| Character | 22.辺境伯の器 |
| | リコレクション本編6話のコダマたちが王都イザヴェルに帰還した頃のお話です。 |
| リワンナ | ……ふぅ。ようやく一段落つけそうですね。 |
| アグラード | ――リワンナ様、今よろしいですか ? |
| リワンナ | アグラード ? ええ、構いませんよ。 |
| アグラード | ――では、失礼。先ほど、ギムレイ領周辺の調査から帰還いたしました。 |
| リワンナ | ご苦労様。それで、幻影種たちの動きはどうだったのかしら ? |
| アグラード | はい、調査中に数体の目撃、討伐を行いましたが以前のような大規模な幻影種の出現は今のところ確認しておりません。 |
| リワンナ | そう、それを聞いて安心したわ。 |
| アグラード | はい、被害は最小限で抑えられたとはいえ以前の幻影種たちの襲撃でこちらの部隊にも被害は出ていますからね。 |
| アグラード | 死神騎士たちにも、今は砦の防衛に専念するようにと伝えてあります。 |
| リワンナ | わかりました。では、引き続き周辺の調査はあなたの指揮のもとお願いいたします。 |
| アグラード | 承知しました。ところで、イザヴェルへ戻ったヘイズ様たちから何か連絡はありましたか ? |
| リワンナ | いえ、まだこちらに便りは届いていないわ。だけど、あの方なら必ず何か手掛かりを見つけてくれるはずです。 |
| リワンナ | それまでは、ギムレイ家の者としてこのアスガルドを死守しなくては……。 |
| アグラード | ……あまり根を詰めるな、リワンナ。一人で背負い込もうとするのは、お前の悪い癖だぞ。 |
| リワンナ | アグラード……いえ、ごめんなさい、お義兄様。気づかないうちに、また心配をかけてしまっていたみたいね。 |
| アグラード | なに、そんなことは今に始まったことじゃない。 |
| アグラード | ただ、今お前が背負っているものは本来は俺が背負わなくてはいけなかったものなんじゃないかと思ってな……。 |
| リワンナ | ……アグラード ? |
| アグラード | ……いや、今のは聞かなかったことにしてくれ。それより、今日の仕事はもう片付いたんだろ ?なら、早く身体を休めておけ。 |
| リワンナ | ええ、そうさせてもらうわ。アグラードこそ、あまり無理をしてはいけませんよ。 |
| アグラード | ははっ、まさかお前からそんな言葉をかけられるようになるとはな。 |
| アグラード | だが、もうお前は俺から見ても立派なギムレイ家の人間だ。今回の騒動でそれがよくわかった。 |
| アグラード | ……リワンナ。お前は、お前のやりたいことをこれからも貫け。たとえ、それが辛い道だとしても今のお前なら大丈夫だ。俺が保証する。 |
| リワンナ | ……ええ、ありがとう、アグラード。 |
| アグラード | いかんな、少し説教くさくなってしまったか。それじゃあ、俺はそろそろ自分の持ち場へ戻るとしよう。 |
| リワンナ | 待って。私も部隊のみんなのところへ顔を出しておくわ。もしかしたら、また近いうちにイザヴェルへ行くことになるかもしれないし。 |
| アグラード | ああ、そうしてやってくれ。あいつらの中にも、お前のファンは結構いるからな。 |
| リワンナ | ふふっ、冗談が上手くなったわねアグラード。ヘイズ様やアイリスならいざ知らず私のファンなんて存在しませんよ。 |
| アグラード | まあ、どう思うかはお前の自由だが今のお前についていきたいという奴がたくさんいるのは確かだ。 |
| アグラード | 人望を集めているという点ではお前もヘイズ様に負けちゃいないってことさ。 |