| Character | 1話【魂1 夢の中で】 |
| ルカ | あれ ? ここはどこだろう……。ひと気もないし、道に迷っちゃったのかな ? |
| ? ? ? ? | ………… ! |
| ルカ | ……っ ! !なんだろう、今の声は……。 |
| ルカ | ……マティウス ! ?どうして君がいるの。 |
| マティウス | う……ぁ………。 |
| ルカ | どうしたの !なにか言いたいの ? |
| マティウス | くっ……もう……いい……どうにも……。 |
| ルカ | なにかあったの…… ! ? |
| ルカ | ひょっとして……助けを求めているの ! ? |
| マティウス | …………。 |
| ルカ | どうしたの、答えてよ !マティウス ! ! |
| ルカ | 夢……だったんだ。よかった。 |
| ルカ | ははは……現実ならマティウスが僕に助けてだなんて言うわけないよね……。 |
| ルカ | それにしても妙な夢だったな。あれはそう……アスラと話をした時のような……。 |
| ルカ | う~ん ! 天気がよくて気持ちのいい日だなぁ。今日は勉強する前に散歩でも……。 |
| スパーダ | 邪魔するぜ、ルカ。 |
| ルカ | スパーダ ! ?どうしたの、急に ? |
| スパーダ | いや、近くまで来たからよ。ちょっと顔でも見てやろうと思ってさ。 |
| ルカ | そうなんだ。あっ、よかったら上がってよ。お茶とお菓子もすぐに準備するから。 |
| スパーダ | おっ、気が利くじゃねェか。……って言いてえところだけど、今日はいいや。 |
| スパーダ | それよりルカ、今からちょっとツラ貸してくれよ。 |
| ルカ | えっ ! ? えっと……僕、何かスパーダを怒らせるようなことしちゃったかな ? |
| ルカ | それとも、今から街の怖い人たちと喧嘩をするから僕を頭数に……。 |
| スパーダ | そんなんじゃねェよ !お前、時々発想がぶっ飛んでるよな……。 |
| ルカ | ご、ごめん……。けど、だったら何をするの? |
| スパーダ | 稽古だよ、稽古。お前くらいしか相手になる奴がいなくて困ってんだ。 |
| ルカ | え、稽古…… ? ?でも、最近は医学の勉強ばかりで全然剣も握ってないし……。 |
| スパーダ | いいんだよ、そんなことは。気分転換だと思って付き合えよ。 |
| ルカ | う、うん、わかったよ。 |
| スパーダ | そうこなくっちゃ。街外れの丘はどうだ。あそこなら人目を気にせず思いっきり、お前をぶちのめせるしな。 |
| ルカ | ちょ、ちょっと……。 |
| ルカ | いくら剣を振るのが久しぶりでも僕だってそう簡単に負けないからね。 |
| Character | 2話【魂2 相談】 |
| スパーダ | はぁ、はぁ、はぁ……。コテンパンにしてやろうと思ったけどやるじゃねえか。 |
| スパーダ | 医者目指して勉強ばっかしてたやつに勝てねえなんて、情けねぇぜ。 |
| ルカ | はぁ、はぁ……い、言ったでしょ。僕だって簡単に負けないって。 |
| スパーダ | なあ、ルカ……。 |
| ルカ | どうしたの、急に真面目な顔して。 |
| スパーダ | お前はこれからどうするんだよ ? |
| ルカ | 医者になりたいんだ。僕はこの世界でも医者を目指すよ。 |
| スパーダ | ……そっか。 |
| スパーダ | 変わらないんだな。いや……お前はもう決めた、が正しいか。 |
| ルカ | スパーダ…… ? |
| ルカ | スパーダ、勉強で身体がなまってる僕を本気でコテンパンにしてやろうと思ってたんでしょ。 |
| スパーダ | ははは、その通りだ。 |
| ルカ | ねえ。スパーダはどうするの、これから。 |
| スパーダ | オレの心配してんのか ?へっ、大丈夫だって ! |
| スパーダ | こっちの世界に来て、環境がガラッと変わったからな。なにかもっと出来るんじゃねえかって考えただけだ。 |
| スパーダ | だから、ルカ。お前にもちょっとばかし聞いてみたくなった。それだけさ。 |
| ルカ | えへへ、スパーダが僕を頼ってくれて嬉しいよ。 |
| スパーダ | 話聞いてなかったのか ?オレはお前のことを聞いただけで助言なんか求めてねえよ。 |
| スパーダ | ……けど、お前が進む道はどんなものだろうと応援してやる。 |
| スパーダ | 前世でも、元の世界でもこの世界でも、お前を見守ってやるさ。 |
| ルカ | うん、ありがとう ! |
| イリア | あ、やっぱここだったのね。捜したわよ、ルカ。 |
| ルカ | イリア、それにみんなも !久しぶりだね、元気だった ? |
| イリア | あったりまえじゃない。あんたも元気そうで何よりよ。 |
| エルマーナ | ルカ兄ちゃん、スパーダ兄ちゃん久しぶりやな。そんで、なんでそんな汗まみれなん ? |
| アンジュ | 剣の稽古でもしていたの ?世界は落ち着いたのにちゃんと腕を磨き続けているのは感心ね。 |
| コーダ | コーダも疲れて腹が減ったぞ。飯を食わせて欲しいんだな、しかし。 |
| スパーダ | 相変わらず、お前はそればっかだな。 |
| エルマーナ | あれ ? けど、ルカ兄ちゃんはお医者になる勉強で忙しかったはずやろ。剣やなくて、本持っとかなあかんのちゃう ? |
| ルカ | スパーダが稽古に誘ってくれたんだ。勉強ばかりだったから、久しぶりに身体を動かせていい気分転換になったよ。 |
| イリア | あ~ら、奇遇ね~。あたしたちもルカに話があってきたのよ。 |
| ルカ | な、なにか企んでる ? |
| イリア | 失礼しちゃうわね。違うわよ。……あ ! そうだ。あんた、魔鏡通信機見てないでしょ ! |
| ルカ | えっ ? ああっ、ごめん !スパーダと稽古してたから……。 |
| スパーダ | げっ、オレにも連絡来てたのか。ぜんぜん気づかなかったぜ。 |
| イリア | まったく。連絡がつかないからあたしたちがわざわざ来るはめになったんじゃない。ルカ、ちゃんと謝って。 |
| ルカ | あ、ごめん……。 |
| スパーダ | そういや、リカルドのおっさんはいねえのか ?コンウェイとキュキュも。 |
| イリア | リカルドはともかくあの二人はつかまらなかったわ。 |
| アンジュ | 私たちはリカルドさんに相談を受けてルカくんに会いに来たの。スパーダくんも一緒でよかったわ。 |
| スパーダ | なんだよ、なにか事件でもあったのか ? |
| アンジュ | ええ。元帝国軍将校で今はレグヌム大陸の自衛組織に所属している方が、リカルドさんに依頼を持ちかけてきたんですって。 |
| アンジュ | 内容は今話題になってる集団失踪事件の解決よ。 |
| スパーダ | ルカ、知ってるか ? |
| ルカ | ええっと……。 |
| イリア | はぁ……本っ当に、あんたたちったら。村で次々と人が消えてるって事件を知らないの ? |
| ルカ | 人が消えてる ? ? |
| アンジュ | 海辺の村で、ある日こつ然と人々が消えたんですって。それも、一つだけじゃなくてすでに数カ所の村で被害が確認されているの。 |
| エルマーナ | せやけど犯人も、村人たちがどこに消えたんかもわからんくてお手上げやねん。 |
| アンジュ | だから、私たちも協力することになったんだけど二人にも力を貸してもらいたくて。 |
| ルカ | リカルドが頼ってくれたんだ。もちろん協力するよ。消えた人たちのことも心配だし……。 |
| スパーダ | 当然、オレも行くぜ。 |
| アンジュ | ありがとう。そう言ってくれると思ったわ。 |
| イリア | それじゃ、さっそくリカルドがいる街に向かうわよ ! |
| Character | 3話【魂3 奇怪な島】 |
| | 久しぶりのルカたちの再会から、時間はしばらく遡る。 |
| コンウェイ | はぁ……まったく、ついてないね。全てはあの漁村に立ち寄ったことが原因か……。 |
| キュキュ | それ、こちのセリフ。コンウェイ、一緒なんてキュキュも不満 ! |
| キュキュ | キュキュ、雨なかたらもう村を出てる予定だた。 |
| コンウェイ | それはボクも同じさ。雨など気にせず出ればこんなことにならなかった。あんな惨状を目にすることもなかった。 |
| キュキュ | あんな大勢、村に現れたの驚いた。キュキュ、怖かた。 |
| コンウェイ | 村に現れた人たちの、あの目を覚えているかい。意思を失い、なにかに操られているようだった。 |
| キュキュ | コンウェイも悪い目。村人助けるより、この出来事楽しんでる。 |
| コンウェイ | そんなことはないさ。ついてない、そう言ったはずだよ。 |
| コンウェイ | しかし、これが巷で噂になっている失踪事件の真実なんだろうね。 |
| キュキュ | 意思を失くした集団が村人さらう。けど、さらて何してる ? |
| コンウェイ | わからない。けど……さらわれた村人がさらう側になっている可能性も考えられる。 |
| キュキュ | ホントか ! ? |
| コンウェイ | 確信はないけど、村人をさらった連中を見ただろ。服装や身につけていたものは漁村の人たちと似ていた。 |
| キュキュ | ……コンウェイ、合てる気する。連中、『この島』で村まで来た。おかしいことだらけ。 |
| コンウェイ | そうだね。まさか島が動くなんてね。さらった連中もさらわれた人たちも今は間違いなくここにいる。 |
| キュキュ | けど……変ね。どうして島は動いてる ? |
| コンウェイ | さぁ ? でも、術の類の痕跡も、機械類も見られない。つまり、島を操作しているわけではないから……自然に動いているのかもしれない。 |
| ? ? ? ? | ごぉぉぉぉぉぉっ………… ! |
| キュキュ | 聞いたか、唸り声。 |
| コンウェイ | ああ、森の奥からだね。不気味で禍々しい声だった。 |
| キュキュ | キュキュ、行く ! 村人助けないと ! |
| ? ? ? ? | ごごごぉぉぉっ………… ! ! ! |
| コンウェイ | 驚いたな。あんな幽霊がいたなんて……。なんて禍々しいんだ。 |
| キュキュ | さらわれた人たち、どこ ?近くにはいない。 |
| キュキュ | コンウェイ、どうする ? |
| コンウェイ | あの幽霊、そこらの魔物とは一線を画した存在だ。こいつが事件の首謀者だとしたらボクたちだけで出来ることは……。 |
| キュキュ | コンウェイ、見る !幽霊のそばにあいつがいる。 |
| コンウェイ | ……どうして、あの二人がいるんだ。 |
| マティウス | ――た――あ――チ――か―― |
| 禍々しい幽霊 | ごご………… ! ! ! |
| キュキュ | キュキュ、幽霊の言葉、わからない。 |
| コンウェイ | 対話をしている…… ?まさか、一連の事件もマティウスが ? |
| キュキュ | なにか悪巧みしてたか ! ? |
| コンウェイ | ……さすがにやっかいなことに首を突っ込んだかな。 |
| キュキュ | あ、幽霊どこか行く。 |
| コンウェイ | あの二人を同時に相手にするのは厳しいところだったよ。正直、少しほっとした。 |
| キュキュ | マティウスのせいなら見過ごせない。キュキュ、あの二人止める ! |
| コンウェイ | 仕方ないけど、それは同意するよ。 |
| マティウス | お前たちが……どうしてここに ? |
| キュキュ | キュキュたち来た。悪巧み、やめてもらう。 |
| キュキュ | マティウス、狙いはなに。キュキュ、さらわれた村人を連れて帰る。 |
| マティウス | ……ふふ。 |
| コンウェイ | (笑った…… ?) |
| マティウス | その言葉に従うとしよう。私の降参だ。 |
| キュキュ | え…… ? |
| コンウェイ | これはまた……面白い展開だね。 |
| Character | 4話【魂4 失踪事件】 |
| ルカ | リカルドはこの街にいるんだね。アンジュ、どこに行けばリカルドに会えるの ? |
| アンジュ | それが、リカルドさんとは魔鏡通信で話しただけなの。詳しい居場所までは私も知らなくて……。 |
| イリア | さっき、リカルドに連絡したけど出なかったのよね。うちの連中ってどうしてこうなのよ。 |
| スパーダ | オレたちが捜してきてやるよ。お前らはどっかで休んでな。 |
| スパーダ | おい、ルカ。行くぞ。 |
| ルカ | うん、どこから捜そうか。 |
| イリア | そう ?じゃあ、頑張ってね ! |
| コーダ | コーダは街名産のホットドッグを食べにいきたいんだな、しかし。 |
| エルマーナ | ええな、それ。ウチも行くで。 |
| アンジュ | もう、ふたりとも。遊びに来たんじゃないのよ。 |
| 老将校 | 突然すまないが、君たちがリカルド君の友人かね ? |
| スパーダ | ん ? なんだじいさん。リカルドのおっさんの知り合いか ? |
| ルカ | ひょっとしておじいさんがリカルドに事件の相談をした元帝国軍の方ですか ? |
| 老将校 | おお、そうじゃ。君たちの話を聞いていたから、すぐにわかったよ。 |
| イリア | だったら話は早いわ。事件のこと、直接おじいさんに聞いちゃいましょ。 |
| イリア | いいでしょ、おじいさん ? |
| 老将校 | もちろんじゃ。遠慮なく、そうさせてもらうとしよう。 |
| 老将校 | ……巷で噂になっているから、いくらかは話を聞いていると思うが、このレグヌム大陸の住人が集団で消える事件が何件も起きている。 |
| 老将校 | 事件が起きるのは決まって新月の晩だ。海から流れ込むように霧がひっそりと村全体を覆い霧の中で村人が消えていくのだ……。 |
| イリア | なんか思ったより不気味な話ね。 |
| 老将校 | おお、その通りじゃ。恐ろしい話じゃ。それに……わしは犯人がわかっておる。 |
| イリア | ますます話が早いじゃない !あたしたちが行って、とっちめてやるわよ。 |
| スパーダ | オレたち、こう見えても結構やるんだぜ。そこら辺は安心しな。 |
| 老将校 | ははは、リカルド君から聞いた通り頼もしい仲間のようだ。 |
| エルマーナ | リカルドのおっちゃん、ウチらがおらんところでそんなベタ褒めやったんか。照れるやん。 |
| アンジュ | おじいさん、それで犯人は誰なんですか ? |
| 老将校 | 幽霊じゃ。 |
| イリア | ……ね、ねぇ、おじいさん。あたしたちをからかってるの ? |
| 老将校 | 最後まで話を聞いとくれ。幽霊島と呼ばれる、海を漂流する小さな島。そこに棲みついとる幽霊なんじゃ。 |
| エルマーナ | なあ、ルカ兄ちゃん。このおじいちゃんの言っとることがホンマならウチ帰りたいわ。 |
| ルカ | う~ん……。 |
| アンジュ | あの、失礼ですけど、どうして幽霊が犯人だとご存知なのですか ?事件にもお詳しいようですし。 |
| 老将校 | そうじゃな……この事件を解決したいだけじゃ。自衛組織だけでなく一人でもずっと調べておったんじゃ。 |
| ルカ | 話も具体的だし、とても嘘をついたり僕たちをからかってるとは思えないよ。 |
| スパーダ | まあ、百歩譲ってその話が本当だとしてだ。一体全体、幽霊が人をさらってどうすんだよ。 |
| 老将校 | さて……理由まではわからんよ。 |
| ルカ | おじいさんも全て知ってるわけじゃないんですね。さらわれた人がいるのは本当なんだし……うん、僕はおじいさんの話を信じます。 |
| ルカ | ねえ、みんな。僕たちでさらわれた人たちを助けようよ。 |
| イリア | まぁ、一度引き受けちゃったしね。本当に幽霊の仕業かどうかもわかんないし。 |
| エルマーナ | せやな。おじいちゃん、ウチも協力するで。 |
| スパーダ | そうと決まれば、さっさとリカルドと合流しようぜ。それで、ちゃちゃっと解決してやるよ。 |
| 老将校 | おお、協力に感謝する。だが、時間は限られている。次の新月はもう迫っているからの。 |
| ルカ | はい、次の事件が起きる前に止めます。 |
| アンジュ | おじいさん、リカルドさんは今どこに ? |
| 老将校 | ああ、それなら……。 |
| 老将校 | おっと、その前に一つ伝えておくことがあったんじゃ。リカルド君は、わしも知らない事件の情報を持っている者と一緒におるんじゃ。 |
| 老将校 | 君たちもその者に会って共に事件を解決して欲しいと考えておるようじゃな。 |
| ルカ | 誰だろう、僕たちの知っている人かな ? |
| 老将校 | リカルド君のところへ行けばわかるじゃろう。彼は街外れの牢屋にいるよ。 |
| イリア | 牢屋 ? リカルドってばなに考えてるのかしら ?なにかあるなら最初から話しなさいっての。 |
| アンジュ | 連絡を受けた時、なんだか焦ってるみたいだったから伝え忘れたのかもしれないわね。 |
| スパーダ | あるいは、秘密にしてオレたちを驚かそうとしたとかな。 |
| ルカ | リカルドはそんなことしないと思うけど……。理由は会ったときに聞いてみようよ。 |
| イリア | そうね。リカルドのところへ行きましょ ! |
| Character | 5話【魂5 意外な囚人】 |
| ルカ | うわ ! びっくりしたぁ……。 |
| スパーダ | さすがにこの展開は予想してなかったぜ。 |
| イリア | ちょ、ちょっと ! どうしてこいつがいるのよ !しかも牢屋の中に ! |
| マティウス | …………。 |
| アンジュ | リカルドさん、どういうことか説明してくださいますか。 |
| リカルド | 驚くのも無理はない。俺もマティウスが現れるとは思わなかった。 |
| エルマーナ | おっちゃん、説明してーな。ウチ、びっくりして今からでもひっくり返れるで ? |
| コンウェイ | それについてはボクたちから話そう。マティウスを捕らえたのはボクたちだからね。 |
| コンウェイ | 実は……。 |
| コンウェイ | ……と、いうわけさ。 |
| イリア | それじゃなに ?マティウスをたった二人で捕まえたってことなの ? |
| キュキュ | 違う、マティウス、あさり降参した。キュキュも驚いた。 |
| リカルド | 俺も二人がマティウスを連れて来たのには驚いた。だが、老将校からの頼みもあったのでなお前たち全員に協力して欲しいと思ったんだ。 |
| アンジュ | それでも、事前に教えてくれたってよかったじゃないですか。 |
| リカルド | こう見えて、俺もかなり動揺しているんだ。 |
| ルカ | マティウスがここにいる理由はわかったよ。けど、どうして一緒に事件を解決する必要があるの ? |
| リカルド | 嫌なら無理強いはせん。 |
| ルカ | ううん、そうじゃないよ。けど……うまくやれるかなって。 |
| イリア | これまでの経緯を考えればマティウスも素直に、はい協力しましょうって言うとは思えないわよ。 |
| スパーダ | おっさん、きっちり理由を説明してくれよ。 |
| エルマーナ | ウチも同じやで、リカルドのおっちゃん。 |
| コンウェイ | なにも仲良くなって欲しいわけじゃないんだ。理由は簡単だよ。マティウスだけがこの事件の犯人である幽霊と対話ができたのさ。 |
| キュキュ | キュキュたち、マティウス捕まえた後幽霊と話しようとした。けど、ダメだた。マティウスだけ出来る。 |
| スパーダ | 回りくどくないか ?だったらその犯人をとっちめてやればいいだろ。 |
| コンウェイ | 触らぬ神に祟りなしだよ。あえて戦うのは避けるべき相手とだけ言っておこうかな。 |
| リカルド | コンウェイとキュキュがそれほどの相手だと言うのだ。打倒や捕縛は難しいと判断した。 |
| キュキュ | さらわれた村人、まだ生きている。早く助けに行く ! |
| リカルド | ああ。しかし、マティウスが本当のところなにを考えているかはわからん。そこでルカ、お前が話をしてみてくれないか。 |
| ルカ | 僕が? |
| リカルド | 相容れぬ相手かもしれんがアスラを前世とする者同士だ。お前ならわかる事もあるかもしれん。 |
| アンジュ | そうですね。私もそれがいいと思います。 |
| イリア | むしろ、ルカにしかできないことよ。 |
| ルカ | ……わかった、やってみるよ。僕もさらわれた人たちを助けたい。マティウスと話をしてみる。 |
| スパーダ | おい、ルカ。相手はあのマティウスだ。気は抜くなよ。 |
| ルカ | うん。ありがとう、スパーダ。 |
| キュキュ | あ、忘れてた。マティウス捕まえたとき、チトセいた。 |
| ルカ | チトセさんが ? |
| イリア | げげ、そういえば見当たらなかったからすっかり忘れてたわ。 |
| コンウェイ | さらわれた人たちと同じようにあの子も精神支配を受けていたようだ。それもあって一緒に連れて来ることはできなかった。 |
| ルカ | ひょっとしてマティウス……チトセさんを……。 |
| ルカ | コンウェイ、キュキュさん。教えてくれて、ありがとう。 |
| ルカ | 久しぶりだね、マティウス。まさかこんなところでまた会うなんて思ってもみなかったよ。 |
| ルカ | おとなしく捕まったって聞いたけど君はひょっとしてチトセさんを……。 |
| マティウス | 余計な話をしていてよいのか ?時間はあまりないぞ。 |
| ルカ | 時間がないってどういうこと ? |
| マティウス | お前たちの考えはわかっている。私にあの幽霊と話をさせたいのだろう ? |
| ルカ | さらわれた人たちやチトセさんを助けたいんだ。協力してよ、マティウス。 |
| マティウス | ならば聞け。あの幽霊にさらわれた者たちはいずれ魔物になる。 |
| マティウス | 時の進みとともに自我を失っていく。人としていられる時間は限られているぞ。 |
| ルカ | そんな…… ! 大変じゃないか。 |
| スパーダ | どうにも魂胆が読めねえ。やっぱりこいつはなにかの罠じゃねェのか ? |
| アンジュ | その考えも捨てきれないけどやっぱりチトセさんを救いたいんじゃないかしら ? |
| エルマーナ | だったら素直にそう言えばええやん。案外、恥ずかしがり屋なん ? |
| イリア | マティウスに誰かを助けたいなんて気持ちがあるわけないじゃない。だってあいつは、アスラの絶望が転生して……。 |
| マティウス | どう詮索しようと一向に構わぬ。信じられぬと言うのなら、お前たちであの幽霊をなんとかするがいい。 |
| イリア | むぅぅ……どうしてマティウスのペースで話が進むのよ。 |
| リカルド | 老将校から聞いているかもしれんが、まもなく新月だ。幽霊島が現れる、この機会を逃したくはない。 |
| ルカ | ……マティウス、君がなにを考えていてもいい。僕たちには君の助けが必要だ。協力してくれないかな ? |
| マティウス | ふふふ……いいだろう。我が魂の半身の頼みだ。聞くとしよう。 |
| Character | 6話【魂6 幽霊島へ】 |
| スパーダ | なあ、マティウスのやつはちゃんとついて来るのか ?自由にさせておいていいのかよ。 |
| ルカ | いくらなんでも拘束して連れ回すなんてよくないよ。 |
| リカルド | 自ら捕まり、その上で協力すると言っている。構わんだろう。 |
| コーダ | スパーダ、ヒドイんだな。しかし。人でなしだな、しかし。 |
| エルマーナ | コーダの言う通りや~。鬼や、鬼 ! |
| スパーダ | お前も疑ってただろうが ! |
| イリア | …………。 |
| マティウス | …………。 |
| ルカ | ねえ、イリア。本当にこの漁村が次の標的なのかな ? |
| イリア | わっ ! びっくりした。 |
| イリア | そんなこと、あたしに聞かないでよ。なんかわけわかんない話をしてたあいつらに聞いてよね。 |
| リカルド | 老将校によればここが次の幽霊島の出現予測地点だ。 |
| エルマーナ | どうしてそんなことがわかるん ?幽霊島っていうんやからそれこそ、どこに現れるかわからんのちゃう ? |
| コンウェイ | マティウスの話によれば幽霊島は新月の夜にだけ変わる海流に乗って移動しているそうだよ。 |
| アンジュ | それも幽霊から聞いた話なんでしょうか ? |
| コンウェイ | 恐らくね。幽霊島が現れなかった時はそれこそ罠の可能性もある。 |
| キュキュ | 大丈夫。キュキュ、マティウスから目を離さない。 |
| ルカ | きっと、大丈夫だよ。……信じて待ってみよう。今晩は誰も寝ずに見張ってないといけないからマティウスも勝手なことはできないよ。 |
| スパーダ | お前さ、マティウスを睨んでたろ。 |
| イリア | 睨んでなんかないわよ。ただ、様子を見てただけ。 |
| スパーダ | ま、これだけみんなが睨みを利かせておけば変なことはできないさ。 |
| イリア | あんた、マティウスを見てなにか感じない ? |
| スパーダ | なんだそれ ? なにかってなんだよ ? |
| イリア | いいわ、あんたみたいな鈍いやつに聞いたあたしがバカだった。 |
| スパーダ | てめぇ、ケンカ売ってんのか。 |
| イリア | マティウスさ……なんていうのかしらうまく言えないけど少しだけ変わったように見えるのよ。 |
| スパーダ | へぇ。アスラのことならルカだけじゃなくマティウスのことまでわかるってか ? |
| イリア | 茶化さないでよ。本気で言ってるんだから。 |
| スパーダ | 悪い、悪い。 |
| スパーダ | けど、やっぱりあいつもアスラなんだよな……。 |
| イリア | なによ、あんたこそマティウスを気にしてんじゃない。 |
| スパーダ | まあ、な。オレのこれからを決めるのにそいつを忘れちゃいけなかった、ってな。 |
| イリア | いいんじゃない。あんた、後先考えないんだから。 |
| イリア | 頭ねじ切れるくらい考えてやっと人並みくらいなんじゃない ? |
| スパーダ | 言ってくれるぜ。 |
| イリア | ……あれ ? なんだか霧が出てきてない ? |
| スパーダ | おいおい、いつの間にか村が霧に包まれてるぞ ! |
| リカルド | 精神支配された者たちが乗り込んで来たぞ !村人をさらう気だ ! |
| キュキュ | 魔物もきた ! みんな、気を付ける ! |
| コンウェイ | マティウスの言っていたことは本当だったようだね。 |
| ルカ | 操られた人たちは傷つけずに魔物だけを倒して幽霊島に乗り込もう ! |
| Character | 7話【魂7 上陸】 |
| ルカ | ここが幽霊島……。特に変わった感じはしないね。 |
| エルマーナ | ウチもっと怖いところやと思ってたわ。大したことあらへんやん。 |
| アンジュ | 思ったよりも広い島みたいね。どこへ行けばいいのかしら。 |
| イリア | コンウェイ、キュキュ。幽霊がいる場所ってわかるの ? |
| コンウェイ | どうかな。以前に来た時も決まった場所にいるようではなかったからね。 |
| コンウェイ | 迷わずに突き止めるのは苦労しそうだよ。 |
| マティウス | やつの居場所なら見当がつく。ついて来い。 |
| ルカ | あ……待ってよ、マティウス ! |
| エルマーナ | うひゃあ、驚いた。マティウスが道案内を買って出たで。 |
| リカルド | 早くもマティウスに頼ることになるか……。 |
| アンジュ | あら ? 協力するように言ったのはリカルドさんじゃないですか。 |
| リカルド | ここは未知の幽霊島だ。警戒はするさ。 |
| スパーダ | にしても、ずいぶんこの島に詳しいみてぇだな。案外、幽霊と仲良くやってたんじゃねぇか ? |
| コンウェイ | そのことだけど、ボクは最初マティウスが何かを企んで幽霊と対話をしていたと思ったんだ。 |
| コンウェイ | その時、なにかの拍子でチトセさんが精神支配を受けたんじゃないかとね。 |
| コンウェイ | けど、もしかしたら逆なのかもしれない。 |
| スパーダ | 逆って、どういうことだよ ? |
| コンウェイ | 詳しい経緯はわからないけどチトセさんが精神支配を受けてしまった。 |
| コンウェイ | それがきっかけでマティウスは幽霊島に来たのかもしれない。 |
| スパーダ | なら、マティウスはチトセの件を解決するために幽霊と対話してたってことか。 |
| コンウェイ | ああ。 |
| キュキュ | だから、幽霊と話してる時キュキュたちを見て、マティウス捕またか。 |
| コンウェイ | 自ら進んでね。それにキュキュは覚えているだろう ?マティウスはあの時、笑っていた。 |
| イリア | それってつまり、マティウスは一人じゃ解決できないって考えたってこと ? |
| キュキュ | それなら、キュキュたちマティウスに利用されてるのと一緒 ! |
| スパーダ | ああ、そういうことになるな。 |
| コンウェイ | たしかにそうとも考えられる。けどね……。 |
| イリア | マティウスは口にはしないけど……あたしたちを頼っているってこと ? |
| イリア | やっぱり、あたしたちの知ってるあいつじゃなくなってる…… ? |
| コンウェイ | いずれにせよ、キミたちもあの幽霊を見れば一人でどうこうできる相手じゃないことはわかるよ。 |
| スパーダ | おいおい、そんなにやばいヤツなのかよ。 |
| リカルド | 老将校が幽霊についてやつはすべてを憎んで絶望しているとこぼしたことがあった。 |
| リカルド | その上、マティウスが対処しきれないと悟ったとすれば、事件解決は想像以上に難しいかもしれん。 |
| Character | 8話【魂9 幽霊の正体】 |
| スパーダ | おい、待てよマティウス !あいつ……勝手にどんどん先へ進みやがって。 |
| エルマーナ | 気ぃ抜いたら見失ってしまいそうやわ。 |
| マティウス | やつがいたぞ。 |
| イリア | 噓でしょ……。あの幽霊、こんな禍々しい気配を出しまくってんの ! ? |
| ルカ | コンウェイやキュキュさんが言った通りだ。近くにいるだけで震えが止まらないよ……! |
| リカルド | 憎しみ、そして絶望の果てにこんな化け物になったのか…… ! |
| マティウス | …………。 |
| アンジュ | リカルドさん ! あれを見てください ! |
| リカルド | 幽霊を取り囲むようにさらわれた人々がいるな。自分の身を守らせているのか…… ? |
| アンジュ | それだけじゃありません。あの中に、チトセさんが ! |
| ルカ | チトセさん ! 僕の声が聞こえる ! ? |
| チトセ | …………。 |
| マティウス | 無駄なことだ。ああなっては声も届かぬ。感情はなく、あの幽霊の意思によってのみ動く。いうなれば、出来の悪い人形だ。 |
| イリア | ちょっとあんた……言い方ってもんがあるでしょ ! |
| リカルド | その辺にしておけ。今は、チトセや村人を助けることが先決だ。 |
| ルカ | マティウス、あの幽霊と話をしたんでしょ?なんて言ってたの ? |
| マティウス | あの幽霊は元々、帝国軍特殊部隊のリーダーだった。秘密裏に行われた作戦に参加したが軍部に見捨てられ、多くの部下を失ったそうだ。 |
| アンジュ | まさか、その事件がきっかけで……。 |
| マティウス | 部下が犠牲になったことで帝国に対して憎悪を持ち続けている。 |
| マティウス | そして、この名もなき兵は自分が死んだことにも気づかず、亡霊となったようだな。 |
| マティウス | なぜやつが人々をさらい続けているのかお前たちにわかるか ? |
| ルカ | え……どうしてだろう……。 |
| マティウス | 人々が帝国の犠牲にならないよう守るためだそうだ。もはや自我すら失いつつある身で言っていたぞ。 |
| ルカ | そんな……。 |
| マティウス | 同情するのか ?死者にそんなものをしてどうするというのだ。 |
| マティウス | さて、交渉を試みるとしよう。お前たちはここを動くな。 |
| 禍々しい幽霊 | ごごごご…………。 |
| マティウス | 随分と不機嫌そうではないか。お前の木偶人形が傷つけられるとでも思っているのか。 |
| マティウス | 改めて話をしにきた。この人々を解放してもらいたい。 |
| 禍々しい幽霊 | ……奪……わせは……し……ない…… ! |
| 禍々しい幽霊 | ぐおおおおお…………っ ! |
| マティウス | ……またしても聞く耳を持たぬか。愚か者め…… ! |
| ルカ | マティウス、イラついてる。どうしたんだろう。 |
| イリア | 自分でもなんでイラついてるのか、わかってないのかもね。 |
| スパーダ | ああ ? どういう意味だ ? |
| イリア | ただの想像だけど、マティウスはチトセを助けたいって気持ちを自覚していないんじゃないかって。 |
| イリア | ううん、違う。自覚していないというかそんな気持ちはないのよ。でも、相反する反応をしちゃうのかも。 |
| ルカ | どういうこと、イリア…… ? |
| イリア | これ以上はうまく説明できないわよ。まあ、面倒くさいやつってこと ! |
| 禍々しい幽霊 | ぐおおおおおおっ ! |
| イリア | やばっ、交渉決裂したみたい !あたしたちも行くわよ ! |
| ルカ | マティウス、大丈夫 ! ? |
| マティウス | 交渉は失敗だ。お前が私に交渉するよう言ったのだ。さぁ、次はどうする、ルカ ? |
| 禍々しい幽霊 | ……みんな……守……る……手出し……させ……ない。 |
| ルカ | みんなを守る……。この幽霊は本気だ。どうしたらいいんだろう……。 |
| マティウス | 簡単なことだ。この幽霊に同情して立ち止まるか犠牲を払ってでも進むのか、どちらかを選べばいい。 |
| スパーダ | ルカ、よく考えろ。どうやったって話が通じるとは思えないぜ。 |
| アンジュ | けど、この幽霊の動機は優しさ……だからルカくんも迷っているのよ。 |
| ルカ | ……心を奪われて、幸せな人なんていないよ。あの幽霊は間違っている。 |
| イリア | そうよ。あたしだったら、誰かに命令されるだけなんてゴメンだわ。 |
| リカルド | ああ。たとえ誰かに守られていても操り人形に幸せは訪れん。 |
| エルマーナ | その通りや ! |
| ルカ | マティウス、一つ教えて。君もチトセさんを助けたいんだよね ? |
| マティウス | 私がチトセを ?勝手に決めつけられるのは不愉快だな。 |
| マティウス | 余計なことを考えている暇などないぞ。 |
| 禍々しい幽霊 | ぐおおおおおお…………っ ! |
| スパーダ | 向こうはもうやる気みたいだぜ…… ! |
| ルカ | 幽霊を止めて、この人たちを助けよう !みんなも協力して ! |
| イリア | 当たり前でしょ。行くわよ、みんな ! |
| Character | 9話【魂10 新たな絆】 |
| 禍々しい幽霊 | ……ぐお……おお……お……。 |
| リカルド | どうだ、やったか ? |
| アンジュ | いえ、まだです !このくらいで止められる相手じゃないみたいですね…… ! |
| 禍々しい幽霊 | ぐ、ぐ、ぐおおおおおおおおおお ! ! |
| キュキュ | さきまでより、怒てる ? |
| エルマーナ | なんや力が大きくなってるで !どしたらええんや ! ? |
| イリア | ちょ、ちょっとまずいわよ、これ ! !なんかヤバそうなのが飛んでくるわ ! |
| イリア | ルカ ! ! ダメ、逃げて ! ! ! |
| ルカ | う、うわああっ…… ! |
| マティウス | 伏せろ ! ! |
| イリア | ふぅ……よかった。ルカ、無事みたいね。 |
| スパーダ | くっ……オレは見てるだけで……なにやってんだ ! |
| ルカ | マティウス……ありがとう。 |
| マティウス | 勘違いするな。お前は我が魂の半身。死なれては都合が悪いのだ。 |
| 禍々しい幽霊 | ぐおおおおお……おおおおお ! ! |
| リカルド | ルカ ! マティウス !油断するな ! |
| マティウス | くっ…… ! |
| スパーダ | させねえっ ! ! |
| スパーダ | お前ら二人とも、オレが守る ! ! |
| ルカ | スパーダ…… ! |
| マティウス | ずいぶんと偉そうな口を利くではないか。お前では手に負えん、下がれ ! |
| スパーダ | 下がらねえよ。お前だってアスラなんだ。だったらマティウスもオレが守らねェとな ! |
| スパーダ | 士道訓五箇条が一つ !『心に剣を持ち、誰かの盾になれ』。 |
| スパーダ | オレは二人のアスラを守る。うおおおおおおっー ! ! |
| エルマーナ | 見てやっ !スパーダ兄ちゃんの浄玻璃鏡が光ったで ! ! |
| マティウス | ほう……。 |
| ルカ | スパーダ、すごいよ ! |
| スパーダ | クソっ、ちょっとでも欲かいて迷ったのがバカらしいぜ。 |
| スパーダ | オレは、オレの心から突き動かされるものに従えばよかったんだ。 |
| スパーダ | そう思えるのは、デュランダルがそうできなかったから、かもしれないけどよ……。 |
| スパーダ | けど、ここまでやってもこいつはまだ止まらねぇか…… ! |
| 禍々しい幽霊 | ぐがああああああ……ああああ ! ! |
| イリア | なんなの、また様子が変わったわよ。 |
| コンウェイ | 恐ろしいことをするね。どうやら、今度は憎悪を取り込み始めた。 |
| アンジュ | この幽霊……どうなってしまうの ? |
| エルマーナ | あかんで、さらにやばくなったやん ! |
| コンウェイ | 例えるなら、破壊と憎悪のみの存在。そんなところかな。 |
| キュキュ | 冷静に言てる場合か !キュキュたち、本当にまずい ! |
| マティウス | 自我を捨てたか……。 |
| 禍々しい幽霊 | ぐごがあああああああああ ! ! |
| マティウス | すでに声も届かぬか。こうも哀れとは。 |
| スパーダ | おい、ここで逃げるわけにはいかねえぞ。 |
| マティウス | 当たり前だ。 |
| ルカ | マティウス、こうやって僕たちが一緒に戦える日が来るなんてね。 |
| ルカ | 僕たち二人が揃えば戦神アスラみたいに誰にも負けないよ。 |
| マティウス | 調子に乗るな。お前は私の援護をしろ。しくじるなよ。 |
| ルカ | うん ! |
| イリア | なにニヤついてんのよ ! 気合入れなさいよね !おたんこルカ ! |
| スパーダ | 二人とも準備はいいな ! |
| スパーダ | お前らとオレが揃えば、戦場じゃ無敵だ !オレが切り込む。遅れんなよ、ルカ ! マティウス ! |
| Character | 10話【魂10 新たな絆】 |
| リカルド | 村人たちも無事に助けられた。みんな、よくやったな。感謝する。 |
| チトセ | …………。 |
| イリア | 陰気なやつね。助けてあげたってのに、何黙ってんのよ。 |
| チトセ | あなたに助けてもらった覚えなんてないわ。偉そうに言わないで。 |
| スパーダ | ヒャヒャヒャ ! そんだけ元気がありゃ大丈夫だ。 |
| チトセ | あの……マティウスさま……。 |
| チトセ | ごめんなさい。マティウスさまに迷惑を掛けてしまいました。 |
| チトセ | 本当なら、私がお役に立たなければいけないのに……。 |
| マティウス | …………。 |
| ルカ | 無事に戻れてよかったね、チトセさん。 |
| チトセ | あ、ルカくん……。うん、本当にありがとう。 |
| イリア | なーに、ニヤニヤしてんのよ。ルカ、あんた助けた人たちの具合を診るんでしょ ! ? |
| エルマーナ | 何言うてんの。もうみんな家に帰ったで。イリア姉ちゃんも知ってるやん。 |
| イリア | こら、余計なこと言わないでいいのよ。 |
| スパーダ | なあ、ルカ。一応、伝えておきたいんだけどよ、いいか。 |
| ルカ | どうしたの ? 急に改まって。 |
| スパーダ | オレはこれからも騎士の心得を忘れずにお前たちといるからな。そこんとこよろしく頼むわ。 |
| イリア | よくわかんないけどさベタベタしすぎて気持ち悪いわよ、あんたたち。 |
| スパーダ | なっ、うるせえよ ! |
| イリア | 冗談よ、冗談。なんかすっきりしたみたいだし応援してあげるわよ。 |
| リカルド | そのようだな。 |
| アンジュ | 私も応援するわ。がんばってね、スパーダくん。 |
| ルカ | 無事に村の人たちを助けられてよかったよ。でも、それはスパーダやみんなの力があったからだって、改めて思ったんだ。 |
| ルカ | だからスパーダ、僕の方こそこれからもよろしくね ! |
| エルマーナ | あ、元将校のおじいちゃんや。こっちこっち ! |
| 老将校 | すべて解決してくれたようじゃな。あの幽霊は、どうなった ? |
| リカルド | 恐らくこの世から完全に消滅しただろう。これで同じ事件は二度と起きん。 |
| 老将校 | そうか。ありがとう……。 |
| マティウス | 貴様、あの幽霊と関係があるのだろう ?対話の時、名前こそ聞き取れなかったが軍部の決定を下した者を恨んでいると言っていた。 |
| 老将校 | ……いかにも、わしが命令を出した張本人じゃ。言い訳にもならんが、帝国を守るために彼を……わしの親友だった男を犠牲にした。 |
| 老将校 | すべてを語らず、尻拭いをさせるような真似をしてしまった。すまなかった。 |
| スパーダ | ……簡単に選べねェよな。親友と祖国を天秤に掛けたんだ。ここにいるやつらはそういう苦しみを知ってる。 |
| マティウス | …………。 |
| アンジュ | 彼のことをいつまでも忘れず弔ってあげてください。 |
| 老将校 | ああ……忘れるわけがない。君たちには本当に感謝する。それではな。 |
| ルカ | ねえ、マティウス。聞いてもいい ? |
| マティウス | 答えるとは限らんぞ。 |
| ルカ | マティウスはやっぱりチトセさんを助けたくてわざとコンウェイたちに捕まったんだよね ? |
| チトセ | え…… ! ? |
| ルカ | それにあの幽霊。名前もわからないけどあの人が抱いた絶望にも、きっと同情していた。 |
| ルカ | 助ける、とまでは言わないけどなにかしてあげたかったんじゃない ? |
| マティウス | 口を閉ざせば肯定と取りかねないからはっきり言ってやろう。 |
| マティウス | 妄想だ。あの兵にしても、大義を成すには犠牲はつきものだ。同情などするはずもない。 |
| ルカ | ……うん、そう答えると思ってた。 |
| ルカ | 聞いて。でもね、僕は思うんだ。絶望がボタンを掛け間違えることはあるけどきっと誰もが平和や穏やかな世界を望んでいる。 |
| ルカ | だから、僕たちは何度でもやり直せるんだ。 |
| スパーダ | ルカ、お前……。 |
| アンジュ | ルカくん……。 |
| リカルド | ふっ、そうだな。 |
| エルマーナ | ええこと言うやん、ルカ兄ちゃん ! |
| イリア | 本当よ、おたんこルカのクセに ! |
| ルカ | マティウス、僕は夢を見たんだ。そこでは君が助けを求めていた。 |
| ルカ | ただの夢だったかもしれないけど僕にはしっかりと届いたんだ。 |
| チトセ | マティウスさま…… ? |
| マティウス | ……やれやれ、やっかいだな。 |
| マティウス | ルカ、お前は人を助ける道を行くつもりだろう。そいつは性にあっているかもしれぬな。 |
| スパーダ | ……あん ? なんでマティウスがルカの将来の夢を知ってるんだ ? |
| イリア | ひょっとして、マティウスもルカの夢を…… ? |
| ルカ | マティウスが応援してくれるなんて嬉しいな。ありがとう ! |
| リカルド | そういえば村の連中が、今回のお礼にと食事会を用意してくれている。 |
| コーダ | 飯が食えるのか。コーダ行くぞ、しかし。 |
| エルマーナ | コーダはご飯のこととなったら絶対聞き逃さんなぁ。 |
| スパーダ | ならよ、マティウス。お前も一緒に行こうぜ。 |
| マティウス | 笑わせるな。誰がお前たちなんぞと。 |
| ルカ | 何言ってるの、マティウスも行こう ! |
| エルマーナ | せや、今回の事件解決の立役者なんや !主役がおらんと盛り上がらへん ! |
| チトセ | 行きましょう、マティウスさま。マティウスさまに感謝をしたいという人も沢山いらっしゃるのですから。 |
| マティウス | お前まで……。 |
| リカルド | ふっ、あいつと一緒とは妙なことになったな。 |
| アンジュ | 私はにぎやかな食事の方が好きですよ。 |
| イリア | ま、気に食わないやつもいるけど今回だけはよしとするわよ。 |
| ルカ | 君に伝えたいことがあるんだ。 |
| ルカ | 僕らはこの世界で新しい絆を見つけられたんだ。一歩を踏み出せるだけの勇気をもった絆だよ。 |
| ルカ | ――ね、アスラ。 |