プロフィール
愛した女と唯一無二の親友。かけがえのない者に裏切られた魂は、絶望と迷いを抱えたまま二つに分かれて転生を果たした。その魂の一つがマティウスである。前世の因縁を焼き付けたような異様な容姿と強力な力ゆえに故郷を追われ、国からは転生者として利用されていた彼女が、教団の大主天の座に就いて抱いたある野望。それは、差別と憎しみと裏切りが横行する、腐った世界の破壊であった。
ミリーナの一言
セキレイの羽に支援を頼んでいる施設に、マティウスさんが現れたそうよ。迷子になった子を送り届けて、ついでに勉強も教えてくれたんですって。ルカたちにその話をしたら、元の世界でも、居場所のないシアンって子の面倒を見ていたらしいわ。それは思惑があっての事だったみたいだけれど……。でもやっぱり、あの面倒見の良さはマティウスさんの素顔なんじゃないかしら。
イクスの一言
マティウスさんが世界を滅ぼそうとした理由を知って、何とも言えない気持ちになったよ。全て滅んでしまえば差別もない完全なる平等で、それこそが救いだなんて……。俺は救いも何もない虚無の世界の声を聞いた。だからこそ思うんだ。これからマティウスさんには、幸せだと思えるような絆を見つけて欲しいって。その時こそ、自分のやろうとしたことを省みることができるんじゃないかな。
Character | 救い救われ | |
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二人 | …………。 | |
デクス | ……なんだ、この緊張感は。どうしてこうなった。 | |
チトセ | あなたが引き合わせたんでしょう ?私たちはすぐに立ち去ると言ったのに。 | |
デクス | 仕方ないだろう。「遭難した兵を救った者に礼がしたい」ってエルレインが言い出したんだからな。 | |
マティウス | あの兵士、「聖女の元に帰る」とうわ言を繰り返していたがお前のことだったとはな。 | |
マティウス | 相変わらず『神による救済』を掲げて人を惑わせているのか。 | |
エルレイン | 惑わせる ?己の行いに思うところがある者ほどそう見えるのでしょうね。 | |
エルレイン | マティウス、やはりあなたのような人こそ神の救いが必要です。しばし救世軍に滞在して話し合いませんか ? | |
マティウス | 断る。救世軍で腑抜けたお前に私を理解できようはずもない。 | |
デクス | あの二人、帝国で何かあったのか ? | |
チトセ | 何も。ただ、信念そのものが違うのよ。全てを滅ぼしたいマティウスさまと全てを救いたいエルレインだもの。 | |
チトセ | しかも、マティウスさまは前世が神でエルレインも神とほぼ同等の存在……。とにかく色々と複雑なの。 | |
デクス | なるほど、わからん。オレにわかるのはただ一つだけだ。 | |
デクス | アリスちゃんは神 ! | |
チトセ | は ? | |
デクス | アリスちゃんがいるだけで救われる。存在自体が奇跡で特別でアリスちゃんのためなら何だってできる。むしろアリスちゃんの望みを叶えるためにオレが神にならねば ! | |
エルレイン | 始まったか……。デクス、アリスの部隊に報告を。遭難者は無事に発見したと伝えなさい。 | |
デクス | 了解した ! 今いくよ、アリスちゃーーん ! | |
マティウス | ……何だ、あれは。 | |
エルレイン | アリスという娘に会わないと起こる発作のようなものです。今回は単独任務が続いていましたから。 | |
マーク | エルレイン、バルバトスが派遣先で暴走してるんだ。悪いがちょいと行って収めてくれねえか。 | |
エルレイン | ……仕方ありませんね。すぐに向かいましょう。 | |
シンク | ねえ、アンタ地上に降りてるんだろ ?だったら地上部隊の小隊一つ、アルタミラに送ってよ。カジノの周辺でキナ臭い話が出てるから。 | |
エルレイン | わかりました。手配しましょう。 | |
ゼロス | あー ! シンくんズルいぜ。エルレイン様と話してる !俺さまも目と耳の保養がした―― | |
二人 | …………。 | |
エルレイン | そういえば礼がまだでしたね。今日は配下の兵が世話になりました。 | |
マティウス | ふむ……それよりも先ほどの滞在の申し出、受けるとしよう。色々と面白い話が聞けそうだ。 | |
エルレイン | ……感謝します。 |
Character | うつろいゆく魂 | |
スタン | あ ! いたぞ。ルーティ、マティウスを見つけた。こっちに来てくれ。 | |
マティウス | お前たちは確か……ソーディアンマスターの。 | |
スタン | ああ。スタンだ。それと、これがソーディアンのディムロス。 | |
S・ディムロス | 我の紹介はいい。引き留めているのだから先に用件を伝えろ。 | |
スタン | わかってるよ。あのさ、この前、ファンダリア大陸の施設で迷子の子、見つけてくれただろ ? | |
マティウス | そんなこともあったな。 | |
ルーティ | ――やっと見つけたわ。あんた、魔鏡通信で連絡とってもすぐチトセと一緒にどっか行っちゃうから。 | |
S・アトワイト | ルーティ、お礼をしに来て第一声がそれはどうかと思うわ。先に言うべきことがあるでしょう。 | |
ルーティ | はいはい。――マティウス、あんたがファンダリア大陸に寄ってくれたおかげで子供が一人助かったわ。ありがとう。 | |
ルーティ | それと、施設のチビたちの勉強も見てくれたんだってね。みんなすごく喜んでたわよ。 | |
マティウス | あれは成り行きだ。大したことは教えていない。 | |
スタン | そうか ? すごくわかりやすくて楽しかったって言ってたけどな。 | |
マティウス | ……それより、預かっているものとはなんだ。 | |
ルーティ | これよ。ほら、開けてみて。 | |
マティウス | これは……。手紙に、絵、それに……木の実か ? | |
ルーティ | へえ、あんたの似顔絵ね。結構似てるじゃない。それにこの木の実、チビたちがおやつにしてる実よ。 | |
スタン | 「マティウスお姉ちゃん、ありがとう」だってさ !手紙の字も、なんか読みやすくなってるぞ。マティウスが教えたおかげかな。 | |
S・アトワイト | あなたたち、人の物を勝手に見るなんて失礼よ ? | |
ルーティ | 仕方ないじゃない。見えない物の中身が気になるのはハンターの性ってもんよ。 | |
S・アトワイト | まったく……。ディムロス、後でスタンさんにもちゃんと言って聞かせてちょうだい。 | |
S・ディムロス | あ、ああ。無論だ。 | |
スタン | なんかごめん、ディムロス……。 | |
マティウス | 用は済んだか ?ならばもういいだろう。 | |
スタン | ああ、引き留めて悪かったな。それと、子供たちみんな、また来てくれってさ。じゃあな。 | |
マティウス | ……。 | |
チトセ | マティウスさま、こちらにいらしたんですね。……どうしました ? | |
マティウス | いや……こういう世界もあるのだなと思っていただけだ。 |