですわ。皆さんは、どういったご用事で ? |
| ウッドロウ | 私たちは、精霊装を得るために精霊片を集めているところだ。今日はもう切り上げて、宿を取ろうと思ってね。 |
| ロニ | へえ、精霊装 ! いいですねぇ。 |
| ロニ | ――っつうか、ジューダス !お前、そういうの俺たちにも教えとけよな。 |
| ジューダス | 馬鹿馬鹿しい。いちいちお前に報告する義務はないだろう。 |
| ジューダス | それより、お前こそ何故ここにいる ?フィリアはわかるが……。 |
| ロニ | そりゃ、フィリアさんをお助けするために決まってるじゃねえか。なんか困ってるって聞いたからよ。 |
| フィリア | ええ、私がお呼びしたんです。先日ロニさんから、元アタモニ神団のよしみで何か困り事はないかと聞かれまして……。 |
| ルーティ | へぇ……それじゃ、やっぱりロニの方から声かけたんじゃない。あんた、下心でもあるんじゃないでしょうね ? |
| ロニ | なっ ! ? 何言ってんですか !純粋な親切心ですよ、親切心 ! |
| ジューダス | 必死に言うところがまた怪しいな。……ナナリーにでも教えておくか。 |
| ロニ | おいっ、やめろ !あいつの場合、真偽と関係なく関節バキバキにしてきやがるからな……。 |
| S・クレメンテ | ほっほっほ。普段の行いが大事じゃぞ、若者よ。 |
| S・アトワイト | クレメンテ老、あなたがそれを仰ってもあまり説得力が……。 |
| ジューダス | ……それで、フィリアの困り事というのは ?ロニの手も借りたいとは、よほどのことなんだろう。 |
| ロニ | 俺は猫か !相変わらず、いちいち皮肉を挟んできやがって。 |
| ウッドロウ | ともあれ、フィリア君の困りごとは気になるな。事情を聞かせてもらってもいいだろうか。何か手伝えるかもしれない。 |
| フィリア | はい。実は……近頃、この街の周辺に盗賊が現れるようになったそうなのです。 |
| フィリア | 幸い、まだ怪我人は出ていないのですがなんとか追い払ってもらえないかと、街の皆さんに相談を受けまして……。 |
| ロニ | 街の人たちを脅して、食料やら金をせびって言うこと聞かなけりゃ力づくで持っていくらしいです。全く、ひどい連中もいたもんだぜ。 |
| ウッドロウ | 盗賊か……なるほど、活気がないのはそのせいもあったのだな。 |
| ウッドロウ | これから街を復興していこうという時にそんな輩がいたのでは安心できまい。放ってはおけないな。 |
| ルーティ | ええ、あたしたちも手伝いましょ。精霊片集めはそう急ぐわけじゃないしね。 |
| ルーティ | ジューダスも、それでいいでしょ ? |
| ジューダス | ……ああ。まぁ、いいだろう。 |
| ロニ | なんだ ? お前、いつにも増して無口だな。さては、ルーティさんの美しさに照れてやがるな ? |
| ジューダス | ばっ、馬鹿なことを言うな ! |
| フィリア | 皆さん、ありがとうございます…… !とても心強いですわ。 |
| 子供たち | あっ ! ウッドロウさんだ ! |
| ウッドロウ | ん ? |
| 子供たち | ウッドロウさん、またこの街に来てくれたんだ !わーい、わーい ! |
| S・イクティノス | 随分懐かれているな、ウッドロウ。 |
| ウッドロウ | はは……。 |
| 街の人々 | ウッドロウさんだって ! ?またこの街に来てくれたのか ! |
| ロニ | な、なんだ ? 大人まで……。俺の時はこんな歓迎してくれなかったのによ。 |
| ジューダス | 器が違う、ということだな。 |
| 街の人々 | よかった……ウッドロウさんならきっとこの街を救ってくださる……。 |
| ウッドロウ | ……どうやら、事は単純ではなさそうだな。 |
| Character | 3話【試練2 街の困り事】 |
| ルーティ | なんで、ウッドロウだけこんなに歓迎されるのよ。心当たりはないの ? |
| ウッドロウ | いや、私にもわからない。フィリア君は何か知らないか ? |
| フィリア | ええ。ウッドロウさんは、この街でとても人気があるんですよ。 |
| ウッドロウ | 私がここへ来るのは、夏祭り以来なのだが…… ? |
| フィリア | あの夏祭りの時、ウッドロウさんが準備から何から取り仕切ってくださったでしょう。それを今も皆さんが感謝してらっしゃるんです。 |
| ルーティ | 夏祭りの手伝いだけでこんなになる ?すっかり街の英雄って感じじゃない。 |
| ロニ | そうですよね。ま、ウッドロウさんが頼れる人なのは確かですけど。 |
| フィリア | それは……以前、街の代表をされていた方と関係があるのかもしれません。 |
| ウッドロウ | 夏祭りの際に協力してくれた彼か。立派な人物だったが、何かあったのかね ? |
| フィリア | 実は、帝国との戦いの最中に亡くなられてしまったそうなんです。 |
| ウッドロウ | そうだったのか……。残念だ。 |
| フィリア | ……それからこの街は、後任が見つからず皆をまとめてくれる指導者がいない状態が続いているんです。 |
| ジューダス | それで、ウッドロウの名が広まったわけだな。戦後の混乱した時期にそんな状態ではすがる相手も欲しくなるか……。 |
| フィリア | はい。あの夏祭りも、苦しい戦いの後に傷ついた人々の心を慰めてくれるものでした。 |
| フィリア | 今、街の皆さんはあの時と同じように戦いの傷から立ち直ろうとしています。だから、余計に思い出すのではないでしょうか。 |
| ルーティ | なるほどね。ある意味、ウッドロウの名前が復興の象徴みたいになってるってことかしら。 |
| S・イクティノス | 実際、夏祭りでのウッドロウの差配は見事だった。街が必要としている、指導者たる者の器を皆は見たのだろう……。 |
| ウッドロウ | 私はほんの手伝いをしただけだよ。慕われることはありがたいが……状況を考えると、素直には喜べないな。 |
| ロニ | いや、でも ! ウッドロウさんが来ただけでこれだけ街のみんなが盛り上がったわけですから ! |
| ロニ | やっぱり英雄王――いや、王様ってのは一般人とは違うオーラがあるんだよなぁ。 |
| ウッドロウ | ……そう買い被らないでくれ。今の私は、王ではないのだしね。 |
| 街の住民A | あの、ウッドロウさん…… !盗賊が私たちの街から物資を奪っているんです !どうにかなりませんか…… ! ? |
| ウッドロウ | ああ、フィリア君から話は聞いた。もちろん、私に出来ることはさせてもらうよ。 |
| 街の住民A | あ、ありがとうございます !また戦いになるのではと思うと、毎日怖くて……。 |
| ウッドロウ | 気持ちはよくわかる。だが、もう心配は無用だ。 |
| ウッドロウ | 私だけでなく、フィリア君や他の皆もこの街のために手を貸してくれる。盗賊などに負けはしないよ。 |
| ウッドロウ | だから、皆はなるべく恐怖や不安に囚われず取り戻しつつある日常を大事に過ごして欲しい。大人が怯えていては、子供たちも安心できないからね。 |
| 街の住民A | わ、わかりました…… ! 皆にもお話を伝えます。やはり、あなたが来てくれてよかった。 |
| ジューダス | さて……安請け合いしたのはいいが問題はどうやって盗賊を片付けるかだな。 |
| ルーティ | 盗賊の居場所はわかってるの ? |
| フィリア | それが、まだ……。街の周辺を探してはいるのですがそれらしい場所は近くにないようです。 |
| ロニ | 俺が来てからは、まだ一回も姿を見せてないんです。居合わせりゃ、とっ捕まえて拠点まで案内させたのによ。 |
| ウッドロウ | ふむ。それは名案かもしれないな。 |
| S・イクティノス | 盗賊に拠点まで案内させる、という話か ? |
| ウッドロウ | そうだ。襲撃を警戒しながら盗賊の拠点を探し回るのは難しいだろう。ならば、向こうから来るのを待つ方が確実だ。 |
| ルーティ | のこのこ街へ来た盗賊を捕らえて拠点の場所を吐かせようってわけね。 |
| ウッドロウ | 盗賊が現れるまで、しばらくこの街に滞在することになるがね。ジューダス君とルーティ君はそれで構わないだろうか ? |
| ルーティ | ええ、あたしは別にいいわよ。 |
| ジューダス | ……まぁ、仕方あるまい。さっさと精霊装を手に入れてしまいたかったが。 |
| ルーティ | ……あたしたちと旅をするのはもううんざりってこと ? |
| ジューダス | …………。 |
| ロニ | おい、どうした ? ジューダス。いくらお前でも、失礼すぎるんじゃねえのか。もうちょっと社交性ってもんを―― |
| ジューダス | お前みたいに無駄口ばかり叩くぐらいなら黙っている方が余程マシだろう。 |
| ロニ | 何だと、この野郎 !……ったく、こういう時はよく口が回るくせに。 |
| ルーティ | …………。 |
| フィリア | ルーティさん……。 |
| S・アトワイト | ……とにかく、これで方針は決まったわね。後は盗賊たちの動きを待ちましょう。 |
| ロニ | まぁ、そんなに長く待つ必要はないはずですよ。街の人たちの話じゃ、前に盗賊が現れてからしばらく経ってるみたいですから。 |
| ロニ | 早けりゃ、今日明日あたりに来るんじゃないかって噂になってました。 |
| フィリア | 皆さん、よければ教会に泊まっていってください。お部屋がいくつか空いていますから。 |
| ルーティ | 嬉しいこと言ってくれるわね、フィリア !これで宿代が浮くわ。 |
| ロニ | ルーティさん、相変わらずしっかりしてますね……。 |
| Character | 4話【試練2 街の困り事】 |
| ジューダス | ……。 |
| ウッドロウ | ……ジューダス君。こんなところに一人で、見張りかい ? |
| ジューダス | いつ盗賊が現れるか、わからんからな。誰かが外で見ていた方がいいだろう。 |
| ウッドロウ | 見張りなら街の兵士もしてくれている。旅の疲れを癒すのも大事なことだよ。 |
| ジューダス | フン、あのぐらいで疲れたりはしないさ。 |
| ウッドロウ | その言葉、ルーティ君も言っていたよ。確かに、二人とも旅慣れているのだし余計なお節介だったかな。 |
| ジューダス | …………。 |
| ジューダス | ……それで、何の用だ ?僕にお小言でも伝えに来たのか。 |
| ウッドロウ | そう身構えないでくれ。人のことをとやかく言うつもりはない。 |
| ジューダス | なら、何だ ? |
| ウッドロウ | ただ外の空気を吸いに来たんだ。……少し、考えたいことがあってね。 |
| ジューダス | 考え事 ? 冷静沈着なファンダリア王には似合わない散歩の理由だな。 |
| ウッドロウ | そんなことはないさ。私はこの世界に来てから、いつも自分のあり方を考えているよ。立場が大きく変わったからね。 |
| ウッドロウ | ファンダリア王として、民のために生きる覚悟を決めた矢先に……王位も民も失われた。 |
| ジューダス | まだまだ民衆には好かれているようだがな。 |
| ジューダス | 大勢に期待を押し付けられて……僕ならうんざりする。 |
| ウッドロウ | 私は、皆に頼られるのは苦ではないな。期待に応えるため努力を惜しむつもりもない。そういうことが、自分に向いているとも思っている。 |
| ウッドロウ | ただ……ロニ君にも言ったように私はもう『王』ではない。 |
| ウッドロウ | ならば、今の自分は何者なのか ?その答えが、まだはっきり見つけられないんだ。 |
| ジューダス | 自分が、何者か……。 |
| ウッドロウ | できることなら、なるべく多くの人の助けになりたい。王としてなら、国政を変えることで民たちへ手を差し伸べることができただろう。 |
| ウッドロウ | だが、今は別の道が必要になる。この手一つでできることの少なさを実感する毎日だ。 |
| ジューダス | ……お前も、そんなことで迷うんだな。 |
| ウッドロウ | 私はいつも、迷っていたよ。王子として放浪していた時からね。アルバ先生には全て見抜かれていたが。 |
| ウッドロウ | ファンダリアの動乱を経て、王となった時も同じだ。そしてその後も――私はずっと、自分にとっての『王道』を見極めようとしてきた。 |
| ジューダス | そうやって迷い続けたからこそ自分の道を歩めた、ということなんだろう。……よくは知らんがな。 |
| ウッドロウ | そうなのだろうね、きっと。 |
| ウッドロウ | しかし、今は迷いの質が違っている。王道ではなく、王ならざる道を見つけねばならない。それが、とても難しくてね……。 |
| ジューダス | ……やれやれ。 |
| ウッドロウ | つまらない話を聞かせてしまったかな ? |
| ジューダス | 全くだ。くだらん悩みとしか言えないな。答えなどとっくに出ているだろうに。 |
| ウッドロウ | 答え、とは…… ? |
| ジューダス | ……僕が知る限り、ウッドロウ・ケルヴィンという男はいつも民と世界のことを考えていた。どんな道を行こうが、どうせそれは変わるまい。 |
| ジューダス | だったら、考えるだけ時間の無駄だ。そんな暇があったら、今やりたいことをそのまま行動に移せばいい。そうじゃないのか ? |
| ウッドロウ | ジューダス君……。 |
| ジューダス | ……余計なことを言ったな。僕は見回りに行ってくる。 |
| ウッドロウ | ああ。……ありがとう。 |
| ジューダス | ……ふん。 |
| S・イクティノス | いい助言をもらったようだな。多少、遠回しではあったが……。 |
| ウッドロウ | そうだね。少し迷いが晴れた気がする。 |
| ウッドロウ | 彼とリオン君の繋がりはわからないが……やはり私は、二人が違う人間だと感じるよ。 |
| S・イクティノス | ほう……。そうか ? |
| ウッドロウ | 私の知るリオン君なら、きっと『余計なこと』までは言ってくれなかっただろうからね。 |
| S・イクティノス | ふむ。確かにそうかもしれんが……俺はあまり付き合いが長くないからな。 |
| S・イクティノス | ――しかし、俺にもはっきり言えることがある。ジューダスの言葉は、一言一句正しいぞ。 |
| ウッドロウ | それは、どの言葉についてかな ? |
| S・イクティノス | 迷う暇があったら、行動しろということだ。俺は決して、お前がファンダリア王だからマスターに選んだわけではない……。 |
| S・イクティノス | お前の信じる道を行け、ウッドロウ。その先にお前の答えがある。 |
| ウッドロウ | ……ありがとう、イクティノス。 |
| Character | 5話【試練3 それぞれの悩み】 |
| フィリア | ルーティさんは、こちらにどうぞ。私と相部屋になってしまうのですが……どうぞ、くつろいでください。 |
| ルーティ | ありがと。でも……ハァ。なーんか落ち着かないわね、教会って。 |
| S・アトワイト | 日頃の行いのせいかしら ? |
| ルーティ | どういう意味よ。最近はそんなにあくどいこともしてないでしょ。 |
| フィリア | やっぱり、教会よりも宿の方がよかったでしょうか…… ? |
| ルーティ | あ、ごめん、ごめん。別にそういうわけじゃないから。 |
| S・アトワイト | そうね。あなたが不機嫌なのは精霊片集めに出てからずっとだもの。 |
| ルーティ | そんなことないでしょ !……ちょっと落ち着かないだけよ。 |
| フィリア | ルーティさん……。もしかして、ジューダスさんと何かあったのですか ? |
| ルーティ | えっ ? |
| フィリア | あっ、いえ ! その……。差し出がましいことを言ってごめんなさい。 |
| フィリア | ただ、先ほどお話しされていた時にお二人の様子がどこか、ぎこちないように見えて―― |
| ルーティ | ……そうよね。やっぱり、ぎこちないわよね。 |
| フィリア | ルーティさん…… ? |
| ルーティ | なんて言えばいいか、難しいんだけど……あたしとあいつ、どうも色々ややこしいことが重なってるっていうか、うーん……。 |
| S・クレメンテ | 何やら、歯切れが悪いのう。 |
| ルーティ | 詳しいことは省くと、要するにどう接すればいいのかわかんないのよ、あいつと。 |
| フィリア | それは……ジューダスさんがリオンさんと似ているから、ですか ? |
| ルーティ | ……まぁ、そういうことかしらね。 |
| フィリア | …………。 |
| S・アトワイト | ……ちょっと待って。フィリアさん、もしかして知っているの ?ルーティとリオンさんのこと。 |
| フィリア | えっ ! ? ――い、いえ !な、何のお話でしょう ? |
| S・クレメンテ | むむ ? アトワイトよ。ということは、ぬしらも知っておるのか ? |
| S・アトワイト | はい、老。 |
| ルーティ | ちょっと、どういうことよ ! ?アトワイト、説明して。 |
| S・アトワイト | リオンさんの話が出た時、フィリアさんがやっぱり、って顔をしていたから。もしかしてと思ったのよ。 |
| ルーティ | フィリア。じゃあ、ぼかさずに話してもいいのね ?……あたしとリオンが姉弟だってこと。 |
| フィリア | ……はい。 |
| ルーティ | でも、どうして…… ?あたしだって少し前に知ったばかりよ。 |
| S・クレメンテ | わしとフィリアは、ぬしらより少し未来から具現化されておるじゃろう。その未来で偶然、知る機会があったんじゃ。 |
| ルーティ | あー……そういえば、そうだったわ。なるほどね。 |
| フィリア | ……ごめんなさい。知っていたのに、ずっと黙っていて。 |
| ルーティ | ううん。むしろ、言わないでくれてありがと。フィリアに会った頃に聞いてたら絶対、今以上に混乱してたわ……。 |
| フィリア | ルーティさんは、リオンさんからお聞きになったのですか ? |
| ルーティ | んー……まぁ、そんな感じよ。あいつが恥ずかしがるから、大っぴらにはしてないけどね。 |
| S・アトワイト | 「お前と親族だなんて他人に知られるのはごめんだ」……っていうのは、恥ずかしがるうちに入るのかしら。 |
| フィリア | ふふっ、リオンさんらしいですわ。 |
| ルーティ | でも……本当にややこしいわね、この世界。もう慣れたつもりだったのに思いもしなかった悩みが出てくるんだから。 |
| ルーティ | いきなり弟ができたと思ったら、もう一人弟かもしれない奴もいて……。頭がこんがらがるったらないわ。 |
| フィリア | ……ジューダスさんのこと、ですね。 |
| ルーティ | 素性のことは聞かないことにしたし別の人間って納得してたつもりだけど。それでも……やっぱり、考えちゃうじゃない。 |
| S・クレメンテ | 接し方が難しいのも仕方なかろう。本来会うはずのない者同士が出会ってしまえる世界なのじゃからな。 |
| S・クレメンテ | それが幸か不幸かは本人たち次第じゃと思うがの。 |
| ルーティ | うーん……そうは言ってもなんだか最近、向こうはあたしのことを避けてる感じがするのよね。 |
| S・アトワイト | そうかしら ? いつもあんな風ではなかった ? |
| ルーティ | 全然違うわよ。今までなら皮肉言いそうな時に何も言わずに黙って離れていったりするじゃない。距離を取りたがってる、っていうか……。 |
| フィリア | ジューダスさんも、ルーティさんがもうご存知だと気付いているのでしょうか ? |
| ルーティ | 多分、そうね。あたしも、今まで通りに話せてる自信ないし……。 |
| S・クレメンテ | 一度、ちゃんと話し合ってみてはどうじゃ ?何事もそこからじゃぞ。 |
| ルーティ | それはそうだけど……正直、こういうのを無理に押し付けるのも違う気がするのよ。姉だからとか、家族だからとかって。 |
| フィリア | ……肉親かもしれないのに、ですか ? |
| ルーティ | 本当のことはわからないじゃない ?ジューダスが自分をリオンじゃないって言うなら血縁もなかったことにしたいのかもしれない。 |
| ルーティ | それに、あいつはもう自分の『家族』を見つけてるって気がするのよ。ロニやカイルたちと話してる時のジューダス……本当に楽しそうでしょ ? |
| S・アトワイト | そうね。本人は認めないでしょうけど。 |
| ルーティ | だったら、あたしは邪魔にならないように距離を取るのが正解なのかも、って……思うの。 |
| フィリア | そう、なのでしょうか……。 |
| フィリア | 私には……確かなことは何も言えません。でも、ジューダスさんにとって、ルーティさんが邪魔だなんてことはきっとないはずです。 |
| フィリア | もしかすると、ジューダスさんも同じように接し方がわからないだけではないでしょうか…… ? |
| S・アトワイト | ……あり得るわね。素直じゃないところはそっくりだもの。 |
| ルーティ | どういう意味よ、アトワイト ! |
| ? ? ? | フィリアさん ! ルーティさん ! |
| フィリア | この声は、ロニさん ! ?ど、どうぞ ! |
| ロニ | ハァ、ハァ……すみません、お二人とも……。紳士の俺としては、夜遅くにレディの部屋に押しかけるなんて無礼な真似はしたくなかったわけですが―― |
| ルーティ | そういうのはいいから。何があったの ? |
| ロニ | あ、はい ! 出たんです、盗賊が !一緒に来てください ! |
| フィリア | ! わかりました。行きましょう、ルーティさん ! |
| ルーティ | ええ ! |
| Character | 6話【試練3 それぞれの悩み】 |
| ウッドロウ | はぁっ ! 絶風神剣 ! |
| 盗賊A | ……ぐわぁぁぁっ ! |
| 盗賊B | くそっ、なんだ貴様らは…… !我々の邪魔をするな ! |
| ジューダス | ……こいつら、頭数といい装備といいただの烏合の衆ではないようだな。 |
| ウッドロウ | だが、私たちの敵ではない。そうだろう ? |
| ジューダス | 当たり前だ。行くぞ !漆黒の十字よ……ブラッディクロス ! |
| ロニ | おいおい、ロニさまの活躍の場も残しとけよな !おらぁっ ! 割破爆走撃 ! ! |
| ウッドロウ | ロニ君 ! 二人を呼んできてくれたか。 |
| ルーティ | こんな夜中に忍び込んでくるとは、とんだコソ泥ね。人様のものをタダで手に入れようなんて都合のいいこと考えてんじゃないわよ ! |
| フィリア | この街の皆さんが、必死に集めてきた物資を力づくで奪うようなことはさせません…… ! |
| ルーティ | アイストルネード ! |
| フィリア | エクスプロード ! |
| 盗賊C | ぐぉぉっ…… ! だ、だが……俺たちも退くわけにはいかないんだっ ! |
| ウッドロウ | 戦力の差を見せれば、降伏させることも出来るかと思ったが……その気はなさそうだな。 |
| ジューダス | 盗賊相手に気遣いは無用だ。さっさと倒して捕らえるぞ。 |
| ロニ | おうっ ! |
| 盗賊A | うぐっ……。 |
| ルーティ | これで終わりね。さぁ、あんたたち盗賊の根城を教えてもらいましょうか。 |
| 盗賊A | 我々は盗賊などではない !生きるためにすべきことをしたまでだ ! |
| ロニ | はぁ ? 何を言ってやがる。平和な街に殴り込んで物を奪うなんてどっからどう見ても盗賊だろうが。 |
| フィリア | 何か、事情があるということでしょうか…… ? |
| ジューダス | ……なるほどな。こいつらはおそらく、元帝国軍の兵士だ。 |
| ロニ | どうしてそんなことわかるんだ ? |
| ジューダス | 戦い方を見て気付かなかったか ?明らかに訓練を受けた者の動きだった。装備も、そこらの盗賊が集められるものじゃない。 |
| ルーティ | そういえば、他の大陸でも帝国の残党が暴れたりしてるって話ね。 |
| 盗賊A | そうだ……我々は、栄えあるアスガルド帝国の兵士だった。だが、国は崩壊し……仕える相手も、帰る場所も失った。 |
| 盗賊A | そんな我々に、リーダーは居場所を与えてくださった。 |
| ロニ | せっかく、そうやって集まったんなら全員で新しい仕事でも始めればいいじゃねえか。なんで罪もねえ人から奪おうってことになるんだよ ! |
| 盗賊A | 我々は戦うことしか知らない……。生きるために、他に何ができるというのだ。 |
| 盗賊B | そうだ ! 我らがリーダーは教えてくださった。生きるために力を振るうのは罪ではないと。力ある者は、そうする権利があると ! |
| ルーティ | 勝手な都合を偉そうに言ってんじゃないわよ。いいから、拠点はどこなの ? |
| 盗賊B | ぐっ……。こ、ここから少し離れた森の奥にある砦だ。 |
| フィリア | ありがとうございます。……私は、あなた方も本心ではこんなことを望んでいなかったのだと信じますわ。 |
| フィリア | そうでなければ……きっと街の誰かが怪我をしていたはずですから。どうか、罪を償って新しい道を見つけてください。 |
| 盗賊A | …………。 |
| ロニ | ……なんか、スッキリしねえな。帝国がなくなって路頭に迷ってる、なんて言われたらまるで帝国を倒したのが悪いみたいじゃねえか。 |
| ウッドロウ | そういう訳ではないよ、ロニ君。犯した罪は彼ら自身のものだが、ある意味では彼らも帝国の被害者だ。 |
| S・イクティノス | うむ。帝国を止めなければ、そもそもこの世界の存続が危うかったのだ……。 |
| S・クレメンテ | 末端の兵士たちの多くは、帝国の目的も知らず翻弄されたに過ぎんわけじゃからな。 |
| ジューダス | 盗賊たちを哀れむのは勝手だが、放っておけば残りの連中もやって来るぞ。いずれにしろ、対処が必要だ。 |
| ウッドロウ | ……そうだな。ひとまず、今夜のうちは安全だろう。 |
| ウッドロウ | 詳しいことはまた明日話し合うとして今日は休もう。盗賊たちの拠点はわかったのだからね。 |
| ルーティ | 了解。もう夜も遅いし、そうしましょ。 |
| ウッドロウ | ……。 |
| S・イクティノス | どうした、ウッドロウ ? |
| ウッドロウ | いや、一つ思い付いたことがあってね……。もう少し練ってから、また話そう。 |
| Character | 7話【試練4 盗賊の拠点へ】 |
| 街の人々 | ウッドロウさんとお仲間の皆さん !盗賊退治、頑張ってください ! |
| ウッドロウ | ……退治、か。 |
| ジューダス | どうした、ウッドロウ ?さっきは出発前に作戦を立てると言っていたな。 |
| ロニ | ちょっと見送りが多すぎるけどな……。あと『お仲間の皆さん』じゃなくて、頼れる色男ロニ・デュナミスの名前も覚えてほしいぜ。 |
| ルーティ | 作戦なんて必要なの ?元兵士っていっても、あたしたちが揃えば乗り込んで全員捕まえるぐらい余裕でしょ。 |
| ウッドロウ | それはそうなのだが……。昨晩から少し、考えていることがあってね。 |
| フィリア | と、いうのは…… ? |
| ウッドロウ | 皆が納得できれば、という前提の上ではあるが――盗賊たちをただ力づくで捕らえるのではなく対話を試みることは出来ないだろうか ? |
| ルーティ | 盗賊と話し合うっての ! ? |
| ウッドロウ | もちろん、街の安全が最優先だ。向こうが応じなければ戦いは避けられないだろう。 |
| ウッドロウ | ……だが、昨日捕らえた者たちと話してみて彼らも決して話の通じない集団ではないとわかった。試す価値は十分にあると思う。 |
| 街の住民A | ま、待ってください…… !でも、あいつらは我々の街から大事な食料や物資を奪っていったんですよ ! |
| ウッドロウ | その罪は当然償ってもらわねばならない。だが、彼らもまた困窮して追い詰められているようだ。 |
| ウッドロウ | その問題さえ解決できれば、戦う理由はなくなる。説得できれば、復興のために街の皆と協力してもらうことも可能かもしれない。 |
| S・クレメンテ | ふむ……確かに、復興には人手があるに越したことはないじゃろうな。だが、民の感情はそう簡単には収まるまい。 |
| 街の住民B | そうですよ…… !いくら怪我人が出てないといっても、街を襲ってきた盗賊と協力するなんて……。 |
| ジューダス | お前の気持ちはわかったが……どんな事情があろうと、盗賊は盗賊だ。そう簡単に話が通じるとは思えん。 |
| ルーティ | あたしも同感だわ。話し合うなら、せめて捕まえた後にしたらどう ? |
| ウッドロウ | 力で押さえ込めば、信頼を得るのは難しくなる。時には剣を引くことが、戦いを終わらせる最善の手段となりはしないだろうか。 |
| ルーティ | ……ダリスの時みたいに、か。どうかしらね……。 |
| ウッドロウ | 昨夜の話では、彼らを集めて扇動しているリーダーがいるようだ。その人物と話が出来れば、ことは早く済むはずだ。 |
| ロニ | なるほど、確かに……。頭の奴さえ説得できれば、残りの連中も降伏するかもしれませんね。 |
| フィリア | ……私は、ウッドロウさんに賛成ですわ。 |
| フィリア | 昨夜の盗賊たちは、憔悴しきっていました。戦っている間もどこか必死で……彼らもまた助けを求めているように感じたんです。 |
| 街の住民A | うーむ、ウッドロウさんとフィリアさんがそこまで言うなら……。 |
| 街の住民B | ……わかりました。不安はありますが、信じてみたいと思います。 |
| ウッドロウ | ……ありがとう。皆の信頼を裏切らないよう、全力を尽くすよ。 |
| ルーティ | いいわ。あたしも賭けてみようじゃない、その作戦。 |
| ジューダス | ……これもお前の決めた道ということか。ならば、具体的な計画を聞かせてみろ。ウッドロウのことだ、何か考えてあるんだろう。 |
| ウッドロウ | ありがとう、二人とも。兵たちの拠点には、私とルーティ君、ジューダス君の三人で潜入してはどうかと考えている。 |
| S・クレメンテ | 少人数で戦闘を避けて潜入し、リーダーのところへ直接向かうというわけじゃな。 |
| フィリア | 私たちはここに残って、その間街の皆さんを守ればよいのですね。 |
| ジューダス | ……何故、僕たち三人なんだ ? |
| ウッドロウ | 対話を試みるとはいえ、いざという時のためになるべく戦力を増強して臨みたい。そこで、道すがら精霊片を集めて行こうと思うんだ。 |
| S・アトワイト | 精霊装を手に入れてから、というわけね。精霊の力を見せれば、説得しやすくなるかしら ? |
| ウッドロウ | 脅すような真似はしたくないがね。念には念をということだ。 |
| ロニ | わかりました !街のことは俺たちが守ってみせますよ。 |
| ルーティ | ええ、頼むわよ。二人とも。 |
| フィリア | はい、お任せください。 |
| S・クレメンテ | みんな、無理はせんようにな。ただ戦うよりも困難な道になるじゃろう。 |
| S・アトワイト | ご心配なく。私たちもおりますから。 |
| S・イクティノス | では、出発するとしよう。三人とも準備はいいか ? |
| ウッドロウ | 私は問題ないよ。二人はどうだい ? |
| ジューダス | 大丈夫だ。拠点は森の奥だったな ?さっさと行くぞ。 |
| ルーティ | あ ! ちょっと、待ちなさいよ !……全く、もう。 |
| Character | 8話【試練5 精霊の力】 |
| ロニ | ……盗賊の姿は見えねえ、か。送り出した仲間が帰ってこないからって警戒してやがるんですかね。 |
| ロニ | まぁ、街を守る俺たちとしちゃ来ないに越したことはないですけど。 |
| フィリア | …………。 |
| ロニ | あの……フィリアさん ? どうしたんです ? |
| フィリア | ……少し、心配になってしまって。 |
| ロニ | なぁに、大船に乗ったつもりでいてくださいよ !フィリアさんのことは俺が必ずお守りしますって ! |
| フィリア | いえ……私たちのことではないんです。ルーティさんとジューダスさんが気になって。大丈夫でしょうか……。 |
| ロニ | ? あの二人がどうしたってんです ? |
| フィリア | 当人同士のことに、私が何かを望むのは勝手だとわかっているのですが……。 |
| フィリア | それでも、お二人なりのやり方で仲良くなれたら……と。 |
| ロニ | は、はぁ……。 |
| ロニ | …………なんでだ ? |
| ルーティ | ……あそこが盗賊の拠点ね。あの大きさ、元帝国軍の砦ってだけはあるわね。盗賊の数も思ったより多いわ。 |
| ルーティ | まぁ、もし戦いになっても精霊装があれば平気か。着く前にちょうど精霊片が集まってよかったわ。 |
| ウッドロウ | 私は風の力、ルーティ君は水そしてジューダス君は闇だね。 |
| S・イクティノス | 精霊の力、やはり凄まじいものだな……。この力があれば戦略の幅は大きく広がる。 |
| S・アトワイト | 盗賊たちから隠れて進むなら、ジューダスさんの闇の精霊の力は特に有効そうね。 |
| ジューダス | ……そうだな。…………。 |
| ウッドロウ | ジューダス君 ? どうしたんだい ? |
| ジューダス | ……アトワイトが言った通り、この中で潜入に最も適しているのは僕だ。 |
| ジューダス | だったら、三人でぞろぞろ向かうより僕一人で潜入した方がいい。 |
| ルーティ | ! ? あんた、何を言い出すかと思ったら――単独行動もいい加減にしなさいよ ! |
| ジューダス | 別に、何もかも一人でやるとは言っていない。安全な潜入経路を調べたら一度戻ってくる。お前たちはその後についてくればいい。 |
| ウッドロウ | それは危険すぎる。君の力は承知しているが、この規模の砦に単独で乗り込んでは、万が一ということがある。 |
| ジューダス | お前たちにはあっても、僕にはない。心配は無用だ。 |
| ルーティ | 無用って…… ! どうしてそう、頑固なのよ !わざわざ危険な目に遭おうとして……。 |
| ジューダス | ……僕は、最も安全な策を取りたいだけだ。足手まといがいると、危険が増える。 |
| ウッドロウ | ジューダス君……君の言う安全とは自分以外の『誰か』の安全、ということか ? |
| ジューダス | ! 何を……。 |
| ウッドロウ | 私の勝手な想像だというならそれでいい。だが、もしも自分を危険に晒すことで誰かを守ろうとしているなら―― |
| ウッドロウ | それは、間違っているよ。自分自身のことも大事に考えなければ相手をかえって悲しませることになる。 |
| ジューダス | ……ああ、お前の勝手な想像だ。僕はただ……。 |
| ルーティ | ただ、何よ ? |
| ジューダス | ただ、お節介を止めろと言っているんだ。僕はリオンじゃない。お前の弟じゃない…… ! |
| ルーティ | …… ! ! |
| ジューダス | だから……。だから、お前に優しくされる理由はないんだ。 |
| ウッドロウ | ジューダス君、君は……。 |
| ジューダス | ……話は終わりだ。どのみち、盗賊相手に後れは取らんさ。 |
| ルーティ | …………。 |
| S・アトワイト | 行ってしまったわね。……ルーティ、大丈夫 ? |
| ルーティ | ……ええ。ちょっと驚いたけど。 |
| ウッドロウ | すまない、ルーティ君……。私が不用意なことを言ってしまったせいだ。 |
| ルーティ | 別に、いいわよ。あの馬鹿が勝手に突っ走ったんだから。 |
| ルーティ | ……っていうか、あんたも知ってたのよね ?フィリアが知ってたってことは。 |
| ウッドロウ | ああ、そうだ。あえて言うつもりはなかったが。 |
| S・イクティノス | これから、どう動く ?ジューダスの計画通りに行く可能性もあるが……座して待つのも時間の無駄だと俺は思う。 |
| ウッドロウ | ああ、追いかけて合流した方がいい。行こう、ルーティ君。 |
| ルーティ | ……ええ。なんか、あいつに言われて逆に吹っ切れた気がするわ。 |
| ルーティ | この気持ち、面と向かって言ってやらなきゃ気が済まないわよ…… ! |
| Character | 9話【試練6 新しい道】 |
| 盗賊D | 街へ物資回収に行った部隊はまだ戻らないのか……。もう食料が底をついたんだぞ。 |
| 盗賊E | くそっ ! 腹がペコペコだ……。帝国にいた頃はこんなことなかったのにな。リーダーの言う通り、もっと奪うしかないんだ。 |
| 盗賊E | ハァ……腹が減りすぎたせいか周りまで暗く感じるぜ……。 |
| ジューダス | (情報通り、物資が足りていないようだな。追い詰められて過激な行動に出ないとも限らん。その前に、止めなければ……) |
| ジューダス | (幸い、シャドウの生み出す闇に紛れていれば見つかる様子はない。あいつらには待てと言ったが……やはり、僕一人で終わらせてしまおう) |
| ジューダス | (……これ以上、あいつといるとまた余計な世話を焼こうとしてくるだろう) |
| ジューダス | (そう……あいつが僕に優しくする必要はないんだ。それは『リオン』が受けるべきもの。裏切り者の僕ではなく……) |
| 盗賊のリーダー | ……む ?なんだ、今の音は ? |
| ジューダス | 気付くのが遅かったな。命が惜しければ、そのまま動くな。 |
| 盗賊のリーダー | くっ…… ! ?何者だ、貴様は ! |
| ジューダス | 僕が何者かなど、どうでもいいことだ。今すぐ兵士たちに武装を解除させろ。さもなくば命の保証はしない。 |
| 盗賊のリーダー | ヒッ ! わ……わかった、落ち着け !命だけは助けてくれ ! |
| ジューダス | ……ふん。大勢の兵を従えていたにしては、情けない男だな。お前も帝国軍の残党か ? |
| 盗賊のリーダー | ち、違う ! 私は、帝国軍とは何の関わりもない。 |
| ジューダス | それにしては、随分と組織作りが上手いじゃないか。短い間にここまで大きな盗賊団を作るとは……何か裏があるとしか思えないが ? |
| 盗賊のリーダー | 私は……私は、ある教団にいたんだ。その経験を活かしただけさ……。 |
| ジューダス | 教団 ? まさか―― |
| 盗賊のリーダー | かつて、ヒューゴ様という方が興した教団だ。困窮した民を、天上の世界に連れて行ってくれると。……私もその言葉を信じていた。 |
| ジューダス | そうか、やはりミクトランの……。 |
| 盗賊のリーダー | ああ、本当はそんな名前だったと聞いたな。今となってはどうでもいいことだよ。……教団の崩壊で、私は身をもって知ったんだ。 |
| 盗賊のリーダー | 人間というものがどれだけ愚かで騙されやすいか。追い詰められれば、馬鹿げた甘言も信じ込んで言いなりになってしまうんだ。 |
| ジューダス | …………。だから、今度は騙す側に回ったというわけか ? |
| 盗賊のリーダー | ああ、そういうことさ。私は教団が解散する前にくすねた資金で元帝国兵たちを呼び集めた。 |
| 盗賊のリーダー | 盗賊行為を嫌がる奴もいたが、あの方を真似て「お前たちは特別だ、だから何をしてもいい」なんて言ってやれば、簡単なものさ。 |
| ジューダス | ……呆れた男だな。 |
| 盗賊のリーダー | な、なんとでも言えばいい !私はただ、賢く生きようとしただけだ ! |
| ジューダス | 貴様のような小物に言ったわけじゃない。ミクトランめ……死んだ後まで厄介ごとを作るとは全く、しぶといにもほどがある。 |
| 盗賊のリーダー | な……っ ! |
| ジューダス | これ以上話しても時間の無駄だな。さっさと兵士たちに―― |
| 盗賊のリーダー | ……今だ ! お前たち、囲め ! |
| 盗賊たち | はっ ! |
| ジューダス | チッ……伏兵がいたか。だが、雑兵をいくら集めても僕には勝てんぞ。 |
| 盗賊のリーダー | 黙れ ! さぁ、そいつを殺せ !さもなくば我々の道は閉ざされるぞ ! |
| 盗賊たち | おおおおっ ! ! |
| ジューダス | くっ……。 |
| ルーティ | 危ないっ ! |
| 盗賊たち | うわっ ! ? 水が…… ? |
| ジューダス | ルーティ、ウッドロウ…… !追って来ていたのか。 |
| ルーティ | 当たり前でしょ。あんた一人を放っておけるわけないじゃない。 |
| ジューダス | だが、僕は―― |
| ルーティ | いいから聞きなさい、ジューダス。あんたがリオンなのか、弟かどうかなんて本当は関係ないのよ。 |
| ジューダス | …… ! |
| ルーティ | あたしも最初は迷ったけど、やっとわかったわ。大事なのは、あたしがあんたを放っておけないと思ってるってことだけ。 |
| ルーティ | あんたがどんな奴で、あたしとどんな関係だろうとその気持ちだけは確かだから。あたしはただ、それに従うわ。 |
| ルーティ | ……だから、あんたも変な意地張るんじゃないわよ。 |
| ジューダス | ルーティ……。 |
| 盗賊のリーダー | ……ええい、お前たち何を黙って見ている !さっさとこいつらを始末しろ ! |
| 盗賊たち | で、ですが、こいつら妙な力を使います !俺たちに勝てるんでしょうか ! ? |
| ウッドロウ | どうやらリーダーよりも、兵たちの方が冷静に状況を把握しているようだな。 |
| S・イクティノス | 兵を動かす者としては、既に負けたも同義だ。 |
| 盗賊のリーダー | く、くそぉ…… !もういい、こんな砦も兵士も用無しだ !私だけでも、逃げ延びてやる…… ! |
| ウッドロウ | ! しまった !火を放ったか…… ! |
| 盗賊D | そ、そんな ! ?リーダー、まさか俺たちを見捨てて…… ! |
| 盗賊E | あ、熱い…… !せっかく戦を生き延びたのに、こんなところで死にたくない…… ! |
| ジューダス | どこまでも卑怯な男だ……。その品性も、ミクトランから学んだか。 |
| ジューダス | ルーティ、ウッドロウ !火が広がる前に、お前たちの精霊装を使え ! |
| S・アトワイト | そうよ、ルーティ !水の精霊の力を使えば―― |
| ルーティ | わかってる。行くわよ !力を貸して、ウンディーネ ! |
| ウッドロウ | 我々も続くぞ…… !イクティノス、そしてシルフよ ! |
| 盗賊D | 火が、消えた……。た……助かったのか……。 |
| ウッドロウ | ……今のところは、そうだ。だが、このまま君たちが暴力で奪うだけの生き方を続けるなら、いつか必ずしっぺ返しを食うだろう。 |
| 盗賊D | …………。 |
| ウッドロウ | そんな生活に限界があることは君たち自身もよくわかっているはずだ。 |
| ウッドロウ | 奪い続けるだけでは、何かを築くことも生み出すことも出来ない。……恐怖と不安の他にはね。 |
| 盗賊E | な、なら、俺たちに何が出来たと言うんだ !兵士としての生き方しか知らない俺たちに…… ! |
| ウッドロウ | ……誰しも、新しい道に進むのは怖いものだ。 |
| ウッドロウ | 私も同じだよ。今までの自分の生き方がまるで通用しない世界を進んでいる。 |
| ジューダス | …………。 |
| ウッドロウ | だが、その道を一人だけで歩む必要はない。君たちにも、こうして同じ境遇の仲間がいる。砦の外にはもっと多くの出会いがあるだろう。 |
| ウッドロウ | だからどうか、互いに剣を納めようではないか。傷つけ合うのではなく、言葉を交わし合い剣でなく手を差し伸べれば―― |
| ウッドロウ | 必ず、その手を取ってくれる人がいる。そして、ともに新しい道を拓けるはずだ。 |
| 盗賊D | 敵の目の前で、剣を納めるか……。……わかった。武器を捨てよう。俺たちの負けだ。 |
| 盗賊E | ああ、そうだな……。あんたたちに助けられた命だ、好きにしてくれ。 |
| ウッドロウ | ……ありがとう。 |
| Character | 10話【試練6 新しい道】 |
| ジューダス | ――捕らえてきたぞ。砦近くの茂みで息を切らしてうずくまっていた。 |
| 盗賊のリーダー | く……くそぉ……。 |
| ロニ | こいつが親玉か。全く、人騒がせな野郎だぜ。 |
| ルーティ | お疲れ様。これで、盗賊団は解散ね。 |
| フィリア | 街の皆さんとも話がつきましたわ。盗賊……いえ、元兵士の皆さんには、刑罰の代わりに街の再建に手を貸していただくことになりました。 |
| S・クレメンテ | 妥当な落とし所じゃろうな。帝国との戦いで崩れた建物の再建には体力のある人員が必要じゃ。 |
| ウッドロウ | 罪を償うとともに、街の人々と協力し合うことで受け入れられるきっかけになればなお良いと思う。時間はかかるだろうが……。 |
| 街の住民A | ……あの、ウッドロウさん。今回も色々とありがとうございました。 |
| ウッドロウ | 自分に出来ることをしただけだよ。役に立てたなら幸いだ。 |
| 街の住民A | それで、皆で話し合ったのですが……ウッドロウさんに、この街の新しい代表者になってもらえないでしょうか ? |
| ウッドロウ | 私が、代表者に ? |
| 街の住民A | はい ! あなた以上に相応しい人はいません ! |
| ウッドロウ | 申し出は光栄だが……すまない。私には、他にやるべきことがあるんだ。 |
| 街の住民A | ……そうですか、わかりました。では、皆で話し合って、住民から選びたいと思います。 |
| ウッドロウ | それがいいだろう。何かあった時は、私もすぐに駆け付けよう。 |
| 街の住民A | ウッドロウさんに頼り切りにならないように私たちも頑張ってみます…… ! |
| S・イクティノス | ……よかったのか、ウッドロウ ?王とは違えど、民に尽くす役目ではあるだろう。 |
| ウッドロウ | ああ。今は王や長として上に立つのではなく一人の人間として、皆の暮らしをより良くする新しい道を探したいんだ。 |
| ウッドロウ | この世界には様々な人や文化が溢れている。各大陸を巡って、多くの考え方に触れてみようと思う。それがきっと私の答えに繋がるはずだ。 |
| S・イクティノス | ……放浪癖は今なお変わらずか。いいだろう、どこまでも付き合うぞ。 |
| ウッドロウ | ああ、頼むよ。イクティノス。 |
| フィリア | ……これで、一件落着でしょうか。 |
| S・イクティノス | 気掛かりなことがないわけではない。まさか、あの男の名がまた出てくるとは……。 |
| S・クレメンテ | ……ミクトランのことじゃな。もしかすると、他にも奴の残した火種がどこかでまだ燻っているかもしれん。 |
| ルーティ | 帝国の後始末もまだ終わらないっていうのに……困ったもんね。 |
| S・アトワイト | 他のみんなにも、伝えた方がいいでしょうね。スタンさんや……もう一人の私たちにも。 |
| ジューダス | ……ルーティ。 |
| ルーティ | ん ? どうしたのよ、あらたまって。 |
| ジューダス | わざわざ言葉にする気はなかったが……はっきり伝えた方がいいこともあるかと思ってな。 |
| ルーティ | それは同感ね。で、何の話 ? |
| ジューダス | ……僕が、お前と距離を取ろうとしていた理由だ。 |
| ジューダス | 僕はただ……その方がいいと思ったんだ。お前がリオンのことを知ったなら、これ以上余計なことを抱え込む必要はないと……。 |
| ルーティ | 余計なことって……それ、まさか自分のこと言ってるわけ ? |
| ジューダス | ……そうだ。リオンにはきっと、お前が必要なはずだ。本人がどれだけ否定してもな。 |
| ジューダス | だが、僕は……あいつとは違う。違う未来を歩んでいる。僕には、もう他のお節介焼きがいる。 |
| ルーティ | ……つまり ? |
| ジューダス | だから、つまり……こう伝えたかったんだ。――僕のことは心配いらない、と。 |
| ルーティ | なるほどね。本当、つくづく捻くれてるわ。 |
| ジューダス | …………。 |
| ルーティ | ……やっぱり、似てるのかしらね。同じようなこと考えてたのよ、あたしも。 |
| ルーティ | あんたにはもう仲間もいるんだしあたしが出しゃばっても邪魔になるかな、って。 |
| ジューダス | 違う ! そういうことじゃない―― |
| ルーティ | わかってるわよ。いいから、これだけ言わせて。あたしは別に、心配する相手が一人増えたからって何も困ったりしないんだから。 |
| ルーティ | ……あんたは『余計なこと』でも何でもないわ。だから、大人しく心配されてなさいよ。仲間にも、あたしにもね。 |
| ジューダス | …………。……勝手な奴だ。 |
| ルーティ | お互い様でしょ。 |
| ジューダス | ……ふん。わかった、好きにしろ。 |
| ロニ | おい、ジューダス !てめえ、さっきからルーティさんと二人で何をこそこそしゃべってやがるんだ ? |
| ジューダス | 大したことじゃない。お前には関係ないことさ。 |
| ロニ | 何ぃぃぃ~ ! ?関係あるに決まってんだろうが !お前、俺のルーティさんに―― |
| ルーティ | ん ? 『俺の』 ? |
| ロニ | だぁぁっ ! ? 違います、変な意味じゃなくて !つまり、俺の母親代わりだったルーティさんに……あ、いや、こっちのルーティさんは違いますけど ! |
| ジューダス | 一人で勝手に錯乱するな。……やれやれ。 |
| ロニ | ――あっ、おい ! ジューダス !どこに行く気だ ? |
| ジューダス | 馬鹿のいないところつまり、お前から離れた場所だ。 |
| ロニ | なんだとぉ ! ? 待ちやがれ、この野郎~ ! |