| Character | 1話【軌跡1 天遺見聞録】 |
| エドナ | はぁ、はぁっ……。 |
| ミクリオ | 空気がだいぶ薄くなってきたな。硫黄の匂いも混じってきてる……。 |
| スレイ | エドナも疲れてるみたいだしちょっと休憩しようか。 |
| エドナ | これくらい、なんともないわ…… ! |
| スレイ | そ、そう…… ? |
| ミクリオ | エドナにそんなことを言ったらそう返ってくるだろ。 |
| エドナ | まだ登り始めたばかりじゃない。最初に音を上げるなんて…… ! |
| スレイ | 頑張ってくれるのは嬉しいけど倒れたら大変だし、やっぱり休憩を取ろう。 |
| エドナ | ……まったく、なんでこんなことになったのよ。 |
| ミクリオ | そうだな、最初はスレイが―― |
| ミクリオ | 新しい天遺見聞録を作りたい ? |
| スレイ | うん。この世界……ティル・ナ・ノーグのことをもっと知りたくてさ。 |
| スレイ | 様々な異世界から具現化された世界。人はまだこの世界の全貌を知らないと思うんだ。 |
| ミクリオ | それは、そうだな。このグリンウッド領だけでも元の世界では目にしなかった地形や遺構がある。 |
| スレイ | だからまずはグリンウッド領を調査してそれから他の大陸も調べて……。 |
| スレイ | 世界各地の遺跡や地理、伝承を纏めて自分なりの天遺見聞録を作りたいんだ。 |
| スレイ | みんなももっと世界のことを知りたいだろうし役に立つと思うんだけど……。 |
| ミクリオ | それで、僕はどう思うかって ? |
| スレイ | うん。 |
| ミクリオ | どうせ何を言ったって、君はやるつもりだろ。 |
| スレイ | ははは……そこまでお見通し ? |
| ミクリオ | わかるさ。どれだけ一緒にいると思ってるんだ。 |
| スレイ | だってさ、本来なら絶対に見られなかった別の世界の遺跡とかも山ほどあるんだ。そんなの見たいに決まってるじゃないか ! |
| ミクリオ | みんなの役に立つとか建前を並べてたけど結局のところ、それだろう。 |
| ミクリオ | 知的欲求。自分の知らないことを知りたい。 |
| スレイ | うん……だから、これはオレのわがままだ。もしミクリオが反対なら―― |
| ミクリオ | バカを言うな。僕も同じ気持ちだ。 |
| スレイ | ミクリオ…… ! |
| ミクリオ | 世界も少しずつ落ち着いてきた。正直、僕も頃合いだと思っていたんだ。 |
| ミクリオ | 新しい天遺見聞録って発想はなかったけどね。面白そうじゃないか。 |
| スレイ | ありがとう…… !やっぱり、持つべきものはミクリオだな ! |
| ミクリオ | なんだその言い回しは……。それにしたって、ティル・ナ・ノーグは広い。僕たちだけじゃ限度もあるだろう。 |
| ミクリオ | みんなにも話して情報を提供してもらうのはどうだ ? |
| スレイ | そっか…… ! そういえばもうすぐみんなとの食事会だな ! |
| スレイ | うん、そこで協力してもらえないか聞いてみよう ! |
| スレイ | 久々に会えるだけでも嬉しいのにますます楽しみになったよ ! |
| Character | 2話【軌跡2 食事会】 |
| スレイ | みんな、グラスは持った ? |
| デゼル | ああ。 |
| ザビーダ | 長い話は勘弁な !さっさと始めようぜ ! |
| スレイ | それじゃ、久しぶりの再会を祝して――乾杯 ! |
| 全員 | かんぱーい ! |
| ライラ | ロゼさん、最近のお仕事はどうですか ? |
| ロゼ | まあ、ボチボチやってるよ。交易はどの世界でも必要だしね。 |
| アリーシャ | エドナ様、あちらにケーキがありましたよ。 |
| エドナ | あら、そう ?後で味を見てみましょう。 |
| ザビーダ | しかし、こうして集まるのもホント久々だな。平和になってからさっぱりだったもんな。 |
| デゼル | 便りがないのは良い便りということだ。 |
| スレイ | みんな元気みたいで何よりだよ。 |
| ザビーダ | そういうスレイは最近何やってんだ ?やっぱり遺跡関係か ? |
| スレイ | ああ、それについてなんだけど……実はみんなに話したいことがあって。 |
| ミクリオ | みんな、少しスレイの話を聞いてくれるか ? |
| アリーシャ | ああ、どうしたんだ ? |
| スレイ | オレ、このティル・ナ・ノーグで新しい天遺見聞録を作りたいと思ってるんだ。 |
| ライラ | まあ、天遺見聞録……。 |
| エドナ | 大きく出たものね。 |
| スレイ | 元の天遺見聞録とはだいぶ違ったものになっちゃうかもしれないけどさ。 |
| スレイ | オレなりにこの世界を調べて、考えたことを記して……みんなもそれを知って、興味を持ってもらえたら嬉しいなって思ったんだ。 |
| スレイ | オレが天遺見聞録を読んだときみたいに。 |
| アリーシャ | スレイ……。 |
| エドナ | どうせミボも一緒なんでしょ ? |
| ミクリオ | どうせ、って……。まあ、確かにその通りではあるけど。 |
| スレイ | うん、まずは二人でグリンウッド大陸の遺跡調査から始めようと思ってる。 |
| スレイ | でも、世界中となるとオレたちだけでどこまでやれるかちょっと心配でさ。 |
| スレイ | そこで、みんなにも力を貸してほしいんだ。もし遺跡の情報とか噂を聞いたらオレたちに教えてくれないかなって。 |
| ライラ | もちろんですわ。ぜひお手伝いさせてください。 |
| アリーシャ | ああ。情報提供だけではなく時間が合えば調査のほうも手伝わせてくれ。特にグリンウッド大陸なら融通も利く。 |
| スレイ | いいの ! ?ありがとう ! |
| ザビーダ | 遺跡一筋のお前らだけじゃ他のことがおろそかになりそうだしな。 |
| エドナ | あなたはあなたで、色々と心配だけど。 |
| ザビーダ | なっ……そりゃあねえよ ! |
| 二人 | ははっ !ふふっ。 |
| スレイ | 各大陸の歴史や遺跡がどうなっているか実際に見て確かめた人はたぶんまだいない。 |
| ミクリオ | 無謀だから、普通はやろうと思わない。でも、スレイは……スレイだから。 |
| スレイ | ははは……そういう訳でできる範囲で協力してくれると助かるよ。 |
| ロゼ | 大陸の調査は商売にも役立つだろうしスレイの頼みなら断れないね。 |
| デゼル | ついでに面白いものでも見つかりゃ、なおいい。 |
| スレイ | ロゼもデゼルも、ありがとう。エドナも、手伝ってくれる ? |
| エドナ | ……さて、どうしようかしら。 |
| スレイ | またみんなと一緒に冒険できることもあるのかなって思ったんだけど……。 |
| エドナ | 手伝わないとは言ってないでしょ。 |
| エドナ | 好きなようにやりなさい。ワタシは何があってもあなたの味方よ。 |
| ザビーダ | まったく、最初から手伝う気なのにもったいぶっちゃって。 |
| ザビーダ | あいだっ ! ! !足 ! 刺さってるって ! 傘 ! ! ! |
| エドナ | あら、この傘置きしゃべるのね。面妖だわ。 |
| ザビーダ | くぅー……痛つつ……容赦ないぜ。 |
| デゼル | フッ……茶化したお前が悪い。 |
| エドナ | それで……どこから手をつけるつもり ?偶然にも幸運なことにワタシの予定は空いてるけど。 |
| ロゼ | スレイとミクリオの門出ってことでしょ ?せっかくならみんなで行こうよ、予定を合わせて。 |
| ザビーダ | おう、初回限定サービスってやつだ ! |
| ライラ | ふふふ、初回だけとは限りませんけど。 |
| スレイ | ありがとう、みんな…… !最初の行き先は、目星をつけてあるんだ。このグリンウッド大陸で、まだ調査していない場所。 |
| スレイ | それは―― |
| Character | 3話【軌跡3 行きたかった場所】 |
| エドナ | ――で、この山に来たのよね。 |
| スレイ | うん。この山は活火山でかつて滅びた裾野の街が遺跡になってるんだ。 |
| ザビーダ | おいおい、そんなところ登って大丈夫なのか ? |
| ミクリオ | 今は小康状態だから問題ない。 |
| ロゼ | 滅んだっていう街も今はその上に温泉街が広がってる。たくましいね。 |
| スレイ | 活火山があるなら温泉が湧くからね。観光客でにぎわってるみたいだ。 |
| デゼル | 登山でかいた汗は温泉で流すとするか。 |
| ライラ | ええ、この後が楽しみです…… ! |
| アリーシャ | ……ところで、スレイ。ひとつ聞いていいか ? |
| スレイ | うん、どうしたの ? |
| アリーシャ | 遺跡を調べるのになぜ火山を登る必要があるんだ ? |
| エドナ | そうよ、山なんて登らなくていいじゃない。 |
| スレイ | ああ、それはね。噴火の時期を特定するのに火山の地層を調べたいんだ。 |
| ミクリオ | 遺跡のほうは多くが埋まっていて地層まで調べるのは大変だ。 |
| ミクリオ | その点、火山は地層が露わになっている場所もあるだろう ? |
| ロゼ | なるほどね。 |
| ミクリオ | やろうと思えば遺跡に使われた建材から年代の推定もできるが……。 |
| ミクリオ | どうしても誤差が大きくなってしまうんだ。建造時に古い建材を使うこともあるからね。 |
| デゼル | 家を建てるのに樹齢何百年って木を使うようなものか。 |
| ミクリオ | そう。天族からみれば大差ないかもしれないけど……。 |
| スレイ | 人間の歴史だと結構なズレだからね。できるだけ年代を絞りたいんだ。 |
| ライラ | なんだか本当に学者さんのようですね。とても頼もしいですわ。 |
| ミクリオ | とはいえ……ここは具現化された大地。細かい年代を特定することにどれだけ意義があるのか。 |
| ザビーダ | そうそう。俺たちの記憶が元になって生まれたんだろ ?エンコードとかいうのもあるみたいだし。 |
| ロゼ | ここに火山で滅びた街があったという歴史自体も具現化されたもの、なんだよね。 |
| スレイ | だからこそ、面白い題材だと思うんだ。作られた歴史はどこまで精巧なのか。 |
| スレイ | 人は遺跡のことをどう思っているのか……。考古学の常識は通用しないかも。 |
| スレイ | 今までにないまったく新しいタイプの遺跡……。どんなことがわかるのか、考えるだけでワクワクするよ ! |
| ロゼ | 子供みたいに目をキラキラさせて……。本当に好きなんだな、遺跡。 |
| ザビーダ | 難しい話はわかんねーけどま、協力するって約束したしな。 |
| スレイ | ……っと、話している間に断層まで着いたよ。ここが目的地だ。 |
| エドナ | ふぅ、これ以上登らなくていいのね。 |
| デゼル | ここから先はガスの対策とかも必要だろうしな。 |
| ミクリオ | 細かい測定は僕とスレイでやるからみんなは休んでてくれ。 |
| ザビーダ | おう、なんか手が必要になったら言ってくれよ。 |
| エドナ | ……ワタシにはただの山に見えるけどスレイにはきっと違う風に見えているのね。 |
| アリーシャ | 人によってものの見方は違いますからね……。私も見えているようで、見えていなかった……。 |
| デゼル | しかし……こうして見下ろすと裾野は煙が多くて戦場のようだな。 |
| ロゼ | 実際は温泉街なんだけどね。ほら、見える ? あの黄色い屋根の大きな建物。 |
| ライラ | どこでしょう ?……あっ、ありましたわ ! |
| ロゼ | あそこだよ、今夜予約した宿。露天風呂があって、効能は保湿に美肌。 |
| ロゼ | その名も『美人の湯』 ! 楽しみっしょ ? |
| ライラ | まあ…… !長風呂になってしまいそうですわ。 |
| ザビーダ | ああ、そいつは楽しみだな……ふふっ。 |
| ライラ | ……ザビーダさん、怪しい風があればすぐに燃やしますからね ? |
| ザビーダ | ……ちっ。読まれてたか。 |
| エドナ | バカね。 |
| デゼル | 今夜、もし何か騒動があったとしても俺は一切関与していないからな……。 |
| アリーシャ | あはは……。 |
| ライラ | ……。 |
| スレイ | 火山灰層はこことここだから噴火活動は150年周期で―― |
| ミクリオ | なるほど……付近の遺跡の年代算出にも役立つな。念のため地質柱状図を―― |
| ライラ | ……活き活きしてますね。 |
| アリーシャ | ええ。私には詳しいことはわかりませんが……。 |
| アリーシャ | 噴火の周期がわかれば、あらかじめ温泉街の人を避難させるなどの対策ができます。 |
| アリーシャ | スレイのしていることは自分のためだけではないと感じます。 |
| エドナ | ……情報をどう使うかは受け取った人次第。 |
| エドナ | スレイはその情報を発信したいのね。 |
| エドナ | かつて自分を導いてくれた天遺見聞録のように。 |
| ライラ | ふふ……想いはちゃんと繋がっているということですね。 |
| エドナ | ……登っているときは気づかなかったけれど。 |
| ザビーダ | ん ? |
| エドナ | 思ったより高いところまで来てたのね、ワタシたち。 |
| デゼル | ……まだ、道の途中だ。 |
| Character | 4話【軌跡4 ひと休み】 |
| スレイ | ふう……いいお湯だった ! |
| エドナ | ……肌がすべすべになった気がする。 |
| ザビーダ | はぁ……完全にガードされててまったく隙がなかったぜ……。 |
| ライラ | 覗きはいけませんわ。 |
| デゼル | 登山して、風呂に入って……。次は飯か ? |
| アリーシャ | 確かに、お腹がすきました。 |
| ロゼ | 観光地だけあっていろいろ売ってるな~。あ、あれは地獄たまごだって。 |
| ミクリオ | 井戸みたいになっているがこれは源泉なんだな。かなり熱そうだ。 |
| スレイ | たまごを買って自分で茹でるのか。温泉たまご、おいしいもんな。 |
| ライラ | 真っ白なたまごが茹でると真っ黒に…… ? |
| ミクリオ | たしか……温泉の成分が殻に付着して黒くなるんだとか。 |
| ライラ | へえ~……。不思議ですわ。 |
| ロゼ | あっちには溶岩饅頭なんてのもあるよ。みんな商魂たくましいね~。 |
| ライラ | 味が気になりますわね。あの、おひとつ頂けませんか ? |
| ザビーダ | おっ、買ったよ。即断即決だな。 |
| アリーシャ | これは……溶岩飴 ?イチゴに溶かした氷砂糖がけ……。 |
| デゼル | 溶岩を模したのか。面白い、一本もらおう。 |
| ザビーダ | お前、意外とわんぱくだな……。 |
| デゼル | む、これは……。甘酸っぱい。いや……正確には甘甘甘酸っぱい甘いくらいだ。 |
| エドナ | 見ればわかるわよ。 |
| スレイ | ははっ。どれもこの土地ならではの面白い食べ物だね。 |
| スレイ | ミケルもこんな風に各地の郷土料理を食べて天遺見聞録を書いていったのかな。 |
| ライラ | あら……このお饅頭、栗が入ってます !「溶岩饅頭」は「よう噛んで」食べないと ! |
| デゼル | …… ! |
| ミクリオ | ……その土地の料理を集めた記録なんかがあっても面白いかもな。 |
| ライラ | むう、せっかくうまいこと言いましたのに…… ! |
| デゼル | ……大抵の食べ物は、よく噛んで食べたほうがいい。 |
| ライラ | その溶岩飴をバリボリ食べるのも大変そうですが……。 |
| スレイ | 郷土料理集か……確かにそれも地域特有の文化だよな。 |
| ロゼ | いいんじゃない ?世界を網羅したグルメマップなんかないよ。 |
| ロゼ | 近くに来たら立ち寄るべきお店は星一つで旅をしてまで行く価値があるなら星三つとか……。 |
| エドナ | はいはい、ビジネスの話はそれくらいにして。スレイ、この後はどうするの ? |
| スレイ | 今日はここに泊まって明日はジャングルの水晶遺跡に行く予定だよ。 |
| デゼル | ……ほう、ジャングルか。珍しい虫がいそうだ。 |
| ライラ | 水晶遺跡、ですか……。キラキラして綺麗なところなのでしょうか ? |
| アリーシャ | 水晶で出来た遺跡だったら神秘的なんでしょうね。 |
| スレイ | ははは……それは明日行ってみてからのお楽しみってことで。 |
| Character | 5話【軌跡5 水晶遺跡】 |
| エドナ | やっと着いたわね。虫の羽音がとにかく不快だったわ。 |
| デゼル | 俺はもっと見たかったが……。 |
| ミクリオ | デゼルには悪いけど今は遺跡の調査を優先しよう。 |
| スレイ | ここが今日、調査をする水晶遺跡だよ。 |
| ライラ | あの、ひとつよろしいですか ? |
| スレイ | うん、ひとつと言わずなんでも聞いて。 |
| ライラ | 水晶遺跡という割には水晶がないように見えるのですが……。 |
| アリーシャ | 私もそれが気になっていました。てっきり水晶で出来ているのかと。 |
| ミクリオ | そんなに派手な遺跡だったらもっと有名になっているはずだろ ? |
| ロゼ | それはそうだね。じゃ、なんで水晶遺跡なの ? |
| ミクリオ | 元々ここは水晶の採掘場だったんだ。 |
| ミクリオ | 時の権力者は水晶を独占するべく採掘場の上に宮殿を建てて守ることにした。 |
| ザビーダ | はー、いつの時代にも強欲な連中ってのはいるもんだ。 |
| ロゼ | 経済の観点から言えば理に適ってはいるけれどね。 |
| ミクリオ | このあたり、地上部分はその権力を示す水晶の意匠が散りばめられた宮殿だ。 |
| ミクリオ | そして地下には、アリの巣のように広がった水晶の採掘場があるという訳だ。 |
| スレイ | 昔はここにも水晶がたくさんあったはずだよ。ほら、あそことか。 |
| アリーシャ | 壁が砕かれた跡があるな。なるほど、水晶が嵌まっていたのか。 |
| スレイ | 目に付く場所は盗掘の被害に遭いやすいからね……。 |
| ザビーダ | こっちの壁には落書きがあるぜ。なんたら参上、とか。 |
| ミクリオ | すでに何度も踏み入られているようだな。盗掘除けの罠もすべて作動済みだ。 |
| ライラ | 綺麗な水晶が見られると楽しみにしていましたのに。 |
| アリーシャ | 罠というのは、どんな風に仕掛けられていたんだ ?パッと見ではわからないのだろうが。 |
| スレイ | あそこの隅、隙間があるだろ ?ああいうところから棘が出るんだ。 |
| スレイ | 特定の場所を踏んでしまうとその重みで針が飛び出す……何度でも使える罠だね。 |
| ミクリオ | 種類としては一度きりの大掛かりな罠もある。転がってくる大岩とか。簡単には戻せないだろう ? |
| ザビーダ | そんなのおとぎ話でしか聞いたことないぜ。現実にあんのか ? |
| ロゼ | 大岩の運搬とか非効率だよね。それもある意味ロマンってやつ ? |
| ミクリオ | そういう大がかりな罠が残っていたら誰も立ち入っていない可能性が高いんだ。 |
| ライラ | あの、お話中すみません。あそこの壁に出っ張りがあるのですが……。 |
| エドナ | 本当……気になるわね。 |
| スレイ | これは……何か作動するスイッチみたいだ。 |
| スレイ | 押してみるけど……みんな念のため警戒を怠らないで。 |
| ザビーダ | おうよ。さあ、ひと思いにやってくんな ! |
| スレイ | 壁が動いて……隠し通路だ !ライラ、お手柄だよ ! |
| ライラ | ふふっ、お役に立てましたでしょうか ? |
| デゼル | 隠し通路の先も調査するのか ? |
| ミクリオ | 危険だが、見つけてしまったからには……。 |
| スレイ | うん、慎重に進もう。 |
| エドナ | カビくさいし、湿っぽいわね……。空気が古いって感じ。 |
| スレイ | 緩やかな下り坂が続いてる……斜めに掘り進んだんだ。これは採掘ルートのひとつかもしれない。 |
| アリーシャ | それにしては分かれ道もないな。 |
| ミクリオ | ある程度の深さまでは一直線に掘り進んでそこから横に延ばしているのかも……。 |
| 全員 | ! ! |
| ライラ | 今、後ろから凄い音と地響きが聞こえてきたんですけど……。 |
| スレイ | 何かしら、正規の手続きをしていないと発動する仕掛けか… ? |
| アリーシャ | 音と揺れが、どんどん近づいてくる……。 |
| ミクリオ | ……これは、さっき言った罠のうち、後者だな。 |
| スレイ | まさか本当にあるなんて……。ある意味、感動だよね ! |
| ザビーダ | ああ、待望の転がる大岩とご対面だ……って言ってる場合か ! !走れー ! ! ! |
| ライラ | はぁ、はぁっ…… !足元が、暗くてっ…… ! |
| アリーシャ | ライラ様、掴まってください ! ! |
| デゼル | 大岩のほうが速い、逃げ切れないぞ ! |
| ロゼ | どこかに横道は…… ! |
| エドナ | しょうがないわね…… ! |
| エドナ | エアプレッシャー ! ! |
| ミクリオ | 大岩の動きが鈍った ! ! |
| エドナ | 長くはもたないわ。今のうちに距離を稼ぐわよ ! |
| ザビーダ | ふぃ~……なんとか分かれ道に逃げ込めた……。 |
| ミクリオ | 採掘ポイントまでの道を罠に転用するとは昔の人も知恵が回るものだ。 |
| スレイ | エドナ、ありがとう。おかげで助かったよ。 |
| エドナ | ワタシは自分の身を守っただけよ。 |
| ロゼ | ……ところで、ライラとアリーシャは ? |
| デゼル | そういえば……いないな。 |
| スレイ | もしかして、はぐれた…… ! ? |
| Character | 6話【軌跡6 遺跡の罠】 |
| アリーシャ | ふう……近くに横穴があってよかった。ライラ様、大丈夫ですか ? |
| ライラ | はい、ありがとうございます。大岩の罠、恐ろしいものですね……。 |
| アリーシャ | ええ。みんなとはぐれてしまいましたが無事でしょうか……。 |
| ライラ | 皆さんならきっと大丈夫だと信じていますが……。 |
| アリーシャ | それにしても、この空間はいったい…… ?あそこに見える大きな宝石は……。 |
| ライラ | これは……水晶ですわ ! |
| アリーシャ | 中央の大きなものがひときわ目立つが他にも多くの水晶が転がっている……。 |
| アリーシャ | ここはもしかして採掘した水晶を一時的に保管する場所でしょうか ? |
| ライラ | 可能性はありそうですね。あのような大掛かりな罠を仕掛けていましたし。 |
| ライラ | いえ、これは……違うかもしれません。 |
| ライラ | あの大きな水晶何かよからぬものを感じます。 |
| アリーシャ | 私には感じられませんが……ライラ様が言うのなら間違いないのでしょう。 |
| ライラ | ひょっとして、ここはあの水晶を封じておくための部屋なのでは……。 |
| ライラ | ほら、持ち主を不幸にする宝石とかいかにもありそうじゃありません ? |
| アリーシャ | そ、そういうものでしょうか……。 |
| アリーシャ | いずれにしろ我々だけでは危険です。一刻も早くスレイたちと合流するべきかと。 |
| ライラ | そうですね―― |
| アリーシャ | こ、これはっ ! ? |
| 水晶の魔物 | ――― ! ! ! |
| ライラ | 水晶が集まって、ゴーレムに ! ? |
| アリーシャ | 出口を塞がれた…… !相手をするしかないか…… ! |
| アリーシャ | はあっ ! |
| アリーシャ | くっ…… !なんて硬さだ ! ! |
| ライラ | 先程の大きな水晶きっとあれがゴーレムの核です ! ! |
| ライラ | 炎よっ ! ! |
| ライラ | 腕で核を覆って…… !これでは直接狙えません ! |
| アリーシャ | でしたら、ここは―― |
| アリーシャ | ライラ様 ! 私は前に出ます !ライラ様はそのまま核を狙ってください ! |
| ライラ | ですが、それではアリーシャさんが危険に…… ! |
| アリーシャ | 十分承知しています。それでも、ここで引くわけにはいきません ! |
| アリーシャ | 私は……私の騎士としての心そして、大切な仲間を守るために……。 |
| アリーシャ | この槍を振るうんだ ! |
| ライラ | あれは、浄玻璃鏡の光…… ! ? |
| アリーシャ | 皇刃蒼雨衝 ! ! |
| 水晶の魔物 | ――― ! ! ! |
| ライラ | ! !今です、フォトンブレイズ ! ! |
| 水晶の魔物 | ――― ! !――…… |
| アリーシャ | ふう……なんとかうまくいった……って、エドナ様 ! ? |
| エドナ | 騒がしかったから来てみれば……出番はなかったみたいね。 |
| ライラ | そんなことはありません。もし今の連携が失敗していたら……。 |
| アリーシャ | ええ。エドナ様に助けてもらうことになっていたと思います。 |
| エドナ | ……そうね、タイミングが少しでもズレていたら術がアリーシャに当たっていたわ。 |
| ライラ | それでも……あの場面ではやるしかありませんでした。 |
| エドナ | わかっていてもやらなきゃいけないとき、ね……。 |
| スレイ | いた…… !みんな、こっちだー ! |
| アリーシャ | ……という訳で、貴重な水晶を破壊してしまった。申し訳ない。 |
| スレイ | 謝ることじゃないよ。二人の無事が何よりだし。だけど、水晶のゴーレムか……。 |
| ライラ | いったいあれは、なんだったのでしょうか ? |
| スレイ | 推測の域を出ないけど……ここの主は水晶を兵器にも使おうとしてたんじゃないかな。 |
| スレイ | 二人が戦ったのはその試作品だと思う。 |
| ロゼ | なんか、しっくりこないな。水晶でそんなの作るより、売ったほうが早くない ? |
| デゼル | そうだな。売った金で武器を買えばいい。 |
| ミクリオ | ……武器を揃えても、使う人間がいなかった。 |
| ミクリオ | 記録によると主は採掘労働者たちを巻き込んだ反乱で命を失ったという。 |
| スレイ | うん、だから非効率な水晶ゴーレムの製造を試みたのかもしれないね。 |
| ザビーダ | はあ……最初から最後まで水晶にしがみついてたって訳か。因果だな。 |
| スレイ | あくまでもオレの仮説だよ。色々な推測が出来ることも添えて水晶のゴーレムがいたという事実を記そうと思う。 |
| スレイ | 謎に包まれた過去に思いを馳せるのもロマンのひとつだからね。 |
| エドナ | まったく……スレイにとっては水晶より歴史のほうがお宝みたいね。 |
| Character | 7話【軌跡8 未知の村】 |
| エドナ | で、次の目的地は ? |
| スレイ | 次は、奇岩を見にいきたいんだ。 |
| ロゼ | キガン ?祈るほうの祈願じゃなくって……。 |
| ミクリオ | ああ、奇妙な岩の奇岩だ。 |
| ミクリオ | もっとも信仰の対象になっていたから祈るほうも間違いとは言えないが。 |
| スレイ | あの丘の先にある大岩で獣の形をしているとか……。 |
| アリーシャ | どれどれ……。ああ、あの集落の奥の丘か。 |
| ライラ | 確かに集落がありますね。地図には載っていませんでしたが……。 |
| スレイ | 地図を作った人が見落としたのかな ?奇岩の話は伝わっているんだけど……。 |
| ザビーダ | 丁度いいや、休ませてもらおうぜ。歩き詰めで疲れちまったし。 |
| デゼル | 地図にない村か……。よそ者は歓迎されないかもしれないな。 |
| ミクリオ | そうだな。何があってもいいように警戒だけはしておこう。 |
| 村長 | よく来てくださった !ささ、飲んでください ! |
| ザビーダ | 村総出でお出迎えとは大層な歓迎ぶりじゃねえの。 |
| ライラ | 無用な心配でしたでしょうか。 |
| スレイ | 物珍しさや外の情報を求めて旅人を歓迎してくれる村もあるんだろうけど……。 |
| ミクリオ | ちょっと対応が良すぎるな。 |
| エドナ | これは何かあるわね。例えばこの飲み物。 |
| 村長 | は、はて、なんのことでしょうか ?まあ、とりあえず一杯飲んでから。 |
| ロゼ | この香り……。眠り薬を混ぜた特有のものだね。 |
| アリーシャ | ……だそうですが。村長様、これはいったいどのような了見で ? |
| 村長 | ……ぐっ ! !……も、申し訳ございません !実は今年の生贄を捧げる季節でして……。 |
| ライラ | 生贄、ですか ?穏やかではありませんね……。 |
| 村長 | この村では代々、ヌシ様に生贄を捧げて他の魔物から身を守っているのです。 |
| ミクリオ | それで、今回は折よく訪れた旅人を生贄にしようとした……と。 |
| 村長 | はい……本当に申し訳ございません ! |
| エドナ | 昔話によくある、ベタな話ね。実際に遭遇するとは思わなかったけど。 |
| スレイ | 村長さん、そのヌシ様というのも魔物なんですか ? |
| 村長 | ……はい。かつて村を襲ったこともございます。 |
| 村長 | ……あの。眠り薬を見破った皆さんだからこそお頼みしたいことがあるのですが。 |
| ザビーダ | おいおい、まさかヌシを倒してくれとか言い出さないだろうな ? |
| デゼル | 生贄にしようとした人間に頼みごとか。厚かましいにもほどがある。 |
| 村長 | ……ですが、厚かましいのを承知で !どうか ! どうかお願いします ! |
| エドナ | ……どうするの、スレイ。 |
| スレイ | もちろん。その依頼、引き受けるよ。 |
| ザビーダ | まったく、負けじとお人好しな奴がいたよ。ま、予想はしてたけどな。 |
| アリーシャ | ああ。困っている人を見過ごすことは私にはできない。 |
| ロゼ | お人好しは一人だけじゃないみたいよ ? |
| ザビーダ | わかってるよ。やるしかねぇだろ。 |
| 村長 | み、皆さん……ありがとうございます ! |
| ライラ | それで、そのヌシとはどのような魔物なのですか ? |
| 村長 | やつは骨だけの竜……。アンデッドドラゴンなのです。 |
| エドナ | ドラゴン……そう。 |
| スレイ | ……。 |
| エドナ | ……。 |
| スレイ | エドナ。 |
| エドナ | ……あら、何か用 ? |
| スレイ | ……この世界のドラゴンはオレたちがいた世界のドラゴンとは違う。 |
| スレイ | それでもエドナは複雑だよな。 |
| エドナ | まあ……いい気分ではないのは確かね。 |
| スレイ | 無理はしなくていいよ。討伐の間はこの村で休んでいても―― |
| エドナ | まさか、ワタシのことそんなに弱いと思ってる ? |
| スレイ | いや……エドナは強いよ。 |
| スレイ | けど、どんなに強くたって弱くなるときはあると思うんだ。 |
| スレイ | エドナは今回の旅の前にどんなときも味方だって言ってくれたよね。 |
| エドナ | ……ええ。 |
| スレイ | オレも同じだよ。オレはどんなときもエドナの味方だから。 |
| エドナ | …… ! |
| エドナ | ワタシの言葉をそっくり返すなんて生意気ね。 |
| エドナ | ……大丈夫よ。ワタシは問題ないわ。 |
| エドナ | ……そう、こんなときでもあなたの味方だから。 |
| Character | 8話【軌跡9 ドラゴンの棲む地】 |
| デゼル | 遺跡調査のはずがドラゴン退治になるとはな。 |
| スレイ | 勝手に決めちゃってごめん。 |
| デゼル | ……別に構わん。もう慣れた。 |
| ザビーダ | スレイと一緒に行くんだからこういうことにもなるわな。 |
| スレイ | みんな……ありがとう。 |
| ミクリオ | ……それで、問題のアンデッドドラゴンがいるのはこの先の丘だ。 |
| ミクリオ | 木などが少なく見晴らしがいいから奇襲は難しそうだな。 |
| ロゼ | とりあえず昨夜の宴で盛られた睡眠薬入りの食事を持ってきたけど。 |
| エドナ | アンデッドがご飯食べるのかしら ? |
| デゼル | 待て。そもそも食事が要らないのならなぜ生贄が必要なんだ ? |
| ライラ | 確かに……そうですわね。 |
| ミクリオ | 可能性としては……すでに形骸化し結果的に迷信となってしまっているのかもしれない。 |
| ザビーダ | そりゃあ……つまり、どういうことだ ? |
| ミクリオ | 例えば、昔この辺りを縄張りにしている魔物がいた。その魔物は人間を食べて、生贄の効果はあったんだ。 |
| ミクリオ | だが、そのうちに魔物は他の魔物―― |
| スレイ | 今回でいえば、アンデッドドラゴン ? |
| ミクリオ | ああ。生贄を必要としない魔物に負けてしまった。 |
| ミクリオ | それでも村には生贄という成功体験が残り必要のない犠牲を払い続けている、という具合だ。 |
| スレイ | ひょっとして地図を作った人はあの集落を見落としたのではなくあえて載せなかったのかも……。 |
| アリーシャ | だが……それでは生贄に選ばれた者があまりに悲しすぎる……。 |
| ロゼ | ドラゴンに食べられなかったとしても一人で生き延びるのは難しいだろうね。 |
| ミクリオ | 村長から聞いた話によると村がアンデッドドラゴンに襲われたのは一度だけだ。 |
| ミクリオ | 恐らく、ドラゴンは村の存在など気にもかけていないのだろう。 |
| ミクリオ | かといって生贄は要らないと説明しても簡単に信じてはもらえないだろうね。 |
| スレイ | 長年続く風習だしドラゴンがうろついているのは事実だもんな。 |
| ライラ | 生贄も、村も……死してなお彷徨うドラゴンもその苦しみから解放したいですわ。 |
| アリーシャ | ライラ様……。私も同じ気持ちです。 |
| スレイ | 今すぐ生贄をやめるよう押し付けるのは難しいと思う。 |
| ミクリオ | だが、人の代わりに家畜や模した食物などで穏やかに変えていくことはできるかもしれない。 |
| スレイ | うん。その第一歩としてアンデッドドラゴンを倒してもう生贄は必要ないって伝えるんだ。 |
| ロゼ | そうそう。いつか地図にもあの村を載せられるようにね。 |
| デゼル | ……そうこう言っているうちに、着いたぞ。 |
| アンデッドドラゴン | グオォォ…… ! |
| エドナ | こっちには気づいているみたいね。 |
| スレイ | 行こう、生贄を止めるために ! |
| Character | 10話【軌跡10 新たな見聞録】 |
| スレイ | はぁ、はぁっ…… ! |
| エドナ | しぶとい、わねっ…… ! |
| アンデッドドラゴン | グオオォォッ……。 |
| スレイ | あの仕草…… !また、ブレスが来るぞ ! ! |
| エドナ | まずいわね、ミボがいない今は…… ! |
| エドナ | ……わかっていてもやらなきゃいけないとき、か。 |
| エドナ | スレイ、神依よ。 |
| スレイ | え、でもこっちの世界じゃあまだ―― |
| エドナ | 時間がないわ。――ワタシを信じなさい。 |
| スレイ | ……わかった ! |
| アンデッドドラゴン | ――ゴオオォォォッ ! ! ! |
| エドナ | 来たわね…… !傘で時間を稼ぐわ ! |
| エドナ | 遅い ! |
| スレイ | オレはこっちだ ! |
| アンデッドドラゴン | グオオォッ ! |
| 二人 | 地神招来 ! |
| 二人 | やるぞ !やるわよ ! |
| 二人 | 駆ける巨魁 ! |
| 二人 | 拒む岩壁 ! |
| 二人 | 乱れる弧投 ! ! |
| アンデッドドラゴン | ギャオオオオォォオオオンッ ! ! |
| ロゼ | 二人とも、無事 ! ? |
| スレイ | ああ……終わったよ ! |
| スレイ | みんな、グラスは渡ったかな ? |
| デゼル | ああ、今度は久々……というほどでもないがな。 |
| アリーシャ | みんなでグリンウッド大陸の遺跡を回ってからまだ数か月ですからね。 |
| ザビーダ | 今思い出してもえらかったぜあのアンデッドドラゴンは。 |
| ライラ | その後に丘の先で見た奇岩もすごかったですわ。 |
| スレイ | うん、まだまだ世界は広いなって改めて思ったよ。 |
| ロゼ | それを伝えるために出来たのがこの本、ってわけ。 |
| スレイ | うわぁ、これが…… ! |
| ロゼ | うん。スレイ執筆の記念すべき一冊目。刷りたてのほやほやだよ。 |
| エドナ | 『転移見聞録 ~グリンウッド大陸編1~』転移 ? 天の遺物の天遺じゃなくて ? |
| スレイ | ライラがうまいタイトルを考えてくれたから採用させてもらったんだ。 |
| ミクリオ | 正確には、僕たちは転移してきたって訳じゃないけど。 |
| スレイ | 天遺見聞録の名前をそのまま使うのもなんだか恐れ多いし、やっぱりこの本はオレたちが作った違うものだからさ。 |
| エドナ | おかげで随分としまらない名前ね。ま、スレイらしくていいんじゃない。 |
| ミクリオ | それにしても、こうして実物を見ても……実感が湧かないな。 |
| スレイ | まだ夢みたいだよ。本当に本を出したなんて。 |
| エドナ | 現にここにあるでしょ。最初は、火山と埋もれた遺跡の章ね。 |
| ミクリオ | 年代測定は苦労したからな。ここは僕も書かせてもらったよ。 |
| ライラ | 溶岩饅頭のコラムもあります ! |
| ロゼ | 店のランク付けは結局やめたけど地域の料理や名産も載せて親しみやすくしたんだよね。 |
| ザビーダ | この『デゼル監修 自宅で作れる郷土のおやつ』……ってのは ? |
| デゼル | 読んで字のごとくだ。各地方に生息する昆虫についてのコラムも寄稿させてもらった。 |
| アリーシャ | 遺跡以外にも、地域の魅力が詰め込まれているんだな。これは読むのが楽しみだ。 |
| アリーシャ | 水晶遺跡と、丘の奇岩のことも書かれているな。 |
| スレイ | うん。この本はまだ一巻だけど二巻、三巻と作っていきたい。 |
| ミクリオ | そしてグリンウッド大陸が終わったら他の大陸だ。 |
| スレイ | みんなも、また機会があったら手伝ってくれるかな ? |
| アリーシャ | 当たり前だ。前にも言っただろう ? |
| エドナ | ワタシは何があってもあなたの味方よ。 |
| スレイ | うん……ありがとう ! |
| エドナ | 何度礼を言うつもりかしら。巻末にも書いてあるのに。 |
| | 『人々が生きた証は今この瞬間も生まれている。遺跡を巡る旅はこれからも続くだろう』 |
| | 『本書の執筆にあたり、共に調査・考察したミクリオ並びに冒険を繰り広げた仲間たちに最大限の感謝を』 |