プロフィール
「運び屋『日々寧日』の女社長」、「人生経験豊富な大人」、「信頼できる仲間」。皆にとってのイネスという存在は、旅を通じて変わっていった。しかし、胸の中に大きな荷を背負い続ける彼女は変わらない。帝国軍特務部隊少佐こそが本当の姿であり、全ては任務ゆえの行動。命令とあらば自分を仲間だと慕う皆をも手に掛ける。そう、できると頭では思っていた。だが抗う皆からの一撃が、繋がるスピリアが、彼女の荷を下ろしていき、彼女のスピリアを顕にした。はじめて命令に背くことになるが、自分は仲間たちと行きたい。重い荷ではなく、想いを届ける運び屋として、先輩のもとに。
ミリーナの一言
大きな武器を振り回したり、硬いバルブを片手で軽々と回したり、イネスはすごく力持ちよね。あんなに細くて綺麗な腕から、どうしてあそこまでの怪力を出せるのかしら。やっぱり秘訣はよく食べること ? 私もいっぱい食べればイクスをお姫様抱っこできるぐらいの力がつくか、イネスに聞いてみようと思うわ。それにしてもこうなってくると、次の腕相撲大会の優勝者が気になるわね…… !
イクスの一言
夜中、厨房からお皿が割れる音が聞こえて、何事かと思って見に行ったんだ。そうしたら普段は厨房にいないイネスがいて驚いたよ。なんでも料理が苦手だから、こっそり練習をしていたんだってさ。味見させてもらった三色ピザは確かにちょっとコゲていたけど、家庭的な感じがして俺は好きだな。それに苦手なことなのに、一生懸命頑張れるイネスがすごいと思った。自分が苦労してでも食べさせたい、大切な誰かがいるのかもしれないな。
Character | お腹 | |
---|---|---|
イネス | 気がついたらもう夜だわ。今日も一日よく働いたわね。 | |
アンジュ | 一日中動きっぱなしでもうクタクタよ。もう一歩も動けな……あら ?この香りは何かしら ? | |
イネス | 甘くて美味しそうないい香り……。 | |
二人 | ……あっ。 | |
ナナリー | あははっ。どうやら腹の虫だけは元気なようだね。 | |
イネス | しょ、しょうがないでしょう。もうお腹がペコペコなのよ。 | |
ナナリー | そうだろうと思って差し入れを作ってきたよ。さあ、できたてのうちに食べな。 | |
二人 | それは……ピーチパイ ! | |
ナナリー | 美味しい桃がたくさん手に入ったからね。だけど、ちょっと作りすぎたかな。 | |
イネス | そんなことないわよ。これくらいペロッといけちゃうわ。アンジュも余裕でしょう ? | |
アンジュ | もちろんよ。だけど―― | |
イネス | 待って。その先は言わないで。 | |
ナナリー | まったく。あんたたちまた腹回りのこと気にしてるのかい ? | |
アンジュ | やめて ! その話は聞きたくない !元の世界でエルに言われたことが蘇ってくる ! | |
イネス | 私もベリルに言われたことが……くっ。ここで誘惑に負ければまたからかわれそうね。 | |
ナナリー | 働かざる者食うべからず。だけど、あんたたちはよく働いてきたんだろう ?なら、むしろちゃんと食べるべきだと思うけどね。 | |
イネス | それは……確かにそうね。働いたのだからその分得るものがあってしかるべきだわ。 | |
アンジュ | そうよ。今日はおやつだって食べてないもの。このままじゃ餓死しちゃう。誰にも文句を言われる筋合いはないわ。 | |
イネス | よく言ったわ、アンジュ !私たちには、この特大ピーチパイを平らげる権利があるわ ! | |
アンジュ | むしろこれだけじゃ足りないわね。待ってて、部屋からお菓子を取ってくるわ。 | |
ナナリー | ちょ、そんなに食べられるのかい ! ? | |
イネス | アンジュ、持ってきてちょうだい。ベリルの言葉を思い出したらイライラしてきたわ。このままじゃお腹の虫がおさまらない。 | |
アンジュ | 私もよ、イネス。今日はめいっぱい食べちゃいましょ♪ | |
イネス | 賛成♪ | |
ナナリー | あんたたちの腹の虫はどれだけ元気なんだか……。 |
Character | 新しい母として | |
イネス | …………………ふふっ。 | |
ルーティ | 宝石を眺めながらニヤニヤしているイネス、発見っと。なによ、いいもの持ってるじゃない。 | |
イネス | このお守りはあげないわよ。 | |
ルーティ | わかってるわよ。表情を見ればなんとなくわかるわ。大切なものなんでしょ。 | |
イネス | ええ。ラピスからもらったものだから……。 | |
ルーティ | ラピス ? 誰 ? | |
イネス | 私の…………娘よ。 | |
ルーティ | 娘 ! ? イネス、あんた娘がいたの ! ? | |
イネス | 取り乱しすぎよ。実の娘じゃないわ。 | |
ルーティ | えっ、あ……そ、そりゃそうよね。 | |
イネス | ラピスの実の両親は私の士官学校時代からの知り合いだったの。けど、二人とも亡くなってしまったから……。 | |
ルーティ | ……自分が母親として育てることにした、と。あんたも複雑なのね……。 | |
イネス | 複雑……それは私よりラピスだと思うわ。事情があってずっと目が覚めずにいてようやく目を覚ましたら両親がもういないんだもの。 | |
イネス | もちろん、私なんかにあの二人の代わりが務まると思ってないわ。 | |
イネス | けど、パールさんとアイザック先輩のためにもまだスピリアが幼いラピスのためにも向き合うと決めた……私はとっても単純よ。 | |
ルーティ | 孤児院育ちのあたしが言えた義理じゃないけど……きっと、あんたは、ちゃんと母親なんでしょうね。 | |
イネス | 新米なうえ普通の母親とは違うけどね。 | |
ルーティ | 色々な形があっていい。あたしはそう思う……というかそう思えるようになったかな。 | |
ソーディアン・アトワイト | …………ルーティ。 | |
ルーティ | きっと、複雑なようだけど単純なのよね。 | |
イネス | ええ。スピリアが繋がっていること。これが、一番大切なのだと思うわ。 |