プロフィール
青年は聖寮の掲げる理念に従い、強い使命感を持って一等対魔士にまで昇りつめた。目指す理想のために為すべきことは、美しいものばかりとは限らない。それでもなお己の正義を貫き、自身の手を汚すことも厭わなかった。折れずにいられたのは、唯一自分を見てくれる姉テレサの存在も大きかっただろう。そして彼は強い覚悟と高邁な自己犠牲的精神のもと、命を賭した戦いに挑む。
ミリーナの一言
テレサが守りたいと願うかけがえのない存在だと聞いていたけれど、二人が並んでいる姿を見たときには感動してしまったわ。ああ、二人はちゃんと一緒に過ごせるようになったんだ、って。ここまでの道のりは決して平坦ではなかったと思うの。でもだからこそ、これからは二人で穏やかな生活を送れるといいって、心から願っているわ。
イクスの一言
オスカーが自分を犠牲にしてでも戦おうとする気持ち、俺には少しわかるな。たぶん、考え方は似ているんじゃないかな……。これについては、俺もオスカーもひと呼吸置いて考えるようにしないといけないよな。でも、昔は森を駆け回って遊んでいたっていうし、意外とやんちゃで親しみやすいところもあるのかも。今度、一緒に釣りに行ってくれないかな。
Character | 想いを込めて | |
---|---|---|
オスカー | うーん、どれがいいだろうか……。 | |
ライフィセット | あれ、オスカー。買い物中 ? | |
オスカー | ああ。そのつもりだったんだけどどうにも妙案が浮かばず、悩んでいたところなんだ。 | |
オスカー | …………。ライフィセット、ここで会えたのも何かの縁だ君に意見を聞いてもいいだろうか ? | |
ライフィセット | え、僕に ? もちろん、いいけど……。 | |
オスカー | 実は、姉上に贈り物をしたいと思っているんだ。長い間、僕の看病で苦労を掛けてしまった……そのお礼に、何か渡したいと考えていてね。 | |
ライフィセット | わあ、いいね !じゃあ今はプレゼントを探してたんだ。 | |
オスカー | ああ。しかし、改めて姉上への贈り物と考えるとどんなものが相応しいのかわからなくなってしまい悩んでいた、というのが現状だ。 | |
ライフィセット | うーん、テレサ様への贈り物かぁ……。確かにどんなものを贈ったら喜ばれるのかって難しいかも。 | |
オスカー | 僕自身も、ドラゴニア家の人間として贈り物をしたことはままある。しかし、自分の想いを込めたものというのは少なくてね……。 | |
ライフィセット | あ、でもオスカーは小さい頃、テレサ様にセミの抜け殻をプレゼントしたんだよね ? | |
オスカー | 確かに贈ったよ。だけど、さすがに今そのようなものを贈るわけにはいかないだろう ? | |
ライフィセット | あはは、それはそうだね。でも、オスカーが想いを込めてプレゼントをしたい相手って、いつもテレサ様なんだなって思って。 | |
オスカー | ……そうだね。あのときの僕は、姉上に喜んでもらいたくて自分の好きなものを贈ったんだ。 | |
オスカー | 子供の浅はかな考えだったと思うよ。セミの抜け殻なんて貰っても困るだけだろうに……。 | |
ライフィセット | それでも受け取ってくれたんだよね。それって、オスカーが自分のためにしてくれた気持ちが嬉しかったからだと思うんだ。 | |
オスカー | ……確かに、姉上はそのような方だ。僕の渡すものなら、どんなものでも喜んでくださる。 | |
オスカー | だからこそ、今回は幼く拙い想いではなく何か形に残るものを贈りたいんだ。 | |
ライフィセット | 形に残るもの、かぁ……。普段使い出来るようなものはどうかな ? | |
ライフィセット | たとえば、ハンカチとか……髪飾りとか。 | |
オスカー | 髪飾りか。それはいいかもしれないな。姉上は髪を編んでいる。そのときに一緒に使ってもらえるようなものにしよう。 | |
ライフィセット | あ、じゃあこの辺のはどうかな ?この花の髪飾りとか、きっと似合うと思うよ。 | |
オスカー | 花か。それなら……この白とピンクの花を合わせたものがいいな。可憐で、清純で。 | |
ライフィセット | わあ、いいね ! テレサ様にピッタリだと思う ! | |
ライフィセット | ……僕も、ベルベットにプレゼントしようかな。この赤い花の髪飾り、似合うような気がする。 | |
オスカー | ああ、いいと思うよ。彼女らしい髪飾りだ。 | |
ライフィセット | そうだよね !じゃあ、僕もオスカーの真似してプレゼントを買って行こうっと。 | |
オスカー | なんだか仲間ができたような気分だ。では、贈り物として包んでもらおう。 | |
ライフィセット | うん ! えへへ、ベルベットもテレサ様も喜んでくれるといいね ! | |
オスカー | ああ。きっと、心からの笑顔を見せてくれる。感謝を伝えるその瞬間が、今から本当に楽しみだ。 |
Character | まるで、奇跡のように | |
オスカー | せい ! ハッ ! | |
テレサ | オスカー、一度休憩してはどう ?もう一時間近く訓練をしているでしょう ? | |
オスカー | いえ、姉上。まだ動けますし、もう少しだけ―― | |
テレサ | いいえ。先ほど少しふらついていました。あまり根を詰めすぎないようにしなければまた倒れてしまいますよ。 | |
オスカー | あ……そうですね、すみません。確かに、姉上のおっしゃる通りです。 | |
オスカー | やっと身体を動かせるようになったことが嬉しくてつい夢中になってしまいました。 | |
テレサ | 私も、あなたが無事に回復したことは嬉しいのです。だからこそ、再び悪化してしまわないように適度に休憩を挟まなければ。 | |
テレサ | お茶とお菓子を用意しました。これをいただきながら休みましょう。 | |
オスカー | そうですね。ありがとうございます、姉上。ああ、今日はピーチパイですか。 | |
テレサ | ええ。街で美味しそうなケーキ屋を見つけたので。最近新しく出来たそうです。 | |
オスカー | 新しく、ですか。……この世界も、どんどん変化していく。新しいものが生まれ、発展していくのですね。 | |
テレサ | そうですね。理解していたつもりではありましたがこういうのんびりとした時間を過ごしているとあらためて些細な変化に気づくものです。 | |
テレサ | ケーキ屋もそうですが、新しい雑貨屋ができていたり見慣れない旅芸人が歌を披露していたり……毎日少しずつ変化していく人々の営みを感じます。 | |
オスカー | 不思議なものですね。元々住んでいた世界とは別の場所だというのに同じように人々は生きている……。 | |
オスカー | そして、元の世界ではないからこそ僕は姉上とこうして静かにお茶を飲むことができているのです。 | |
オスカー | まるで、奇跡のようだ。 | |
テレサ | ……ええ。だからといって、あまり無茶はしないでくださいね。また身体を壊しては元も子もありませんから。 | |
オスカー | それは、肝に銘じておきます。無理をしない範囲で、一日でも早く元の通り動けるようになれば、と。 | |
テレサ | そういうところは、ずっと戦いの中に身を置いてきた者の性なのでしょうか……。 | |
オスカー | もちろん、それは否定できません。ですが今はもう一つ目標があるのです。 | |
テレサ | 目標 ? | |
オスカー | はい。……贄の紋章の件では、結果的に姉上に守ってもらうばかりになってしまいました。僕は、何もできなかった……。 | |
テレサ | 何もできなかったなんて、そんな…… ! | |
オスカー | 姉上がそうおっしゃることはわかっています。ですから、これは僕の気持ちの問題です。 | |
オスカー | いつまでも守られるだけの弟ではいたくない。今度こそ姉上のことを守りたい、と……。 | |
オスカー | こんな考え自体が子供じみているのかもしれませんが。これは、弟としての意地だと思ってください。 | |
テレサ | ……あなたがいてくれるだけで救われているのに。 | |
オスカー | え ? | |
テレサ | いえ、なんでもありません。あなたの気持ちが嬉しかったので……。それでは、期待していますね。 | |
オスカー | はい、お任せください !この世界では、今までと違う新しい関係を……。そのために、努力して参ります。 |
Character | カブトムシかクワガタか | |
ライフィセット | あ、カブトムシだ !大きかったなあ…… ! | |
オスカー | ああ、すごく立派だった。あれだけ大きなカブトムシがいるということはクワガタもいるんだろうか。 | |
ライフィセット | オスカーも虫が好きなんだよね !テレサ様から子供の頃の話、聞いたよ。 | |
オスカー | はは……少し照れくさいな。幼い頃は姉上に迷惑を掛けてばかりだったから。 | |
ライフィセット | そうかな。テレサ様、オスカーのことを話してるときすごく楽しそうだったよ。 | |
オスカー | そう……なのだろうか。 | |
ライフィセット | うん。だから僕、オスカーと虫のこと話してみたいなって思ってたんだ。リオネルイカヅチオオクワガタとか ! | |
オスカー | あれは立派なクワガタだったな。ライフィセットはクワガタも好きなのか ? | |
ライフィセット | うん ! クワガタもカブトムシもどっちもかっこよくて好きなんだけど……。 | |
オスカー | ?どうかしたのか ? | |
ライフィセット | ……前に旅をしてたとき、ロクロウとアイゼンがクワガタとカブトムシ、どっちが強いかってケンカしてたのを思い出して。 | |
オスカー | ケンカ…… ?二人とも立派な大人に見えたが……。 | |
ライフィセット | う、うん……そうなんだけどどっちもムキになりやすいっていうか意外と子供っぽいところがあるっていうか……。 | |
オスカー | はは、そうなのか。なら僕も、この歳で虫捕りをしても恥ずかしくないかな ? | |
ライフィセット | もちろんだよ !この辺、さっきはカブトムシもいたし……。 | |
ライフィセット | 僕、オスカーと虫捕りしたいな。 | |
オスカー | ああ。是非近いうちに計画しよう。 | |
ライフィセット | やったあ ! | |
ライフィセット | そういえば、オスカーもカブトムシとクワガタどっちが強いか考えたことある ? | |
オスカー | 強さ、か……。確かに、どちらも立派な角やはさみがある。甲冑のような身体もよく似ている。 | |
ライフィセット | そうなんだよね。だからもし戦ったら、どっちが勝つのか僕もちょっと気になってたんだ。 | |
ライフィセット | ロクロウはクワガタが強いって言ってた !で、アイゼンはカブトムシだって。 | |
オスカー | ふむ……。そうだな、どちらにも強い部分が存在しているのは間違いない。 | |
オスカー | カブトムシは長く立派な角で払い落とすことが出来るしクワガタは大きなはさみで挟んで相手をひっくり返せるだろう。 | |
オスカー | だからこそ、最も重要なのは戦略じゃないだろうか。 | |
ライフィセット | 戦略 ! ? | |
オスカー | ああ。下から攻めるなら長い角があるカブトムシのほうが有利だろう。だがその角を無力化すればクワガタが強い。 | |
オスカー | どのような場で、どのような立ち回りをするかで勝敗が変わるんじゃないかな。 | |
ライフィセット | 確かに、そういう考え方もあるね…… !それ、すごく面白い ! どんな戦いが出来そうかいろいろ考えてみたいな。 | |
オスカー | なら、街に戻りながら話そう。きっと可能性は無限にあるはずだ。楽しい帰路になりそうだな。 |