| Character | 28.再会と距離 |
| | リコレクション本編9話のコダマの話を聞いた後のお話です。 |
| バルド・M | …………。 |
| アイリス | あっ、バルドさん。こんな時間に何してるの ? |
| バルド・M | ……アイリスさん、ですか。すみません、少し夜風に当たっていただけです。そういうあなたは ? |
| アイリス | うーん、私も似たような感じかな。ちょっと寝付けなくて。 |
| バルド・M | そうでしたか。では、私はそろそろ部屋へ戻るとしましょう。 |
| アイリス | 待って。せっかくならちょっと話そうよ。こうして二人で話す機会なんて滅多にないんだからさ。 |
| バルド・M | それは光栄ですね。あなたのような可憐な歌姫にお誘いいただけるとは。 |
| アイリス | もう、バルドさん。また悪い癖が出てるよ。 |
| バルド・M | 申し訳ありません。こればかりはどうも……。ですが、アイリスさんは何故、私と話がしたいと思ってくれたのでしょうか ? |
| アイリス | ……えっと、バルドさんはさウォーデンさんたちを助けるためにこの世界に来たんだよね ? |
| バルド・M | ……ええ、そうです。我が主のため……それが私の使命ですから。 |
| アイリス | うん……それでさ、実際に会ってみてやっぱり嬉しかった ? |
| バルド・M | ……正直、複雑な心境ではあります。ウォーデン様やメルクリア様たちの姿を見たときは心から安堵と喜びの感情がこみ上げてきました。 |
| バルド・M | ……ですが、今の私は彼らを救えなかった存在です。彼らはそんな私であっても受け入れてくださったが果たして、私にそんな資格があるのか……。 |
| アイリス | バルドさん……。うん、私も少しわかるよ。もし、私が過去に行って大好きだったおじいちゃんと再会したら、何を話すのかなって考えてみたの。 |
| アイリス | もしかしたら、私は最初に「ごめんなさい」って言っちゃうかもしれない……。だっておじいちゃんは私を庇って死んじゃったから……。 |
| バルド・M | アイリスさん……。 |
| アイリス | でもね、そんなこと言ったらおじいちゃんは絶対に怒ると思うんだ。 |
| アイリス | もし……もし今の私がおじいちゃんに会えるならちゃんと笑顔で「ありがとう」って伝えるつもり。大好きな人に心配かけたくないでしょ ? |
| アイリス | だから、バルドさんも素直に自分の気持ちを伝えればいいと思うな。 |
| バルド・M | ……ええ、仰る通りです。ありがとうございます、アイリスさん。 |
| バルド・M | ……ですが、その言葉を伝えるのならば私はこれ以上、逃げるわけにはいきませんね。 |
| アイリス | 逃げる ? |
| バルド・M | いえ、こちらの話です。アイリスさん、そろそろこの場所も冷え込んできます。部屋へ戻りましょう。 |
| アイリス | そうだね。バルドさんは、これでゆっくり眠れそう ? |
| バルド・M | ええ、おかげさまで。アイリスさんのほうこそ見知らぬ土地へ来て疲れたでしょう。今日はゆっくりとお休みください。 |
| アイリス | うん、明日からまた忙しくなりそうだもんね。あっ、そうだ。最後にもう一つ、お節介なこと言ってもいいかな ? |
| バルド・M | はい、なんでしょうか ? |
| アイリス | きっと、今のバルドさんのこと、ウォーデンさんたちもたくさん聞きたいと思ってるよ。 |
| バルド・M | ……そうですね。わかりました。肝に銘じておきましょう。 |