Character1話【呼び声1 奇妙な噂】
しいな不思議な気配…… ?
街の男性ああ、そうなんだよ。なんかこう、もやもやっとした何かっていうか……。
街の女性もやもや ?私はふわふわっとした感じがしたけど。
しいなもやもやに、ふわふわ…… ?なんだかイマイチよくわからないね。
街の男性そうなんだよな……。今のところ危険なことは起こってないんだが。
街の女性とにかくなんだか不気味なのよね……。
しいなまあ、そんな気配だけ感じりゃ不気味だよね。異変は街の中で起こってるのかい ?
街の男性うーん、街の中でもたまにあるんだが森のほうが多いみたいだ。うちのじいさまが首筋を撫でられたとか言ってた。
街の女性隣の家の旦那さんもそうよ。でも振り返ると誰もいないんですって。
しいなやっぱり、森のほうだと具体的だね……。実は、同じような話を聞くのはこの街で三度目なんだよ。
しいな……これは、一度調べてみるべきかね。
街の男性調べてくれるのか ! ?それはありがたい…… !
しいなまあ、もともと変わったことが起きてないか調べ回ってたんだ。そのついでみたいなもんサ。
街の女性ついでだとしても助かるわ !お願い、何か大変なことが起きていないか調べてみて !
しいな――ってわけで森まで来てみたけど。
しいなこの風の音……自然のものじゃなさそうだね。
しいな(ここの近くにある三つの街で同じような話を聞いた。首筋を撫でられたとか、ずっと見られているような感じがするとか)
しいな(……確かに、何かがずっと通り過ぎて行くような妙な感覚があるね。なんだいこの違和感は……)
しいな(コリンがいれば、もう少し調査しやすかったんだろうけど)
しいな誰だい ! ?
クラース誰かいると思ったら、しいなか。
しいなクラース ! ?どうしてあんたがここに……。
クラースそれはこちらの台詞だ。私は精霊の調査でここまで来たんだが……。
しいな精霊 ?
クラースああ。これだ。
しいなこれは……なんだい ? レーダー…… ?
クラースそのようなものだな。精霊の気配を探れる計測器だ。
クラース先日、パスカルが突然持ってきたんだ。息抜きで作ったが、使う予定がないってな。
しいな息抜きで作るにしては本格的なものに見えるけどね……。
クラース私もそう思うが……彼女にとってはそういうものなのだろう。それでさっそく起動してみたところ、妙な反応があった。
クラースこの流れを見てくれ。
しいななんだいこれは……。地図は、ここの森……だろ ?でも、この川みたいなのは ?
クラース微精霊の群だ。
しいな群 ! ? これがかい ! ?
クラースああ。目に見えない精霊のエネルギーを可視化して、その動きを追えるようにしたのだとパスカルは言っていた。
クラース微精霊の群は、この森の奥にある洞窟に向かっているんだ。
しいな……一応聞いておくけど微精霊ってのは群で行動するものなのかい ?
クラースそんな話は聞いたことがないな。
しいななら、何かしら異変が起きてると見てよさそうだね。
クラースああ、そう考えている。
しいなこれだけ微精霊が集まってりゃみんなが「おかしい」と感じるのも当然だね……。
クラース何かあったのか ?
しいなああ。歩きながら説明するよ。あたしが街で聞いた話を。
クラース助かる。では、微精霊が向かう先――洞窟に行ってみよう。

Character2話【呼び声2 不可思議な森】
キールさっき本屋で見つけた本……。やっぱり、地域によって手に入る文献が若干違っているんだな。
キールいや、それ自体は別におかしなことじゃない。興味深いのは、中身だ。
キールウェルテス領で手に入れた本とセールンドで見つけたこの本。同じタイトルなのに、内容が異なっている。
キールそれもまったく違うのではなく、微妙な差……。この違いがどこで生じたのかがわかれば今後、世界の変化を予測することも……。
メルディキール、キール !
キール! ?なんだよ、騒がしいな。買い物はもう終わったのか ?
キール……って、あれ ?クィッキーはどうしたんだ ?一緒に買い物に行ったんだろ。
メルディクィッキー、呼んでる !
キール呼んでる ? どこに ?
メルディさっき一緒に買い物してた !そしたらクィッキー、走り出したよ !
キール……何を言ってるんだ ?
メルディうう~とにかく来るよ !
キールえ ?……って、引っ張るなよ、メルディ !
メルディこっち、こっち !はよはよぅ !
メルディクィッキー、こっち行ったよ !
キールこっちって、森 ?なんでこんなところに……。
クィッキークィッキー !
メルディクィッキー、いた !
キールおい、お前どうしたんだよ ?勝手に森に行くなんて……。
クィッキークククィック、クィッキ ! !
メルディ? あっちになにかあるか ?
キールどうしたんだよ。そんなに険しい顔して――
メルディ! 風に飛ばされるよ~ ! !
キールな、なんだこの強風…… !
キール! 今度は風と逆向きに木が揺れてる……。
メルディここ、なんかヘン !
キールああ。明らかに自然現象じゃない。何かの力が働いてる。
クィッキークィッ、クキュキュキュ、クィッキー !
メルディ! 見て、キール !
キールこれは……クレーメルケイジ ?いや、その残骸と言ったほうが正しいか。
キール完全に壊れていて、何かに影響を与えることはなさそうだが……問題はそこじゃない。
メルディ? どしたか ?
キール『誰がここに持って来たか』だ。こんなもの、この世界にいくつもあるわけじゃない。
メルディ!そっか、誰か、落としたか ?
キールああ。意図的に置いたわけではなさそうだ。
キールだが、この森に起こっている現象とクレーメルケイジが無関係とも思えない。
クィッキークィッキー !
メルディあっち !あっちから気配がするみたい !
キール行ってみよう。厄介なことになっているかもしれないから油断はするなよ。
メルディうん !クィッキー、案内お願いな !
クィッキークィッキー !

Character3話【呼び声3 森での遭遇】
しいな洞窟ってのは、こっちで合ってるのかい ?
クラースああ。先ほどより微精霊が増えている。密度も濃くなっているな。
しいな密度、ね……。その洞窟に集合でもしてるのかね。
クラースそう考えるのが妥当だな。問題は、なぜこんなことが起きているか、だ。
しいなああ。ここに来るまで不思議な現象の話はあちこちで聞いたけど。
しいな帝国の残党が関わっているような情報はなかったんだよね。
クラース私も、戦いが終わった後に色々と調査していたがこの近辺で帝国の残党が動いている様子は確認出来なかった。
クラースよほど隠れて行動しているというのなら話は違うかもしれんが……。
しいなさすがに考えづらいだろうね。今の連中に、そこまで統率の取れた動きは出来ないだろうし。
クラースああ。今はならず者が暴れているだけという印象だからな……。
しいなとなると、他に原因として考えられるのは ?
クラース正直、わからん。そもそも私が調査を行っているのも、様々な現象の発生原因を探るのが目的だからな。
クラース帝国との戦いが終わり、この世界はまたひとつの変化を遂げたと言ってもいい。
クラース特に、精霊やそれに近しい存在がこの世界へエンコードされたことで、どの程度の影響を受けたのかはまだまだ未知数だ。
しいなそれを調べようってのかい ?そりゃまた途方もない話だねぇ。
クラース研究とはそういうものだ。見えない答えを探し続ける行為だな。
しいなあたしもそういうのには慣れてるかと思ってたけど全然スケールが違ったよ。
クラースははっ。まあ、ほとんど趣味のようなものだ。
クラースとはいえ、未知な部分が多いということは今後身の回りで何が起こるかわからないということでもある。
クラースこうして研究を続けていけば、もしものときに役立つかもしれないからな。
しいな確かにね。今がまさにその『もしものとき』だろ ?
クラースそういうことになるな。
クラースっと、ここだ。
しいなこの洞窟かい。……見た目は、特に変わったところはないね。
クラースああ。だが、計測器はこれまでに見たこともないような数値を叩き出している。
しいなそんなにすごい数の微精霊が集まってるっていうのかい ?
クラースそれもある。しかし……これは、もっと大きな力が存在しているのかもしれない。
しいな大きな力…… ?
クラースああ……まだこの世界で出会っていない精霊という可能性もある。
しいななんだって ? それは――
二人! !
クィッキークィッキー !
しいなわっ、あんたは……。
メルディクィッキー、待ってよー !
キールはぁ……はぁ……そ、そんなに急いで……い、行くな、って…… !
クラースやっぱりメルディとキールも一緒か。
キールん ? クラースとしいな ?
メルディワイール ! お久しぶりだなー。二人とも、何してるか ?
しいなそりゃ、こっちの台詞さ。って、この会話さっきクラースともしたね。
クラースまあ、こんな森の中で偶然会えばそう言いたくなるさ。
クラース我々は微精霊の異常な気配をたどってきたんだ。そして、この洞窟の奥に強大な力が存在することをデータが示している……といったところだな。
メルディそれ、クレーメルケイジか ?
しいなえ ?
メルディメルディたち、さっきこれ拾ったよ !
キール壊れたクレーメルケイジだ。もう精霊を捕らえる効果もない。
キール妙な気配に騒ぎ出したクィッキーが見つけたんだ。それから気配を追ってここに来たというわけさ。
クラースふむ……どうやら我々が追っているものは同じようだな。
キールああ。ぼくもそう思う。
メルディクラースとしいなも洞窟の中、入るか ?
しいなそのつもりだよ。異変のひとつひとつは小さなことだったけどどうやらそれだけじゃなさそうなんでね。
メルディキール、メルディたちも――
キールもちろん、調査すべきだろう。
クラースなら話は早い。このまま共に――
クラースん ? ちょっと待ってくれ、魔鏡通信だ。
フィリップ突然連絡してすまない。少し頼みがあるんだ。
クラースフィリップ ?

Character4話【呼び声4 調査依頼】
フィリップあれ ? クラース……だけじゃないのか ?
クラースああ。しいなとキール、それにメルディが――
クィッキークィッキー !
クラース……と、クィッキーが一緒にいる。精霊の気配をたどってきたところで合流したんだ。
フィリップ精霊の……もしかして、この場所じゃないか ?
しいなあ、この森の地図じゃないか !
メルディここに洞窟、あるよ !どうしてメルディたちが場所、わかったか ?
フィリップちょうどその森について連絡をしたくてね。地図の、印がついている洞窟の奥……。
フィリップそこに大量の微精霊が集合しているというデータが出ているんだ。
クラース我々がここへ来た理由と同じだな。
キールぼくとメルディも似たようなものだ。しかし、これだけ異常が観測されているということは何かが起ころうとしている…… ?
フィリップ僕たちは、そう読んでいる。
しいな僕……たち ?
フィリップ今、一足先にヨウ・ビクエがその洞窟を調査しているんだ。
しいなヨウ・ビクエ ! ?
クラース彼女まで動いているのか……。
フィリップああ。微精霊が集まっているだけならそれほど気にはとめなかった。
キール精霊片吸引器で集めたりもしているしな。
クラースだが、現に異変は起きているんだ。まだ『怪奇現象』のレベルではあるが……。
フィリップそうなんだ。これが暴走でもしたら、世界のバランスが崩れる可能性もある。
メルディそれはたいへん !
クィッキークィッキー !
フィリップああ。だからこそ、ダーナの巫女であるヨウ・ビクエが調査に向かったんだ。
フィリップその結果、一人では手に余ると判断した。
クラースそれで私に連絡してきたということか。
しいな精霊の研究といったらやっぱりクラースだろうしね。
フィリップしいなやキール、メルディもいるなら言い方は悪いかもしれないけど、ちょうどいい。
フィリップどうか、ヨウ・ビクエに力を貸してくれないだろうか。
クラースそれは願ったり叶ったりだ。どちらにせよ、我々はこの洞窟に入るつもりだったからな。
キール彼女と一緒に行動すれば精霊のこともより深く知れるかもしれない。
しいなヨウ・ビクエには色々助けてもらったしね。今度はこっちの番さ。
メルディメルディたち、ヨウ・ビクエが手伝いするよ !
クラースというわけで、満場一致だ。
フィリップありがとう。こちらが持っている情報は後ほど送るよ。
しいなそれで、ヨウ・ビクエはどこにいるんだい ?
フィリップ洞窟を入って少し進めば会えると思う。応援が来るまでは、浅いところだけ調査すると言っていたから。
しいなってことは、すぐにも合流出来そうだね。
メルディヘンな感じ、ほっとけないよ。早く行こー !
クィッキークィッキー !
フィリップこちらからも、クラースたちのことは伝えておく。急な話で悪いけど、よろしく頼むよ。
クラースああ。すぐに向かおう。では。
しいなこれは大事になってきたね。
キールクレーメルケイジの残骸も、関係しているかもしれない……。
キール人為的な可能性があることも視野に入れて行動するべきだな。
しいなそうだね。何が起こるかわからないし注意して動こう。
クラース……データが送られてきた。ひとまずヨウ・ビクエと合流しよう。
メルディはいな !

Character5話【呼び声5 微精霊が集う地】
クラース恐らく、ヨウ・ビクエはこのあたりに――
ヨウ・ビクエあ、こっちよこっち !
ヨウ・ビクエ突然呼び出しちゃって悪かったわね。でも、来てくれて助かったわ。
クラースいや、我々もここを調べるつもりだったからな。むしろあなたの力を借りられて、助かるくらいだ。
ヨウ・ビクエそう、ならよかったわ。
しいないったいここは、どうなってるんだい ?
ヨウ・ビクエ今のところ、この辺りはさほど異変はないの。だから一人でも入って来られたんだけど……。
ヨウ・ビクエ問題は、この先よ。階段があるんだけど、ちょっと嫌な気配がしてるのよね……。
キール階段 ?この洞窟は人工物だったのか。
ヨウ・ビクエどこかの世界の人工物が具現化されたものというのが正確かしら。それを都合よく利用していたのかもしれない。
ヨウ・ビクエ今は放棄されているけれど誰かが使っていた痕跡があったわ。
しいなそれは、かつての帝国の連中かい ?
ヨウ・ビクエ恐らく。確認したけど、救世軍はここの存在を知らなかったみたいだから。
クラース今は誰もいないと言っても、帝国関連となるとますます油断はできないな。
ヨウ・ビクエまあ、そういうわけだから戦力がほしかったのよ。とりあえず、奥に向かいましょ。
キールそういえば、ヨウ・ビクエは今フィリップと一緒に行動しているのか ?
ヨウ・ビクエええ。彼、新体制を作ろうとして一生懸命になってるから。でもほら、あの性格じゃない ?
ヨウ・ビクエ頑張ろうとすればするほど、無茶もしちゃいそうで。だから手伝ってるってわけ。
しいなああ……なんか、目に浮かぶよ。集中すると周りが見えなくなるタイプだろ ?
メルディキールと一緒 !
キールぼ、ぼくはそこまで無茶をするタイプじゃないだろう ! ?
しいないやー、どうだろうねえ ?学者っていうのはほんっと、周りが見えなくなる生き物だからね。
クラースはは……私は正直、あまり否定出来ないな……。
ヨウ・ビクエふふ。まあ、夢中になれるものがあるのはいいことよ。身体に気をつけてさえくれればね。
全員
クィッキークキクキ、クィッキーッ ! !
メルディ今、なんかヘンな感じがしたよー。
クラース計測器も、とてつもない数の微精霊を示している……その影響か ?
ヨウ・ビクエええ。塊のような微精霊が通り過ぎていったわ。吸い寄せられるみたいに。
しいな吸い寄せられる、ね……。まるで精霊片吸引器みたいじゃないか。
ヨウ・ビクエそれ、当たらずとも遠からずって感じよ。
しいなえ ?
ヨウ・ビクエこの奥に、不自然なほど大きな力を感じるの。微精霊はそこに吸い寄せられているみたい。
クラースなるほど……大きな力、か。だが、妙だな。
メルディみょう ?
クラース先ほどから、どことなく懐かしい気配がする。
しいな懐かしい…… ?会ったことがある感じかい ?
クラースああ、恐らく。私の世界に存在していた精霊がエンコードされてここにいるのだろうか……。
ヨウ・ビクエあるいは、あなたと縁のある精霊という可能性もあるわね。
キールそうか。縁のある存在なら、懐かしいと感じるのもあり得る話だな。
メルディそれに、微精霊たち、優しい !
しいなそういや、街でも森でも攻撃的な気配を感じたことはなかったね。
しいな首を撫でられた、なんて怪奇現象は起きてたみたいだけど。
メルディじゃあ、心配ない ? へーき ?
キールいや、平気ではないだろうな。
メルディなぜか ?
キール今は直接的な危険はないかもしれない。だが、小さな不安が重なれば人は疑心暗鬼になっていく……。
キールそれが治安の悪化に繋がり今度は人が微精霊に悪影響を及ぼすという可能性もあるからな。
ヨウ・ビクエそうなのよね。結局のところ、人の心が一番怖いのよ。
クラースどこかで聞いたような話だな……。
しいな人の心、か……。
ヨウ・ビクエそういうわけだからサクッと解決しちゃいたいの。
ヨウ・ビクエさあ、ガンガンいきましょ~ !
キールそこそこ深刻な話をした割に、ノリが軽いな……。
しいなま、それくらいの方が気負わなくていいのかもね。

Character6話【呼び声6 洞窟の奥へ】
メルディ…………。
しいなどうしたんだい、メルディ。キョロキョロして。
メルディここ、なんかキレイ。
しいなキレイ ?
キール神聖な雰囲気、って言いたいのか ?
メルディそれ !
しいな今のでよくわかったね……。言われてみれば納得だけど。
クラースああ。たしかに『洞窟』というより『神殿』と呼んだほうがしっくりくる雰囲気だな。
ヨウ・ビクエそれ、言い得て妙かもしれないわ。たぶん、この奥にいる精霊がそういう空気を作っているんだと思うの。
ヨウ・ビクエ空気がピリッとしているというか王者感が漂うというか……。
ヨウ・ビクエだからキレイとか神聖って感想が出るんじゃないかしら。
しいななるほど……。けど、それだけすごいもんが待ってるってことだよね……。
メルディ強い精霊、メルディたちがこと、待ってる ?
ヨウ・ビクエええ、恐らく。
しいな(強い精霊……。またか……)
しいな(……いや、ここで怯えてどうするんだ。ロイドやコリンが教えてくれただろう。あたしは――)
キールなら、いっそう気を付けないと――
全員! ?
しいな魔物……いや、光魔 ! ?
光魔 ?……ウゥ~……ハルルルルル。
キールなんでこんなところに光魔が ! ?
ヨウ・ビクエ違うわ、これは微精霊よ !
キールなんだって ! ?
ヨウ・ビクエ微精霊が光魔の形を真似ているんだわ。だから攻撃してくることは――
光魔 ?……ウゥ~……ハルルルルル !
全員ええっ ! ?
クラース普通に攻撃してきたな ! ?
ヨウ・ビクエええ~、私がいるのに ?
キールそんな理由で攻撃しないのか…… ?いや、『それでも攻撃してきた』と考えるのなら――
光魔 ?…………ヲ…………ル…………。
クィッキークイッ !
メルディ光魔、何か言ってる !
光魔 ?…………ヲ、マモル…………。
キール守る ? 一体何を…… ?
光魔 ?マモル…………マモル………… !
しいなちょっと待ちな ! あたしたちは危害を加えるつもりじゃ――
光魔 ?マモル………… ! マモル………… !
クラース話が通じる状況ではなさそうだ…… !
しいなどうも会話のできない精霊ってのは苦手だよ。けど、そうも言ってられないね。ちょっと眠ってもらうしかないか――
光魔 ? たちマモル………… ! マモル………… !
メルディバイバ ! たくさんなったよ !
キールな、なんだこの数は !
クラースこの洞窟には大量の微精霊が集まっている。それらがすべて形作ればこうもなるだろう。
キールそ、そうか……。
キールって、納得している場合じゃないな。とにかく、全員で攻撃すれば――
ヨウ・ビクエ大人しくしなさい !
四人! ?
メルディみんな消えたよ !
キールヨウ・ビクエの力か ! ?
ヨウ・ビクエふふ、そう。峰打ちよ ♪
しいな峰打ちって……。
ヨウ・ビクエまあ、それは冗談だけど私の力をぶつけて少し散らしただけ。消滅はしてないわ。
キールな、なるほど……。相変わらず規格外の力だな……。
メルディワイール ! カッコイイな !
ヨウ・ビクエふふっ、ありがと。それじゃ、先に進みましょうか !
ヨウ・ビクエしいな、顔色が悪いけれど大丈夫 ?
しいなあ、ああ。大丈夫だよ。心配ないサ。
しいな(雷の神殿の時と今の状況を重ねちまってたのか。あの時のことは乗り越えた筈だろ。しっかりしないと)
しいなさて、行こうかね !

Character7話【呼び声7 行く手を阻むもの】
メルディ行こー !
クィッキークィッキー !
メルディ進むよ~ !
しいな………… ?
メルディ行こ~、行こ~ !
しいな…………。
メルディどんどん――
しいなちょっと待った !
メルディ? どーかしたか ?
しいなさっきからあたしたち、同じ場所をグルグル回ってるみたいだよ。
四人えっ ! ?
しいなそこの岩に、文字が書いてあるだろ。
クラースこれか ?……今日の日付と、しいなの名だ。
キールいつの間に書いてたんだ ! ?
しいなさっき通りがかったときにどうもヘンだと思ってね。精霊のいる場所には色々と仕掛けがあるものだし。
ヨウ・ビクエしいな、お手柄よ。これはさすがに疑いようがないわ。
しいな(……うん。あたしはやれてる。あの時とは違う。強い精霊がいても言葉の通じない相手がいても、あたしはもう――)
メルディでも、なんでグルグルしたか ?
ヨウ・ビクエこれも、微精霊の仕業かもしれないわね。さっき、光魔の姿になって攻撃してきたのと同じように今度は先へ進めなくしたってところかしら。
クラース何がなんでも洞窟の奥へは行かせたくないということか……。
キールそうみたいだな。さて、どうやって進むか。
メルディヨウ・ビクエ、またバーってやって微精霊どかせるか ?
ヨウ・ビクエそうね。申し訳ないけどその手を使わせてもらって――
しいなうわっ !
クラース! ? どうした ! ?
しいなこの壁 !今、あたしの手を掴んできて……。
クラース壁が ?
しいなああ。あたしのことを足止めしようとしたんだろうけど……。
しいな…………。ちょっと離れててくれるかい ?
クラースわかった。みんな、少し下がろう。
しいな生吸符 !
メルディワイール ! 道が出来たよ !
ヨウ・ビクエ微精霊の力を奪って一時的に眠らせたのね。いい腕じゃない。
しいなあんたに任せっぱなしじゃあたしたちが何しに来たのかわかんないしね。
メルディこれで、奥、行けるな !
キール念入りに行く手を阻んでたんだ。きっとこの先に何かあるはずだ。
クラースああ、近づいているのは間違いない。行くぞ。
ヨウ・ビクエ…………。
クラースどうした ? 足を止めて。
ヨウ・ビクエ……ちょっと、気になってたんだけど。さっきの壁ってどうやって作られたと思う ?
クラースさっきの……微精霊が作った壁のことか。
ヨウ・ビクエええ。
クラースそうだな……。壁も、光魔も基本的には同じ原理だと思う。
クラースこの周辺にあるアニマを収集・再構築し『触れることの出来る幻』を作っていたのだろう。
ヨウ・ビクエ『触れることの出来る幻』ね……。
キールぼくも似たような見立てだ。具現化とは異なる理論だと思うが、アニマの流れを微精霊が操作していたのは確かだろう。
ヨウ・ビクエその理論って、もう少し研究したらフィリップの病気を治すことに役立てられないかしら ?
二人! !
クラース確か、フィリップの病気はアニマ汚染によるものだったな……。なら、アニマの流れを操ることは治療のヒントになり得る。
キール問題は、精霊と同じことを人間に再現出来るか……。
クラース精霊が具体的にどのように力を使っているのか本腰を入れて研究してみるのはどうだ ?
キールそうだな。それがわかれば人間でも同様の現象を起こせる方法が見つかるかもしれない。
キール例えばこの壁を――
メルディ待って待って !今は奥、強い精霊がとこ行くよー !
二人! !
しいなメルディの言う通りだよ。今は近くまで迫ってる異変のほうを片付けちまわないかい ?
ヨウ・ビクエそうね、ごめんなさい。私が関係ない話をしてしまったから。
クラースだが、面白い視点だった。良い研究テーマになりそうだ。
キールぼくも気になるところだな。ここの調査が終わったら本格的に研究を進めてみるか。しかし……。
キールなぜ、フィリップの病気の件を ?
ヨウ・ビクエええ……実はね、フィリップと一緒に行動しているのは手助けだけが目的じゃないの。
しいなもしかして、フィリップの病気を治すために ?
ヨウ・ビクエ……彼、なかなか酷いことをしたじゃない ?とても許されるものじゃないわ。
しいな……そうだね。
ヨウ・ビクエそれでも、全部抱えたうえで『生きよう』って覚悟を決めたのよ。
ヨウ・ビクエだったら、初代ビクエとしてはその覚悟に応えたいと思ったの。ビクエを継ぐ大事な後輩だしね。
キールそうか……うん。ぼくもそれは、いいことだと思う。
メルディメルディも !がんばるの、応援したいよー !
クィッキークィッキー !
ヨウ・ビクエありがとう。力を貸してもらえるなら嬉しいわ。
ヨウ・ビクエ私も縁があってこの時代に目覚めたわけだから皆の力になりたいのよ。
ヨウ・ビクエまあ、初代ビクエにして太陽神ダーナの巫女でもある私が持てる知識を――
全員! ?
メルディ今、なんかすごい力、感じたよ !
キールああ。一体何が――
ヨウ・ビクエ……オリジン。
キールえ ?
ヨウ・ビクエこの気配……オリジンだわ !

Character8話【呼び声8 ビクエの提案】
キールオリジン ! ?オリジンが、この奥にいるって言うのか ! ?
ヨウ・ビクエええ。間違いないわ、この気配……。でも、どうしてこんなところに……。
クィッキークィッキー !
メルディなんか、聞こえるよ !
しいなああ……。正直、何言ってんのかわかんないけど――
ヨウ・ビクエ助けて。
しいなえ ?
ヨウ・ビクエ助けて、って言ってるわ。この奥にいる、オリジンを。
クラースオリジンを助けて、か……。一体どうなっているんだ。
クィッキークイッ ! クキュウユユユキュ。
メルディバイバ ! 見て、あれ !
キールあれは、クレーメルケイジか !
しいなは ? なんだってこんなところに……。
キール……調べてみる。ちょっと時間をくれ。
クラースどうだ、わかったか ?
キールああ、だいたいな。これは、『元』クレーメルケイジと言ったほうがいいみたいだ。
メルディもと ?
キールそうだ。過去に何らかの影響を受けて本来とは違う性質に変容したんだと思う。
キール恐らく、これを仕掛けたのはグラスティンだ。
しいなわかるもんなのかい ?
キールあちこちに性格の悪いギミックがあるからな。
しいなああ、そういう……。
クラース帝国との戦いでは、世界そのものが大きく変わるような事象も多々あった。
クラースそのクレーメルケイジに強い負荷がかかって変容したというのはあり得る話だな。
キールしかもこれは、時限式のものみたいだ。
メルディなんで今、動いてるか ?
キールもともとはこの間の戦いのときに発動するように仕掛けられていたんだろうがグラスティン本人がいなくなってしまったからな……。
キール制御も目的も失われたところに異変が重なっていったんだろう。
クラース世界の変革など様々な要因が絡み合った結果今になって発動したのか。
しいなヨウ・ビクエ、オリジンの気配は感じるかい ?
ヨウ・ビクエええ……このクレーメルケイジから感じるわ。
ヨウ・ビクエただ、感じるのはそれだけじゃなくて――
メルディバイバ ! またなんか通った !
ヨウ・ビクエ微精霊よ !今、ものすごい量がクレーメルケイジに吸い込まれていったわ !
しいなッ ! ちょっと、何か光ってるよ ! ?
クィッキークィッキー !
メルディ光の球、当たるとこだったよ !
クラースまずいな、我々を敵だと認識しているようだ。
しいなあたしらはどうにかして助けよう思ってるんだけどねぇ……ま、区別は付かないか。
キール! うかつに動くのは危険だな…… !
クラースクレーメルケイジの仕組みはわかったのか ?
キールハロルドがクレーメルケイジを利用した防御壁を作ったとき、一緒にいたからな。こっちの世界でも基本的な構造は変わらなかった。
キールそのうえで調べた感じだと、吸収された微精霊を解放しないかぎり状況が好転することはなさそうだ。
しいなって言っても、中にオリジンが閉じ込められてるんだろ ! ?だったら慎重に開けないと――
? ? ?いや……問題ない。
しいな! ? 今の声は――
ヨウ・ビクエオリジン !
オリジン……手間をかけているな、ヨーランド。
ヨウ・ビクエいえ……むしろ、あなたには色々と負担を強いてしまっているでしょう ?
オリジンそうでもない……と言いたいところだがここに囚われた状態では説得力がないな。
しいなはは、確かにね……。
オリジンこのクレーメルケイジは、大量の微精霊を取り込んで強化された状態にある。故に、そう簡単には破壊出来ないだろう。
オリジンだが、それだけ頑丈でもあるということだ。皆で全力で攻撃を行い、わずかでいい傷を入れてもらいたい。
オリジンその状態に至れば、我を召喚することでクレーメルケイジをこじ開けることが出来るだろう。
キールものすごい力業だな……。
しいなそれに契約なしで召喚できるのかい ?
オリジン非常時だ。召喚に応じる用意はある。
メルディワイール ! でも時間ないよ !
ヨウ・ビクエええ。これ以上微精霊が集まると手が付けられなくなるかもしれないわ。
クラースやるしかなさそうだな。オリジンの召喚は私が引き受けよう。
クラースまずは、全員でクレーメルケイジを攻撃するぞ !

Character9話【呼び声10 オリジンの召喚】
しいなよしっ ! 上手い具合にヒビが入って――
しいなッ ! ?
ヨウ・ビクエまずいわ……閉じ込められていた微精霊が吹き出してきてる !
しいな崩れる ! ?
ヨウ・ビクエそうはさせないわっ !
メルディ揺れ、止まったよ !
キール壁面を強化したのか !
ヨウ・ビクエええ。でも、押さえ続けないと崩れてしまいそうよ。
メルディ早くクレーメルケイジ止めるよ !
しいなまったく……。精霊って奴が絡むとどうしてこう綱渡りなのかね……。
ヨウ・ビクエしいな…… ?
しいな(最初は里のみんなを……。その次はコリンを……。あたしはいつだって精霊に振りまわされてきた)
しいな(今だってそうサ。けど――)
しいなとにかく、この微精霊を少しでも抑えたいね。何か方法はないかい ?
ヨウ・ビクエ………………。
ヨウ・ビクエキール、メルディ、あなたたちのクレーメルケイジを使って ! フリンジすればある程度の微精霊はコントロール出来るはずよ !
二人
キールなるほど、微精霊を取り込めるだけ取り込みさらにフリンジして――
メルディはいな ! ここにいる精霊たちに協力してもらう !
キールよし ! それじゃあ――
二人! ?
ヨウ・ビクエキール ! メルディ !微精霊の攻撃が !
しいな危ない !
しいな風刃縛封 ! !
メルディあぶなかったぁ。しいな、ありがとな !
キールああ、おかげで助かった…… !でも、今の光は――
しいなまた何か研究ネタでも思いついたのかい ?悪いけど、そいつは後回しにしとくれ !
キールいや、そうじゃない !今のは浄玻璃――
ヨウ・ビクエキール、それは後で説明してあげましょう。
しいな(――あたしだって昔のあたしじゃない。ロイドたちに助けられて、知らない世界に来てもこうして一緒に戦える仲間がいる)
しいな微精霊はあたしが黙らせる。その間に、キールとメルディはフリンジを !
二人わかった !
しいなクラースはフリンジが成功した瞬間にオリジンの召喚を !
クラースああ、任せろ。
しいなヨウ・ビクエは一番負担になって悪いけどその間洞窟の崩壊を防いでもらえるかい ?
ヨウ・ビクエええ、もちろんよ。あなたたちを守り切ってみせるわ。
しいなあたしだって、あんたたちを守ってみせるサ !
しいなさあ、済ませるよ !降霊召符・火 ! !
しいな降霊召符・水 ! !
しいな降霊召符・風 ! !
しいな降霊召符・地 ! !
ヨウ・ビクエふふ、しいなったら。自分が今どんな力を使っているかわかっていないのね。
ヨウ・ビクエさあ !キール、メルディ、今よ !
キールああ ! いくぞ、メルディ !
メルディはいな !
二人フリンジ ! !
ヨウ・ビクエ微精霊の力が弱まったわ !
メルディワイール !新しい力、ここに入ったよー !
キールああ。ぼくたちの世界のフリンジと同じように新しい術を発生させられた !
クラースよし、次は私の番だな。
クラース我、今、根源の精に願い奉る。指環の盟約のもと、我に精霊を従わせたまえ…… !
クラース我が名はクラース !
オリジン……解放されたか。
ヨウ・ビクエええ !無事クラースの元に召喚できたみたいね。
しいなよかったよ ! これで微精霊が集まってくることも――
全員! ?
光魔 ?……ウゥ~……ハルルルルル。
クィッキークィッキー ! !
メルディバイバ ! ? おっきいの、出てきたよ !
しいなクレーメルケイジは壊れたんだよね ! ?
ヨウ・ビクエ壊れたから、だわ。今まで閉じ込められていた微精霊が解放されて、暴走しているの !
クラースそういうことか……。だが、これを鎮めさえすれば全て終わるということだな ?
オリジンそうだ。この微精霊は我が力に反応し吸い寄せられてきた……。
オリジンそれ故の暴走。収めるため、我が力を使うがいい。
クラースそうだな。早速手を貸してもらうぞ。
クラース微精霊を鎮めよう。

Character10話【呼び声10 オリジンの召喚】
クラースふぅ……なんとかなったようだな。
ヨウ・ビクエええ、そうね。あとはこの洞窟をどうするか、だけど……。
しいなまさか、あんたが術を解いたら崩壊するなんてことは――
ヨウ・ビクエまさにその通りよ。うーん、困ったわね~。
キール困ったと言う割に軽いな……。
ヨウ・ビクエええ~、これでも本気で困ってるのよ ?これたぶん、洞窟を作り直すくらいしないと脱出前に潰されちゃう気がするのよね。
キールやっぱり深刻さの割に軽いだろう ! ?しかし、それは本当にまずいな……。
しいななんとか支えてもらいながら逃げるって感じかね ?ヨウ・ビクエには負担掛けちまうけど。
ヨウ・ビクエそうね、それが現実的かしら――
オリジンいや。
クラースん ?何かあるのか、オリジン。
オリジン我が、洞窟を創造する。再構築する、と言ったほうが正確かも知れないがな。
メルディワイール ! そんなことできるか ! ?
オリジン我の力をもってすれば、容易い。だが……。
しいな問題でもあるのかい ?
オリジンクレーメルケイジに囚われている間に力を少々奪われている。
オリジンやがて元には戻るが、悠長なことを言っている場合ではないだろう。
ヨウ・ビクエ確かに、そうね……。なら、私が力を貸すわ。
ヨウ・ビクエ私がオリジンと共に術を使う。あなたと私、二人分の力があれば洞窟くらいパパッと元に戻せるでしょう ?
オリジンああ、そうだな。
しいななかなか壮大な話をしてるよね、これ……。
キール力の尺度が違いすぎて頭が痛くなるな……。
ヨウ・ビクエふふっ、私、規格外だから ♪
ヨウ・ビクエそれじゃあ、始めましょう。この洞窟を、元通りに !
オリジンああ。いくぞ――
メルディワイール ! 外に出られたよー !
クィッキークィッキー !
しいないやー、どうなることかと思ったけど無事に解決してよかったよ。
ヨウ・ビクエええ。あなたたちのおかげで無事にオリジンを助け出すことができたししいなはオーバーレイを獲得したし。
しいなああ !
しいな………………え ?オーバー……なんだって ?
クラース気付いていなかったのか ?浄玻璃鏡が光っていただろう。
しいなえ ? え ? ええ ! ?
メルディしいな、よかったな !
しいない、いつの間に ! ?っていうか、みんなは気付いてたのかい ! ?なら教えてくれてもよかっただろう ! ?
キール教えようとしたのに聞かなかったのはしいなの方じゃないか。
しいなそ、そんな……。オーバーレイって鏡が光って、みんな格好良く力を引き出すやつだろ ?なんだってあたしの時はさらっとしてるのサ !
キールそういえば、浄玻璃鏡が二度光ったように見えたが……。
ヨウ・ビクエ正確に言うと、しいなの浄玻璃鏡は洞窟に入ったときから光り始めていたわ。
ヨウ・ビクエきっとしいなは今回の事件の間自分の心と対話して、何かを決意していた。それに鏡が少しずつ反応したのでしょうね。
しいな……ああ、それはそうかもしれないね。
しいなあたしには乗り越えなきゃいけないことがあって似たような状況になると、つい色々考えちまうんだ。
ヨウ・ビクエそれ、少しは克服できたんじゃないかしら ?
しいなそうだね。きっとまた少し……前に進めたんだと思うよ。
しいな(そうだろ……コリン ?)
ヨウ・ビクエそれじゃあ、事件も解決したことだし――
クラースちょっと待て。まだ終わったわけじゃないぞ。
三人え ?
クラース先ほどの、微精霊が変化していた現象について調査が済んでいないだろう。
キールああ。あれは、この世界のクレーメルケイジが何かしら作用していたと考えられる。
クラース環境の大きな変化もあるな。併せて調査することで新たな発見があるかもしれない。
キールそうだな。それぞれのデータを集めて分析してみよう。
クラース精霊とその力の在り方を解明できればフィリップの病気を治す手段も見つかり得る。そこから更なる発展もあるだろう。
キールこれは、ぼくたちだけでなく、キール研究室のメンバーにも声をかけて様々な見解を聞いてみたい。どうだろうか ?
クラースもちろん賛成だ。そのためにも、もう少しデータを収集して――
しいなやれやれ、こうなるともう止まらないね。
メルディワイール ! 二人とも、楽しそう !
クィッキークィッキー !
ヨウ・ビクエふふ、いいんじゃない ?フィリップの件に関しては私からお願いしたわけだしね。
しいなそれもそうか。時間はたっぷりあるし、二人の好きにすればいいよ。
ヨウ・ビクエそうだわ。あらためて、みんなにお礼を言わせて。本当にありがとうね !それと、これからもよろしく ♪