| Character | 6話 想いを秘めし珠 part1 |
| | 祭壇前での戦闘は、バルドの錯乱も相まって苦戦を強いられたもののコダマたち援軍によって勝利を収めた。 |
| | エルナトに起きた幻影種が人に見える現象やバルドの幻想灯に吸い込まれた謎の物体―― |
| | 様々な疑問を抱えつつもコダマたちは気を失ったバルドを伴い砦へと帰還を果たしたのだった。 |
| バルド・M | ナーザ……、ウォ……デ……。 |
| エルナト | バルドさん、まだうなされていますね……。 |
| アグラード | 仕方あるまい。どういうわけか、バルドには幻影種が自分の主に見えていたようだからな。 |
| アグラード | 目の前で失ったのが相当ショックだったのだろう。 |
| セイリオス | それでも、倒さなければバルドは死んでいた。コダマ、嫌な役目を引き受けてくれてありがとうよ。 |
| コダマ | 嫌もなにも、バルドが何言ってるのかわかんなくて斬り込んじゃったんだ。ま、それで褒められるなら役得だったな。 |
| セイリオス | まったく……。嘘が上手いね。で、お前さんの耳は平気なのかい ? |
| コダマ | 今のところはね。それより、ヘイズ様遅くない ?まだリワンナさんと幻想灯を調べてるのかな。 |
| アイリス | あれ、なんだったんだろう。幻影種から抜け出した宝石みたいなの。バルドさんの幻想灯に吸い込まれていったけど。 |
| ヘイズ | 本当にな。私もリワンナもこの宝玉には頭を悩ませているところだよ。 |
| コダマ | ヘイズ様、お待ちしてました !もしかしてそれが ? |
| ヘイズ | ああ。幻想灯に吸い込まれたものだろう。私が組み込んだ覚えのない部品だからな。 |
| コダマ | ……その宝石、貸してくれませんか ? |
| ヘイズ | かまわぬが、何をする気だ。 |
| コダマ | その宝石から何か聞こえた気がするんです。イヤホンを外して、そいつを耳に当てればもっとはっきり聞き取れるかもしれません。 |
| ヘイズ | となると、この世ならざる者の音というわけだな。よいのか ?また気分が悪くなるかもしれぬぞ。 |
| コダマ | その時はまた膝枕をお願いします !じゃあ、ちょっと聞いてみますね。 |
| ? ? ? | どう――、頭を――て。 |
| コダマ | (やっぱり声が聞こえ…………) |
| バルド | 生前、祖国を守れず、こうして心だけが甦っても一度はウォ――ナーザ様を裏切った騎士失格の男にかような姿を与えていただけた。 |
| バルド | そのお慈悲に感謝を申し上げます。 |
| コダマ | (バルド ! ? でも傷がない……。なんでこんなものが見えてるんだ ! ? ) |
| ? ? ? | 死んでからもなお忠誠を求める程、俺は愚かではない。 |
| ? ? ? | それにあの時、黒衣の鏡士たちに力を貸したのはそれがお前の騎士としての生き方に恥じぬ行為だという自覚があったからだろう。 |
| ? ? ? | ならば、謝罪は不要だ。 |
| コダマ | (これは誰かとバルドの記憶…… ? ) |
| バルド | ありがとうございます、ナーザ様。 |
| コダマ | (ナーザ ? これはナーザって奴の感覚なのか。この想い……苦みと甘みが合わさったような……) |
| ヘイズ | コダマ ! どうしたコダマ ! |
| コダマ | ……ヘイズ様 ? |
| ヘイズ | どうした、魂が抜けたようだったぞ。何があった ? |
| ヘイズ | ――なるほど、つまりこの宝石によって見知らぬ人物の記憶を追体験したと。 |
| コダマ | はい。多分、バルドの知り合いだと思います。色んな想いが伝わってきました。ほんのり苦くて甘いような。 |
| アイリス | 味に例えられてもなぁ……。まあ、コダマらしいけど。 |
| ヘイズ | 想い、か。想いの珠……。ではこの宝石は【想珠】とでも名付けておこうか。 |
| リワンナ | あの……ヘイズ様その想珠は元々幻影種から現れたものです。しかもエルナトは人間に見えたと。ならば……。 |
| ヘイズ | うむ。幻影種を倒すべく長年研究を続けてきたがここに来て大きな手掛かりを得た。 |
| ヘイズ | 幻影種は、元は人間なのかもしれぬ。 |
| バルド・M | 幻影種は最初から人間でしたよ。 |
| アイリス | バルドさん、目が覚めたんですね。 |
| バルド・M | ええ、少し前に。ご心配をおかけしました。皆さんの話も聞こえていました。 |
| バルド・M | その想珠と名付けられたものがあの方の記憶だという話も……。 |
| アグラード | 起きたばかりですまないが先ほどの言葉はどういう意味だ。お前には最初から幻影種が人間に見えていたのか ? |
| バルド・M | はい。イザヴェルで最初に見た時から。 |
| バルド・M | なのに、聖地でのエルナトさんは「今までは獣に見えた」と言っていた。それで私だけが違うと気付きました。 |
| アグラード | 今までの幻影種も、祭壇で見たような知り合いの姿だったのか ? |
| バルド・M | いいえ、惑星イデアにいる時にはまだ『人型』だという認識だけでした。見知らぬ顔や、ぼんやりとした影だったり……。 |
| バルド・M | ですが、アスガルドに来てからは少しずつ私の仲間だった【鏡映点】の輪郭を取りはじめた。ついには、あんな明確な姿で……目の前に…… ! |
| アグラード | わかった、もういい。思い出させてすまなかった。 |
| アグラード | バルドの見え方が違っていたのはわかったがそうなるとエルナトが問題だな。 |
| リワンナ | バルドの特殊な力に影響を受けているのかしら。 |
| ヘイズ | ありえなくもない。私もバルドの影響で不老になったからな。 |
| コダマ | じゃあ、実験の事故っていうのは…… ! |
| ヘイズ | そうだ。バルドの不老について調べている最中にな。 |
| バルド・M | やはり、私の中のバロールの力が周囲に影響を及ぼしているのかもしれません。それでヘイズ様や、エルナトさんにも……。 |
| バルド・M | そう、きっとバロールだ。イクスさんの声が聞こえるのもそのせいで―― |
| ヘイズ | 落ち着け。その話はイザヴェルに戻ってからにしよう。 |
| ヘイズ | リワンナ、バルドはこちらで預かる。砦とクロノスの柱の周囲が落ち着き次第お前もイザヴェルへ来て欲しい。 |
| リワンナ | 承知しました。バルド、あなたの目的が果たせたかはわからないけれど、それでいいかしら。 |
| バルド・M | ええ。イクスさんがいる以上この地はかつてのティル・ナ・ノーグなのでしょう。でも、私が求めるものはない……。 |
| コダマ | それじゃ、調査はもういいんですか ? |
| ヘイズ | ………………ああ、うん、調査な。うむ、問題ない。今回の襲撃で幻影種が活性化していることもクロノスの柱の方角から出現することもわかった。 |
| ヘイズ | それに、早くこの想珠を調べねばならぬ。エルナトも心配だしな。 |
| エルナト | すみません、ヘイズ様……。 |
| コダマ | (そういや前に一瞬だけ幻影種が人間に見えたことがあったっけ。バルドはその場にいなかったのに……) |
| ヘイズ | 皆、それでよいな。……コダマ、難しい顔をしてどうした ? |
| コダマ | いいえ、何でも。帰りましょう、ヘイズ様 ! |
| Character | 6話 想いを秘めし珠 part2 |
| | イザヴェルに戻ったコダマたちはこれまでどおり幻影種討伐に励む日々を送っていた。 |
| | そんなある日、想珠の研究を進めていたヘイズからコダマたちに呼び出しがかかった。 |
| コダマ | 精霊クロノス……ですか ? |
| ヘイズ | そうだ。バルドの協力を得て、随分と解明できたぞ。彼の古き知識が大いに役に立ってくれた。 |
| リワンナ | 想珠から発するエネルギーの一部はクロノスの柱から計測されるエネルギーとほぼ同一のものと判明したわ。 |
| ヘイズ | さらには私やバルドからも似た数値が観測された。つまり、不老は精霊クロノスの力によるものと推測されるんだ。 |
| バルド・M | 実際に私の時代でも、鏡映点たちはクロノスの力によって時間の進み方が違っていましたからね。 |
| アイリス | 驚いた、精霊って本当にいるんだ……。 |
| バルド・M | もちろんです。私の仲間にも精霊がいましたよ。 |
| ヘイズ | だが、この時代の精霊は姿をくらませている。私も知識の上では知っているものの存在を確認したことはない。 |
| コダマ | じゃあ、精霊クロノスを見つければ幻影種も、不老の謎も、一気に解明が進みますね。捜してみましょう。 |
| ヘイズ | それは……。 |
| セイリオス | 危険だな。どこかにいるとしても幻影種がはびこっていてまともに調査なんてできやしないぜ。 |
| コダマ | 俺たち死神騎士がいけばいいだろ。そりゃ、学者さんたちみたいな知識はないけどさ。 |
| セイリオス | そういうことじゃない。以前もそうした大規模調査で大事故が起きて中止されたんだ。もしもまた―― |
| リワンナ | ちょっと待って。それはいつの話 ? |
| セイリオス | ……いつだったか、昔の話なので。 |
| アグラード | ヘイズ様からギムレイ家に下された任務だったな。なぜ知っている ? |
| アイリス | セイリオス、ギムレイ家に仕えていたことがあるって言ってたよね ?だったらその時に―― |
| アグラード | 50年前の任務だぞ。しかもその内容は作戦に参加した一部の者しか知らない極秘の調査だった。 |
| リワンナ | 先日の一件でも、あなたは我が家の地下道の入口を知っていましたね。 |
| アグラード | お前、何者だ。 |
| 二人 | セイリオス……。 |
| セイリオス | そのまま受け取ってくれて結構です。俺は、50年前の人間です。 |
| ヘイズ | セイリオス、よいのか ? |
| セイリオス | はい。ヘイズ様にもご迷惑をおかけしました。今までご協力いただき、ありがとうございます。 |
| コダマ | どういうことだよ、セイリオス。 |
| セイリオス | 今から5年前になるか。俺もヘイズ様に拾われたんだよ。 |
| | 50年前、ギムレイ家に仕えていたセイリオスは秘密裡での精霊探索に参加した際、クロノスの柱に取り込まれ、未来へと運ばれたのだという。 |
| | セイリオスを保護したのはクロノスの柱の調査に来ていたヘイズであった。 |
| ヘイズ | あの時は驚いたよ。数十年前に行方不明となった騎士を見つけたうえに当時とまったく変わらない姿だったからな。 |
| ヘイズ | 私が命じたあの調査では、突然現れた幻影種によって多くの兵士が失われた。遺体の回収はできたものの一人だけ行方不明の者がいて……ずっと気にしていた。 |
| ヘイズ | 以降、セイリオスは素性を伏せたまま再び死神騎士として働いてくれている。 |
| リワンナ | お待ちください。それではクロノスの柱は時間を飛び越える力を持つというのですか ?そんな現象、ギムレイ家では聞いておりません。 |
| ヘイズ | すまなかった。あまりに危険な現象ゆえ私一人の心に留めていたのだ。 |
| セイリオス | いいえ、俺も口止めをお願いしました。自分は死んだままにしておきたかったんです。ヘイズ様にも、俺を知らない者として扱ってくれと。 |
| アイリス | なんで ? 家族だって捜してたかもしれないのに。 |
| セイリオス | 前に話しただろう ? 俺は勘当されている。むしろ全てのしがらみが消えて楽だとさえ思えた。 |
| アイリス | ……今も ? |
| セイリオス | 今は……アイリスやコダマに出会ったからな。面倒が増えて、そんなこと思う暇もなかったよ。 |
| コダマ | 出来の悪い子ほど可愛いってことだよな ! |
| セイリオス | 俺のお気に入りを出来の悪い子扱いしないでもらえるかい ? |
| エルナト | 50年前……、時間跳躍……。 |
| ヘイズ | どうしたエルナト ? 何か気づいたことが……。……そうか、バルドも同じだったかもしれん。うっかり、いや、うっかりも過ぎるぞ、私は ! |
| ヘイズ | 発見当時から100年近くもバルドの姿が変わらぬことで目がくらんでいた。 |
| ヘイズ | セイリオスの例があるならバルドもクロノスの柱で飛ばされてきたのかもしれぬ。発見したのも柱の近くだったはずだ。 |
| リワンナ | つまり、クロノスの柱には過去から未来へと運ぶ力があると ? |
| ヘイズ | ああ。幻影種があの付近から大量に湧くのも過去から運ばれてくるせいかもしれん。また調べることが増えてしまった……。 |
| 通信機 | 緊急指令、緊急指令。幻影種の出現を確認。 |
| コダマ | ヘイズ様、俺たち出撃します ! |
| ヘイズ | 待て、頼みがある。バルドを連れていってくれないか。 |
| コダマ | いいね、こいつ動きが鈍くなってきた。そろそろいけるぞ ! |
| セイリオス | よし、一気に止めを刺す。バルド、幻想灯の準備はいいか ! ? |
| バルド・M | いつでも。 |
| コダマ | ちゃんと想珠を捕まえてくれよ !せーの…… ! |
| アイリス | よけてコダマ ! うしろ ! |
| バルド・M | コダマ ! |
| ナーザ | 死んでからもなお忠誠を求める程、俺は愚かではない。 |
| バルド・M | ナーザ様 ! |
| コダマ | 助かったよ……。けど、今のなに ? |
| バルド・M | コダマを助けようと幻想灯を掲げたらナーザ様の記憶が流れ込んで……。その途端、力が溢れてきたんです。 |
| コダマ | そうか、その幻想灯にはナーザって人の想珠も入れてあるんだっけ。 |
| セイリオス | その力を取り込んだとなると……。とにかく、戻ってヘイズ様に報告しよう。 |
| Character | 6話 想いを秘めし珠 part3 |
| | コダマたちから報告を受けたヘイズが想珠を調べると巨大なエネルギーが秘められていることが判明した。しかも―― |
| コダマ | バルドの中にも想珠があるんですか ? |
| ヘイズ | そうだ。バルド自身の想珠がな。しかも他の想珠より、はるかにエネルギー値が高い。 |
| アイリス | まさか、バルドさん……。 |
| ヘイズ | いや、普通の人間も想珠を秘めていると思う。想珠は『記憶や想い』だからな。 |
| ヘイズ | そこに『時間を留める』という意味でクロノスの力が作用しているのだろう。 |
| | さらにヘイズは、幻影種とは元になった人間の思い出の力が暴走した結果生み出されたものであり―― |
| | その思い出を切り刻み分裂することで個体数を増やしているのではないかと語った。 |
| ヘイズ | まあ、記憶が薄くなる分だけ奴らの力も落ちるだろうがな。 |
| セイリオス | イデアで出現する幻影種は分裂したものが多いということですね。 |
| リワンナ | ええ。対して、クロノスの柱から出現する幻影種は過去から現れた、より濃い想いの想珠を持っている。アスガルドの幻影種が手ごわいのも当然ですね。 |
| バルド・M | 想いの強さとなると、鏡映点の方々は本当に強い。恐らくエネルギーも相当のものになるでしょう。 |
| コダマ | すごかったもんな、想珠の力を使ったバルド。 |
| バルド・M | ですが、あれほどの力は一瞬でしたので。 |
| コダマ | そうか……。想珠のエネルギーを継続して使えたら幻影種なんてあっという間に全滅なのにな。 |
| アグラード | それはない。クロノスの柱がある限りな。 |
| アグラード | もしイデアの幻影種を駆逐してもアスガルドとゲートで繋がっている以上その侵入を防ぐことはできない。 |
| アグラード | 結局、これほど調べてわかったのは幻影種は絶対に駆逐できないという事実だけだ……。 |
| コダマ | この前も聞いたと思いますけどどうしてもゲートは閉じられないんですか ? |
| リワンナ | ええ、完全には無理。可能な術者はもう死に絶えたわ。だからこそ、侵入しようとする幻影種を減らすために私たち防人が必要なのよ。 |
| アイリス | ああもう、過去に戻って術者の人連れてきたい !っていうか、幻影種が生まれる原因さえなければ……。 |
| コダマ | 前もそんなこと言ってたよな、アイリス。そんな方法は……。 |
| コダマ | ……いや、クロノスの柱が逆流すれば過去に行けたりしないか ? |
| エルナト | 馬鹿なこと言わないでください ! |
| コダマ | エルナト ? なんだよここんところ大人しいと思ってたのに。 |
| エルナト | 前にも言ったでしょう ?過去に戻って幻影種の発生を抑えたら今の歴史も消えてしまう可能性があるって ! |
| コダマ | わかってるよ。だいたい精霊クロノスがいないんじゃそんなこと無理だろうし。 |
| アグラード | ……いっそ、アスガルドを破壊してしまえば駆逐への光明も見えるというものだ。 |
| リワンナ | アグラード ! なんてことを言うの。 |
| ヘイズ | アグラードの気持ちもよくわかる。だが、イデアとアスガルドは双子星だ。 |
| ヘイズ | もう片方に影響がないように破壊するにはとにかく膨大なエネルギーが必要になる。 |
| ヘイズ | それほどの量を集めるには鏡映点の想珠レベルでなければ無理だろう。だが、そんなものは手に入らない。 |
| ヘイズ | 星の破壊は現実的に難しい。 |
| ヘイズ | それにな……正直に言うとアスガルドを破壊してよいのか答えが見つからぬのだ。要の鏡士がいる。何より我らの祖先が生まれた地だ。 |
| ヘイズ | 見捨ててよいか、今の私には判断がつかぬ。 |
| ヘイズ | ……もう一度よく考えようか。一旦解散とする。 |
| エルナト | ヘイズ様、こちらにいらしたんですね。お話があります。 |
| ヘイズ | ん、どうした ?ここのところ元気がなかったな。何でも話してみろ。 |
| エルナト | 私、思い出したかもしれません。ヘイズ様に会った時のこと。 |
| ヘイズ | いつの話をしている ? |
| エルナト | 『一番初め』の話です。私が、私でない時の。 |
| ヘイズ | そうか。よかった……と言っていいのかな。お前には聞きたいことが山ほどあるよ。 |
| エルナト | はい。でも全てを思い出したわけじゃないんです。ただ、この記憶が本物ならば私はクロノスの柱を使えると思います。 |
| エルナト | 過去に何があったのか確認しましょう。この時代で生かせるものだって見つかるかもしれません。 |
| ヘイズ | 本当にそんなことができるのか ? |
| エルナト | はい。ヘイズ様に恩返しがしたいんです。痛くて、悲しくて、心細くて泣いていたあの時ヘイズ様が助けてくれて、おまじないをしてくれた。 |
| エルナト | ずっとひとりぼっちだった私は心から嬉しかったんです。だから……。 |
| ヘイズ | 気持ちはありがたいよ。でも、危険なことはしてくれるな。エルナトは私の大事な子供なのだから。 |
| ヘイズ | 過去に戻れるというのならそれこそ念入りにクロノスの柱を調べねばならん。まずは調査だ、よいな ? |
| エルナト | はい……。 |
| | 過去へ戻る手掛かりを得たという連絡を受けたコダマたちはヘイズと共にクロノスの柱の調査へ向かった。 |
| コダマ | クロノスの柱……。こいつがセイリオスやバルドを運んで来たのか。 |
| リワンナ | あまり近寄らないで。普段はきれいな光の柱だけどセイリオスやバルドの例もあるから。 |
| アイリス | 詳しい話は後でって聞きましたけどどんな方法を使って過去に行くんですか ?クロノスの精霊は見つかってませんよね。 |
| ヘイズ | ああ。だがエルナトが―― |
| エルナト | ごめんなさい、ヘイズ様 ! |
| アイリス | エルナトが柱に入って……消えちゃった ! ? |
| セイリオス | この光の動き……クロノスの柱で時間移動した時と同じだ ! |
| コダマ | あいつ ! 追いかけないと―― |
| コダマ | ! ?どけよ ! エルナトが行っちまうだろ ! |
| リワンナ | 見て、柱の様子がおかしいわ ! |
| コダマ | 柱が……止まった ? |
| ヘイズ | エルナト……どうして……。 |