プロフィール
宮廷画家をめざす自称天才画家。しかしその腕はまだ半人前で、世間から認められずくすぶる日々を送っていた。彼女がとる生意気な言動の裏には他者から自分を認めて欲しいという願望が混在していた。孤独に不安を覚えるスピリアはやがて黒い気持ちに囚われる。そんな時、彼女はスピリアを失くした少女を連れた少年たちと出会う。どんなに疑いの言葉で責めても「ベリルを信じる」と言ってくれたどこまでも真っ直ぐで強いスピリアの光は、黒い気持ちを解き放ち、彼女を救ってくれたのだった。彼らとの旅で彼女は成長し、いつしかそんな仲間たちのことが、何よりも大切な存在になっていく。
ミリーナの一言
宮廷画家をめざしてるだけあってベリルの絵はとっても上手なの。それでいて本人はあんなにちっちゃくて可愛らしいから、ギャップが凄くて驚いちゃうわ。少しへそ曲がりなところも愛らしいわよね。本当は抱きしめて頭をなでたいんだけど、本人が子供扱いされるのを嫌っているからなるべく我慢しているの。いつかイクスをモデルにした絵を描いてもらえたら嬉しいなぁ……。
イクスの一言
ベリルの絵は本人曰く「まだまだ」らしいんだ。俺から見たら十分上手いと思うんだけどな。アイゼンさんなんてファンになったみたいで、新作が描き上がるといつも一番に見に行くほどなのに。それに帽子のセンスも、芸術家って感じだよな。ベリルは帽子集めが趣味らしいんだ。クロエやデゼルを見て何か言いたそうにしてたけど、もしかして同じ趣味の人を探してるのかな。
Character | 広がるノーテン菌 | |
---|---|---|
ベリル | はぁ~。シングたちが一緒だからって安心してたけどよく考えたら、これでボクも帝国軍って奴らに追われる立場になっちゃったんだよね……。 | |
シング | 心配ないよ、ベリル ! ここには頼りになる人たちがいっぱいいるじゃないか。 | |
シング | それに、オレたちだって元の世界で指名手配されたけど大丈夫だったし、今回もなんとかなるよ、きっと ! | |
ベリル | もうっ、シングはノーテンキすぎ ! !このままじゃボクの繊細なスピリアが不安でいっぱいになっちゃいそうだよ……。 | |
カイル | う~ん、参ったな……。 | |
ベリル | あれ、カイル ? 頭を抱えてどうしたのさ ?もしかして、ボクみたいに何か悩み事があるの ? | |
カイル | あっ、ベリル。それがさ、また歴史のテストが赤点だったんだ。これなんだけど……。 | |
ベリル | どれどれ……。ああ……30点かぁ……。これじゃあ落ち込んじゃうのも無理ないかも……。 | |
カイル | そうなんだよ。最近はフィリアさんにも勉強を見て貰ってるんだけどずっと赤点続きで……。 | |
カイル | どうしよう……このままだとまたリフィル先生から大量の宿題が……。 | |
シング | ――大丈夫だよ、カイル。 | |
カイル | シング ? | |
シング | だってカイル。この前よりもいい点数じゃないか。次は絶対もっといい点数が取れるよ ! | |
ベリル | ちょっとシング。あんまりテキトーなこと言ってもカイルの為にならないよ。もっと真剣に相談に乗らなきゃ……。 | |
カイル | ……そうか。そうだよ ! !この前のテストは28点だったからオレ、ちゃんと成長してるじゃないか ! ! | |
ベリル | ええっ~~ ! ! もう立ち直ってる~~ ! ? | |
シング | うん ! 少しずつでも点数が上がればいつか100点を取ることだって夢じゃないさ ! | |
カイル | オレがテストで100点 ! !何だろう……シングと話してたら本当に100点が取れそうな気がしてきたよ ! ! | |
カイル | ありがとう、シング ! !よ~し、すぐに次のテストに向けて勉強するぞ~。 | |
シング | カイル、元気になったみたいで良かったね。 | |
ベリル | うん……あれは完全にシングのノーテン菌の影響だね。 | |
シング | ん ? どうしたの、ベリル ? | |
ベリル | はぁ……。いっそのこと、ボクもノーテン菌がうつってもう少し気楽に生きてみたいよ……。 |
Character | グランパ | |
ロイド | 獅吼烈風っ ! | |
シング | 獅吼烈破っ ! | |
キン、キンッ、カキィンッ ! | ||
ベリル | ふんふんふん、いいよいいよー。もっともっと血湧き肉躍る戦いを、ボクに見せてくれよぉ ! | |
ベリル | うん、筆がどんどんノってきた !ケッサク中のケッサクが描けそうな予感がするっ ! | |
クラトス | ほう、見事な絵を描くものだな。 | |
ベリル | うひゃぁっ ! ? | |
クラトス | おや、驚かせてしまったか。そのような意図はなかったのだが、申し訳ないことをした。 | |
ベリル | あ、う、ううん。ボクの方こそ、ヘンな声出しちゃってごめん。 | |
クラトス | その絵画の技術は独りで身に付け、独りで磨き上げたのか ? | |
ベリル | ううん、違うよ。ボク、アラゴっていう師匠に絵の手ほどきを受けたんだ。……後はまあ、グランパの影響かな。 | |
クラトス | グランパ……ああ、祖父のことか。 | |
ベリル | うん。ボクのグランパはシンハラ・ベニトって名前で、描いた絵にスピリアが宿ると言われたほどの天才画家だったんだよ。 | |
ベリル | そして、その才能に惚れ込んだマクス帝国皇帝に宮廷画家として召し抱えられて、家にまったく帰って来なくなったんだ。 | |
ベリル | ……それこそ、ボクのパパとママが事故に遭って、帰らぬ人になった時でさえもね。 | |
クラトス | …………。 | |
ベリル | ……でも、ボクは誤解してた。グランパは帰って来なかったんじゃなく、帰って来れなかったんだ。 | |
ベリル | 皇帝はグランパを幽閉して、身内の死に目にさえ立ち会いを許さず、『宝石姫の肖像』って絵を無理やり描かせてたんだって。 | |
ベリル | 完成した『宝石姫の肖像』が国の宝と万人に認められて愛されたのは、涙と嗚咽と、遺されたグランマとボクへの慈しみから来てたんだ。 | |
ベリル | ああ、グランパ……。ボク、いったい何にフンガイしてたっていうの ?何にケンカを売ってたっていうの ? | |
クラトス | ……そうか。辛い思いをしたのだな。 | |
ベリル | 今だって、じゅうぶん辛いよ !ボク、グランパに謝りたかったのに。もう、その望みが叶うことはないんだ…… ! | |
クラトス | 大丈夫だ。お前が抱いた思いは、きっと亡くなった祖父に伝わっている。 | |
クラトス | 現に祖父の生き様は、今のお前に何かを残したはずだ。そうである以上、何も気に病む必要などない。 | |
ベリル | …………。そう、なのかな…… ? | |
クラトス | ああ。だから、お前はお前の絵を描き続けなさい。 | |
ベリル | ……うん、ありがと。 | |
ベリル | なんか、胸がスーッとした。ボク、ずっと誰かにそう言ってほしかったんだよ !きっと ! | |
ベリル | ボク……グランパの描いた絵を越えるような、歴史的ケッサクを描き上げてみせるさ ! | |
クラトス | うむ、その意気だ。 | |
ロイド | ふーっ、いい汗かいたぜ !どうだベリル、いい絵は描けそうか ? | |
ベリル | あ、ロイド……。 | |
ロイド | って、クラトスも一緒だったのか。二人で何を話してたんだ ? | |
クラトス | ……いや、何でもない。そろそろ私は失礼するとしよう。 | |
シング | ――あれ ! ? クラトスさん帰っちゃったの ! ?手合わせしてほしかったのにな。 | |
ロイド | な ? 俺も久々に稽古つけて欲しかったのに……。 | |
ベリル | (あの人もいつか、思いを伝えられるといいよね ! ) |