| Character | 10.ひとときの安らぎを |
| コダマ | ふあぁ……ねむ……。夜番ってのは暇だなぁ……。 |
| ヘイズ | では、私が話し相手になろうか。 |
| コダマ | ヘイズ様、どうしました ? |
| ヘイズ | なに、少し目が覚めてしまってな。隣に座ってもよいか ? |
| コダマ | ど、どうぞ ! |
| ヘイズ | 不寝番ご苦労。コダマも幻影種たちとの戦いが続いて疲れがたまっているだろう ? |
| コダマ | 全然平気ですよ。それに俺、こうしてヘイズ様のお傍に仕えるのが生まれた時からの夢だったんで、やる気満々です。 |
| ヘイズ | 生まれた時とは大げさな。 |
| コダマ | 大げさじゃありません。記憶をなくした俺にとって一番古い思い出はヘイズ様に助けられた時ですからね。ある意味、その時に俺は『生まれた』んです。 |
| コダマ | 親の顔も、自分がどこで何をしていたかもわからない。でも、あの時に救われて、交わした約束があったから俺は今まで生きてこられた。 |
| コダマ | ヘイズ様のお役に立っていると思えば棄民だなんだと差別されたって痛くもかゆくもありませんし。 |
| ヘイズ | コダマ……。 |
| コダマ | へへっ、だから俺、今が本当に嬉しいんです。 |
| ヘイズ | 私もだ。お前たちとこうして旅ができて嬉しい。特にコダマ、お前の行動には驚かされる。見ていて退屈しない。もっとお前と旅を続けたいものだ。 |
| コダマ | 俺も、みんなといろんなところを旅したいです。もっと知らない場所に行って、珍しいものを見て美味いもの探して……。 |
| コダマ | ……っと、駄目ですね。俺たちの旅は世界の命運をかけてるのに。 |
| コダマ | 旅は、終わらなきゃいけないんだよな……。 |
| ヘイズ | そうだな……。 |
| 二人 | ……………………。 |
| ヘイズ | ……冷えてきたな。何か羽織るものを―― |
| コダマ | …………はい。 |
| ヘイズ | 眠そうだぞ。見張りなら私が変わろう。 |
| コダマ | い、いえ ! 平気ですから。 |
| ヘイズ | いざという時に寝ぼけ眼で戦うのは格好がつかないだろう ?まあ、そんな姿も可愛いがな。 |
| コダマ | う……。それじゃ少しだけ……申し訳ありません。すぐに……起きます……から……。 |
| ヘイズ | ……やはり相当疲れていたのだな。子供のような寝顔をして。 |
| ヘイズ | フフ……。今だけはゆっくりと休め、コダマ。どうか良い夢を……。 |