プロフィール
少年は光の当たる場所で育ち、何の不自由もなく暮らしていた。皆の分け隔てない幸せを願い、そのために強くなろうとする純粋な心。しかしその想いは、隠された真実に気づかぬ無知ゆえの傲慢でもあった。そして、信じていた父親の醜い裏の顔を知った時、彼は大切な少女を守るため、自らの手を肉親の血で汚す。大罪ゆえに世界から追われ、やがて世界そのものの誤りに気づいた少年は、その罪を背負いながらも世界を正す決意をする。
ミリーナの一言
罪を背負って生きるって、簡単なことじゃないわ。だからカナタがあんなに辛い罪を背負って世界中から追われても、誰かを憎んだりせずに真っ直ぐ生きようと思えたのは本当にすごいと思う。きっとミゼラや仲間の助けもあったんでしょうね。だけど、そうして支えてくれる人たちに出会えたのは、何よりもカナタ自身に人を思いやる純粋な気持ちや、強い意志があったからなんじゃないかしら。
イクスの一言
カナタは「助けてあげる」とか、何々してあげるってよく言うんだ。人によってはそれが嫌味のように聞こえるみたいだけど、カナタ自身に他意は本当にないんだよな。真っ直ぐに誰かを助けたいと思う気持ちがあるから、それを遠慮なく口に出してしまえる。それはカナタの欠点じゃなくて長所なんだと思う。多くの人や世界を動かすような、強い気持ちがあるってことだからさ。
Character | 懐かしい出会い | |
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イクス | ここが俺たちのアジトだよ。ようこそ、二人とも。 | |
カナタ | へえ、ここがアジトかぁ。面白そうな場所――えっ ! ? | |
ミゼラ | どうしたの ? カナ――え ? | |
リッド | な、なんだよ、人の顔見ていきなり叫んで。お前ら、新しく来た奴らか ? | |
カナタ | リ、リッド ! 俺だよ、カナタだよ !覚えてないの ? どうしてここに……。 | |
リッド | ちょっと待てって。オレはお前らに会ったことも見たこともないぞ。人違いじゃねぇか ? | |
ミゼラ | でも……あなたはリッドだよね ? | |
リッド | ああ、名前は合ってんな。誰かに聞いたのか ? | |
イクス | どういうことかわからないけど……二人は元の世界で、リッドに会っていたってことかな。 | |
カナタ | うん、そうだよ。ノチートの村で会って、助けてもらったんだ。でも、このリッドは別人ってことなの…… ? | |
イクス | そうみたいだね。もしかして、イアハートと同じような感じなのかな ? 異世界同士の距離が近いとそういうこともあるって……。 | |
リッド | ああ、そういやあいつも初対面でこんな反応してたっけなぁ。 | |
ミゼラ | 不思議だね……。知ってる顔なのに、別人だなんて。 | |
リッド | なんでもいいけど、人の顔見て喜んだり落ち込んだりしないでくれよ。 | |
カナタ | あっ ! ごめん、自己紹介しなきゃね。こっちのリッドとは初対面なんだし。俺、カナタ。こっちはミゼラ。 | |
リッド | リッド・ハーシェルだ。よろしくな、カナタ。 | |
ミゼラ | なんだか……違うけど、同じだね。 | |
カナタ | うん。俺もそう思ったよ。 | |
リッド | ん ? どういうことだ ? | |
カナタ | 俺が知り合ったリッドとは別人なんだけど顔だけじゃなくて、話し方も考え方も一緒みたいなんだ。 | |
リッド | へぇ、そりゃ面白いな。オレ、やっぱり猟師やってたのか ? | |
カナタ | うん、そうだよ。それで、ファラと仲良しなんだ。もしかしてファラもいるの ? | |
リッド | 仲良しってか、あいつは幼なじみだよ、幼なじみ。 | |
ミゼラ | そうやって照れるところも似てるかも。 | |
リッド | そりゃ、どうも……。 | |
ミゼラ | なんだか、ちょっと安心したね。知らない人たちばかりだと思ってたけど……。 | |
カナタ | うん。知らないけど、知ってる。この世界では初対面でも、今まで出会ってきたみんなとまた出会い直せるってことなんだね。 | |
リッド | そんじゃ他の連中にも紹介してやっか。ついてこいよ。面白い奴が大勢いるぜ ! |
Character | 罪を背負う剣 | |
クレス | うん ! いい太刀筋だ、カナタ。 | |
カナタ | ありがとうございます、クレス先生 !やっぱり先生はこっちでも強いんだな~。 | |
クレス | その『先生』っていうのはなんだか照れるなぁ。呼び捨てで構わないんだけど……。 | |
カナタ | えーっ、でも俺にとってクレス先生はクレス先生なんですよ。 | |
ユーリ | 面白そうな新人が入ったみたいだな。どうだ ? ちょっとオレとも手合わせしてみねぇか ? | |
カナタ | うん ! 俺は全然構わないよ。えっと、名前は…… ? | |
ユーリ | ユーリだ。そっちはカナタ、だっけか ?ま、せっかく剣を抜いたんだ。自己紹介なら言葉よりこっちでやろうぜ……っと ! | |
カナタ | うわ…… ! ユーリって、強いね !よし、俺も本気で…… ! | |
ユーリ | ……へえ、そっちも中々じゃねえか。どうだい、クレス先生 ? どっちが勝つと思う ? | |
クレス | ユーリまで先生って……。でも、そうだね……うーん。 | |
カナタ | 悩まなくて大丈夫ですよ、先生 !俺、勝ってみせますから。 | |
ユーリ | ほー、言うじゃねえか。オレもそう簡単に負けるつもりはないぜ ? | |
クレス | ……あ、ごめん。悩んでいたわけじゃないんだ。二人の戦う姿を見て、不思議に思ったからさ。どこか似ている感じがして……。 | |
ユーリ | 似てる ? オレとカナタがか ?得物も構えも、全然違うだろ。 | |
クレス | うん、もちろん戦い方は違うよ。だけど……同じ気迫というか、引かない覚悟みたいなものを感じるんだ。剣の重み、とでも言うのかな。 | |
ユーリ | 重み、ねえ……。 | |
カナタ | 俺の剣、確かに大きいから結構重いけど多分そういう意味じゃないよね。 | |
ユーリ | ……そりゃそうだろ。そういや、その剣は何なんだ ?ただの剣って感じじゃねえよな。 | |
カナタ | えっと、これは……俺の『罪』の剣なんだ。【ブラッドシン】っていってさ。 | |
ユーリ | 罪…… ? | |
カナタ | うん。俺、父さんを殺したんだ。間違ったことを止めるために……。でも、それは許されない罪だってわかってる。 | |
ユーリ | ……。 | |
カナタ | この剣は、その罪を背負う証みたいなものかな ?まぁ、俺も実際どういう仕組みなのかはよくわかってないんだけどね。 | |
ユーリ | ……なるほどな。なんか、わかった気がするぜ。 | |
カナタ | え ? 何が ? | |
ユーリ | オレたちが似てるって話だよ。剣の重み、か……上手いこと言うよな、クレス。 | |
クレス | そうかい ? 僕もなんとなく感じただけだったんだけど、いい発見になったなら良かったよ。剣で発ケン、だね ! | |
二人 | …………。 | |
ユーリ | ……ま、それはともかく。そっちはまだわかってないんだろ、カナタ ?だったらわかるまでやってみようぜ。剣と剣でな。 | |
カナタ | そう来なくちゃ !今度は、勝負が決まるまで…… !……行くよ ! |
Character | 血の饗宴 | |
カナタ | ふんふふんふふ~ん ♪よーし、こんな感じかな ? | |
ヴィシャス | おい、なんだこのくっせぇ匂いは ? | |
ミゼラ | カナタ ! 大丈夫 ! ? | |
カナタ | ミゼラ…… ? それにみんなも、どうしたの ? | |
イージス | どうしたもこうしたもあるか。調理場から異臭がすると思って来てみれば犯人はやはりお前だったか、カナタ……。 | |
ユナ | 決めつけはあかんで、イーツン。現場におったからって、犯人とは限らへんやろ。 | |
ミゼラ | そうよ、カナタは何も悪くない。きっと巻き込まれただけだわ。 | |
ヴィシャス | んなわけねぇだろ。おいカナタ、お前の目の前にあるその鍋はなんだ ? | |
カナタ | ああ、これ ? 今日は俺が料理当番でしょ ?だから、新しいメニューを試してたんだ。 | |
イージス | 料理……だと。その異臭を放つ赤いスープが ? | |
カナタ | これはスープじゃなくてお肉を煮込んでるところ。ミゼラに美味しいお肉料理を食べてほしくてさ。 | |
ミゼラ | 私の……ため ? | |
カナタ | うん。この前グラスバレーたちと一緒にお肉を食べたとき、俺、もっとミゼラにたくさん食べてほしいなって思ったんだ。 | |
カナタ | みんなの前だったから我慢してるんじゃないかって……。 | |
カナタ | 俺はミゼラに我慢なんてしてほしくない。美味しいお肉を食べて笑っているミゼラの顔が好きだから。 | |
ミゼラ | カナタが、私のために…… !……ありがとう、カナタ。 | |
イージス | ……カナタ、お前の気持ちはわかった。だが、その料理はどうしてそんな匂いを放っているんだ ? | |
カナタ | 匂い…… ? あっ、もしかしたらお肉を柔らかくするために赤ワインの代わりに魚の血を使ったからかも。 | |
イージス | なっ ! ? | |
カナタ | 赤ワインなんて今の俺たちには高級品だし同じ『赤い液体』なら問題ないかなって。 | |
カナタ | これは試食用だけど、味が問題なさそうならみんなの分も作るから安心してね ! | |
ヴィシャス | おい、こいつマジで言ってんぞ。このままだとオレたちまで今夜の飯がゲテモノになるぜ。 | |
ミゼラ | ……私は構わない。カナタが私のために作ってくれたんだもの。大丈夫……平気……きっと……たぶん……。 | |
イージス | 鍋を直視できていないぞ、ミゼラ。しかし、一体どうすれば……。 | |
ユナ | そら本番は本物のワイン使てもらうしかあらへんやろ。な、ヴィシャス。 | |
ヴィシャス | はぁ ? まさかてめぇオレの部屋にあるワインを持ってこいって言うんじゃねぇだろうな ! ? | |
ユナ | そのまさかや。このままやと全員お陀仏やさかい。自分も困るやろ ? | |
ミゼラ | ……さぁ、出しなさいヴィシャス。これもお肉の……いいえ、カナタのためよ。 | |
カナタ | えっと、なんだかよくわからないけれどヴィシャスも協力してくれるってことだよね !ありがとう、ヴィシャス ! | |
ヴィシャス | チッ ! てめぇら、覚えてやがれよ…… ! |