プロフィール
少女の姿で老いた言葉を操る孤高なる天族は歴史の影に幾度となく姿を現している。サイモンが操る恐ろしいほどに精巧な幻術を見破ることは容易ではない。人は皆、騙され、惑わされ、その内に秘めた暗い感情を露わにされる。なぜ、人に加護を与える天族の彼女がそんなことをするのか、知る者は少ない。人を試すことが彼女の性分なのか、それとも人の中に何かを見つけようとしているのか……。いずれにせよ、災禍の顕主に仕えている限りサイモンは人に災いを振りまくだろう。
ミリーナの一言
サイモンっていつ見ても色白よね。どんなに外を歩いても日焼けなんてしないみたい。理由を聞いてみたら、幻術で太陽の光を屈折させて防いでるんですって。是非ともその術を教えてほしいって、日焼けをしたくない同盟のみんなでお願いしたんだけど「そんな術あるわけないだろ」って一蹴されちゃった。もしかしてサイモンなりの冗談だったのかしら。せっかくの天族ジョークを理解できなかったんだとしたら悔しいわ。私ももっと勉強しなきゃ !
イクスの一言
俺、正直を言うと、サイモンが怖いんだ。だって、俺に会う度に不安になるようなことばかり言うんだよ。山を登ってたら「この山はきっと活火山だな」とか、橋を渡ってたら「このつり橋は作られてどのくらい経ったのだろうな」とか、その度に最悪の事態を想像しちゃって……。あれはきっとわざとだ。だって俺が想像して青くなってると、すごく満足そうなんだから。でも、みんなは俺がすごく気に入られてるって言うんだ。とてもそんな風には思えないけど……。
Character | 天敵 | |
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サイモン | お前が私を呼びだすとはな。何が望みだ ? 私からの謝罪か、償いか ?それとも……。 | |
アリーシャ | そのどれでもありません。私は、ただお礼を言いたかった……。 | |
サイモン | お前が私に礼だと ?驚いた。いや、むしろ何かの嫌味か ? | |
アリーシャ | いえ ! そんなつもりは……。ただ、あなたの力のお陰で私は前に進むことができました。 | |
サイモン | ! ! | |
アリーシャ | ありがとう。師匠の本当の気持ちを教えてくれて。 | |
サイモン | ……お前は騙されていたんだぞ ? | |
アリーシャ | ですが、あなたが教えてくれなければ私は、ひどい勘違いをしたままでした。 | |
アリーシャ | 師匠は私に怒っていた。不甲斐ない王女だと。 | |
アリーシャ | そのことを知らずに、師匠は頼りになる。私を支えてくれると思いこんでいた……。 | |
アリーシャ | それは、師匠に対してとても失礼なことだった。それを、あなたが教えてくれたのです。 | |
サイモン | 何故だ ? お前は最も信頼していた相手に騙され利用されていた。怒りを感じないというのか ? | |
アリーシャ | 不甲斐ないとは思っています。もっと早くに気づくべきだった。 | |
サイモン | なぜだ……なぜ、お前はそうまで……。 | |
サイモン | やはり……お前は厄介な存在だ。あの導師よりもずっと、な……。 | |
アリーシャ | 私が……スレイよりも ? | |
サイモン | マルトランの裏切りを知ってなおお前は堕ちなかった。 | |
サイモン | 苦しみ、子供のように泣きわめいてもそれでも救いたいと言った。 | |
サイモン | 私には恐ろしかった。人は、穢れた生き物のはずなのに……。 | |
アリーシャ | それは……一体……。 | |
サイモン | ……そういえば、あの女はもう一つ言っていた。お前は人を従えるのには向いていない。 | |
サイモン | 他者を踏み台にするには、優しすぎる……とな。 |
Character | 復讐の夢 | |
ロゼ | スレイには紙とインクでしょ、ライラは香油あ、ミクリオには……ケーキの材料? なんで? | |
デゼル | おい、いつまで買い物する気だ。 | |
ロゼ | あー、はいはい。これで最後だから。デゼルはせっかちだなー。 | |
デゼル | 俺を荷物持ちにしたやつがよく言う……っ!? | |
ロゼ | ん? どうしたの? | |
デゼル | 今、嫌な風を感じた。 | |
ロゼ | まさか、帝国の連中でもいたの? | |
デゼル | そうじゃねえ。だが、この感じは前にも……。ロゼ、この前スレイたちが会ったっていう天族の話は覚えてるか ? | |
ロゼ | あ~、なんか可愛い天族の女の子だって言ってたよね ? なになに~、デゼルってば気になる感じ ? | |
デゼル | ……ああ。いずれ確認しとかねえとな。 | |
ロゼ | ふ~ん、なんか、さぱらんだけど同じ天族同士、仲良くすればいいんじゃない。 | |
デゼル | 仲良く……か。俺の勘が外れていればいいんだがな……。 | |
サイモン | 私に気づいたか。相変わらず、カンのよい男だ。 | |
サイモン | いや、復讐心の成せるわざということか。 | |
エルレイン | お前が、わざわざ様子を見に行くほどの男か。ずいぶんと執心のようだな。 | |
サイモン | それは向こうの方だ。 | |
サイモン | やつにとって私は焦がれるほどに殺したい相手だろうな。 | |
エルレイン | なるほど、それでこうして陰に隠れて見守っているというわけか。 | |
エルレイン | しかしわからんな。袖にしたという男をどうしてそうまで気にかける。 | |
サイモン | やつは……私と同じ業を背負っている。 | |
サイモン | そのことに気づかず今もああして旅を続けている。 | |
サイモン | だが、この世界に私がいることを知れば……。 | |
サイモン | そうなれば、もう止まらない。やつは、復讐のためすべてを投げ打ち私を追う。 | |
サイモン | そして……己が業と直面する。 | |
エルレイン | ……そういうことか。 | |
エルレイン | お前は、復讐に取り憑かれたあの男の救いであり同時に破滅の引き金でもあるわけか。 | |
サイモン | そうだ……それが私の業だ。 | |
サイモン | 私は夢を見せる。いつまでも覚めぬ夢をな……。 |