Character18.親不孝
リコレクション本編4話のアグラード捜索中のお話です。
エルナト……はぁはぁ。やりました…… !
エルナトヘイズ様……無事、大型幻影種の討伐完了です。うっ…… ! !
ヘイズエルナト…… !やはり、私を庇った時に傷を……。
エルナト申し訳、ありません……。タナトス隊の隊長として……不甲斐ない所をお見せしてしまいました……。
エルナト……ですが、こうしてヘイズ様をお守りできたことは、大変光栄です。
ヘイズ……全く、いつも無茶はするなと言っているだろう。待っていろ、すぐに治癒術を施す。
ヘイズどうだ ?  少しは楽になったか ?
エルナト……はい。さすがはヘイズ様です。これなら、またいつでも戦うことができます。
ヘイズ悲しいことを言ってくれるな。手負いの騎士に戦わせるほど私は暴君のつもりはないぞ。
ヘイズいいから、私の肩を掴め。可愛い子供を支えられぬほど私の身体はひ弱ではない。
エルナト……はい、申し訳ありません。
ヘイズふふっ、しかし、随分と大きくなったものだな。いつぞやの、まだ小さかった頃のそなたとは大違いだ。
エルナトへ、ヘイズ様……一体、いつの話をされているんですか !
ヘイズ済まぬ。だが、子供の成長というのは嬉しいものなのだ。特に、そなたの場合はな。
エルナト……ありがとうございます。ですが、このように迷惑をかけてしまっては……。
ヘイズ迷惑など、いくらかけても構わない。子は皆、親に少なからず迷惑をかけるもの。そして、親はその迷惑すら幸せに感じるものだ。
ヘイズ……だが、エルナトよ。子として一番の親不孝は何かわかるか ?
エルナト……申し訳ありません。私にはわかりません。
ヘイズそうか、ならばいい機会だ。
ヘイズエルナト、親が一番悲しむこと。それは、愛する我が子たちが、天寿より早くこの世を去ってしまうことだ。
エルナト……ヘイズ様。
ヘイズお前なら、この言葉の意味をしっかりと受け止めてくれるであろう ?
ヘイズどうかあまり無茶をしないでおくれ。お前の受けた傷は、そのまま私の傷にもなる。そのことを忘れてくれるな。
エルナト……はい。承知いたしました。
ヘイズふふっ、どうだ ?  私もやればできるだろう ?これでもう、アイリスたちに叱るのが下手だとは言わせんぞ。
エルナトヘイズ様……もしかして、気にされていたんですか ?
ヘイズああ、王として民に叱咤激励できぬようでは問題であろう ?  これも可愛い子供たちのためだ。
エルナトそうですか……。はい、私は大変反省致しました。どうか、お許しください、ヘイズ様。
ヘイズうむ、良かろう。では、これからも私の右腕としてしっかりと傍にいてもらうぞ、エルナトよ。
エルナトはい !何があっても、決してヘイズ様のお傍を離れません !