| Character | 1話【強き想い1 森で魔物退治】 |
| ティア | ここが、最近魔物が活発化している森よ。 |
| ティア | 幻影種がいる可能性が高い。ガイとアニスには特に頑張ってもらうことになるかもしれないわ。 |
| アニス | 新しい魔鏡をもらっちゃったもんね。その分頑張らないと ! |
| ガイ | 幻影種が出た場合はこのオリジン魔鏡が役立つからな。 |
| アニス | そうそう !アイテムもササッと使えるし ? |
| アニス | ティアにも新しい魔鏡があったらよかったのにね。 |
| ティア | 仕方ないわ。まだ貴重なものだもの。 |
| ティア | それに相性もあるみたいだから。魔鏡から選ばれないことには、ね。 |
| アニス | こればっかりは運だもんね~。 |
| ガイ | 今回は俺とアニスが幸運だったってことだな。もし幻影種が出てきたら俺とアニスに任せてくれ。 |
| ティア | ええ。それに全ての魔物が幻影種でもないだろうし私は私にできることで手伝わせてもらうわ。 |
| ガイ | おっと……。あそこの茂み、何かいるみたいだぞ ? |
| アニス | さっそく魔物っ ! ? |
| リス | チュチュッ ? |
| ティア | …… ! |
| ガイ | ……なんだ、リスか。少し気を張りすぎたかな。 |
| ティア | か……。 |
| アニス | か ? |
| ティア | ……いえ、なんでもないわ。 |
| アニス | 可愛いよね ? |
| ガイ | ああ、可愛らしいな。 |
| ティア | ……そ、そうよね。か、可愛いわよね。 |
| アニス | ふふっ。 |
| ティア | な、何 ? 二人して笑って。 |
| ガイ | 別に、今さら可愛い物が好きだと隠す必要もないだろと思ってさ。 |
| ティア | べ、別に隠そうとした訳じゃないわ。今は任務中だから、そちらに集中しようと思っただけ。 |
| ガイ | それにしても、このリス、全然逃げないな ?野生なら、もう少し警戒しそうなものだが……。 |
| アニス | 人に慣れてるのかな ?それとも……ガサゴソ……っと。 |
| リス | チチッ ! |
| アニス | あ~、やっぱりね。人間の食べ物狙いだ。計算ずくの可愛さってことだよね。 |
| アニス | 野生の生き物に餌付けは厳禁だからここは心を鬼にして無視しないと。 |
| リス | ………………。 |
| ティア | あっ、行っちゃった……。 |
| ガイ | ご褒美が頂けないなら、愛想を振りまく必要はないってことだな。 |
| アニス | アニスちゃん、共感しちゃうな~。 |
| ガイ | しかし、あの人慣れした様子……。もしかしたらこの森は今自力で餌をとれない環境なのかもな。 |
| アニス | そっか、魔物が活発なんだもんね。リスじゃ太刀打ちできないだろうし。 |
| ティア | 動物たちにも影響が出ているのね……。 |
| ガイ | ま、それをどうにかするために俺たちが来たんだしな。さて、まずは野営地を確保しておくか。 |
| アニス | 野営地 ? え~っ、そんなに長居するの ? |
| ガイ | そりゃ、できれば速攻で片づけたいところだが念のため、さ。 |
| ガイ | 水が近くにある、湖のほとりなんかが適していると思うんだが軍人の二人の意見はどうだい ? |
| ティア | ええ。飲み水の確保は大事だわ。湖なら森の中ほどまで行ったところにあるはずよ。 |
| アニス | それじゃあ、湖目指して出発~。 |
| Character | 2話【強き想い2 野営地設営】 |
| ガイ | よし、ひらけた所に出たな。 |
| アニス | なんか……ここに来るまで、森の中が変な感じだったよね ? |
| ティア | ええ。森全体の空気が張り詰めているみたい。 |
| ガイ | まあ、警戒は怠らないようにしつつ野営の準備をするか。 |
| アニス | 了解。じゃあ、アニスちゃんは薪拾いがてら食べられそうな野草を探してくるね。 |
| ガイ | ふう……これでよし。 |
| ティア | ごめんなさい。細かいところを任せてしまって。 |
| ガイ | その分ティアが力仕事を引き受けてくれたからな。大変だっただろ。ありがとう。 |
| アニス | ただいま~ ! 薪になるもの拾ってきたよ !もちろん食材も ! |
| ガイ | お、ということは―― |
| アニス | うん。お腹空いてきちゃったし魔物を探す前に、腹ごしらえでしょ。 |
| ガイ | アニスの料理は天下一品だからな。俺は何を手伝えばいい ? |
| アニス | 二人は設営やってたんだから今回の調理は私がやるよ。 |
| ティア | アニス……ありがとう。 |
| アニス | ま、アニスちゃん、料理は嫌いじゃないからね。さて、まずはこの山菜を~ ♪ |
| アニス | で、鍋を沸かしておいて……その間に食材を刻んで~ ♪ |
| ガイ | 相変わらず手際がいいな。見ていてほれぼれするよ。 |
| アニス | フッフッフッ。お金持ちの胃袋を掴むために努力を重ねたからね。 |
| ティア | でも、もっとお肉を入れてもいいんじゃないかしら。ルークが物足りないって言いそうだし……。 |
| ガイ | 確かに……。あいつ選り好みして肉ばっかり食うからな。 |
| アニス | あのさ、二人とも。今回ルークは留守番だってこと忘れてない ? |
| ティアとガイ | あ……。 |
| アニス | ふへへへへ。二人はルークのパパとママだもんね~ ?あー、ティアは『ママ』じゃ不満かなぁ ? |
| ティア | な、何、その口ぶりは。 |
| ガイ | おいおい、アニス。からかうのはそれくらいにして料理に戻ったほうがいいんじゃないか ?そろそろお湯が沸きそうだぜ。 |
| アニス | あ、ホントだ。 |
| アニス | ――ねぇ、話は戻るけど、仮にルークがいてもお肉の大盤振る舞いはできないよ。乾燥肉は少ししか持ってきてないもん。 |
| ガイ | そうだったな……。だったらタンパク質の補給に魚を入れるのはどうだろう。 |
| アニス | ガイは魚介類好きだよね。でも魚なんてないよ。高いし。 |
| ティア | そもそもルークがいないのなら、お肉はこの量で十分なんだし、タンパク質についてはそこまで気にしなくてもいいんじゃないかしら。 |
| ガイ | まあ、そうなんだが……。せっかく湖へ来たんだから現地調達もいいんじゃないかと思ってね。 |
| ティア | まさか……釣るつもり ? |
| ガイ | といっても魔物の退治が最優先だ。そこで……釣り竿に仕掛けをしておく。こうして竿に鈴をつけてから糸を垂らして……と。 |
| アニス | 魚が食いついたら鈴で報せてくれるんだね。なるほどー、釣り慣れてる。 |
| ガイ | はは、まぁね。それにしても釣りをするなら譜業糸巻器(リール)を持ってくればよかったな。 |
| アニス | 鈴の音がしたら魔物が逃げちゃわないかな ? |
| ティア | これだけ人の気配がするのだから、音で逃げるような魔物なら、とっくに避難しているでしょうね。むしろ―― |
| 魔物 | グルルル…… ! |
| ガイ | おっと、俺たちの気配に釣られたかそれとも料理の匂いに惹かれたのか。 |
| ティア | はぁっ ! ! |
| ティア | 攻撃が効いていない…… ?まさか、幻影種 ! |
| アニス | それじゃあ私の出番だね ! |
| ガイ | アニスの右手が…… !これが、新しい魔鏡の力か…… ! ? |
| アニス | アニスちゃんの特製料理は渡さない ! |
| アニス | 黒煙上げる……譜業の突撃 ! |
| アニス | 煉舞爆凶弾 ! ! |
| 魔物 | ギャオオォォンッ ! ! |
| アニス | できた……新しい技 ! |
| ティア | 料理を守りたくて技を編み出すなんて……。 |
| ガイ | ま、まあ……使いこなせて、よかったな。 |
| Character | 3話【強き想い3 湖の釣果】 |
| ガイ | ……少し、森の空気が変わった気がする。張り詰めていた糸が緩んだような……。 |
| ティア | ええ、私もそう感じるわ。さっきアニスが倒した幻影種がヌシだったのかも。 |
| アニス | これで森の魔物も少しは大人しくなるかな ? |
| ガイ | どうだかな。念のためもう少し様子を―― |
| 鈴 | チリンチリンチリン ! ! |
| アニス | ひゃっ ! ?な、何 ! ? |
| ガイ | ああ、さっき仕掛けておいた釣り竿だ。魚が掛かったんだな。 |
| アニス | そういえばお昼ごはんも作ってる途中だった……。フライパンでサッと炙って~、っと。 |
| ガイ | どれ、それじゃあ引き上げ……。 |
| ガイ | うおっ ! ?なんだ、この引きは…… ! ? |
| ティア | ガイ、大丈夫 ! ? |
| ガイ | これは……とんでもない大物だぞ !二人とも、手伝ってくれ ! ! |
| アニス | それは構わないけど……。ガイ、くっついても大丈夫 ? |
| ティア | 女性苦手でしょう ? |
| ガイ | そ、そこはなんとか触れないようにできないか ! ?大物を釣り上げる絶好の機会なんだ ! ! |
| アニス | あっ、アニスちゃんいい方法思いついた !ガイを手伝って、トクナガ ! |
| ティア | 釣り竿、すごくしなってる…… !折れないか心配だけど…… ! |
| ガイ | ぐぬぬぬぬ…… !あと、すこ、しっ…… ! ! |
| ガイ | でええぇいっ ! ! ! |
| 蟹 ? | カニイィィッ ! ! |
| アニス | 釣れた ! けど巨大ガニ ! ?サワガニにしては大きすぎるんだけど ! ? |
| ティア | 単なるカニじゃないわね。魔物であることは間違いないわ。 |
| ガイ | さっきの幻影種も相当なものだったがこいつも強そうだ…… ! |
| アニス | あれが地上のヌシならこいつは湖のヌシかもっ ! |
| 蟹の魔物 | ガニガニガニイッ ! ! |
| ガイ | ふぅ……こいつが幻影種かどうかはわからないが今出せる、一番の技を叩き込んでやる ! |
| ガイ | 湖の魚を……守るためにもな ! ! |
| ティア | ガイの右手が光った…… !アニスの時と同じ ! ! |
| 蟹の魔物 | カアアァァ……ニイッ ! ! ! |
| アニス | うわ、めっちゃ泡吐いてきた ! ? |
| ガイ | 効くかっ ! ! |
| ガイ | 波打つ流浪の水よ…… !飲み尽くせ ! |
| ガイ | 驟雨閃空破 ! ! |
| 蟹の魔物 | ガァァ……ニィーーーッ ! ! |
| ガイ | ふぅ……。 |
| ティア | すごいわね、あの大物が跡形もなく……。 |
| アニス | ほんと、見事だったねー。 |
| ガイ | えっと……アニス、なんか怒ってないか ? |
| アニス | ガイの新技、すごい威力だったけどちょっとやりすぎー。 |
| アニス | 私が準備してた料理も、この通りなんだけど ? |
| ティア | ああ、水浸し……。これは、作り直しになるわね……。 |
| ガイ | わ、悪い。お詫びにこいつは俺が責任持ってちゃんと食べるよ。 |
| アニス | え ! ? |
| ガイ | ほら、このあたりは濡れてないしな。もぐっ。 |
| アニス | ちょ、ちょっとガイ…… ! |
| ガイ | ……うん、美味い。さすがアニスの料理だな ! |
| アニス | ガイ、気持ちは嬉しいけど無理して食べなくていいよ ? |
| ガイ | 無理なんかしてないさ。それに、アニスの料理が食べられないなんてもったいないだろ ? |
| アニス | むむ……これが数々の女たちを振りまわしてきた魔性の男のやり口か。 |
| ガイ | どういう意味だ ! ? |
| アニス | まあまあ。アニスちゃんとしてもまともな料理を食べてもらいたいし、食材を駄目にした分ガイには釣りを頑張ってもらおうかな。 |
| ティア | ふふっ、私とアニスはもう一度食べられるものを探してみるわね。 |
| ガイ | ははは……。頼むよ。 |
| ガイ | さて、名誉挽回。頑張ってみるか ! |