| Character | 18.親不孝 |
| | リコレクション本編4話のアグラード捜索中のお話です。 |
| エルナト | ……はぁはぁ。やりました…… ! |
| エルナト | ヘイズ様……無事、大型幻影種の討伐完了です。うっ…… ! ! |
| ヘイズ | エルナト…… !やはり、私を庇った時に傷を……。 |
| エルナト | 申し訳、ありません……。タナトス隊の隊長として……不甲斐ない所をお見せしてしまいました……。 |
| エルナト | ……ですが、こうしてヘイズ様をお守りできたことは、大変光栄です。 |
| ヘイズ | ……全く、いつも無茶はするなと言っているだろう。待っていろ、すぐに治癒術を施す。 |
| ヘイズ | どうだ ? 少しは楽になったか ? |
| エルナト | ……はい。さすがはヘイズ様です。これなら、またいつでも戦うことができます。 |
| ヘイズ | 悲しいことを言ってくれるな。手負いの騎士に戦わせるほど私は暴君のつもりはないぞ。 |
| ヘイズ | いいから、私の肩を掴め。可愛い子供を支えられぬほど私の身体はひ弱ではない。 |
| エルナト | ……はい、申し訳ありません。 |
| ヘイズ | ふふっ、しかし、随分と大きくなったものだな。いつぞやの、まだ小さかった頃のそなたとは大違いだ。 |
| エルナト | へ、ヘイズ様……一体、いつの話をされているんですか ! |
| ヘイズ | 済まぬ。だが、子供の成長というのは嬉しいものなのだ。特に、そなたの場合はな。 |
| エルナト | ……ありがとうございます。ですが、このように迷惑をかけてしまっては……。 |
| ヘイズ | 迷惑など、いくらかけても構わない。子は皆、親に少なからず迷惑をかけるもの。そして、親はその迷惑すら幸せに感じるものだ。 |
| ヘイズ | ……だが、エルナトよ。子として一番の親不孝は何かわかるか ? |
| エルナト | ……申し訳ありません。私にはわかりません。 |
| ヘイズ | そうか、ならばいい機会だ。 |
| ヘイズ | エルナト、親が一番悲しむこと。それは、愛する我が子たちが、天寿より早くこの世を去ってしまうことだ。 |
| エルナト | ……ヘイズ様。 |
| ヘイズ | お前なら、この言葉の意味をしっかりと受け止めてくれるであろう ? |
| ヘイズ | どうかあまり無茶をしないでおくれ。お前の受けた傷は、そのまま私の傷にもなる。そのことを忘れてくれるな。 |
| エルナト | ……はい。承知いたしました。 |
| ヘイズ | ふふっ、どうだ ? 私もやればできるだろう ?これでもう、アイリスたちに叱るのが下手だとは言わせんぞ。 |
| エルナト | ヘイズ様……もしかして、気にされていたんですか ? |
| ヘイズ | ああ、王として民に叱咤激励できぬようでは問題であろう ? これも可愛い子供たちのためだ。 |
| エルナト | そうですか……。はい、私は大変反省致しました。どうか、お許しください、ヘイズ様。 |
| ヘイズ | うむ、良かろう。では、これからも私の右腕としてしっかりと傍にいてもらうぞ、エルナトよ。 |
| エルナト | はい !何があっても、決してヘイズ様のお傍を離れません ! |