プロフィール
変り果てた妻を殺めたのは己が意思、そこに息子の姿はなかった。全てを失った彼は四千年間歪んだ計画を共にした愛弟子ミトスの元へ戻った。幾年が過ぎ、世界再生の旅が再び始まる。神託の村で出会った一人の少年……名は『ロイド』。彼の家にある墓に刻まれた名、それは妻の名だった。彼は確信する、己の息子が生きていた事を。
ミリーナの一言
クラトスさん、ときどき何かを眺めているみたいなの。詳しく見てはいないけれど、多分ペンダントじゃないかしら…… ? 普段は凛とした表情が多い彼だけど、その時は穏やかで暖かな目をしているの。とても大切な物なんでしょうね、きっと。ロイドさんとは親子だそうだけれど、確かに優しい鳶色の瞳がよく似ている気がするわ。
コーキスの一言
クラトス様ってクールで、普段は多く語らないって感じなんだけど、戦いが終わった後に、今の戦いがどうだったかとかをちゃんと教えてくれるんだ。俺、どうしても感覚とか癖で戦っちまうから、本当にありがたいんだよな。教え慣れてる感じだし、今まで色んな人に剣術を教えてきたんだろうな。俺も弟子入りしてーなぁ…… !
Character | 騎士の矜持 | |
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アスベル | あ、クラトスさん。お邪魔しています。 | |
クラトス | アスベル、であったな。ミリーナたちの使いだろうか。遠くまで大変だったであろう。 | |
アスベル | そんなことないですよ。 | |
アスベル | あ、そういえば、前からちょっと気になっていたんですけど、クラトスさんって騎士団に入っていたってことはありませんか。 | |
ゼロス | おーっ ! 目の付け所がアスベルでしょ !そうなのよ、このおっさん騎士様だったんだぜ。騎士団長様よ。 | |
クラトス | ……大昔の話だ。私は騎士失格の男だからな。 | |
アスベル | そんなことないですよ !ヒューバートとも話していたんです。 | |
アスベル | あのたたずまい、騎士ならさぞ名のある人だったんだろうなって。 | |
クラトス | ――しかし、私は守らねばならなかった者を守れず、生き恥をさらしてきた……。 | |
アスベル | それは違うと思います。人間である限り人の手に余ることは確かにある。 | |
アスベル | それでも挫けない心を騎士は持つべきなのではありませんか。 | |
アスベル | ……って、すみません。生意気なことを言って。 | |
アスベル | でも、どれほどの心が折れるようなことがあったのだとしても、クラトスさんはこうして生き抜いて、戦いの最前線にいる。 | |
アスベル | やっぱり凄い騎士なんだって思いますよ。 | |
クラトス | ……そうか、ありがとう。アスベルは | |
クラトス | このような立派な跡取りがいて領民も皆幸せだろう。アスベルなら皆の幸せを守れる | |
アスベル | はい……そうありたいと思います。 | |
ゼロス | はぁ……。神子様も面倒だと思ってたけど騎士様ってのもしがらみ多そうだねぇ……。 | |
ゼロス | ま、でもそういう生真面目なの、俺さま割と嫌いじゃないぜ。 |
Character | 偽りに生きる | |
ヴィクトル | クラトス。フィリップが捜していたぞ。 | |
クラトス | ――あ、ああ、すまない。すぐに行く。 | |
ヴィクトル | ……珍しいな。いつもはどんな小さな物音や気配にも気付くのに。 | |
クラトス | 家族の絵を見ていた。柄にもなく物思いにふけってしまったようだ。 | |
ヴィクトル | ロケットペンダントか。 | |
ヴィクトル | ……クラトス、そのペンダントチェーンが切れかかっているな。 | |
クラトス | 確かにそのようだな。忠告ありがとう。後で修理に出そう。 | |
ヴィクトル | クラトス。……お前も妻を亡くしていたな。 | |
ヴィクトル | それなのに何故お前は正気でいられる ?お前が長命だからなのか ? 私が弱いからなのか ?私が――あの時……エルを……。 | |
クラトス | ――ヴィクトル。お前と同じ瞳を持つ者を私は知っている。 | |
クラトス | 亡くした命を取り戻そうと、世界を歪め、自ら歪み狂気と正気の間に張られた細い糸の上を目隠しをして歩んでいた。 | |
ヴィクトル | ……その人物はどうなった。 | |
クラトス | 行く末を見届ける前に私はここに具現化されてしまった。だが……おそらくは……。 | |
ヴィクトル | ………………。 | |
クラトス | 私も正気ではなかった。――いや、ある意味正気ではあったのだろう。 | |
クラトス | ただ、全てに絶望しどうでもよくなってしまったのだ。妻を亡くしてから。 | |
ヴィクトル | クラトスは……諦めたのか。全てを。 | |
クラトス | そうだ。妻と子を失って、私は生きる屍となった。だが、失ったはずの我が子が生きており私を呼び戻してくれた。私はロイドに救われた。 | |
ヴィクトル | ……私は『エル』に恨まれたままだ。お前はロイドを殺していない。何より……お前は本物だ。 | |
クラトス | 私にはお前が何を抱え、苦しみ、もがいているのかはわからない。それを救えると思い上がってもいない。 | |
クラトス | ただ……お前が何かを狂おしい程に求め、その結果目的と手段が入れ替わってしまったかのように感じることがある。 | |
ヴィクトル | お前にはわからない。袋小路の絶望を、お前は知らない。 | |
クラトス | そうかも知れぬ。だが、お前にもわからないだろう。人の身で4000年生き続けるという絶望を。 | |
クラトス | それでも支えることはできる。先程、お前がこのペンダントの傷みに気付き、教えてくれたように。 | |
クラトス | そんな些細なことが、誰かにとっての救いになることもある。 | |
クラトス | 仮にお前が偽りの存在であったとしても私にとっては真だ。ここでは等しく偽りの存在でありだからこそ全ての命が平等に真なのだろうと思う。 | |
ヴィクトル | そうだな。理屈ではわかっている。だがこびりついたかつての現実は消えることがない。 | |
クラトス | 私はかつて、仲間のために世界の滅びを容認した。その現実は消えることがない。永遠に私を苛むだろう。だからこそ、ここでは……違う道を選びたい。 | |
クラトス | ――フィリップからだ。 | |
ヴィクトル | 私が引き留めた形になってしまったな。すまない。――クラトス、お前の最愛の人の名前を聞いてもかまわないだろうか ? | |
クラトス | アンナ。私に幸いとは何かを教えてくれた女性だ。 | |
クラトス | いつか、お前の家族の話も聞かせてくれ。お前がそうしたいと思った時に。 |
Character | #N/A | |
ロイド | ――そこだっ ! 獅子戦吼 ! | |
ミトス | 甘いよ。――次元斬 ! | |
ロイド | うわああああっっ ! ! | |
クラトス | そこまで ! ロイド、大技を出す際は反撃の隙を与えないように注意しろと教えたはずだ。 | |
ロイド | くそっ ! 絶対当たると思ったんだけどなぁ……。 | |
ミトス | ふふっ、ボクから一本取ろうなんて百年早いよ。 | |
ロイド | よし、だったらもう一回 ! | |
クラトス | 待て。少し休憩にしよう。お前たちも疲れが出てきているはずだ。 | |
ミトス | ボクは全然平気だけど、ロイドはただの人間だもんね。言い訳されるのも面倒だし、少し待ってあげるよ。 | |
ロイド | お前なあ……。わかったよ。んじゃ、ちょっと休むか。 | |
ミトス | へえ、安っぽい挑発には乗ってこないんだ。 | |
ロイド | 俺はクールな剣士を目指してるからな !それより、お前が稽古に付き合ってくれるなんて、どんな風の吹き回しなんだ ? | |
ミトス | クラトスと剣の稽古を約束していたのはボクが先なんだけど。それなのに、お前が新しい技を見て欲しいって横やりを入れてきて……。 | |
クラトス | ミトスが一緒に稽古をしてもいいと言ってな。その言葉に甘えさせてもらったのだ。 | |
ロイド | へえ、そうだったのか。ま、こんな機会は滅多にないから俺はむしろラッキーだったな。 | |
クラトス | そうだな。私もお前たちの立ち合いはいい経験になると思っている。互いに学びを得ることもあるだろう。 | |
ミトス | ボクが教わることなんて何もないけどね。稽古を理由にロイドを叩きのめせるのは気分がいいし―― | |
ミトス | いい加減、はっきりさせたいと思ってたんだ。クラトスにとって、どっちが優秀な教え子かってね。 | |
ロイド | お前……もしかして、最初からそれが目的だったのか ? | |
ミトス | 何 ? 不満なの ? 言っておくけどお前は立場的には弟弟子なんだ。兄弟子であるボクの言うことには、従って当然なんだけど。 | |
ロイド | 絶対嫌だ ! こうなったら、俺がお前に勝って兄弟子になってやる ! | |
ミトス | あのさ……。こういうのは入門順で決まるから優劣の問題じゃないんだけど。まあ、そっちでもボクの方が遥かに上だけどね。 | |
ロイド | 何だと ! ? 勝負だ、ミトス ! | |
クラトス | ミトス、挑発するな。ロイド、挑発に乗るな。二人とも今は休息を取る時間だぞ。 | |
マーテル | フフフ……。ミトスったら、やっぱりロイドが羨ましいのね。 | |
クラトス | マーテル……。それはどういうことだ ? | |
マーテル | クラトスをロイドに取られてしまったように感じているんじゃないかしら。だからあの子ったらロイドに優位なところを見せつけたいのよ。 | |
マーテル | もちろん、あなたがどちらも大切にしていることはわかっているのでしょうけれどあの子もまだ心に幼い部分を残しているから……。 | |
クラトス | ……そうか。ならば、ミトスの稽古も増やすことにしよう。 | |
マーテル | ありがとう。ふふっ、きっとあの子も喜ぶわ。これからも、可愛い弟子たちをよろしくね。 |