Character1話【Life1 特別な日】
サラえっと……小麦に卵と牛乳……。うん !  必要なものは全部揃ったね。
アレンサラ、僕が持つよ。
サラありがとう !  でも、全部持ってもらうのは悪いから、半分ずつにしよう。
カナサラー !  アレンー !こっちの買い出しも終わったわよ……わわっ ! ?
ゼファーよっ、と !
カナあ、危なかった~。
ゼファー「危なかった~」じゃねえよ。お前なぁ……今日だけで何回こけそうになってんだ。
カナえ、えっと……三回、くらい ?
リッピカナ様、残念ながら今ので四回目でございます。
リッピですが、その四回全てをゼファー様が見事にカナ様のフードを掴んでお助けしました。
ゼファーったく、お前、俺と一緒じゃなきゃ今頃泥だらけになってんぞ。
カナううっ……ありがとう、ゼファー。
アレンやっぱり、ゼファーは頼りになるね。
ゼファー俺のことはいいんだよ。それより、カナ。お前、ちゃんと注意して歩けよ。最近は特に浮かれてるみたいだからな。
カナ仕方ないじゃない。だって、もうすぐ『あの日』なんだもの !
リッピはい、僭越ながらこのリッピもカナ様のお気持ちはよくわかります。
リッピ私たちにとっても大事なサラ様のお誕生日が近づいてきたのですから。
カナええ !  またみんなで一緒にサラのお誕生日会が出来るって思ったら楽しみで仕方ないもの !
サラえへへ、ありがとう、カナ。だけど、その日は私の誕生日ってだけじゃないよ。
リッピはい、アレン様にゼファー様、そして私もこのティル・ナ・ノーグへやって来た日ですね。
ゼファーあー、そういやそうだったな。なんかずっと一緒にいた感覚だから全然気にしてなかったわ。
カナ駄目よ、ゼファー !大事な日なんだから、ちゃんと覚えて !
ゼファーいや、なんでお前が怒るんだよ……。まあいいや。俺たちはともかく、サラの誕生日は盛大に祝わねえとな。なあ、相棒 ?
アレンうん。サラ、今年はどんな誕生日会がいいかな ?
サラえっ ?  う~ん……私はみんなが一緒にいてくれたらそれだけで十分なんだけど……。
サラそうだ !  さっきカナも言ってたけどアレンたちもお祝いされる側なんだし何かやりたいこととかある ?
アレン僕たち…… ?  そうだね……。ゼファー、何かあるかな ?
ゼファーうーん、別に俺はリッピの料理が食べられればそれで満足だぜ ?
リッピそれは大変光栄でございます。では、当日は私も腕によりをかけてフルコースをご用意いたしますよ。
カナでも、それだとリッピもお祝いする側に回っちゃうんじゃないの ?
リッピいえいえ、私にとっては自分の料理を食べてもらい皆様の笑顔を見られることが何よりの幸福なのです。
ゼファーつまり、いつも通りでいいってことなんじゃねえの ?
カナうーん……でも、やっぱり何か特別なことをしてお祝いしたいわ。みんながあっと驚くようなプレゼントをするとか……。
ゼファープレゼント……ねえ。
カナそれと、お誕生日会だからケーキは必須だわ !あっ、でも、そうなるとまたリッピにお願いすることになっちゃうかしら ?
リッピ私は問題ございませんよ。皆様からのリクエストなどもございましたら承ります。
アレンケーキか……。ねえ、こういうのはどうかな ?
ゼファーおっ、そんな提案をするってことは何か面白えことでも思いついたか ?
アレン面白いかどうかはわからないけどみんながそれぞれ好きな食材を持ち寄ってリッピに一つのケーキにしてもらうんだ。
サラアレン、それすごくいいと思う !
カナええ !  特別感もあるし、私たちの世界で一つだけのケーキを作るってことね !
リッピこれは、私の腕の見せ所になりそうです。このリッピ、誠心誠意、皆様にとっての特別なケーキを作らせていただきますよ。
ゼファーよし、んじゃ決まりだな。ただの食材じゃつまんねーしレアものでも探しにいくか。
カナあっ、ずるい、ゼファー !抜け駆けは禁止よ !
ゼファーなんでそうなるんだよ……。仕方ねえ。相棒、一緒に行こうぜ。
アレンうん、僕は構わないけどそれならサラたちも一緒に……。
ゼファー……あー、それだと結局いつもと変わんねえだろ ?どうせなら、お互い最後まで何持ってくんのかわからないようにしようぜ。
サラ確かに、そっちのほうがワクワクできていいかもしれませんね。
ゼファーだろ ?  つーわけで、サラはこいつの面倒を頼む。一人だと、食材探し回っている間に迷子になりそうだからな。
カナ失礼ね !  私はそんな子供じゃないわよ !……たぶん。
ゼファーそこは言い切ってくれよ……。
リッピでは、私はどちらのペアに付いていけばよろしいでしょうか ?
ゼファーリッピはこっちで頼む。ちょっと相談したいこともあるからな。
リッピはい !  では、私はアレン様とゼファー様に同行いたします。
アレン二人なら大丈夫だと思うけど旅先では怪我をしないように気を付けてね。
カナはーい。それじゃあ、サラ。ゼファーたちに負けないようなすごいケーキの食材を探しましょう !
サラうん !  未知の食材を求めて冒険に出発だね !

Character2話【Life2 食材を求めて】
――翌日。
サラん~~、いい天気 !絶好の冒険日和になったね !
カナええ !  だけど、サラ。ここに来ることは最初から決めてたみたいだけど目的地があったりするのかしら ?
サラうん。実は少し前に、この辺りは自然が豊かで美味しいフルーツがたくさん実ってる場所があるって聞いたの。
サラでも、具体的な場所はわからなかったからまずはそれを調べてみようと思って。
カナそれなら、この街道を通る人たちに聞き込みをするのはどうかしら ?
カナほら、ちょうどこっちに歩いてくる人がいるわ。あの人たちから話を聞いてみましょう。
サラあれ ?  でもあっちも手を振ってるような……。
カノンノ・Eやっぱり !  サラにカナだ。こんなところで会えるなんて偶然だね !
サライアハートさんにパスカさん !二人とも、どうしてここにいるんですか ?
P・カノンノえっと、私たちは依頼人を捜していたの。そしたら、二人の姿が見えて……。
カナ依頼人 ?
カノンノ・Eあっ、そっか。サラたちにはまだ話してなかったよね。
カノンノ・E実はね、私とパスカ、それとグラスバレーで新しくギルドを立ち上げたんだ。
P・カノンノ私も何か役に立てることがしたくて。そうしたら、イアハートとグラスバレーがギルドを作ろうよ、って言ってくれたの。
サラそうだったんですね !三人ともすごいなぁ……。みんなの役に立ちたくてギルドを始めるなんて。
カノンノ・Eあっ、だけど、まだそんなに大きな仕事をしてるわけじゃないよ ?  隣町まで荷物を届けたり薬草の採取みたいな依頼が多いし。
カナそれでも十分すごいことだと思うわ。依頼した人たちも、きっと感謝しているはずよ。
カノンノ・Eえへへ、そうかな ?そうだと嬉しいんだけど。
サラじゃあ、さっき言ってた依頼人っていうのはギルドのお仕事のことなんですね。
P・カノンノうん。今回の依頼は、この辺りのフルーツを一緒に採取することなんだ。それで、今から合流するところだったの。
二人フルーツ ! ?
P・カノンノえっ、ど、どうしたの、二人とも ?
カナそのフルーツ、たぶん私たちが探してたものだわ !
サラあの、もしよかったら私たちも一緒に行っていいですか ?  もちろん二人のお仕事もお手伝いしますから !
カノンノ・Eわかった。たぶん、大丈夫だと思うよ。依頼人さんには私たちからもお願いしてみるね。
P・カノンノだけど、待ち合わせの時間ってもうすぐよね ?  まだ来ていないみたいだけど……。
カノンノ・E確かに……。ねえ、二人は私たち以外に誰か見かけた ?
サラいいえ。結構前からこの辺りにいましたけど誰も通りませんでした。
カノンノ・Eそっか。じゃあ、もう少し待ったほうがいいかな。
P・カノンノ…………あれ ?  今……。
カノンノ・Eん ?  どうしたの、パスカ ?
P・カノンノえっ ?  あ、うん……遠くからなんだけど悲鳴のようなものが聞こえた気がして……。
サラえっ !  本当ですか ! ?
P・カノンノうん。少し聞こえただけだったから……私の勘違いかもしれないけど……。
カナでも、本当だったら大変よ !
サラうん、カナの言う通りだよ !パスカさん、どのあたりから聞こえたかわかりますか ?
P・カノンノえっと……あの少し木が茂ってる道の奥からかな。
サラカナ、私たちで様子を見てこよう。
カノンノ・E待って、私たちも一緒に行くよ。何かあったら、人手は多いほうがいいでしょ ?
サラそうですね。それじゃあ、念のため、気を付けていきましょう。
魔物――グルルルルッッ ! !
襲われている男性こ、この魔物め !  くっ、来るなっ ! ?
サラいた ! !大変 ! !  魔物に襲われてるよ ! !
カノンノ・E待って !  あれって……。
シェリア皆さん !  早くこっちに避難を !怪我をした人がいたら教えてください !
ソフィ魔物は任せて。わたしがやっつけるから。
シェリアえっ !  あなたたち、どうしてこんなところに……。
サラえっと、詳しいことは後で話します !今はっ !
シェリアそうね。この魔物たちを退治しましょう !

Character3話【Life3 魔物撃退】
ソフィ……うん、もう平気。魔物はやっつけたよ。
襲われていた男性た、助かったよ。俺たちだけじゃ危なかった。それで、君たちは ?
シェリア私たちは、偶然通りかかっただけです。他のみんなは……。
サラ私たちも声が聞こえて駆けつけたんです。もしかしたら、誰かが襲われてるかもしれないと思って。
襲われていた男性そうだったのか。一応、気を付けていたんだけどな。
襲われていた男性しかし、参ったな……。これからフルーツを採りにいく予定だったんだがそれどころじゃなくなったよ。
カノンノ・Eフルーツ、ってことは、あなたが私たちの依頼人さんですか ?
襲われていた男性えっ ?  じゃあ、あんたたちがギルドの人か !なるほど、どおりで強かったわけだ。
ソフィギルド ?
P・カノンノあっ、うん。その辺りのことも二人に説明したほうがいいよね ?
サラそうですね。シェリアさんたちの話も聞きたいしいったん、状況を整理しましょう。
シェリアそう。じゃあ、サラとカナも、私たちと目的は一緒だったのね。
カナびっくりしたわ。まさか、ソフィたちも私たちと同じフルーツを探していたなんて !
ソフィうん、今度アスベルたちとパーティーをするからみんなのために美味しいケーキを作りたいの。
カナもしかして、そちらの誰かもお誕生日なのかしら ?
ソフィううん、違うよ。だけど、みんなが一緒に集まるのは久しぶりなの。
ソフィ最近はみんなバラバラで、あまり会えないから……。
シェリア…………。
ソフィケーキって、お誕生日の人がいないと作っちゃいけないの ?
カナいいえ、そんなことないわ !誕生日じゃなくても、特別な日はやっぱりケーキが一番よ !
カナそれに、ソフィがみんなのためにケーキを作るのならすっごく喜んでくれると思うわ !
ソフィ……うん、そうだといいな。
シェリア私も、ソフィから話を聞いて一緒にケーキを作ることにしたの。
シェリア近くの街で食材を集めているときに美味しいフルーツが採れる場所が近くにあるって聞いて……。
サラそっか。それで、フルーツを探していたら魔物に襲われている行商人さんたちを見つけたんですね。
シェリアええ。でも、まさかそんな危険な場所だったなんて知らなかったわ。
カノンノ・Eあの、そのことなんですけどさっき行商人さんたちから聞いた話だと今まで魔物はそんなにいなかったそうです。
カノンノ・Eだけど最近、急に数が増えてきたみたいで困っているって言ってました。
カノンノ・Eこのままだともっと増えて往来も出来なくなるんじゃないかって心配していたし……。
サラだったら、私たちが魔物を退治してフルーツを採りにいくのはどうでしょう?
サラ危険かもしれないけど、放っておいたらまた誰かが怪我しちゃうかもしれないし……。
カナそうね、困っている人がいるなら助けなきゃ !
P・カノンノうん、いいと思う。フルーツを採るっていう最初の目的も達成できるし。
ソフィシェリア、わたしたちも行こう。
シェリアええ。それじゃあ、行商の人たちを安全な場所まで送ったら、私たちでフルーツがあるところまで向かいましょう。
カナ――それでね、ただの岩だと思っていたらすごく大きなストーンゴレムだったの !私、突然動いたときは声を上げちゃったわ。
ソフィ大丈夫だった ?
カナええ、ゼファーがすぐに対応してやっつけてくれたわ。
カナゼファーが言うには「こういうデカい奴ほど、脆いところを叩けば案外あっさり崩れるもんだぜ」ですって。
サラあはは……たぶん、ゼファーさんだからあっさり倒せたんだろうけどね。
サラでも、そのお陰で安心して山を越えられるって色んな人たちに感謝されたんだ。
ソフィそっか。サラたちは今もアレンたちと一緒に冒険してるんだ……。
サラソフィ ?  どうかしたの ?
ソフィううん、なんでもない。それより、サラたちの冒険のお話、もっと聞かせて。
サラええ、まだまだいっぱいあるわ。次は――
シェリアソフィ……やっぱり……。
P・カノンノシェリアさん、何か気になることがあるんですか ?
シェリア……ごめんなさい。これは私たちの問題なんだけど最近、ソフィに寂しい思いをさせてるんじゃないかって心配しているの。
カノンノ・Eソフィが ?そんな風には見えませんでしたけど……。
シェリアたぶん、私たちに心配かけないように振舞っているのよ。
シェリア最近私たちは別の場所で活動することが多くなってきて会える機会が減っているの。
シェリアだから、やっとみんなで集まれる日が決まってソフィも何か自分に出来ることはないかって探しているんじゃないかしら。
シェリア本当は、私たちがソフィのために何かしてあげなきゃいけないのにね……。
サラシェリアさん……。だったら、私たちも協力させてください !
サラそれで、今日のことをアスベルさんたちに話して、楽しんでもらえたらなって……。
シェリア……そうね。私たちも、カナたちみたいないい冒険話ができるかしら。
サラはい !  まずは肝心のフルーツを探して――…… !
カノンノ・Eサラ ?
サラみんな、止まって。今、草の隙間から魔物の姿が見えたんです。それに、この奥って……。
P・カノンノうん、教えてもらった通りなら例のフルーツが実ってる場所のはず。
サラってことは、やっぱり…… !
魔物グルルワワワッッ ! !
ソフィ敵が来た。
サラ私たちを通さないつもりだね。でも、そうはいかないよ !
カナええ !  私たちでやっつけましょう !

Character4話【Life4 噂の果実】
ソフィ――スカラーガンナー !
シェリア魔物は今ので最後みたいね。
カナええ。だけど……。
P・カノンノ……この辺りに実っていたフルーツは全部食べられちゃってるみたい。
カナで、でも !  サラたちが他の場所も見に行ってくれてるからきっと、まだ……。
カノンノ・E……ただいま。
カナイアハート、サラ !そっちはどうだった ?
サラやっぱりこっちも全部駄目みたい……。
カナそ、そっか……。
シェリア……残念だけど、一度戻ったほうがいいかもしれないわね。
サラはい……。
行商人――わかった。他の商売仲間にも伝えておくよ。苦労をかけさせちまったな。
カノンノ・Eごめんなさい。せっかく依頼してもらったのに……。
行商人いやいや !  あんたたちが謝ることじゃないだろ !むしろ、あんたたちが駆け付けてくれてなきゃ俺たちもどうなっていたか……。
行商人ともかく、今年の収穫は諦めるしかないな。
シェリアあの、そのフルーツなんですけどまだどこかのお店に残っていたりしませんか ?
行商人生憎だが、収穫したらすぐに持ってくるよう言われててな。在庫もなけりゃあ卸した店でも完売してるだろうな。
ソフィそっか……。
シェリア……大丈夫よ、ソフィ。まだ時間はあるし、別のフルーツを探してみましょう。
サラうん !  私たちも手伝うよ !珍しいフルーツは他にもあるはず !
行商人珍しいフルーツか……。あの噂が本当なら……。
サラもしかして、心当たりがあるんですか ?
行商人うーん、あるにはあるんだが……本当に噂程度だぞ ?
サラそれでも大丈夫です !話、聞かせてもらえませんか ?
行商人わかった。それじゃあ教えるが俺たち商人の間で噂になってる幻のフルーツってのがあるんだ。
行商人なんでも、ある孤島だけで実るそのフルーツは見た目はパイナップルなのに、マンゴーのような濃厚で甘い香りがするらしい。
行商人果肉はスイカのようにみずみずしくバナナのようなしっかりとした甘さが口全体に広がるんだそうだ。
カノンノ・Eそんなすごいフルーツがあるんですね !食べてみたいなぁ。
P・カノンノでも、幻のフルーツっていうくらいだから手に入れるのは難しいのかな。
行商人ああ、そのフルーツが実る孤島の場所を知っているのは、とある漁村の村長だけらしい。
行商人おまけに今まで誰も教えてもらったことがないから本当はそんなのないんじゃないかって言われるほどさ。
シェリアそれで、あくまで噂に留まっているのね。
ソフィそのフルーツは、なんていう名前なの ?
行商人『ネオピカルフルーツ』って呼ばれているそうだ。
カナネオピカルフルーツ…… !まさに特別って感じの名前だわ !
カナねえ、サラ !  私たちもそのネオピカルフルーツを探しにいくのはどうかしら ?
サラうん、ソフィたちと一緒に行こう。まずは噂になってる漁村に行って聞き込みだね。
カノンノ・Eパスカ、私たちも行ってみようよ。依頼は中途半端な感じになっちゃったし……。
P・カノンノうん。幻のフルーツ、食べてみたいよね。みんなと一緒に行ってみよう。

Character5話【Life5 村の掟】
シェリアここが、教えてもらった漁村ね。
カナあの~、すみません~。聞きたいことがあるんだけど少しいいかしら ?
P・カノンノカナ、早速村の人に話しかけてる。
カノンノ・E私たちも一緒に聞いてみよう。
村人ん ?  お嬢さんたち、見かけない顔だね。この村になんの用だい ?
カナえっと、私たち、ネオピカルフルーツっていう珍しいフルーツがあるって聞いて来たの。何か知ってることはないかしら ?
村人……ネオピカルフルーツ、か。やれやれ、あんたたちもその類なんだな。
カナそれじゃあ、本当にそのフルーツは存在するのね !
村人ああ。だが、悪いことは言わねぇ。噂は聞かなかったことにして帰んな。そのほうが、お嬢さんたちのためだ。
ソフィわたしたちのため…… ?  どういうこと ?
村人ネオピカルフルーツは確かにこの村の名産品だった。だが、そのフルーツが実っている孤島に強力な魔物が棲みついてしまってな……。
村人今じゃあ、誰もその島に近づくことはなくなった。以来、幻のフルーツになったというわけさ。
カナそうだったのね……。だけど、安心して !  魔物なら私たちでやっつけるわ。
サラあの、船さえ用意してもらえればなんとかできると思います !
村人あんたたちが…… ?  いやいや……無理だ。この前だって、訓練された傭兵団がやられて帰ってきたんだぞ。
サラそこをなんとかお願いします !私たち、こう見えて腕には自信があるんです !
村人いや、そうは言ってもな……。
謎の老人……ふむ、話は聞かせてもらったぞ。
ソフィ誰 ?
村長ここの村長じゃ。お主たち、どうしてもネオピカルフルーツが欲しいのじゃな ?
カナええ、仲間のためにどうしても必要なの !
村長……よかろう。ならば、ついてこい。お主たちが島へ上陸する資格があるのか確かめさせてもらうぞ。
村人い、いいんですか、村長 !
村長構わん。これも村の掟じゃからのう。
村人……えっ ?  そんな掟ありましたっけ ?この前来た連中は勝手に島に行ってましたけど……。
村長しぃー !  ワシが今決めたんじゃからお主は話を合わせておれっ !やっと村長っぽいことができるチャンスなんじゃぞ !
シェリア……あの、全部聞こえてますよ……。
村長なっ ! ?  こ、こほんっ !ともかくじゃ !  試練を見事突破できればお主たちを孤島へ案内することを約束しよう。
シェリア……はぁ。信じて大丈夫かしら。
サラと、とにかく、今は村長さんについてってみましょう。
村長おお、見えてきたぞ。お主たちに挑んでもらう試練はあれじゃ。
P・カノンノえっと、あの大きな岩のこと ?
村長いかにも。あの巨大な岩を割ってみせたら試練は合格じゃ。
カナどうしよう。大きさだけなら、この前戦ったストーンゴレムよりもあるわ。
村長ふむ、やはり、ちと厳しかったかのう。じゃが、あの岩を砕けんようでは孤島にいる魔物たちに追い返されるのがオチじゃ。
ソフィわかった。わたしがやるね。
シェリアあっ、ちょっと、ソフィ !
村長最初の挑戦者はお嬢ちゃんか。ほれ、叩く道具なら色々と用意しておるぞ。
ソフィ大丈夫、いらないよ。
村長ほっほっほっ、冗談が上手いお嬢ちゃんじゃな。道具も使わずにいったいどうやって――
ソフィえいっ。
村長……………………はい ?
カナすごいわ、ソフィ !一撃で岩が粉々ね !
村長し、信じられん…… !   ?な、なにをしたんじゃ…… ?
ソフィなにって、叩いただけ。道具を使わないと駄目だった ?
村長いや……そんなことはないが……。
ソフィよかった。それじゃあ孤島につれてってくれるんだね。
村長ひ、ひとつ聞きたいんじゃが……他の子たちもお嬢ちゃんと同じくらい強いのか ?
ソフィうん。みんな強くて、すごく頼りになる仲間だよ。
村長そ、そうか……ならば、ワシから言うことは何もない。すぐに村の者に船を出させよう。
カナやったわ !  ありがとう、お爺さん !
サラソフィもお疲れ様。おかげでネオピカルフルーツを探しにいけるよ。
ソフィううん、わたしはカナが教えてくれた話を思い出しただけ。
カナ私の話 ?
ソフィストーンゴレムと戦った話。ゼファーが脆いところを叩いたって言ってたからわたしもやってみたの。
カノンノ・Eそれじゃあ、あとでゼファーさんにもお礼を言わないとね。
村長では、お嬢さんたち。船が用意できるまで、村で待っているとよい。
シェリアそうね。私たちも島へ行く準備をしておきましょう。

Character6話【Life6 少女の不安】
ソフィ…………。
P・カノンノあっ、ソフィもここにいたんだ。船の上って風が気持ちいいよね。
ソフィうん。少し冷たくて海の匂いがする。さっきお魚がたくさん泳いでいるところも見たよ。
P・カノンノ本当 ?  残念、私も見たかったなぁ。そういえば、シェリアさんは一緒じゃないの ?
ソフィシェリアは部屋で休んでるよ。起こさないように、そっと出てきた。
ソフィシェリア……きっと色んな場所に行って疲れてるんだと思う……。
P・カノンノ……ねえ、ソフィ。ソフィはさ、シェリアさんやアスベルさんたちと会える時間が減って、寂しかったりしない ?
ソフィ寂しい…… ?
P・カノンノあのね、シェリアさんが私たちに話してくれたんだ。自分たちが忙しいせいで、ソフィに寂しい思いをさせてるんじゃないかって。
ソフィ……わからない。でも、アスベルたちはみんなのために頑張ってて会えないのは仕方ないことだって思う。
ソフィ……でも、胸が苦しくなるときがあるの。わたしはいつか、一人ぼっちになるんじゃないか……って。
P・カノンノどうして、そう思うの ?
ソフィ……わたしは、みんなとは違うから。アスベルたちと同じように大人にはなれない。
ソフィだから、アスベルたちがいなくなっちゃったらわたしはどうなるんだろうって……。
P・カノンノ……そっか。やっぱりソフィは、みんなのことが大好きなのね。
ソフィうん、大好きだよ。
P・カノンノじゃあ、そんなソフィに一つおまじないを教えてあげる。自分の胸に手を当てて目を閉じてみて。
ソフィ……これでいい ?
P・カノンノうん。それでね、ソフィの大好きな人たちのことを思い浮かべてみて。
ソフィ…………あっ。
P・カノンノどう ?  みんなの姿、ちゃんと見えるでしょ ?
ソフィうん。それに……なんだか胸があったかい。どうしてだろう ?
P・カノンノねえ、ソフィ。大切な誰かがいなくなることは寂しいしソフィがみんなのことを大好きだからこそ胸が苦しくなるときもあるんだと思うの。
P・カノンノだけど、たとえ何百年経っても、ソフィが大好きでいるかぎり、その人たちは胸の中にずっといるから、寂しくなんてならないよ。
ソフィ本当 ?
P・カノンノ私にもそういう人がいるからわかるの。
P・カノンノソフィも、大丈夫だよ。
ソフィ……うん。
シェリアソフィ。部屋にいないと思ったらこんなところにいたのね。
カノンノ・Eパスカも一緒だったんだね。なに話してたの ?
P・カノンノちょっとした世間話、かな ?イアハートは、どうしたの ?
カノンノ・Eえへへ、私はこれ。船に乗ってると思い出しちゃって。
ソフィノート…… ?イアハート、お勉強するの ?
カノンノ・Eううん。私ね、元の世界にいた頃は物語を書いてたんだ。
カノンノ・E最近、また新しいお話が書きたくなってこうやって色んなことをメモしてるの。
ソフィどんなことが書いてあるの ?
カノンノ・E旅先の街で聞いたお話が多いかな ?あっ、でも !  アジトにいたときのもあるよ。
ソフィ本当だ。みんなのことが書いてある……。
カノンノ・Eたまに書いたお話を読み返したりするんだ。こういうこともあったなぁって思い出せるから。
ソフィイアハートも、寂しくならないためにお話を書いてるの ?
カノンノ・Eえっ ?  うーん、どうだろう。もしかしたら、そういう気持ちもあるかも。
カノンノ・Eでも、やっぱり一番は新しく出会う人たちにも、自分の大事な思い出を伝えることができるから、かな ?
カノンノ・Eほら、例えば今日の出来事だっていつか知らない誰かに話すことができるでしょ ?
カノンノ・E私は自分の大切なものを知ってほしいって思うんだ。って、ちょっと大げさだったかな ?
ソフィ……ううん、そんなことない。わたしにも出来るかな……。
シェリアだったら、今からソフィも始めてみたら ?
カノンノ・Eそうだよ !  やってみよう、ソフィ !物語のことなら私も教えてあげるよ。
ソフィいいの ?  それじゃあ、やってみる。
カノンノ・E決まりだね。最初は、ソフィが好きなことを書いたらいいよ。
ソフィわたしの好きなもの……。だったら、みんなのことを書きたい。
ソフィわたしがアスベルたちと冒険したことそれに、この世界で出会った人たちのことたくさん書いて、残したい。
シェリアソフィ……。
カノンノ・Eあはは、ソフィのノートはすぐにいっぱいになりそうだね。
カノンノ・Eよーし、私も負けないように頑張ろっと !
P・カノンノふふっ、イアハートまで張り切ってる。作家仲間が増えて嬉しいのかも。
シェリアねえ、パスカ。私たちが来る前にソフィを元気づけてくれたのよね ?
シェリアありがとう、パスカ。
P・カノンノ私はただお話しただけですよ。
P・カノンノでも、ソフィがシェリアたちをすごく大事に思ってるってことは伝わってきたわ。だから、少し私なりのアドバイスをしたの。
P・カノンノシェリアさんたちも、ソフィと同じ気持ちなんですよね ?
シェリアええ、私たちもソフィのことが大好きよ。
P・カノンノですよね。だったら、もう何も心配することはないと思います。
サラみんなー、聞いて !もうすぐ目的の島が見えるって !
カナいよいよ上陸よ !準備はいいかしら ?
カノンノ・Eうん。物語の続きは帰りにしよう。ここからは――
ソフィネオピカルフルーツ、だね。
カナええ、みんなで幻のフルーツを見つけましょう !

Character7話【Life7 いよいよ上陸】
カナ到着~ !  さあ、ネオピカルフルーツはどこにあるのかしら ?
サラ村長さんの話だと、島の中心にネオピカルフルーツの木があるみたいだけど……。
P・カノンノ魔物が棲みついているなら簡単にはいかないわ。
カノンノ・Eうん。森の中に入った瞬間蔓が襲い掛かってきたって話もあるみたい。
サラやっぱり、それは魔物の仕業ですよね。私たちも気を付けていきましょう。
ソフィ……静かだね。
シェリアええ。だけど、静かすぎないかしら ?
カノンノ・E確かに、鳥のさえずりも聞こえないのは変ですね。これも魔物がいる影響なのかな ?
サラ危険な気配はないけど……いつ襲ってくるかわからないし警戒はしておきましょう。
カナそうね……きゃあっ !
サラカナ ! ?
カナいたたっ……。
ソフィカナ、大丈夫 ?
カナええ、平気よ。ちょっとつまずいただけだから。
カノンノ・E……あれ ?でも、さっきまで足元にこんな蔦なかったような……。
シェリア! ?  みんな !  離れて !
P・カノンノな、なに ! ?この揺れは…… ! ?
――シュルルル ! !
P・カノンノきゃああ !
カノンノ・Eこの蔦、足に絡まって…… !
ソフィ動けない…… !
――シュルル ! !
サラ今度は上から…… ! ?
シェリア私が止めるわ !草薙刃 ! !
シェリア今のうちに足元の蔦を切るわね !それっ !
サラありがとうございます、シェリアさん !この動く蔦、魔物の攻撃ですよね。
カノンノ・Eだけど、魔物の姿はどこにもないよ。
P・カノンノ隠れながら私たちを狙っているのかも……。
――シュルルル ! ! ! !
サラまた来た !でも、同じ手は通じないよ !
――シュルル。
ソフィあの動く蔦、まだいっぱいあるみたい。
カナねえ、見て !  茂みの奥……。
魔物ガルルルッ……。
シェリア……まずいわね。囲まれたわ。
カノンノ・E逃がすつもりはない、ってことだよね。
サラだったら、逃げずに戦いましょう。あの蔦も厄介だけど、気を付けて動けば回避できるはずです。
シェリアそうね、下手に動き回るよりはこっちも連携しながら戦うほうが有効かもしれないわ。
サラうん。それに、ちょっと私に考えがあるの。その時が来たらサポートしてほしいんだけどお願いできるかな ?
カナもちろんよ !  いつでも言ってちょうだい !
魔物ガルルルッ !
サラ向こうは待ってくれないみたいだね。それじゃあ、いくよ !

Character8話【Life8 島の魔物たち】
カノンノ・E――獅子天吼弾 ! !
カノンノ・Eよしっ !  次 !
P・カノンノ魔物の数は減ってきてる。だけど……。
――シュルル !
ソフィシェリア !  右 !
シェリアええ !  外さない !
シェリア……やっぱり、この動く蔦をなんとかしないと駄目ね。
サラ…………よし。これで間違いない。
サラみんな !  この蔦を操る魔物の居場所わかったよ !
カナえっ ! ?  本当なの、サラ !
サラうん、ずっと観察してたから間違いないと思う。後はそのポイントまで行ければ……。
ソフィあの蔦はわたしに任せて。サラの邪魔はさせない。
サラありがとう、ソフィ。それじゃあ、タイミングを合わせて……。
――シュルルル ! !
サラよし !  今 !
ソフィうん !
魔物ガルルルルッ ! !
カノンノ・E魔物は私たちが !  パスカ !
P・カノンノいくよ !――桜牙濁砕斬 ! !
――シュルル ! !
ソフィ来た。わたしが引き付けるからサラは走って !
サラソフィ !  気を付けてね !
ソフィ平気、こんなの……当たらない !
サラ(すごいな、ソフィ……。相手の動きをよく観察して避けてる)
サラでも、思った通りだよ。この蔓、さっきより正確に私たちを狙ってきてる。
サラそれなのに、敵の姿は見えない。だったら考えられる可能性は、音や振動に反応してるってこと。
サラ――つまり、敵は地面の下 !ここを叩けば ! !
植物系の魔物ヴォオオオオオッッ ! ! ! !
カナやった ! !  大当たりよ、サラ ! !
植物系の魔物ヴォオオオッ ! ! ! !
サラ……くっ ! !
カナ大丈夫 !  サラ ! ?
サラな、なんとか……。やっぱり、地面の上からだとあまりダメージがなかったのかも…… !
サラでも、ここから反撃よ !
カナサラ !  今度は私も一緒に !
サラお願い、カナ !
植物系の魔物ヴォオオオッ ! !
カナ私に合わせて !
サラオッケー !  任せてよ !
二人白銀の天命よ !
二人アイシクル・コメット ! !
植物系の魔物ヴォ、ヴォオオ…… !
サラよし !  動きが止まった !トドメは任せたよ、ソフィ !
ソフィはあああああっ !  刹華燕舞 ! !
サラふぅ……倒せた~。ソフィも、ありがとう。助かったよ。
ソフィううん。わたしはサラの言う通りにしただけ。魔物が地面にいるなんて、気づかなかった。
カナそうよ、サラが気づいてくれなかったら危なかったわ。今回はサラのお手柄ね。
カノンノ・E周りにいた魔物もいなくなったみたい。
シェリアしばらくは安全だと思うけど念のため、移動したほうがいいわね。
サラそうですね。ここからはまたネオピカルフルーツを探しましょう。
カナええ !  魔物は倒したし、この勢いのまま進みま……わあああっ !
サラカ、カナ ! ?もしかして、また動く蔓が…… !
カナいたたっ……ご、ごめんなさい。張り切ったらつまずいちゃった……。
P・カノンノわ、私たちも足元に気を付けて進もうね……。
カノンノ・Eねえ、あのヤシの木がいっぱいある場所ってもしかして !
サラ行ってみましょう !
カナパイナップルみたいな実がなってる…… !
P・カノンノそれじゃあ、あれがネオピカルフルーツなんだね。
シェリアこの一帯に生えている木がそうなのね。でも、どうやって採ろうかしら ?
ソフィ木を揺らしてみるのは ?
シェリアう~ん……。地面に落ちたら潰れちゃうかもしれないわ。
ソフィ平気。わたしがキャッチするよ。
シェリアソフィなら出来そうだけど……。万が一頭に当たったら大変だし……。
サラそれなら、私が木に登って採ってくるよ。よいしょ、と。
カナサラ、落ちないように気を付けてね。
サラ平気、平気。これくらいなら……。
P・カノンノ……ん ?  あれ、なんだろう。空から、何か近づいてくるわ。鳥……かな ?
サラよし……あと少し…… !
カノンノ・E! ?  サラ ! !  危ないっ ! !
サラえっ ?  わっ、わああああっっ ! !
ソフィサラ、大丈夫 ?
サラあ、ありがとう、ソフィ。えへへ、フルーツじゃなくて私がキャッチされちゃったね……。
サラでも、さっき向かってきたのって……。
カノンノ・Eサラ !  ソフィ !  避けて !
サラわ、わあああっ ! !
サラ鳥型の魔物 ! ?それに、なんだかすごく怒ってる気が…… !
P・カノンノもしかしたら、この辺りを縄張りにしてるのかも。
カノンノ・E私たちがフルーツを採るのを嫌がってるんだね。
カナそれでも、引き下がるわけにはいかないわ。
サラうん。みんなと冒険してやっとここまで来たんだから……。
サラ私も最後まで諦めない !ネオピカルフルーツは持ち帰らせてもらうよ !

Character9話【Life9 幻をこの手に】
サラやあああああっっ ! !
P・カノンノ敵は今ので最後、かな ?
サラふぅ……さすがにちょっと疲れたかも。
カナお疲れ様、サラ !今回も大活躍だったわね。
カナあっ、そうだ !水筒にまだお水が残ってるからよかったらサラに――
ソフィ! ?  カナ !  伏せて !
カナえっ ?  わああああっっ ! !
サラカナ ! !
シェリアまだ一匹、木の影に隠れていたんだわ !
カナひ、引っ張っちゃだめーー ! !フードが破けちゃうーー ! !
サラどうしよう、カナが連れてかれちゃう !
カノンノ・E私たちに任せて !  パスカ !
P・カノンノうん !
二人私たちで織りなす…… !
二人一心同体の合わせ技 !
二人双牙襲砕撃 ! !
サラやった !  魔物がカナを放したよ !
シェリアでも、これって……。
カナお、落ちちゃうーーーー ! ! ! !
P・カノンノ風の術で…… !  それっ !
カナあ、あれ ?  私、浮いてるわ !
P・カノンノよかった……上手くいったみたい。カナ、ゆっくり降ろすから少しだけ動かないようにしててね。
サラカナ !  大丈夫 ! ?  どこも怪我してない ! ?
カナ…………わ。
サラカナ ?
カナすごいわ !  私、空を飛んでたわ !サラも見てたでしょ !
サラえっ ?  う、うん……。
カナあのね、風に包まれたと思ったらフワッと身体が浮いて、景色もすっごく綺麗に見えて――
サラス、ストップ !えっと、カナ……大丈夫だったってこと……だよね ?
カナええ、もちろんよ……あっ !パスカとイアハートにお礼を言わなきゃ !
カノンノ・Eふふっ、ちゃんと聞こえてるわ。
P・カノンノこんなに喜んでくれるなんて思わなかったけどね。
カナだって、本当にすごかったのよ !空の上をお散歩してるみたいで素敵だったわ。帰ったらゼファーたちにも教えてあげなきゃ。
サラ……そうだ !  ネオピカルフルーツ !今なら安全に採れるはずだけど……。
ソフィ採れたよ。はい。
サラソフィ !  いつの間に ! ?
ソフィサラの真似して登ったの。食べる ?
カナいいわね !  せっかくだからみんなで味見しましょう。
シェリアちょっと待っててね。見た目がパイナップルと同じだからこう切り分けて……。
シェリアはい、お待たせ。こんな感じかしら ?
サラありがとうございます、シェリアさん。聞いてた通り、すごく甘い匂いがしますね。
カノンノ・Eそれじゃあ、一口ずつ……せ~の !
――ぱくっ。
全員おいし~~~~~~ ! !
サラ美味しい !  美味しいよ、これ !一口だけだったのに口の中全部に甘さが伝わってくる !
シェリアええ、果肉もすぐに溶けてなくなったわ。
カナこんなフルーツ、今まで食べたことない…… !
P・カノンノ本当に、幻のフルーツね。
ソフィこれでケーキを作ったらアスベルたち、喜んでくれるかな ?
カノンノ・Eうん !  絶対喜んでくれるよ !
カナやったわ !  アレンたちも驚くに――あれ ?
カナねえ、見て見て。あっちの茂みから、動物たちがこっちを見てるわ。
サラ本当だ。なんだかすごく羨ましそうに見られている気が……。
P・カノンノもしかして、あの子たちもネオピカルフルーツを食べたいのかな ?
シェリアかもしれないわね。縄張りにしてたあの魔物のせいでずっと食べられなかったんだわ。
ソフィ……ねえ、シェリアが切ってくれた残りの分あの子たちにあげちゃダメ ?
シェリアふふっ、私は構わないわよ。みんなもいいかしら ?
サラはい !  私たちだけ食べちゃうのは悪いですから。
カナほら~、おいで~。怖くないわよ~。一緒にネオピカルフルーツを食べましょう~。
ソフィあっ、来た。
カノンノ・Eねえ、パスカ。私たちも少し持って帰ろっか。
P・カノンノグラスバレーへのお土産にしようか。
カノンノ・Eうん !  今日のこと、帰ったらグラスバレーにもいっぱい話そう !
サラ村の人たちへの報告も終わったし今回の冒険はここまで、かな。
シェリア色々あったけど、みんなのおかげで助かったわ。
カナ私も、みんなと会えてすごく楽しかった !
P・カノンノまた、こうやって集まれるといいね。
カノンノ・Eきっと、すぐに会えるよ。そのときは、また一緒に冒険しよう !
ソフィうん。それじゃあみんな、またね。
サラまたね、か。不思議だね。そう言ってくれるとお別れも寂しくないかも。
カナ次はアレンたちも一緒だといいわね。
サラうん !  だけど今日はこのフルーツを持って帰ってアレンたちを驚かせよう !

Character10話【Life10 最高のお土産】
カノンノ・Gそっか。依頼のあとにそんなことがあったんだね。
カノンノ・Eうん。またみんなで集まろうって約束したからそのときはグラスバレーも一緒に行こうね。
カノンノ・Gうん !  ねえ、みんなとのお話もっと聞かせて。
カノンノ・Eもちろん !  フルーツを見つけるまでにもいろいろあってね。
カノンノ・E船で孤島に向かうときはソフィに物語を書くことを教えてあげて――
P・カノンノ二人とも。いっぱい話したい気持ちはわかるけどそろそろ買い物に行かないと。
カノンノ・Eあっ、そうだった !ごめんね、すぐ準備するよ。
P・カノンノグラスバレー、今日の晩御飯は何にしよっか ?
カノンノ・Gう~ん、お店のものを見てみんなで決めようと思ってたんだけど……食材と一緒にケーキの材料も買っていいかな ?
カノンノ・Gソフィたちの話を聞いたら私もケーキが食べたくなっちゃって。
カノンノ・Eそれなら、私たちもネオピカルフルーツのケーキを作ろうよ !
P・カノンノ最近は忙しくてお菓子作り出来てなかったよね。久々だから、失敗しないようにしなきゃ。
カノンノ・G大丈夫 !  三人で作ったらきっと美味しいケーキができるよ。
カノンノ・Eよ~し、それじゃあネオピカルフルーツケーキ作りに挑戦だ !
三人お~~ ! !
アスベルう、うまいっ !こんな美味しいケーキが作れるなんてすごいじゃないか、ソフィ !
ソフィわたしだけじゃないよ。シェリアにも手伝ってもらったんだ。
シェリア私は少しアドバイスしただけよ。
アスベルこのフルーツも二人で採りにいったんだろ ?大変だったんじゃないか ?
シェリアええ。だけど、他の子たちにも会えたし楽しかったわ。
パスカルずるいずる~い !あたしもソフィとお出かけしたかった~ !
ヒューバートはぁ……パスカルさん。子供じゃないんですからそんなわがまま言わないでください。
パスカルえー、じゃあ弟くんがどっか連れてってよ~。
ヒューバートなっ ! ?  きゅ、急にそんなことを言われても…… !
パスカルねえねえ、みんなもいいでしょ ?ね、ね !
ヒューバートあっ……そ、そういうことですか……。
マリクそう落ち込むな、ヒューバート。チャンスは必ず来る。それまでの辛抱だ。
ヒューバートきょ、教官 !ぼくは別に……。
ソフィヒューバート、嫌なの ?
ヒューバートい、嫌というわけじゃ……。わかりました。予定はちゃんと空けておきます。
リチャードソフィの頼みなら断れないね。僕も旅の準備をしておくよ。
ソフィうん、約束だよ。
アスベル……シェリア、ソフィが前に会ったときより楽しそうに見えるんだが、何かあったのか ?
シェリアそれはきっと、『アレ』のおかげね。
アスベルアレ ?
ソフィそうだ。今日のことも書いておかなきゃ。
リトルクイーンソフィ、その紙の束は何 ?
ソフィノートだよ。みんなでケーキを食べるお話を書くの。
リトルクイーンどうして ?
ソフィわたしがね、アスベルたちの思い出を残すためだよ。
ソフィそれでね、今日のことが昔になってもわたしはこのお話と一緒に、みんなのことを伝えるの。
パスカルえー、ソフィってば誰にあたしたちのこと、紹介してくれるの ?
ソフィわからない。でも、これから会う人たちにも伝えたいの。
ソフィずっと一緒にいてくれたわたしの大切な、友だちのこと――
ゼファーどうやら、今回は完敗みたいだぜ、相棒 ?
アレンうん。僕たちも珍しい食材を集めたつもりだけどサラとカナが持ってきたフルーツには敵わなかったね。
リッピいえいえ、アレン様とゼファー様の壮大な冒険もこのリッピの目にはしかと焼き付いております。
リッピそして !  こちらが皆様からお預かりした食材で完成した特製バースデーケーキでございます !
カナわあっ !  大きくて綺麗 !まるでケーキの塔だわ !
アレンずっと布で覆われていたから気づかなかったよ。
ゼファーいや、気づくだろ……。俺は突っ込んだら負けかと思って何も言わなかったが……。
リッピ僭越ながら、私もつい気合いが入ってしまっていつの間にかこのような大きさになっておりました。
リッピしかし正真正銘、この世に二つとないサラ様のバースデーケーキでございます。
リッピ――ですが、サラ様へのプレゼントはケーキだけではございませんよ。
アレンサラ、これは僕たちからもう一つのプレゼントだよ。良かったら受け取ってくれないかな。
サラえっ ?  これって……ティーカップ ?
アレンうん。僕とゼファー、それにリッピにも手伝ってもらって作ったんだ。
サラ……アレン !  うん、ありがとう !私、このティーカップ、ずっと大事にするよ !
カナよかったわね、サラ !これでお茶会がますます楽しみになるわ !
カナでも、手作りのティーカップなんてちょっと羨ましいわ。
アレンふふっ、ゼファーの言ってた通りだね。
カナえっ ?  えっ ?アレン、私、何か変なこと言った ?
アレンううん、ただ……ほら、ゼファー。
リッピ次はゼファー様の番でございますよ ?
ゼファーあー、わかってるよ。……ほら、カナ。お前の分だ。
カナ……マグカップ ?これ、もしかして……。
リッピはい。カナ様へのプレゼントとしてゼファー様が手作りしたものです。
カナプレゼントって、私、まだ誕生日じゃないわよ ?
ゼファーんなの知ってるよ。けど、自分だけ何もなかったら機嫌損ねるだろ。
カナそんなことで怒らないわよ !怒らないけど…… !
ゼファーお、おい、どうしたんだよ ?
カナ私もプレゼントをもらえるなんて思ってなかったからどうしたらいいのかわからなくて……。
リッピカナ様、こちらのマグカップはゼファー様が何度も何度も試作を重ね作り上げたもの。そのお姿は、まさに職人のようでございました。
アレンゼファーは、カナに喜んでもらいたくて頑張っていたんだよ。
カナゼファーが、私のために……。
ゼファーお前ら、大袈裟に言うんじゃねぇ !カナ !  やっぱプレゼントはナシだ !
カナ嫌よ !  もうもらったんだから返さないわ !
カナそれに、ゼファーが頑張ってくれたんでしょ ?だったら、私もずっと大事にするわ。
ゼファー……ああ。うっかり落として割るんじゃねえぞ。
サラねえ、アレン。せっかくだから、今日はこのティーカップで紅茶を飲んでいいかな ?
カナ私もマグカップ使いたい !あっ、でもマグカップならホットミルクのほうがいいかしら ?
リッピそれでしたら、サラ様には紅茶をカナ様にはホットミルクをご用意いたしましょう。
リッピその間に、今回の冒険譚をお互い話されてはいかがでしょうか ?
アレンそうだね。でも、その前に……。
ゼファーアレはちゃんとやっとかなきゃな。
カナええ !  クラッカーの準備もオッケーよ !
アレンそれじゃあ、いくよ。せーの !
四人サラ(様) !  お誕生日、おめでとう !
サラうん !  ありがとう、みんな !