| Character | 19.仮初めの命 |
| | リコレクション本編4話のアグラードと合流した後のお話です。 |
| コダマ | ……なあ、バルド。やっぱり、この辺りを見ても何も思い出せないのか ? |
| バルド・M | ……ええ、そうですね。 |
| バルド・M | ここがアスガルド……。かつてのティル・ナ・ノーグ。私の知るティル・ナ・ノーグとは全く違います。それだけ時が過ぎたということなのかもしれませんが。 |
| コダマ | そっか。……まあ、もしかしたらバルドの故郷はアスガルドじゃないのかもな。 |
| バルド・M | ……フフ、あなたにしては少し下手な気遣いですね。でも、ありがとうございます。 |
| コダマ | そうかー。俺、人を慰めるのって下手くそなんだよな。特にバルドは……なんかちょっと俺と境遇が似てるような気がして、上手い言葉が出なかったよ。 |
| バルド・M | 境遇……ですか ? |
| コダマ | 俺さ、昔の記憶がすっぽり消えてるんだ。だから故郷がどこだかわからないし覚えていたとしても滅びてるのは間違いないし。 |
| バルド・M | …………。 |
| コダマ | でも、悲観してる訳じゃないんだ。結構楽しく生きてる。それに、ヘイズ様の右腕になる……っていう夢もあるし。 |
| バルド・M | ……もしや、私を励ましてくれているのですか ? |
| コダマ | うーん、どうだろう。境遇は似てるけど俺と違って、バルドは記憶があるから過去のことを考えてきつい訳じゃん。 |
| コダマ | そこを俺と同じだって言うほど、面の皮は厚くないよ。けど……ここも――バルドから見たら未来の世界もそんなに悪くないよって、知ってもらえればなって。 |
| コダマ | あ、いや、悪い。これは押しつけだな。忘れてくれ。 |
| バルド・M | ……いえ、あなたの心遣いは伝わりましたよ。それに、こうして協力していただけているだけで私にとっては十分です。 |
| コダマ | ……そっか。なんか、こっちが慰められちゃったな。ありがとう、バルド。 |
| コダマ | あっ、けど ! ヘイズ様の手にキスしたことはちょっと羨ましいし、怒ってるぞ。 |
| バルド・M | フフ、申し訳ありません。ですが、以前も話した通りあれが私にとっての最大級の礼儀なのです。 |
| コダマ | うん。わかってる。これは俺のキモい嫉妬だから。ヘイズ様は全然気にしてなかったし。 |
| コダマ | けど ! 今度やろうとしたら俺が絶対止めるから ! |
| バルド・M | ええ、覚えておきましょう。 |
| バルド・M | コダマ……ヘイズ様はあなたにとっての全てなのですね。 |
| バルド・M | そして、それは私も同じなのですよ。『あの方たち』に仕え、お傍で支え続けることこそが私の生きる目的なのです。 |
| バルド・M | もし、それが叶わぬというのなら……。 |
| バルド・M | バロールから与えられた仮初めの命などいつ失っても構わないのですよ。 |