Character13.お叱りレッスン
リコレクション本編3話の第11コロニーを発った後のお話です。
ヘイズむぅ……一体、どうしたものか……。
コダマヘイズ様、どうかしましたか ?
ヘイズいや、死神騎士の中にも、国を失った民――棄民をさげすむものが多いことが情けなくてな。それに自分の見識の甘さも痛感した。
ヘイズ皆、私の前ではいい顔しか見せない。耳に入ることと現実は違うとわかっていたつもりであったというのに、愚かであった。
エルナトそんなことはありませんっ !  死神騎士の教育が原因だというのなら、タナトス隊の隊長を任されている私に責任があります !
ヘイズいや、エルナトはよくやってくれている。それに、彼らも国を守るため、必死に働いているのは私もよく知っているところだ。
ヘイズだからこそ、私は彼らに、守るべき民を差別して態度を変えてほしくはないのだ。
セイリオス……ですが、一度根付いてしまった差別的な意識はなかなか払拭できるものではありません。
ヘイズ……そうだな。何かいい方法があれば良いのだが。
コダマうーん、例えばヘイズ様がそいつらを叱ってみる……とか ?
ヘイズ叱る ?
コダマはい。みんなヘイズ様にいい顔を見せるってことはヘイズ様によく思われたい訳だから、そのヘイズ様に叱られたら、少しは効果があるかもー……とか。
アイリスえー、そんな子供がいたずらしたときみたいな反応にはならないと思うけど……。
ヘイズ……ふむ。確かにコダマの言うことにも一理あるやもしれぬ。私は人を叱るということが苦手なのでな。
アイリスあ……確かにヘイズ様が誰かを叱るところってあんまり記憶にないかも。
コダマだったらヘイズ様、練習がてら俺を叱ってみてくださいよ。
ヘイズコダマを…… ?だが、コダマは何も悪いことをしていないだろう ?
コダマまあ、練習ですからその辺は適当で。それに、俺はエルナトによく怒られてますから怒られ役には適任ですよ。
エルナトずるいですよ、コダマ !  そうやってすぐにヘイズ様のお役に立とうとするなんて !
エルナトヘイズ様 !  叱られ役はぜひ私にさせてください !
ヘイズうっ……し、しかしだな……。
セイリオスヘイズ様。ここは一つ、殊勝な彼らの意図を汲んであげてもよいのでは ?
ヘイズ……そうだな。では、今からお前たちを叱ってみるぞ…… !
ヘイズコダマ !  エルナト !ああっ !  お前たちはなんて可愛い奴らなんだっ !
二人! ?
ヘイズ私はお前たちのことを考えるだけで胸がいっぱいになってしまう ! !一体、どうしてくれるっ !  可愛いにもほどがあるぞ !
二人へ、ヘイズ様~~~~ ! ! ! !
アイリス……ねえ、これじゃあ二人にとってはただのご褒美になってるんだけど。
セイリオスああ。どうやら、叱るのが苦手というのは本当だったようだな。