| Character | 11話 刻むべき責任 part1 |
| | エルナトと遭遇したコダマ。その最中、自分たちと行動を共にするバルドが幻影種であったことを知る。 |
| | しかし、混乱するバルドを案じたコダマはヘイズにはエルナトたちに遭遇し、心核の治療に至ったことだけを報告し、その正体を胸にしまうのだった。 |
| ヘイズ | なるほど……。全てはバルドとルグの遭遇によって始まったのか。今の話は、私からイクスたちに報せるとしよう。 |
| ヘイズ | ……エルナトの決心は固いようだな。 |
| コダマ | はい。ちなみにアグラードさんのことはどうします ? |
| ヘイズ | リワンナには伏せておこう。動揺するに違いない。 |
| コダマ | 承知しました。……ヘイズ様、もし、俺たちがエルナトを止めたとしてそれに代わる策は本当にあるんですか ? |
| ヘイズ | 鏡士や鏡映点たちに協力を仰いでいる。過去と未来、双方が並び立つ方法がないかとな。 |
| ヘイズ | 彼らは素晴らしいよ。様々な見解を提案してくれる。それにほら、魔鏡通信機も提供してもらった。やはり和解に踏み切って正解だったろう ? |
| ヘイズ | コダマ、そんな悲しい顔をしないでおくれ。 |
| コダマ | わかっています。『責任を奪ってはいけない』ご命令は忘れていません。 |
| ヘイズ | それでよい。確かに、彼らと親交を深めるほどに選択せざるを得なくなった時の辛さは増す。 |
| ヘイズ | 過去を見捨てれば私たちが過去を守れば鏡映点が、相手を見殺しにした罪悪感に苛まれ続けるだろう。 |
| ヘイズ | コダマの言う通り、和解などせずに憎むべき敵として立ち回っていれば双方苦しむこともなかった。けれど、それは違う。 |
| コダマ | 自分が蹴落とす命を、その罪悪を軽んじてはならない。 |
| ヘイズ | そうだ。どんな結末を迎えようと私たちも、鏡映点も、自らが選択した責任を背負い心に刻んで生きるべきだ。 |
| ヘイズ | さて、明日はアセリア領へ向かう。今日はもう休むといい。 |
| コダマ | はい。……そういやヘイズ様以前と比べて、話す前に考え込むことが減りましたね。 |
| ヘイズ | そうかも知れん。過去に来てからはアイギスへの記憶提供がないからな。外部データからの抽出も安定しつつあるのだろう。 |
| ヘイズ | あ ! だがイザヴェルの守りは心配ないからな。過去に来る前に、アイギスへの動力エネルギーはできるだけ提供してきた。数十年は安泰だな ! |
| コダマ | できるだけって…… !ヘイズ様は大丈夫なんですか ! ? |
| ヘイズ | ああ、慣れたことだ。 |
| ヘイズ | すまぬな、娘。お前をイクスとやらに近づけるわけには行かぬ。 |
| コダマ | (……あの時、知っていたはずのイクスさんの名前をヘイズ様は忘れていた。それは記憶提供の負荷が大きかったせいじゃないのか ? ) |
| ヘイズ | 何も問題はない。安心するといい。 |
| コダマ | ……そう、ですか。 |
| | コダマたちは、エルナト捜索の傍ら、次々と鏡映点と接触すると、了承を得た者からは想珠提供の対価にデス・スターを与えていった。 |
| | 一方で、イクスたち鏡映点側からは、デス・スターが有効な間は協力体制を敷くとの合意を取り付け虹の夜や幻影種の調査を共に進めていた。 |
| リワンナ | 今日の想珠回収はリーゼ・マクシア領でしたね。 |
| ヘイズ | ああ。クロノスについても詳しいようだ。是非話をしてみたい。 |
| コダマ | クロノス関連の鏡映点か……。エルレインさんみたいに自分から想珠を差し出してなきゃいいけど。 |
| セイリオス | だとしても各々の考えだ。咎めることはできないさね。 |
| アイリス | うん。むしろエルレインさんには感謝しなくちゃ。エルナトの意見に賛成したのに私たちにも情報をくれたんだから。 |
| エルレイン | ――確かに、想珠を求めて現れたのはバルドだった。だが、あれはそう見えているだけであろうな。 |
| ヘイズ | そなたには、真の姿が見えたのか ! ? |
| エルレイン | いいえ。けれど、あの者から漂う気配は人のそれではなかった。 |
| コダマ | そんな怪しい奴に、なんで想珠を。 |
| エルレイン | 私の中に眠るクロノスが告げていた。彼の者の言葉は真実であるとな。 |
| ヘイズ | クロノス ! ? クロノスと話せるのか ! |
| エルレイン | 今は深い眠りについている故、難しいだろう。私がクロノスの意志を感じ取れたのは彼の者が想珠を求めて私に触れてきたからだ。 |
| エルレイン | その瞬間、クロノスから強い信頼と憐れみの感情が溢れ出た。 |
| ヘイズ | クロノスが信頼……。エルナトはクロノスと繋がりがある。やはり…… ! |
| エルレイン | そしてもう一つ。彼の者は真に人の未来を、幸福を願っていた。――お前たちの幸せをな。 |
| ヘイズ | ……確かに、エルレインのおかげで偽バルドの正体がエルナトだという推測が確信へと至った。 |
| ヘイズ | ただ、なぜ『バルド』の姿なのか理由と原因がどうにもわからぬのが研究者としては気持ちが悪い。 |
| バルド・M | ………ヘイズ様、お話があります。 |
| コダマ | 待った。それって、『この前』の追加報告 ? |
| バルド・M | ええ、そのつもりです。 |
| コダマ | ……わかった。俺もつきあうよ。 |
| ヘイズ | 承知した。まあ、今はとりあえず出発しよう !急がないとエルナトに先を越されてしまうからな。 |
| | リーゼ・マクシア領を訪れたコダマたちはルドガーとヴィクトルから想珠を回収しその記憶の一部を垣間見た。 |
| ヘイズ | そうか、そなたたちは……。今のが分史世界、可能性の世界なのだな。クロノスの力が、このような仕組みを……。 |
| ヴィクトル | 可能性か。そう言うと聞こえはいいがね。成り立ちは喜ばしいものではない。 |
| ルドガー | ああ。それに、ティル・ナ・ノーグと俺たちの世界とでは理が違う。クロノスだってエンコードで統合されてるだろうし。 |
| アイリス | それじゃ、ティル・ナ・ノーグでは分史世界は作れないんですか ? |
| ルドガー | 例外はある。時歪の因子化した奴がいたから分史世界も現れた。でもそれは異例の事態だったんだ。 |
| ルドガー | あの世界は酷かったよ……。人を殺すのが楽しみの人間が欲望のままに願った世界だったからな。 |
| コダマ | 願った世界、か……。 |
| イクス | ヘイズさん、イクスです ! 応答してください ! |
| ヘイズ | イクスか。随分と慌てて、どうした ? |
| イクス | 多くの鏡映点から、もう一人の自分が現れたとの報告が入っているんです。恐らく幻影種だと思われます。 |
| コダマ | 鏡映点の幻影種…… ! ? |
| Character | 11話 刻むべき責任 part2 |
| | 鏡映点たちの元に突然現れた、もう一人の自分。 |
| | しかし、コダマたちの情報を共有していたことから迷わず交戦し、デス・スターを持つ者と協力しながら無事に自分たちの想珠を取り戻していた。 |
| セイリオス | さすが鏡映点たちだな。どうにか抑え込んでいる。 |
| コダマ | ああ。けど、鏡映点の幻影種発生と同時に俺たちがティル・ナ・ノーグで戦ってきた雑魚幻影種も増えてるよな。 |
| カーリャ | 雑魚 ? 幻影種に違いがあるんですか ? |
| バルド・M | ええ。私の目で見ると、未来では人型が多いのですがティル・ナ・ノーグでの幻影種は奇妙な形の獣や、影のように見えていました。 |
| コーキス | へえ。けど、何でそんな違いが―― |
| フィリップ | その話、説明がつくようになったよ。諸々の疑問もね。 |
| カーリャ | みなさん、お話、終わったんですね ! |
| ミリーナ | ええ、現在起きていることを説明するわね。ウォーデンさんやバルドさんも呼んでみんなに聞いてもらいましょう。 |
| フィリップ | さて、まずは鏡映点の幻影種出現についてだ。結論から言うと、未来の世界でいう【虹の夜】が起きたと思われる。 |
| バルド | 馬鹿な…… ! まだ先のはずです。それに私はルグに会ってはいません。 |
| ヘイズ | 会っているのだよ。『こちらのバルド』がな。 |
| バルド・M | まさか、あの時に…… ! ? |
| フィリップ | 君は重症を負ってエルナトから心核の治療を受けたそうだね。 |
| フィリップ | 本来の【虹の夜】の経緯は定かではないが君の心に、エルナト――ルグが干渉したことで疑似的に【虹の夜】と同じ状況が現れたんだろう。 |
| バルド・M | 私のせいで幻影種が……。 |
| フィリップ | 鏡映点についてはそうだろう。でも、ヘイズさんたちがティル・ナ・ノーグで倒した獣の姿の幻影種は、少々経緯が違うようだ。 |
| バルド | まさか……。 |
| フィリップ | 心当たりがあるようだね。君は随分前から、ルグに呼びかけられていたはずだ。 |
| バルド | ……何者かが呼びかけて来た覚えはあります。ですが、その声は聞かないようにしていました。 |
| バルド | あの声には、バロールの尖兵にされた時と似たような感覚があった。耳を傾ければウォーデン様の元を離れることになるのではと……。 |
| ウォーデン | バルド……。 |
| フィリップ | 同じバロールの力を持ちながらルグは過剰に干渉し、君は拒否しつづける。反発する力は肥大化し、徐々に周囲に漏れ出した。 |
| フィリップ | その力が、下等な魔物や獣たちに影響を及ぼして幻影種が出現した。心の弱った人間なんかも影響を受けているかもしれないね。 |
| コダマ | (エルナトと会った時の人型は…… ! ) |
| フィリップ | ……幻影種発生の下地はすでにそろっていた。鏡映点にまで影響を及ぼす【虹の夜】の切っ掛けが君か、未来のバルドかの違いだったんだろう。 |
| フィリップ | ヘイズさんに聞いた歴史に比べると本来起きるはずの【虹の夜】よりは小規模かも知れないが、今後も幻影種発生は続くだろう。 |
| バルド | 私たちのせいで……。 |
| コーキス | 誰のせいでもないって !ちょっかい出してきたのはルグだろ ! ?つーか、バロールが悪い ! |
| カーリャ | コーキスもバロールの尖兵にされてましたからねぇ。 |
| イクス | そうだ ! ついでだから話しておこうか。ヘイズさんが幻想灯を掲げた時、コーキスにバルドさんの姿がダブったの、みんな覚えてるかな。 |
| コダマ | それ、めちゃくちゃ気になってます !イクスさんの姿もぼやけてたじゃないですか。 |
| イクス | うん。あれもバロールの力の影響みたいだ。ですよね、フィルさん。 |
| フィリップ | ああ。幻想灯は、未来のバルドを研究して作り出したそうだね。つまり、バロールの力が源だ。 |
| フィリップ | その幻想灯の力を使う時に、同質の力を持つイクス、コーキス、二人のバルドがいたんだろう ? |
| フィリップ | 干渉しあった力が認識能力を曖昧にして似たような存在が同一に見えたんじゃないかな。つまり、意図せぬ幻視だね。ここまではいい ? |
| コーキス | う……わかる……まだわかる…… ! |
| アイリス | うん、私もまだついていけてる ! 多分 ! |
| フィリップ | その似た力の持ち主のなかでもルグの干渉を受けているバルドの特殊性が強く作用してバルドの姿を、より優位に投影した。 |
| イクス | 俺の場合は多分、バロールそのものと存在が近いから肉体のないバロールと交じって姿が薄らいだんだと思う。 |
| コーキス | ! ! マスター、それって幻視なんだよな ?マスターが消えたりしないよな ? |
| イクス | 大丈夫だよ。お前、本当に心配性になったなぁ。 |
| ヘイズ | ビクエ殿の解説を元にすればエルナトがバルドの姿に見えたのも説明がつく。 |
| ヘイズ | エルナトは想珠に――人の心に触れることができるそうだ。その力を使う時に、近い存在のなかでも優位にあるバルドの姿に見えるのだろう。 |
| セイリオス | この時代じゃないと起きない現象ってことか。なるほどね。 |
| リワンナ | あの……イクスさんがバロールと存在が近いならもう一度バロールに呼び掛けるとかは……。 |
| イクス | 何度も試してますが、やっぱり答えないんです。新しい星を作って力を使い果たしているせいかも……すみません。 |
| リワンナ | そんな、こちらこそ無理を言って……。エルナトがバロールの鏡精なら主として止める方法もあるかと思ったのですが。 |
| コダマ | (あれ ? でもバロールがいたとして……) |
| コダマ | 質問です ! 鏡精って二人持てるんですか ? |
| ミリーナ | それは無理よ。鏡士に対して鏡精は一人なの。前の鏡精を……ロストしない限り次の鏡精は作れないわ。 |
| コダマ | じゃあ、今の時代にもルグがいるならエルナトは誰の鏡精なんですか ? |
| イクス | 俺、エルナトのラインは未来から繋がっているものとばかり……。でも確かに、過去に来れば過去のバロールと繋がる可能性があるな。 |
| ウォーデン | だが、同一存在であれ鏡精二人は難しいはずだ。となると、恐らくエルナトとバロールとの繋がりは理を外れたために、切れてしまっているだろう。 |
| ウォーデン | ある種切り離された鏡精……という訳だ。それでも存在しているのはコーキスと同じ現象かもしれない。 |
| コーキス | 俺 ! ? |
| ウォーデン | イクスの力の結晶が世界中にあるから鏡精のお前が家出などできたのだろう ?バロールの場合は世界が力の結晶そのものだ。 |
| カーリャ | だからエルナトは存在できているんですね。でも、マスターがいないなんて可哀そうです……。 |
| イクス | でも、強制的にバロールのラインに入れたとして時間軸の違う二人が同時に存在すればタイムパラドックスが起きるかもしれない。 |
| ミリーナ | 危険だわ。世界に取り返しのつかない影響が出るかも……。 |
| フィリップ | そうだね。エルナトについてはバロールを当てにできない。 |
| コーキス | なんだよもう、肝心な時に使えないとか !やっぱ全部バロールが悪い ! |
| ミリーナ | 落ち着いて、コーキス。とりあえずイクスもエルナトに近づかない方がいいわよね。バロールと存在がかなり近くなっているみたいだし。 |
| イクス | う~ん……、力がつくってのも厄介だなぁ。――っと、通信だ。 |
| クラトス | イクスか。先ほどこちらにも『バルド』が現れた。ユアンが想珠を取られたそうだ。 |
| コダマ | やられた…… !この前もエルナトに想珠を取られたばっかなのに。この混乱に乗じてってことか ! |
| ミリーナ | この前はルーングロムさんが取られたわよね。クリードさんも襲われたけど、フローラさんの機転で何とか撃退したって報告だったわ。 |
| コダマ | もうこれ以上は取らせない。何か先回りする方法は……。 |
| セイリオス | 落ち着け、コダマ。 |
| セイリオス | フィリップさん、よければ襲われた人たちのデータを見せてもらえませんか ? |
| コダマ | セイリオス ? |
| セイリオス | 被害者の共通点を見つける。その後は、お前さんのおつむの出番だ。 |
| コダマ | ! ! ああ、期待に応えるよ、親友 ! |
| Character | 11話 刻むべき責任 part3 |
| ミトス | まったく、ユアンの奴あっさり想珠を取られるなんて使えないなぁ。 |
| クラトス | そう言うな。マーテルをかばってのことだ。 |
| ミトス | そんなの当然でしょ。なんのために姉さまとあいつの結婚を許したと思ってるの ? |
| ミトス | 姉さまを守ったうえで、自分の身も守るのが当たり前。あんなへなちょこじゃ、まだまだ義兄さまなんて認められないね。 |
| クラトス | ふっ、まだまだ……か。 |
| ミトス | なに笑ってんのさ。 |
| クラトス | いや、お前もユアンを心配―― |
| バルド ? | ……避けられましたか。 |
| ミトス | バルド……じゃないね。きみ。 |
| クラトス | お前が想珠を狙うという輩だな。 |
| バルド ? | 非礼は承知の上。世界の未来を守るためにあなた方の想珠が必要なのです。どうか抵抗せずに、私に身をゆだねてください。 |
| ? ? ? | ずいぶん熱烈なお誘いじゃん、先輩。 |
| バルド ? | その声…… ! |
| コダマ | いらっしゃい、エルナト先輩。このエサ、食いつくと思ったよ。 |
| バルド ? | どうして、あなたが…… ! |
| コダマ | エルナト、さっきこの大陸で獲物をゲットしたじゃん。本来なら足取りを追われないように河岸を変えたかったよな。 |
| コダマ | でも、エルナトにはゲートが使えないからパッと行くなんてできないし幻影種騒ぎで長距離移動も難しい。 |
| コダマ | となると、獲物は手近で手に入れたいだろうなって。そして狙っているのは長命な鏡映点。だろ ? |
| コダマ | この二人はまだデス・スターを手に入れてないうえにめちゃくちゃ長寿 !想珠も育って熟れ切って、美味そうだもんなぁ。 |
| ミトス | 嫌な言い方する人間だね。 |
| コダマ | 残念、囲ませてもらったよ。 |
| ヘイズ | ミトス、クラトス、協力感謝する。そなたたちは退避してくれ。 |
| エルナト | ヘイズ様…… ! |
| ミトス | 感謝とかいらないからそいつを殺してでもユアンの想珠を取り戻してよね。 |
| クラトス | ミトス、想珠自体は取り戻さずとも本人に影響はないはずだぞ。 |
| ミトス | だから甘いんだよ、クラトスは。 |
| ミトス | あの女王様想珠を未来に持ち帰ったら持ち主がどうなるか何も話していない。 |
| ミトス | ましてや、そっちの鏡精が想珠を使うなら尚更だ。きみたちがやらないなら、ボクが―― |
| クラトス | 待て、ミトス。ここは彼らに預けるべきだ。……わかるな ? |
| ミトス | ……わかったよ。 |
| ヘイズ | ……今の話は本当だ。生きている人間の想珠が時間移動に耐えられるか、そのエネルギーを限界まで使えばどうなるか、検証はできていない。 |
| ヘイズ | エルナト、お前が使おうとしている想珠はそんな人の命に係わる危険なものだ。想珠を彼らに返して、私と共に帰ろう。 |
| エルナト | だったら、他にイデアを救う手段は見つかりましたか ? |
| ヘイズ | ……まだだ。 |
| エルナト | ヘイズ様、これはすでに滅ぶ運命にある者の想珠です。諦めてください。 |
| ヘイズ | 諦められぬのだ ! 過去も、未来も、お前も ! |
| エルナト | わ、私は……鏡精です。皆もう知ってるでしょう ?死んでも甦るんです。だから―― |
| コダマ | お前、この世界のバロールとはラインが切れてるんだってな。イクスさんたちが言ってたよ。 |
| コダマ | ってことは、死んだらそれっきりなんだよな。 |
| エルナト | だとしても ! あなたたちは生きられるんですよ ! ?私たちの世界は平和になるんです ! |
| バルド・M | エルナト ! クロノスの柱はあなたの槍が元になっているのでしょう ? |
| バルド・M | ならば、過去に来たようにクロノスの力を借りてあなたが制御すればいい。過去からの幻影種の流入がなければ、きっと未来は―― |
| エルナト | どうにもならないの ! 槍は暴走していて消えない !柱の制御だって僅かな時間が精一杯 ! |
| エルナト | アスガルドごと消すしか方法はないんです……。お願いだから、私の言うことを聞いて……。皆を失いたくない……。 |
| ヘイズ | だからこそ、鏡映点たちの知恵を借りてみよう。ここには私たちが及ばぬ英知が結集している。簡単に答えを出すのは惜しいだろう ? |
| エルナト | 無理です……。鏡映点だからこそ世界を守るために、生き抜くために何かを切り捨てる強さを持っているんです。 |
| エルナト | 切り捨てられるのは、私たち……。 |
| ヘイズ | だとしても、ありとあらゆる手を尽くして考え抜こう。それに、過去を変えたとして私たちが出会えぬと確定しているわけではない。 |
| エルナト | ……だから、デス・スターを与えているんですか ?ヘイズ様は過去を変えてもいいとそう思っているから……。 |
| ヘイズ | もう過去は変わり始めてしまっている。 |
| エルナト | まだ間に合います。私たちの世界と同じ歴史を辿るようにすればいい。 |
| コダマ | 先輩。そんなのらしくないぜ。とにかく、いったん一緒に来て―― |
| リワンナ | きゃああああっ ! ! |
| アグラード | 行くぞ、エルナト ! |
| コダマ | しまった ! アグラードさんか ! |
| リワンナ | アグラー……ド……。何故ここ……に…… ! |
| アグラード | ……左後方の隙、直せと言ったはずだぞ。 |
| アイリス | ま、待ちなさい ! エル―― |
| セイリオス | 閃光弾 ! ? トラップか ! |
| コダマ | リワンナさんに黙っていたのが裏目に出ちまった……くそっ…… ! |
| リワンナ | お義兄様……。 |