| Character | 15.守るべき者 |
| | リコレクション本編2話の後のお話です。 |
| アグラード | ――では、リワンナ様。私はアスガルドに先行しますのでバルドのことはあなたにお任せします。 |
| リワンナ | ……ええ、わかったわ。 |
| アグラード | バルド、本来ならば私がお前を護衛するべきなのだが勝手を言ってすまない。 |
| バルド・M | 構いません。あなたたちにも立場があるでしょうから私一人の都合で動いてもらうわけにはいきません。 |
| バルド・M | それに、私とて武芸の心得はあります。いざとなれば、自分の身を守る程度のことはしてみせますよ。 |
| アグラード | 普通の人間や獣が相手ならば、な。だが、幻影種だった場合はそうはいかん。幻影種の相手はリワンナ様に任せろ。 |
| リワンナ | アグラードの言う通りです。バルド、もし幻影種と交戦になった場合は私が全て対処します。 |
| バルド・M | ……わかりました。これ以上無理を言って優しく美しいあなたの心を苦しめるわけにはいきませんからね。 |
| アグラード | ………………。 |
| アグラード | ――リワンナ様。出発前に少しバルドと話をさせてもらえないでしょうか ? |
| リワンナ | ええ、別に構わないけれど……。私は席を外したほうがいいのかしら。 |
| アグラード | ええ。そのほうがこちらとしては助かります。 |
| リワンナ | ……わかりました。では、私は周辺の様子を確認してきましょう。 |
| バルド・M | ……それで、私に話とは一体なんでしょうか ? |
| アグラード | なに……大したことではない。もし、リワンナが無茶をするようなことがあればお前に止めてほしいと思ってな。 |
| アグラード | 確かに、あいつは幻影種と戦える力を持っているが俺から見れば、まだまだ未熟な部分が多い。責任感故に、引き際を見誤ることもあり得る。 |
| バルド・M | その判断を、どこの馬の骨ともわからぬ私に任せたいと ? |
| アグラード | ああ、お前がいくつもの死線を潜り抜けてきたことは所作を見ればすぐにわかる。お前なら戦場での判断も間違うことはないだろう。 |
| バルド・M | 腕前に関してはそうかもしれません。ですが、人柄はどうでしょう。私を信用していいのですか ? |
| アグラード | 正直に言えば、まだそこまでの判断はできん。だが、今までの態度を見るにお前は『守るべき者』の基準が明確にある人間だ。 |
| アグラード | だからこそ、こうして話しておこうと思ったのさ。俺にとって、リワンナがその『守るべき者』であるということをな。 |
| バルド・M | …………。 |
| アグラード | 話は以上だ。後の判断はお前の好きにしてくれ。俺も無理強いをするつもりはない。 |
| バルド・M | ――いえ、約束しましょう。私が同行する限り、リワンナさんに危害が及ぶような事態にはさせないと。 |
| アグラード | そうか。それを聞けて少しは安心できた。それともう一つ。 |
| バルド・M | はい、何でしょうか。 |
| アグラード | リワンナに色目を使わんようにな。あの子はまだそういう方面には幼いのだ。 |
| バルド・M | そんな…… !私がそんなことをする人間だとお思いですか ? |
| アグラード | 悪いが、そう思っているし、そう見える。くれぐれも頼むぞ。下手なことをすれば首と胴体が生き別れになるからな。 |