プロフィール
優れた人間とそうでない人間。必要な人間とそれ以外。不遜にも『天上王』を名乗ったその男にとって、人類ははっきりと二つに分かれていた。そして彼は優れた人間、すなわち天上に暮らす人々が地上を支配すべきと考えたのだった。その恐るべき野望は反逆した地上の人々の手で砕かれたが、肉体の死によってさえ彼の歪んだ信念は変わらなかった。天にある者、地を這う者。それを決めるのは、自分なのだと。
ミリーナの一言
世界を自分の望むようにしたいって気持ちは、誰にでも少しはあるんじゃないかと思うの。だけどそれを行動に移せば必ず悲劇を生んでしまう。自分が望む世界は、必ずしもみんなの望む世界ではないから……。きっとミクトランは、そんなことを全部無視してしまえる人だったんでしょうね。思い通りにするために、誰の気持ちも考慮しない。今の私は……彼と同じにはならないわ。
イクスの一言
ディムロスさんたちから話は聞いていたけど、アジトが襲われなくて良かったよ。ソーディアン使いはみんな強い力を持っているけど、それ以上の力を持っていたなんて。生き延びるためとはいえ、剣に自分の人格を移すなんて生半可な覚悟じゃない。本当にものすごく強い執念だったんだな。恐ろしい相手だけど、その生きようとする気持ちだけは見習ってもいいのかもしれないとも思うよ。
Character | 英雄と暴君 | |
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スタンたちとの決戦前のお話です。 | ||
バルバトス | ……俺に話があるというのは貴様か。なんの用だ ? くだらん話なら叩き斬るぞ。 | |
? ? ? | いえ、滅相もない。大変重要なお話ですよ。 | |
バルバトス | なら、さっさと言え。俺の時間を無駄にするな。 | |
? ? ? | あなたを英雄と見込んで、お願いにきたのです。ファンダリア領のとある街に、恐ろしい暴君が現れ教団を率いて街を支配しています。 | |
バルバトス | それがどうした ?てめえの街はてめえで守りやがれ。 | |
? ? ? | 街には戦える者がいないのです。皆は恐怖におののき、苦しい生活を送っております。どうかその男を倒し、街を救ってください。 | |
バルバトス | 力の無いものは蹂躙されるのが道理。死にたくなければ強くなるがいい。 | |
? ? ? | そうですか……。では、街に来てはくださらないと ? | |
バルバトス | 当然だ。虐げられて泣き寝入りするだけのカスどもに興味はない。 | |
バルバトス | そんなカスの上に君臨して満足する暴君とやらも俺の飢えを満たせるような強者ではあるまい。 | |
? ? ? | ……わかりました。そう仰るのなら仕方ありません。 | |
? ? ? | やはり……あの『天上王』を倒せる人間などこの世にはいないのですな。 | |
バルバトス | ! ! 貴様、今なんと言った ! | |
? ? ? | 天上王……その男は、そう名乗っているのです。 | |
バルバトス | その名前……久し振りに聞いたぞ。本当だろうな ? 俺に嘘をつけば、脳天から真っ二つにしてやるぞ ! | |
? ? ? | いいえ、誓って嘘など。私は確かに聞きました。かつては大きな天の国を支配していたと。 | |
バルバトス | ハハ、ハハハハハ…… ! !そうか、そうか ! あの男がここにいるか。 | |
バルバトス | よし、気が変わった。俺がその街に行ってその男を殺してやる。 | |
? ? ? | それはそれは、ありがとうございます……。 | |
バルバトス | そうだ、この俺が…… !あの天上王を、殺すのだ ! | |
バルバトス | 俺が、この手でバラバラにしてやる。ディムロスよりも先に、この俺が…… !フフフ……クハハハハハーッ ! | |
ミクトラン | フン……茶番は上手く行ったか。もっと手駒があれば、私自らがあのような下衆と話す必要もなかったものを。 | |
ミクトラン | 全く、野蛮な男だ……。大局を見る目も、理想も何もない。あるのは暴力だけ。 | |
ミクトラン | 天地戦争では天上軍に寝返ろうとしたと聞いたがあんな男を我が軍に加えるなど、虫唾が走るわ。 | |
ミクトラン | ……思えば、みじめな男だな。地上軍にも天上軍にも奴の居場所はなかったのだ。いや、あんな男の居場所などどこにもあるまい。 | |
ミクトラン | 私のような賢者に、戦争の道具として使われるしか能のない哀れな道化よ。フフフ……。 | |
ミクトラン | さて、これで準備は整った。あとは地上人どもが我が糸で踊るのを眺めるとしよう……。 |
Character | 天上王の誇り | |
スタンたちとの決戦前のお話です。 | ||
教団の技術者 | ……はい。例の物の建造は順調です。あとは資材の調達が……。 | |
ミクトラン | …………。 | |
教団の技術者 | 陛下 ? 如何なさいましたか。 | |
ミクトラン | 少し席を外せ。来客だ。 | |
教団の技術者 | は、はい…… ? | |
ロミー | あら、気付かれちゃってた ?さすがは天上王様ねえ。 | |
ミクトラン | 私のことを知って忍び込もうとは、不遜だな。何者だ ? 寝首でも掻きにきたか。 | |
ロミー | 物騒ねえ。私はただ、話をしにきただけよ。人様の兵士と技術者を勝手に盗んで使ってる悪い教団があるっていうから。 | |
ミクトラン | ……帝国の手の者か。いずれ姿を見せると思っていたぞ。 | |
ミクトラン | 兵や民たちは自らの意思で私の下へ来たのだ。お前たちの支配下では得られなかった救いを求めてな。 | |
ロミー | へえ、下々の者まで救ってくださるなんてお優しい王様ね。どこぞの皇帝とか教皇みたいな薄っぺらい善意はあなたからは感じないけど。 | |
ロミー | とにかく、仕事として言わせてもらうわ。これ以上帝国の邪魔をしないでくれる ?そうしたら見逃しておいてあげる。 | |
ミクトラン | 見逃す……だと ? | |
ロミー | フフ……怒っちゃったかしら ?まあ、天上王なんて名乗るぐらいだからきっと自分の世界ではあなたも大物だったのよね。 | |
ロミー | だけど、この世界にはそんな連中が何人もいるの。何が目的にしろ、おいたが過ぎればおしおきがあるわ。……やるならもっとこっそりやらなきゃ。 | |
ミクトラン | 断ればどうなる ?私を殺して、教団を潰すか ? | |
ロミー | さあ ? それは皇帝様のご判断次第でしょうね。言ったでしょ、私はメッセージを伝えにきただけ。あなたに帝国に従う意思があるかどうか。 | |
ミクトラン | …………。 | |
ミクトラン | ……いいだろう。私の返答を聞くがいい ! | |
ロミー | きゃっ…… ! ? | |
ミクトラン | 貴様たちは自分の立場を理解していないようだ。アスガルド帝国など、いずれ我が天上軍に蹂躙されるだけの張りぼてに過ぎん。 | |
ミクトラン | それが、生意気にも私に従えだと ?笑わせるな ! 私は天上の王たる者。誰の指図も受けず、誰にも頭は垂れん。 | |
ロミー | ……交渉は決裂ってことかしら ?代償は安くないわよ。 | |
ミクトラン | フン、私が何も知らんとでも思うか ?帝国は鏡士たちとの戦いで消耗し、既に人心も離れた。そう簡単にあちこち兵力を割く余裕などあるまい。 | |
ミクトラン | 飼い主に伝えるがいい。私はこれからも一切歩みを止めるつもりはない。誰を敵にしようと必要なものは手に入れる。 | |
ミクトラン | だが、お前たちが私の邪魔をしないのなら今殺すことだけはせずにおいてやる。……他に優先すべき敵がいるのでな。 | |
ロミー | ……つまり、お互い不干渉ってことね。いいわ。そう伝えてあげる。 | |
ロミー | あなたがこの世界を荒らしてくれるのもそれはそれで面白そうだし、ね……フフ。 | |
ミクトラン | ……去ったか。最後まで無礼な奴だ。まあいい、帝国などに私を止めることはできん。問題はやはりソーディアン、そして地上軍ども……。 | |
ミクトラン | 奴らを抹殺し、世界を変える力をこの手に収める。そして私の理想郷を現実のものとするのだ。今度こそ……誰にも、邪魔はさせん。 |