| Character | 1話【行先1 行先は何処】 |
| ルビア | きゃっ…… ! ゆ、揺れる…… ! |
| カイウス | うわっ ! ルビア、気をつけろよ !ちゃんと掴まってないと船の外に放り出されるぞ ! |
| ルビア | わ、わかってるわよ !この辺り、結構波が激しいのね……。 |
| ルビア | ……っていうか !なんで急に船に乗ったのか理由をまだ聞いてないんだけど ! ? |
| カイウス | えっ ! ? それはまあ……別に、理由なんていいだろ ! |
| ルビア | よくないわよ !行き先もわからないまま乗せられた身にもなってよね ! |
| カイウス | 行き先なんて、着いてからのお楽しみでいいだろ。 |
| ルビア | よくない ! ! |
| ルキウス | まあまあ、落ち着いてルビア。確かに行き先は気になるけど……。 |
| ルキウス | さすがに兄さんでも変なところに連れ去ったりとかはしないと思うんだ。 |
| ルビア | ……まあ、それはね。連れて行かれた先が魔物の巣だったりしたら本気で怒るけど。 |
| ルキウス | だから、兄さんの言う通り到着まで楽しみにしておいてもいいんじゃないかな ? |
| ルビア | ……もう、仕方ないわね。ルキウスに免じて許してあげるわよ。 |
| カイウス | ちぇっ。なら最初から文句言わなければいいのに。 |
| ルビア | はぁ ! ?そもそもカイウスが黙って連れてくるようなことをしなければ―― |
| ルビア | きゃあっ ! |
| カイウス | ルビア、危ないっ ! |
| カイウス | ふー、間一髪だったな。怪我してないか ? |
| ルビア | そ、それは大丈夫……だけど……。 |
| カイウス | けど ? |
| ルビア | ……べ、別に。なんでもないわよ……。 |
| カイウス | ……あ、わかった !転びかけたのが恥ずかしかったんだろ ! ? |
| ルビア | ち、違うわよ !カイウスのくせにちょっとたくましいな、とか思っ―― |
| カイウス | えっ ? |
| ルビア | 思ってない ! そんなこと、全然思ってないわよ ! |
| カイウス | なんだよ、たまには褒めたっていいだろ。 |
| ルキウス | ふふ……。あ、見て二人とも。向こうに街が ! |
| 二人 | 本当だ ! |
| カイウス | よしっ ! もうすぐで目的地の街に着くぞ ! |
| Character | 2話【行先2 カイウスの計画】 |
| ルビア | なんだか賑やかな街ね~ ! |
| ルキウス | うん。活気があるし、旅の人も多いみたいだ。 |
| ルビア | で、ここで何をするつもりなの ? |
| カイウス | それは―― |
| ティルキス | おーい、カイウス、ルビア、ルキウス ! |
| ルビア | お兄様 ! ?どうしてここに ? |
| ティルキス | 約束してたんだよ、カイウスと。ここで待ち合わせしよう、ってな。 |
| ルキウス | それじゃあ、兄さんがボクたちをここに連れてきたのはティルキスと会うため ? |
| カイウス | ん ? あー、まあ、そんなとこだな ! |
| ルビア | ……ウソね。 |
| カイウス | な、なんでウソって決めつけるんだよ ! |
| ルビア | だって、明らかに様子がおかしいもの。隠し事してるのが丸わかりよ。 |
| カイウス | し、してないっての ! |
| ルビア | だったらなんでそんなに慌ててるのよ ! |
| カイウス | それは……。 |
| ティルキス | おっと、ルビア !そんなことより、これ、食べないか ? |
| ルビア | え ? ……わあ ! なにこのドーナツ。チョコのソースがかかってて美味しそう~ ! |
| ティルキス | 今日は祭りなんだ。屋台がたくさん出ていてね。 |
| ルキウス | なるほど、だから賑やかだったのか。 |
| ティルキス | 他にも買ってきたぞ。フルーツ焼きそばと、イカ焼き、サイダー飯。あとはホットドッグとピーチパイ。 |
| ルキウス | ず、随分買い込んだんだね……。 |
| ティルキス | ははっ ! ルビアが喜びそうだと買ってたらあっという間にこうなってな。 |
| ルビア | もう、お兄様ったら !でもすごく嬉しい、ありがとう ! |
| ティルキス | 可愛い妹に喜んでもらえて何よりだ。さて、立ちっぱなしもなんだしあっちで座って食べないか ? |
| ルキウス | そうだね。これだけのものを食べ歩きってのも無理がありそうだし……。 |
| ティルキス | だろ ? んじゃ、あっちだ。行こう ! |
| カイウス | ティルキス、例の準備は……。 |
| ティルキス | バッチリさ。最高の場所を用意しておいたぞ。 |
| カイウス | そっか ! へへ……。楽しみだな ! |
| Character | 3話【行先3 待っていたもの】 |
| ルビア | ……ちょっと、カイウス。 |
| カイウス | な、なんだよ。 |
| ルビア | なんで今度は馬車で移動してるの ! ?座って食べようって言ったじゃない ! |
| カイウス | そ、それを言ったのはティルキスだろ ! |
| ティルキス | はは、そうだな。でも間違ってはないだろ ? |
| ルキウス | 確かに座って食べられる場所ではあるけど……さらに移動までするとは聞いてないね。 |
| ルビア | ほら、ルキウスだってああ言ってるんだしいい加減白状しなさいよ ! |
| ルビア | 突然船に乗せられて、やっと街についたら今度は馬車で移動なんて、おかしいでしょ ! ? |
| カイウス | べ、別におかしくはないだろ !そういうことは今までもあったし。 |
| ルビア | 旅をしたことはあるけど、どこに行くかわからないなんてことはなかったわよ ! |
| カイウス | う、うるさいな !あとちょっとで着くんだから、少しくらい我慢しろよな ! |
| ルビア | 勝手なことしておいて開き直らないでよ ! |
| ティルキス | おいおい、喧嘩するなって。カイウスも、気持ちはわかるけどもう少し言い方があるだろ ? |
| ティルキス | せっかくここまで頑張って準備をしてきたってのに。 |
| カイウス | うわあああああ !ティルキス、そんなこと言ったらバレるだろ ! ? |
| ルビア | やっぱり、ろくでもないことを企んでるんでしょ ! |
| カイウス | ろ、ろくでもないとか決めつけるなよ ! |
| ルキウス | ……ふふっ。 |
| ルビア | ちょっと、もしかしてルキウスも共犯なの ! ? |
| ルキウス | いや、ボクは本当に何も知らないよ。でもなんとなくわかったというか……。 |
| ティルキス | まあ、そうだよなぁ。カイウスの性格を考えれば……。 |
| ルビア | えー ! ? それじゃあ何もわからないのってあたしだけ ! ? |
| ルビア | 仲間はずれなんて酷いじゃない !カイウス、ちゃんと教えなさいよ ! |
| カイウス | お前は仲間はずれにしないと意味ないんだよ ! |
| ルキウス | ボクも知らされてはいないから、仲間はずれの仲間なんだけどね。 |
| ティルキス | 『仲間はずれの仲間』っていうのもなかなか奥が深いなぁ。 |
| ルビア | もう ! お兄様もルキウスも、のんきなこと言って ! |
| ティルキス | まあまあ。ほら、目的地が見えてきたぞ。 |
| ルビア | えっ ? 目的地って……この何もない丘 ? |
| カイウス | ふう、無事についてよかったぜ !へへ、ルビア。教えてやるよ。お前をどこに連れてきたのか ! |
| Character | 4話【行先3 待っていたもの】 |
| アーリア | いらっしゃい、ルビア、ルキウス。無事に到着してよかったわ。 |
| ルビア | アーリア ! ?それにフォレストさんも…… ! |
| ルキウス | やっぱり、二人もここにいたんだね。 |
| フォレスト | ふっ、ルキウスは途中で察したのだな。 |
| ルキウス | さすがに何をするのかまではわからないけど……。ボクとルビア以外のみんなで何かを準備してるんだろうなってことは。 |
| カイウス | ったく、ルビアがずーっと「どこいくの ! ? 」ってうるさくてさ。 |
| ルビア | 当たり前でしょ ! ?何も教えてくれないんだもの。 |
| ティルキス | それでも、どうにかサプライズは成功かな ?な、カイウス。 |
| カイウス | ……まーな ! |
| カイウス | 実はさ、ミリーナに教えてもらったんだよ。さっきの街で今日と明日、祭りが開かれるって。 |
| ルビア | それは、さっき見てきたけど……。どうしてこんな場所まで連れてきたの ? |
| アーリア | それも、サプライズのひとつなのよね。ああ、ほら見て。始まったわ。 |
| ルビア | え ? ……わぁ !なにあれ、街からたくさんの気球が…… ! |
| カイウス | 幸福を願って、供え物を乗せた気球をたくさん飛ばす祭りなんだってよ。 |
| カイウス | で、近くで見るのもいいけど、この丘からだとすっげー綺麗だって言うから……。 |
| ルビア | それでここまで…… ! |
| カイウス | ……黙って連れてきて悪かったけどさ。今まで色々あって大変だっただろ。最近やっとのんびりできるようになったから……。 |
| カイウス | ルビアとルキウスには何の気もつかわないで楽しんでほしかったんだよ。 |
| ルキウス | 兄さん……ありがとう。 |
| ルビア | ……うん。その、すごく、感動したわ。こんなことしてくれるなんて、思わなかったし……。 |
| ルビア | だから……ありがと。 |
| カイウス | ……へへっ ! |
| アーリア | ふふ、よかった。さあ、食べ物や飲み物も用意してあるわよ。ティルキスも色々買ってきてくれたみたいだし。 |
| フォレスト | これからもっと多くの気球が上がるはずだ。皆で鑑賞しよう。 |
| ルビア | うん…… !アーリアもフォレストさんもお兄様も本当にありがとう ! |
| ルキウス | ボクからも……ありがとう。……みんなでこんな風に過ごせるなんて夢にも思わなかった。 |
| カイウス | へへ、夢なんかじゃないからな !今日も、この先もさ ! |
| カイウス | この世界には、面白いものがまだまだあるんだ。これからも色々見にいこうぜ ! |
| カイウス | みんなで揃ってな ! |