プロフィール
目覚めたとき、バルドは一人だった。自らの身に何が起きたのかもわからないまま、幻影種に追われ、彷徨い、気を失った。やがて目覚めた彼は、自分が時の流れに取り残されたことを知る。守るべき主はすでに亡く、親しい仲間の姿もない。そして何より彼には彼であるという確証すらないのだ。真実を知るため、バルドは未知の世界を一人、歩き出した。
エルナトの一言
バルドさんはとても優しくて穏やかな方です。かつてギムレイ辺境伯とヘイズ様がバルドさんを発見して保護したのだと聞きました。その時から何十年も経っているのに、バルドさんは歳を取っていないんですよね。どういうことなんでしょう。そういえば、女性に対して大げさなぐらいに気障なので、死神騎士の女性たちが色めき立っていて、隊長としては規律が心配です……。
ヘイズの一言
バルドか……。そうだな。バルドはとても親切な人間だ。誰に対しても礼儀正しく優しい。しかし案外手は早いようだ。言葉でわからなければ力でねじ伏せるという荒々しさをも持ち合わせている。中々に面白く愛らしい。古のビフレスト皇国に仕えていた騎士でもあり、歴史書に名前が残る偉人だ。偉人と言えども人なのだな。歴史書とは違う生きたバルドと出会えて嬉しいよ。
Character | 封じた刃 | |
---|---|---|
コダマ | あれ ? バルド、剣の手入れをしてるのか ? | |
バルド・M | ええ。普段使っていないからこそきちんと状態を確認しておく必要がありますからね。 | |
コダマ | つーか、なんで剣を使わないんだ ?ヘイズ様が言ってたぜ。バルドは凄い剣士だったらしいって。 | |
コダマ | 最初こそ、幻影種との戦い方がわからなかったみたいだけど、この前の戦いで幻想灯を使ってからは死神騎士と同じように力を使えてるじゃん。 | |
バルド・M | 死神騎士の力というのは……この目の奥で燃えるように光る…… ? | |
コダマ | そう、デス・スター。これが死神騎士の力の源だよ。ヘイズ様がバルドを調べてそこから生み出した力だって聞いてる。 | |
コダマ | バルドは元々デス・スターを使えるんじゃないのか ? | |
バルド・M | デス・スター……そうですか。この目をデス・スターと呼ぶことも初めて知りました。少なくともこの時代に来る前の私は持っていなかった力です。 | |
コダマ | そうなのか……。――なあ、横で剣の手入れをするとこ、見ててもいい ? | |
バルド・M | ええ、構いませんよ。あなたも刃物を使うようですから参考になるかも知れませんね。 | |
コダマ | うん。それに俺、人が何か作業をしてるのを見るのが好きなんだ。セイリオスが化粧してるとことかアイリスが洋服繕ってるとことか。 | |
バルド・M | フフ……。コダマは好奇心が旺盛なんですね。 | |
コダマ | そうかもなー。 | |
コダマ | ………………。 | |
バルド・M | …………コダマ。聞かないのですか ?私が剣を使わない理由を。 | |
コダマ | んー ?さっき話逸らされたから、嫌なのかなと思ってさ。話したいなら聞くよ。 | |
バルド・M | まあ、大して面白い話ではありませんが。 | |
バルド・M | 私は……知らない間に主と離れ主を守ることができませんでした。騎士としては失格です。 | |
コダマ | だから剣を使う資格がない、みたいな感じ ? | |
バルド・M | ええ。それにこの剣は我が主に捧げた剣。あの方のため以外に振るう理由はないのです。 | |
コダマ | 悔しいよな……。 | |
バルド・M | 何が……ですか ? | |
コダマ | 守りたかったものを守れなくて、さ。俺だったら悔しいし、今からでも何とかできないかって考えちまうと思う。 | |
バルド・M | …………ええ。 | |
コダマ | 俺、何かできることがないか探してみるよ。とりま、バルドのご主人様のことを調べないとな。 | |
バルド・M | コダマ……。どうして……。 | |
コダマ | そうだなー。バルドがその剣を使うところを見てみたいから、かな。 | |
コダマ | まあ、上手くいくかわかんないし期待しないで待っててくれ。 | |
バルド・M | ありがとうございます、コダマ……。 | |
バルド・M | (ウォーデン様……メルクリア様……バルドは必ずあなた方を…… ! ) |
Character | 変わらぬ心 | |
バルド・M | お久しぶりです、ユーリさん、フレンさん。と言っても、あなたたちからすれば同じ『バルド』に見えるかもしれませんが。 | |
ユーリ | オレたちからしたら、お前は未来のバルドってことになるのか ? | |
バルド・M | ……まあ、そういうことにしておいてください。ですから、今この世界にいる『バルド』とは別の存在として接していただければ。 | |
ユーリ | わかった。雰囲気もちょっと違うしな。 | |
バルド・M | 私にも色々とありましたからね。それこそ、今こうしてお二人と再会できていることが不思議なくらいです。 | |
フレン | バルド、何か必要なことがあれば僕たちも協力する。遠慮せずになんでも相談してくれ。 | |
ユーリ | おいおい、それ、オレも数に入れてねえか ? | |
フレン | 僕たちが勝手に動くほうが君は怒るんじゃないのかい ? | |
ユーリ | まあな。お前たちには前科もあるし今度は仲間外れにすんじゃねえぞ。 | |
バルド・M | ……仲間、ですか。今の私のことも、そんな風に思ってくれるのですね。 | |
フレン | バルド、君は違うのかい ? | |
バルド・M | ……いえ、感謝します。やはり、あなたたちは変わりませんね。 | |
ユーリ | それはお互い様だろ ? お前は自分が変わっちまったって思ってるかもしれねえがオレたちから見たら、全然そんなことはねえぜ。 | |
フレン | ああ、君の中にある信念は何一つ変わっていない。そうだろ、バルド ? | |
バルド・M | ……どうでしょうか ? 今の私がそれを認めるにはあまりにも多くのものを失ってしまいました。 | |
バルド・M | 主を守ることもできず、自分だけがこのような形で生き残ってしまった。 | |
フレン | だけど、君はこうして生きてこの時代に戻ってきたんだ。大切な人たちを守るために。 | |
バルド・M | ……ええ。たとえ、私はどんな立場になろうとも自分の役目を決して忘れることはありませんでした。 | |
バルド・M | 何故なら、それだけが今の私にとって生きる理由となっているからです。 | |
ユーリ | だったら、その信念を貫けばいいんだよ。 | |
ユーリ | こんなこと、オレたちに言われるまでもねえだろうけどな。 | |
バルド・M | はい。私の命は、ウォーデン様やメルクリア様……そして、ビフレストの民たちの為に存在しています。 | |
バルド・M | ならば、この命はその使命の為に使いましょう。 | |
バルド・M | ――その覚悟は、もう済ませてあります。 |
Character | 共犯者 | |
バルド・M | はあっ、はあっ……。 | |
セイリオス | どうした、そんなに焦って。 | |
メルクリア | どこじゃー、バルドー ! | |
バルド・M | ! | |
セイリオス | ……こっちへ。早く。 | |
メルクリア | おお、セイリオスか。ここにバルド……未来のバルドは来なかったか ? | |
セイリオス | いいえ。足音はしましたが……あちらへ行ったのでは ? | |
メルクリア | あちらか。すまぬな ! | |
バルド・M | はぁ……助かりました。 | |
セイリオス | で、どうしたんだい ?何かと「主」が口癖のお前さんが逃げ回るとは。 | |
バルド・M | メルクリア様からお茶会に呼ばれたのです。ですが、もう一人の私も来ると聞いて……用事を思い出したと言って飛び出してしまいました。 | |
セイリオス | ……そうかい。 | |
バルド・M | 今の私は、様々なことがあって精神的に不安定です。バルドへの嫉妬が止められない。汚い私が顔を出す。いつものように自分を律することができない……。 | |
バルド・M | あわよくば、メルクリア様とウォーデン様を攫ってしまいたい。そんな欲望を抑えきれなくなりそうで……そのような姿を見せられるはずが…… ! | |
セイリオス | しっ ! | |
メルクリア | 今、こちらでバルドの声がしなかったか ? | |
セイリオス | ええ。今しがた顔を出しましたよ。急用で出かけることになったので挨拶を、って。 | |
セイリオス | メルクリア様のお茶会に行けなかったのが心から残念だと言っていましたよ。 | |
メルクリア | ……。 | |
メルクリア | そうか……。二人のバルドの仲が少々ギクシャクしておるようでな。間を取り持とうと思ったのじゃが……。 | |
メルクリア | 未来のバルドの気持ちをじっくり聞いてからにすればよかった。すまぬことをした。 | |
メルクリア | 次の茶会、まずはわらわと未来のバルドの二人で催すとしよう。――また来るぞ、バルド ! | |
セイリオス | 参ったね。バレてたみたいだ。 | |
バルド・M | メルクリア様には悪いことをしました。それにあなたにも……。この詫びは、いずれ。 | |
セイリオス | 俺に詫びなんていらんさね。進んで嘘を吐いたんだ。俺も共犯だよ。 | |
バルド・M | セイリオス……。 | |
セイリオス | しかし賢いお姫様だな。それに素直でお優しい。 | |
バルド・M | でしょう ? もっと褒めてもよいのですよ ? | |
セイリオス | はははっ。その調子なら、お姫様とのお茶会もそう遠くないうちにできそうだな。ちゃんと謝っておけよ。 | |
バルド・M | ええ。そのときは是非あなたもご一緒に。私の共犯者、セイリオス。 |