| Character | 29.生活の証 |
| | リコレクション本編9話の想珠を回収している頃のお話です。 |
| セイリオス | ……よし、今日はこんなものかね。 |
| コダマ | セイリオス先生ー。迎えに来たぞー。 |
| セイリオス | コダマ…… ?それに、リワンナ様まで一緒とはどうされたんですか ? |
| コダマ | もうとっくに晩御飯の時間なのにセイリオスが食堂に来ないから迎えに来たんだよ。 |
| リワンナ | それで、私も手が空いていたから同行させてもらったんだけど……。 |
| コダマ | ん ? どうしたの、リワンナさん ? |
| リワンナ | いえ、セイリオスの部屋の雰囲気がとても華やかで素敵だと思って……。 |
| リワンナ | ……あっ、ごめんなさい。人の部屋をジロジロと見るのはよくありませんね。 |
| コダマ | 別にいいんじゃないですか ?セイリオスだって、褒められて嫌な気分になんてならないだろ ? |
| セイリオス | ええ、コダマの言う通りですよ。お褒めに預り光栄です。 |
| コダマ | けど、ホントにこだわってるよなぁ。カーテンやベッドのシーツも、余ってた布を使って自分で作ったんだろ ? |
| セイリオス | これだけはどうしても性分でな。毎日、少しずつだが自分が納得のいく模様替えをさせてもらってるってところだ。 |
| リワンナ | では、この棚に並べられている置物もあなたが用意したものかしら ? |
| セイリオス | いや、どうやら鏡映点たちが置いていったものらしい。ありがたく飾らせてもらっているよ。もちろん、イクスたちには許可を貰ってる。 |
| コダマ | ふーん、けど、なんで置いていったんだろ ?忘れ物とか ? |
| セイリオス | ……これはあくまで俺の見立てだがわざとここに残していったんじゃないかと思っている。 |
| コダマ | へ ? なんで ? |
| リワンナ | もしかしたら、ここに戻ってくる可能性も考えていたということかしら ? |
| セイリオス | いや、鏡映点たちにとってもここは特別な場所で自分たちが暮らしていた痕跡を残しておきたかった。いわば、思い出の証なんじゃないか……ってな。 |
| リワンナ | なるほど……少しわかる気がするわ。手に持っているより、大切な場所に残していくほうがより心の中で強い思い出になる。そういうことかしら ? |
| セイリオス | ええ、おっしゃる通りです。正解はわかりませんけれどね。 |
| コダマ | ……残していくほうが、より心の中で強い思い出になる……か。 |
| セイリオス | お前さんには、あまりピンと来ない話だったか? |
| コダマ | ああ、いや、そんなことはないけどセイリオスは相変わらずロマンチックなことを考えてるなって思っただけ。 |
| セイリオス | おいおい、あまり上司をからかうもんじゃないぞ。 |
| リワンナ | ですが、あなたなら預かったものも大切に扱うでしょう。鏡映点たちも喜んでくれるのではないですか ? |
| セイリオス | そうですね。手入れは怠らないよう気を付けます。 |
| セイリオス | 俺にとっても、きっとここでの生活は貴重なものになりそうですからね。 |