| Character | 9.若きカリスマ |
| コダマ | アグラードさんて、イザヴェルの死神騎士からも人気ありますよねー。 |
| アグラード | おいおい、いきなりどうした。 |
| コダマ | だって、さっきから声掛けられたり握手を求められたり。 |
| アグラード | アスガルドの防人をしている死神騎士が珍しいだけだろう。 |
| リワンナ | ふふっ、謙遜しなくてもいいのに……。 |
| リワンナ | コダマはまだ新人だから知らないと思うけれどアグラードの武勇は、イザヴェルにも広く伝わっているのよ。 |
| コダマ | もしかして、アスガルドにいるめちゃくちゃ強い騎士の話って、アグラードさんのことですかね ?山みたいな岩を剣で砕いた……とか。 |
| リワンナ | そ、それは話が大きくなってるけれどでも、そうよ。 |
| リワンナ | 私の配下の兵たちにも人気があるの。これまで挙げた戦果は大きいし、人格者だし……。彼を知る人ならみんな慕っているんじゃないかしら。 |
| アグラード | 大げさですなぁ。山のような岩の件といい話についた尾ひれがデカすぎる。 |
| コダマ | そんなことないと思うけどな。アグラードさんは他の死神騎士と違って俺が棄民だからって態度を変えなかったじゃん。 |
| コダマ | 『良い人』って評価は、尾ひれじゃないよ。少なくとも俺にとっては。 |
| アグラード | ありがたいが、コダマこそ人が良すぎるぞ。だいたい、出身や身分で人を判断すること自体馬鹿馬鹿しい話なんだからな。 |
| アグラード | お前は自分の夢を叶えようと努力した結果ここにいるのだろう。そういうお前を、俺は気に入ってる。 |
| コダマ | ………………っ。 |
| リワンナ | コダマ……。 |
| コダマ | ……やべー、超嬉しい !もう、一瞬うるっときた。マジで人格者 !アグラードさんの部隊の人が羨ましいや。 |
| アグラード | だったら今度ウチの奴らと同じ稽古をつけてやろうか ? |
| コダマ | マジすか ! ?俺、ヘイズ様の右腕になれるように強くなりたいです ! |
| リワンナ | ふふ、アグラードの訓練についてこられればきっとなれるわよ。ただし、相当厳しいと思うから覚悟して。 |
| コダマ | えっと……ちなみにどれくらいの覚悟がいる感じですかね ? |
| リワンナ | アグラードの稽古を一日受けるとその夜は、悪夢にうなされて冷や汗をかいて苦しむことになるわ。 |
| アグラード | はっはっは ! 本当に大げさですね、リワンナ様は。 |
| リワンナ | ……大げさじゃありません。新人の死神たちが三日三晩苦しんだのを忘れたんですか ?ちなみに……私もです……。 |
| アグラード | はっはっはっ。訓練開始直後にはよくあることです。過ぎればそれも慣れるというもの。さあコダマ、共に強くなろう ! |
| コダマ | いや、あの……やっぱり考えさせてください……。 |