| Character | 21.元気のお裾分け |
| | リコレクション本編6話の王都イザヴェルに帰還した頃のお話です。 |
| コダマ | ……ただいま。 |
| セイリオス | よう、親友。お勤めご苦労様さん。 |
| アイリス | あーあー、そんな浮かない顔してるってことはまたエルナトにお灸を据えられたんだ。 |
| コダマ | ……いや、そうじゃなくて……逆なんだよな。 |
| アイリス | 逆 ? |
| コダマ | うん、なんていうか……俺が他の死神騎士と揉めたり面倒事を起こすと、いつもなら長ーい説教が始まるんだけど……。 |
| セイリオス | 察するに、今回はお咎めなしで解放されたと。 |
| コダマ | そうなんだよ ! おまけに追加の反省文もいらないっていうんだぜ !絶対おかしいって ! |
| セイリオス | 確かに、いつもなら俺も一緒に呼び出されて小言の一つや二つを言われるもんだが……。 |
| アイリス | そういえば、エルナト最近ちょっと元気ないよね ?どこか上の空っていうか……。 |
| セイリオス | ……アスガルドでは色々あったからな。彼女としても、考えなければならないことが増えたのだろう。 |
| アイリス | そうだね……。それでも、タナトス隊の隊長としてやることもいっぱいあるだろうからちゃんと休めてないのかも……。 |
| コダマ | ホント、真面目だよなエルナトって。俺たちでなんかしてやれればいいんだけど……。 |
| アイリス | へえ、優しいじゃん、コダマ。コダマ的には怒られなくて嬉しいんじゃないの ? |
| コダマ | 説教がなくなるのは大歓迎。けど、ずっとあのままってのはこっちの調子も狂うからさ。 |
| コダマ | ただ、こっちが心配して声をかけると絶対大丈夫って言いそうだよなぁ。 |
| アイリス | あー、なんか簡単に想像つくかも。しかも、コダマに言われたら余計そうなりそう。 |
| セイリオス | ……エルナト、か。確かヘイズ様の話では疲れたときはよく甘いものを食べていたらしいな。 |
| アイリス | あっ、それいいかも。私たちで何か差し入れしてあげようよ ! |
| コダマ | けど、急にそんなの俺たちが渡して素直に受け取ってくれるかなぁ ? |
| セイリオス | そうさね。そこは俺が適当に理由を作るか。たとえば「ウチのコダマがいつも迷惑をかけてます」とかな。 |
| コダマ | ……セイリオス、まさか普段からそんなことやってたりしない ? |
| セイリオス | はははっ、だとしたら、今頃俺の財布はすっからかんだよ。 |
| セイリオス | だが、これもいい機会なんじゃないか、コダマ。エルナトの様子が気になるならそのときにでも探ってみればいい。 |
| コダマ | へへっ、さっすがセイリオス先生。そのアイデアもいただきっ ! |
| アイリス | じゃあ、折角だからみんなで選びにいこうよ。そういえば最近、よく行ってたお店で新作のアップルパイが出たんだ。 |
| コダマ | それ、アイリスが食べたいだけだろ ? |
| アイリス | いいでしょ、別に。それに、すっごく美味しいって評判だし、お持ち帰りしてエルナトに届けてあげよ。もちろん、私たちの分もコダマのおごりでね。 |
| コダマ | 俺が金出すの ! ? まぁ、仕方ないか。なら、ヘイズ様の分も買っておこっと。 |
| コダマ | エルナトも、これで元気になるといいんだけどな。 |