プロフィール
ルーリッド村に生まれ育ったごく普通の少年は、小さな冒険心から大切な幼なじみを失った。後悔と無力感を胸の奥に抱きながらひたすら巨木に斧を振るう歳月を経て、ユージオは黒髪の青年と出会う。彼はユージオの中にあった諦めという名の壁をいとも容易く壊しただけでなく、剣術という強さを与えてくれた。そしてユージオは【青薔薇の剣】を携え王都へと旅立つ。もう一度、あの幸福な日々を取り戻すために。
ミリーナの一言
ヴェイグさんとワルターさんの組み合わせってなんだか珍しかったから、ついお話に混ぜてもらっちゃったわ。なんでもアークで印象的な人と出会ったんですって。その人はユージオさんっていって、見た目は優しそうな人なんだけど、いざとなるとすごく勇敢に立ち向かっていくらしいの。一歩を踏み出せなかったことで長い間後悔したことがあるそうだから、それが彼を突き動かしているのかもしれないわね。
イクスの一言
ミリーナと一緒に話を聞かせてもらったんだけど、ユージオさんは自分の剣技を磨き続けるだけじゃなくて、いろんな人の剣を貪欲に自分の糧にしてしまうんだって。それも恐ろしいほどの早さで。ヴェイグも驚くくらいだし、その人は剣の天才なのかもしれないな。俺もいつか会って、手合わせをお願いしてみたいよ。
Character | 天命のない世界 | |
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ユージオ | あれ ? おかしいな……。 | |
ヴェイグ | どうしたんだ ? ユージオ。 | |
ユージオ | いや、ステイシアの窓を出そうと思ったんだけど何度やっても出てくれないんだ。 | |
ヴェイグ | ステイシアの窓 ? なんだそれは。 | |
ユージオ | こうやって指を動かすと、食べ物とかの天命が数値で見えるようになるだろう ? | |
ヴェイグ | 天命とはなんだ。 | |
ユージオ | それもわからないのかい ! ? | |
ユージオ | もしかして、この世界じゃステイシアの窓は開けないのか…… ? | |
ヴェイグ | 聞く限り、どうやらユージオの世界だけの現象のように思えるな。 | |
ユージオ | 驚いたな。じゃあ、君たちの世界じゃ食べ物が傷んでるかどうかはどうやって判断するんだい ? | |
ヴェイグ | 見た目や匂い……いっそのこと食べてみて味で判断するといったところだな。 | |
ユージオ | なかなか不便な世界だなぁ。 | |
ユージオ | じゃあ、自分の天命が後どのくらい残っているかもわからないんだ。 | |
ヴェイグ | それは、自分の寿命ということか ?そんなことまで数値でわかってしまうのは恐ろしいと思うが……。 | |
ユージオ | 僕にとっては当たり前のことだったから。だけど、天命の見えない世界か……。 | |
ヴェイグ | 不安か ? | |
ユージオ | 少しね。でも、結局そうなるんだって納得もしてる。 | |
ヴェイグ | 結局そうなる ? | |
ユージオ | 確かに僕の世界では天命の値がすべてを示してる。でも、本当の強さってそれだけで決まるわけじゃない。 | |
ユージオ | 要するに最後は自分の意志を強く持つしかないってことなんだけど。 | |
ヴェイグ | ……ユージオの言いたいことはわかる。力は力でしかない。それを使う者次第だ。過信せず、また恐れすぎてもいけない。 | |
ユージオ | そう ! そうなんだよ !さすが、命懸けの戦いをしてきたヴェイグはちゃんと言葉にして考えてるんだね。 | |
ヴェイグ | 機会と仲間に恵まれただけだ。ユージオ、きっとお前もそうなれる。 | |
ヴェイグ | そろそろ、ワイズマンのところへ戻ろう。祭りの打合せがしたいそうだ。 | |
ユージオ | わかった。すぐに行くよ。 |
Character | 彼の地の友を想う | |
ユージオ | ワルター、待ってよ。みんなと一緒に食べよう。 | |
ワルター | 祭りには手を貸すと言ったが馴れ合うつもりはない。 | |
ユージオ | そうやって、また一人で行動しようとする。 | |
ユージオ | 言っておくけど、誰も君の敵なんかじゃない。遠慮なんてする必要ないんだ。 | |
ワルター | 俺は遠慮などしていない。お前こそどうして俺にかまう。何が目的だ。 | |
ユージオ | 目的 ? いや、別にそんなのは……。 | |
ユージオ | しいて言えば、君がほっとけないからかな ? | |
ワルター | わけのわからんことを……。もういい。付き合い切れん。 | |
ヴェイグ | また、断られたか。 | |
ユージオ | ヴェイグ……。うん、そうみたい。やれやれ、道のりは長そうだ。 | |
ヴェイグ | その口ぶりだと諦めてはいないようだな。 | |
ユージオ | まあね。 | |
ヴェイグ | ワルターも言っていたが、どうしてそこまでヤツにかまう ? お前にとっては出会ったばかりの別の世界の人間だろう。 | |
ユージオ | そうなんだけどね。似てるんだ。 | |
ヴェイグ | 似てる ? | |
ユージオ | 僕の相棒にね。性格はぜんぜん違うんだけどね。 | |
ユージオ | あいつもすぐ黙って単独行動をするんだ。危険だから僕も連れていけって言っても聞きやしない。 | |
ユージオ | きっと、根がそういう性分なんだろうね。 | |
ユージオ | 大抵のことはなんでもできるから他人をあてにしない。目的を決めたらそれに邁進する。 | |
ユージオ | そういうヤツは、誰か傍にいる人間がしっかり捕まえてやらないと、どこか知らない場所へ飛んで行っちゃうと思うんだ。 | |
ヴェイグ | なるほど。ワルターもそうだと。 | |
ユージオ | 僕の思い込みかもしれないけどね。 | |
ヴェイグ | いや、案外当たっているんじゃないか ?お前といれば、ワルターも少しは他人と関わるようになるかもしれないな。 | |
ユージオ | そうかな。じゃあもうちょっと頑張ってお節介をやいてこようかな。 |